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劇薬
処方箋医薬品注)
B型慢性肝炎を合併している患者では、本剤の投与中止により、B型慢性肝炎が再燃するおそれがあるので、本剤の投与を中断する場合には十分注意すること。特に非代償性の場合、重症化するおそれがあるので注意すること。
HIV-1感染症
通常、成人及び12歳以上かつ体重40㎏以上の小児には、1回1錠(ダルナビルとして800mg、コビシスタットとして150mg、エムトリシタビンとして200mg及びテノホビル アラフェナミドとして10mgを含有)を1日1回食事中又は食直後に経口投与する。
HIVプロテアーゼ阻害剤で治療中の血友病患者において、皮膚血腫及び出血性関節症等の出血事象の増加が報告されている。
交叉過敏症があらわれる可能性がある。ダルナビルはスルホンアミド基を有する。
本剤の投与を中断する場合には十分注意すること。B型慢性肝炎を合併している患者では、本剤の投与中止により、B型慢性肝炎が再燃するおそれがある。特に非代償性の場合、重症化するおそれがある。
クレアチニンクリアランス及び血清リンの検査を実施すること。
観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止するなど、適切な処置を行うこと。テノホビル アラフェナミドフマル酸塩を含有する製剤の非臨床試験及び臨床試験において、骨密度の低下と骨代謝の生化学マーカーの上昇が認められ、骨代謝の亢進が示唆された。また、抗HIV薬による治療経験がないHIV-1感染症患者に対し、テノホビル アラフェナミドフマル酸塩を含有する製剤が投与された臨床試験において、骨密度が低下した症例が認められた。
投与しないこと。コルヒチンの血中濃度を上昇させる可能性がある。,
エムトリシタビンの血中濃度が上昇する
定期的に肝機能検査を行うなど患者の状態を十分に観察し、悪化が認められた場合には休薬又は投与中止を考慮すること。ダルナビル及びコビシスタットは主に肝臓で代謝され、肝障害患者では高い血中濃度が持続するおそれがある。
定期的に肝機能検査を行うなど患者の状態を十分に観察し、悪化が認められた場合には休薬又は投与中止を考慮すること。ダルナビル及びコビシスタットは主に肝臓で代謝され、肝障害患者では高い血中濃度が持続するおそれがある。また、肝機能をさらに悪化させる可能性がある。ダルナビルの海外第Ⅱb/Ⅲ相試験において、B型及び/又はC型肝炎重複感染患者では、有害事象及び臨床検査値異常のうち、肝酵素の上昇の発現頻度が非重複感染患者より高かった。
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、投与しないことが望ましい。本剤投与中に妊娠が判明した場合の代替薬への変更は、変更によるリスクを考慮した上で適切な時期に実施すること。妊娠中期及び妊娠後期の妊婦にダルナビル・コビシスタット配合剤を投与したとき、出産後と比較しダルナビル及びコビシスタットの血中濃度低下が認められている。また、動物試験(サル)においてテノホビルの胎児への移行が報告されている。
授乳を避けさせること。ダルナビル1)及びコビシスタット2)は、動物実験(ラット)で乳汁中へ移行することが報告されているが、ヒト乳汁中への移行は不明である。テノホビル及びエムトリシタビンのヒト乳汁中への移行が報告されているが3)、テノホビル アラフェナミドのヒト乳汁中への移行は不明である。また、HIV感染女性患者は、乳児のHIV感染を避けるため、乳児に母乳を与えないことが望ましい。
患者の肝、腎及び心機能の低下、合併症、併用薬等を十分に考慮すること。
リファンピシン
フェノバルビタール
フェニトイン
ホスフェニトイン
カルバマゼピン
,
ダルナビル、コビシスタット及びテノホビル アラフェナミドの血中濃度が低下し、本剤の効果が減弱するおそれがある。
これらの薬剤のCYP3A及びP糖蛋白誘導作用による。
セイヨウオトギリソウ(St. John’s Wort、セント・ジョーンズ・ワート)含有食品
トリアゾラム
ミダゾラム
これらの薬剤の血中濃度上昇により、過度の鎮静や呼吸抑制等の重篤な又は生命に危険を及ぼすような事象が起こる可能性がある。
ダルナビル及びコビシスタットのCYP3A阻害作用により、これらの薬剤の代謝が阻害される。
ピモジド
ピモジドの血中濃度上昇により、不整脈等の重篤な又は生命に危険を及ぼすような事象が起こる可能性がある。
シンバスタチン
シンバスタチンの血中濃度上昇により、横紋筋融解症が起こる可能性がある。
エルゴタミン酒石酸塩・無水カフェイン・イソプロピルアンチピリン
ジヒドロエルゴタミン
エルゴメトリンメチルエルゴメトリン
これらの薬剤の血中濃度上昇により、末梢血管痙縮、虚血等の重篤な又は生命に危険を及ぼすような事象が起こる可能性がある。
バルデナフィル
シルデナフィル
タダラフィル
これらの薬剤の血中濃度を上昇させるおそれがある。
ブロナンセリン
ブロナンセリンの血中濃度が上昇し、作用が増強するおそれがある。
アゼルニジピン
アゼルニジピン・オルメサルタン メドキソミル
アゼルニジピンの血中濃度が上昇し、作用が増強するおそれがある。
ルラシドン
ルラシドンの血中濃度が上昇し、作用が増強するおそれがある。
ロミタピド
ロミタピドの血中濃度が著しく上昇するおそれがある。
**フィネレノン
フィネレノンの血中濃度が著しく上昇するおそれがある。
イバブラジン
イバブラジンの血中濃度が上昇し、過度の徐脈があらわれることがある。
コビシスタットのCYP3A阻害作用により、これらの薬剤の代謝が阻害される。
*ベネトクラクス(再発又は難治性の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)の用量漸増期)
ベネトクラクスの血中濃度が上昇し、腫瘍崩壊症候群の発現が増強する可能性がある。
**イサブコナゾニウム硫酸塩
イサブコナゾールの血中濃度が上昇し、作用が増強するおそれがある。
グラゾプレビル
グラゾプレビルの血中濃度が上昇する可能性がある。
ダルナビル及びコビシスタットのCYP3A阻害作用及びOATP1B阻害作用により、グラゾプレビルの血中濃度が上昇することがある。
リバーロキサバン
チカグレロル
これらの薬剤の血中濃度が上昇し、作用が増強されることにより、出血の危険性が増大するおそれがある。
ダルナビル及びコビシスタットのCYP3A阻害作用又はP糖蛋白阻害作用により、これらの薬剤の血中濃度が上昇することがある。
デキサメタゾン(全身投与)
ダルナビル及びコビシスタットの血中濃度が低下し、本剤の効果が減弱するおそれがある。併用する場合には注意して投与すること。
デキサメタゾンのCYP3A誘導作用により、ダルナビル及びコビシスタットの代謝が促進される。
アトルバスタチン
アトルバスタチンの血中濃度上昇により、横紋筋融解症が起こる可能性がある。併用する場合には必要に応じてアトルバスタチンの投与量を減量するなど注意して投与すること。
サルメテロール
サルメテロールの血中濃度上昇により、QT延長、動悸、洞性頻脈等の心血管系事象の発現リスクが増大する可能性がある。併用する場合には必要に応じてサルメテロールの投与量を減量するなど注意して投与すること。
これらの薬剤の血中濃度を上昇させる可能性がある。併用する場合には必要に応じてこれらの薬剤の投与量を減量するなど注意して投与すること。
クロラゼプ酸ジアゼパムエスタゾラムフルラゼパムゾルピデム
アミオダロンベプリジルジソピラミドリドカイン(全身投与)キニジン
シクロスポリンタクロリムスシロリムステムシロリムス
クロナゼパムエトスクシミド
Ca拮抗剤(フェロジピン、ニフェジピン、ニカルジピン、アムロジピン、ジルチアゼム、ベラパミル等)
フルチカゾンブデソニドプレドニゾロン
ダサチニブエベロリムスニロチニブラパチニブビンブラスチンビンクリスチン
ボセンタン
アピキサバン
エプレレノン
トルバプタンエレトリプタン
**ダビガトランエテキシラート
ダルナビル及びコビシスタットのP糖蛋白阻害作用による。
アミトリプチリンイミプラミンパロキセチンノルトリプチリンセルトラリントラゾドン
ダルナビル及びコビシスタットのCYP3A又はCYP2D6阻害作用により、これらの薬剤の代謝が阻害される。
リスペリドンペルフェナジンクエチアピン
フェンタニルオキシコドントラマドール
プロパフェノン
トルテロジン
デキストロメトルファン
*ベネトクラクス(再発又は難治性の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)の維持投与期、急性骨髄性白血病)
ベネトクラクスの血中濃度が上昇し、副作用が増強するおそれがあるので、ベネトクラクスを減量するとともに患者の状態を慎重に観察すること。
カルベジロールメトプロロールチモロール
コビシスタットのCYP2D6阻害作用により、これらの薬剤の代謝が阻害される。
フレカイニドメキシレチン
ロスバスタチンプラバスタチンピタバスタチン
これらの薬剤の血中濃度上昇により、横紋筋融解症が起こる可能性がある。併用する場合には必要に応じてこれらの薬剤の投与量を減量するなど注意して投与すること。
機序不明
ジゴキシン
ジゴキシンの血中濃度を上昇させる可能性がある。併用する場合には必要に応じてジゴキシンの投与量を減量するなど注意して投与すること。
コルヒチン,,
コルヒチンの血中濃度を上昇させる可能性がある。併用する場合には必要に応じてコルヒチンの投与量を減量するなど注意して投与すること。
ダルナビル及びコビシスタットのCYP3A阻害作用又はP糖蛋白阻害作用による。
グレカプレビル・ピブレンタスビル
グレカプレビルの血中濃度を上昇させる可能性がある。併用する場合には必要に応じてグレカプレビル・ピブレンタスビルの投与量を減量するなど注意して投与すること。
ダルナビル及びコビシスタットのP糖蛋白、BCRP又はOATP1B阻害作用による。
ドロスピレノン
ドロスピレノンの血中濃度を上昇させる可能性がある。併用する場合には必要に応じてドロスピレノンの投与量を減量するなど注意して投与すること。
経口避妊剤(エチニルエストラジオール、ノルエチステロン等)
これらの薬剤の血中濃度を低下させる可能性がある。本剤を投与する場合は、別の避妊方法を行うことが望ましい。
メサドン
メサドンの血中濃度を低下させる可能性がある。併用する場合には注意して投与すること。
リファブチン
ダルナビル、コビシスタット及びテノホビル アラフェナミドの血中濃度が低下し、本剤の効果が減弱するおそれがある。また、リファブチンの血中濃度を上昇させる可能性がある。併用する場合には必要に応じて本剤又はリファブチンの投与量を調節するなど注意して投与すること。
リファブチンのCYP3A及びP糖蛋白誘導作用、及びダルナビル及びコビシスタットのCYP3A阻害作用による。
クラリスロマイシンエリスロマイシン
ダルナビル、コビシスタット又はこれらの薬剤の血中濃度が上昇する可能性がある。併用する場合には必要に応じて本剤又はこれらの薬剤の投与量を調節するなど注意して投与すること。
ダルナビル及びコビシスタットとこれらの薬剤のCYP3A阻害作用により、相互に代謝が阻害される。
イトラコナゾールケトコナゾール注)ボリコナゾールフルコナゾール
ダルナビル、コビシスタット、テノホビル アラフェナミド又はこれらの薬剤の血中濃度が上昇する可能性がある。併用する場合には必要に応じて本剤又はこれらの薬剤の投与量を調節するなど注意して投与すること。
ダルナビル、コビシスタット及びテノホビル アラフェナミドとこれらの薬剤のCYP3A及びP糖蛋白阻害作用による。
ワルファリン
ワルファリンの血中濃度に影響を与えることがある。併用する場合には必要に応じて本剤又はワルファリンの投与量を調節するなど注意して投与すること。
ダルナビル及びコビシスタットの薬物代謝酵素阻害作用により、血中濃度に変化がおこることがある。
アシクロビルバラシクロビルガンシクロビルバルガンシクロビル等
これらの薬剤、テノホビル又はエムトリシタビンの血中濃度が上昇し、有害事象を増強する可能性がある。併用する場合には必要に応じて本剤又はこれらの薬剤の投与量を調節するなど注意して投与すること。
尿細管への能動輸送により排泄される薬剤と併用する場合、排泄経路の競合により排泄が遅延する。
腎毒性を有する薬剤,
これらの薬剤との併用は避けることが望ましい。
これらの薬剤との併用により血中濃度が上昇するおそれがある。
重度の発疹があらわれた場合は、本剤の投与を直ちに中止し適切な処置を行うこと。
AST、ALT、γ-GTPの上昇等を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがある。
腎機能不全、腎不全、急性腎障害、近位腎尿細管機能障害、ファンコニー症候群、急性腎尿細管壊死、腎性尿崩症又は腎炎等の重度の腎機能障害があらわれることがある。臨床検査値に異常が認められた場合には、投与を中止するなど、適切な処置を行うこと。特に腎機能障害の既往がある患者や腎毒性のある薬剤が投与されている患者では注意すること。
乳酸アシドーシス又は肝細胞毒性が疑われる臨床症状又は検査値異常(アミノトランスフェラーゼの急激な上昇等)が認められた場合には、本剤の投与を一時中止すること。特に肝疾患の危険因子を有する患者においては注意すること。エムトリシタビン又はテノホビルを含む核酸系逆転写酵素阻害薬の単独投与又はこれらの併用療法により、重篤な乳酸アシドーシス及び脂肪沈着による重度の肝腫大(脂肪肝)が、女性に多く報告されている。
5%以上
5%未満
頻度不明
免疫系障害
過敏症、免疫再構築症候群
代謝及び栄養障害
糖尿病、食欲不振、体脂肪の再分布/蓄積
高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、高脂血症
精神障害
異常な夢
神経系障害
頭痛
胃腸障害
下痢、腹痛
悪心、嘔吐、消化不良、腹部膨満、鼓腸
膵酵素増加
肝胆道系障害
急性肝炎、肝酵素増加
皮膚及び皮下組織障害
発疹
そう痒症、蕁麻疹、血管性浮腫
筋骨格系及び結合組織障害
筋肉痛、骨壊死
生殖系及び乳房障害
女性化乳房
全身障害及び投与局所様態
疲労、無力症
臨床検査
総コレステロール増加、LDLコレステロール増加、トリグリセリド増加、ブドウ糖増加、AST増加、ALT増加、膵型アミラーゼ増加、血中クレアチニン増加
ALP増加
リパーゼ増加
ダルナビル及びコビシスタットは血漿蛋白結合率が高いため、透析により除去されないと考えられる。エムトリシタビン及びテノホビルは血液透析により一部除去される。
本剤を粉砕して使用しないこと。
健康成人8例に本剤を食後に単回経口投与したときの血漿中ダルナビル及びコビシスタット、エムトリシタビン、テノホビル アラフェナミドの薬物動態パラメータを表1に示す9)。
薬物動態パラメータ
平均値(標準偏差)、tmax:中央値(範囲)
8例
ダルナビル
コビシスタット
エムトリシタビン
テノホビルアラフェナミド
tmax(hr)
3.00(1.50-4.00)
2.50(2.00-4.00)
1.75(1.00-3.00)
1.25(0.75-2.50)
Cmax(ng/mL)
5965(958)
1094(273)
2671(431)
183(71.2)
AUC∞(ng・hr/mL)
58441(20276)
7325(2754)
11342(1262)
132(38.4)
t1/2(hr)
6.39(2.41)
3.69(0.70)
18.71(2.97)
0.26(0.06)
健康成人96例に本剤を食後に単回投与したときの血漿中ダルナビル及びコビシスタット、エムトリシタビン、テノホビル アラフェナミドの薬物動態パラメータを表2に示す10)。(外国人データ)
93例
94例
テノホビル アラフェナミド
4.00(1.50-8.00)
4.00(1.50-6.00)
2.00(0.60-5.00)
1.50(0.25-3.50)
7042(1481)
894(254)
2041(481)
110(54.1)
87280注1)(28097)
6785(2518)
11882注2)(2002)
127注3)(39.4)
5.9注1)(2.1)
3.7(0.7)
16.5注2)(3.3)
0.3注3)(0.1)
注1)87例注2)85例注3)79例
健康成人10例に本剤を1日1回食後に反復経口投与したときの血漿中ダルナビル及びコビシスタット、エムトリシタビン、テノホビル アラフェナミドの薬物動態パラメータ(12日目)を表3に示す11)。(外国人データ)
平均値(標準偏差)、tmax, t1/2:中央値(範囲)
10例
3.00(3.00-4.00)
3.00(2.00-4.00)
1.75(1.50-2.00)
0.50(0.50-1.00)
9743.2(1391.01)
1305.2(179.95)
2198.9(455.01)
130.7(51.19)
AUCtau(ng・hr/mL)
113654.8(27016.15)
10097.3(2395.47)
12602.1(2067.52)
-
AUClast(ng・hr/mL)
116.4(30.27)
7.13(6.53-9.01)
2.90(2.81-3.42)
5.48(4.74-6.96)
0.41(0.33-0.51)
抗HIV薬の治療経験がない成人HIV感染症患者又はダルナビル、エムトリシタビン、テノホビル アラフェナミド耐性関連変異を持たない抗HIV薬既治療のHIV感染患者21例に、本剤を1日1回食後に反復投与したときの血漿中ダルナビル及びコビシスタット、エムトリシタビン、テノホビル アラフェナミドの定常状態における薬物動態パラメータを表4に示す12)。(外国人データ)
平均値(変動係数)、tmax, t1/2:中央値(範囲)
21例
3.03(3.00-4.00)
1.52(1.50-2.00)
0.53(0.50-1.00)
8826.2(33.3)
1128.7(35.3)
2056.4(25.3)
163.0(51.9)
99301.8(45.3)
8744.5(43.9)
11918.0(35.9)
130.5(34.1)
9.42(6.31-13.87)
3.16(2.77-3.70)
7.51(6.40-8.79)
0.45(0.38-0.66)
本剤を空腹時に投与した結果、ダルナビルのAUClast及びCmaxは高脂肪食と共に投与した時と比較してそれぞれ34%及び45%低く、コビシスタットのAUClast及びCmaxは高脂肪食と共に投与した時と比較してそれぞれ29%及び23%低かった。また、エムトリシタビンのCmaxは高脂肪食と共に投与した時と比較して、空腹時に投与した時の方が26%高く、AUClastは同程度であった。テノホビル アラフェナミドのCmaxは高脂肪食と共に投与した時と比較して、空腹時に投与した時の方が82%高く、AUClastは同程度であった。なお、食事の内容は、AUC及びCmaxの変動の程度には影響しない。13)(外国人データ)
ヒト血漿蛋白結合率は約95%であり、主にα1-酸性糖蛋白に結合した14)。(in vitro試験、平衡透析法)
ヒト血漿蛋白結合率は、97~98%であった15),16)。(ex vivo試験、平衡透析法)
ヒト血漿蛋白結合率は、0.02〜200μg/mLの濃度範囲において濃度に依存せず4%未満であった。
ヒト血漿蛋白結合率は、77〜86%であった。
ヒト肝ミクロソームを用いたin vitro試験で、ダルナビルは主にCYP3A4により酸化的に代謝されることが示唆された。In vivo試験よりダルナビルの主な代謝物は3種類あり、野生型HIV株に対する活性はいずれも未変化体の10%以下であった。健康成人に14C標識したダルナビル/リトナビル400/100mgを単回経口投与したとき、血漿中放射能の大部分は未変化体由来であることが示された。17)
ヒト肝ミクロソーム及びCYPアイソザイムを用いたin vitro試験で、コビシスタットは主にCYP3Aにより酸化的に代謝され、一部CYP2D6で代謝されることが示唆された。また、グルクロン酸抱合体は検出されなかった。18),19)
エムトリシタビンは主に尿中に排泄され、代謝の影響をほとんど受けない。
経口投与後、末梢血単核球及びマクロファージのカテプシンA及び肝細胞のカルボキシルエステラーゼ1によりテノホビルに代謝され、その後、テノホビル二リン酸に代謝された。CYP分子種発現系酵素を用いた検討において、テノホビル アラフェナミドはCYP3Aでわずかに代謝された。
健康成人に14C標識したダルナビル/リトナビル400/100mgを単回経口投与したとき、投与放射能の約79.5%が糞中に、約13.9%が尿中に排泄された。また、未変化体の排泄率は、糞中が約41.2%、尿中が約7.7%であった。ダルナビル150mgを単独で静脈内投与したときの全身クリアランスは32.8L/h(平均値)であり、リトナビル100mgと併用したときの全身クリアランスは5.9L/h(平均値)であった。本剤を投与したときのダルナビルの消失半減期は、約6~7時間(中央値)であった。10),11),20),21)(外国人データ)
コビシスタット150mgを6日間反復投与した後に14C-コビシスタット150mgを経口投与したところ、投与量の86.2%(平均値)が糞中に、8.2%(平均値)が尿中に排泄された。経口投与後のコビシスタットの消失半減期は、約3~4時間(中央値)であった。22)(外国人データ)
健康被験者にエムトリシタビン200mgを反復投与後14C-エムトリシタビンを単回投与したところ、投与量の86%は尿中に、14%は糞中に回収された。また、14C-エムトリシタビンを単回投与したところ、投与量の13%の代謝物がヒト尿中に検出された。腎クリアランスが推定クレアチニンクリアランスを上回ったことから、糸球体ろ過と尿細管への能動輸送の両方による排泄が示唆された。(外国人データ)
健康被験者に14C-テノホビル アラフェナミドフマル酸塩25mgを単回投与したところ、投与量の47.2%が糞中に、36.2%が尿中に排泄された。その主成分はテノホビルであり、糞中の99%、尿中の86%を占めた。また、投与量の1.4%がテノホビル アラフェナミドとして尿中に排泄された。テノホビルは腎臓での糸球体ろ過と尿細管への能動輸送の両方により排泄された。(外国人データ)
本剤を用いた小児HIV-1感染患者を対象とした試験は実施していない。
12歳以上18歳未満で体重40kg以上の小児HIV-1感染患者を対象とし、2剤のNRTIを併用したダルナビル及びリトナビル(800/100mg)の非盲検試験における、小児HIV-1感染患者のダルナビルの薬物動態パラメータを表5に示す23)。(外国人データ)
12例
tmax (hr)
3.00 (1.00-6.00)
Cmax (ng/mL)
6721(1700)
Cmin (ng/mL)
1589 (768.2)注1)
AUC24h (ng・hr/mL)
81880 (26300) 注1)
注1)10例
12歳以上18歳未満で体重35kg以上の小児HIV-1感染患者を対象としたエルビテグラビル・コビシスタット・エムトリシタビン・テノホビル アラフェナミドフマル酸塩配合剤(150・150・200・10mg)の非盲検試験における、小児HIV-1感染患者のコビシスタット、エムトリシタビン、テノホビル アラフェナミド及びテノホビルの薬物動態パラメータを表6に示す。(外国人データ)
平均値(変動係数)、tmax:中央値(範囲)
24例
テノホビル
4.00(2.01-5.00)
2.00(1.00-4.00)
1.48(0.50-2.00)
3.00(1.00-4.00)
1202(35.0)
2265(22.5)
167(64.4)
18(23.7)
8241(36.1) 注1)
14424(23.9)
288(18.8) 注1)
189(55.8)
注1)23例
軽度(Child-Pugh分類クラスA、8例)及び中等度肝障害患者(Child-Pugh分類クラスB、8例)にダルナビル/リトナビル600/100mgを1日2回反復投与したときのダルナビルの薬物動態を健康被験者と比較したとき、顕著な差は認められなかった24)。なお、重度肝障害患者(Child-Pugh分類クラスC)を対象とした試験は実施していない。(外国人データ)
中等度の肝機能障害(Child-Pugh分類クラスB)を有する被験者において、コビシスタット150mg投与時の薬物動態を健康被験者と比較したとき、顕著な差は認められなかった。なお、重度肝障害患者(Child-Pugh分類クラスC)を対象とした試験は実施していない。(外国人データ)
肝機能障害患者を対象とした試験は実施していない。
軽度肝障害患者(Child-Pugh分類クラスA)及び中等度肝障害患者(Child-Pugh分類クラスB)にテノホビル アラフェナミド25mgを単回投与したときのテノホビル アラフェナミド及びテノホビルの薬物動態を健康被験者と比較したとき、顕著な差は認められなかった。なお、重度肝障害患者(Child-Pugh分類クラスC)を対象とした試験は実施していない。(外国人データ)
中等度腎障害(CLCRが30~60mL/min)を有するHIV-1感染患者(20例)において、腎機能の低下によりダルナビル600mgの薬物動態に有意な影響がないことが示された。重度腎障害又は末期腎疾患を有するHIV-1感染患者における試験は実施されていない。(外国人データ)
重度腎障害(CLCRが30mL/min未満)を有する被験者において、コビシスタット150mgの薬物動態を検討した。コビシスタットの薬物動態を健康被験者と比較したとき、顕著な差は認められなかった。(外国人データ)
重度腎機能障害を有する被験者(CLCRが30mL/min未満)における、エムトリシタビン200mg単回投与時のエムトリシタビンのCmax及びAUCは、CLCRが80mL/min超の被験者に対し、それぞれ約30%及び約200%上昇した。(外国人データ)
重度腎機能障害を有する被験者(CLCRが15mL/min以上30mL/min未満の非透析患者)における、テノホビル アラフェナミド25mg単回投与時のテノホビル アラフェナミドのCmax及びAUCは、CLCRが90mL/min超の被験者に対してそれぞれ79%及び92%上昇し、テノホビルのCmax及びAUCは、それぞれ179%及び474%上昇した。CLCRが15mL/min未満の腎機能障害を有する被験者における薬物動態は検討していない。(外国人データ)
妊娠中期のHIV感染患者(7例)に、ダルナビル・コビシスタット配合剤(800・150mg)を1日1回投与したとき、ダルナビルのCmax、AUC24h及びCminは、出産後(6~12週;6例)と比較してそれぞれ49%、56%及び92%減少した。妊娠後期(6例)では、ダルナビルのCmax、AUC24h及びCminはそれぞれ37%、50%及び89%減少した25)。(外国人データ)
CYP3Aで代謝され、CYP3A(Ki:0.4μmol/L)及びCYP2D6(Ki:41μmol/L)を阻害し、またP糖蛋白(IC50:32.9μmol/L)を阻害する26),27)。
CYP3A及びCYP2D6で代謝され、CYP3A(IC50:0.03~0.29μmol/L)及びCYP2D6(IC50:9.17μmol/L)を阻害し、またP糖蛋白、BCRP(IC50:59μmol/L)、OATP1B1(IC50:3.50μmol/L)、OATP1B3(IC50:1.88μmol/L)及びMATE1(IC50:1.87μmol/L)を阻害する28),29),30),31),32)。
OAT3の基質である。
CYP3Aで代謝される。P糖蛋白、BCRP、OATP1B1及びOATP1B3の基質である。
OAT1、OAT3及びMRP4の基質であり、OAT1に対する阻害作用(IC50:29.3μmol/L)は弱かった。
本剤を用いた薬物相互作用試験は実施されていないため、ダルナビル・コビシスタット配合剤、ダルナビル、コビシスタット、エムトリシタビン、テノホビル アラフェナミドを用いた試験成績を示す。
ダルナビル・コビシスタット配合剤が併用薬の薬物動態に及ぼす影響について表7に示す。
併用薬
併用薬の用法・用量
ダルナビル・コビシスタット配合剤の用法・用量
例数
併用薬の薬物動態パラメータ:幾何最小二乗平均の比[90%信頼区間]
Cmax
AUC∞
ダビガトランエテキシラート
150mg単回
ダルナビル・コビシスタット 800・150mg単回
14
2.64[2.29, 3.05]
2.64[2.32, 3.00]
ダルナビル・コビシスタット 800・150mg1日1回注1)
1.99[1.72, 2.30]
1.88[1.65, 2.13]
注1)ダルナビル・コビシスタット800・150mgを1日1回17日間反復経口投与し、投与15日目にダビガトランエテキシラート150mgを単回経口投与
併用薬がダルナビルの薬物動態に及ぼす影響及びダルナビルが併用薬の薬物動態に及ぼす影響について表8、9に示す。,
併用薬の用法及び用量
ダルナビルの用法及び用量
リトナビルの用法及び用量
他剤併用時/非併用時のダルナビルの薬物動態パラメータの比[90%信頼区間]
AUC
Cmin
エファビレンツ
600mg1日1回
300mg1日2回
100mg1日2回
12
0.85[0.72, 1.00]
0.87[0.75, 1.01]
0.69[0.54, 0.87]
ネビラピン
200mg1日2回
400mg1日2回
8
1.40[1.14, 1.73]
1.23[0.97, 1.57]
1.02[0.79, 1.32]
セルトラリン
50mg1日1回
13
1.01[0.89, 1.14]
0.98[0.84, 1.14]
0.94[0.76, 1.16]
パロキセチン
20mg1日1回
16
0.97[0.92, 1.02]
1.02[0.95, 1.10]
1.07[0.96, 1.19]
ラニチジン
150mg1日2回
0.96[0.89, 1.05]
0.95[0.90, 1.01]
0.94[0.90, 0.99]
オメプラゾール
1.02[0.95, 1.09]
1.04[0.96, 1.13]
1.08[0.93, 1.25]
ジダノシン
400mg1日1回
600mg1日2回
17
0.93[0.86, 1.00]
1.01[0.95, 1.07]
1.07[0.95, 1.21]
テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩
300mg1日1回
1.16[0.94, 1.42]
1.21[0.95, 1.54]
1.24[0.90, 1.69]
ケトコナゾール
1.21[1.04, 1.40]
1.42[1.23, 1.65]
1.73[1.39, 2.14]
クラリスロマイシン
500mg1日2回
0.83[0.72, 0.96]
1.01[0.81, 1.26]
150mg隔日1回
11注1)
1.42[1.21, 1.67]
1.57[1.28, 1.93]
1.75[1.28, 2.37]
1.04[0.93, 1.16]
0.99[0.90, 1.08]
0.85[0.73, 1.00]
リルピビリン
150mg1日1回
800mg1日1回
100mg1日1回
14注2)
0.90[0.81, 1.00]
0.89[0.81, 0.99]
0.89[0.68, 1.16]
エトラビリン
10注2)
1.11[1.01, 1.22]
1.15[1.05, 1.26]
1.02[0.90, 1.17]
アルテメテル・ルメファントリン配合剤
アルテメテル・ルメファントリン配合剤80・480mg,3日間投与 (0, 8, 24, 36, 48及び60時間に投与)
1.00[0.93, 1.07]
0.96[0.90, 1.03]
0.87[0.77, 0.98]
ロピナビル
ロピナビル・リトナビル配合剤400・100mg1日2回
9
0.61[0.51, 0.74]
0.47[0.40, 0.55]
0.35[0.29, 0.42]
NA
0.67[0.53, 0.84]
0.47[0.37, 0.59]
0.36[0.29, 0.46]
インジナビル
800mg1日2回
1.11[0.98, 1.26]
1.24[1.09, 1.42]
1.44[1.13, 1.82]
アタザナビル
1.02[0.96, 1.09]
1.03[0.94, 1.12]
1.01[0.88, 1.16]
NA:未投与注1)非併用投与時:16例注2)非併用投与時:15例
他剤併用時/非併用時の併用薬の薬物動態パラメータの比[90%信頼区間]
1.15[0.97, 1.35]
1.21[1.08, 1.36]
1.17[1.01, 1.36]
1.18[1.02, 1.37]
1.27[1.12, 1.44]
1.47[1.20, 1.82]
プラバスタチン
40mg単回
1.63[0.95, 2.82]
1.81[1.23, 2.66]
NC
0.56[0.49, 0.63]
0.51[0.46, 0.58]
0.51[0.45, 0.57]
0.64[0.59, 0.71]
0.61[0.56, 0.66]
0.63[0.55, 0.73]
0.84[0.59, 1.20]
0.91[0.75, 1.10]
1.24[1.08, 1.42]
1.22[1.10, 1.35]
1.37 注1)[1.19, 1.57]
R(-)メサドン
メサドン55~150mg1日1回
0.76[0.71, 0.81]
0.84[0.78, 0.91]
0.85[0.77, 0.94]
S(+)メサドン
0.56[0.51, 0.62]
0.64[0.58, 0.71]
0.60[0.53, 0.69]
シルデナフィル25mg単回注2)/100mg単回注3)
0.62[0.55, 0.70]
0.97[0.86, 1.09]
N-デスメチルシルデナフィル
0.05[0.04, 0.05]
0.05[0.04, 0.08]
15
2.11[1.81, 2.44]
3.12[2.65, 3.68]
9.68[6.44, 14.55]
エチニルエストラジオール
エチニルエストラジオール・ノルエチステロン配合剤(各35 μg・1.0mg含有)1日1回
11注4)
0.68[0.61, 0.74]
0.56[0.50, 0.63]
0.38[0.27, 0.54]
ノルエチステロン
0.90[0.83, 0.97]
0.86[0.75, 0.98]
0.70[0.51, 0.97]
アトルバスタチン10mg1日1回注2)/40mg1日1回注3)
0.56[0.48, 0.67]
0.85[0.76, 0.97]
1.81[1.37, 2.40]
アトルバスタチンラクトン
0.85[0.76, 0.96]
2.08[1.63, 2.65]
1.26[1.03, 1.54]
1.57[1.35, 1.84]
2.74[2.30, 3.26]
0.4mg単回
1.15[0.89, 1.48]
1.36[0.81, 2.26]
リファブチン150mg隔日1回注2)/300mg1日1回注3)
11注5)
0.72[0.55, 0.93]
0.93[0.80, 1.09]
1.64[1.48, 1.81]
25-脱アセチル体代謝物
4.77[4.04, 5.63]
9.81[8.09, 11.9]
27.1[22.15, 33.16]
ブプレノルフィン
ブプレノルフィン・ナロキソン配合剤1日1回最大16・4mg
0.92[0.79, 1.08]
0.89[0.78, 1.02]
0.98[0.82, 1.16]
ノルブプレノルフィン
1.36[1.06, 1.74]
1.46[1.15, 1.85]
1.71[1.29, 2.27]
1.43[1.34, 1.53]
1.45[1.35, 1.57]
1.54[1.41, 1.68]
カルバマゼピンエポキシド
0.46[0.43, 0.49]
0.46[0.44, 0.49]
0.48[0.45, 0.51]
ラルテグラビル
6
0.67注6)[0.33, 1.37]
0.71注6)[0.38, 1.33]
マラビロク
2.29注6)[1.46, 3.59]
4.05注6)[2.94, 5.59]
8.00[6.35, 10.1]
1.79[1.56, 2.06]
2.30[1.98, 2.67]
2.78[2.39, 3.24]
200mg1日2回注2)/100mg1日2回注3)
10注7)
1.81[1.56, 2.11]
1.80[1.56, 2.08]
1.67[1.38, 2.03]
アルテメテル
アルテメテル・ルメファントリン配合剤80・480mg,3日間投与(0, 8, 24, 36, 48及び60時間に投与)
14注5)
0.82[0.61, 1.11]
0.84[0.69, 1.02]
0.97[0.90, 1.05]
ジヒドロアルテミシニン
0.82[0.66, 1.01]
0.82[0.74, 0.91]
1.00[0.82, 1.22]
ルメファントリン
1.65[1.49, 1.83]
2.75[2.46, 3.08]
2.26注8)[1.92, 2.67]
1.22[1.12, 1.32]
1.37[1.27, 1.49]
1.72[1.46, 2.03]
0.83[0.70, 0.99]
0.81[0.70, 0.94]
0.65[0.48, 0.88]
1.08[0.95, 1.22]
1.23[1.06, 1.42]
2.25[1.63, 3.10]
S-ワルファリン
ワルファリン10mg + ビタミンK1 10mg + デキストロメトルファン 30mg + オメプラゾール 40mg単回
0.92[0.86, 0.98]
0.79[0.74, 0.86]
7-OH-S-ワルファリン
1.43[1.24, 1.64]
1.24[0.97, 1.58]
2.27[1.59, 3.26]
2.70[1.80, 4.05]
デキストルファン
0.66[0.48, 0.91]
0.58[0.51, 0.67]
5-OH-オメプラゾール
0.94[0.72, 1.22]
0.85[0.77, 0.93]
NA:未投与、NC:未算出注1)11例注2)ダルナビル/リトナビル併用投与時の用法及び用量注3)非併用投与時の用法及び用量注4)非併用投与時:13例注5)非併用投与時:15例注6)幾何平均の比注7)非併用投与時:11例注8)13例
併用薬がコビシスタットの薬物動態に及ぼす影響及びコビシスタットが併用薬の薬物動態に及ぼす影響について表10、11に示す。
コビシスタットの用法及び用量
他剤併用時/非併用時のコビシスタットの薬物動態パラメータの比[90%信頼区間]
Ctau
ファモチジン
40mg1日1回夜,食後,エルビテグラビル,コビシスタット投与後12時間後
150mg1日1回,朝,食後
10
1.04[0.99, 1.08]
1.05[1.02, 1.08]
1.15[1.06, 1.26]
40mg1日1回朝,食後
1.06 [0.99, 1.13]
1.03[0.97, 1.11]
1.11[1.00, 1.24]
20mg1日1回,朝,絶食下
11
0.90[0.82, 0.99]
0.92[0.85, 1.01]
0.93[0.74, 1.17]
20mg1日1回,夜,絶食下,エルビテグラビル,コビシスタット投与後12時間後
0.94[0.85, 1.05]
0.99[0.89, 1.09]
1.02 注2)[0.82, 1.28]
注1)エルビテグラビル150mg 1日1回との併用投与注2)10例
デシプラミン(国内未承認)
50mg単回
1.24[1.08, 1.44]
1.58[1.35, 1.84]
0.5mg単回
22
1.41[1.29, 1.55]
1.20[1.10, 1.30]
600mg単回
0.87[0.80, 0.94]
0.93[0.90, 0.96]
ロスバスタチン
10mg単回
1.89[1.48, 2.42]
1.38[1.14, 1.67]
1.43[1.08, 1.89]注2)
リファブチン150mg隔日1回注3)/300mg1日1回注4)
1.09[0.98, 1.20]
0.92[0.83, 1.03]
0.94[0.85, 1.04]
4.84[4.09, 5.74]
6.25[5.08, 7.69]
4.94[4.04, 6.04]
ノルゲスチメート及びエチニルエストラジオール
0.180/0.215/0.250mgノルゲスチメート1日1回
150mg1日1回注5)
2.08[2.00, 2.17]
2.26[2.15, 2.37]
2.67[2.43, 2.92]
0.025mgエチニルエストラジオール1日1回
0.94[0.86, 1.04]
0.75[0.69, 0.81]
0.56[0.52, 0.61]
ブプレノルフィン16~24mg1日1回
1.12[0.98, 1.27]
1.35[1.18, 1.55]
1.66[1.31, 1.93]
1.24[1.03, 1.49]
1.42[1.22, 1.67]
1.57[1.31, 1.88]
R-メサドン
メサドン80 ~ 120mg1日1回
1.01[0.91, 1.13]
1.10[0.95, 1.28]
S-メサドン
0.96[0.87, 1.06]
1.00[0.89, 1.12]
1.02[0.89, 1.17]
ナロキソン
4 ~ 6mg1日1回
0.72[0.61, 0.85]
0.72[0.59, 0.87]
NC:未算出注1)エルビテグラビル150mg1日1回との併用投与(デシプラミン、ジゴキシン及びエファビレンツとの薬物相互作用試験はコビシスタットを単独投与)注2)Clast注3)コビシスタット併用投与時の用法及び用量注4)非併用投与時の用法及び用量注5)エルビテグラビル・コビシスタット・エムトリシタビン・テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩配合剤を用いた試験
併用薬がエムトリシタビンの薬物動態に及ぼす影響及びエムトリシタビンが併用薬の薬物動態に及ぼす影響について表12、13に示す。
エムトリシタビンの用量
他剤併用時/非併用時のエムトリシタビンの薬物動態パラメータの比[90%信頼区間]
800mg+コビシスタット150mg1日1回
200mg1日1回注1)
1.13[1.02, 1.24]
1.24[1.17, 1.31]
1.31[1.24, 1.38]
200mg1日1回
0.90[0.81, 0.99]
0.92[0.87, 0.96]
200mg1日1回注2)
19
0.90[0.82, 0.98]
0.84[0.81, 0.88]
タクロリムス
0.05mg/kg1日2回
200mg1日1回注3)
21
0.89[0.83, 0.95]
0.95[0.91, 0.99]
1.03[0.96, 1.10]
ファムシクロビル
500mg単回
200mg単回
0.90[0.80, 1.01]
0.93[0.87, 0.99]
300mg1日1回7日間
200mg1日1回7日間
1.07[1.00, 1.14]
1.20[1.12, 1.29]
800mg単回
0.92[0.82, 1.04]
1.01[0.94, 1.09]
サニルブジン
1.04[0.94, 1.16]
1.02[0.94, 1.11]
ジドブジン
300mg1日2回7日間
27
0.97[0.90, 1.04]
0.97[0.93, 1.01]
0.96[0.88, 1.04]
ソホスブビル・ベルパタスビル配合剤
400・100mg1日1回
24
1.02[0.97, 1.06]
1.01[0.98, 1.04]
1.02[0.97, 1.07]
NC:未算出注1)エムトリシタビン・テノホビル アラフェナミド配合剤を用いた薬物動態試験注2)エルビテグラビル・コビシスタット・エムトリシタビン・テノホビル アラフェナミド(10mg)配合剤を用いた薬物動態試験注3)エムトリシタビン・テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩配合剤を用いた薬物動態試験
1.03[0.95, 1.11]
1.00[0.92, 1.09]
1.02[0.92, 1.13]
0.98[0.84, 1.13]
1.05[0.95, 1.16]
1.09[0.83, 1.44]
1.17[1.00, 1.38]
1.13[1.05, 1.20]
0.98[0.89, 1.09]
NC:未算出
併用薬がテノホビル アラフェナミドの薬物動態に及ぼす影響及びテノホビル アラフェナミドが併用薬の薬物動態に及ぼす影響について表14、15に示す。,
テノホビル アラフェナミドの用量
他剤併用時/非併用時のテノホビル アラフェナミドの薬物動態パラメータの比[90%信頼区間]
25mg単回
26
0.43[0.36, 0.51]
0.45[0.40, 0.51]
300mg+リトナビル100mg1日1回
1.77[1.28, 2.44]
1.91[1.55, 2.35]
8mg1日1回
2.83[2.20, 3.65]
2.65[2.29, 3.07]
25mg1日1回注1)
0.93[0.72, 1.21]
0.98[0.80, 1.19]
800mg+リトナビル100mg1日1回
1.42[0.96, 2.09]
1.06[0.84, 1.35]
ドルテグラビル
1.24[0.88, 1.74]
1.19[0.96, 1.48]
40mg1日1回
0.78[0.58, 1.05]
0.86[0.2, 1.02]
ロピナビル・リトナビル配合剤
800mg+リトナビル200mg1日1回
2.19[1.72, 2.79]
1.47[1.17, 1.85]
10mg1日1回注2)
1.00[0.86, 1.16]
0.96[0.89, 1.03]
25mg1日1回
32
1.01[0.84, 1.22]
1.01[0.94, 1.10]
0.80[0.68, 0.94]
0.87[0.81, 0.94]
NC:未算出注1)エムトリシタビン・テノホビル アラフェナミドフマル酸塩配合剤を用いた薬物動態試験注2)エルビテグラビル・コビシスタット・エムトリシタビン・テノホビル アラフェナミド(10mg)配合剤を用いた薬物動態試験
他剤併用時/非併用時の併用薬の薬物動態パラメータの比[90%信頼区間]
0.70[0.65, 0.74]
0.77[0.74, 0.81]
0.98[0.89, 1.07]
0.99[0.96, 1.01]
1.00[0.96, 1.04]
1.06[1.00, 1.12]
1.09[1.03, 1.15]
1.11[0.98, 1.25]
0.99[0.92, 1.07]
0.97[0.82, 1.15]
0.99[0.91, 1.08]
1.01[0.96, 1.06]
1.13[0.95, 1.34]
0.87[0.79, 0.96]
0.98[0.93, 1.03]
0.95[0.88, 1.03]
1.00[0.95, 1.06]
0.98[0.85, 1.12]
2.5mg単回経口
18
1.12[1.03, 1.22]
1mg単回静脈内
0.99[0.89, 1.11]
1.08[1.04, 1.14]
20
1.14[0.94, 1.38]
1.09[0.90,1.32]
1.13[1.04, 1.23]
ベルパタスビル
ベルパタスビル100mg+ソホスブビル+400mg1日1回
1.30[1.17, 1.45]
1.50[1.35, 1.66]
1.60[1.44, 1.78]
ソホスブビル
1.23[1.07, 1.42]
1.37[1.24, 1.52]
ソホスブビルの主代謝物
1.29[1.25, 1.33]
1.48[1.43, 1.53]
1.58[1.52, 1.65]
NC:未算出注1)エムトリシタビン・テノホビル アラフェナミドフマル酸塩配合剤を用いた薬物動態試験注2)エルビテグラビル・コビシスタット・テノホビル アラフェナミド(10mg)・エムトリシタビン配合剤を用いた薬物動態試験
抗HIV薬治療未経験のHIV-1感染患者を対象に、本剤(本剤群)の有効性及び安全性を検討するため、ダルナビル・コビシスタット配合剤(DRV・COBI)とエムトリシタビン・テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩配合剤(FTC・TDF)の併用(DRV・COBI、FTC・TDF併用群)を対照としたランダム化二重盲検並行群間比較試験を実施した。48週時の臨床成績を表1に示す。FDAのsnapshotアプローチに基づく48週時のウイルス学的効果(HIV-1 RNA量が50copies/mL未満に維持されていた患者の割合)を主要評価項目とし、DRV・COBI、FTC・TDF併用群に対する本剤群の非劣性が検証された[群間差(95%CI):2.7(-1.6〜7.1)%]。33),
本剤群362例
DRV・COBI、FTC・TDF併用群363例
ウイルス学的効果HIV RNA量<50copies/mL
331(91.4%)
321(88.4%)
ウイルス学的治療失敗注1)
16(4.4%)
12(3.3%)
注1)48週時にHIV RNA量が50copies/mL以上の患者、有効性の欠如又は消失のために試験を中止した患者、有害事象、死亡及び有効性の欠如又は消失以外の理由で試験を中止し中止時点のウイルス量が50copies/mL以上であった患者を含む。
副作用は362例中182例(50.3%)に認められた。主な副作用は、下痢71例(19.6%)、頭痛47例(13.0%)、発疹44例(12.2%)、悪心28例(7.7%)、疲労19例(5.2%)であった。
プロテアーゼ阻害剤、薬物動態学的増強因子(ブースター)及びFTC・TDF配合剤の併用投与によりウイルス学的抑制が得られているHIV-1感染患者を対象に、本剤1日1回投与に切り替えた際の有効性及び安全性を評価するためのランダム化非盲検並行群間比較試験を実施した。48週時の臨床成績を表2に示す。治験実施計画書の規定に基づく48週時までのウイルス学的リバウンド(HIV-1 RNA量が50copies/mL以上となった患者の割合)を主要評価項目とし、治療継続群に対する本剤群の非劣性が検証された[群間差(95%CI):0.4(-1.5~2.2)%]。34),
本剤群763例
治療継続群378例
ウイルス学的リバウンド注1)HIV RNA量≥50copies/mL
19(2.5%)
8(2.1%)
ウイルス学的効果注2)HIV RNA量<50copies/mL
724(94.9%)
354(93.7%)
注1)48週時までにHIV RNA量が50copies/mL以上の患者、及び理由を問わず試験を早期に中止し、中止時点のウイルス量が50copies/mL以上であった患者注2)FDAのsnapshotアプローチに基づくウイルス学的効果
副作用は763例中236例(30.9%)に認められた。主な副作用は、下痢60例(7.9%)、頭痛58例(7.6%)、腹痛41例(5.4%)、発疹28例(3.7%)、嘔吐22例(2.9%)であった。
ダルナビルはHIV-1プロテアーゼの2量体化及び酵素活性を阻害する。本剤はHIV-1感染細胞においてウイルスのコードするGag-Polポリタンパク質の切断を選択的に阻害し、その結果、感染性を有する成熟ウイルスの形成を抑制する。本剤はHIV-1プロテアーゼに強い親和性(KD4.5×10-12mol/L)を有しており、HIVプロテアーゼ阻害剤耐性関連変異の影響も受けにくかった。他の代表的な13種のヒトプロテアーゼに対する阻害作用は認められなかった。35),36),37),38),39)
コビシスタットは、CYP3Aの選択的な阻害薬である。CYP3Aによる代謝によって吸収率の低下及び半減期の短縮が認められるダルナビル等のCYP3A基質に対し、CYP3Aを阻害することによって体内曝露を増加させる。
エムトリシタビン(FTC)は、シチジンの合成ヌクレオシド誘導体であり、細胞内酵素によりリン酸化されエムトリシタビン5’-三リン酸となる。エムトリシタビン5’-三リン酸はHIV-1 RTによりウイルスDNAへ取り込まれた後、DNA鎖伸長を停止させることによりHIV-1ウイルスの複製を阻害する。FTCはヒトHIV(HIV-1及びHIV-2)並びにB型肝炎ウイルスに対して特異的に作用する。ミトコンドリアDNAポリメラーゼγを含む哺乳類のDNAポリメラーゼに対するエムトリシタビン5’-三リン酸の阻害作用は弱く、in vitro及びin vivoにおけるミトコンドリア障害を示す結果は得られていない。
テノホビル アラフェナミド(TAF)は、テノホビルのホスホンアミド酸プロドラッグ(2’-デオキシアデノシン一リン酸誘導体)である。TAFは細胞内透過性を有し、血漿中の安定性が高く、カテプシンAにより加水分解を受けて細胞内で活性化される。そのため、テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩(TDF)と比べ、TAFはリンパ球及びHIVが標的とするリンパ球以外の末梢血単核球、並びにマクロファージへより効率的に送達する。その後、細胞内でリン酸化を受け、活性代謝物のテノホビル二リン酸となる。テノホビル二リン酸は、HIV RTによりウイルスDNAに取り込まれた後、DNA鎖伸長を停止させることにより、HIVの複製を阻害する。テノホビルはヒトHIVウイルス(HIV-1及びHIV-2)、並びにB型肝炎ウイルスに特異的に作用する。In vitro試験では、FTCとテノホビルを併用すると細胞内で完全にリン酸化される。ミトコンドリアDNAポリメラーゼγを含む哺乳類のDNAポリメラーゼに対するテノホビル二リン酸の阻害作用は弱い。ミトコンドリアDNA分析を含む複数の評価から、in vitroでミトコンドリア障害を示す結果は得られていない。
ダルナビルはヒトT細胞株、ヒト末梢血単核球及びヒト単球/マクロファージに急性感染させたHIV-1実験室株及び臨床分離株、並びにHIV-2実験室株に対し抑制作用(EC50値:1.2~8.5nmol/L)を示す。ダルナビルはHIV-1グループM(A、B、C、D、E、F、G)及びグループOの臨床分離株群及び初代分離株群にin vitroで抗ウイルス活性(EC50値:<0.1~4.3nmol/L)を示す。In vitroにおけるダルナビルの抗ウイルス作用は、50%細胞毒性作用を示す濃度(87~>100μmol/L)よりも十分に低い濃度で認められる。ダルナビルのEC50値はヒト血清存在下では中央値で5.4倍高い。ダルナビルはHIVプロテアーゼ阻害剤(アンプレナビル、ネルフィナビル及びリトナビル)と併用することにより相乗作用を示し、NRTI(アバカビル、ジダノシン、FTC、ラミブジン、サニルブジン、テノホビル及びジドブジン)、NNRTI(エトラビリン、エファビレンツ、ネビラピン及びリルピビリン)、HIVプロテアーゼ阻害剤(アタザナビル、インジナビル、ロピナビル、サキナビル及びtipranavir)及び融合阻害剤(enfuvirtide)と併用することにより相加作用を示した。ダルナビルとこれらの薬剤との併用において拮抗作用は認められなかった。40),41),42),43),44)
コビシスタットは、HIV-1に対する抗ウイルス活性を有さず、ダルナビル、FTC及びTAFの抗ウイルス活性に対する拮抗作用は認められなかった。
ヒトリンパ芽球様細胞株、MAGI-CCR5細胞株及び末梢血単核球を用いて、HIV-1の実験室株及び臨床分離株に対するFTCの抗ウイルス活性を評価した。FTCのEC50値は、0.0013~0.64μmol/Lの範囲であった。FTCは、培養細胞系においてHIV-1のサブタイプA、B、C、D、E、F及びGに対して抗ウイルス活性を示し(EC50値:0.007~0.075μmol/L)、HIV-2に対して株特異的な抗ウイルス活性を示した(EC50値:0.007~1.5μmol/L)。FTCは、NRTI(アバカビル、ジダノシン、ラミブジン、サニルブジン、テノホビル及びジドブジン)、NNRTI(エファビレンツ、ネビラピン及びリルピビリン)、プロテアーゼ阻害剤(アンプレナビル、ネルフィナビル、リトナビル及びサキナビル)、並びにインテグラーゼ阻害剤のエルビテグラビルとの2剤併用試験において、相加又は相乗効果を示した。これらの薬剤との併用では拮抗作用はみられなかった。
リンパ芽球様細胞株、末梢血単核球、初代培養単球/マクロファージ及びCD4陽性Tリンパ球を用いて、HIV-1サブタイプBの実験室株及び臨床分離株に対するTAFの抗ウイルス活性を評価した。TAFのEC50値は、2.0〜14.7nmol/Lの範囲であった。TAFは、培養細胞系においてサブタイプA、B、C、D、E、F及びGを含むHIV-1のすべてのグループ(M、N、O)に対して抗ウイルス活性を示し(EC50値:0.10~12.0nmol/L)、HIV-2に対して株特異的な抗ウイルス活性を示した(EC50値:0.91~2.63nmol/L)。TAFは、主要なクラスの代表的な既承認抗HIV薬(NRTI、NNRTI、インテグラーゼ阻害剤及びプロテアーゼ阻害剤)との併用により相加又は相乗効果を示した。これらの薬剤との併用では拮抗作用はみられなかった。
ダルナビル存在下で培養した野生型HIV-1から耐性ウイルスを得るために、3年以上の継代を繰り返したところ、耐性ウイルスの発現が認められた。耐性ウイルスに対してダルナビルは400nmol/Lを超える濃度で増殖抑制を示した(in vitro)。この耐性ウイルスは、ダルナビルに対しての感受性が23~50倍低下しており、プロテアーゼ遺伝子に2~4個のアミノ酸置換を有していた。これらのウイルスのダルナビル耐性因子とプロテアーゼ内のアミノ酸変異の関連性は認められなかった。HIVプロテアーゼ阻害剤耐性変異を有する9株のHIV-1からダルナビルの耐性株(EC50値が53~641倍変化)をin vitroで獲得した結果、ダルナビル耐性株のプロテアーゼ内に22個のアミノ酸変異が出現し、このうちL10F、V32I、L33F、S37N、M46I、I47V、I50V、L63P、A71V及びI84Vの変異は耐性分離株の50%超に認められた。ダルナビル耐性(EC50値の比;fold change[FC]>10)となるには、これらの変異のうち最低8個のHIVプロテアーゼ阻害剤耐性関連変異が必要であり、うち2個の変異はすでにプロテアーゼ遺伝子内に存在していた。アンプレナビル、アタザナビル、インジナビル、ロピナビル、ネルフィナビル、リトナビル、サキナビルあるいはtipranavirに耐性の臨床分離株1,113株、並びに海外臨床試験C202/C213試験及びC208/C215試験解析に組み入れられた被験者のダルナビル投与開始前の分離株886株において、ダルナビルに対するFC>10(中央値)を示したのは、10個を超えるHIVプロテアーゼ阻害剤耐性関連変異を持ったサブグループのみであった。ダルナビル耐性関連変異(V11I、V32I、L33F、I47V、I50V、I54L/M、T74P、L76V、I84V 及びL89V)は、抗ウイルス剤の使用経験のある患者の臨床試験データから得られた。45),46),47)
In vitroにおいて、FTC耐性HIV-1株を得た。FTCに対する感受性の低下と、HIV-1 RTのM184V/I変異との間に関連性が認められた。
TAFに対する感受性が低下したHIV-1分離株では、HIV-1 RTにK65R変異が発現しており、K70E変異も一過性に認められた。K65R変異を有するHIV-1分離株はアバカビル、FTC、テノホビル及びラミブジンに対する感受性が低下した。In vitro耐性獲得試験において、長期の培養後もTAFに対する高度な耐性株は出現しなかった。
プロテアーゼ阻害剤及びFTC・TDF配合剤の併用投与によりウイルス学的抑制が得られている患者を対象とした本剤の臨床試験(TMC114IFD3013試験)において、過去に治療失敗の経験がある169例のベースライン時検体を用いて遺伝子型解析を事後的に行い結果が得られた140例(本剤群98例、治療継続群42例)のうち、テノホビル耐性関連変異は4%(5/140例:本剤群 4/98例、治療継続群1/42例)に認められ、K65Rの変異が4例(本剤群4例)、K70位の変異が1例(治療継続群1例)に認められた。FTC耐性関連変異は38%(53/140例:本剤群35/98例、治療継続群18/42例)に認められ、M184位の変異が49例(本剤群31例、治療継続群18例)、K65Rの変異が4例(本剤群4例)に認められた。DRV耐性関連変異は4%(6/140例:本剤群4/98例、治療継続群2/42例)に認められ、I84V 4例(本剤群4例)、L33F 1例(治療継続群1例)、T74P 1例(治療継続群1例)及びL76V 1例(本剤群1例)に認められた。テノホビル、FTC及びDRV耐性関連変異が認められたすべての患者において、投与後48週時又は治療終了時点でHIV-1 RNA量<50copies/mLを達成した。ウイルス学的リバウンドが出現したすべての患者27例のうちベースライン時の遺伝子型解析結果が得られた24例においては、いずれもテノホビル、FTC又はDRV耐性関連変異は認められなかった。抗HIV薬による治療未経験の患者を対象とした本剤の臨床試験(GS-US-299-0102試験、TMC114FD2HTX3001試験)及びTMC114IFD3013試験において、本剤が投与された1228例のうち、投与期間中にHIV-1 RNA量が400copies/mL以上等のウイルス学的リバウンド又は失敗の基準を満たし、本剤投与後の耐性検査が実施された14例では、NRTI関連耐性変異は3例に認められ、そのうちテノホビル又はFTC耐性関連変異は2例に認められ、M184I/V 2例(FTC耐性関連変異)、K65R 1例(テノホビル及びFTC耐性関連変異)が検出された。プロテアーゼ阻害剤の一次変異又はDRV耐性関連変異は認められなかった。,,
HIVプロテアーゼ阻害剤には交叉耐性が認められやすい。アンプレナビル、アタザナビル、インジナビル、ロピナビル、ネルフィナビル、リトナビル、サキナビル又はtipranavirに対する感受性が低下した臨床分離株3,309株の90%に対して、ダルナビルの感受性低下は10倍未満であり、ほとんどのHIVプロテアーゼ阻害剤に対して耐性を示すウイルスにダルナビルの感受性は保持されていた。作用機序の違いから、NRTI、NNRTI、融合阻害剤とダルナビルとの間に交叉耐性は生じないと考えられる。46),47)
FTC耐性株(M184V/I)はラミブジンに対して交叉耐性を示したが、ジダノシン、サニルブジン、テノホビル、ジドブジンに対しては感受性を維持した。サニルブジン及びジドブジンに対する感受性低下をもたらすチミジン誘導体関連変異(M41L、D67N、K70R、L210W、T215Y/F、K219Q/E)又はジダノシン関連変異(L74V)を有するウイルスは、FTCに対する感受性を維持した。NNRTI耐性と関連づけられるK103N変異又はその他の変異を有するHIV-1は、FTCに対して感受性を示した。
K65R、K70E変異によりアバカビル、ジダノシン、ラミブジン、FTC、テノホビルに対する感受性が低下するが、ジドブジンに対する感受性は維持される。T69S二重挿入変異、又はK65Rを含むQ151M複合変異を持ち、核酸系逆転写酵素阻害薬に多剤耐性を持つHIV-1は、TAFに対する感受性の低下を示した。K103N又はY181CのNNRTI関連変異を有するHIV-1は、TAFに対して感受性を示した。プロテアーゼ関連変異を有するHIV-1はTAFに対して感受性を示した。
ダルナビル エタノール付加物(Darunavir Ethanolate)
(3R,3aS,6aR)-Hexahydrofuro[2,3-b]furan-3-yl [(1S,2R)-3-{[(4-aminophenyl)sulfonyl](2-methylpropyl)amino}-1-benzyl-2-hydroxypropyl]carbamate monoethanolate
C27H37N3O7S・C2H6O
593.73
白色の粉末
100~105℃
Log P=2.47(1-オクタノール/pH7.0緩衝液)
N,N-ジメチルホルムアミドに極めて溶けやすく、アセトニトリルに溶けやすく、メタノールにやや溶けにくく、エタノール(99.5)に溶けにくく、2-プロパノール及び水に極めて溶けにくい。
コビシスタット(Cobicistat)
1,3-Thiazol-5-ylmethyl{(2R,5R)-5-[(2S)-2-(3-methyl-3-{[2-(1-methylethyl)-1,3-thiazol-4-yl]methyl}ureido)-4-(morpholin-4-yl)butanamido]-1,6-diphenylhexan-2-yl}carbamate
C40H53N7O5S2
776.02
白色~微黄色の固体
ガラス転移温度35℃、200℃以上(分解)
Log P=4.3(1-オクタノール/pH8.5緩衝液)
アセトニトリル、ジクロロメタン、ジメチルスルホキシド又はメタノールに溶けやすく、水又はヘプタンにほとんど溶けない。
エムトリシタビン(Emtricitabine)
4-Amino-5-fluoro-1-[(2R,5S)-2-(hydroxymethyl)-1,3-oxathiolan-5-yl]pyrimidin-2(1H)-one
C8H10FN3O3S
247.25
白色~オフホワイトの粉末
約155℃
Log P= -0.43(1-オクタノール/水)
水 112mg/mLアセトニトリル 4mg/mL酢酸イソプロピル 0.3mg/mL
テノホビル アラフェナミドフマル酸塩(Tenofovir Alafenamide Fumarate)
1-Methylethyl N-[(S)-{[(1R)-2-(6-amino-9H-purin-9-yl)-1-methylethoxy]methyl}phenoxyphosphinoyl]-L-alaninate hemifumarate
(C21H29N6O5P)2・C4H4O4
1069.00
白色~灰白色又は白色~くすんだ黄赤色の粉末
約132℃
Log P=1.6(1-オクタノール/pH7のリン酸塩緩衝液)
メタノール 189mg/mLエタノール 69.6mg/mLイソプロパノール 27.7mg/mLアセトン 9.16mg/mLアセトニトリル 2.30mg/mLトルエン 0.14mg/mL
30錠[ボトル、バラ、乾燥剤入り]
1) 社内資料:ダルナビルの乳汁移行試験(TMC114-NC249)
2) 社内資料:コビシスタットの生殖発生毒性試験(TX-216-2033)
3) Benaboud S, et al.:Antimicrob Agents Chemother. 2011;55:1315-1317
4) 社内資料:ダルナビルの反復投与毒性試験(TMC114-NC130)
5) 社内資料:ダルナビルの反復投与毒性試験(TMC114-NC132)
6) 社内資料:ダルナビルとリトナビルの反復併用投与毒性試験(TMC114-NC146)
7) 社内資料:ダルナビルのがん原性試験(TMC114-NC159)
8) 社内資料:ダルナビルのがん原性試験(TMC114-NC158)
9) **社内資料:ダルナビル・コビシスタット・エムトリシタビン・テノホビル アラフェナミド配合剤の薬物動態に関する検討(TMC114FD2HTX4001)
10) 社内資料:ダルナビル・コビシスタット・エムトリシタビン・テノホビル アラフェナミド配合剤の薬物動態に関する検討(TMC114FD2HTX1001)(2019年6月18日承認、CTD2.7.1-2.2.1.1)
11) 社内資料:ダルナビル・コビシスタット・エムトリシタビン・テノホビル アラフェナミド配合剤の薬物動態に関する検討(GS-US-299-0101)(2019年6月18日承認、CTD2.7.1-2.1.1.2)
12) 社内資料:ダルナビル・コビシスタット・エムトリシタビン・テノホビル アラフェナミド配合剤の薬物動態に関する検討(GS-US-299-0102)(2019年6月18日承認、CTD2.7.2-2.2.2.1)
13) 社内資料:ダルナビル・コビシスタット・エムトリシタビン・テノホビル アラフェナミド配合剤の食事の影響及び薬物動態の検討(TMC114FD2HTX1002)(2019年6月18日承認、CTD2.7.1-2.1.1.1)
14) 社内資料:ダルナビルの蛋白結合率の検討(TMC114-NC215(FK4948))
15) 社内資料:コビシスタットの蛋白結合率の検討(GS-US-183-0133(60N-1103A))
16) 社内資料:コビシスタットの蛋白結合率の検討(GS-US-216-0124(60N-1103B))
17) 社内資料:ダルナビルの代謝の検討(TMC114-NC112(TNO41201))
18) 社内資料:コビシスタットの薬物動態に関する検討(216-2025)
19) 社内資料:コビシスタットの代謝の検討(AD-216-2038)
20) 社内資料:ダルナビルの薬物動態に及ぼすリトナビルの影響(TMC114-C114)
21) 社内資料:ダルナビルの排泄の検討(TMC114-C109)
22) 社内資料:コビシスタットの排泄の検討(GS-US-216-0111)
23) 社内資料:ダルナビル/リトナビルの小児HIV-1感染患者に対する臨床試験(TMC114-C230)(2019年6月18日承認、CTD2.7.3-3.2.1)
24) Sekar V, et al.:Clin Pharmacokinet. 2010;49(5):343-350
25) 社内資料:ダルナビル・コビシスタット配合剤の妊婦における薬物動態の検討(TMC114HIV3015)
26) 社内資料:ダルナビルのin vitro酵素阻害に関する検討(TMC114-NC123)
27) 社内資料:ダルナビルのトランスポーターに関する検討(TMC114-NC137)
28) 社内資料:コビシスタットのin vitro酵素阻害に関する検討(AD-216-2028)
29) 社内資料:コビシスタットのin vitro酵素阻害に関する検討(AD-216-2029)
30) 社内資料:コビシスタットのトランスポーターに関する検討(AD-216-2099)
31) 社内資料:コビシスタットのトランスポーターに関する検討(AD-216-2100)
32) 社内資料:コビシスタットのトランスポーターに関する検討(AD-216-2094)
33) 社内資料:ダルナビル・コビシスタット・エムトリシタビン・テノホビル アラフェナミド配合剤のHIV-1感染患者に対する臨床成績(TMC114FD2HTX3001)(2019年6月18日承認、CTD2.7.3-3.1.1)
34) 社内資料:ダルナビル・コビシスタット・エムトリシタビン・テノホビル アラフェナミド配合剤のHIV-1感染患者に対する臨床成績(TMC114IFD3013)(2019年6月18日承認、CTD2.7.3-3.1.3)
35) Koh Y, et al.:J Biol Chem. 2007;282(39):28709-28720
36) 社内資料:ダルナビルの作用機序(TMC114-0009-VRR)
37) King NM, et al.:J Virol. 2004;78(21):12012-12021
38) 社内資料:ダルナビルの作用機序(TMC114-0003-VRR)
39) 社内資料:ダルナビルの作用機序(TMC114-0004-VRR)
40) 社内資料:ダルナビルの抗ウイルス作用(TMC114-0014-VRR)
41) 社内資料:ダルナビルの抗ウイルス作用(TMC114-0002-VRR)
42) 社内資料:ダルナビルの抗ウイルス作用(TMC114-0011-VRR)
43) 社内資料:ダルナビルの抗ウイルス作用(TMC114-0016-VRR)
44) 社内資料:ダルナビルの抗ウイルス作用(TMC114-0006-VRR)
45) 社内資料:ダルナビルの薬剤耐性(TMC114-0012-VRR)
46) 社内資料:ダルナビルの薬剤耐性(TMC114-0013-VRR)
47) 社内資料:ダルナビルの薬剤耐性(TMC114-0005-VRR)
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