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劇薬
処方箋医薬品注)
通常、ラコサミド経口投与と同じ1日用量及び投与回数にて、1回量を30分から60分かけて点滴静脈内投与する。
成人:通常、成人にはラコサミドとして1日100mgより投与を開始し、その後1週間以上の間隔をあけて増量し、維持用量を1日200mgとするが、いずれも1日2回に分け、1回量を30分から60分かけて点滴静脈内投与する。小児:通常、4歳以上の小児にはラコサミドとして1日2mg/kgより投与を開始し、その後1週間以上の間隔をあけて1日用量として2mg/kgずつ増量し、維持用量を体重30kg未満の小児には1日6mg/kg、体重30kg以上50kg未満の小児には1日4mg/kgとする。いずれも1日2回に分け、1回量を30分から60分かけて点滴静脈内投与する。ただし、体重50kg以上の小児では、成人と同じ用法・用量を用いること。
成人:成人では1日最高投与量は400mgを超えないこととし、増量は1週間以上の間隔をあけて1日用量として100mg以下ずつ行う。小児:4歳以上の小児のうち体重30kg未満の小児では1日12mg/kg、体重30kg以上50kg未満の小児では1日8mg/kgを超えないこととし、増量は1週間以上の間隔をあけて1日用量として2mg/kg以下ずつ行う。ただし、体重50kg以上の小児では、成人と同じ1日最高投与量及び増量方法とすること。
本剤のPR間隔延長作用により房室ブロック等が発現するおそれがある。,,
,
投与しないこと。本剤の血中濃度が上昇するおそれがある。,
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。ラットにおいて胎児移行性が認められている。
**治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。ヒト乳汁中へ移行することが報告されている。
一般に高齢者では生理機能が低下している。
PR間隔の延長を起こすおそれのある薬剤,,
房室ブロック等が発現するおそれがある。
併用によりPR間隔延長作用が相加的に増強するおそれがある。
PR間隔の延長を起こすおそれがある。,,
発熱、紅斑、水疱・びらん、そう痒、咽頭痛、眼充血、口内炎等の異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
初期症状として発疹、発熱がみられ、更に肝機能障害、リンパ節腫脹、白血球増加、好酸球増多、異型リンパ球出現等を伴う遅発性の重篤な過敏症状があらわれることがある。なお、ヒトヘルペスウイルス6(HHV-6)等のウイルスの再活性化を伴うことが多く、投与中止後も発疹、発熱、肝機能障害等の症状が再燃あるいは遷延化することがあるので注意すること1) 。
3%以上
1~3%未満
1%未満
頻度不明
精神神経系
浮動性めまい(17.8%)、頭痛、傾眠
記憶障害、振戦、運動失調
うつ病、幻覚、攻撃性、激越、感覚鈍麻、錯感覚、認知障害、異常行動、錯乱状態、注意力障害、平衡障害、不眠症、眼振、構語障害、嗜眠、協調運動異常、ミオクローヌス性てんかん
精神病性障害、多幸気分
眼
複視、霧視
血液
白血球数減少
消化器
悪心、嘔吐
下痢
消化不良、口内乾燥、鼓腸、便秘
循環器
心房細動
心房粗動
肝臓
肝機能異常
代謝及び栄養
食欲減退
皮膚
発疹、蕁麻疹、そう痒症
血管浮腫
免疫系
薬物過敏症
筋骨格系
筋痙縮
感覚器
回転性めまい
耳鳴
その他
疲労、注射部位紅斑注2)
歩行障害、易刺激性
転倒、挫傷、裂傷、鼻咽頭炎、発熱、無力症、酩酊感
咽頭炎、注射部位疼痛、注射部位不快感、注射部位刺激感
過量投与(最大12000mg)により認められた主な症状は、浮動性めまい、悪心、発作(全般性強直間代発作、てんかん重積状態)、心伝導障害、ショック及び昏睡であった。また、ラコサミド7000mgを一度に服用した例で死亡が報告されている。
本剤は血液透析により除去可能であり、発現している症状の程度に応じて血液透析の実施を考慮すること。
本剤の残液は廃棄すること。
海外で実施された複数の抗てんかん薬における、てんかん、精神疾患等を対象とした199のプラセボ対照臨床試験の検討結果において、自殺念慮及び自殺企図の発現のリスクが、抗てんかん薬の服用群でプラセボ群と比較して約2倍高く(抗てんかん薬服用群:0.43%、プラセボ群:0.24%)、抗てんかん薬の服用群では、プラセボ群と比べ1000人あたり1.9人多いと計算された(95%信頼区間:0.6-3.9)。また、てんかん患者のサブグループでは、プラセボ群と比べ1000人あたり2.4人多いと計算されている。,
日本人健康成人にラコサミド200mgを30分間又は60分間点滴静脈内投与又は経口投与したとき、ラコサミドの血漿中濃度推移及び薬物動態パラメータは以下のとおりであった。経口投与時と比較して、点滴静脈内投与時のAUC0-t及びCmaxは同程度であった。なお、ラコサミド錠の絶対バイオアベイラビリティはほぼ100%であった2) 。
薬物動態パラメータ
30分間点滴静注
60分間点滴静注
経口投与
例数
23
24
AUC0-t(μg・h/mL)
110[15.6]
111[16.2]
106[15.7]
Cmax(μg/mL)
8.47[25.3]
7.99[16.7]
7.60[28.6]
tmax(h)
0.5167(0.500-8.00)
1.000(1.00-1.27)
0.7500(0.233-2.98)
t1/2(h)
12.1[16.6]
12.3[18.4]
12.3[15.8]
幾何平均値[CV(%)]、tmaxは中央値(範囲)
比較
幾何平均の比
点推定値
90%信頼区間
30分間点滴静注/経口投与
AUC0-t
1.037
1.010, 1.064
Cmax
1.110
1.019, 1.209
60分間点滴静注/経口投与
1.043
1.017, 1.070
1.052
0.967, 1.145
非盲検3試験及び二重盲検1試験において6ヵ月注3) から17歳までの小児てんかん患者414例(日本人46例を含む)から得られた血漿中ラコサミド濃度を用いて母集団薬物動態解析を行い、小児におけるラコサミドの薬物動態パラメータを推定した。本解析におけるラコサミドの投与量は2~18mg/kg/日を1日2回投与(体重50kg以上の小児での最高用量は600mg/日注4) )であった。見かけの分布容積(Vd/F)は0.71L/kg、見かけの全身クリアランス(CL/F)は体重及び年齢に依存し、体重15kgの4歳児で0.88L/h(0.058L/h/kg)、体重25kgの8歳児で1.18L/h(0.047L/h/kg)、体重40kgの12歳児で1.60L/h(0.040L/h/kg)、体重50kgの16歳児で1.83L/h(0.037L/h/kg)と推定された3) 。
健康成人24例にラコサミド200mgを30分間で単回点滴静脈内投与したとき、分布容積(Vd)は31.1Lであり、ラコサミド200mgを単回経口投与したとき、見かけの分布容積(Vd/F)は32.8Lであった。in vitro(ラコサミド1.5~60μg/mL)及びex vivo(ラコサミド0.7~5.5μg/mL)試験の結果、ラコサミドの血漿蛋白結合率は15%未満であった2) 。
ラコサミドは腎排泄及び代謝により体内から消失した。in vitro試験の結果、薬理学的に不活性な主代謝物であるO-脱メチル体生成に主に寄与するCYP分子種は、CYP3A4、CYP2C9及びCYP2C19であった。
腎機能の程度の異なる成人被験者にラコサミド100mgを単回経口投与したとき、AUC0-tは腎機能正常者(CLCR:≥80mL/min)と比較して、軽度低下者(CLCR:50~<80mL/min)では27%、中等度低下者(CLCR:30~<50mL/min)で22%、重度低下者(CLCR:<30mL/min)で59%高く、Cmaxは軽度から重度の腎機能低下者で10~14%高かった。軽度から重度の腎機能低下者におけるO-脱メチル体のAUC0-tは腎機能正常者の1.5~4.6倍であった6) (外国人データ)。,
腎機能
正常
軽度低下
中等度低下
重度低下
8
CLCR(mL/min)
≥80
50~<80
30~<50
<30
47.0[20.8]
59.6[17.5]
57.6[19.0]
74.8[26.9]
2.69[35.0]
2.95[20.7]
3.06[10.0]
3.02[23.3]
1.0(0.5-2.0)
0.5(0.5-1.0)
1.0(0.5-1.5)
13.2[17.6]
18.2[18.7]
15.4[18.9]
18.3[27.8]
CL/F(L/h)
2.13[20.8]
1.68[17.5]
1.74[19.0]
1.34[26.9]
CLR(L/h)
0.590[37.9]
0.354[51.3]
0.277a)[24.4]
0.143[31.8]
幾何平均値[CV(%)]、AUC0-tは0~96時間値、tmaxは中央値(範囲)CLR:腎クリアランスa)7例
血液透析を受けている末期腎機能障害の成人被験者に、非透析時及び透析開始2.5時間前にラコサミド100mgを単回経口投与したとき、非透析時に比べ4時間の透析実施時ではラコサミドのAUC0-tは46%減少し、透析による除去効率はラコサミド57%、O-脱メチル体53%であり、透析クリアランスはラコサミド140mL/min(8.40L/h)、O-脱メチル体149mL/min(8.94L/h)であった6) (外国人データ)。,,
血液透析
非透析時
4時間透析時
ラコサミド
43.2[20.2]
23.2[15.1]
3.18[22.4]
2.79[22.1]
0.50(0.5-4.0)
0.75(0.5-2.0)
19.5[19.4]
19.2[26.8]
O-脱メチル体
6.63[74.3]
3.43[68.5]
0.48[69.5]
0.22[69.1]
幾何平均値[CV(%)]、AUC0-tは0~24時間値、tmaxは中央値(範囲)
肝機能が中等度に低下した成人(Child-Pugh分類B)にラコサミド100mg/回を1日2回5日間反復経口投与したとき、健康成人に比べてラコサミドの定常状態のAUC0-12h及びCmaxはそれぞれ61%及び50%高かった。また、体重で基準化した定常状態のAUC0-12h及びCmaxはそれぞれ47%及び37%高かった。重度肝機能障害患者(Child-Pugh分類C)での薬物動態は検討していない7) (外国人データ)。,,,
肝機能
Child-Pugh分類B
AUC0-12h(μg・h/mL)
53.3[17.3]
85.9[21.7]
5.83[13.3]
8.75[18.7]
1.5(0.5-2.0)
14.8[19.7]
24.1[23.5]
65歳以上の高齢男性11例及び高齢女性12例にラコサミド100mg/回を1日2回5日間反復経口投与したとき、45歳以下の成人男性12例と比較して、高齢男性及び女性においてラコサミドの定常状態のAUC0-12hはそれぞれ33%及び50%高く、Cmaxはそれぞれ29%及び53%高かった。また、体重で基準化したAUC0-12hは高齢男性及び女性においてそれぞれ26%及び23%高かった8) (外国人データ)。
日本人及び中国人健康成人男性各18例を、CYP2C19遺伝子型に基づく代謝能分類により、急速代謝能者(UM:CYP2C19*1/*17)1例、高代謝能者(EM:CYP2C19*1/*1)17例、中間代謝能者(IM:CYP2C19*1/*2、CYP2C19*1/*3)10例、及び低代謝能者(PM:CYP2C19*2/*2、CYP2C19*2/*3)8例に分け、この集団にラコサミド100~400mgを単回経口投与したとき、ラコサミドの投与量及び体重で基準化したAUC0-∞は、EMに比べてPMで24%、IMで10%高かった5) 。
ラコサミドは、治療血漿中濃度域でCYP1A2、2B6、2C9、2C19及び3A4に対して誘導作用を示さず、CYP1A1、1A2、2A6、2B6、2C8、2C9、2D6、2E1、3A4及び3A5に対して阻害作用を示さなかったが、CYP2C19に対する阻害作用が示唆された。ラコサミドは、P-糖蛋白質の典型的な基質ではなく、P-糖蛋白質に対して阻害作用を示さなかった(in vitro)。
健康成人男性19例に、ラコサミド(200mg/回、1日2回)の定常状態において、強いCYP3A誘導薬及び中程度のCYP2C9誘導薬であるカルバマゼピン(200mg/回、1日2回)を併用反復経口投与したとき、カルバマゼピンはラコサミドの定常状態のAUC0-12h及びCmaxに影響を及ぼさなかった。健康成人男性18例に、カルバマゼピン(200mg/回、1日2回)の定常状態において、ラコサミド(200mg/回、1日2回)を併用反復経口投与したとき、ラコサミドはカルバマゼピンの定常状態のAUC0-12h及びCmaxに影響を及ぼさなかった9) (外国人データ)。
健康成人男性34例に、ラコサミド(300mg)の単回経口投与において、弱いCYP2C19阻害薬であるオメプラゾール(40mg/回、1日1回)を併用反復経口投与したとき、オメプラゾールはラコサミドのAUC0-t及びCmaxに影響を及ぼさなかった。CYP2C19基質であるオメプラゾール(40mg)の単回経口投与において、ラコサミド(300mg/回、1日2回)を併用反復経口投与したとき、ラコサミドはオメプラゾールのAUC0-t及びCmaxに影響を及ぼさなかった10) (外国人データ)。
健康成人男性33例に、CYP3A基質であるミダゾラム(7.5mg)の単回経口投与において、ラコサミド(200mg/回、1日2回)を併用反復経口投与したとき、ラコサミドはミダゾラムのCmaxを30%増加させたがAUC0-tに影響を及ぼさなかった11) (外国人データ)。
健康成人男性16例に、S-ワルファリンがCYP2C9基質であるワルファリン(25mg)の単回経口投与において、ラコサミド(200mg/回、1日2回)を併用反復経口投与したとき、ラコサミドはS及びR-ワルファリンのAUC0-t及びCmaxに影響を及ぼさず、プロトロンビン時間及びプロトロンビン時間の国際標準比(INR)の最大値及びAUC0-168hに影響を及ぼさなかった12) (外国人データ)。
日本人及び外国人の成人及び小児のてんかん患者から得られた血漿中ラコサミド濃度データを用いて、母集団薬物動態解析を行った。その結果、CYP誘導作用を有する抗てんかん薬であるカルバマゼピン、フェニトイン又はフェノバルビタールの併用により、ラコサミドの定常状態のAUCは、成人及び小児で、各々25%及び17%減少した3),13) 。
部分発作(二次性全般化発作を含む)を有する日本人の成人てんかん患者9例を対象として、ラコサミド200~400mg/日の経口投与の代替療法として5日間の点滴静注に切り替えたとき、登録前の8週間(先行試験の経口投与時)と比べて、1日あたりの発作回数の分布と発作型に違いはなかった2) 。副作用発現頻度は22.2%(2/9例、3件)で、嘔吐11.1%(1/9例)、注射部位紅斑11.1%(1/9例)、処置による頭痛11.1%(1/9例)であった。
新規に又は最近てんかんと診断された部分発作(二次性全般化発作を含む)又は未分類の全般性強直間代発作を有する16歳以上の患者を対象として、ラコサミド200~600mg/日注5) 又はカルバマゼピン徐放錠(CBZ-CR)400~1200mg/日注6) を単剤にて経口投与したとき、主要評価項目であるKaplan-Meier法により推定した最終評価用量における6ヵ月間発作消失率は下表のとおりであり、群間差の95%信頼区間の下限値は予め設定された非劣性限界値(-12%)を上回ったこと、CBZ-CR群の6ヵ月間発作消失率に対する群間差の95%信頼区間の下限値の比(相対差)は、予め設定した非劣性限界値(-20%)を上回ったことから、CBZ-CRに対するラコサミドの非劣性が確認された14) 。
解析対象集団
投与群
発作が消失した患者数(割合(%))
発作消失率(%)[95%信頼区間]a)
群間差(%)[95%信頼区間]a)b)
相対差(%)c)
FASd)
ラコサミド群
444f)
327(73.6)
89.8[86.8, 92.8]
-1.3[-5.5, 2.8]
-6.0
CBZ-CR群
442g)
308(69.7)
91.1[88.2, 94.0]
PPSe)
408h)
307(75.2)
91.5[88.6, 94.3]
-1.3[-5.3, 2.7]
-5.7
397i)
285(71.8)
92.8[90.0, 95.5]
a)Kaplan-Meier法による推定値(過去3ヵ月間の発作回数(2回以下、3回以上)を層としてMantel-Haenszel法により調整)
b)ラコサミド群の消失率-CBZ-CR群の消失率
c)消失率の群間差の95%信頼区間の下限値/CBZ-CR群の消失率×100
d)Full Analysis Set
e)Per Protocol Set
f)日本人症例7例を含む
g)日本人症例13例を含む
h)日本人症例6例を含む
i)日本人症例12例を含む
なお、事後解析結果によるラコサミド群で400mg/日超への増量が必要となった患者を効果不十分例として扱った場合のFASにおける発作が消失した患者数(割合(%))は308注7) /444例(69.4%)であり、Kaplan-Meier法により推定した発作消失率[95%信頼区間]は84.1%[80.5, 87.6]であった。副作用発現頻度は、ラコサミド群で37.2%(165/444例)であった。主な副作用は、浮動性めまい7.9%(35/444例)、疲労5.6%(25/444例)、傾眠4.5%(20/444例)であった。
1剤の既存の抗てんかん薬を投与している16歳以上の部分発作を有するてんかん患者を対象として、ラコサミド200~600mg/日注8) 経口投与による単剤療法へ切り替えたとき、6ヵ月間発作消失患者の割合は46.2%(6/13例)であった。なお、事後解析として400mg/日超への増量が必要となった患者を効果不十分例として扱った場合の、6ヵ月間発作消失患者の割合は30.8%(4/13例)であった15) 。副作用発現頻度は、84.2%(16/19例)であった。主な副作用は、浮動性めまい42.1%(8/19例)、傾眠31.6%(6/19例)、回転性めまい、悪心が各10.5%(2/19例)であった。
既存の抗てんかん薬で十分な発作抑制効果が得られない部分発作を有する16歳以上の日本人及び中国人のてんかん患者547例(日本人患者142例を含む)を対象として、ラコサミド200、400mg/日又はプラセボを16週間経口投与(既存の抗てんかん薬1~3剤との併用)したとき、主要評価項目である観察期間に対する維持期間の28日あたりの部分発作回数変化量は下表のとおりであり、プラセボ群とラコサミド200mg/日及び400mg/日群との間で統計学的に有意な差が認められた。なお、各群における50%レスポンダーレート(28日あたりの部分発作回数が観察期間と比べて50%以上改善した患者の割合)は、プラセボ群19.7%(36/183例)、ラコサミド200mg/日群38.5%(70/182例)及びラコサミド400mg/日群49.2%(88/179例)であった16) 。
例数a)
28日あたりの部分発作回数の変化量b)
p値c)
プラセボ群に対する減少率d)[95%信頼区間]
プラセボ群
183
-1.22
200mg/日群
182
-3.33
<0.001
29.4[18.7, 38.7]
400mg/日群
179
-4.50
39.6[30.5, 47.6]
a)Full Analysis Set
b)中央値
c)対数変換した維持期間の28日あたりの部分発作回数を反応変数、投与群及び国を因子、対数変換した観察期間の28日あたりの部分発作回数を共変量とする共分散分析
d)共分散分析より推定された最小二乗平均値から計算した部分発作回数減少率(%)
副作用発現頻度は、ラコサミド群で47.7%(173/363例)であった。主な副作用は、浮動性めまい22.9%(83/363例)、傾眠8.8%(32/363例)、複視4.4%(16/363例)であった。
国際共同第III相試験(併用療法)を完了した日本及び中国の患者473例(日本人患者123例を含む)を対象として、ラコサミド100~400mg/日を1日2回に分けて経口投与したとき(中間報告、最長767日投与)、先行試験の観察期間からの28日あたりの部分発作回数減少率の中央値は55.23%、50%レスポンダーレートは56.3%(265/471例)であった17) 。副作用発現頻度は、ラコサミド群で42.9%(203/473例)であった。主な副作用は、浮動性めまい17.8%(84/473例)、傾眠5.7%(27/473例)、頭痛3.8%(18/473例)であった。
既存の抗てんかん薬で十分な発作抑制効果が得られない部分発作を有する4歳以上17歳未満の小児てんかん患者343例を対象として、ラコサミド(体重30kg未満の患者は8~12mg/kg/日、体重30~50kg未満の患者は6~8mg/kg/日、体重50kg以上の患者は300~400mg/日)又はプラセボを16週間経口投与(既存の抗てんかん薬1~3剤との併用)したとき、主要評価項目である観察期間に対する維持期間の28日あたりの部分発作回数変化量は下表のとおりであり、プラセボ群とラコサミド群との間で統計学的に有意な差が認められた18) 。
170
-1.55
-3.05
0.0003
31.72[16.342, 44.277]
a)Full Analysis Setプラセボ群の2例は、維持期間の発作回数データに欠測(発作日誌の項目の10%超)があったため、解析に含めなかった
c)1n(X+1)(Xは部分発作回数)で対数変換した部分発作回数を用い、投与群、併合した実施医療機関を因子とし、対数変換した観察期間の28日あたりの部分発作回数を共変量とした共分散分析
d)プラセボ群に対する減少率(%)=100×{1-exp(最小二乗平均のラコサミド群とプラセボ群の差)}
副作用発現頻度は、ラコサミド群で33.9%(58/171例)であった。主な副作用は、傾眠14.0%(24/171例)、浮動性めまい8.8%(15/171)であった。
4歳から17歳の直接登録された小児てんかん患者136例(日本人46例、外国人90例)を対象として、ラコサミド12mg/kg/日(体重50kg以上の患者は600mg/日注9) )までを1日2回に分けて経口投与したとき、観察期間からの全治療期間における部分発作回数変化率の中央値は-52.73%(日本人で-27.63%、外国人で-60.56%)であった19) 。副作用発現頻度は、56.2%(77/137例)であった。主な副作用は、浮動性めまい20.4%(28/137例)、傾眠19.7%(27/137例)、振戦8.0%(11/137例)であった。
既存の抗てんかん薬で十分な発作抑制効果が得られない強直間代発作を有する4歳以上のてんかん患者242例(日本人患者30例を含む)を対象として、ラコサミド(体重30kg未満の小児患者は8~12mg/kg/日、体重30~50kg未満の小児患者は6~8mg/kg/日、体重50kg以上の小児及び成人患者は300~400mg/日)又はプラセボを最長で24週間経口投与(既存の抗てんかん薬1~3剤との併用)したとき、主要評価項目である24週間の治療期間における2回目の強直間代発作が発現するまでの時間は下表及び下図のとおりであり、プラセボとラコサミド群との間で統計学的に有意な差が認められた20) 。
イベント発現までの日数(日)b)[95%信頼区間]
ハザード比c)[95%信頼区間]
121
77.0[49.0, 128.0]
0.540[0.377, 0.774]
118
-[144.0, -]
a)Full Analysis Setラコサミド群の1例は125件のイベントが発現した後に無作為化割付けされたため、2例は24週間の治療期間の発作情報が得られなかったため、解析に含めなかった
b)Kaplan-Meier法による24週間の治療期間における2回目の強直間代発作の発現までの時間の推定値(中央値)「-」:ラコサミド群では24週間の治療期間に2回目の強直間代発作が50%以上の症例に認められなかったため推定不能
c)観察期間における28日あたりの強直間代発作の回数が2回以下の小児、2回以下の成人、2回超の小児又は成人を層としたCox比例ハザードモデルに基づく。Wald法により算出された
副作用発現頻度は、ラコサミド群で46.3%(56/121例)であった。主な副作用は、浮動性めまい17.4%(21/121例)、傾眠13.2%(16/121例)、悪心7.4%(9/121例)であった。
国際共同第III相試験(成人及び小児)を完了した患者及び当該試験での適格性基準のうち強直間代発作回数の基準のみを満たさなかった患者239例(日本人患者37例を含む)を対象として、ラコサミド(体重50kg未満の小児患者は4~12mg/kg/日、体重50kg以上の小児患者は200~600mg/日、成人患者は200~800mg/日注10) )を1日2回に分けて経口投与したとき(中間報告、最長1416日投与)、先行試験の観察期間からの治療期間における28日あたりの強直間代発作回数変化率の中央値は-88.52%であった21) 。副作用発現頻度は、34.7%(83/239例)であった。主な副作用は、浮動性めまい10.9%(26/239例)、傾眠5.9%(14/239例)、回転性めまい及び悪心3.8%(9/239例)であった。
健康成人214例にラコサミド400mg/日、800mg/日注11) 又はプラセボを1日2回に分けて6日間反復経口投与、又はモキシフロキサシン400mg/日を1日1回3日間反復経口投与したとき、ラコサミドはQTc間隔を延長しなかった。ラコサミド群のPR間隔の平均変化量は第6日目の投与1時間後に最大となり、プラセボ群との差は、400mg/日で7.3ms、800mg/日注11) で11.9msであった22) (外国人データ)。
ラコサミドは電位依存性ナトリウムチャネルの緩徐な不活性化を選択的に促進し、過興奮状態にある神経細胞膜を安定化させることによって抗けいれん作用を示すと考えられている23) 。
ラコサミドは聴原性発作マウス、扁桃核キンドリング発作マウス、海馬キンドリング発作ラット、6Hzてんかん発作マウス及び最大電気ショック発作(マウス、ラット)の部分発作及び全般発作を反映した動物モデルにおいて発作を抑制した24),25) 。
扁桃核電気刺激キンドリングラットにおいて、キンドリング形成を抑制した26) 。
ラコサミド(Lacosamide)
(2R)-2-Acetamido-N-benzyl-3-methoxypropanamide
C13H18N2O3
250.29
白色~淡黄色の粉末である。ジメチルホルムアミド又はメタノールに溶けやすく、アセトン又は2-プロパノールにやや溶けやすく、水又は酢酸エチルにやや溶けにくく、アセトニトリル、エタノール(99.5)又はトルエンに溶けにくく、ヘプタンにほとんど溶けない。
140~146℃
log P=0.25(1-オクタノール/水系、20℃)
医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。
5バイアル
1) 厚生労働省:重篤副作用疾患別対応マニュアル 薬剤性過敏症症候群
2) 寺田清人 他:臨床精神薬理 2018;21:1223-1234
3) 社内資料:日本人及び外国人小児患者における母集団薬物動態解析(2019年1月8日承認、CTD 2.7.2.2.3)
4) Cawello W, et al.:Eur J Drug Metab Pharmacokinet. 2012;37:241-248.
5) 岡垣琢也 他:薬理と治療 2015;43:1307-1316
6) Cawello W, et al.:Clin Pharmacokinet. 2013;52:897-906
7) 社内資料:外国人肝機能低下者におけるラコサミドの薬物動態(2016年7月4日承認、CTD 2.7.6.4.5)
8) Schaefer C, et al.:Clin Drug Investig. 2015;35:255-265
9) Cawello W, et al.:J Clin Pharmacol. 2010;50:459-471
10) Cawello W, et al.:Clin Drug Investig. 2014;34:317-325
11) 社内資料:ミダゾラムとの薬物相互作用(2016年7月4日承認、CTD 2.7.6.5.9)
12) Stockis A, et al.:Epilepsia. 2013;54:1161-1166
13) 社内資料:ラコサミドに関する母集団薬物動態解析(2016年7月4日承認、CTD 2.7.2.2.5.2)
14) 社内資料:部分発作単剤療法の国際共同実薬対照試験
15) 社内資料:部分発作併用療法から単剤療法への切り替え試験
16) 社内資料:日本及び中国における部分発作併用療法のプラセボ対照比較試験(2016年7月4日承認、CTD 2.7.6.7.1)
17) 社内資料:日本及び中国における部分発作併用療法の長期継続投与試験(2016年7月4日承認、CTD 2.7.6.8.1)
18) 社内資料:小児患者を対象とした部分発作併用療法のプラセボ対照比較試験(2019年1月8日承認、CTD 2.7.6.3.1)
19) 社内資料:小児患者を対象とした部分発作併用療法の長期継続投与試験(2019年1月8日承認、CTD 2.7.6.4.1)
20) 社内資料:成人及び小児患者を対象とした強直間代発作併用療法の国際共同プラセボ対照試験(2020年12月25日承認、CTD 2.7.6.1.1)
21) 社内資料:成人及び小児患者を対象とした強直間代発作併用療法の長期継続投与試験(2020年12月25日承認、CTD 2.7.6.2.1)
22) Kropeit D, et al.:Acta Neurol Scand. 2015;132:346-354
23) Errington AC, et al.:Mol Pharmacol. 2008;73:157-169
24) 社内資料:The early evaluation of anticonvulsant drugs
25) 社内資料:Effects of lacosamide on fully-kindled seizures in the mouse amygdala kindling model
26) Brandt C, et al.:Epilepsia. 2006;47:1803-1809
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