当ウェブサイトを快適にご覧いただくには、ブラウザのJavaScript設定を有効(オン)にしていただく必要がございます。
劇薬
処方箋医薬品注)
HIV感染症
通常、成人には1回1錠(ダルナビルとして800mg、コビシスタットとして150mgを含有)を1日1回食事中又は食直後に経口投与する。投与に際しては、必ず他の抗HIV薬と併用すること。
HIVプロテアーゼ阻害剤で治療中の血友病患者において、皮膚血腫及び出血性関節症等の出血事象の増加が報告されている。
交叉過敏症があらわれる可能性がある。ダルナビルはスルホンアミド基を有する。
投与しないこと。コルヒチンの血中濃度を上昇させる可能性がある。,
定期的に肝機能検査を行うなど患者の状態を十分に観察し、悪化が認められた場合には休薬又は投与中止を考慮すること。ダルナビル及びコビシスタットは主に肝臓で代謝され、肝障害患者では高い血中濃度が持続するおそれがある。
定期的に肝機能検査を行うなど患者の状態を十分に観察し、悪化が認められた場合には休薬又は投与中止を考慮すること。ダルナビル及びコビシスタットは主に肝臓で代謝され、肝障害患者では高い血中濃度が持続するおそれがある。また、肝機能をさらに悪化させる可能性がある。ダルナビルの海外第Ⅱb/Ⅲ相試験において、B型及び/又はC型肝炎重複感染患者では、有害事象及び臨床検査値異常のうち、肝酵素の上昇の発現頻度が非重複感染患者より高かった。
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、投与しないことが望ましい。本剤投与中に妊娠が判明した場合の代替薬への変更は、変更によるリスクを考慮した上で適切な時期に実施すること。妊娠中期及び妊娠後期の妊婦に本剤を投与したとき、出産後と比較しダルナビル及びコビシスタットの血中濃度低下が認められている。
授乳を避けさせること。ダルナビル1) 及びコビシスタット2) は、動物実験(ラット)で乳汁中へ移行することが報告されているが、ヒトにおける乳汁への移行は不明である。
副作用の発現に注意し慎重に投与すること。本剤の有効成分であるダルナビル及びコビシスタットは、主として肝臓で代謝されるが、高齢者では肝機能が低下していることが多く、高い血中濃度が持続するおそれがある。
リファンピシン
フェノバルビタール
フェニトイン
ホスフェニトイン
カルバマゼピン
ダルナビル及びコビシスタットの血中濃度が低下し、本剤の効果が減弱するおそれがある。
これらの薬剤のCYP3A誘導作用により、ダルナビル及びコビシスタットの代謝が促進される。
セイヨウオトギリソウ(St. John’s Wort、セント・ジョーンズ・ワート)含有食品
トリアゾラム
ミダゾラム
これらの薬剤の血中濃度上昇により、過度の鎮静や呼吸抑制等の重篤な又は生命に危険を及ぼすような事象が起こる可能性がある。
ダルナビル及びコビシスタットのCYP3A阻害作用により、これらの薬剤の代謝が阻害される。
ピモジド
ピモジドの血中濃度上昇により、不整脈等の重篤な又は生命に危険を及ぼすような事象が起こる可能性がある。
シンバスタチン
シンバスタチンの血中濃度上昇により、横紋筋融解症が起こる可能性がある。
エルゴタミン酒石酸塩・無水カフェイン・イソプロピルアンチピリン
ジヒドロエルゴタミン
エルゴメトリンメチルエルゴメトリン
これらの薬剤の血中濃度上昇により、末梢血管痙縮、虚血等の重篤な又は生命に危険を及ぼすような事象が起こる可能性がある。
バルデナフィル
シルデナフィル
タダラフィル
これらの薬剤の血中濃度を上昇させるおそれがある。
ブロナンセリン
ブロナンセリンの血中濃度が上昇し、作用が増強するおそれがある。
アゼルニジピン
アゼルニジピン・オルメサルタン メドキソミル
アゼルニジピンの血中濃度が上昇し、作用が増強するおそれがある。
ルラシドン
ルラシドンの血中濃度が上昇し、作用が増強するおそれがある。
ロミタピド
ロミタピドの血中濃度が著しく上昇するおそれがある。
*フィネレノン
フィネレノンの血中濃度が著しく上昇するおそれがある。
イバブラジン
イバブラジンの血中濃度が上昇し、過度の徐脈があらわれることがある。
コビシスタットのCYP3A阻害作用により、これらの薬剤の代謝が阻害される。
ベネトクラクス(再発又は難治性の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)の用量漸増期)
ベネトクラクスの血中濃度が上昇し、腫瘍崩壊症候群の発現が増強する可能性がある。
*イサブコナゾニウム硫酸塩
イサブコナゾールの血中濃度が上昇し、作用が増強するおそれがある。
グラゾプレビル
グラゾプレビルの血中濃度が上昇する可能性がある。
ダルナビル及びコビシスタットのCYP3A及びOATP1B阻害作用により、グラゾプレビルの血中濃度が上昇することがある。
リバーロキサバン
チカグレロル
これらの薬剤の血中濃度が上昇し、作用が増強されることにより、出血の危険性が増大するおそれがある。
ダルナビル及びコビシスタットのCYP3A阻害作用又はP糖蛋白阻害作用により、これらの薬剤の血中濃度が上昇することがある。
デキサメタゾン(全身投与)
ダルナビル及びコビシスタットの血中濃度が低下し、本剤の効果が減弱するおそれがある。併用する場合には注意して投与すること。
デキサメタゾンのCYP3A誘導作用により、ダルナビル及びコビシスタットの代謝が促進される。
アトルバスタチン
アトルバスタチンの血中濃度上昇により、横紋筋融解症が起こる可能性がある。併用する場合には必要に応じてアトルバスタチンの投与量を減量するなど注意して投与すること。
サルメテロール
サルメテロールの血中濃度上昇により、QT延長、動悸、洞性頻脈などの心血管系事象の発現リスクが増大する可能性がある。併用する場合には必要に応じてサルメテロールの投与量を減量するなど注意して投与すること。
これらの薬剤の血中濃度を上昇させる可能性がある。併用する場合には必要に応じてこれらの薬剤の投与量を減量するなど注意して投与すること。
クロラゼプ酸ジアゼパムエスタゾラムフルラゼパムゾルピデム
アミオダロンベプリジルジソピラミドリドカイン(全身投与)キニジン
シクロスポリンタクロリムスシロリムステムシロリムス
クロナゼパムエトスクシミド
Ca拮抗剤(フェロジピン、ニフェジピン、ニカルジピン、アムロジピン、ジルチアゼム、ベラパミル等)
フルチカゾンブデソニドプレドニゾロン
ダサチニブエベロリムスニロチニブラパチニブビンブラスチンビンクリスチン
ボセンタン
アピキサバン
エプレレノン
トルバプタンエレトリプタン
*ダビガトランエテキシラート
ダルナビル及びコビシスタットのP糖蛋白阻害作用による。
アミトリプチリンイミプラミンパロキセチンノルトリプチリンセルトラリントラゾドン
ダルナビル及びコビシスタットのCYP3A又はCYP2D6阻害作用により、これらの薬剤の代謝が阻害される。
リスペリドンペルフェナジンクエチアピン
これらの薬剤の血中濃度を上昇させる可能性がある。併用する場合には必要に応じてこれらの薬剤の投与量を減量するなど注意して投与すること 。
フェンタニルオキシコドントラマドール
プロパフェノン
トルテロジン
デキストロメトルファン
ベネトクラクス(再発又は難治性の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)の維持投与期、急性骨髄性白血病)
ベネトクラクスの血中濃度が上昇し、副作用が増強するおそれがあるので、ベネトクラクスを減量するとともに患者の状態を慎重に観察すること。
カルベジロールメトプロロールチモロール
コビシスタットのCYP2D6阻害作用により、これらの薬剤の代謝が阻害される。
フレカイニドメキシレチン
ロスバスタチンプラバスタチンピタバスタチン
これらの薬剤の血中濃度上昇により、横紋筋融解症が起こる可能性がある。併用する場合には必要に応じてこれらの薬剤の投与量を減量するなど注意して投与すること。
機序不明
ジゴキシン
ジゴキシンの血中濃度を上昇させる可能性がある。併用する場合には必要に応じてジゴキシンの投与量を減量するなど注意して投与すること。
コルヒチン,,
コルヒチンの血中濃度を上昇させる可能性がある。併用する場合には必要に応じてコルヒチンの投与量を減量するなど注意して投与すること。
ダルナビル及びコビシスタットのCYP3A阻害作用又はP糖蛋白阻害作用による。
グレカプレビル・ピブレンタスビル
グレカプレビルの血中濃度を上昇させる可能性がある。併用する場合には必要に応じてグレカプレビル・ピブレンタスビルの投与量を減量するなど注意して投与すること。
ダルナビル及びコビシスタットのP糖蛋白、BCRP又はOATP1B 阻害作用による。
ドロスピレノン
ドロスピレノンの血中濃度を上昇させる可能性がある。併用する場合には必要に応じてドロスピレノンの投与量を減量するなど注意して投与すること。
経口避妊剤(エチニルエストラジオール、ノルエチステロン等)
これらの薬剤の血中濃度を低下させる可能性がある。本剤を投与する場合は、別の避妊方法を行うことが望ましい。
メサドン
メサドンの血中濃度を低下させる可能性がある。併用する場合には注意して投与すること。
リファブチン
ダルナビル及びコビシスタットの血中濃度が低下し、本剤の効果が減弱するおそれがある。また、リファブチンの血中濃度を上昇させる可能性がある。併用する場合には必要に応じて本剤又はリファブチンの投与量を調節するなど注意して投与すること。
リファブチンのCYP3A誘導作用により、ダルナビル及びコビシスタットの代謝が促進される。また、ダルナビル及びコビシスタットのCYP3A阻害作用により、リファブチンの代謝が阻害される。
クラリスロマイシンエリスロマイシン
ダルナビル、コビシスタット又はこれらの薬剤の血中濃度が上昇する可能性がある。併用する場合には必要に応じて本剤又はこれらの薬剤の投与量を調節するなど注意して投与すること。
ダルナビル及びコビシスタットとこれらの薬剤のCYP3A阻害作用により、相互に代謝が阻害される。
イトラコナゾールケトコナゾール注)ボリコナゾールフルコナゾール
ワルファリン
ワルファリンの血中濃度に影響を与えることがある。併用する場合には必要に応じて本剤又はワルファリンの投与量を調節するなど注意して投与すること。
ダルナビル及びコビシスタットの薬物代謝酵素阻害作用により、血中濃度に変化がおこることがある。
ヌクレオシド/ヌクレオチド系逆転写酵素阻害剤(NRTI/NtRTI)
テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩
テノホビルの血中濃度を上昇させる可能性があるが、用量を調節する必要はない。また、本剤と併用する場合には、定期的にクレアチニンクリアランスを測定するなど観察を十分に行い、腎機能のモニタリングを行うこと。
非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤(NNRTI)
エトラビリンエファビレンツネビラピン
ダルナビル及び/又はコビシスタットの血中濃度が低下する可能性がある。本剤とこれらの薬剤との併用は避けることが望ましい。
リルピビリン
リルピビリンの血中濃度を上昇させる可能性がある。本剤とリルピビリンを併用する場合には、用量を調節する必要はない。
ダルナビル及びコビシスタットのCYP3A阻害作用により、リルピビリンの代謝が阻害される。
インテグラーゼ阻害剤
ラルテグラビル
ダルナビルの血中濃度を減少させる可能性がある。本剤とラルテグラビルを併用する場合には、用量を調節する必要はない。
その他のHIV薬
マラビロク
マラビロクの血中濃度を上昇させる可能性がある。
ダルナビル及びコビシスタットのCYP3A阻害作用により、マラビロクの代謝が阻害される。
重度の発疹があらわれた場合は、本剤の投与を直ちに中止し適切な処置を行うこと。
AST、ALT、γ-GTPの上昇等を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがある。
5%以上
5%未満
頻度不明
免疫系障害
過敏症、免疫再構築症候群
代謝及び栄養障害
高トリグリセリド血症、食欲減退、高コレステロール血症、糖尿病、高脂血症
精神障害
異常な夢
神経系障害
頭痛
胃腸障害
下痢、悪心、嘔吐、腹痛、鼓腸
腹部膨満、消化不良、膵酵素増加
肝胆道系障害
肝酵素増加
急性肝炎
皮膚及び皮下組織障害
発疹
そう痒症、血管浮腫、蕁麻疹
体脂肪の再分布/蓄積
筋骨格系及び結合組織障害
筋肉痛
骨壊死
生殖系及び乳房障害
女性化乳房
全身障害及び投与局所様態
疲労
無力症
臨床検査
膵型アミラーゼ増加、リパーゼ増加、血中クレアチニン増加、総コレステロール増加、血中ブドウ糖増加、LDLコレステロール増加、ALT増加、AST増加
トリグリセリド増加、ALP増加
ダルナビル及びコビシスタットは血漿蛋白結合率が高いため、透析により除去されないと考えられる。
健康成人8例に本剤を食後に単回経口投与したときの血漿中ダルナビル及びコビシスタットの薬物動態パラメータを表1に示す。また、血漿中ダルナビルの濃度推移を図1に示す8)。
薬物動態パラメータ
平均値(標準偏差)、tmax:中央値(範囲)
8例
ダルナビル
コビシスタット
tmax(h)
4(3-4)
4(2-4)
Cmax(ng/mL)
5496(952)
832(265)
AUC∞(ng・h/mL)
51,460(15,836)
5710(3128)
t1/2term(h)
4.4(1.4)
3.5(0.4)
健康成人40例に本剤を食後に単回経口投与したときの血漿中ダルナビル及びコビシスタットの薬物動態パラメータを表2に示す。また、ダルナビルの濃度推移を図2に示す。9),10) (外国人データ)
40例
4.03(1.50-9.05)
4.00(1.00-5.02)
6773(1343)
819(221)
78,811(27,304)
6388(2779)
6.7(3.4)
3.8(0.8)
健康成人に本剤を1日1回食後に反復経口投与したときの血漿中ダルナビル及びコビシスタットの薬物動態パラメータ(10日目)を表3に示す。(外国人データ)
33例
4.0(1.5-5.0)
4.0(1.0-5.0)
6917(1394)
1158(250)
AUC24h(ng・h/mL)
76,490(20,900)
9314(2652)
抗HIV薬治療経験がない成人HIV感染患者又はダルナビル耐性関連変異を持たない抗HIV薬既治療のHIV感染患者60例(未治療57例、既治療3例)を対象とし、2剤のNRTIを併用してダルナビル800mg及びコビシスタット150mgの1日1回食後に投与(DRV・COBI 800・150mg QD)したときの血漿中ダルナビル及びコビシスタットの薬物動態パラメータを表4に示す。(外国人データ)
平均値(標準偏差)
60例
C0h(ng/mL)
1560 (1328)
76 (186)
7663 (1920)
991 (331)
81,646 (26,322)
7596 (3657)
健康成人33例に本剤又はダルナビル製剤800mgとリトナビル製剤100mgを1日1回食後に反復経口投与したときのダルナビルの相対的バイオアベイラビリティを検討した。ダルナビル及びリトナビル併用投与に対する本剤投与の定常状態におけるダルナビルの薬物動態パラメータの最小二乗平均の比[90%信頼区間]は、AUC24h 0.99[0.94, 1.04]、Cmax 1.00[0.96, 1.04]、Cmin 0.74[0.63, 0.86]であった。11) (外国人データ)
本剤を高脂肪食の食事と共に投与した結果、ダルナビルの曝露量(AUC∞)は、空腹時投与と比較して1.7倍増加し、コビシスタットの曝露量(AUC∞)は、空腹時投与と同程度であった。なお、ダルナビルの曝露量(AUC∞)には食事の内容による影響は認められなかった。9),12) (外国人データ)
ヒト血漿蛋白結合率は約95%であり、主にα1-酸性糖蛋白に結合した13)。(in vitro試験、平衡透析法)
ヒト血漿蛋白結合率は、97~98%であった14),15)。(ex vivo試験、平衡透析法)
ヒト肝ミクロソームを用いたin vitro試験で、ダルナビルは主にCYP3A4により酸化的に代謝されることが示唆された。In vivo試験よりダルナビルの主な代謝物は3種類あり、野生型HIV株に対する活性はいずれも未変化体の10%以下であった。健康成人に14C標識したダルナビル/リトナビル400/100mgを単回経口投与したとき、血漿中放射能の大部分は未変化体由来であることが示された16)。
ヒト肝ミクロソーム及びCYPアイソザイムを用いたin vitro試験で、コビシスタットは主にCYP3Aにより酸化的に代謝され、一部CYP2D6で代謝されることが示唆された。また、グルクロン酸抱合体は検出されなかった17),18)。
健康成人に14C標識したダルナビル/リトナビル400/100mgを単回経口投与したとき、投与放射能の約79.5%が糞中に、約13.9%が尿中に排泄された。また、未変化体の排泄率は、糞中が約41.2%、尿中が約7.7%であった。ダルナビル150mgを単独で静脈内投与したときの全身クリアランスは32.8L/h(平均値)であり、リトナビル100mgと併用したときの全身クリアランスは5.9L/h(平均値)であった19),20)。本剤を投与したときのダルナビルの消失半減期は、約6~7時間(中央値)であった9)。(外国人データ)
コビシスタット150mgを6日間反復投与した後に14C-コビシスタット150mgを経口投与したところ、投与量の86.2%(平均値)が糞中に、8.2%(平均値)が尿中に排泄された。経口投与後のコビシスタットの消失半減期は、約3~4時間(中央値)であった21)。(外国人データ)
軽度(Child-Pugh分類クラスA、8例)及び中等度肝障害患者(Child-Pugh分類クラスB、8例)にダルナビル/リトナビル600/100mgを1日2回反復投与したときのダルナビルの薬物動態を健康被験者と比較したとき、顕著な差は認められなかった。なお、重度肝障害患者(Child-Pugh分類クラスC)を対象とした試験は実施していない。22) (外国人データ)
中等度の肝機能障害(Child-Pugh分類クラスB)を有する被験者において、コビシスタット投与時の薬物動態を健康被験者と比較したとき、顕著な差は認められなかった。なお、重度肝障害患者(Child-Pugh分類クラスC)を対象とした試験は実施していない。(外国人データ)
中等度腎障害(CLCRが30~60mL/min)を有するHIV-1感染患者(20例)において、腎機能の低下によりダルナビルの薬物動態に有意な影響がないことが示された。重度腎障害又は末期腎疾患を有するHIV-1感染患者における試験は実施されていないが、ダルナビルは主に肝臓で代謝されることから、腎障害患者でダルナビルの全身クリアランスは低下しないと推測される。(外国人データ)
重度腎障害(CLCRが30mL/min未満)を有する被験者において、コビシスタットの薬物動態を検討した。コビシスタットの薬物動態を健康被験者と比較したとき、顕著な差は認められなかった。(外国人データ)
妊娠中期のHIV感染患者(7例)に、本剤を1日1回投与したとき、ダルナビルのCmax、AUC24h及びCminは、出産後(6~12週;6例)と比較してそれぞれ49%、56%及び92%減少した。妊娠後期(6例)では、ダルナビルのCmax、AUC24h及びCminはそれぞれ37%、50%及び89%減少した。23) (外国人データ)
CYP3Aで代謝され、CYP3A(Ki:0.4μmol/L)及びCYP2D6(Ki:41μmol/L)を阻害し、またP糖蛋白(IC50:32.9μmol/L)を阻害する24),25)。
CYP3A及びCYP2D6で代謝され、CYP3A(IC50:0.03~0.29μmol/L)及びCYP2D6(IC50:9.17μmol/L)を阻害し、またP糖蛋白、BCRP(IC50:59μmol/L)、OATP1B1(IC50:3.50μmol/L)、OATP1B3(IC50:1.88μmol/L)及びMATE1(IC50:1.87μmol/L)を阻害する26),27),28),29),30)。
本剤又は本剤の有効成分を含有する製剤を用いた試験成績を示す。
本剤が併用薬の薬物動態に及ぼす影響について表5に示す。
併用薬
併用薬の用法・用量
本剤の用法・用量
例数
併用薬の薬物動態パラメータ:幾何最小二乗平均の比[90%信頼区間]
Cmax
AUC∞
ダビガトランエテキシラート
150mg単回
ダルナビル・コビシスタット 800・150mg単回
14
2.64[2.29, 3.05]
2.64[2.32, 3.00]
ダルナビル・コビシスタット 800・150mg1日1回注1)
1.99[1.72, 2.30]
1.88[1.65, 2.13]
注1)ダルナビル・コビシスタット800・150mgを1日1回17日間反復経口投与し、投与15日目にダビガトランエテキシラート150mgを単回経口投与
併用薬がダルナビルの薬物動態に及ぼす影響及びダルナビルが併用薬の薬物動態に及ぼす影響について表6、7に示す。,
ダルナビルの用法・用量
リトナビルの用法・用量
ダルナビルの薬物動態パラメータ:最小二乗平均の比[90%信頼区間]
AUC
Cmin
エファビレンツ
600mg1日1回
300mg1日2回
100mg1日2回
12
0.85[0.72, 1.00]
0.87[0.75, 1.01]
0.69[0.54, 0.87]
ネビラピン
200mg1日2回
400mg1日2回
8
1.40[1.14, 1.73]
1.23[0.97, 1.57]
1.02[0.79, 1.32]
セルトラリン
50mg1日1回
13
1.01[0.89, 1.14]
0.98[0.84, 1.14]
0.94[0.76, 1.16]
パロキセチン
20mg1日1回
16
0.97[0.92, 1.02]
1.02[0.95, 1.10]
1.07[0.96, 1.19]
ラニチジン
150mg1日2回
0.96[0.89, 1.05]
0.95[0.90, 1.01]
0.94[0.90, 0.99]
オメプラゾール
1.02[0.95, 1.09]
1.04[0.96, 1.13]
1.08[0.93, 1.25]
ジダノシン
400mg1日1回
600mg1日2回
17
0.93[0.86, 1.00]
1.01[0.95, 1.07]
1.07[0.95, 1.21]
300mg1日1回
1.16[0.94, 1.42]
1.21[0.95, 1.54]
1.24[0.90, 1.69]
ケトコナゾール
1.21[1.04, 1.40]
1.42[1.23, 1.65]
1.73[1.39, 2.14]
クラリスロマイシン
500mg1日2回
0.83[0.72, 0.96]
1.01[0.81, 1.26]
150mg隔日1回
11注1)
1.42[1.21, 1.67]
1.57[1.28, 1.93]
1.75[1.28, 2.37]
1.04[0.93, 1.16]
0.99[0.90, 1.08]
0.85[0.73, 1.00]
150mg1日1回
800mg1日1回
100mg1日1回
14注2)
0.90[0.81, 1.00]
0.89[0.81, 0.99]
0.89[0.68, 1.16]
エトラビリン
10注2)
1.11[1.01, 1.22]
1.15[1.05, 1.26]
1.02[0.90, 1.17]
アルテメテル・ルメファントリン配合剤
アルテメテル・ルメファントリン配合剤80・480 mg,3日間投与(0,8,24,36,48及び60時間に投与)
1.00[0.93, 1.07]
0.96[0.90, 1.03]
0.87[0.77, 0.98]
ロピナビル
ロピナビル・リトナビル配合剤400・100 mg1日2回
9
0.61[0.51, 0.74]
0.47[0.40, 0.55]
0.35[0.29, 0.42]
NA
0.67[0.53, 0.84]
0.47[0.37, 0.59]
0.36[0.29, 0.46]
インジナビル
800mg1日2回
1.11[0.98, 1.26]
1.24[1.09, 1.42]
1.44[1.13, 1.82]
アタザナビル
1.02[0.96, 1.09]
1.03[0.94, 1.12]
1.01[0.88, 1.16]
NA:未投与 注1)非併用投与時:16例注2)非併用投与時:15例
併用薬の薬物動態パラメータ:最小二乗平均の比[90%信頼区間]
1.15[0.97, 1.35]
1.21[1.08, 1.36]
1.17[1.01, 1.36]
1.18[1.02, 1.37]
1.27[1.12, 1.44]
1.47[1.20, 1.82]
プラバスタチン
40mg単回
1.63[0.95, 2.82]
1.81[1.23, 2.66]
NC
0.56[0.49, 0.63]
0.51[0.46, 0.58]
0.51[0.45, 0.57]
0.64[0.59, 0.71]
0.61[0.56, 0.66]
0.63[0.55, 0.73]
0.84[0.59, 1.20]
0.91[0.75, 1.10]
1.24[1.08, 1.42]
1.22[1.10, 1.35]
1.37 注1)[1.19, 1.57]
R(-)メサドン
メサドン55~150mg1日1回
0.76[0.71, 0.81]
0.84[0.78, 0.91]
0.85[0.77, 0.94]
S(+)メサドン
0.56[0.51, 0.62]
0.64[0.58, 0.71]
0.60[0.53, 0.69]
シルデナフィル25mg単回注2)/100mg単回注3)
0.62[0.55, 0.70]
0.97[0.86, 1.09]
N-デスメチルシルデナフィル
0.05[0.04, 0.05]
0.05[0.04, 0.08]
15
2.11[1.81, 2.44]
3.12[2.65, 3.68]
9.68[6.44, 14.55]
エチニルエストラジオール
エチニルエストラジオール・ノルエチステロン配合剤(各35μg・1.0mg含有)1日1回
11注4)
0.68[0.61, 0.74]
0.56[0.50, 0.63]
0.38[0.27, 0.54]
ノルエチステロン
0.90[0.83, 0.97]
0.86[0.75, 0.98]
0.70[0.51, 0.97]
アトルバスタチン10mg1日1回注2)/40mg 1日1回注3)
0.56[0.48, 0.67]
0.85[0.76, 0.97]
1.81[1.37, 2.40]
アトルバスタチンラクトン
0.85[0.76, 0.96]
2.08[1.63, 2.65]
1.26[1.03, 1.54]
1.57[1.35, 1.84]
2.74[2.30, 3.26]
0.4mg単回
1.15[0.89, 1.48]
1.36[0.81, 2.26]
リファブチン150mg隔日1回注2)/300mg 1日1回注3)
11注5)
0.72[0.55, 0.93]
0.93[0.80, 1.09]
1.64[1.48, 1.81]
25-脱アセチル体代謝物
4.77[4.04, 5.63]
9.81[8.09, 11.9]
27.1[22.15, 33.16]
ブプレノルフィン
ブプレノルフィン・ナロキソン配合剤1日1回最大16・4mg
0.92[0.79, 1.08]
0.89[0.78, 1.02]
0.98[0.82, 1.16]
ノルブプレノルフィン
1.36[1.06, 1.74]
1.46[1.15, 1.85]
1.71[1.29, 2.27]
1.43[1.34, 1.53]
1.45[1.35, 1.57]
1.54[1.41, 1.68]
カルバマゼピンエポキシド
0.46[0.43, 0.49]
0.46[0.44, 0.49]
0.48[0.45, 0.51]
6
0.67注6)[0.33, 1.37]
0.71注6)[0.38, 1.33]
2.29注6)[1.46, 3.59]
4.05注6)[2.94, 5.59]
8.00[6.35, 10.1]
1.79[1.56, 2.06]
2.30[1.98, 2.67]
2.78[2.39, 3.24]
200mg1日2回注2)/100mg 1日2回注3)
10注7)
1.81[1.56, 2.11]
1.80[1.56, 2.08]
1.67[1.38, 2.03]
アルテメテル
アルテメテル・ルメファントリン配合剤80・480mg,3日間投与 (0,8,24,36,48及び60時間に投与)
14注5)
0.82[0.61, 1.11]
0.84[0.69, 1.02]
0.97[0.90, 1.05]
ジヒドロアルテミシニン
0.82[0.66, 1.01]
0.82[0.74, 0.91]
1.00[0.82, 1.22]
ルメファントリン
1.65[1.49, 1.83]
2.75[2.46, 3.08]
2.26注8)[1.92, 2.67]
ロピナビル・リトナビル配合剤400・100mg1日2回
1.22[1.12, 1.32]
1.37[1.27, 1.49]
1.72[1.46, 2.03]
0.83[0.70, 0.99]
0.81[0.70, 0.94]
0.65[0.48, 0.88]
1.08[0.95, 1.22]
1.23[1.06, 1.42]
2.25[1.63, 3.10]
S-ワルファリン
ワルファリン10mg+ビタミンK1 10mg+デキストロメトルファン 30mg+オメプラゾール 40mg単回
0.92[0.86, 0.98]
0.79[0.74, 0.86]
7-OH-S-ワルファリン
1.43[1.24, 1.64]
1.24[0.97, 1.58]
2.27[1.59, 3.26]
2.70[1.80, 4.05]
デキストルファン
0.66[0.48, 0.91]
0.58[0.51, 0.67]
5-OH-オメプラゾール
0.94[0.72, 1.22]
0.85[0.77, 0.93]
NA:未投与,NC:未算出注1)11例注2)ダルナビル/リトナビル併用投与時の用法・用量注3)非併用投与時の用法・用量注4)非併用投与時:13例注5)非併用投与時:15例注6)幾何平均の比注7)非併用投与時:11例注8)13例
併用薬がコビシスタットの薬物動態に及ぼす影響及びコビシスタットが併用薬の薬物動態に及ぼす影響について表8、9に示す。
コビシスタットの用法・用量
コビシスタットの薬物動態パラメータ:最小二乗平均の比[90%信頼区間]
Ctau
ファモチジン
40mg 1日1回夜,食後,エルビテグラビル,コビシスタット投与後12時間後
150mg1日1回,朝,食後
10
1.04[0.99, 1.08]
1.05[1.02, 1.08]
1.15[1.06, 1.26]
40mg1日1回朝,食後
1.06[0.99, 1.13]
1.03[0.97, 1.11]
1.11[1.00, 1.24]
20mg1日1回,朝,絶食下
11
0.90[0.82, 0.99]
0.92[0.85, 1.01]
0.93[0.74, 1.17]
20mg1日1回,夜,絶食下,エルビテグラビル,コビシスタット投与後12時間後
0.94[0.85, 1.05]
0.99[0.89, 1.09]
1.02 注2)[0.82, 1.28]
注1)エルビテグラビル150mg 1日1回との併用投与注2) 10例
デシプラミン(国内未承認)
50mg単回
1.24[1.08, 1.44]
1.58[1.35, 1.84]
0.5mg単回
22
1.41[1.29, 1.55]
1.20[1.10, 1.30]
600mg単回
0.87[0.80, 0.94]
0.93[0.90, 0.96]
ロスバスタチン
10mg単回
1.89[1.48, 2.42]
1.38[1.14, 1.67]
1.43[1.08, 1.89]注2)
リファブチン150mg隔日1回注3)/300mg 1日1回注4)
1.09[0.98, 1.20]
0.92[0.83, 1.03]
0.94[0.85, 1.04]
4.84[4.09, 5.74]
6.25[5.08, 7.69]
4.94[4.04, 6.04]
ノルゲスチメート及びエチニルエストラジオール
0.180/0.215/0.250mgノルゲスチメート1日1回
150mg1日1回注5)
2.08[2.00, 2.17]
2.26[2.15, 2.37]
2.67[2.43, 2.92]
0.025mgエチニルエストラジオール1日1回
0.94[0.86, 1.04]
0.75[0.69, 0.81]
0.56[0.52, 0.61]
ブプレノルフィン16~24mg1 日1 回
1.12[0.98, 1.27]
1.35[1.18, 1.55]
1.66[1.31, 1.93]
1.24[1.03, 1.49]
1.42[1.22, 1.67]
1.57[1.31, 1.88]
R-メサドン
メサドン80~120mg1日1回
1.01[0.91, 1.13]
1.10[0.95, 1.28]
S-メサドン
0.96[0.87, 1.06]
1.00[0.89, 1.12]
1.02[0.89, 1.17]
ナロキソン
4~6mg1 日1 回
0.72[0.61, 0.85]
0.72[0.59, 0.87]
NC:未算出注1)エルビテグラビル150mg 1日1回との併用投与(デシプラミン、ジゴキシン及びエファビレンツとの薬物相互作用試験はコビシスタットを単独投与)注2)Clast注3)コビシスタット併用投与時の用法・用量注4)非併用投与時の用法・用量注5)エルビテグラビル・コビシスタット・エムトリシタビン・テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩配合剤を用いた試験
抗HIV薬治療経験がない成人HIV感染患者又はダルナビル耐性関連変異を持たない抗HIV薬既治療のHIV感染患者313例(未治療295例、既治療18例)を対象とし、2剤のNRTIを併用してダルナビル800mg及びコビシスタット150mgの1日1回投与(DRV/COBI 800/150mg QD)の安全性、忍容性及び有効性を評価する非盲検、単群、第Ⅲ相試験を実施した。48週時の臨床成績を表1に示す10)。
例数(%)
未治療DRV/COBI 800/150mg QD + OBR295例
既治療DRV/COBI 800/150mg QD + OBR18例
全体DRV/COBI 800/150mg QD + OBR313例
ウイルス学的効果(HIV RNA量)
245 (83.1%)
8 (44.4%)
253 (80.8%)
-3.01
-2.39
-2.97
+174
+102
+170
ウイルス学的治療失敗注3)
11(3.7%)
6(33.3%)
17(5.4%)
5(1.7%)
1(5.6%)
6(1.9%)
6(2.0%)
5(27.8%)
11(3.5%)
15(5.1%)
0
15(4.8%)
24(8.1%)
4(22.2%)
28(8.9%)
OBR(Optimized background regimen):至適化された背景治療の組合せ注1)TLOVRアルゴリズムで補完注2)LOCF(Last Observation Carried Forward)補完注3)48週時までにHIV RNA量が50コピー/mL以上の患者、有効性の欠如又は消失のために試験を中止した患者、有害事象、死亡及び有効性の欠如又は消失以外の理由で試験を中止し中止時点のウイルス量が50コピー/mL以上であった患者を含む。
副作用は313例中208例(66.5%)に認められた。主な副作用は、下痢87例(27.8%)、悪心72例(23.0%)、発疹49例(15.7%)、頭痛38例(12.1%)であった。
抗HIV薬治療経験がないHIV感染患者689例を対象としたダルナビル800mg及びリトナビル100mgの1日1回投与(DRV/r 800/100mg QD)とロピナビル・リトナビルの1日投与量800/200mg(LPV・r 800・200mg/日)の無作為割付けによる非盲検第Ⅲ相比較試験を実施した。両群ともテノホビル(TDF)300mg及びエムトリシタビン(FTC)200mgを背景治療とした。両群の患者背景及び疾患特性に偏りはみられず、DRV/r群343例の年齢中央値は34歳(範囲18-70)、男性が70%、人種は白人40%、黒人23%、ヒスパニック23%、アジア人13%であった。投与前の血中HIV RNA量平均値は4.86log10コピー/mL、CD4陽性リンパ球数の中央値は228/mm3(範囲4-750)であった。192週時の臨床成績を表2及び表3に示す。31)
DRV/r群800/100mg QD+TDF/FTC343例
LPV・r群800・200mg/日+TDF/FTC346例
68.8%
57.2%
75.2%
65.0%
-2.35
-2.03
CD4陽性リンパ球数の投与前からの変化(中央値;/mm3)注2)
+258
+263
ウイルス学的治療失敗
16.0%
20.5%
11.4%
14.2%
4.7%
6.4%
12.7%
14.3%
12.4%
注1) TLOVRアルゴリズムにより補完注2) 非完遂例(投与中止例)の変化は0として補完注3) 192週時までにウイルス量が<50コピー/mLに至ったが、192週時は<50コピー/mLではなかった例注4) 192週時までにウイルス量が<50コピー/mLに至らなかった例注5) FDAガイダンスに基づく192週時の集計(ウイルス学的検査が無い例)
DRV/r群800/100mg QD+TDF/FTC
LPV・r群800・200mg/日+TDF/FTC
<100,000コピー/mL
69.5%(157/226例)
60.2%(136/226例)
≥100,000コピー/mL
67.5%(79/117例)
51.7%(62/120例)
副作用発現率は、65.6%(225/343例)であった。主な副作用は、下痢116例(33.8%)、頭痛60例(17.5%)、悪心55例(16.0%)、発疹35例(10.2%)、腹痛32例(9.3%)、嘔吐21例(6.1%)であった。
抗HIV薬既治療のHIV感染患者590例を対象としたダルナビル800mg及びリトナビル100mgの1日1回投与(DRV/r 800/100mg QD)とダルナビル600mg及びリトナビル100mgの1日2回投与(DRV/r 600/100mg BID)の無作為割り付けによる非盲検第Ⅲ相比較試験を実施した。両群ともに、2剤以上のNRTIsによる治療背景があり、ダルナビル耐性関連変異(V11I、V32I、L33F、I47V、I50V、I54M、I54L、T74P、L76V、I84V、L89V)をもたない患者であった。両群の患者背景及び疾患特性に偏りはみられず、年齢中央値は40歳(範囲18-77)、男性が64%、人種は白人36%、黒人26%、ヒスパニック18%、アジア人15%であった。投与前の血中HIV RNA量平均値は4.16log10コピー/mL、CD4陽性リンパ球数の中央値は228/mm3(範囲24-1306)であった。48週時の臨床成績を表4に示す。32)
DRV/r群800/100mg QD+OBR注4)294例
DRV/r群600/100mg BID+OBR296例
群間比較(95% 信頼区間)
ウイルス学的効果
212(72.1%)
210(70.9%)
1.2%(-6.1;8.5)注5)
HIV RNA量の投与前からの変化(平均値;log10コピー/mL)注2)
-1.84
-1.80
-0.04注6)(-0.24;0.16)
CD4陽性リンパ球数の投与前からの変化(中央値;/mm3)注3)
108
112
-5注6)(-25;16)
注1) TLOVRアルゴリズムにより補完注2) NC=Fで補完注3) LOCF(Last Observation Carried Forward)補完注4) Optimized background regimen:至適化された背景治療の組合せ注5) 反応率(%)の差の正規近似に基づく注6) 平均差
副作用発現率は、42.5%(125/294例)であった。主な副作用は、下痢42例(14.3%)、悪心38例(12.9%)、頭痛20例(6.8%)、発疹20例(6.8%)、腹痛14例(4.8%)、嘔吐13例(4.4%)であった。
ダルナビルはHIV-1プロテアーゼの2量体化及び酵素活性を阻害する。本剤はHIV-1感染細胞においてウイルスのコードするGag-Polポリ蛋白質の切断を選択的に阻害し、その結果、感染性を有する成熟ウイルスの形成を抑制する。本剤はKD4.5×10-12mol/LでHIV-1プロテアーゼに強い親和性を有しており、HIVプロテアーゼ阻害剤耐性関連変異の影響も受けにくかった。他の代表的な13種のヒトプロテアーゼに対する阻害作用は認められなかった。33),34),35),36),37)
コビシスタットは、CYP3Aの選択的な阻害薬である。
ダルナビルはヒトT細胞株、ヒト末梢血単核球及びヒト単球/マクロファージに急性感染させたHIV-1実験室株及び臨床分離株、並びにHIV-2実験室株に対し抑制作用(EC50値:1.2~8.5nmol/L)を示す。ダルナビルはHIV-1グループM(A、B、C、D、E、F、G)及びグループOの臨床分離株群及び初代分離株群にin vitroで抗ウイルス活性(EC50値:<0.1~4.3nmol/L)を示す。In vitroにおけるダルナビルの抗ウイルス作用は、50%細胞毒性作用を示す濃度(87~>100μmol/L)よりも十分に低い濃度で認められる。ダルナビルのEC50値はヒト血清存在下では中央値で5.4倍高い。ダルナビルはHIVプロテアーゼ阻害剤(アンプレナビル、ネルフィナビル及びリトナビル)と併用することにより相乗作用を示し、ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤(アバカビル、ジダノシン、エムトリシタビン、ラミブジン、サニルブジン、ザルシタビン及びジドブジン)、ヌクレオチド系逆転写酵素阻害剤(テノホビル)、非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤(エトラビリン、エファビレンツ、デラビルジン、ネビラピン及びリルピビリン)、HIVプロテアーゼ阻害剤(アタザナビル、インジナビル、ロピナビル、サキナビル及びtipranavir)及び融合阻害剤(enfuvirtide)と併用することにより相加作用を示した。ダルナビルとこれらの薬剤との併用において拮抗作用は認められなかった。38),39),40),41),42)
コビシスタットは、HIV-1に対する抗ウイルス活性を有さず、ダルナビルの抗ウイルス活性に対する拮抗作用は認められなかった。
ダルナビル存在下で培養した野生型HIV-1から耐性ウイルスを得るために、3年以上の継代を繰り返したところ、耐性ウイルスの発現が認められた。耐性ウイルスに対してダルナビルは400nmol/Lを超える濃度で増殖抑制を示した(in vitro)。この耐性ウイルスは、ダルナビルに対しての感受性が23~50倍低下しており、プロテアーゼ遺伝子に2~4個のアミノ酸置換を有していた。これらのウイルスのダルナビル耐性因子とプロテアーゼ内のアミノ酸変異の関連性は認められなかった。HIVプロテアーゼ阻害剤耐性変異を有する9株のHIV-1からダルナビルの耐性株(EC50値が53~641倍変化)をin vitroで獲得した結果、ダルナビル耐性株のプロテアーゼ内に22個のアミノ酸変異が出現し、このうちL10F、V32I、L33F、S37N、M46I、I47V、I50V、L63P、A71V及びI84Vの変異は耐性分離株の50%超に認められた。ダルナビル耐性(EC50値の比;fold change[FC]>10)となるには、これらの変異のうち最低8個のHIVプロテアーゼ阻害剤耐性関連変異が必要であり、うち2個の変異はすでにプロテアーゼ遺伝子内に存在していた。アンプレナビル、アタザナビル、インジナビル、ロピナビル、ネルフィナビル、リトナビル、サキナビルあるいはtipranavirに耐性の臨床分離株1,113株、並びに海外臨床試験C202/C213試験及びC208/C215試験解析に組み入れられた被験者のダルナビル投与開始前の分離株886株において、ダルナビルに対するFC>10(中央値)を示したのは、10個を超えるHIVプロテアーゼ阻害剤耐性関連変異を持ったサブグループのみであった。43),44),45)
HIVプロテアーゼ阻害剤には交叉耐性が認められやすい。アンプレナビル、アタザナビル、インジナビル、ロピナビル、ネルフィナビル、リトナビル、サキナビル又はtipranavirに対する感受性が低下した臨床分離株3,309株の90%に対して、ダルナビルの感受性低下は10倍未満であり、ほとんどのHIVプロテアーゼ阻害剤に対して耐性を示すウイルスにダルナビルの感受性は保持されていた。HIVプロテアーゼ阻害剤耐性株から選択したダルナビルに耐性を示す9株のうち7株について、tipranavirに関する耐性が検討され、7株のうち6株ではtipranavirに対する感受性低下が小さかった(FC<3)ことから、ダルナビルとtipranavirとの交叉耐性は限定的であることが示されている。作用機序の違いから、ヌクレオシド/ヌクレオチド系逆転写酵素阻害剤、非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤、融合阻害剤とダルナビルとの間に交叉耐性は生じないと考えられる。44),45)
ダルナビル エタノール付加物(Darunavir Ethanolate)
(3R,3aS,6aR)-Hexahydrofuro[2,3-b]furan-3-yl [(1S,2R)-3-{[(4-aminophenyl)sulfonyl](2-methylpropyl)amino}-1-benzyl-2-hydroxypropyl]carbamate monoethanolate
C27H37N3O7S・C2H6O
593.73
白色の粉末
100~105℃
Log P=2.47(1-オクタノール/pH7.0緩衝液)
N,N-ジメチルホルムアミドに極めて溶けやすく、アセトニトリルに溶けやすく、メタノールにやや溶けにくく、エタノール(99.5)に溶けにくく、2-プロパノール及び水に極めて溶けにくい。
コビシスタット(Cobicistat)
1,3-Thiazol-5-ylmethyl{(2R,5R)-5-[(2S)-2-(3-methyl-3-{[2-(1-methylethyl)-1,3-thiazol-4-yl]methyl}ureido)-4-(morpholin-4-yl)butanamido]-1,6-diphenylhexan-2-yl}carbamate
C40H53N7O5S2
776.02
白色~微黄色の固体
ガラス転移温度35℃、200℃以上(分解)
Log P=4.3(1-オクタノール/pH8.5緩衝液)
アセトニトリル、ジクロロメタン、ジメチルスルホキシド又はメタノールに溶けやすく、水又はヘプタンにほとんど溶けない。
小児の手の届かない所に保管すること。
30錠[ボトル、バラ]
1) 社内資料:ダルナビルの乳汁移行試験(TMC114-NC249)
2) 社内資料:コビシスタットの生殖発生毒性試験(TX-216-2033)
3) 社内資料:ダルナビルの反復投与毒性試験(TMC114-NC130)
4) 社内資料:ダルナビルの反復投与毒性試験(TMC114-NC132)
5) 社内資料:ダルナビルとリトナビルの反復併用投与毒性試験(TMC114-NC146)
6) 社内資料:ダルナビルのがん原性試験(TMC114-NC159)
7) 社内資料:ダルナビルのがん原性試験(TMC114-NC158)
8) 社内資料:ダルナビル・コビシスタット配合剤の薬物動態に関する検討(TMC114FD1HTX4002)
9) 社内資料:ダルナビル・コビシスタット配合剤の食事の影響及び薬物動態の検討(TMC114IFD1003)
10) 社内資料:ダルナビル/コビシスタットのHIV-1感染患者に対する臨床成績(GS-US-216-0130)
11) 社内資料:ダルナビル及びコビシスタットの薬物動態に関する検討(TMC114IFD1001)
12) 社内資料:ダルナビル及びリトナビルの食事の影響及び薬物動態の検討(TMC114C143)
13) 社内資料:ダルナビルの蛋白結合率の検討(TMC114-NC215(FK4948))
14) 社内資料:コビシスタットの蛋白結合率の検討(GS-US-183-0133(60N-1103A))
15) 社内資料:コビシスタットの蛋白結合率の検討(GS-US-216-0124(60N-1103B))
16) 社内資料:ダルナビルの代謝の検討(TMC114-NC112(TNO41201))
17) 社内資料:コビシスタットの薬物動態に関する検討(216-2025)
18) 社内資料:コビシスタットの代謝の検討(AD-216-2038)
19) 社内資料:ダルナビルの薬物動態に及ぼすリトナビルの影響(TMC114-C114)
20) 社内資料:ダルナビルの排泄の検討(TMC114-C109)
21) 社内資料:コビシスタットの排泄の検討(GS-US-216-0111)
22) Sekar V, et al.:Clin Pharmacokinet. 2010; 49(5): 343-350
23) 社内資料:ダルナビル/コビシスタットの妊婦における薬物動態の検討
24) 社内資料:ダルナビルのin vitro酵素阻害に関する検討(TMC114-NC123)
25) 社内資料:ダルナビルのトランスポーターに関する検討(TMC114-NC137)
26) 社内資料:コビシスタットのin vitro酵素阻害に関する検討(AD-216-2028)
27) 社内資料:コビシスタットのin vitro酵素阻害に関する検討(AD-216-2029)
28) 社内資料:コビシスタットのトランスポーターに関する検討(AD-216-2099)
29) 社内資料:コビシスタットのトランスポーターに関する検討(AD-216-2100)
30) 社内資料:コビシスタットのトランスポーターに関する検討(AD-216-2094)
31) 社内資料:ダルナビル/リトナビルとロピナビル/リトナビルの未治療HIV-1感染患者に対する臨床成績(TMC114-C211)
32) Cahn P, et al.:AIDS. 2011; 25(7): 929-939
33) Koh Y, et al.:J Biol Chem. 2007; 282(39): 28709-28720
34) 社内資料:ダルナビルの作用機序(TMC114-0009-VRR)
35) King N M, et al.:J Virol. 2004; 78(21): 12012-12021
36) 社内資料:ダルナビルの作用機序(TMC114-0003-VRR)
37) 社内資料:ダルナビルの作用機序(TMC114-0004-VRR)
38) 社内資料:ダルナビルの抗ウイルス作用(TMC114-0014-VRR)
39) 社内資料:ダルナビルの抗ウイルス作用(TMC114-0002-VRR)
40) 社内資料:ダルナビルの抗ウイルス作用(TMC114-0011-VRR)
41) 社内資料:ダルナビルの抗ウイルス作用(TMC114-0016-VRR)
42) 社内資料:ダルナビルの抗ウイルス作用(TMC114-0006-VRR)
43) 社内資料:ダルナビルの薬剤耐性(TMC114-0012-VRR)
44) 社内資料:ダルナビルの薬剤耐性(TMC114-0013-VRR)
45) 社内資料:ダルナビルの薬剤耐性(TMC114-0005-VRR)
ヤンセンファーマ株式会社 メディカルインフォメーションセンター
〒101-0065 東京都千代田区西神田3-5-2
フリーダイヤル 0120-183-275https://www.janssenpro.jp
ヤンセンファーマ株式会社
Copyright © Pharmaceuticals and Medical Devices Agency, All Rights reserved.