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劇薬
処方箋医薬品注)
統合失調症
ハロペリドールとして、通常1回量50〜150mgを4週間隔で筋肉内投与する。投薬量、注射間隔は症状に応じて適宜増減ならびに間隔を調節する。なお、初回用量は、経口ハロペリドールの1日用量の10〜15倍を目安とし、可能な限り少量より始め、100mgを超えないものとする。
一過性の血圧降下があらわれることがある。
低カリウム血症のある患者等では、QT延長が発現するおそれがある。,
痙攣閾値を低下させることがある。
錐体外路症状が起こりやすい。
悪性症候群が起こりやすい。,
高熱反応が起こるおそれがある。体温調節中枢を抑制するため。
肺塞栓症、静脈血栓症等の血栓塞栓症が報告されている。
血中濃度が上昇するおそれがある。
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、投与しないこと。本剤は動物実験(ラット、ウサギ)で催奇形性作用は認められていないが、胎児死亡率、新生児死亡率の増加が認められている。類似化合物(ハロペリドール)で催奇形性を疑う症例及び動物実験で口蓋裂(マウス)、脳奇形(ハムスター)等の催奇形性及び着床数の減少、胎児吸収の増加(マウス)、流産率の上昇(ラット)等の胎児毒性が報告されている。また、妊娠後期に抗精神病薬が投与されている場合、新生児に哺乳障害、傾眠、呼吸障害、振戦、筋緊張低下、易刺激性等の離脱症状や錐体外路症状があらわれたとの報告がある。
授乳しないことが望ましい。動物実験(ラット)で乳汁中への移行がみられており、また、類似化合物(ハロペリドール)でヒト母乳中へ移行し、哺乳中の児の血中に検出されたと報告されている。
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
少量から投与を開始するなど患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。錐体外路症状等の副作用があらわれやすい。
*アドレナリン(アナフィラキシーの救急治療、又は歯科領域における浸潤麻酔もしくは伝達麻酔に使用する場合を除く)
アドレナリンの作用を逆転させ、重篤な血圧降下を起こすことがある。
アドレナリンはアドレナリン作動性α、β-受容体の刺激剤であり、本剤のα-受容体遮断作用により、β-受容体刺激作用が優位となり、血圧降下作用が増強される。
クロザピン
クロザピンは原則単剤で使用し、他の抗精神病薬とは併用しないこととされている。本剤は半減期が長いため、本剤が体内から消失するまでクロザピンを投与しないこと。
本剤が血中から消失するまでに時間を要する。
中枢神経抑制剤
中枢神経抑制作用が増強することがあるので、減量するなど注意すること。
本剤及びこれらの薬剤の中枢神経抑制作用による。
アルコール
相互に作用を増強することがある。
アルコールは中枢神経抑制作用を有する。
リチウム
類似化合物(ハロペリドール)で、リチウムとの併用により、心電図変化、重症の錐体外路症状、持続性のジスキネジア、突発性の悪性症候群、非可逆性の脳障害を起こすことが報告されているので、観察を十分に行い、このような症状があらわれた場合には投与を中止すること。
機序は不明であるが、併用による抗ドパミン作用の増強等が考えられている。
抗コリン作用を有する薬剤
腸管麻痺等の抗コリン系の副作用が強くあらわれることがある。また、類似化合物(ハロペリドール)で精神症状が悪化したとの報告がある。
併用により抗コリン作用が強くあらわれる。
抗ドパミン作用を有する薬剤
内分泌機能異常、錐体外路症状が発現することがある。
併用により抗ドパミン作用が強くあらわれる。
タンドスピロンクエン酸塩
錐体外路症状を増強するおそれがある。
タンドスピロンクエン酸塩は弱い抗ドパミン(D2)作用を有する。
ドパミン作動薬
これらの薬剤のドパミン作動薬としての作用が減弱することがある。
ドパミン作動性神経において、 作用が拮抗することによる。
MAO阻害剤
MAO阻害剤の作用が減弱するおそれがある。
本剤はドパミン作動系に対する抑制作用をもつ。
薬物代謝酵素(主にCYP3A4)を誘導する薬剤
本剤の作用が減弱することがある。
薬物代謝酵素誘導作用により、ハロペリドールの血中濃度が低下する。
CYP3A4を阻害する薬剤
本剤の作用が増強し、副作用が発現するおそれがある。
薬物代謝酵素阻害作用により、ハロペリドールの血中濃度が上昇する。
CYP2D6を阻害する薬剤
QT延長を起こすことが知られている薬剤,
QT延長があらわれるおそれがある。
QT延長作用が増強するおそれがある。
*アドレナリン含有歯科麻酔剤
重篤な血圧降下を起こすことがある。
アドレナリンはアドレナリン作動性α、β-受容体の刺激剤であり、本剤のα-受容体遮断作用により、β-受容体刺激作用が優位となり、血圧降下作用が増強されるおそれがある。
無動緘黙、強度の筋強剛、嚥下困難、頻脈、血圧の変動、発汗等が発現し、それにひきつづき発熱がみられる場合は、投与を中止し、体冷却、水分補給等の全身管理とともに適切な処置を行うこと。本症発症時には、白血球の増加や血清CKの上昇がみられることが多く、また、ミオグロビン尿を伴う腎機能の低下や、筋強剛を伴う嚥下困難から嚥下性肺炎が発現することがある。なお、高熱が持続し、意識障害、呼吸困難、循環虚脱、脱水症状、急性腎障害へと移行し、死亡した例が報告されている。,
心室細動、心室頻拍(Torsade de pointesを含む)、QT延長があらわれることがある。,
腸管麻痺(食欲不振、悪心・嘔吐、著しい便秘、腹部の膨満あるいは弛緩及び腸内容物のうっ滞等の症状)をきたし、麻痺性イレウスに移行することがあるので、腸管麻痺があらわれた場合には、投与を中止すること。なお、この悪心・嘔吐は本剤の制吐作用により不顕性化することもあるので注意すること。
長期投与により、遅発性ジスキネジア(口周部の不随意運動、四肢の不随意運動等を伴うことがある。)が発症することがある。抗パーキンソン剤を投与しても、症状が軽減しない場合があるので、このような症状があらわれた場合には、本剤の投与継続の必要性を、他の抗精神病薬への変更も考慮して慎重に判断すること。
低ナトリウム血症、低浸透圧血症、尿中ナトリウム排泄量の増加、高張尿、痙攣、意識障害等を伴う抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)があらわれることがあるので、このような場合には投与を中止し、水分摂取の制限等、適切な処置を行うこと。
筋肉痛、脱力感、CK上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇等が認められた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。また、横紋筋融解症による急性腎障害の発症に注意すること。
肺塞栓症、静脈血栓症等の血栓塞栓症が報告されているので、観察を十分に行い、息切れ、胸痛、四肢の疼痛、浮腫等が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
AST、ALT、γ-GTP、ALP、ビリルビン等の上昇を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがある。
5%以上
0.1〜5%未満
0.1%未満
頻度不明
循環器
心電図異常(心室性期外収縮、心房性期外収縮等)、動悸、頻脈、徐脈、血圧降下、血圧上昇、胸内苦悶感
肝臓
肝機能異常(AST、ALT、γ-GTP、ALP、LDH、ビリルビン等の上昇)
錐体外路症状注)
パーキンソン症候群(振戦、筋強剛、流涎、寡動、歩行障害、仮面様顔貌、嚥下障害、構音障害等)、アカシジア(静坐不能)
ジスキネジア(口周部、四肢等の不随意運動等)、ジストニア(痙攣性斜頸、顔面・喉頭・頸部の攣縮、後弓反張、眼球上転発作等)
眼
眼の調節障害
霧視、視覚異常(目のチカチカ等)
過敏症
発疹
光線過敏症、そう痒感
蕁麻疹、血管性浮腫(喉頭浮腫、舌浮腫)
血液
白血球・顆粒球増加
白血球減少、貧血、血沈の亢進
消化器
食欲不振、口渇、悪心・嘔吐、胃不快感、便秘、下痢
腹痛、食欲亢進、腹部膨満感
内分泌
体重増加、体重減少、月経異常
乳汁分泌、インポテンス
持続勃起、女性化乳房、高プロラクチン血症
呼吸器
呼吸困難
喉頭攣縮
精神神経系
不安・焦燥感、興奮・易刺激性、頭痛・頭重、睡眠障害、眠気、抑うつ、脳波異常、傾眠
緊張、離人感、意識障害、過鎮静、痙攣
注射部位
注射局所の反応(発赤、腫脹、疼痛、硬結等)
その他
脱力感・倦怠感、めまい・ふらつき・立ちくらみ
発汗、発熱、鼻閉、排尿障害、のぼせ、浮腫、CK上昇、高脂血症
BUN上昇、尿糖の陽性化、無動
尿閉、低体温
主な症状は、低血圧、過度の鎮静、重症の錐体外路症状(筋強剛、振戦、ジストニア症状)等である。また、呼吸抑制及び低血圧を伴う昏睡状態や心電図異常(Torsade de pointesを含む)があらわれることがある。
低血圧や循環虚脱があらわれた場合には、輸液、血漿製剤、アルブミン製剤、ノルアドレナリン等の昇圧剤(アドレナリンは禁忌)等の投与により血圧の確保等の処置を行う。重症の錐体外路症状に対しては、抗パーキンソン剤を投与する。
筋肉内注射にのみ使用し、深部に注射すること。
組織・神経等への影響を避けるため、下記の点に注意すること。
類似化合物(ハロペリドール)を雌マウスに長期間経口投与した試験において、臨床最大通常用量の10倍(1.25mg/kg/日)以上で乳腺腫瘍の発生頻度が、また、40倍(5mg/kg/日)以上で下垂体腫瘍の発生頻度が、対照群に比し高いとの報告がある。
Tmax(日)
Cmax(ng/mL)
t1/2(日)
5~14
1.0~3.8
27.2
血清蛋白結合率:90.9%(統合失調症患者、血清中ハロペリドール濃度7〜23ng/mL、平衡透析法)1)
ハロペリドールデカン酸エステルは筋肉内投与後ハロペリドールとなり、カルボニル基の還元化のほか、酸化的脱アルキル化、グルクロン酸抱合等により代謝される。代謝産物である還元型ハロペリドールも酸化的脱アルキル化及びグルクロン酸抱合を受け、またハロペリドールへ逆酸化される。2),3)代謝酵素(チトクロームP450)の分子種:CYP2D6及びCYP3A4で代謝される4),5)。
排泄経路:尿中及び糞便中(ラット)6)排泄率:投与後14日間の尿中には、4-フルオロフェニルアセツール酸、ハロペリドールのグルクロン酸抱合体等の代謝物が計18.4%排泄された。(健康成人、10mg(ハロペリドールとして)1回筋肉内投与)2)
二重盲検比較試験を含む総計619例についての臨床成績は次のとおりである7),8),9),10),11),12),13),14)。
対象疾患
改善率
中等度改善以上
軽度改善以上
30%(187/619)
60%(371/619)
また、二重盲検比較試験において、経口投与によるハロペリドールの1日量の20倍を1回投与量として、本剤を4週間に1回、計6回投与した場合、ハロペリドール経口剤の24週間連続投与と同等の有用性が認められた14)。承認までの臨床試験620例中389例(62.7%)に副作用がみられた。主なものはアカシジア(17.7%)、振戦(14.5%)、倦怠感(14.5%)、注射部反応(13.2%)、睡眠障害(12.7%)等であった。
ハロペリドールの作用機序については、中枢神経系におけるドパミン作動系、ノルアドレナリン作動系等に対する抑制作用が想定されている15),16),17)。
ハロペリドールデカン酸エステルは、それ自体ではハロペリドールのもつ薬理活性を示さず、筋肉内投与後加水分解され、血中にハロペリドールを徐々に放出することにより、ハロペリドールとしての薬理作用をもたらす。
作用の種類
動物種
ED50(mg/kg)
ハロペリドール
クロルプロマジン
抗アポモルヒネ作用
gnawing
ラット20)
0.20
6.5
vomiting
イヌ21)
0.018
0.70
抗アンフェタミン作用
0.038
1.1
条件回避反応抑制作用(ジャンピングボックステスト)
0.058
0.93
自発運動抑制作用
マウス22)
0.9
7.0
ヘキソバルビタール睡眠増強作用
7.21※
8.63※
カタレプシー惹起作用
ラット22)
15.0
※ ED60´(正向反射消失の平均持続時間を60 分にする量)
ハロペリドールデカン酸エステル(Haloperidol Decanoate)
4-(p-chlorophenyl)-1-[4-(p-fluorophenyl)-4-oxobutyl]-4-piperidinyl decanoate
C31H41ClFNO3
530.11
白色〜微黄色の結晶性の粉末である。エタノール(95)、ジエチルエーテル又はクロロホルムに極めて溶けやすく、酢酸(100)に溶けやすく、水にほとんど溶けない。光により徐々に着色する。
40〜44℃
4.03(1-オクタノール/水系溶媒、25℃)
1mL[10アンプル]
1) 寺内嘉章, ほか:神経精神薬理. 1985 ; 7:849-854
2) 老田哲也, ほか:薬理と治療. 1985 ; 13:5109-5126
3) Tsang MW, et al.:J Clin Psychopharmacol. 1994 ; 14:159-162
4) Tyndale RF, et al.:Br J Clin Pharmacol. 1991 ; 31:655-660
5) Fang J, et al.:Cell Mol Neurobiol. 1997 ; 17:227-233
6) Matsunaga Y, et al.:Arzneim-Forsch/Drug Res. 1986 ; 36:453-456
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9) 伊藤 斉, ほか:神経精神薬理. 1985 ; 7:855-865
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11) 大久保善朗, ほか:神経精神薬理. 1985 ; 7:905-916
12) 平野敬之, ほか:神経精神薬理. 1985 ; 7:917-927
13) 工藤義雄, ほか:神経精神薬理. 1985 ; 7:947-960
14) 大熊輝雄, ほか:神経精神薬理. 1985 ; 7:983-996
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18) Oka M, et al.:Arch Int Pharmacodyn Ther. 1985 ; 277:289-302
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21) Janssen PAJ, et al.:Arzneim-Forsch. 1968 ; 18:261-279
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