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劇薬
処方箋医薬品注)
統合失調症
通常、成人にはリスペリドンとして1回25mgを2週間隔で臀部筋肉内投与する。なお、初回量は25mgとし、その後、症状により適宜増減するが、1回量は50mgを超えないこと。
一過性の血圧降下があらわれることがある。
QTが延長する可能性がある。
悪性症候群が起こりやすくなる。また、錐体外路症状の悪化に加えて、錯乱、意識レベルの低下、転倒を伴う体位不安定等の症状が発現するおそれがある。
痙攣閾値を低下させるおそれがある。
症状を悪化させるおそれがある。
血糖値が上昇することがある。,,
悪性症候群が起こりやすい。
抗精神病薬において、肺塞栓症、静脈血栓症等の血栓塞栓症が報告されている。
本剤の半減期の延長及びAUCが増大することがある。,
肝障害を悪化させるおそれがある。,
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。妊娠後期に抗精神病薬が投与されている場合、新生児に哺乳障害、傾眠、呼吸障害、振戦、筋緊張低下、易刺激性等の離脱症状や錐体外路症状があらわれたとの報告がある。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。経口リスペリドン製剤においてヒトで乳汁移行が認められている1)。
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
本剤を高齢者に投与したときの血中濃度は非高齢者の範囲内であったが、一般に高齢者では生理機能が低下していることが多く、副作用があらわれやすいことから、患者の症状を十分観察し慎重に投与すること。
*アドレナリン(アナフィラキシーの救急治療、又は歯科領域における浸潤麻酔もしくは伝達麻酔に使用する場合を除く)
アドレナリンの作用を逆転させ、血圧降下を起こすことがある。
アドレナリンはアドレナリン作動性α、β受容体の刺激剤であり、本剤のα受容体遮断作用によりβ受容体刺激作用が優位となり、血圧降下作用が増強される。
クロザピン
クロザピンは原則単剤で使用し、他の抗精神病薬とは併用しないこととされている。本剤は半減期が長いため、本剤が体内から消失するまでクロザピンを投与しないこと。
本剤が血中から消失するまでに時間を要する。
中枢神経抑制剤(バルビツール酸誘導体等)
相互に作用を増強することがあるので、減量するなど慎重に投与すること。
本剤及びこれらの薬剤の中枢神経抑制作用による。
ドパミン作動薬
相互に作用を減弱することがある。
本剤はドパミン遮断作用を有していることから、ドパミン作動性神経において作用が拮抗する可能性がある。
降圧薬
降圧作用が増強することがある。
本剤及びこれらの薬剤の降圧作用による。
アルコール
相互に作用を増強することがある。
アルコールは中枢神経抑制作用を有する。
CYP2D6を阻害する薬剤(パロキセチン2)等)
本剤及び活性代謝物の血中濃度が上昇することがある。
これらの薬剤の薬物代謝酵素阻害作用による。
CYP3A4を誘導する薬剤(カルバマゼピン3)、フェニトイン、リファンピシン4)、フェノバルビタール)
本剤及び活性代謝物の血中濃度が低下することがある。
これらの薬剤のCYP3A4誘導作用による。
CYP3A4を阻害する薬剤(イトラコナゾール5)等)
これらの薬剤のCYP3A4阻害作用による。
QT延長を起こすことが知られている薬剤
QT延長があらわれるおそれがある。
QT延長作用が増強するおそれがある。
*アドレナリン含有歯科麻酔剤
血圧降下を起こすことがある。
アドレナリンはアドレナリン作動性α、β受容体の刺激剤であり、本剤のα受容体遮断作用によりβ受容体刺激作用が優位となり、血圧降下作用が増強されるおそれがある。
無動緘黙、強度の筋強剛、嚥下困難、頻脈、血圧の変動、発汗等が発現し、それに引き続き発熱がみられる場合は、投与を中止し、体冷却、水分補給等の全身管理とともに適切な処置を行うこと。本症発症時には、白血球の増加や血清CKの上昇がみられることが多く、また、ミオグロビン尿を伴う腎機能の低下がみられることがある。なお、高熱が持続し、意識障害、呼吸困難、循環虚脱、脱水症状、急性腎障害へと移行し、死亡することがある。,
長期投与により、口周部等の不随意運動があらわれ、投与中止後も持続することがある。
腸管麻痺(食欲不振、悪心・嘔吐、著しい便秘、腹部の膨満あるいは弛緩及び腸内容物のうっ滞等の症状)を来し、麻痺性イレウスに移行することがあるので、腸管麻痺があらわれた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。なお、本剤は動物実験(イヌ)で制吐作用を有することから、悪心・嘔吐を不顕性化する可能性があるので注意すること。
低ナトリウム血症、低浸透圧血症、尿中ナトリウム排泄量の増加、高張尿、痙攣、意識障害等を伴う抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)があらわれることがある。
AST、ALT、γ–GTPの上昇等を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがある。
筋肉痛、脱力感、CK上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇を特徴とする横紋筋融解症があらわれることがある。また、横紋筋融解症による急性腎障害発症に注意すること。
心房細動、心室性期外収縮等があらわれることがある。
高血糖や糖尿病の悪化があらわれ、糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡に至ることがあるので、本剤投与中は、口渇、多飲、多尿、頻尿等の症状の発現に注意するとともに、血糖値の測定を行うなど十分な観察を行い、異常が認められた場合には、投与を中止し、インスリン製剤の投与等の適切な処置を行うこと。,,
脱力感、倦怠感、冷汗、振戦、傾眠、意識障害等の低血糖症状が認められた場合には、投与を中止し適切な処置を行うこと。,
肺塞栓症、静脈血栓症等の血栓塞栓症が報告されているので、息切れ、胸痛、四肢の疼痛、浮腫等が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
α交感神経遮断作用に基づく持続勃起症があらわれることがある。
異常が認められた場合には投与を中止すること。なお、過去に経口リスペリドンで忍容性が確認されている場合でも、アナフィラキシーを起こした症例が報告されている。
5%以上
5%未満
頻度不明
感染症及び寄生虫症
胃腸炎、鼻咽頭炎
気管支炎、膀胱炎、耳感染、感染、インフルエンザ、注射部位膿瘍、限局性感染、気道感染、咽頭炎、肺炎、鼻炎、副鼻腔炎、皮下組織膿瘍、尿路感染、ウイルス感染、注射部位蜂巣炎、蜂巣炎、扁桃炎、眼感染、中耳炎、爪真菌症、ダニ皮膚炎
血液及びリンパ系障害
貧血、好中球減少症、血小板減少症
免疫系障害
過敏症
内分泌障害
高プロラクチン血症
代謝及び栄養障害
高尿酸血症、食欲亢進、多飲症、高脂血症
食欲不振、水中毒、食欲減退
精神障害
不眠症、精神症状
不安、妄想、幻覚、被害妄想、睡眠障害
激越、うつ病、リビドー減退、躁病、神経過敏、自殺企図、緊張、抑うつ症状、リビドー亢進、錯乱状態、気力低下、情動鈍麻、無オルガズム症、悪夢、徘徊、睡眠時遊行症
神経系障害
アカシジア
めまい、ふらつき、立ちくらみ、ジスキネジア、ジストニー、錐体外路障害、頭痛、しびれ感、末梢性ニューロパチー、パーキンソニズム、精神運動亢進、傾眠、振戦
無動、痙攣、協調運動異常、注意力障害、よだれ、構語障害、構音障害、頭部不快感、過眠症、運動低下、嗜眠、仮面状顔貌、弓なり緊張、錯感覚、鎮静、失神、意識レベルの低下、会話障害(舌のもつれ等)、平衡障害、刺激無反応、運動障害、味覚異常、記憶障害、意識消失、てんかん
眼障害
眼脂
調節障害、結膜炎、眼球回転発作、網膜動脈閉塞、霧視、視力低下、眼瞼痙攣、眼充血、眼瞼縁痂皮、眼乾燥、流涙増加、羞明、緑内障、術中虹彩緊張低下症候群
耳及び迷路障害
耳痛、回転性めまい、耳鳴
心臓障害
右脚ブロック、洞性頻脈、上室性期外収縮、心室性期外収縮
徐脈、左脚ブロック、動悸、洞性徐脈、頻脈、房室ブロック
血管障害
高血圧、起立性低血圧
低血圧、末梢循環不全、末梢冷感、潮紅
呼吸器、胸郭及び縦隔障害
咳嗽、呼吸困難、鼻閉、鼻漏、副鼻腔うっ血、睡眠時無呼吸症候群、口腔咽頭痛、鼻出血、肺うっ血、喘鳴、嚥下性肺炎、発声障害、気道うっ血、ラ音、呼吸障害、過換気
胃腸障害
便秘
上腹部痛、嚥下障害、胃炎、悪心、流涎過多、胃不快感、嘔吐
腹部膨満、腹痛、下痢、口内乾燥、消化不良、腸閉塞、膵炎、歯痛、唾液欠乏、糞塊充塞、便失禁、口唇炎、舌腫脹
肝胆道系障害
肝機能異常
皮膚及び皮下組織障害
ざ瘡、湿疹、多汗症、そう痒症、発疹、脂漏性皮膚炎
脱毛症、血管浮腫、皮膚乾燥、過角化、紅斑、頭部粃糠疹、皮膚変色、皮膚病変、蕁麻疹、水疱
筋骨格系及び結合組織障害
背部痛、筋固縮、筋肉痛、四肢痛
関節痛、筋攣縮、筋力低下、筋骨格痛、頚部痛、姿勢異常、斜頚、筋骨格系胸痛、関節硬直、筋痙縮
腎及び尿路障害
排尿困難、尿失禁、尿閉、頻尿
生殖系及び乳房障害
無月経、射精障害、乳汁漏出症、女性化乳房、月経障害
月経遅延、不規則月経、希発月経、性機能不全、乳房不快感、勃起不全、腟分泌物異常、乳房腫大、乳房分泌
全身障害及び投与局所様態
注射部位疼痛
低体温、注射部位紅斑、注射部位硬結、易刺激性、倦怠感、浮腫、発熱、口渇、注射部位腫脹
無力症、胸部不快感、胸痛、顔面浮腫、疲労、歩行障害、インフルエンザ様疾患、注射部位嚢胞、注射部位血腫、注射部位壊死、注射部位反応、注射部位潰瘍、末梢性浮腫、疼痛、不活発、注射部位結節、硬結、気分不良、悪寒、薬剤離脱症候群
臨床検査
ALT増加、CK増加、血中プロラクチン増加、血中トリグリセリド増加、γ-GTP増加、体重増加
AST増加、血中クレアチニン増加、血中ブドウ糖増加、LDH増加、血中ナトリウム減少、血中尿酸増加、心電図QT延長、心電図T波逆転、好酸球数増加、グリコヘモグロビン増加、尿中血陽性、血小板数減少、白血球数増加、尿中蛋白陽性、ALP増加、ヘマトクリット減少
血圧低下、血中尿素増加、心電図異常、総蛋白減少、体重減少、白血球数減少、肝酵素上昇、尿糖陽性
傷害、中毒及び処置合併症
転倒・転落、引っかき傷
処置による疼痛
一般に報告されている徴候、症状は、本剤の作用が過剰に発現したものであり、傾眠、鎮静、頻脈、低血圧、QT延長、錐体外路症状等である。
処置に際しては、本剤が持効性製剤であることを考慮し、患者が回復するまで十分観察すること。
未変化体リスペリドンと主代謝物9-ヒドロキシリスペリドン(パリペリドン)は同程度の薬理作用を有することから、本剤の薬物動態については、両成分を合算した「活性成分」として検討された。
統合失調症患者に本剤を単回筋肉内投与したときの血漿中薬物濃度は、極めて低い濃度を投与後3週間維持した(ラグタイム)後、投与後3~4週で上昇し、4~6週でCmaxに到達した(メイン・ピーク)。その後、投与7週以降から低下し、約8週後には定量下限未満となる推移を示した。(外国人データ)
※:活性成分(リスペリドン+9-ヒドロキシリスペリドン)本剤単回投与時の個体間変動は活性成分のCmax及びAUCで24~48%(変動係数)であった。また、本剤の放出プロファイルから予測できない血中濃度推移(ラグタイムにおける一過性の高値又はメイン・ピーク後の上昇)を示す症例が認められた。7)
薬物動態パラメータ
25mg(n=14)
50mg(n=26)
Cmax(ng/mL)
16.1±7.12
39.8±15.7
tmax(day)
34.7±4.0
32.8±7.1
AUC(0→t)(ng・hr/mL)
5644±2513
11978±4469
AUC(ng・hr/mL)
5766±2485
11654±4129 a)
t1/2(hr)
130.81±118.57
95.12±75.74 a)
a):n=25
統合失調症患者に本剤を反復筋肉内投与したときの血漿中薬物濃度は、初回投与後6週(投与4回目)に定常状態に達した。定常状態における血漿中薬物濃度は25~50mgの範囲で用量相関性が認められた。8)
※:活性成分(リスペリドン+9-ヒドロキシリスペリドン)本剤投与前及び初回投与後3週間の平均血漿中活性成分濃度は、経口リスペリドン製剤又はリスペリドン以外の他の経口抗精神病薬を併用投与された症例をあわせて算出
25mg(n=8)
37.5mg(n=9)
50mg(n=9)
22.47±7.47
34.15±11.68
43.58±15.37
9.45±4.76
6.59±4.31
9.41±4.46
AUCτ(ng・hr/mL)
5898.19±2010.51
9104.88±3169.44
10673.61±3698.31
Cav(ng/mL)
17.60±5.96
27.21±9.40
31.87±11.11
94.34±25.97
99.33±40.37
95.85±36.87
tmaxは、最終投与を0時間として算出AUCτは、最終投与後2週間の血漿中濃度-時間曲線下面積Cavは、最終投与後2週間の平均血漿中濃度
イヌに本剤を反復筋肉内投与したとき、最終投与後の組織内活性成分濃度は、投与部位の筋肉を除いて最も高かったのは肺で、次いで肝臓、腎臓、リンパ節及び脳の順で高かった9)。
健康成人にリスペリドン1mg錠を単回経口投与し、脳内におけるドパミンD2及びセロトニン5-HT2受容体占拠率について検討した結果、各受容体に結合親和性を有することが確認された。したがって、リスペリドンは血液-脳関門を通過することが示唆された。10)
リスペリドン:約90.0%(in vitro、平衡透析法、10ng/mL)9-ヒドロキシリスペリドン:約77.4%(in vitro、平衡透析法、50ng/mL)11)
リスペリドンはCYP2D6及び一部CYP3A4により、活性代謝物9-ヒドロキシリスペリドンに代謝される12)。代謝物の活性の有無:主代謝物9-ヒドロキシリスペリドンの活性はin vitro及びin vivoの薬理試験においてリスペリドン未変化体とほぼ同程度かやや弱いことが示されている13),14)。
日本人健康成人にリスペリドン1mg錠及び2mg錠を経口投与した場合、投与後72時間までに排泄された尿中未変化体は約2%であり、主代謝物の9-ヒドロキシリスペリドンは約20%であった15)。健康成人に14C-リスペリドン1mgを単回経口投与した場合、投与後7日間までに放射活性の14%が糞中に、69%が尿中に排泄された12)(外国人データ)。
経口リスペリドン製剤1mgを単回経口投与したとき、活性成分(リスペリドン+9-ヒドロキシリスペリドン)の薬物動態は、健康成人と比して、中等度腎機能障害患者(クレアチニンクリアランス:30~60mL/min/1.73m2)でt1/2に35%の延長及びAUCに2.7倍の増大、重度腎機能障害患者(クレアチニンクリアランス:10~29mL/min/1.73m2)で活性成分のt1/2に55%の延長、AUCに2.6倍の増大が認められた(外国人データ)。16)
健康成人、健康高齢者又は患者(統合失調症、統合失調感情障害、双極性障害、精神病)を対象とした薬物相互作用の検討結果を以下に示す(外国人データ、経口リスペリドン製剤での成績)。
統合失調症患者11例にCYP3A4誘導作用を有するカルバマゼピン(400~1000mg/日反復投与)とリスペリドン(6mg/日反復投与)を21日間併用したときの活性成分(リスペリドン+9-ヒドロキシリスペリドン)のCmax及びAUCτは約50%減少した17)。
健康成人12例にCYP3A4及びCYP2D6阻害作用を有するシメチジン(800mg/日反復投与)とリスペリドン(1mg単回投与)を併用したときの活性成分のCmax及びAUCはそれぞれ25%及び8%増加した。また、ラニチジン(300mg/日反復投与)と併用したとき、それぞれ36%及び20%増加した。18)
統合失調症患者12例にCYP2D6阻害作用を有するパロキセチン(10、20及び40mg/日反復投与)とリスペリドン(4mg/日反復投与)を併用したとき、活性成分の定常状態におけるトラフ値がそれぞれ1.3、1.6及び1.8倍上昇した2)。
統合失調症又は統合失調感情障害患者11例にCYP2D6阻害作用を有するセルトラリン(50mg/日反復投与)とリスペリドン(4~6mg/日反復投与)を併用したとき、活性成分の血漿中濃度に併用薬は影響を及ぼさなかった。また、セルトラリンを100mg/日に増量した患者では、活性成分の定常状態におけるトラフ値が15%上昇し、150mg/日に増量した2例では、それぞれ36%及び52%上昇した。19)
統合失調症患者11例にCYP3A4及びCYP2D6阻害作用を有するフルボキサミン(100mg/日反復投与)とリスペリドン(3~6mg/日反復投与)を併用したとき、活性成分の血漿中濃度に併用薬は影響を及ぼさなかった。また、フルボキサミンを200mg/日に増量した患者では、リスペリドンの定常状態におけるトラフ値が86%上昇したが、9-ヒドロキシリスペリドンの血漿中濃度に影響を及ぼさなかった。20)
統合失調症患者19例にCYP3A4阻害作用を有するイトラコナゾール(200mg/日反復投与)とリスペリドン(2~8mg/日反復投与)を併用したときの活性成分の定常状態におけるトラフ値は65%上昇した5)。
健康男性成人12例にP糖蛋白阻害作用を有するベラパミル(240mg反復投与)とリスペリドン(1mg単回投与)を併用したときの活性成分のCmax及びAUC∞はそれぞれ1.3倍及び1.4倍増加した21)。
統合失調症患者12例にCYP2D6の基質であるアミトリプチリン(50~100mg/日反復投与)とリスペリドン(6mg/日反復投与)を7日間併用したとき、健康成人18例にCYP3A4阻害作用を有するエリスロマイシン(2000mg/日反復投与)とリスペリドン(1mg単回投与)を併用したとき、双極性障害患者19例にCYP3A4の基質であるトピラマート(100~400mg/日反復投与)とリスペリドン(1~6mg/日反復投与)を39日間併用したとき、健康高齢者16例にCYP2D6及びCYP3A4の基質であるガランタミン(8~24mg/日反復投与)とリスペリドン(1mg/日反復投与)を7日間併用したとき、健康成人24例にCYP2D6及びCYP3A4の基質であるドネペジル(5mg/日反復投与)とリスペリドン(1mg/日反復投与)を14日間併用したとき、それぞれ活性成分の薬物動態に併用薬の影響は認められなかった22),23),24),25),26)。
健康高齢者18例にジゴキシン(0.125mg/日)とリスペリドン(0.5mg/日)を10日間併用したとき、双極I型障害患者10例にバルプロ酸(1000mg/日)とリスペリドン(2~4mg/日)を14日間併用したとき、それぞれの薬剤の薬物動態に併用の影響は認められなかった。精神病患者13例にリチウム(炭酸リチウムとして443~1330mg/日)を反復投与したときのリチウムの薬物動態に、リスペリドン以外の他の抗精神病薬併用からリスペリドン(6mg/日反復投与)併用へ変更しても影響はみられなかった。また、16.7.1での同時検討で、リスペリドンはカルバマゼピン、エリスロマイシン、トピラマート、ガランタミン及びドネペジルの血漿中濃度に影響を及ぼさなかった。17),23),24),25),26),27),28),29)
統合失調症患者198例を対象に国内で実施したリスペリドン錠に対する非盲検非劣性試験において、本剤又はリスペリドン錠を24週間投与したときの最終評価時におけるPANSS総スコアのベースラインからの変化量は、表に示すとおり両投与群とも同様の減少を示した。また、CGI改善度評価における「軽度改善」以上の改善率も表に示すとおりであった。30)
本剤群
リスペリドン錠群
PANSS総スコア変化量a)(解析対象例数)
-6.7±1.31(147)
-6.4±2.22(51)
投与群間差及び95%信頼区間
-0.3[-5.35; 4.82]
CGI改善度評価(「軽度改善」以上)
53.7%(79/147)
45.1%(23/51)
a)最小二乗平均値±標準誤差
安全性評価対象例147例において、副作用は116例(78.9%)に認められた。その主なものは、血中プロラクチン増加47例(32.0%)、不眠症34例(23.1%)、体重増加18例(12.2%)、注射部位疼痛14例(9.5%)、精神症状13例(8.8%)、ALT増加12例(8.2%)、便秘10例(6.8%)、トリグリセリド増加9例(6.1%)及びγ-GTP増加9例(6.1%)であった。
統合失調症患者370例を対象に本剤又はプラセボ注射剤投与による12週間の二重盲検比較試験において、最終評価時におけるPANSS総スコアのベースラインからの変化量(最小二乗平均値)は、プラセボ注射剤群:2.6(n=92)に対し、本剤25mg群:-6.2(n=93)、50mg群:-8.5(n=98)及び75mg群注):-7.4(n=87)であり、本剤群で有意な改善が認められた(p<0.01、Dunnettの多重比較)。なお、錐体外路症状関連の有害事象の発現率は、プラセボ注射剤群で18.4%、25mg群で14.1%、50mg群で26.2%、75mg群注)で31.0%であった。31)注)本剤の成人の承認用量は、1回25~50mgである。
行動薬理並びに神経化学的実験の結果より、主としてドパミンD2受容体拮抗作用及びセロトニン5-HT2受容体拮抗作用に基づく、中枢神経系の調節によるものと考えられる32),33)。
ドパミンD2受容体拮抗作用を有し、ラットでアンフェタミン又はアポモルフィンにより誘発される興奮や常同行動等の行動変化を用量依存的に抑制した。その程度はハロペリドールと同等若しくはやや弱いことが示された。32)
セロトニン5-HT2受容体拮抗作用を有し、ラットでトリプタミン及びメスカリンにより誘発される振戦や首振り運動等の行動変化を抑制した32)。
ラットでのカタレプシー惹起作用は、ハロペリドールより弱い。また、ラットの中脳-辺縁系(嗅結節)でのドパミンD2受容体に対する結合親和性は、錐体外路症状との関連が深いとされている線条体での親和性より高い。しかしハロペリドールでは線条体における結合親和性の方が高い。なお、セロトニン5-HT2受容体拮抗作用が線条体におけるドパミン伝達の遮断を緩和している可能性がある。32),33),34),35)
リスペリドン(risperidone)
3-{2-[4-(6-Fluoro-1,2-benzoisoxazol-3-yl)piperidin-1-yl]ethyl}-2-methyl-6,7,8,9-tetrahydro-4H-pyrido[1,2-a]pyrimidin-4-one
C23H27FN4O2
410.48
本品は白色~微黄白色の結晶性の粉末である。
169~173℃
LogP=0.98(1–オクタノール/pH6.1緩衝溶液)LogP=2.74(1–オクタノール/pH8.0緩衝溶液)
メタノール又はエタノール(99.5)にやや溶けにくく、2-プロパノールに極めて溶けにくく、水にほとんど溶けない。
本剤は遮光保存する必要があるため、使用直前に外箱から取り出すこと。
1バイアル[専用懸濁用液2mL(シリンジ)、アダプター注1) 1個及び注射針注2) 1本添付]
1バイアル[専用懸濁用液2mL(シリンジ)、アダプター注1) 1個及び注射針注2) 1本添付]注1)バイアルアダプター(医療機器届出番号:11B1X10017000008)注2)シュアガードⅢ(医療機器認証番号:223ABBZX00136000)
1) Hill RC, et al.:J Clin Psychopharmacol. 2000; 20: 285-286
2) Saito M, et al.:J Clin Psychopharmacol. 2005; 25: 527-532
3) Spina E, et al.:Ther Drug Monit. 2000; 22: 481-485
4) Mahatthanatrakul W, et al.:J Clin Pharm Ther. 2007; 32: 161-167
5) Jung SM, et al.:Clin Pharmacol Ther. 2005; 78: 520-528
6) 社内資料:リスパダールコンスタのがん原性試験(2009年4月22日承認、CTD 2.6.6.5.(2).1))
7) 社内資料:リスパダールコンスタの単回投与時の薬物動態の検討(2009年4月22日承認、CTD 2.7.6.5)
8) 社内資料:リスパダールコンスタの反復投与時の薬物動態の検討(2009年4月22日承認、CTD 2.7.6.4)
9) 社内資料:リスパダールコンスタの体組織への分布の検討(2009年4月22日承認、CTD 2.6.4.4.(1).2))
10) Nyberg S, et al.:Psychopharmacol. 1993; 110: 265-272
11) Mannens G, et al.:Psychopharmacol. 1994; 114: 566-572
12) Mannens G, et al.:Drug Metab Dispos. 1993; 21: 1134-1141
13) Schotte A, et al.:Jpn J Pharmacol. 1995; 69: 399-412
14) 社内資料:リスペリドンの代謝物の活性の検討
15) 石郷岡純, 他:臨床評価. 1991; 19: 93-163
16) Snoeck E, et al.:Psychopharmacol. 1995; 122: 223-229
17) 社内資料:経口リスペリドン製剤とカルバマゼピンとの相互作用の検討
18) 社内資料:経口リスペリドン製剤とシメチジン及びラニチジンとの相互作用の検討
19) Spina E, et al.:Ther Drug Monit. 2004; 26: 386-390
20) D’Arrigo C, et al.:Pharmacol Res. 2005; 52: 497-501
21) Nakagami T, et al.:Clin Pharmacol Ther. 2005; 78: 43-51
22) 社内資料:経口リスペリドン製剤とアミトリプチリンとの相互作用の検討
23) 社内資料:経口リスペリドン製剤とエリスロマイシンとの相互作用の検討
24) 社内資料:経口リスペリドン製剤とトピラマートとの相互作用の検討
25) 社内資料:経口リスペリドン製剤とガランタミンとの相互作用の検討
26) 社内資料:経口リスペリドン製剤とドネペジルとの相互作用の検討
27) 社内資料:経口リスペリドン製剤とジゴキシンとの相互作用の検討
28) 社内資料:経口リスペリドン製剤とバルプロ酸との相互作用の検討
29) 社内資料:経口リスペリドン製剤とリチウムとの相互作用の検討
30) 社内資料:リスパダールコンスタの国内第Ⅲ相臨床試験成績(2009年4月22日承認、CTD 2.7.6.7)
31) 社内資料:リスパダールコンスタの外国第Ⅲ相臨床試験成績(2009年4月22日承認、CTD 2.7.6.8)
32) Janssen PAJ, et al.:J Pharmacol Exp Ther. 1988; 244: 685-693
33) Leysen JE, et al.:Mol Pharmacol. 1992; 41: 494-508
34) Megens A, et al.:J Pharmacol Exp Ther. 1992; 260: 146-159
35) 菊本修, 他:薬物・精神・行動. 1993; 13: 39-42
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