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フェニルアラニン除去ミルク配合散「雪印」

添付文書番号

3279103X2032_1_12

企業コード

820020

作成又は改訂年月

2023年6月改訂(第1版)

日本標準商品分類番号

873279

薬効分類名

代謝異常症用特殊粉乳

承認等

フェニルアラニン除去ミルク配合散「雪印」

販売名コード

YJコード

3279103X2032

承認番号等

承認番号

22100AMX01623000

販売開始年月

2009年12月

貯法・有効期間

貯法

室温保存

有効期間

製造後12箇月

一般的名称

なし

2. 禁忌(次の患者には投与しないこと)

  • フェニルケトン尿症以外の患者[フェニルアラニンの不足を生じる可能性がある]

3. 組成・性状

3.1 組成

フェニルアラニン除去ミルク配合散「雪印」

フェニルアラニン除去ミルク配合散「雪印」100g中の成分・分量は以下のとおりである。

有効成分及び添加剤
有効成分フェニルアラニン無添加総合アミノ酸粉末   16.866 g
油脂糖質粉末   66.085 g
アルファー化デンプン   8.500 g
乳糖水和物   5.0749 g
硫酸マグネシウム水和物   0.344 g
リン酸水素カルシウム水和物   0.533 g
沈降炭酸カルシウム   0.589 g
リン酸水素二カリウム   0.980 g
クエン酸第一鉄ナトリウム   0.060 g
硫酸銅   1.10 mg
硫酸亜鉛水和物   11.0 mg
ヨウ化カリウム   33.0 μg
チアミン硝化物   0.36 mg
リボフラビン   0.60 mg
ピリドキシン塩酸塩   0.40 mg
シアノコバラミン   1.0 μg
アスコルビン酸   48.0 mg
パントテン酸カルシウム   2.00 mg
ニコチン酸アミド   5.00 mg
葉酸   0.10 mg
塩化コリン   50.0 mg
添加剤バニラ香料粉末   0.849506 g
なお、添加剤として大豆レシチン、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、バニリン、エチルバニリンを含有する。
標準栄養成分組成
本剤の100g中の栄養成分は以下のとおりである。
有効成分一般成分
たん白質(注)   15.80 g
(アミノ酸   15.80 g)
脂肪   17.12 g
炭水化物   60.43 g
灰分   3.68 g
水分   2.97 g
エネルギー   458 kcal
フェニルアラニン   0 mg
ビタミン類
ビタミンA   1500 IU
チアミン硝化物   0.36 mg
リボフラビン   0.6 mg
ピリドキシン塩酸塩   0.4 mg
シアノコバラミン   1.0 μg
アスコルビン酸   48.0 mg
ビタミンD   300 IU
ビタミンE   4.38 mg
パントテン酸カルシウム   2.0 mg
ニコチン酸アミド   5.0 mg
葉酸   0.10 mg
塩化コリン   50.0 mg
ミネラル類
カルシウム   360 mg
マグネシウム   34 mg
ナトリウム   168 mg
カリウム   440 mg
リン   270 mg
塩素   320 mg
鉄   6 mg
亜鉛   2.5 mg
銅   0.28 mg
ヨウ素   25 μg
(注)窒素量から換算
標準栄養成分組成
本剤の15w/v%調乳液100mL中の栄養成分は以下のとおりである。
有効成分一般成分
たん白質(注)   2.37 g
脂肪   2.57 g
炭水化物   9.06 g
灰分   0.55 g
エネルギー   68.7 kcal
フェニルアラニン   0 mg
ビタミン類
ビタミンA   225 IU
チアミン硝化物   0.054 mg
リボフラビン   0.09 mg
ピリドキシン塩酸塩   0.06 mg
シアノコバラミン   0.15 μg
アスコルビン酸   7.20 mg
ビタミンD   45.0 IU
ビタミンE   0.66 mg
パントテン酸カルシウム   0.30 mg
ニコチン酸アミド   0.75 mg
葉酸   0.015 mg
塩化コリン   7.50 mg
ミネラル類
カルシウム   54.0 mg
マグネシウム   5.1 mg
ナトリウム   25.2 mg
カリウム   66.0 mg
リン   40.5 mg
塩素   48.0 mg
鉄   0.9 mg
亜鉛   0.38 mg
銅   0.042 mg
ヨウ素   3.8 μg
(注)窒素量から換算

3.2 製剤の性状

フェニルアラニン除去ミルク配合散「雪印」

製剤の性状
剤形粉末
色調淡黄色~淡褐色
におい特有のアミノ酸臭及びバニラ臭
溶状乳状液(約6倍量の70~80℃の温湯に溶解)

4. 効能又は効果

  • フェニルケトン尿症

6. 用法及び用量

通常、本剤を用時に、溶解濃度が15~20(w/v%)になるように温湯(70~80℃)に溶解し、よく攪拌後経口投与する。
血中フェニルアラニン濃度を定期的に測定しながら、本剤の投与量を定める。

7. 用法及び用量に関連する注意

本剤の投与量の目安は、乳児期:60~100g/日、幼児期前半(1~2歳):100~120g/日、幼児期後半(3~5歳):120~150g/日、学童期前半(6~9歳):150~200g/日、学童期後半及びそれ以後:200~250g/日とするが、医師の指示により適宜増減する 。
治療開始に際しては、下表の摂取フェニルアラニン量を一応の目安とし、空腹時血中フェニルアラニン濃度が、全年齢を通じて2~6mg/dL(120~360μmol/L)に維持されるように摂取フェニルアラニン量を定める 。

摂取フェニルアラニン量(目安)

*年齢

*摂取フェニルアラニン量(mg/kg体重/日)

*0~3箇月

*70~50

*3~6箇月

*60~40

*6~12箇月

*50~30

*1~2歳

*40~20

*2~3歳

*35~20

*3歳以後

*35~15

本剤の計量は、秤を用いて量ることが望ましいが、簡易的に計量する場合は、添付の計量用スプーンを用いる。計量用スプーンの内容量はスリキリ1杯で約3g である。濃度別調製は下表を参照し溶解する。

調乳濃度

(w/v%)

秤とり量

出来上がり

(mL)

*溶液100mL中の組成

*フェニルアラニン(mg)

*たん白質

*(g)

*脂肪

*(g)

*炭水化物

*(g)

*灰分

*(g)

*エネルギー

*(kcal)

*15

*15g

*(スプーン5杯)

*100

*0

*2.37

*2.57

*9.06

*0.55

*68.7

*16

*16g

*100

*0

*2.53

*2.74

*9.67

*0.59

*73.3

*17

*17g

*100

*0

*2.69

*2.91

*10.27

*0.63

*77.9

*18

*18g

*(スプーン6杯)

*100

*0

*2.84

*3.08

*10.88

*0.66

*82.4

*19

*19g

*100

*0

*3.00

*3.25

*11.48

*0.70

*87.0

*20

*20g

*100

*0

*3.16

*3.42

*12.09

*0.74

*91.6

8. 重要な基本的注意

  1. 8.1 新生児では、診断後直ちにフェニルアラニン摂取量を制限して、血中フェニルアラニン濃度を連日測定しながら、数日のうちにその濃度が10mg/dL以下になるようにすること1),2),3)
  2. 8.2 血中フェニルアラニン濃度の維持量には症例により個体差があるので、治療開始時にはできるだけ頻回に(週2~3回)、血中フェニルアラニン濃度を測定し、さらに、臨床症状、体重変化、血清たん白濃度、血色素濃度に留意し、フェニルアラニン欠乏症状の発現を避けること1),2),3)
  3. 8.3 退院後も、乳幼児期は月1回程度、血中フェニルアラニン濃度を測定しながら、治療を続けること1),2),3)
  4. 8.4 *本剤、及び自然たん白質(一般粉乳、牛乳ないし一般食品)を合わせたたん白質摂取量は、乳児期には2g/kg/日、幼児期には1.5g/kg/日、学童期及びそれ以後は1.0g/kg/日以下にならないようにすること(たん白質摂取量が0.5g/kg/日以下になると、フェニルアラニン摂取制限をしても血中フェニルアラニン濃度が上昇するので注意を要する)。たん白質(窒素源)の大部分は本剤から摂取すること。本剤はフェニルアラニンを全く含まないので、必要量のフェニルアラニンはすべて自然たん白質(一般粉乳、牛乳ないし一般食品)で補給すること1),2),3)
  5. 8.5 1日の摂取エネルギー量、及び三大栄養素の配分比は、同年齢の健康小児と等しくし、身体計測を行ってエネルギー不足が疑われる場合には糖質を追加すること1),2),3)
  6. 8.6 定期的に血中フェニルアラニン濃度、身体発育値、血液一般検査値、血液生化学検査値などを観察しながら治療を続けること1),2),3)
  7. 8.7 本剤はビオチン、カルニチン及びセレンを含まないため、当該成分の欠乏症があらわれる可能性があることから、必要に応じて補給すること 。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1 血中フェニルアラニン濃度が2mg/dL以下に低下した患者:フェニルアラニン欠乏症状の発現する可能性がある1),2),3)
  2. 9.1.2 臨床症状、体重増加、血清たん白濃度、血色素濃度に変動が見られる患者:フェニルアラニン欠乏症状が発現している可能性がある1),2),3)

9.5 妊婦

  1. 9.5.1 妊婦又は妊娠している可能性のある女性:高フェニルアラニン血症による胎児障害を予防し、治療するために妊娠前よりフェニルアラニンの摂取量を制限する必要がある。この目的で本剤を使用する場合、治療上の有益性が危険を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
  2. 9.5.2 妊娠3箇月以内又は妊娠を希望する女性:投与する場合は用法・用量に留意し、本剤によるビタミンAの投与は5,000 IU/日未満に留めるなど必要な注意を行うこと。外国において、妊娠前3箇月から妊娠初期3箇月までにビタミンAを10,000 IU/日以上摂取した女性から出生した児に、頭蓋神経堤などを中心とする奇形発現の増加が推定されたとする疫学的調査結果がある 。

14. 適用上の注意

14.1 薬剤調製時の注意

  1. 14.1.1 Enterobacter sakazakii 及びSalmonella enterica による患者の健康被害を防止するため、本剤を70~80℃の湯に溶解する際には、火傷に注意すること 。本剤を経口投与する際には、適切な温度(37℃付近)まで冷却すること 。
  2. 14.1.2 本剤を用いて調製した溶液は、調製後2時間以内に使用すること。調製後2時間以内に使用しなかった場合は、廃棄すること 。

14.2 薬剤投与時の注意

  1. 14.2.1 本剤の投与に際して、可塑剤としてDEHP(フタル酸ジ-2-エチルヘキシル)を含むポリ塩化ビニル製のフィーディングチューブ等を使用した場合、DEHPが溶出するおそれがあるので、DEHPを含むフィーディングチューブ等は使用しないこと。

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験

  1. 17.1.1 国内臨床試験


    すでに従来品(雪印ロフェミルク)にて治療中の患児5例(本剤による治療開始年齢:10箇月~3歳10箇月)並びにマス・スクリーニングにより発見された新生児2例に、フェニルアラニン除去ミルクを使用した8) 。その結果、血中フェニルアラニン濃度がよくコントロールされ、副作用もなく、新生児では体重増加も良かった(大阪市立小児保健センター)。

  2. 17.1.2 国内臨床試験


    すでに従来品(雪印ロフェミルク)にて治療中の患児4例(本剤による治療開始年齢:1歳3箇月~2歳9箇月)並びにフェニルアラニン除去ミルクによる治療を始めた後に来院した患児5例(本剤による治療開始年齢:7箇月~6歳6箇月)に、フェニルアラニン除去ミルクを使用した9) 。その結果、本剤使用開始後約2年目において、血中フェニルアラニン濃度を一定に保つことができ、低たん白血症、貧血などの異常は認められなかった。また、本剤はフェニルアラニンを全く含まないことから自然たん白をより多く与えることが出来、より多くの自然食品を使用することが可能と判断された(駿河台日本大学病院)。

18. 薬効薬理

18.1 作用機序

フェニルアラニンの経口摂取量の制限による。

20. 取扱い上の注意

  1. 20.1 本剤は室温で乾燥したところに保管し、製造後12箇月以内(使用期限内)に使用すること。
  2. 20.2 本剤は直射日光の当たるところや放熱器具のそばなど、温度の高いところでの保管を避けること。

22. 包装

1,200g入り缶(添付のスプーンはスリキリ約3g)

24. 文献請求先及び問い合わせ先

雪印メグミルク株式会社 ミルクサイエンス研究所 特殊ミルク開発室

〒350-1165 川越市南台1丁目1番地2

TEL 049-242-8068 FAX 049-242-8157

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元

雪印メグミルク株式会社

埼玉県川越市南台1丁目1番地2

26.2 発売元

雪印ビーンスターク株式会社

東京都新宿区四谷本塩町5番1号

〒100-0013 東京都千代田区霞が関3-3-2 新霞が関ビル

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