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ジルビスク皮下注16.6mgシリンジ/ジルビスク皮下注23.0mgシリンジ/ジルビスク皮下注32.4mgシリンジ

処方せん医薬品

添付文書番号
企業コード
作成又は改訂年月
日本標準商品分類番号
薬効分類名
承認等
一般的名称
1.警告
2.禁忌(次の患者には投与しないこと)
3.組成・性状
3.1組成
3.2製剤の性状
4.効能又は効果
5.効能又は効果に関連する注意
6.用法及び用量
7.用法及び用量に関連する注意
8.重要な基本的注意
9.特定の背景を有する患者に関する注意
9.1合併症・既往歴等のある患者
9.5妊婦
9.6授乳婦
9.7小児等
11.副作用
11.1重大な副作用
11.2その他の副作用
14.適用上の注意
15.その他の注意
15.1臨床使用に基づく情報
16.薬物動態
16.1血中濃度
16.2吸収
16.3分布
16.4代謝
16.5排泄
16.6特定の背景を有する患者
17.臨床成績
17.1有効性及び安全性に関する試験
18.薬効薬理
18.1作用機序
18.2溶血阻害作用
19.有効成分に関する理化学的知見
20.取扱い上の注意
21.承認条件
22.包装
23.主要文献
24.文献請求先及び問い合わせ先
25.保険給付上の注意
26.製造販売業者等

ジルビスク皮下注16.6mgシリンジ/ジルビスク皮下注23.0mgシリンジ/ジルビスク皮下注32.4mgシリンジ

添付文書番号

3999471G1020_1_01

企業コード

820110

作成又は改訂年月

2024年2月改訂(第2版)
2023年9月作成(第1版)

日本標準商品分類番号

873999

薬効分類名

補体(C5)阻害剤

承認等

ジルビスク皮下注16.6mgシリンジ

販売名コード

YJコード

3999471G1020

販売名英語表記

ZILBRYSQ Syringe for S.C. Injections

販売名ひらがな

じるびすくひかちゅう16.6mgしりんじ

承認番号等

承認番号

30500AMX00251000

販売開始年月

2024年2月

貯法・有効期間

貯法

2~8℃で保存

有効期間

36ヵ月

ジルビスク皮下注23.0mgシリンジ

販売名コード

YJコード

3999471G2026

販売名英語表記

ZILBRYSQ Syringe for S.C. Injections

販売名ひらがな

じるびすくひかちゅう23.0mgしりんじ

承認番号等

承認番号

30500AMX00252000

販売開始年月

2024年2月

貯法・有効期間

貯法

2~8℃で保存

有効期間

36ヵ月

ジルビスク皮下注32.4mgシリンジ

販売名コード

YJコード

3999471G3022

販売名英語表記

ZILBRYSQ Syringe for S.C. Injections

販売名ひらがな

じるびすくひかちゅう32.4mgしりんじ

承認番号等

承認番号

30500AMX00253000

販売開始年月

2024年2月

貯法・有効期間

貯法

2~8℃で保存

有効期間

36ヵ月

一般的名称

ジルコプランナトリウム

1. 警告

  1. 1.1 本剤の投与により髄膜炎菌感染症を発症することがあり、死亡に至るおそれもあるため、以下の点に十分注意すること。,,,
    1. 1.1.1 本剤の投与に際しては、髄膜炎菌感染症の初期徴候(発熱、頭痛、項部硬直等)に注意して観察を十分に行い、髄膜炎菌感染症が疑われた場合には、直ちに診察し、抗菌剤の投与等の適切な処置を行うこと。
    2. 1.1.2 原則本剤投与前に髄膜炎菌に対するワクチンを接種すること。必要に応じてワクチンの追加接種を考慮すること。
    3. 1.1.3 髄膜炎菌感染症は致命的な経過をたどることがあるので、緊急時に十分に措置できる医療施設及び医師のもとで、あるいは髄膜炎菌感染症の診断及び治療が可能な医療施設との連携下で投与すること。
    4. 1.1.4 髄膜炎菌感染症のリスクについて患者に説明し、当該感染症の初期徴候を確実に理解させ、髄膜炎菌感染症に関連する症状が発現した場合には、主治医に連絡するよう患者に注意を与えること。
  2. 1.2 本剤は、全身型重症筋無力症に十分な知識を持つ医師のもとで、治療上の有益性が危険性を上まわると判断される場合にのみ投与すること。また、本剤投与開始に先立ち、本剤は疾病を完治させる薬剤ではないことを含め、本剤の有効性及び危険性を患者又はその家族に十分説明し、同意を得てから投与すること。,

2. 禁忌(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1 髄膜炎菌感染症に罹患している患者[症状を悪化させるおそれがある。],,,
  2. 2.2 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

3. 組成・性状

3.1 組成

ジルビスク皮下注16.6mgシリンジ

有効成分1シリンジ0.416mL中ジルコプラン   16.6mg
(ジルコプランナトリウムとして   17.0mg )

ジルビスク皮下注23.0mgシリンジ

有効成分1シリンジ0.574mL中ジルコプラン   23.0mg
(ジルコプランナトリウムとして   23.6mg )

ジルビスク皮下注32.4mgシリンジ

有効成分1シリンジ0.810mL中ジルコプラン   32.4mg
(ジルコプランナトリウムとして   33.2mg )

3.2 製剤の性状

ジルビスク皮下注16.6mgシリンジ

pH6.5~7.5
浸透圧比約1(生理食塩液に対する比)
色・性状無色澄明の液

ジルビスク皮下注23.0mgシリンジ

pH6.5~7.5
浸透圧比約1(生理食塩液に対する比)
色・性状無色澄明の液

ジルビスク皮下注32.4mgシリンジ

pH6.5~7.5
浸透圧比約1(生理食塩液に対する比)
色・性状無色澄明の液

4. 効能又は効果

全身型重症筋無力症(ステロイド剤又はステロイド剤以外の免疫抑制剤が十分に奏効しない場合に限る)

5. 効能又は効果に関連する注意

  1. 5.1 本剤は、抗アセチルコリン受容体抗体陽性の患者に投与すること。
  2. 5.2 本剤は、補体C5の開裂及びC5bとC6の結合を阻害し、終末補体複合体C5b-9の生成を抑制すると考えられるため、髄膜炎菌をはじめとする莢膜形成細菌による感染症を発症しやすくなる可能性があることから、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で、本剤投与の是非を慎重に検討し、適切な対象患者に使用すること。また、本剤投与に際しては、原則本剤投与開始の少なくとも2週間前までに髄膜炎菌に対するワクチンを接種すること。,,,,,,

6. 用法及び用量

通常、成人にはジルコプランとして下表に示す用量を1日1回皮下投与する。

体重

投与量

56kg未満

16.6mg

56kg以上77kg未満

23.0mg

77kg以上

32.4mg

7. 用法及び用量に関連する注意

本剤投与開始12週後までに症状の改善が認められない患者では、他の治療法への切り替えを考慮すること。

8. 重要な基本的注意

  1. 8.1 膵炎、血清アミラーゼ、血清リパーゼの上昇があらわれることがあるので、本剤投与中は、定期的に膵酵素(血清アミラーゼ、血清リパーゼ)を測定し、上昇が認められた場合には、適切な処置を行うこと。,
  2. 8.2 本剤の投与開始にあたっては、医療施設において、必ず医師によるか、医師の直接の監督のもとで投与を行うこと。自己投与の適用については、医師がその妥当性を慎重に検討し、十分な教育訓練を実施した後、本剤投与による危険性と対処法について患者が理解し、患者自ら確実に投与できることを確認した上で、医師の管理指導のもとで実施すること。使用済みの注射器(注射針一体型)を再使用しないよう患者に注意を促し、安全な廃棄方法に関する指導を行うこと。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1 髄膜炎菌感染症の既往のある患者

    本剤により髄膜炎菌感染症を発症しやすくなる可能性がある。,,,

  2. 9.1.2 感染症の患者又は感染症が疑われる患者(髄膜炎菌感染症の患者を除く)

    特に莢膜形成細菌(髄膜炎菌、肺炎球菌、インフルエンザ菌等)による感染症に罹患しやすくなる可能性がある。,

  3. 9.1.3 膵炎の既往のある患者

    ,

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。

9.7 小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

11. 副作用

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

11.1 重大な副作用

  1. 11.1.1 髄膜炎菌感染症(頻度不明)

    髄膜炎又は敗血症を発症し、急激に重症化するおそれがあるので、本剤の投与に際しては、当該感染症の初期徴候(発熱、頭痛、項部硬直、羞明、精神状態の変化、痙攣、悪心・嘔吐、紫斑、点状出血等)等の観察を十分に行うこと。髄膜炎菌感染症が疑われた場合には、直ちに診察し、抗菌剤の投与等の適切な処置を行うこと。類薬において、髄膜炎菌に対するワクチンを接種しても発症した例が認められており、死亡に至るおそれもある。,,,,

  2. 11.1.2 重篤な感染症(1.4%)

    肺炎、敗血症等の重篤な感染症があらわれることがある。また、肺炎球菌、インフルエンザ菌、淋菌等の莢膜形成細菌による重篤な感染症があらわれることがある。,

  3. 11.1.3 膵炎(0.5%)

    膵炎(0.5%)、血清アミラーゼの上昇(1.9%)、血清リパーゼの上昇(4.2%)等があらわれることがある。,

  4. 11.1.4 重篤な過敏症(0.5%)

    アナフィラキシー(血管性浮腫、蕁麻疹等)等の重篤な過敏症があらわれることがある。

11.2 その他の副作用

5%以上

1~5%未満

1%未満

一般・全身障害及び投与部位の状態

注射部位反応(注射部位内出血、注射部位疼痛等)
(22.2%)

感染症及び寄生虫症

感染症(上気道感染、上咽頭炎、副鼻腔炎、尿路感染等)

胃腸障害

下痢、アフタ性潰瘍

皮膚及び皮下組織障害

限局性強皮症

臨床検査

アミラーゼ増加、リパーゼ増加、肝逸脱酵素上昇(アラニンアミノトランスフェラーゼ増加等)

血中好酸球増加

その他

過敏症(注射部位発疹、発疹、蕁麻疹、血管性浮腫、湿疹)

14. 適用上の注意

14.1 薬剤投与前の注意

  1. 14.1.1 本剤投与前に冷蔵庫から取り出し、30分以上平らな場所に置き、室温に戻してから投与すること。その他の方法(電子レンジ、温水、直射日光等)で本剤を温めないこと。
  2. 14.1.2 本剤を投与する準備ができるまでキャップをはずさないこと。

14.2 薬剤投与時の注意

  1. 14.2.1 投与部位は大腿部、腹部又は上腕部とし、投与毎に投与部位を変えること。同じ投与部位に注射する場合、新たな注射箇所は、前回の注射箇所から少なくとも2.5cm離すこと。
  2. 14.2.2 皮膚に異常のある部位(圧痛、発赤、あざ、硬結、瘢痕等の部位)には注射しないこと。
  3. 14.2.3 臍部から5cm以内に本剤を投与しないこと。

15. その他の注意

15.1 臨床使用に基づく情報

国際共同第III相二重盲検試験(MG0010)において、本剤が投与された86例のうち、本剤に対する抗体が2例(2.3%)、PEGに対する抗体が8例(9.3%)に認められた。

16. 薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1 単回投与

    日本人健康成人に本剤0.1及び0.3mg/kg(各群4例)を単回皮下投与したときの血漿中ジルコプラン濃度時間推移及び薬物動態パラメータを図1及び表1に示す1)

    図1 日本人健康成人に単回皮下投与時の血漿中ジルコプラン濃度推移(幾何平均値±95%信頼区間)
    表1 日本人健康成人に単回皮下投与時の血漿中ジルコプランの薬物動態パラメータ

    投与量
    (mg/kg)

    Cmax
    (ng/mL)

    tmax
    (h)

    AUC0-last
    (ng・h/mL)

    AUC0-inf
    (ng・h/mL)

    t1/2
    (h)

    0.1

    1580
    (14.0)

    3.02
    (3.00-6.02)

    428000
    (12.5)

    480000
    (12.9)

    201
    (2.2)

    0.3

    3770
    (5.1)

    3.03
    (3.00-3.05)

    737000
    (8.6)

    808000
    (9.1)

    183
    (8.4)

    各群4例、Cmax、AUC0-last、AUC0-inf及びt1/2:幾何平均値(変動係数[%])、tmax:中央値(最小値-最大値)

  2. 16.1.2 反復投与
    1. (1) 日本人健康成人6例に本剤0.3mg/kgを1日1回14日間反復投与したとき、投与1日目(初回投与時)と14日目(最終回投与時)の血漿中ジルコプラン濃度を表2に示す1)
      表2 日本人健康成人に反復皮下投与時の血漿中ジルコプランの薬物動態パラメータ

      投与量
      (mg/kg)

      Cmax
      (ng/mL)

      tmax
      (h)

      AUCτ
      (ng・h/mL)

      t1/2
      (h)

      0.3

      初回投与時

      3890
      (17.3)

      3.04
      (1.00-6.00)

      76600
      (13.0)

      最終回投与時

      13300
      (14.4)

      3.00
      (1.00-3.08)

      272000
      (14.6)

      174
      (3.9)

      各群6例、Cmax、AUCτ及びt1/2:幾何平均値(変動係数[%])、tmax:中央値(最小値-最大値)

    2. (2) 国際共同第III相二重盲検試験(MG0010)において全身型重症筋無力症患者を対象に本剤0.3mg/kg(体重区分ごとの投与量1) )を1日1回反復皮下投与したときの血漿中ジルコプラン濃度のトラフ値を表3に示す。血漿中ジルコプラン濃度は4週までに定常状態に達し、12週間を通して維持された2)
      表3 各測定時点における血漿中ジルコプランのトラフ濃度

      測定時点

      評価例数

      ジルコプラン トラフ濃度(ng/mL)

      1週目

      81

      11430.7(21.3)

      2週目

      82

      12460.3(22.0)

      4週目

      79

      12981.7(25.6)

      8週目

      77

      12433.2(24.6)

      12週目

      75

      12544.6(22.4)

      幾何平均値(変動係数%)

      1) 体重43kg以上56kg未満:16.6mg、56kg以上77kg未満:23.0mg、77kg以上150kg以下:32.4mg

16.2 吸収

健康成人に本剤0.3mg/kgを異なる投与部位(腹部及び大腿部:8例、腹部及び上腕部:7例)に単回皮下投与したとき、腹部への投与に対する大腿部及び上腕部のAUC0-last及びCmax比の推定値及び90%信頼区間は、0.9700[0.9347;1.007]及び0.9776[0.9260;1.032]並びに0.8642[0.8017;0.9316]及び0.9579[0.8803;1.042]であった3) (外国人データ)。

16.3 分布

In vitro試験の結果、ジルコプラン及び主要代謝物(RA103488及びRA102758)の血漿蛋白結合率は99%超であった4)

16.4 代謝

In vitro及びin vivo試験の結果、2つの主要な代謝物として、加水分解によるRA102758の生成及びパルミトイル末端のω-水酸化によるRA103488が認められた。ジルコプランはペプチドとして異化経路を介して低分子ペプチドやアミノ酸に分解されると考えられる。RA103488の生成にはCYP4F2が主に寄与した。RA102758は薬理学的に不活性であり、RA103488はジルコプランと同程度の薬理活性を有するが、日本人健康成人に本剤0.3mg/kgを投与したときの定常状態におけるジルコプランに対する血漿中濃度の割合は約7%であった1),5)

16.5 排泄

ジルコプラン及び主要代謝物(RA103488及びRA102758)の尿中及び糞中排泄率は1%未満と推定された6),7) (外国人データ)。

16.6 特定の背景を有する患者

  1. 16.6.1 腎機能障害患者

    重度の腎機能障害を有する成人被験者に、本剤0.3mg/kg(各群8例)を単回皮下投与したとき、ジルコプラン及びRA102758のAUC0-last、AUC0-inf及びCmaxは腎機能正常者と比較して同程度であった。RA103488のAUC0-last、AUC0-inf及びCmaxは腎機能正常者と比較し、約1.4~1.5倍高かった6) (外国人データ)。

    表4 腎機能正常者及び腎機能障害患者の血漿中ジルコプラン濃度の薬物動態パラメータ

    薬物動態パラメータ

    腎機能の程度

    正常

    重度

    CLcr(mL/min)

    ≥90

    <30

    Cmax(ng/mL)

    4830.33(18)

    4468.65(8)

    tmax(h)

    4.0(2.0-12.1)

    6.0(2.0-12.0)

    AUC0-last(ng・h/mL)

    789542.7(18)

    695854.5(17)

    AUC0-inf(ng・h/mL)

    821508.2(20)

    717144.3(17)

    t1/2(h)

    175.87(18)

    165.69(21)

    各群8例、Cmax、AUC0-last、AUC0-inf及びt1/2:幾何平均値(変動係数[%])、tmax:中央値(最小値-最大値)

  2. 16.6.2 肝機能障害患者

    中等度の肝機能障害(Child-Pugh分類B)を有する成人被験者に、本剤0.3mg/kg(各群8例)を単回皮下投与したとき、肝機能正常者と比較して、ジルコプランのAUC0-last及びAUC0-infは0.76倍低く、RA102758及びRA103488のAUC0-last及びCmaxは1.09~1.22倍高かった。ジルコプランのCmax及び半減期は両群で同程度であった7) (外国人データ)。

    表5 肝機能正常者及び肝機能障害患者の血漿中ジルコプラン濃度の薬物動態パラメータ

    薬物動態パラメータ

    肝機能の程度

    正常

    中等度

    Cmax(ng/mL)

    5128(19.3)

    4867(14.4)

    tmax(h)

    8.0(2.0-12)

    4.0(3.8-23)

    AUC0-last(ng・h/mL)

    769900(12.8)

    581400(21.3)

    AUC0-inf(ng・h/mL)

    787000(13.3)

    594500(21.6)

    t1/2(h)

    148.3(17.5)

    152.2(10.7)

    各群8例、Cmax、AUC0-last、AUC0-inf及びt1/2:幾何平均値(変動係数[%])、tmax:中央値(最小値-最大値)

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験

全身型重症筋無力症患者を対象とした臨床試験は、全被験者が本剤投与前に髄膜炎菌に対するワクチンを接種することとされた。

  1. 17.1.1 国際共同第III相二重盲検試験(MG0010)

    抗アセチルコリン受容体抗体陽性の18歳以上の全身型重症筋無力症患者(MG-ADL総スコアが6以上、かつQMG総スコアが12以上)174例(日本人患者16例を含む)を対象に、多施設無作為化二重盲検プラセボ対照試験を実施した。12週間の投与期間を通じて用量を一定とする標準治療(ステロイド、免疫抑制剤)が併用可能とされた。本剤又はプラセボを1日1回皮下投与したとき、主要評価項目である投与12週時のMG-ADL総スコアのベースラインからの変化量は表のとおりであり、プラセボ群に対して統計学的に有意な改善が認められた。また、副次評価項目である投与12週時のQMG総スコアのベースラインからの変化量は表のとおりであった。

    表 12週時におけるMG-ADL及びQMG総スコアのベースラインからの変化量2) (MG0010)

    プラセボ群a)
    (88例)

    本剤群a)
    (86例)

    群間差b)

    p値c)

    MG-ADL

    -2.30
    [-3.17, -1.43]

    -4.39
    [-5.28, -3.50]

    -2.09
    [-3.24, -0.95]

    <0.001

    QMG

    -3.25
    [-4.32, -2.17]

    -6.19
    [-7.29, -5.08]

    -2.94
    [-4.39, -1.49]

    a)12週時における総スコアのベースラインからの変化量の最小二乗平均値[95%信頼区間]
    b)プラセボに対する最小二乗平均値の群間差[95%信頼区間]
    c)MMRM ANCOVAモデル解析に基づくp値

    2) 治療群、ベースライン時のMG-ADL総スコア及びQMG総スコア、地域、治療群と来院の交互作用、ベースライン時の各評価項目と来院の交互作用を固定効果、被験者を変量効果としたMMRM ANCOVAモデル解析に基づく最小二乗平均値

    副作用発現頻度は、本剤群で32.6%(28/86例)であった。
    主な副作用は、注射部位内出血11.6%(10/86例)、注射部位疼痛9.3%(8/86例)、注射部位反応、挫傷、リパーゼ増加及び頭痛各3.5%(3/86例)であった2)

18. 薬効薬理

18.1 作用機序

ジルコプランは、補体C5に結合しC5a及びC5bへの開裂並びにC5b及びC6の結合を阻害することにより、膜侵襲複合体の形成及び細胞溶解活性を抑制する8)

18.2 溶血阻害作用

  1. 18.2.1 In vitro試験

    ジルコプランは、補体古典経路及び第2経路によるヒツジ赤血球の溶血を阻害した9) 。また、野生型ヒトC5及び変異型ヒトC5(R885C及びR885H)を介した補体古典経路によるヒツジ赤血球の溶血を阻害した10)

  2. 18.2.2 Ex vivo試験

    ジルコプランを皮下投与したカニクイザルの血漿試料を用いたヒツジ赤血球溶血アッセイにおいて溶血阻害作用が認められた11),12)
    ジルコプラン0.3mg/kgを皮下投与した全身型重症筋無力症患者の血漿試料を用いたヒツジ赤血球溶血アッセイにおいて溶血阻害作用が認められた2),13)

19. 有効成分に関する理化学的知見

一般的名称

ジルコプランナトリウム(JAN)
Zilucoplan Sodium(JAN)

化学名

Tetrasodium salt of N2-acetyl-L-lysyl-L-valyl-L-α-glutamyl-L-arginyl-L-phenylalanyl-L-α-aspartyl-N-methyl-L-α-aspartyl-3-methyl-L-valyl-L-tyrosyl-3-(1H-pyrrolo[2,3-b]pyridin-3-yl)-L-alanyl-L-α-glutamyl-L-tyrosyl-L-prolyl-(2S)-2-cyclohexylglycyl-N6-(3-{ω-[(N-hexadecanoyl-L-γ-glutamyl)amino]tetracosakis(oxyethylene)-α-yl}propanoyl)-L-lysine (6→16)-lactam

分子式

C172H274N24Na4O55

分子量

3650.1

性状

白色から微黄色の粉末である。

化学構造式

*酸性基を持つアミノ酸残基。1つの酸性基にはプロトン化されたアルギニン側鎖が結合し、4つの酸性基にはナトリウムイオンがそれぞれ1つずつ結合している。

本質

ジルコプランナトリウムは、ジルコプランの四ナトリウム塩である。ジルコプランは化学修飾された合成環状ペプチドで、ヒト補体C5に結合する。ペプチド部分は15個のアミノ酸残基からなり、15番目のLys残基は修飾されている。

20. 取扱い上の注意

  1. 20.1 凍結を避けて、冷蔵庫で保存すること。室温(30℃以下)で保存する場合には、3ヵ月以内に使用すること。
  2. 20.2 本剤は外箱にいれた状態で遮光保存すること。

21. 承認条件

  1. 21.1 医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。
  2. 21.2 国内での治験症例が極めて限られていることから、製造販売後、一定数の症例に係るデータが集積されるまでの間は、全症例を対象に使用成績調査を実施することにより、本剤の使用患者の背景情報を把握するとともに、本剤の安全性及び有効性に関するデータを早期に収集し、本剤の適正使用に必要な措置を講じること。
  3. 21.3 本剤の投与が、全身型重症筋無力症の診断、治療に精通し、本剤のリスク等についても十分に管理できる医師・医療機関のもとで、髄膜炎菌感染症の診断、治療に精通した医師との連携を取った上でのみ行われるよう、製造販売にあたって必要な措置を講じること。

22. 包装

  • 〈ジルビスク皮下注16.6mgシリンジ〉

    0.416mL[7本]

  • 〈ジルビスク皮下注23.0mgシリンジ〉

    0.574mL[7本]

  • 〈ジルビスク皮下注32.4mgシリンジ〉

    0.810mL[7本]

24. 文献請求先及び問い合わせ先

ユーシービージャパン株式会社
ユーシービーケアーズ コンタクトセンター

〒160-0023 東京都新宿区西新宿8丁目17番1号

TEL:0120-093-189
受付時間 9:00~17:30(土日・祝日・会社休日を除く)

25. 保険給付上の注意

*本剤は新医薬品であるため、厚生労働省告示第97号(平成20年3月19日付)に基づき、2024年11月末日までは、投薬は1回14日分を限度とされています。

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元

ユーシービージャパン株式会社

東京都新宿区西新宿8丁目17番1号

〒100-0013 東京都千代田区霞が関3-3-2 新霞が関ビル

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