当ウェブサイトを快適にご覧いただくには、ブラウザのJavaScript設定を有効(オン)にしていただく必要がございます。
劇薬
処方箋医薬品注)
統合失調症
通常、成人にはパリペリドンとして初回150mg、1週後に2回目100mgを三角筋内に投与する。その後は4週に1回、パリペリドンとして75mgを三角筋又は臀部筋内に投与する。なお、患者の症状及び忍容性に応じて、パリペリドンとして25mgから150mgの範囲で適宜増減するが、増量は1回あたりパリペリドンとして50mgを超えないこと。
一過性の血圧降下があらわれることがある。
QTが延長する可能性がある。
悪性症候群が起こりやすくなる。また、錐体外路症状の悪化に加えて、錯乱、意識レベルの低下、転倒を伴う体位不安定等の症状が発現するおそれがある。
痙攣閾値を低下させるおそれがある。
症状を悪化させるおそれがある。
血糖値が上昇することがある。,,
悪性症候群が起こりやすい。
抗精神病薬において、肺塞栓症、静脈血栓症等の血栓塞栓症が報告されている。
クレアチニン・クリアランス50mL/分未満の腎機能障害患者には投与しないこと。本剤の排泄が遅延し血中濃度が上昇するおそれがある。
本剤の排泄が遅延し血中濃度が上昇するおそれがある。,
肝障害を悪化させるおそれがある。
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。妊娠後期に抗精神病薬が投与されている場合、新生児に哺乳障害、傾眠、呼吸障害、振戦、筋緊張低下、易刺激性等の離脱症状や錐体外路症状があらわれたとの報告がある。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。ヒトで乳汁移行が認められている1)。
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。一般に高齢者では腎機能が低下している可能性がある。,
*アドレナリン(アナフィラキシーの救急治療、又は歯科領域における浸潤麻酔もしくは伝達麻酔に使用する場合を除く)
アドレナリンの作用を逆転させ、血圧降下を起こすことがある。
アドレナリンはアドレナリン作動性α、β受容体の刺激剤であり、本剤のα受容体遮断作用によりβ受容体刺激作用が優位となり、血圧降下作用が増強される。
クロザピン
クロザピンは原則単剤で使用し、他の抗精神病薬とは併用しないこととされている。本剤は半減期が長いため、本剤が体内から消失するまでクロザピンを投与しないこと。
本剤が血中から消失するまでに時間を要する。
中枢神経抑制剤(バルビツール酸誘導体等)
相互に作用を増強することがあるので、減量するなど慎重に投与すること。
本剤及びこれらの薬剤の中枢神経抑制作用による。
ドパミン作動薬
相互に作用を減弱することがある。
本剤はドパミン遮断作用を有していることから、ドパミン作動性神経において作用が拮抗する可能性がある。
降圧薬
降圧作用が増強することがある。
本剤及びこれらの薬剤の降圧作用による。
アルコール
相互に作用を増強することがある。
アルコールは中枢神経抑制作用を有する。
カルバマゼピン2)
本剤の血中濃度が低下することがある。
本剤の排泄、代謝を促進し、吸収を低下させる可能性がある。
QT延長を起こすことが知られている薬剤
QT延長があらわれるおそれがある。
QT延長作用が増強するおそれがある。
*アドレナリン含有歯科麻酔剤
血圧降下を起こすことがある。
アドレナリンはアドレナリン作動性α、β受容体の刺激剤であり、本剤のα受容体遮断作用によりβ受容体刺激作用が優位となり、血圧降下作用が増強されるおそれがある。
無動緘黙、強度の筋強剛、嚥下困難、頻脈、血圧の変動、発汗等が発現し、それに引き続き発熱がみられる場合は、投与を中止し、体冷却、水分補給等の全身管理とともに適切な処置を行うこと。本症発症時には、白血球の増加や血清CKの上昇がみられることが多く、また、ミオグロビン尿を伴う腎機能の低下がみられることがある。なお、高熱が持続し、意識障害、呼吸困難、循環虚脱、脱水症状、急性腎障害へと移行し、死亡することがある。,
長期投与により、口周部等の不随意運動があらわれ、投与中止後も持続することがある。
腸管麻痺(食欲不振、悪心・嘔吐、著しい便秘、腹部の膨満あるいは弛緩及び腸内容物のうっ滞等の症状)を来し、麻痺性イレウスに移行することがあるので、腸管麻痺があらわれた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。なお、本剤は動物実験(イヌ)で制吐作用を有することから、悪心・嘔吐を不顕性化する可能性があるので注意すること。
低ナトリウム血症、低浸透圧血症、尿中ナトリウム排泄量の増加、高張尿、痙攣、意識障害等を伴う抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)があらわれることがある。
AST、ALT、γ–GTPの上昇等を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがある。
筋肉痛、脱力感、CK上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇を特徴とする横紋筋融解症があらわれることがある。また、横紋筋融解症による急性腎障害の発症に注意すること。
不整脈(0.2%)、心房細動(0.2%)、心室性期外収縮(0.6%)等があらわれることがある。
高血糖や糖尿病の悪化があらわれ、糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡に至ることがあるので、本剤投与中は、口渇、多飲、多尿、頻尿等の症状の発現に注意するとともに、血糖値の測定を行うなど十分な観察を行い、異常が認められた場合には、投与を中止し、インスリン製剤の投与等の適切な処置を行うこと。,,
脱力感、倦怠感、冷汗、振戦、傾眠、意識障害等の低血糖症状が認められた場合には、投与を中止し適切な処置を行うこと。,
肺塞栓症、静脈血栓症等の血栓塞栓症が報告されているので、息切れ、胸痛、四肢の疼痛、浮腫等が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
α交感神経遮断作用に基づく持続勃起症があらわれることがある。
異常が認められた場合には投与を中止すること。なお、過去に経口パリペリドン又は経口リスペリドンで忍容性が確認されている場合でも、アナフィラキシーを起こした症例が報告されている。
5%以上
1~5%未満
1%未満
頻度不明
感染症及び寄生虫症
鼻咽頭炎
気道感染、肺炎、咽頭炎、鼻炎、腟感染、皮膚真菌感染、白癬感染
良性、悪性及び詳細不明の新生物
脂肪腫
血液及びリンパ系障害
白血球数増加
好酸球数増加、ヘモグロビン減少
貧血、ヘマトクリット減少、脾腫、血小板数増加、好塩基球数増加、血中鉄減少、好中球百分率増加、好酸球百分率増加、リンパ球数増加
免疫系障害
過敏症
季節性アレルギー
内分泌障害
高プロラクチン血症(27.6%)
代謝及び栄養障害
食欲減退、トリグリセリド増加
多飲症、高脂血症、糖尿病、食欲亢進、血中ブドウ糖増加、血中コレステロール増加
低ナトリウム血症、食欲不振、過食、電解質失調、高コレステロール血症、低蛋白血症、総蛋白減少、血中電解質異常、血中インスリン増加、インスリンCペプチド増加
精神障害
不眠症、精神症状
不安、統合失調症の悪化
攻撃性、幻聴、妄想、自殺念慮、激越、自殺既遂、抑うつ気分、幻覚、初期不眠症、被害妄想、落ち着きのなさ、身体妄想
悪夢、睡眠障害、リビドー減退、セルフケア障害、自傷行動、自殺企図、睡眠時遊行症
神経系障害
アカシジア
錐体外路障害、振戦、頭痛、ジストニー
痙攣、パーキンソニズム、傾眠、浮動性めまい、体位性めまい、ジスキネジア、感覚鈍麻、鎮静、運動緩慢、構語障害、構音障害、頭部動揺
失神、パーキンソン歩行、てんかん、健忘、精神的機能障害、末梢性ニューロパシー、筋緊張亢進、大発作痙攣、嗜眠、運動過多、後弓反張、会話障害(舌の麻痺等)
眼障害
眼球回転運動、霧視
結膜炎、注視麻痺、眼部不快感、眼精疲労
耳及び迷路障害
回転性めまい
耳痛、耳鳴、耳管障害
心臓障害
徐脈、上室性期外収縮、右脚ブロック、動悸、洞性頻脈、心電図QT延長
洞性徐脈、頻脈、洞性不整脈、房室ブロック、心電図異常、左脚ブロック、心電図QT補正間隔延長、心拍数増加
血管障害
起立性低血圧、高血圧
低血圧、虚血
呼吸器、胸郭及び縦隔障害
誤嚥、咳嗽、咽喉頭疼痛
鼻閉、鼻出血、誤嚥性肺炎、間質性肺疾患
胃腸障害
便秘、悪心、下痢、流涎過多
嘔吐、嚥下障害、腹部不快感、上腹部痛、口内乾燥、腹痛、胃炎、歯肉炎、歯痛
鼓腸、舌腫脹、口唇炎、胃不快感、下腹部痛、逆流性食道炎、胃腸障害、胃潰瘍、痔核、腸管虚血、齲歯、口内炎、舌痛
肝胆道系障害
ALT増加、γ-GTP増加
血中ビリルビン増加、ALP増加、AST増加、肝機能検査異常、LDH増加
脂肪肝
皮膚及び皮下組織障害
発疹、そう痒症、湿疹、ざ瘡、紅色汗疹
皮膚乾燥、脂漏性皮膚炎、血管浮腫、皮膚炎、顔面感覚鈍麻、皮膚剥脱、寝汗、逆むけ、全身性蕁麻疹
筋骨格系及び結合組織障害
筋固縮、筋骨格痛、四肢痛、背部痛、頚部痛、筋骨格硬直
関節痛、筋痙縮、関節周囲炎、椎間板突出、筋痛、筋拘縮、斜頚
腎及び尿路障害
尿潜血
排尿困難、神経因性膀胱、頻尿、尿失禁、尿閉、蛋白尿
生殖系及び乳房障害
不規則月経、無月経、乳汁漏出症、月経困難症、射精障害、性機能不全、勃起不全
女性化乳房、乳房分泌、乳房痛、前立腺炎
全身障害及び投与局所様態
注射部位疼痛、注射部位硬結
注射部位腫脹、注射部位紅斑、注射部位熱感
注射部位そう痒感、倦怠感、疲労、注射部位炎症、発熱、胸部不快感、注射部位血腫、浮腫
口渇、無力症、体温低下、体温上昇、薬剤離脱症候群、低体温、易刺激性、不快感、末梢性浮腫
臨床検査
体重増加、体重減少
CK増加、血圧低下、血圧上昇、尿糖陽性、グリコヘモグロビン増加
血中尿酸増加、血中尿素減少、血中クレアチニン増加、尿中ウロビリン陽性
傷害、中毒及び処置合併症
転倒
過量投与により起こる可能性がある徴候、症状は、本剤の作用が過剰に発現したものであり、傾眠、鎮静、頻脈、低血圧、QT延長、錐体外路症状等である。また、経口パリペリドンの過量投与でトルサード・ド・ポアン、心室細動の報告もある。
処置に際しては、本剤が持効性製剤であることを考慮し、患者が回復するまで十分観察すること。
三角筋内へ投与時
体重90kg未満の場合:23G、針の長さ1インチ(25mm)体重90kg以上の場合:22G、針の長さ1½インチ(38mm)
臀部筋内へ投与時
22G、針の長さ1½インチ(38mm)
筋肉内投与されたパリペリドンパルミチン酸エステルは、投与部位で溶解し、活性本体のパリペリドンに加水分解された後、パリペリドンとして全身循環に移行し、組織へ分布する。なお、統合失調症患者に本剤を単回及び反復筋肉内投与したときのパリペリドンパルミチン酸エステルの血漿中濃度はほとんどの採血時点で定量下限未満であった。,
統合失調症患者に本剤をパリペリドンとして25、50及び150mg臀部筋内に単回投与したときの血漿中パリペリドン濃度は緩やかに上昇し、投与11~18日後にCmaxに達した後、緩やかに低下し、最終測定時の投与後126日においても定量可能であった5)。
投与量
Cmax(ng/mL)
tmaxa)(day)
AUC∞(ng·h/mL)
t1/2(day)
25mg(n=8)
3.68±2.26
16.0(4.0-25.0)
5713±2829
47.2±46.8
50mg(n=8)
7.94±6.64
11.0(4.0-42.2)
9198±4764
44.7±21.6
150mg (n=9)
17.2±9.95
18.0(4.0-28.0)
20861±9960
49.7±22.6
a):中央値(範囲)
統合失調症患者に本剤をパリペリドンとして25~150mg三角筋内に単回投与したときの血漿中パリペリドンのCmaxは、臀部筋内投与時と比し、平均で28%高値であった。AUC∞は用量に比例して増加したが、75mg以上でCmaxの増加は用量比より低かった。t1/2は25~49日の範囲であった(外国人データ)。6)
三角筋内投与
25mg(n=22)
5.88±2.31
13.0(4.0-35.0)
6074±1942b)
25.5±10.2b)
50mg(n=23)
10.4±6.23
13.0(4.0-48.0)
11800±4579c)
33.3±16.6c)
100mg(n=22)
13.4±7.82
12.5(4.0-56.0)
20069±7778d)
45.7±16.1d)
150mg (n=21)
29.2±11.8
14.0(4.1-48.0)
36883±11095c)
38.0±10.6c)
臀部筋内投与
25mg(n=21)
4.89±2.10
16.0(4.0-55.2)
5308±1850e)
27.1±15.1e)
50mg(n=24)
7.82±3.28
13.4(6.0-41.0)
10556±2039e)
34.1±14.3e)
100mg(n=25)
12.6±7.04
14.1(6.0-62.0)
19674±8478c)
40.6±10.4c)
150mg (n=24)
17.9±9.52
17.0(4.0-75.9)
30415±9287d)
47.5±19.8d)
a):中央値(範囲),b):n=20,c):n=18,d):n=16,e):n=19
統合失調症患者に本剤をパリペリドンとして初回150mg、1週後に2回目100mgを三角筋内投与し、その後、4週間隔で75mgを2回三角筋又は臀部筋内に投与したとき、2回目以降のトラフ値及び最終投与後4週で血漿中パリペリドン濃度は同程度であった7)。
注)本剤投与間隔における血漿中パリペリドン濃度を頻回測定しなかったことから、時点表記のみとした。
ヒト血漿蛋白結合率:パリペリドン73.2%(in vitro、平衡透析法、50~250ng/mL)8)
パリペリドンパルミチン酸エステル:主にセリンエステラーゼにより、パリペリドンに加水分解される9)。パリペリドン:ヒト肝試料を用いたin vitro試験成績より、肝での代謝は低いと推定された10)。代謝酵素(チトクロームP450)の分子種:CYP3A4及びCYP2D6でわずかに代謝される11)。
健康成人に14C-パリペリドン1mg経口液剤を単回投与したとき、投与後7日までに投与放射能の約80%が尿中に、約11%が糞便中に排泄された。また、尿中に排泄された未変化体は投与量の約59%であった(外国人データ、経口パリペリドン製剤での成績)。12)
1795例の外国人統合失調症患者の成績を対象として母集団薬物動態解析を実施し、構築された血漿中パリペリドン濃度推移に関するモデルにおいて、CL/Fの共変量としてクレアチニンクリアランス(CLcr)が同定された。軽度腎機能障害患者(CLcr:50mL/分以上80mL/分未満)では正常腎機能患者(CLcr:80mL/分以上)と比較してCL/Fが16%低下し、AUCτが19%増加すると推定されたことから、軽度腎機能障害患者では用量調節の必要性が示唆された。(外国人データ),,
種々の程度の腎機能障害患者にパリペリドン徐放錠3mgを単回経口投与したとき、腎機能の低下に伴い、健康成人と比較してCL/Fに軽度障害で32%、中等度障害で64%、重度障害で71%の低下が認められた13)。
中等度肝機能障害患者(Child-Pughスコア7~9)にパリペリドン1mg(液剤)を単回経口投与したとき、肝機能の低下に伴い、健康成人と比較してCmax及びAUC∞はそれぞれ35%及び27%低下したが、非結合型濃度は同程度であった。なお、重度の肝機能障害患者における検討はなされていない。14)
健康成人及び健康高齢者を対象に、パリペリドン徐放錠3mgを単回経口投与及び1日1回7日間反復経口投与したとき、健康成人と比較して、健康高齢者ではCmax及びAUCがそれぞれ9~20%及び24~34%増加した15)。
統合失調症又は双極Ⅰ型障害患者64例にCYP3A4及びP糖蛋白誘導作用を有するカルバマゼピン(400mg/日反復投与)とパリペリドン徐放錠(6mg/日反復投与)を21日間併用したとき、パリペリドンのCmax,ss及びAUCτはそれぞれ37.5%及び36.6%減少した2)(外国人データ 、 パリペリドン徐放錠での成績)。
健康成人男性60例にCYP2D6阻害作用を有するパロキセチン(20mg/日反復投与)とパリペリドン徐放錠(3mg単回投与)を併用したとき、パリペリドンのAUC∞は16.48%増加した16)(外国人データ 、 パリペリドン徐放錠での成績)。
健康成人男性30例に有機カチオントランスポーター阻害作用を有するトリメトプリム(400mg/日反復投与)とパリペリドン徐放錠(6mg単回投与)を併用したとき、それぞれの薬剤の薬物動態に併用の影響は認められなかった17)(外国人データ 、 パリペリドン徐放錠での成績)。
1795例の外国人統合失調症患者の成績を対象として母集団薬物動態解析を実施し、構築されたモデルを用いて、リスペリドン持効性懸濁注射液を使用している患者に本剤を投与したときの血漿中有効成分濃度注)推移について検討した。リスペリドン持効性懸濁注射液25又は50mgを反復投与している統合失調症患者に、最終投与の2週間後から、本剤をパリペリドンとして50又は100mg、4週間隔で反復投与したとき、血漿中有効成分濃度注)は同程度に維持されると推定された。なお、リスペリドン持効性懸濁注射液から本剤に切り替えた場合の有効性及び安全性は確認されていない。
(線:中央値、網掛け:90%予測区間)注)血漿中有効成分濃度は、リスペリドン持効性懸濁注射液投与時はリスペリドン及びパリペリドンの血漿中濃度の合算、本剤投与時は血漿中パリペリドン濃度である。
1795例の外国人統合失調症患者の成績を対象として母集団薬物動態解析を実施し、構築された血漿中パリペリドン濃度推移に関するモデルを用いて、本剤の投与間隔が空いた場合の投与再開について探索的な検討を行った。なお、以下に記載された投与方法で本剤を投与した場合の有効性及び安全性は確認されていない。
本剤をパリペリドンとして初回150mg投与後、その1週後に2回目100mgの投与ができず、投与間隔が空いた後に投与したときの血漿中パリペリドン濃度をシミュレーションした。
(線:中央値、網掛け:90%予測区間、破線:75mgを反復筋肉内投与したときの定常状態におけるCmaxの90%予測区間の上限及び定常状態におけるCminの90%予測区間の下限)
本剤を反復投与し血漿中パリペリドン濃度が定常状態に達しているときに、投与間隔が空いた後に投与した場合の血漿中パリペリドン濃度をシミュレーションした。
(線:中央値、網掛け:90%予測区間)
急性期症状を有する統合失調症患者(PANSS総スコアが60以上120以下)を対象としたプラセボ対照二重盲検比較試験において、本剤をパリペリドンとして初回150mg、1週後に2回目100mgを三角筋内に投与し、その後5週後及び9週後にパリペリドンとして75mgを三角筋又は臀部筋内に投与し、13週後までのPANSS総スコアについて評価したとき、最終評価時(LOCF)におけるPANSS総スコアのベースラインからの変化量の平均値±標準偏差は、本剤群-3.1±20.32、プラセボ群6.9±19.13で、群間差は-9.7であり、統計学的な有意差が認められた18)(p<0.0001、共分散分析)。
投与群
例数
PANSS総スコア
変化量
ベースライン
最終評価時
ベースラインからの変化量
プラセボ群との比較a)
最小二乗平均値の群間差[95%信頼区間]
P値
プラセボ群
164
83.5±15.18
90.3±22.35
6.9±19.13
-
本剤群
159
85.7±14.57
82.4±23.52
-3.1±20.32
-9.7[-14.0,-5.4]
<0.0001
平均値±標準偏差a)投与群及び実施国を因子、ベースラインのPANSS総スコアを共変量とした共分散分析
安全性評価対象例159例中103例(64.8%)に副作用が認められた。その主なものは、注射部位疼痛19例(11.9%)、錐体外路障害14例(8.8%)、不眠症17例(10.7%)、精神症状10例(6.3%)、アカシジア8例(5.0%)であった。
急性期症状を有する統合失調症患者(PANSS総スコアが60以上120以下)を対象とした長期投与試験において、本剤をパリペリドンとして初回150mg、1週後に2回目100mgを三角筋内に投与し、その後は4週に1回、パリペリドンとして25、50、75、100又は150mgを可変用量で三角筋又は臀部筋内に投与したとき、各評価時(OC)におけるPANSS総スコアのベースラインからの変化量の平均値±標準偏差は、投与5週-2.0±10.52、25週-7.1±12.41、投与49週-10.7±12.37であり、改善効果が持続した19)。
評価時期
198
81.1±13.89
5週
196
79.1±15.51
-2.0±10.52
13週
157
76.4±15.72
-5.5±11.95
25週
139
74.8±15.52
-7.1±12.41
37週
126
74.3±15.51
-8.2±13.19
49週
120
72.4±15.54
-10.7±12.37
平均値±標準偏差
安全性評価対象例201例中140例(69.7%)に副作用が認められた。その主なものは、高プロラクチン血症63例(31.3%)、注射部位疼痛29例(14.4%)、注射部位硬結24例(11.9%)、アカシジア15例(7.5%)、体重増加14例(7.0%)であった。
主としてドパミンD2受容体拮抗作用及びセロトニン5-HT2A受容体拮抗作用に基づく、中枢神経系の調節によるものと考えられる。
パリペリドンパルミチン酸エステルは、活性本体のパリペリドンに加水分解されて薬効を示す。
ドパミンD2受容体拮抗作用を有し、ラットでアポモルヒネ又はアンフェタミンにより誘発される興奮や常同行動等の行動変化を用量依存的に抑制した20),21)。
セロトニン5-HT2A受容体拮抗作用を有し、ラットでトリプタミン又はメスカリンにより誘発される振戦や首振り運動等の行動変化を抑制した20),22),23)。
ラットでのカタレプシー惹起作用は、リスペリドンと同等であった。また、ラットの中脳辺縁系(側坐核)でのドパミンD2受容体に対する占有率は、錐体外路症状との関連が深いとされている線条体での占有率より高い。しかしハロペリドールでは側坐核と線条体で同程度であった。なお、セロトニン5-HT2A受容体拮抗作用が線条体におけるドパミン伝達の遮断を緩和している可能性がある。21),24)
パリペリドンパルミチン酸エステル(Paliperidone Palmitate)
(9RS)-3-{2-[4-(6-Fluoro-1,2-benzoisoxazol-3-yl)piperidin-1-yl]ethyl}-2-methyl-4-oxo-6,7,8,9-tetrahydro-4H-pyrido[1,2-a]pyrimidin-9-yl palmitate
C39H57FN4O4
664.89
白色の粉末
logP>5(疎水性フラグメント定数より算出)
ジクロロメタン 330mg/mL酢酸エチル 2.8mg/mLメタノール 0.35mg/mL水<0.01mg/mL
0.25mL[1シリンジ]
0.5mL[1シリンジ]
0.75mL[1シリンジ]
1mL[1シリンジ]
1.5mL[1シリンジ]
1) Hill RC, et al.:J Clin Psychopharmacol. 2000; 20: 285-286
2) 社内資料:パリペリドン徐放錠とカルバマゼピンの相互作用の検討
3) 社内資料:リスペリドンのがん原性試験
4) 社内資料:リスペリドンのがん原性試験
5) 社内資料:パリペリドンパルミチン酸エステルの薬物動態の検討(2013年9月20日承認、CTD 2.7.2.2.2, 2.7.2.3.1.1)
6) 社内資料:パリペリドンパルミチン酸エステルの外国人における薬物動態の検討(2013年9月20日承認、CTD 2.7.2.2.3, 2.7.2.3.1.1)
7) 社内資料:パリペリドンパルミチン酸エステルの薬物動態の検討(2013年9月20日承認、CTD 2.7.2.2.2, 2.7.2.3.2)
8) 社内資料:パリペリドンの蛋白結合率の検討
9) 社内資料:パリペリドンパルミチン酸エステルの代謝の検討
10) 社内資料:パリペリドンの代謝の検討(2013年9月20日承認、CTD 2.6.4.9.3)
11) 社内資料:パリペリドンの代謝酵素の検討
12) 社内資料:パリペリドンの代謝及び排泄の検討(2013年9月20日承認、CTD 2.7.2.3.1.3)
13) 社内資料:腎機能障害被験者におけるパリペリドン徐放錠の薬物動態の検討
14) Boom S, et al.:Int J Clin Pharmacol Ther. 2009; 47: 606-616
15) 社内資料:高齢者におけるパリペリドン徐放錠の薬物動態の検討
16) 社内資料:パリペリドン徐放錠とパロキセチンの相互作用の検討
17) 社内資料:パリペリドン徐放錠とトリメトプリムの相互作用の検討
18) 社内資料:パリペリドンパルミチン酸エステルの国際共同試験成績(2013年9月20日承認、CTD 2.7.6.13)
19) 社内資料:パリペリドンパルミチン酸エステルの国内長期投与試験成績(2013年9月20日承認、CTD 2.7.6.4.24)
20) 社内資料:パリペリドンの抗ドパミン作用及び抗セロトニン作用
21) 社内資料:パリペリドンの抗ドパミン作用及びカタレプシー惹起作用
22) 社内資料:パリペリドンの抗セロトニン作用
23) Megens AAHP, et al.:Drug development research. 1994; 33: 399-412
24) Leysen JE, et al.:J Clin Psychiatry. 1994; 55(suppl. 5): 5-12
ヤンセンファーマ株式会社 メディカルインフォメーションセンター
〒101-0065 東京都千代田区西神田3-5-2
フリーダイヤル 0120-183-275https://www.janssenpro.jp
ヤンセンファーマ株式会社
Copyright © Pharmaceuticals and Medical Devices Agency, All Rights reserved.