当ウェブサイトを快適にご覧いただくには、ブラウザのJavaScript設定を有効(オン)にしていただく必要がございます。
処方箋医薬品注)
ニーマン・ピック病C型
通常、成人には、1回200mgを1日3回経口投与する。小児には、下表の通り体表面積に基づき用量を調整して経口投与する。なお、患者の状態に応じて適宜減量する。
体表面積(m2)
用量
0.47以下
1回100mg,1日1回
0.47を超え0.73以下
1回100mg,1日2回
0.73を超え0.88以下
1回100mg,1日3回
0.88を超え1.25以下
1回200mg,1日2回
1.25を超える
1回200mg,1日3回
腎機能障害のある患者においては、本剤の排泄が遅延し全身曝露量が増加するため、腎機能の程度に応じて、開始用量を下表の通りとし、その後は患者の状態に応じて用量を調整すること。,
クレアチニンクリアランス(mL/min/1.73m2)
推奨開始用量
50以上70以下
1回200mg,1日2回注)
30以上50未満
1回100mg,1日2回注)
注)小児の患者では、(体表面積/1.8)×推奨開始用量に基づく換算を参考に用量を調整すること。
下痢、鼓腸、腹痛等の消化器症状を増強するおそれがある。
腎機能の程度に応じて投与量を適宜減量することから、腎機能を定期的に検査すること。腎機能が悪化するおそれがある。,
臨床試験におけるクレアチニンクリアランス30mL/min/1.73m2未満の患者は少数である。
肝機能が悪化するおそれがある。肝機能障害患者を対象とした臨床試験は実施していない。
男性患者で受胎を希望する場合には、事前に本剤の投与を中止し、3ヵ月間は避妊するよう適切に指導すること。動物試験で、ミグルスタット投与により雄性生殖器重量及び精子形成の低下、並びに受胎率の低下が報告されている。
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。動物実験で次世代児において胚の発生や、胎児及び新生児の発育を抑制する作用が報告されている。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。
一般に生理機能が低下していることが多い。
下痢が高頻度に報告されており、重度の下痢も報告されているので、下痢が認められた場合には、食事内容の変更(炭水化物を多く含む食事を避けるなど)、本剤の投与時期を食事時間から離す、止瀉薬を投与する、本剤を一時的に減量するなどの適切な処置を行うこと。,
10%以上
1%以上10%未満
代謝及び栄養障害
体重減少、食欲減退
精神障害
うつ病、不眠症、リビドー減退
神経系障害
振戦
末梢性ニューロパチー、運動失調、健忘、錯感覚、感覚鈍麻、頭痛、浮動性めまい
胃腸障害
下痢、鼓腸、腹痛
悪心、嘔吐、腹部膨満/不快感、便秘、消化不良
筋骨格系及び結合組織障害
筋痙縮、筋力低下
全身障害
疲労、無力症、悪寒、倦怠感
臨床検査
血小板数減少、神経伝導検査異常
HIV陽性患者に対して本剤を最高3000mg/日、6ヵ月間経口投与した試験において、有害事象として顆粒球減少症、浮動性めまい及び錯感覚等が認められた。また、800mg/日以上の用量を投与されたHIV陽性患者では、白血球減少症及び好中球減少症も認められた。1)
健康成人24例にミグルスタット100mgを食後及び絶食下で単回経口投与し、投与後36時間まで経時的に血漿中濃度を測定したときの薬物動態パラメータは下表の通りであった。食後投与では、絶食下投与と比較してCmaxは36%低下し、AUC0-∞は14%低下した。2)(外国人データ)
Cmax(ng/mL)
AUC0-∞(ng・h/mL)
tmax(h)
t1/2(h)
食後
843(36.5%)
9320(20.3%)
4.50(1.50-8.00)
8.00(19.3%)
絶食下
1328(24.6%)
10868(20.0%)
2.5(1.00-4.00)
7.78(24.7%)
n=24、数値は幾何平均値(変動係数)、ただし、tmaxは中央値(範囲)
健康成人8例にミグルスタット100mgを絶食下で単回経口投与し、投与後48時間まで経時的に血漿中濃度を測定したときの血漿中濃度推移及び薬物動態パラメータは下図及び下表の通りであった3)。
CL/F(mL/min)
100mg
1380(19.9%)
10310(6.6%)
2.25(1-3)
8.52(11.1%)
161.6(6.6%)
n=8、数値は幾何平均値(変動係数)、ただし、tmaxは中央値(範囲)
ニーマン・ピック病C型患者に対し、ミグルスタット1回200mg 1日3回を1ヵ月間反復経口投与した12歳以上の6例及びミグルスタットを体表面積で用量調整して1ヵ月間投与した12歳未満の4例の薬物動態パラメータは下表の通りであった4)。(外国人データ)
用法・用量
n
AUC0-8h(ng・h/mL)
12歳以上
1回200mg1日3回
6
2698(22.9%)
16412(19.5%)
3.00(0.75-4.00)
12歳未満(用法・用量は体表面積で補正)
1
2075
11975
4.00
1回200mg1日2回
2
3505
20725
3086
17040
3.08
1回200mg1日1回(午前)1回100mg1日1回(午後)
2223
15866
12歳以上:幾何平均値(変動係数)、ただし、tmaxは中央値(範囲)12歳未満:個々の患者の数値
ゴーシェ病Ⅲ型患者にミグルスタットを1ヵ月間反復経口投与した後の脳脊髄液中濃度は、12歳以上の患者で血漿中濃度の37~42%、12歳未満の患者で血漿中濃度の31~67%であった5)。(外国人データ)
In vitro試験においてタンパク結合率を検討した結果、血漿蛋白との結合は認められず、赤血球に対する結合率(平均値)は38.8%であった6)。
In vitro試験において、各CYP分子種(CYP1A2、2A6、2C9、2C19、2D6、2E1、3A4及び4A11)に対する阻害作用を検討した結果、CYP1A2及び2E1ではわずかな阻害作用が認められたが、他のCYP分子種では阻害は認められなかった7)。
[14C]-ミグルスタット100mgを健康成人6例に単回投与したとき、放射能の83%が尿中、12%が便中から回収された。尿中及び便中から数種類の代謝物が同定された。尿中に多量に存在した代謝物はミグルスタットグルクロニドで、投与量の5%に相当する。8)(外国人データ)
65歳を超える高齢患者での検討は行っていない。
肝機能障害患者での検討は行っていない。
ファブリー病患者16例にミグルスタットを1回100mg 1日1回あるいは2回投与した時の補正クレアチニンクリアランスに対するミグルスタット経口投与の見かけのクリアランス(CL/F)は下表の通りであった。腎機能障害患者においてミグルスタットに対する全身曝露量が増加する。9)(外国人データ),,
平均
標準偏差
80以上
8
182.56
40.18
50以上80未満
3
106.70
19.65
88.70
11.23
30未満
60.74
4.99
国内で実施したニーマン・ピック病C型成人患者(1例)を対象として忍容性を検討した第III相試験で、ミグルスタット1回100mg 1日3回(開始用量)を14日間投与後、1回200mg 1日3回(維持用量)に増量し、計6ヵ月間投与したところ、因果関係が認められた有害事象は軽度の下痢1件のみであった。下痢は投与開始2日目より発現し、ミグルスタットの継続投与中に軽快したが、回復することなく持続している。10)国内で実施した安全性を検討した第III相試験2試験で、小児患者1例を含むニーマン・ピック病C型患者4例において、12ヵ月(1例)又は6ヵ月(3例)までに発現した副作用は、下痢4例(100%)5件、体重減少2例(50%)2件、γ-グルタミルトランスフェラーゼ増加1例(25%)1件、鼓腸1例(25%)1件、傾眠1例(25%)1件、痙性麻痺1例(25%)1件、振戦1例(25%)1件、発疹1例(25%)1件、睡眠障害1例(25%)1件、甲状腺機能低下症1例(25%)1件、二次性高血圧1例(25%)1件であった。
英国と米国で12歳以上のニーマン・ピック病C型患者29例を対象とした無作為化並行群間オープンラベル比較対照試験でミグルスタット(本剤)投与群(20例)は1回200mg 1日3回、12ヵ月間経口投与し、対照群(9例)は非投与(標準的な治療)とした。別途、小児サブスタディとして、12歳未満の小児患者(12例)に本剤を体表面積に応じて12ヵ月投与した。その後延長試験として12ヵ月間本剤を投与し、さらに延長継続期間(試験終了まで)も設定し継続した(12歳以上の患者では最長68ヵ月、小児患者では最長52ヵ月投与)。12ヵ月時点の有効性の主要評価項目である水平方向の衝動性眼球運動速度の変化量±標準偏差は-0.431±0.938ms/deg、非投与群で0.074±0.823ms/degであった。小児患者では12ヵ月時点の水平方向の衝動性眼球運動速度の変化量±標準偏差は-0.465±0.401ms/degであった。本剤投与の19例及び小児サブスタディ10例(4歳以上12歳未満対象)について、嚥下機能、歩行指数及び認知機能検査の全てが悪化しなかった患者又は水平方向の衝動性眼球運動のみが悪化した患者を安定とみなしたところ、12歳以上では68%(13/19例)が安定化し、12歳未満では80%(8/10例)が安定化した。11)12歳以上の本剤投与群20例に12歳未満の小児サブスタディで本剤を投与した12例を加えた32例において、12ヵ月までに発現した主な副作用は、下痢25例(78%)、鼓腸17例(53%)、腹痛11例(34%)、体重減少11例(34%)、振戦6例(19%)、腹部膨満4例(13%)、食欲減退4例(13%)、嘔吐3例(9%)、腹部不快感3例(9%)、振戦増悪2例(6%)、錯感覚2例(6%)、嗜眠2例(6%)等であった。
ミグルスタットは、ニーマン・ピック病C型において蓄積するスフィンゴ糖脂質の生合成経路において、グルコシルセラミド合成酵素を阻害してグルコシルセラミドの生成を抑制する12)。
ニーマン・ピック病C型モデルマウスにミグルスタット(1200mg/kg/日)を反復経口投与したところ、神経症状(企図振戦及び運動失調)発現の遅延、生存期間の延長、小脳の細胞構造の維持及び脳におけるガングリオシド蓄積の抑制が認められた13)。
ミグルスタット(Miglustat)
(2R, 3R, 4R, 5S)-1-Butyl-2-(hydroxymethyl)piperidine-3, 4, 5-triol
C10H21NO4
219.28
ミグルスタットは白色の結晶性粉末である。水に溶けやすい。
約130℃
国内での治験症例が極めて限られていることから、製造販売後、再審査期間中の全投与症例を対象に使用成績調査を実施することにより、本剤使用患者の背景情報を把握するとともに、本剤の安全性及び有効性に関するデータを早期に収集し、本剤の適正使用に必要な措置を講じること。
84カプセル[21カプセル(PTP)×4]
1) 社内資料:HIV患者における有効性と安全性(2012年3月30日承認、CTD2.7.4.5.5)
2) van Giersbergen PL, et al.:J Clin Pharmacol. 2007;47:1277-1282
3) 社内資料:日本人健康成人における薬物動態(2012年3月30日承認、CTD2.7.2.2.2.1.3)
4) 社内資料:ニーマン・ピック病C型患者における薬物動態(2012年3月30日承認、CTD2.7.2.2.2.2)
5) 社内資料:ゴーシェ病Ⅲ型患者における脳脊髄液中濃度(2012年3月30日承認、CTD2.7.2.2.2.3.1)
6) 社内資料:血漿蛋白及び赤血球とのin vitro結合試験(2012年3月30日承認、CTD2.7.2.2.1.1)
7) 社内資料:ヒト肝ミクロソームを用いたin vitro試験(2012年3月30日承認、CTD2.7.2.2.1.3)
8) 社内資料:健康成人における[14C]-ミグルスタット経口投与後の吸収及び排泄(2012年3月30日承認、CTD2.7.2.2.2.1.1)
9) 社内資料:ファブリー病患者における薬物動態(2012年3月30日承認、CTD2.7.2.2.2.3.4.1)
10) 社内資料:日本人ニーマン・ピック病C型患者における臨床試験(2012年3月30日承認、CTD2.7.6.2.16)
11) Patterson MC, et al.:Lancet Neurol. 2007;6:765-772
12) Platt FM, et al.:J Biol Chem. 1994;269:8362-8365
13) Zervas M, et al.:Curr Biol. 2001;11:1283-1287
ヤンセンファーマ株式会社 メディカルインフォメーションセンター
〒101-0065 東京都千代田区西神田3-5-2
フリーダイヤル 0120-183-275www.janssenpro.jp
ヤンセンファーマ株式会社
Copyright © Pharmaceuticals and Medical Devices Agency, All Rights reserved.