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トレムフィア皮下注100mgシリンジ/トレムフィア皮下注200mgシリンジ/トレムフィア皮下注200mgペン

処方せん医薬品

添付文書番号
企業コード
作成又は改訂年月
日本標準商品分類番号
薬効分類名
承認等
一般的名称
1.警告
2.禁忌(次の患者には投与しないこと)
3.組成・性状
3.1組成
3.2製剤の性状
4.効能又は効果
5.効能又は効果に関連する注意
6.用法及び用量
7.用法及び用量に関連する注意
8.重要な基本的注意
9.特定の背景を有する患者に関する注意
9.1合併症・既往歴等のある患者
9.5妊婦
9.6授乳婦
9.7小児等
9.8高齢者
11.副作用
11.1重大な副作用
11.2その他の副作用
14.適用上の注意
15.その他の注意
15.1臨床使用に基づく情報
16.薬物動態
16.1血中濃度
16.2吸収
16.7薬物相互作用
17.臨床成績
17.1有効性及び安全性に関する試験
18.薬効薬理
18.1作用機序
18.2**薬理作用
19.有効成分に関する理化学的知見
20.取扱い上の注意
21.承認条件
22.包装
23.主要文献
24.文献請求先及び問い合わせ先
26.製造販売業者等

トレムフィア皮下注100mgシリンジ/トレムフィア皮下注200mgシリンジ/トレムフィア皮下注200mgペン

添付文書番号

3999446G1021_1_08

企業コード

800155

作成又は改訂年月

**2025年3月改訂(第5版、効能変更、用法及び用量変更)
2025年1月改訂

日本標準商品分類番号

873999

薬効分類名

ヒト型抗ヒトIL-23p19モノクローナル抗体製剤

承認等

トレムフィア皮下注100mgシリンジ

販売名コード

YJコード

3999446G1021

販売名英語表記

Tremfya Subcutaneous Injection

販売名ひらがな

とれむふぃあひかちゅう100mgしりんじ

承認番号等

承認番号

23000AMX00446000

販売開始年月

2018年5月

貯法・有効期間

貯法

2~8℃で保存すること

有効期間

24ヵ月

規制区分

トレムフィア皮下注200mgシリンジ

販売名コード

YJコード

39994C3G2020

販売名英語表記

Tremfya Subcutaneous Injection

販売名ひらがな

とれむふぃあひかちゅう200mgしりんじ

承認番号等

承認番号

30700AMX00079000

貯法・有効期間

貯法

2~8℃で保存すること

有効期間

24ヵ月

規制区分

トレムフィア皮下注200mgペン

販売名コード

YJコード

39994C3G3027

販売名英語表記

Tremfya Subcutaneous Injection

販売名ひらがな

とれむふぃあひかちゅう200mgぺん

承認番号等

承認番号

30700AMX00080000

貯法・有効期間

貯法

2~8℃で保存すること

有効期間

24ヵ月

規制区分

一般的名称

グセルクマブ(遺伝子組換え)

1. 警告

  • 〈効能共通〉
    1. 1.1 本剤は結核等の感染症を含む緊急時に十分に対応できる医療施設において、本剤についての十分な知識と適応疾患の治療に十分な知識・経験をもつ医師のもとで、本剤による治療の有益性が危険性を上回ると判断される患者のみに使用すること。本剤は感染症のリスクを増大させる可能性があり、また結核の既往歴を有する患者では結核を活動化させる可能性がある。また、本剤との関連性は明らかではないが、悪性腫瘍の発現が報告されている。治療開始に先立ち、本剤が疾病を完治させる薬剤でないことも含め、本剤の有効性及び危険性を患者に十分説明し、患者が理解したことを確認した上で治療を開始すること。
    2. 1.2 重篤な感染症
      ウイルス、細菌及び真菌等による重篤な感染症が報告されているため、十分な観察を行うなど感染症の発症に注意し、本剤投与後に感染の徴候又は症状があらわれた場合には、直ちに担当医に連絡するよう患者を指導すること。
  • 〈尋常性乾癬、乾癬性関節炎、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症〉
    1. 1.3 本剤の治療を開始する前に、光線療法を含む既存の全身療法(生物製剤を除く)の適用を十分に勘案すること。
  • 〈掌蹠膿疱症〉
    1. 1.4 本剤の治療を開始する前に、光線療法を含む既存の療法の適用を十分に勘案すること。
  • 〈潰瘍性大腸炎〉
    1. 1.5 **本剤の治療を開始する前に、ステロイド又は免疫調節剤等の使用を十分に勘案すること。

2. 禁忌(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1 重篤な感染症の患者[症状を悪化させるおそれがある。]
  2. 2.2 活動性結核の患者[症状を悪化させるおそれがある。]
  3. 2.3 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

3. 組成・性状

3.1 組成

トレムフィア皮下注100mgシリンジ

有効成分(1シリンジ1.0mL中)
グセルクマブ(遺伝子組換え)   100mg含有
添加剤精製白糖79mg、L-ヒスチジン0.6mg、L-ヒスチジン塩酸塩水和物1.5mg、ポリソルベート80 0.5mg
本剤はチャイニーズハムスター卵巣細胞を用いて製造される。

トレムフィア皮下注200mgシリンジ

有効成分**(1シリンジ2.0mL中)
グセルクマブ(遺伝子組換え)   200mg含有
添加剤**精製白糖158mg、L-ヒスチジン1.2mg、L-ヒスチジン塩酸塩水和物3.0mg、ポリソルベート80 1.0mg
**本剤はチャイニーズハムスター卵巣細胞を用いて製造される。

トレムフィア皮下注200mgペン

有効成分**(1ペン2.0mL中)
グセルクマブ(遺伝子組換え)   200mg含有
添加剤**精製白糖158mg、L-ヒスチジン1.2mg、L-ヒスチジン塩酸塩水和物3.0mg、ポリソルベート80 1.0mg
**本剤はチャイニーズハムスター卵巣細胞を用いて製造される。

3.2 製剤の性状

トレムフィア皮下注100mgシリンジ

pH5.4~6.1
浸透圧比約1(生理食塩液に対する比)
色・性状無色~淡黄色の澄明な液

トレムフィア皮下注200mgシリンジ

pH**5.3~6.3
浸透圧比**約1(生理食塩液に対する比)
色・性状**無色~淡黄色の澄明な液

トレムフィア皮下注200mgペン

pH**5.3~6.3
浸透圧比**約1(生理食塩液に対する比)
色・性状**無色~淡黄色の澄明な液

4. 効能又は効果

トレムフィア皮下注100mgシリンジ

  • 既存治療で効果不十分な下記疾患
    尋常性乾癬、乾癬性関節炎、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症、掌蹠膿疱症

トレムフィア皮下注100mgシリンジ
トレムフィア皮下注200mgシリンジ
トレムフィア皮下注200mgペン

  • **中等症から重症の潰瘍性大腸炎の維持療法(既存治療で効果不十分な場合に限る)

5. 効能又は効果に関連する注意

  • 〈尋常性乾癬、乾癬性関節炎、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症〉
    1. 5.1 以下のいずれかを満たす尋常性乾癬、乾癬性関節炎、膿疱性乾癬、又は乾癬性紅皮症患者に投与すること。
      • 光線療法を含む既存の全身療法(生物製剤を除く)で十分な効果が得られず、皮疹が体表面積の10%以上に及ぶ患者。
      • 難治性の皮疹、関節症状又は膿疱を有する患者。
  • 〈掌蹠膿疱症〉
    1. 5.2 中等症から重症の膿疱・小水疱病変を有する患者に投与すること。
  • 〈潰瘍性大腸炎〉
    1. 5.3 **過去の治療において、他の薬物療法(ステロイド、アザチオプリン等)等による適切な治療を行っても、疾患に起因する明らかな臨床症状が残る場合に投与すること。

6. 用法及び用量

  • 〈尋常性乾癬、乾癬性関節炎、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症、掌蹠膿疱症〉

    通常、成人にはグセルクマブ(遺伝子組換え)として、1回100mgを初回、4週後、以降8週間隔で皮下投与する。

  • **〈潰瘍性大腸炎〉

    通常、成人にはグセルクマブ(遺伝子組換え)として、点滴静注製剤による導入療法終了8週後から、1回100mgを8週間隔で皮下投与する。なお、患者の状態に応じて、点滴静注製剤による導入療法終了4週後以降に、1回200mgを4週間隔で皮下投与することもできる。

7. 用法及び用量に関連する注意

  • 〈効能共通〉
    1. 7.1 **本剤と他の生物製剤、ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害剤又はスフィンゴシン1-リン酸(S1P)受容体調節剤との併用について安全性及び有効性は確立していないので併用を避けること。
  • 〈尋常性乾癬、乾癬性関節炎、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症〉
    1. 7.2 本剤の治療反応は、通常投与開始から16週以内に得られる。16週以内に治療反応が得られない場合は、本剤の治療計画の継続を慎重に再考すること。
  • 〈掌蹠膿疱症〉
    1. 7.3 本剤の治療反応は、通常投与開始から24週以内に得られる。24週以内に治療反応が得られない場合は、本剤の治療計画の継続を慎重に再考すること。
  • 〈潰瘍性大腸炎〉
    1. 7.4 **グセルクマブ(遺伝子組換え)の点滴静注製剤による導入療法にて効果不十分な患者では、グセルクマブ(遺伝子組換え)の投与開始後24週まで(寛解導入療法期を含む)に治療反応がない場合、他の治療法への切替えを考慮すること。

8. 重要な基本的注意

  1. 8.1 本剤は感染のリスクを増大させる可能性がある。そのため本剤の投与に際しては、十分な観察を行い、感染症の発症や増悪に注意すること。感染症の徴候又は症状があらわれた場合には、速やかに担当医に連絡するよう患者を指導すること。
  2. 8.2 本剤投与に先立って結核に関する十分な問診及び胸部X線検査に加え、インターフェロン-γ遊離試験又はツベルクリン反応検査を行い、適宜胸部CT検査等を行うことにより、結核感染の有無を確認すること。また、本剤投与中も、胸部X線検査等の適切な検査を定期的に行うなど結核症の発現には十分に注意し、結核を疑う症状(持続する咳、体重減少、発熱等)が発現した場合には速やかに担当医に連絡するよう患者に指導すること。なお、結核の活動性が確認された場合は結核の治療を優先し、本剤を投与しないこと。
  3. 8.3 本剤投与中は、生ワクチン接種による感染症発現のリスクを否定できないため、生ワクチン接種は行わないこと。
  4. 8.4 他の生物製剤から変更する場合は、感染症の徴候について患者の状態を十分に観察すること。
  5. 8.5 臨床試験において皮膚及び皮膚以外の悪性腫瘍の発現が報告されている。本剤との因果関係は明確ではないが、悪性腫瘍の発現には注意すること。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1 感染症(重篤な感染症を除く)の患者又は感染症が疑われる患者

    感染症が悪化するおそれがある。

  2. 9.1.2 結核の既往歴を有する患者又は結核感染が疑われる患者
    1. (1) 結核の既往歴を有する患者では、結核を活動化させるおそれがある。
    2. (2) 結核の既往歴を有する場合又は結核感染が疑われる場合には、結核の診療経験がある医師に相談すること。下記のいずれかの患者には、原則として抗結核薬を投与した上で、本剤を投与すること。,
      • 胸部画像検査で陳旧性結核に合致するか推定される陰影を有する患者
      • 結核の治療歴(肺外結核を含む)を有する患者
      • インターフェロン-γ遊離試験やツベルクリン反応検査等の検査により、既感染が強く疑われる患者
      • 結核患者との濃厚接触歴を有する患者

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。本剤はカニクイザルにおいて胎児への移行が報告されているが、胚・胎児毒性及び催奇形性は認められていない。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。本剤のヒトにおける乳汁中への移行は不明である。

9.7 小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

感染症等の副作用の発現に留意し、十分な観察を行うこと。一般に生理機能が低下している。

11. 副作用

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

11.1 重大な副作用

  1. 11.1.1 重篤な感染症(頻度不明)

    ウイルス、細菌、真菌等による重篤な感染症があらわれることがある。重篤な感染症が発症した場合には、感染症が消失するまで本剤を投与しないこと。

  2. 11.1.2 重篤な過敏症(頻度不明)

    アナフィラキシー(血管浮腫、蕁麻疹、発疹等)等の重篤な過敏症があらわれることがある。

11.2 その他の副作用

3%以上

3%未満

頻度不明

**感染症及び寄生虫症

気道感染、白癬感染、単純ヘルペス

胃腸炎

**神経系障害

頭痛

胃腸障害

下痢

筋骨格系及び結合組織障害

関節痛

全身障害及び投与局所様態

注射部位反応

**臨床検査

トランスアミナーゼ上昇、好中球数減少

14. 適用上の注意

14.1 薬剤投与前の注意

  1. 14.1.1 投与前に冷蔵庫から取り出し室温に戻しておくことが望ましい。

14.2 薬剤投与時の注意

  1. 14.2.1 皮膚が敏感な部位、傷、発赤、硬結がある部位、病変部位には注射しないこと。
  2. 14.2.2 投与は、上腕部、腹部又は大腿部を選ぶこと。同一箇所へ繰り返し注射することは避けること。
  3. 14.2.3 本剤は1回使用の製剤であり、再使用しないこと。

15. その他の注意

15.1 臨床使用に基づく情報

  1. 15.1.1 **局面型皮疹を有する乾癬患者における国内第Ⅲ相臨床試験(CNTO1959PSO3004)では、本剤を投与した180例中13例(7.2%)が52週までに抗グセルクマブ抗体陽性となり、その中で1例(1/180例、0.6%)に中和抗体が認められた。膿疱性乾癬患者又は乾癬性紅皮症患者における国内第Ⅲ相臨床試験(CNTO1959PSO3005)では本剤を投与した21例中に抗グセルクマブ抗体陽性は認められなかった。また、掌蹠膿疱症患者における国内第Ⅲ相臨床試験(CNTO1959PPP3001)では、本剤を投与した156例中4例(2.6%)が52週までに抗グセルクマブ抗体陽性となった。この症例に中和抗体は認められなかった。
    局面型皮疹を有する乾癬患者における海外臨床試験では、1734例中104例(6.0%)が抗グセルクマブ抗体陽性となり、その中で7例(7/1734例、0.4%)に中和抗体が認められた。
    潰瘍性大腸炎患者における国際共同第Ⅱb/Ⅲ相試験(CNTO1959UCO3001)では523例中61例(11.7%)が寛解維持試験の44週までに抗グセルクマブ抗体陽性となった。その中で11例(11/523例、2.1%)に中和抗体が認められた。
  2. 15.1.2 免疫抑制剤又は光線療法と併用した場合の安全性及び有効性は確立していない。
  3. 15.1.3 **乾癬患者を対象とした国内二重盲検比較試験の結果、本剤投与群180例(161人年)において、悪性腫瘍(非黒色腫皮膚癌を除く)の発現率は、0.62/100人年(1/180例)であった。非黒色腫皮膚癌の発現は認められなかった。
    乾癬患者を対象とした海外臨床試験の48週までの併合解析の結果(本剤投与例数1367例、1019人年)において、悪性腫瘍(非黒色腫皮膚癌を除く)の発現率は、0.29/100人年(3/1367例)であった。併合解析での悪性腫瘍(非黒色腫皮膚癌を除く)の発現率は、一般人口で予測される発現率と同様であった[標準化発生比:0.68(95%信頼区間:0.14,2.00)]。非黒色腫皮膚癌の発現率は、0.59/100人年(6/1367例)であった。
    掌蹠膿疱症患者を対象とした国内臨床試験の52週までの結果(本剤投与例数157例、135人年)において、悪性腫瘍(非黒色腫皮膚癌を除く)の発現率は、0.74/100人年(1/157例)であった。非黒色腫皮膚癌の発現は、認められなかった。
    潰瘍性大腸炎患者を対象とした国際共同第Ⅱb/Ⅲ相試験における寛解維持試験の44週間の結果(グセルクマブ皮下投与用製剤投与例数396例、302.2人年)において、悪性腫瘍(非黒色腫皮膚癌を除く)の発現率は、0.33/100人年(1/396例)であった。非黒色腫皮膚癌の発現は、認められなかった。

16. 薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1 単回投与

    局面型皮疹を有する日本人乾癬患者に本剤10、30、100又は300 mgを単回皮下投与したとき、血清中グセルクマブ濃度は投与約4~6日後に最高血清中濃度に達し、約16~18日の消失半減期で低下した。1)

    局面型皮疹を有する日本人乾癬患者に本剤を単回皮下投与したときの血清中グセルクマブ濃度推移(平均値+SD、各群4~5例)
    局面型皮疹を有する日本人乾癬患者に本剤を単回皮下投与したときの薬物動態パラメータ(平均値(SD))

    用量

    10 mg
    (5例)

    30 mg
    (5例)

    100 mg
    (5例)

    300 mg
    (5例)

    Cmax
    (μg/mL)

    0.46
    (0.19)

    1.52
    (0.56)

    6.14
    (2.29)

    15.08
    (5.15)

    tmax
    (day)

    4.02
    (2.97; 13.99)

    5.93
    (3.07; 6.23)

    6.02
    (3.88; 13.88)

    6.03
    (3.98; 13.89)

    AUC
    (μg・day/mL)

    14.0
    (7.8)a

    40.8
    (15.8)

    159.9
    (65.2)

    427.1
    (156.7)b

    t1/2
    (day)

    16.4
    (6.8)a

    16.0
    (5.2)

    17.6
    (3.1)

    15.6
    (3.0)b

    tmax: 中央値(範囲)
    a:3例
    b:4例
    ※本剤の尋常性乾癬、乾癬性関節炎、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症、掌蹠膿疱症に対する承認用量は1回100mgである。

    • 〈尋常性乾癬、乾癬性関節炎、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症、掌蹠膿疱症〉
  2. 16.1.2 反復投与

    局面型皮疹を有する日本人乾癬患者2)、日本人膿疱性乾癬患者3)又は乾癬性紅皮症患者3)及び日本人掌蹠膿疱症患者4)に本剤50 mg、100 mg又は200mgを0、4週及びその後8週間隔で反復皮下投与したときの血清中トラフ濃度は下表のとおりであった。

    日本人乾癬患者又は掌蹠膿疱症患者における投与52週時の血清中グセルクマブのトラフ濃度(平均値(SD))

    局面型皮疹を有する
    乾癬患者

    膿疱性乾癬患者又は
    乾癬性紅皮症患者

    掌蹠膿疱症患者

    用量

    50 mg
    (60例)

    100 mg
    (61例)

    50 mg
    (12例)

    100 mga
    (6例)

    100mg
    (45例)

    200mg
    (44例)

    血清中濃度
    [μg/mL]

    0.60
    (0.37)

    1.13
    (0.71)

    0.53
    (0.29)

    0.79
    (0.62)

    1.08
    (0.74)

    2.76
    (1.96)

    a:本剤50 mgを0、4週及びその後8週間隔で反復皮下投与し、20週から100 mg を8週間隔で反復皮下投与した
    ※本剤の尋常性乾癬、乾癬性関節炎、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症、掌蹠膿疱症に対する承認用量は1回100mgである。

    • 〈潰瘍性大腸炎〉
  3. 16.1.3 **反復投与

    潰瘍性大腸炎患者に導入投与としてグセルクマブ点滴静注製剤200mgを0、4及び8週に静脈内投与した後、維持投与として本剤100mgを8週間隔又は200mgを4週間隔で反復皮下投与したときの定常状態における平均血清中トラフ濃度は、それぞれ1.4μg/mL及び10.7μg/mLであった。5)

16.2 吸収

外国人健康成人に、本剤100 mgを単回皮下投与したときの絶対的バイオアベイラビリティは49%であった6)

16.7 薬物相互作用

局面型皮疹を有する外国人乾癬患者において、ミダゾラム[CYP3A4基質]、ワルファリン[CYP2C9基質]、オメプラゾール[CYP2C19基質]、デキストロメトルファン[CYP2D6基質]及びカフェイン[CYP1A2基質])を本剤200 mg単回皮下投与と併用した結果、これら基質薬の曝露量に明らかな変動は認められなかった。7)
※本剤の尋常性乾癬、乾癬性関節炎、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症、掌蹠膿疱症に対する承認用量は1回100mgである。

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験

  • 〈尋常性乾癬、乾癬性関節炎、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症〉
    1. 17.1.1 国内二重盲検比較試験[局面型皮疹を有する乾癬患者(乾癬性関節炎患者を含む)]

      中等症から重症の局面型皮疹を有する乾癬患者(PASI注1)スコアが12以上、IGA注2)スコアが3以上、かつ局面型皮疹がBSA注3)の10%以上)192例を対象としたプラセボ対照二重盲検比較試験を実施した。プラセボ、本剤50又は100 mgを0及び4週、その後8週間隔で皮下投与した。投与16週後及び52週後のPASIスコアがベースラインから75%以上、90%以上、100%改善した患者の割合(以下、それぞれPASI 75、PASI 90、PASI 100)、IGAスコア「0」、「0又は1」を達成した患者の割合(以下、それぞれIGA 0、IGA 0/1)を下表に示す。16週後のPASI 90及びIGA 0/1は、本剤投与群でプラセボ群に比べて統計学的に有意に高かった。また、CASPAR注4)に基づいて乾癬性関節炎と診断され、ACR基準評価注5)がベースラインから20%以上改善した患者の割合(以下、ACR 20)は、16週後でプラセボ群0%(0/10例)、100 mg群30.0%(3/10例)、52週後で100 mg群20.0%(2/10例)であった。2)
      注1)Psoriasis Area and Severity Index
      注2)Investigator’s Global Assessment
      注3)Body Surface Area
      注4)Classification criteria for Psoriatic Arthritis
      注5)米国リウマチ学会が定義する関節症状の評価基準
      ※本剤の尋常性乾癬、乾癬性関節炎、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症、掌蹠膿疱症に対する承認用量は1回100mgである。

      投与16、52週後のPASI及びIGA

      投与16週後

      投与52週後

      プラセボ

      本剤100mg

      本剤100mg

      PASI 75

      6.3%
      (4/64例)

      84.1%
      (53/63例)

      90.5%
      (57/63例)

      PASI 90

      0%
      (0/64例)

      69.8% a
      (44/63例)

      77.8%
      (49/63例)

      PASI 100

      0%
      (0/64例)

      27.0%
      (17/63例)

      47.6%
      (30/63例)

      IGA 0/1

      7.8%
      (5/64例)

      88.9% a
      (56/63例)

      90.5%
      (57/63例)

      IGA 0

      0%
      (0/64例)

      44.4%
      (28/63例)

      58.7%
      (37/63例)

      a:p<0.001、対プラセボ群、Fisherの正確検定
      副作用発現頻度(100mg投与例)は、29.2%(26/89例)であった。主な副作用は、注射部位紅斑が6.7%(6例)と上気道感染4例(4.5%)であった。

    2. 17.1.2 国内非盲検試験(膿疱性乾癬患者及び乾癬性紅皮症患者)

      膿疱性乾癬患者10例及び乾癬性紅皮症患者11例を対象とした非盲検試験を実施した。本剤50 mgを0及び4週、その後8週間隔で皮下投与し、20週以降に効果不十分と判定された場合に100 mgへの増量を可能とした。投与16週後に本剤による治療が奏効(CGI注)スコア「1、2又は3」)した患者の割合(以下、奏効率)は、膿疱性乾癬患者77.8%(7/9例)、乾癬性紅皮症患者90.9%(10/11例)であった。投与52週後の奏効率は膿疱性乾癬患者100%(8/8例)、乾癬性紅皮症患者100%(10/10例)であった。3)

      • 注)Clinical Global Impression
        ※本剤の尋常性乾癬、乾癬性関節炎、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症、掌蹠膿疱症に対する承認用量は1回100mgである。

      副作用発現頻度は、9.5%(2/21例)であった。主な副作用は、白癬感染症1例(4.8%)であった。

    3. 17.1.3 海外二重盲検比較試験(活動性乾癬性関節炎患者)

      活動性乾癬性関節炎患者(CASPARに合致し、関節圧痛及び関節腫脹がそれぞれ3つ以上かつC反応性たん白が0.3 mg/dL以上)149例を対象としたプラセボ対照二重盲検比較試験を実施した。本剤100 mgを0及び4週、その後8週間隔で皮下投与した。投与24週後のACR 20は、本剤100 mg群58.0%(58/100例)であり、プラセボ群18.4%(9/49例)と比較して高い割合を示した。8)
      副作用発現頻度は、10.9%(14/129例)であった。主な副作用は、単純ヘルペス1例(0.8%)、上気道感染1例(0.8%)、下痢1例(0.8%)であった。

  • 〈掌蹠膿疱症〉
    1. 17.1.4 国内二重盲検比較試験

      掌蹠膿疱症患者(PPPASI注1)合計スコアが12以上、かつ手掌又は足底上の膿疱・小水疱のPPPASI重症度スコアが2以上)159例を対象としたプラセボ対照二重盲検比較試験を実施した。プラセボ、本剤100又は200mgを0及び4週、その後8週間隔で皮下投与した。投与16週後のPPPASI合計スコアのベースラインからの変化量(以下、PPPASIスコア変化量)、PPPASIスコアがベースラインから50%以上改善した患者の割合(以下、PPPASI 50)、PPSI注2)合計スコアのベースラインからの変化量(以下、PPSIスコア変化量)を下表に示す。16週後のPPPASIスコア評価において、本剤投与群でプラセボ群に比して統計学的に有意な改善が認められた。
      本剤100mg群でのPPPASI 50は、16週後に57.4%(31/54例)、52週後に83.3%(45/54例)であった。4)
      注1)Palmoplantar Pustulosis Area and Severity Index
      注2)Palmoplantar Pustulosis Severity Index
      ※本剤の尋常性乾癬、乾癬性関節炎、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症、掌蹠膿疱症に対する承認用量は1回100mgである。

      投与16週後のPPPASI及びPPSI

      プラセボ
      (53例)

      本剤100mg
      (54例)

      PPPASIスコア変化量
      [平均値(SD)]

      -7.79(10.596)

      -15.08(11.252)a

      PPPASI 50

      34.0%
      (18/53例)

      57.4%
      (31/54例)

      PPSIスコア変化量
      [平均値(SD)]

      -2.0(2.41)

      -3.9(2.94)

      a:p<0.001(対プラセボ群、mixed-model for repeated measures)
      副作用発現頻度(100mg投与例)は、79例中25例(31.6%)であった。主な副作用は、注射部位紅斑6例(7.6%)、白癬感染4例(5.1%)、上気道感染2例(2.5%)であった。

  • 〈潰瘍性大腸炎〉
    1. 17.1.5 **第Ⅱb/Ⅲ相国際共同臨床試験(UCO3001試験、維持試験)

      中等症から重症注1)の活動期潰瘍性大腸炎患者を対象としたグセルクマブ点滴静注製剤の寛解導入試験から移行した患者599例(日本人58例)を対象とした二重盲検比較試験を実施した。導入療法終了8週後から本剤100mgを8週間隔で皮下投与、導入療法終了4週後から本剤200mg又はプラセボを4週間隔で皮下投与した。Modified Mayoスコアが5~9点であった568例(日本人52例)において、主要評価項目である44週時点のclinical remission注2)が得られた被験者の割合は、プラセボ群18.9%に対し、本剤100mg群45.2%、200mg群50.0%であった。5),9)
      注1)Modified Mayoスコアが4~9点であり、直腸出血サブスコアが1点以上かつ内視鏡所見サブスコアが2点以上である患者
      注2)排便回数サブスコアが0又は1、直腸出血サブスコアが0、及び内視鏡サブスコアが0又は1で(排便回数サブスコアがベースライン時から増加していない場合)内視鏡検査の所見で脆弱化が認められない。

      投与44週後のclinical remission

      投与量

      プラセボ

      100mg
      8週間隔投与

      200mg
      4週間隔投与

      Clinical remission rate(44週時)

      18.9%
      (36/190例)

      45.2%
      (85/188例)

      50.0%
      (95/190例)

      群間差
      [95%信頼区間]a

      25.2% b
      [16.4%, 33.9%]

      29.5% b
      [20.9%, 38.1%]

      a:維持試験開始時の臨床的寛解及び導入試験での投与群を層別因子としたCochran-Mantel-Haenszel法
      b:p<0.001、対プラセボ群、維持試験開始時の臨床的寛解及び導入試験での投与群を層別因子としたCochran-Mantel-Haenszelカイ二乗検定。本剤200mg 4週間隔投与群で帰無仮説が棄却された場合に本剤100mg 8週間隔投与群の仮説検定を実施することで多重性が調整された。

      本剤100mg 8週間隔投与群の副作用発現頻度は、17.3%(34例/197例)であった。主な副作用は、好中球数減少2例(1.0%)、注射部位反応2例(1.0%)であった。
      本剤200mg 4週間隔投与群の副作用発現頻度は、19.9%(84例/422例)であった。主な副作用は、注射部位反応16例(3.8%)、気道感染9例(2.1%)、頭痛5例(1.2%)、単純ヘルペス3例(0.7%)、トランスアミナーゼ上昇2例(0.5%)、関節痛2例(0.5%)であった。

18. 薬効薬理

18.1 作用機序

In vitro 試験において、本剤はヒトインターロイキン(IL)-23を構成するp19サブユニットに、高い特異性及び親和性で結合し10)IL-12Rβ1及びIL-23Rで構成されるIL-23受容体複合体へのIL-23の結合を阻害した11)

18.2 **薬理作用

本剤はin vitro試験において、IL-23によって活性化されるナチュラルキラー細胞及びヘルパーT細胞などの免疫担当細胞の細胞内シグナル伝達並びにIL-17A、IL-17F及びIL-22の分泌を抑制した11)。また、炎症組織でのIL-23の主な産生細胞である骨髄系細胞上の免疫グロブリンFcγ受容体I(CD64)に結合し、同時に産生されるIL-23を捕捉した12)

19. 有効成分に関する理化学的知見

一般的名称

グセルクマブ(遺伝子組換え)
[Guselkumab(Genetical Recombination)]

分子式

H鎖 C2207H3394N574O669S16
L鎖 C1000H1557N267O329S5

分子量

約146,000

本質

ヒトインターロイキン-23に対する遺伝子組換えヒトIgG1モノクローナル抗体である。チャイニーズハムスター卵巣細胞により産生される447個のアミノ酸残基からなるH鎖(γ1鎖)2本及び217個のアミノ酸残基からなるL鎖(λ鎖)2本で構成される糖タンパク質である。

20. 取扱い上の注意

  1. 20.1 激しく振盪しないこと。
  2. 20.2 本剤は遮光保存する必要があるため、使用直前に外箱から取り出すこと。
  3. 20.3 凍結しないこと。

21. 承認条件

医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。

22. 包装

  • 〈トレムフィア皮下注100mgシリンジ〉

    1.0mL[1シリンジ]

  • **〈トレムフィア皮下注200mgシリンジ〉

    2.0mL[1シリンジ]

  • **〈トレムフィア皮下注200mgペン〉

    2.0mL[1ペン]

24. 文献請求先及び問い合わせ先

ヤンセンファーマ株式会社 メディカルインフォメーションセンター

〒101-0065 東京都千代田区西神田3-5-2

フリーダイヤル 0120-183-275
www.janssenpro.jp

26. 製造販売業者等

26.1 *製造販売元(輸入)

ヤンセンファーマ株式会社

〒101-0065 東京都千代田区西神田3-5-2

〒100-0013 東京都千代田区霞が関3-3-2 新霞が関ビル

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