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劇薬
処方箋医薬品注)
本剤は、緊急時に十分に対応できる医療施設において、造血器悪性腫瘍の治療又は造血幹細胞移植に対して十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤の投与が適切と判断される症例についてのみ投与すること。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから投与すること。
通常、成人にはイブルチニブとして420mgを1日1回経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。
ベンダムスチン塩酸塩及びリツキシマブ(遺伝子組換え)との併用において、通常、成人にはイブルチニブとして560mgを1日1回経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。
通常、成人にはイブルチニブとして560mgを1日1回経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。
通常、成人及び12歳以上の小児にはイブルチニブとして420mgを1日1回経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。
発現回数
回復後の再開時投与量
慢性リンパ性白血病原発性マクログロブリン血症及びリンパ形質細胞リンパ腫慢性移植片対宿主病
マントル細胞リンパ腫
1回
1日1回420mg
1日1回560mg
2回
1日1回280mg
3回
1日1回140mg
4回
投与中止
効能又は効果
併用薬
投与方法
慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)、原発性マクログロブリン血症及びリンパ形質細胞リンパ腫、マントル細胞リンパ腫
ボリコナゾール
イブルチニブとして140mgを1日1回経口投与すること。,
ポサコナゾール
造血幹細胞移植後の慢性移植片対宿主病(ステロイド剤の投与で効果不十分な場合)
イブルチニブとして280mgを1日1回経口投与すること。
骨髄抑制等により、感染症が増悪するおそれがある。,
血球減少を増悪させ重篤化させるおそれがある。,
心房細動等の不整脈があらわれることがある。,
重度の腎機能障害のある患者を対象とした臨床試験は実施していない。
投与しないこと。血中濃度が著しく上昇する。,
減量を考慮するとともに、患者の状態をより慎重に観察し、有害事象の発現に十分注意すること。血中濃度が上昇する。
妊娠可能な女性に対しては、本剤投与中及び投与終了後一定期間は適切な避妊を行うよう指導すること。
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。動物実験で胚致死作用(ラット及びウサギ)、及び催奇形性(ラット:心血管系の奇形、ウサギ:胸骨分節の癒合)が報告されている。,
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。ヒトにおける乳汁中への移行は不明である。
海外臨床試験において、65歳以上の患者で、Grade 3注)以上の有害事象、肺炎、尿路感染、心房細動、白血球増加症等の発現率が高かった。注)CTCAE(Common Terminology Criteria for Adverse Events)version 4.0に準じる。
ケトコナゾール(経口剤:国内未発売)イトラコナゾール
クラリスロマイシン
*エンシトレルビル フマル酸
,,
本剤の血中濃度が上昇し、副作用が増強されるおそれがある。
これらの薬剤のCYP3A阻害作用により、本剤の代謝が阻害される。
CYP3A阻害作用を有する薬剤
本剤の血中濃度が上昇し、副作用が増強されるおそれがあるので、CYP3A阻害作用のない薬剤への代替を考慮すること。やむを得ず併用する際には、本剤の減量を考慮するとともに、患者の状態を慎重に観察し、副作用の発現に十分注意すること。
グレープフルーツ含有食品
本剤の血中濃度が上昇し、副作用が増強されるおそれがあるので、摂取しないよう注意すること。
食品中にCYP3A阻害作用を有する成分が含まれている。
CYP3A誘導作用を有する薬剤
本剤の血中濃度が低下し、効果が減弱するおそれがあるので、CYP3A誘導作用のない薬剤への代替を考慮すること。
これらの薬剤のCYP3A誘導作用により、本剤の代謝が促進される。
セイヨウオトギリソウ(St. John’s Wort、セント・ジョーンズ・ワート)含有食品
本剤の血中濃度が低下し、効果が減弱するおそれがあるので、摂取しないよう注意すること。
食品中にCYP3A誘導作用を有する成分が含まれている。
抗凝固剤抗血小板剤
出血のおそれがある。
出血のリスクを増強させるおそれがある。
脳出血(0.1%)、消化管出血(0.2%)等の重篤な出血があらわれることがあり、死亡に至った例が報告されている。
頭蓋内出血、嗜眠、不安定歩行、頭痛等を伴う白血球症があらわれることがある。
肺炎(14.5%)、敗血症(2.9%)等の重篤な感染症があらわれることがある。また、B型肝炎ウイルス、結核、帯状疱疹等の再活性化(0.1%)があらわれることがある。,
本剤投与中及び投与終了後は患者の状態を十分に観察すること。意識障害、認知障害、麻痺症状(片麻痺、四肢麻痺)、言語障害等の症状があらわれた場合には、MRIによる画像診断及び脳脊髄液検査を行うとともに、投与を中止するなどの適切な処置を行うこと。
貧血(12.3%)、好中球減少症(22.1%)、血小板減少症(17.1%)等の重篤な骨髄抑制があらわれることがある。,
心房細動(5.4%)、心房粗動(0.7%)、心室性不整脈(0.3%)等の重篤な不整脈があらわれることがある。,
異常が認められた場合には、直ちに投与を中止し、適切な処置(生理食塩液、高尿酸血症治療剤の投与等)を行うとともに、症状が回復するまで患者の状態を十分に観察すること。なお、重篤な腫瘍崩壊症候群が遅発性にあらわれることがある。
アナフィラキシー等の重篤な過敏症があらわれることがある。
肝不全、ALT、AST、ビリルビン等の上昇を伴う肝機能障害があらわれることがある。
異常が認められた場合には、胸部X線、胸部CT等の検査を実施すること。間質性肺疾患が疑われた場合には投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
10%以上
10%未満5%以上
5%未満
頻度不明
感染症及び寄生虫症
皮膚感染、上気道感染
尿路感染、気管支炎、副鼻腔炎、インフルエンザ
良性、悪性及び詳細不明の新生物(嚢胞及びポリープを含む)
基底細胞癌、扁平上皮癌、前立腺癌
悪性黒色腫、リンパ腫、骨髄異形成症候群、皮膚癌
血液及びリンパ系障害
リンパ球増加症、発熱性好中球減少症、白血球増加症
代謝及び栄養障害
食欲減退
低カリウム血症、高尿酸血症、低ナトリウム血症、脱水
精神障害
不眠症
神経系障害
頭痛
浮動性めまい、末梢性ニューロパチー
眼障害注)
眼乾燥、霧視、視力低下、結膜炎、流涙増加
血管障害
高血圧
呼吸器、胸郭及び縦隔障害
咳嗽、鼻出血
呼吸困難
胃腸障害
下痢(27.3%)、悪心
口内炎、嘔吐、便秘
消化不良、腹痛、胃食道逆流性疾患
皮膚及び皮下組織障害
発疹、挫傷
そう痒症、点状出血、紅斑、爪破損、蕁麻疹、血管浮腫、脂肪織炎
急性熱性好中球性皮膚症(Sweet症候群)
筋骨格系及び結合組織障害
筋骨格痛、関節痛、筋痙縮
関節障害
一般・全身障害及び投与部位の状態
疲労
発熱、末梢性浮腫
無力症、硬膜下血腫
臨床検査
血中クレアチニン増加
傷害、中毒及び処置合併症
転倒
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。
イブルチニブの血中濃度の上昇に伴い、出血事象の発現率が高くなる傾向が認められたとの報告がある。
再発又は難治性成熟B細胞性腫瘍患者にイブルチニブ140mg注1)~560mgを単回又は反復経口投与したとき、血漿中イブルチニブ濃度は用量によらず、投与後1~2時間(中央値)に最高濃度に達し、4~9時間(平均値)の消失半減期で消失した。血漿中イブルチニブのCmax及びAUCは個体間変動が大きいが、用量の増加に伴って増加した。反復経口投与による累積率は1.6未満であった。1)
測定日
用量(mg)
n
Cmax(ng/mL)
tmax a)(h)
AUClast(ng・h/mL)
t1/2(h)
1日目
140
3
42.53± 23.74
2.02(1.98, 3.95)
203.64± 128.60
3.90± 1.67
280
68.47± 14.09
1.82(1.00, 1.97)
339.21± 72.42
5.64± 1.50
420
9
87.33± 62.15
1.97(1.00, 3.98)
381.73± 265.26
6.99 b)± 3.34
560
6
94.57± 65.43
1.48(0.98, 3.92)
419.09± 238.74
7.35、5.33 c)
8日目
8
77.50± 58.11
2.00(0.95, 3.97)
383.17± 189.61
4.60 b)± 1.86
105.47± 68.60
2.00(0.97, 4.00)
638.96± 476.16
6.39、4.23 c)
算術平均値±標準偏差、a):中央値(範囲)、b):n=6、c):個別値(n=2)
12歳以上のステロイド依存性又は抵抗性の日本人慢性移植片対宿主病患者にイブルチニブ140注1)~420mgを1日1回反復経口投与したとき、血漿中イブルチニブ濃度は下表のとおりであった。2)
Cmax(ng/mL)
tmax a)(h)
AUClast(ng・h/mL)
t1/2 a)(h)
中程度以上のCYP3A阻害剤併用なし
Week11日目
7
386 ± 166
2.08(1.78, 4.50)
1843 ± 1146
4.86(4.42, 5.15) b)
Week21日目
275 ± 171
4.08(1.85, 5.28)
2102 ± 938
3.83, 10.2 c)
ボリコナゾール併用
4
399 ± 126
3.83(1.78, 5.75)
4003 ± 1586
4.88 c)
432 ± 374
3.87(1.75, 5.43)
2970 ± 2201
N/A
フルコナゾール併用
628 ± 526
3.91(1.97, 4.25)
5134 ± 4173
678 ± 701
3.95(1.82, 5.17)
6235 ± 5875
4.33, 4.56 c)
算術平均値±標準偏差、N/A:報告対象となるデータなしa):中央値(範囲)、b):n=3、c):個別値
12歳以上の日本人及び外国人慢性移植片対宿主病患者にイブルチニブ140注1)~420mgを1日1回反復経口投与したとき、血漿中イブルチニブ濃度は下表のとおりであった。2)
23
235 ± 261
2.00(0.880, 6.05)
1313 ± 1017 b)
4.10(1.34, 10.1) c)
140 d)
1
158
1.00
388
5.51
12
436 ± 292
2.00(0.930, 5.00)
2934 ± 1805
4.04(2.47, 9.04) e)
322 ± 258
2.22(1.00, 4.00)
1610, 1010 f)
ND
ポサコナゾール併用
420 g)
2
98.4, 241
3.92, 1.75
1060 h)
13
289 ± 296
2.00(1.88, 6.00)
1979 ± 1205 i)
4.70(4.02, 5.70) j)
10
140 ± 124
2.83(1.87, 5.38)
915 ± 617
4.97(4.95, 5.88) k)
629 ± 480
2.05(1.12, 4.08)
3662 ± 2392
4.92(4.46, 5.39) k)
242 ± 93.9
2.99(1.92, 5.08)
1638 ± 819
5.49 h)
算術平均値 ± 標準偏差、ND:算出されずa):中央値(範囲)、b):n=20、c):n=10、d):イブルチニブの減量を要する併用薬の併用はなかったが140mgに減量された、e):n=7、f):n=2、g):イブルチニブを減量されなかった、h):n=1、i):n=12、j):n=5、k):n=4
注1)CYP3A阻害作用を有するボリコナゾール又はポサコナゾール併用時並びに副作用発現時は減量することとされた。
健康成人にイブルチニブ560mgを絶食時注2)及び食前30分に経口投与し、経口投与の2時間後に13C-イブルチニブ(100μg)を静脈内投与したときの絶対的バイオアベイラビリティはそれぞれ、2.9%(90%CI:2.1~3.9%)及び7.6%(90%CI:6.4~9.0%)であった3) 。健康成人にイブルチニブ420mgを経口投与したときのCmax及びAUClastは、食前30分、食後30分又は食後2時間に投与したときと比較して絶食時注2)にはそれぞれ約30~40%及び約60%に低下した4) 。再発又は難治性慢性リンパ性白血病/小リンパ球性リンパ腫患者にイブルチニブ420mgを経口投与したときのCmax及びAUC0-24hは、食事の30分以上前又は2時間以上後に経口投与(modified fasting投与)したときと比較して絶食時注2)にはそれぞれ約40%及び約60~70%に低下した5) 。(外国人データ)
イブルチニブのヒト血漿蛋白結合率は97.3%であり、検討された濃度域(in vitro、50~1000ng/mL)で概ね一定であった6) 。健康成人に13C-イブルチニブ(100μg)を静脈内投与したときの定常状態における分布容積は683L3)、再発又は難治性慢性リンパ性白血病/小リンパ球性リンパ腫患者にイブルチニブ420mgを単回経口投与したときのみかけの分布容積(Vdz/F)は10837Lであった5) 。(外国人データ)
イブルチニブは主にCYP3A4/5により代謝される(in vitro)7),8) 。主な代謝物であるジヒドロジオール体は、ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)に対してイブルチニブの約1/15の阻害活性を示す9) 。ジヒドロジオール体の定常状態における曝露量は、イブルチニブと同程度であった1) 。
健康成人に14C-イブルチニブ1480kBqを含むイブルチニブ140mg注1)を単回経口投与したとき、放射能の約90%が168時間以内に回収され、糞中では80%、尿中では10%以下であった。イブルチニブの回収率は、糞中で1%、尿中には認められなかった10) 。健康成人に13C-イブルチニブ(100μg)を静脈内投与したときの全身クリアランス(CL)は、絶食時及び食前30分においてそれぞれ62及び76L/hであった3) 。健康成人にイブルチニブ560mgを経口投与したときのみかけの全身クリアランス(CL/F)は、絶食時及び食前30分においてそれぞれ1572及び875L/hであった3) 。(外国人データ)
軽度の肝機能障害(Child-Pugh分類A)患者6例、中等度の肝機能障害(Child-Pugh分類B)患者10例及び重度の肝機能障害(Child- Pugh分類C)患者8例にイブルチニブ140mg注1)を単回経口投与したときのAUClastの幾何平均値は正常肝機能被験者と比較して2.7、8.2及び9.8倍高かった。また、非結合分画も肝機能障害の程度に応じてわずかに増加し、非結合型イブルチニブのAUClastはそれぞれ4.1、9.8及び13倍増加すると推定される11) 。(外国人データ),,
12歳以上の慢性移植片対宿主病患者を対象とした国内外の臨床成績における血漿中イブルチニブ濃度(162例、1,281測定時点)に基づき母集団薬物動態解析を実施した。イブルチニブ420mgを1日1回経口投与したとき、薬物動態パラメータの推定値は、小児と成人で同程度であった。
健康成人(18例)にCYP3Aの阻害作用を有するケトコナゾール(経口剤:国内未発売)400mg(4~9日目に投与)とイブルチニブ120mg及び40mg注1)(それぞれ1日目及び7日目に投与)を併用投与(絶食時)したとき、イブルチニブのCmax及びAUCはそれぞれ約29及び24倍増加した12) 。(外国人データ),
B細胞性腫瘍患者(26例)にCYP3Aの阻害作用を有するボリコナゾール200mg 1日2回とイブルチニブ140mg 1日1回注1)を併用投与したとき、イブルチニブのCmax及びAUCはそれぞれ約6.7及び5.7倍増加した13) 。(外国人データ),
B細胞性腫瘍患者(25例)にCYP3Aの阻害作用を有するエリスロマイシン500mg 1日3回とイブルチニブ140mg 1日1回注1)を併用投与したとき、イブルチニブのCmax及びAUCはそれぞれ約3.4及び3.0倍増加した13) 。(外国人データ)
健康成人(18例)にCYP3Aの誘導作用を有するリファンピシン600mg(4~13日目に投与)とイブルチニブ560mg(1日目及び11日目に投与)を併用投与(絶食時)したとき、イブルチニブのCmax及びAUCはそれぞれ約1/13及び1/10以下に減少した14) 。(外国人データ)
健康成人(8例)にCYP3Aの阻害作用を有するグレープフルーツジュースとイブルチニブ140mg注1)を併用投与(非絶食時)したとき、イブルチニブのCmax及びAUCはそれぞれ約3.6及び2.1倍増加した3) 。(外国人データ)
健康成人(20例)にプロトンポンプ阻害剤であるオメプラゾール40mg(3~7日目に投与)とイブルチニブ560mg(1日目及び7日目に投与)を併用投与(絶食時)したとき、イブルチニブのCmaxは約38%に減少したが、AUCに顕著な変化は認められなかった15) 。(外国人データ)
イブルチニブ140mg注1)とCYP3A阻害作用を有するイトラコナゾール、クラリスロマイシン、ポサコナゾール及びジルチアゼムを併用投与(非絶食時)した場合、イブルチニブのAUCはそれぞれ、約15、11、8.3及び4.4倍増加することが推定された。イブルチニブ560mgとCYP3A阻害作用を有するフルボキサミン及びアジスロマイシンを併用投与(非絶食時)した場合、イブルチニブのAUCはそれぞれ、約1.7及び1.5倍増加することが推定された。イブルチニブ560mgとCYP3A誘導作用を有するカルバマゼピン及びエファビレンツを併用投与(非絶食時)した場合、イブルチニブのAUCはそれぞれ、約1/6及び1/3に減少することが推定された。16),,,注1)本剤の承認された用法・用量は、「420mg又は560mgを1日1回経口投与する」である。注2)一晩絶食後にイブルチニブを経口投与し、その後4時間絶食。
1レジメン以上の前治療歴を有する再発又は難治性慢性リンパ性白血病/小リンパ球性リンパ腫患者を対象とし、オファツムマブ(遺伝子組換え)を対照として本剤420mgを1日1回、食事の30分以上前又は2時間以上後に投与(modified fasting投与)した。有効性の成績は以下のとおりであった。なお、当該試験に組み入れられた患者の内訳は慢性リンパ性白血病患者が185例、小リンパ球性リンパ腫患者が10例であった。17)本剤が投与された195例中177例(90.8%)に副作用が認められた。主な副作用は、下痢70例(35.9%)、悪心35例(17.9%)、好中球減少症31例(15.9%)、関節痛28例(14.4%)、発疹24例(12.3%)等であった。
再発又は難治性成熟B細胞性腫瘍患者を対象とし、本剤を経口投与した。このうち本剤420mgを1日1回投与した慢性リンパ性白血病/小リンパ球性リンパ腫患者(8例)では、7例がカットオフ時点注)で本剤の投与を継続していた。奏効率は62.5%(5/8例)であった(95%CI:24.5~91.5%)。1)本剤が投与された8例全例(100%)に副作用が認められた。主な副作用は、好中球減少症4例(50.0%)、貧血4例(50.0%)、発疹3例(37.5%)、口内炎3例(37.5%)等であった。注)最終登録患者が175日間の投与を完了した時点。
未治療の慢性リンパ性白血病/小リンパ球性リンパ腫患者注1)を対象とし、chlorambucil注2)を対照として本剤420mgを1日1回投与した。有効性の成績は以下のとおりであった。なお、当該試験に組み入れられた患者の内訳は慢性リンパ性白血病患者が123例、小リンパ球性リンパ腫患者が13例であった18) 。本剤が投与された135例中114例(84.4%)に副作用が認められた。主な副作用は、下痢44例(32.6%)、悪心18例(13.3%)、好中球減少症16例(11.9%)、発疹14例(10.4%)等であった。注1)フルダラビンリン酸エステル、シクロホスファミド水和物及びリツキシマブ(遺伝子組換え)の併用投与の適応とならず、かつ17番染色体短腕欠失を有さない患者。注2)本邦では、承認されていない。
未治療の慢性リンパ性白血病/小リンパ球性リンパ腫患者注)を対象とし、本剤420mgを1日1回投与した。奏効率は75.0%(6/8例)であった(95% CI:34.9~96.8%)。19)本剤が投与された8例全例(100%)に副作用が認められた。主な副作用は、血小板数減少6例(75.0%)、リンパ球数増加4例(50.0%)、肺炎3例(37.5%)、好中球数減少2例(25.0%)、貧血2例(25.0%)、下痢2例(25.0%)、関節痛2例(25.0%)等であった。注)フルダラビンリン酸エステル投与の適応とならない患者。
未治療及び再発又は難治性の原発性マクログロブリン血症患者を対象に、リツキシマブ(遺伝子組換え)注)とプラセボ(Pbo+R群)を対照としてリツキシマブ(遺伝子組換え)注)と本剤420mg 1日1回を併用投与(Ibr+R群)した。主要評価項目とされた第6回International Workshop of Waldenstrom’s Macroglobulinemia(IWWM)基準(改訂版)20)に基づく独立評価委員会判定による中間解析時点の無増悪生存期間(PFS)の中央値は、Ibr+R群で未到達(95%CI:35.0~NE)、Pbo+R群で20.3ヵ月(95%CI:13.7~27.6)であり、Ibr+R群で統計学的に有意な延長が認められた(ハザード比0.202(95%CI:0.107~0.380)、p<0.0001(層別log-rank検定)、2017年10月17日データカットオフ)21)。注)リツキシマブ(遺伝子組換え)375mg/m2を第1~4週及び第17~20週の第1日目に計8回静脈内投与した。
本剤が投与された75例中64例(85.3%)に副作用が認められた。主な副作用は、挫傷14例(18.7%)、下痢13例(17.3%)、心房細動12例(16.0%)、高血圧12例(16.0%)、筋痙縮11例(14.7%)、好中球減少症10例(13.3%)等であった。
未治療及び再発又は難治性の原発性マクログロブリン血症患者を対象とし、リツキシマブ(遺伝子組換え)注)と本剤420mg 1日1回を併用投与した。主要評価項目とされた第6回IWWM基準(改訂版)に基づく独立評価委員会判定による奏効率(部分奏効以上の奏効が認められた被験者の割合)は87.5%(14/16例)であった(95%CI:61.7~98.4%)22)。本剤が投与された16例中12例(75.0%)に副作用が認められた。主な副作用は、発疹6例(37.5%)、好中球数減少4例(25.0%)、そう痒症3例(18.8%)、紅斑3例(18.8%)、血小板数減少3例(18.8%)、高血圧3例(18.8%)等であった。注)リツキシマブ(遺伝子組換え)375mg/m2を第1~4週及び第17~20週の第1日目に計8回静脈内投与した。
1レジメン以上の前治療歴を有する再発又は難治性マントル細胞リンパ腫患者を対象とし、テムシロリムス注)を対照として本剤560mgを1日1回投与した。主要評価項目とされた独立評価委員会判定による無増悪生存期間の中央値は、本剤群で14.6ヵ月(95%CI:10.4~NE)、テムシロリムス群で6.2ヵ月(95%CI:4.2~7.9)であり、本剤群で統計学的に有意な延長が認められた(ハザード比0.43(95%CI:0.32~0.58)、p<0.0001(層別log-rank検定)、2015年4月22日データカットオフ)23) 。本剤が投与された139例中115例(82.7%)に副作用が認められた。主な副作用は、下痢27例(19.4%)、疲労22例(15.8%)、血小板減少症20例(14.4%)、好中球減少症18例(12.9%)、貧血15例(10.8%)、発疹14例(10.1%)、筋痙縮14例(10.1%)等であった。注)本邦では、テムシロリムスはマントル細胞リンパ腫に関する適応で承認されていない。
1レジメン以上5レジメン以下の前治療歴を有する再発又は難治性マントル細胞リンパ腫患者を対象とし、本剤560mgを1日1回投与した。奏効率は87.5%(14/16例)であった(90%CI:65.6~97.7%)24)。本剤が投与された16例中15例(93.8%)に副作用が認められた。主な副作用は、下痢5例(31.3%)、口内炎4例(25.0%)、貧血4例(25.0%)、血小板減少症3例(18.8%)、食欲減退3例(18.8%)、発疹3例(18.8%)、疲労3例(18.8%)等であった。
Ann Arbor分類Ⅱ、Ⅲ又はⅣ期で、65歳以上の未治療のマントル細胞リンパ腫患者523例(日本人11例を含む)を対象とし、ベンダムスチン塩酸塩とリツキシマブ(遺伝子組換え)の併用療法(BR注))で、本剤560mg(Ibr+BR群)又はプラセボ(Pbo+BR群)を1日1回で経口投与した。主要評価項目であるRevised Response Criteria for Malignant Lymphoma(Revised RC)に基づく治験担当医師判定による最終解析時点の無増悪生存期間の中央値は、Ibr+BR群で80.6ヵ月(95%CI:61.9~NE)、Pbo+BR群で52.9ヵ月(95%CI:43.7~71.0)であり、Ibr+BR群で統計学的に有意な延長が認められた[ハザード比0.75(95%CI:0.59~0.96)、p=0.011(層別log-rank検定)]25)。注)ベンダムスチン塩酸塩90mg/m2を第1~6サイクルの第1及び2日目、リツキシマブ(遺伝子組換え)375mg/m2を第1~6サイクルの第1日目にそれぞれ静脈内投与することとされた。また、第6サイクル終了後に完全奏効(CR)又は部分奏効(PR)を達成した被験者には、維持療法としてリツキシマブ(遺伝子組換え)375mg/m2を第8~30サイクルの第1日目(2サイクルごと)に最大12回静脈内投与することとされた。
本剤が投与された259例(日本人6例を含む)中237例(91.5%)に副作用が認められた。主な副作用は、発疹96例(37.1%)、下痢74例(28.6%)、肺炎66例(25.5%)、血小板減少症64例(24.7%)、悪心58例(22.4%)等であった。
18歳以上のステロイド依存性又は抵抗性の慢性移植片対宿主病患者を対象とし、本剤420mgを1日1回投与した。主要評価項目であるNIH Consensus Development Project Criteria(2014)26)の改訂事項を2点反映したNIH Consensus Development Project Criteria(2005)27)に基づく主要解析時点の全奏効率は66.7%(28/42例)であった(95%CI:50.5~80.4%)28)。本剤が投与された42例中35例(83.3%)に副作用が認められた。主な副作用は、疲労19例(45.2%)、下痢11例(26.2%)、挫傷11例(26.2%)、口内炎7例(16.7%)、筋痙縮7例(16.7%)、上気道感染6例(14.3%)等であった。
12歳以上のステロイド依存性又は抵抗性の日本人慢性移植片対宿主病患者を対象とし、本剤420mgを1日1回投与した。主要評価項目であるNIH Consensus Development Project Criteria(2014)に基づく主要解析時点の全奏効率は73.7%(14/19例)であった(95%CI:48.8~90.9%)2)。本剤が投与された19例中15例(78.9%)に副作用が認められた。主な副作用は、肺炎4例(21.1%)、口内炎3例(15.8%)、挫傷3例(15.8%)、上気道感染2例(10.5%)、高血圧2例(10.5%)、間質性肺疾患2例(10.5%)、発疹2例(10.5%)等であった。
ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)は、B細胞性腫瘍の発症、増殖等に関与するB細胞受容体(BCR)、及びB細胞の遊走、接着等に関与するケモカイン受容体の下流に位置するシグナル分子である。イブルチニブは、BTKの活性部位にあるシステイン残基と共有結合し、BTKのキナーゼ活性を阻害した。
In vitro試験において、イブルチニブは、慢性リンパ性白血病(CLL)患者由来のCLL細胞及びヒトマントル細胞リンパ腫(MCL)由来細胞株(Mino、Jeko-1等)の増殖を抑制した29),30) 。また、CLL患者由来のCLL細胞並びにヒトMCL由来細胞株(Mino及びJeko-1)の遊走及び接着を阻害した30),31) 。In vivo試験において、イブルチニブは、マウスCLL由来TCL1-192細胞を腹腔内移植した重症複合免疫不全(SCID)マウスにおいて、末梢血中のTCL1-192細胞の増殖を抑制した29) 。また、Mino細胞株を静脈内に移植したSCIDマウスにおいて、Mino細胞数を減少させた32) 。
In vivo試験において、イブルチニブはT及びB細胞が発症に関与するマウス慢性移植片対宿主病モデル(LP/Jの骨髄細胞をC57BL/6に移植、又はC57BL/6の骨髄細胞をB10.BRに移植)での慢性移植片対宿主病症状(強皮症、又は肺及び肝の線維化)を改善し、無増悪生存期間を延長した33)。
イブルチニブ(Ibrutinib)
1-{(3R)-3-[4-Amino-3-(4-phenoxyphenyl)-1H-pyrazolo[3,4-d]pyrimidin-1-yl]piperidin-1-yl}prop-2-en-1-one
C25H24N6O2
440.50
白色の固体
149~158℃
3.97(Log P, 1-オクタノール/pH7緩衝液)
ジメチルスルホキシドに溶けやすく、メタノールにやや溶けやすく、アセトニトリルにやや溶けにくく、水にほとんど溶けない。
小児の手の届かないところに保管すること。
医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。
14カプセル[14カプセル(PTP)×1]
1) 社内資料:イブルチニブの国内第I相試験(PCI-32765-JPN-101)(2016年3月28日承認、CTD2.7.6.2)
2) 社内資料:イブルチニブの国内第Ⅲ相試験(54179060GVH3001)(2021年9月27日承認、CTD2.7.6.2)
3) 社内資料:イブルチニブのバイオアベイラビリティ及び食事の影響の検討(PCI-32765CLL1011)(2016年3月28日承認、CTD2.7.6.9)
4) 社内資料:イブルチニブの食事の影響の検討(PCI-32765CLL1001)(2016年3月28日承認、CTD2.7.6.7)
5) 社内資料:イブルチニブの海外第Ib/II相試験(PCYC-1102-CA)(2016年3月28日承認、CTD2.7.6.3)
6) 社内資料:イブルチニブの血漿蛋白結合率の検討(12-083-Hu-X-PB)(2016年3月28日承認、CTD2.7.2.1.1.3)
7) 社内資料:ヒトCYP発現系を用いたイブルチニブの代謝の検討(12-013-Hu-X-MT)(2016年3月28日承認、CTD2.6.4.5.1.3)
8) 社内資料:ヒト肝ミクロソーム及びCYP特異的阻害剤を用いたイブルチニブの代謝の検討(12-014-Hu-X-MT)(2016年3月28日承認、CTD2.6.4.5.1.3)
9) 社内資料:イブルチニブ代謝物の阻害活性の検討(13-047-Hu-X-ENZ)(2016年3月28日承認、CTD2.6.2.2.3)
10) 社内資料:イブルチニブのマスバランスの検討(PCI-32765CLL1004)(2016年3月28日承認、CTD2.7.6.6)
11) 社内資料:肝機能障害被験者におけるイブルチニブの薬物動態の検討(PCI-32765CLL1006)(2016年3月28日承認、CTD2.7.6.10)
12) 社内資料:イブルチニブとケトコナゾールの薬物相互作用の検討(PCI-32765CLL1002)(2016年3月28日承認、CTD2.7.6.5)
13) 社内資料:イブルチニブとボリコナゾール及びエリスロマイシンの薬物相互作用の検討(PCI-32765LYM1003)
14) 社内資料:イブルチニブとリファンピシンの薬物相互作用の検討(PCI-32765CLL1010)(2016年3月28日承認、CTD2.7.6.8)
15) 社内資料:イブルチニブとオメプラゾールの薬物相互作用の検討(PCI-32765CLL1005)
16) 社内資料:生理学的薬物動態モデルによるイブルチニブの薬物相互作用の検討(2016年3月28日承認、CTD2.7.2.2)
17) Byrd JC, et al.: N Engl J Med. 2014; 371: 213-223
18) 社内資料:イブルチニブの海外第Ⅲ相試験(PCYC-1115-CA)
19) 社内資料:イブルチニブの国内第Ⅰ相試験(54179060LEU1001)
20) Owen RG, et al.:Br J Haematol. 2013; 160(2):171-176
21) 社内資料:イブルチニブの海外第Ⅲ相試験(PCYC-1127-CA)(2022年12月23日承認、CTD2.7.6.1)
22) 社内資料:イブルチニブの国内第Ⅱ相試験(54179060WAL2002)(2022年12月23日承認、CTD2.7.6.2)
23) 社内資料:イブルチニブの海外第Ⅲ相試験(PCI-32765-MCL3001)(2016年12月2日承認、CTD2.7.6.3)
24) 社内資料:イブルチニブの国内第Ⅱ相試験(PCI-32765-MCL2002)(2016年12月2日承認、CTD2.7.6.1)
25) 社内資料:イブルチニブの国際共同第Ⅲ相試験(PCI-32765MCL3002)
26) Lee SJ, Wolff D, Kitko C, et al.: Biol Blood Marrow Transplant. 2015; 21: 984-999
27) Pavletic SZ, Martin P, Lee SJ, et al.: Biol Blood Marrow Transplant. 2006; 12: 252-266
28) 社内資料:イブルチニブの海外第Ⅰb/Ⅱ相試験(PCYC-1129-CA)(2021年9月27日承認、CTD2.7.6.1)
29) Ponader S, et al.: Blood. 2012; 119: 1182-1189
30) 社内資料:ヒトマントル細胞リンパ腫由来細胞株に対するイブルチニブの作用(2016年12月2日承認、CTD2.6.2.2.1.4)
31) de Rooij MFM, et al.: Blood. 2012; 119: 2590-2594
32) 社内資料:ヒトマントル細胞リンパ腫由来細胞株の異種移植マウスモデルに対するイブルチニブの作用(2016年12月2日承認、CTD2.6.2.2.2.2)
33) Dubovsky JA, Flynn R, Du J, et al.: J Clin Invest. 2014; 124(11): 4867-4876
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