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日本薬局方
アゼルニジピン錠
処方箋医薬品注)
高血圧症
通常、成人にはアゼルニジピンとして8~16mgを1日1回朝食後経口投与する。なお、1回8mgあるいは更に低用量から投与を開始し、症状により適宜増減するが、1日最大16mgまでとする。
降圧に伴い腎機能が低下する可能性がある。
重篤な肝機能障害のある患者を対象とした臨床試験は実施していない。
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。動物実験(ラット)で妊娠前~初期の投与において着床前及び着床後胚死亡率の増加、出生児の体重低下、妊娠期間及び分娩時間の延長が認められている。妊娠末期の投与において妊娠期間及び分娩時間の延長が認められている。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット)で乳汁中へ移行することが報告されている。
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
8mgあるいは更に低用量から投与を開始し、慎重に投与すること。一般に過度の降圧は好ましくないとされている。脳梗塞等が起こるおそれがある。
以下のアゾール系抗真菌剤
,
アゼルニジピン8mgとイトラコナゾール50mg注1)との併用により本剤のAUCが2.8倍に上昇することが報告されている。
これらの薬剤がCYP3A4を阻害し、本剤のクリアランスが低下すると考えられる。
*HIVプロテアーゼ阻害剤
コビシスタット含有製剤
ニルマトレルビル・リトナビル
エンシトレルビル フマル酸
本剤の作用が増強されるおそれがある。
*クラリスロマイシン
*セリチニブ
他の降圧剤
過度の降圧が起こるおそれがある。必要があれば他の降圧剤あるいは本剤を減量すること。
作用メカニズムの異なる降圧剤の併用により薬理作用が増強される。
ジゴキシン
ジゴキシンのCmaxが1.5倍、AUCが1.3倍に上昇することが報告されている。必要があればジゴキシンを減量すること。
ジゴキシンの腎排泄(尿細管分泌)及び腎外からの排泄を阻害するためと考えられる。
アゾール系抗真菌剤(併用禁忌の薬剤又はそれ以外の外用剤を除く)
本剤の作用が増強されるおそれがある。必要があれば本剤を減量又は中止、あるいはこれらの薬剤の投与を中止すること。
シメチジン
イマチニブメシル酸塩
マクロライド系抗生物質
本剤の作用が増強されるおそれがある。必要があれば本剤を減量あるいはこれらの薬剤の投与を中止すること。
シンバスタチン
シンバスタチンのAUCが2.0倍に上昇することが報告されている。必要があれば本剤又はシンバスタチンの投与を中止すること。
これらの薬剤がCYP3A4を競合的に阻害することにより、相互のクリアランスが低下すると考えられる。
腎機能障害のある患者は特に注意すること。
シクロスポリン
本剤又はこれらの薬剤の作用が増強されるおそれがある。必要があれば本剤又はこれらの薬剤を減量すること。
ベンゾジアゼピン系薬剤
経口黄体・卵胞ホルモン
タンドスピロンクエン酸塩
本剤の作用が増強されるおそれがある。必要があれば本剤を減量あるいはタンドスピロンクエン酸塩の投与を中止すること。
セロトニン受容体を介した中枢性の血圧降下作用が降圧作用を増強する。
リファンピシン
フェニトイン
フェノバルビタール
本剤の作用が減弱されるおそれがある。
これらの薬剤の代謝酵素誘導作用により、本剤のクリアランスが上昇すると考えられる。
グレープフルーツジュース
本剤の血中濃度が上昇することが報告されている。降圧作用が増強されるおそれがあることから、本剤の服用中はグレープフルーツジュースを飲用しないよう注意すること。
グレープフルーツジュースに含まれる成分がCYP3A4による本剤の代謝を阻害し、クリアランスを低下させるためと考えられる。
AST、ALT、γ-GTPの上昇等を伴う肝機能障害があらわれることがある。
めまい、ふらつき等の症状があらわれることがある。
1~3%未満
1%未満
頻度不明
過敏症
そう痒、発疹
血管性浮腫、光線過敏性反応
精神神経系
頭痛・頭重感
立ちくらみ、ふらつき、めまい
眠気
消化器
便秘
胃部不快感、悪心、腹痛、下痢、歯肉肥厚、口内炎
循環器
動悸、顔面潮紅、ほてり
血液
好酸球増多
肝臓
ALT上昇、AST上昇、LDH上昇
ALP上昇、総ビリルビン上昇
γ-GTP上昇、肝機能異常
泌尿器
BUN上昇、尿硝子円柱増加
クレアチニン上昇、頻尿
その他
尿酸上昇
総コレステロール上昇、CK上昇、カリウム上昇、カリウム低下
倦怠感、異常感(浮遊感、気分不良等)、浮腫、しびれ、乳び腹水注2)
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。
健康な成人男性6例にアゼルニジピン8mgを1日1回7日間連続経口投与したところ、最高血漿中濃度に到達する時間は2~3時間であり、半減期は19~23時間であった。投与後24時間の血漿中濃度は、投与2日目からほぼ一定の値を示し、速やかに定常状態に達した1)。
投与量
投与日数
Cmax(ng/mL)
Tmax(hr)
t1/2α(hr)
t1/2β(hr)
AUC0-24(ng・hr/mL)
8mg
1日目
11.8±1.4
3.2±0.3
1.3±0.2
23.1±8.1
59.7±6.9
7日目
14.7±1.6
2.2±0.3
1.0±0.1
19.2±2.2
81.6±13.4
(n=6、平均値±標準誤差)
軽症・中等症本態性高血圧症患者6例にアゼルニジピン8mgを朝食後単回経口投与したところ、最高血漿中濃度に到達する時間は3.7時間、Cmaxは9.4ng/mL、半減期(一相性)は6.1時間、AUC0-24は66.5ng・hr/mLであった。血漿中濃度は健康な成人と同様のレベルと考えられた2)。
アゼルニジピン錠8mg「YD」とカルブロック錠8mgをクロスオーバー法によりそれぞれ1錠(アゼルニジピンとして8mg)、健康成人男子18名に絶食単回経口投与して血漿中未変化体濃度を測定した。得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について統計解析を行った結果、両剤の生物学的同等性が確認された3)。
(平均値±標準偏差、n=l8)
アゼルニジピン錠16mg「YD」とカルブロック錠16mgをクロスオーバー法によりそれぞれ1錠(アゼルニジピンとして16mg)、健康成人男子20名に絶食単回経口投与して血漿中未変化体濃度を測定した。得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について統計解析を行った結果、両剤の生物学的同等性が確認された4)。
(平均値±標準偏差、n=20)
健康な成人男性6例にアゼルニジピン10mgを空腹時投与したときCmax及びAUC0-∞は食後投与と比較してそれぞれ38%及び69%であった5)。
アゼルニジピンのin vitroの血漿蛋白結合率は90~91%で、主にリポ蛋白に非特異的に結合する6)。
主な代謝部位は小腸及び肝臓であり、CYP3A4によりジヒドロピリジン環が酸化される7),8)。
健康な成人男性4例に14C-アゼルニジピン4mg注3)を単回経口投与したところ、投与後7日までの尿及び糞中への総投与放射能排泄率は、尿中が26%、糞中が63%であった9)(外国人データ)。
腎機能低下を伴う高血圧症患者6例(血清クレアチニン1.5~5.3mg/dL)にアゼルニジピン8mgを1日1回朝食後7日間連続経口投与したところ、投与1日目及び投与7日目の最高血漿中濃度は8.6ng/mL及び17.1ng/mL、AUC0-24は67.3ng・hr/mL及び154.5ng・hr/mLと、7日目で有意に大きな値を示したが、投与24時間後の血漿中濃度は6日目以降ほぼ一定の値を示し定常状態に達した10)。
軽度・中等度の肝機能障害患者及び健康人各8例にアゼルニジピン8mgを単回経口投与したところ、ほぼ同様の血漿中濃度推移を示した11)(外国人データ)。
(n=8、平均値±標準偏差)
高齢高血圧症患者(65~84歳)5例にアゼルニジピン8mgを1日1回朝食後7日間連続経口投与したところ、投与1日目及び投与7日目の最高血漿中濃度到達時間はそれぞれ4.4時間及び3.2時間、半減期はそれぞれ6.4時間及び8.6時間、AUC0-24はそれぞれ107.0ng・hr/mL及び242.8ng・hr/mLであり、最高血漿中濃度、半減期及びAUC0-24は7日目に有意に大きな値を示したが、投与24時間後の血漿中濃度は7日目までにほぼ一定の値を示し定常状態に達した12)。
(n=5、平均値±標準誤差)
健康な成人男性8例にアゼルニジピン8mg及びイトラコナゾール50mgを併用投与したところ、血漿中アゼルニジピンのCmax及びAUCは単独投与に比較してそれぞれ1.6倍、2.8倍に増加した13)。,
健康な成人男性16例にアゼルニジピン8mg及びジゴキシン0.25mgを併用投与したところ、血漿中ジゴキシンのCmax及びAUC0-∞は単独投与に比較してそれぞれ1.5倍、1.4倍に増加した14)。
(n=16、平均値±標準偏差)
健康な成人男性8例にアゼルニジピン8mg及びシンバスタチン10mgを併用投与したところ、単独投与に比較して血漿中アゼルニジピン濃度はほとんど変化しなかったが、血漿中シンバスタチン濃度はCmax及びAUCがそれぞれ1.9倍、2.0倍に増加した15)。
なお、アゼルニジピン8mgとアトルバスタチン10mg又はプラバスタチン10mgの併用投与では、血漿中アゼルニジピン濃度にほとんど変化はなく、血漿中アトルバスタチン濃度はCmax及びAUC0-∞がそれぞれ1.0倍、0.8倍、血漿中プラバスタチン濃度は同じく0.9倍、1.0倍であった16)。
健康な成人男性8例(23~40歳)にアゼルニジピン8mgをグレープフルーツジュースとともに単回経口投与したところ、水で服用した場合に比較してCmax及びAUCはそれぞれ2.5倍、3.3倍に増加した17)。
(n=8、平均値(95%信頼区間))
軽症・中等症本態性高血圧症患者208例にアゼルニジピン8~16mgを二重盲検比較法により1日1回12週間連続経口投与した時の降圧率(下降例数注13)/評価例数)は72.6%(判定不能を除く場合83.4%)であった。アゼルニジピン投与群での副作用発現頻度は、自他覚症状が10.6%(22/208例)、臨床検査値異常が6.7%(14/208例)であった。主な副作用は、ALT上昇3.4%(7/208例)、AST上昇2.9%(6/208例)、頭痛・頭重感2.9%(6/208例)であった18)。
二重盲検比較試験を含め軽症・中等症本態性高血圧症患者を対象とした試験において、アゼルニジピン8~16mgを投与された756例の降圧率は73.7%であった19)(判定不能を含む)。
重症高血圧症患者を対象とした臨床試験成績での判定不能を含む降圧率は86.7%(26/30例)であり、判定不能を除く場合は92.9%(26/28例)であった。副作用発現頻度は、自他覚症状が6.7%(2/30例)、臨床検査値異常が16.7%(5/30例)であった。認められた副作用は、便秘、眠気、全身倦怠感、ふらつき感等が各3.3%(1/30例)であった20)。
腎機能障害を伴う高血圧症患者を対象とした臨床試験成績での判定不能を含む降圧率は69.0%(20/29例)であり、判定不能を除く場合は74.1%(20/27例)であった。副作用発現頻度は、自他覚症状が10.3%(3/29例)、臨床検査値異常が3.4%(1/29例)であった。認められた副作用は、下痢、心窩部重圧感等が各3.4%(1/29例)であった21)。
軽症・中等症本態性高血圧症患者を対象に、1日1回52週間アゼルニジピンを単独投与した結果、安定した降圧効果が得られた。判定不能を含む降圧率は87.4%(83/95例)、判定不能を除く場合は91.2%(83/91例)であった。副作用発現頻度は、自他覚症状が9.5%(9/95例)、臨床検査値異常が6.3%(6/95例)であった。主な副作用は総コレステロール上昇3.2%(3/95例)であった22)。
軽症・中等症本態性高血圧症患者を対象に、1日1回52週間アゼルニジピンとカルシウム拮抗剤以外の降圧剤を併用投与した結果、安定した降圧効果が得られた。判定不能を含む降圧率は76.7%(132/172例)、判定不能を除く場合は85.2%(132/155例)であった。副作用発現頻度は、自他覚症状が3.5%(8/228例)、臨床検査値異常が14.5%(33/228例)であった。主な副作用はLDH上昇3.5%(8/228例)、尿酸上昇3.5%(8/228例)、ALT上昇2.6%(6/228例)であった23)。
アゼルニジピンは、L型Caチャネル拮抗作用に基づき、血管を拡張させることにより降圧作用を発現する。ブタ心臓ミクロソームを用いた受容体結合実験において、3H-ニトレンジピンの特異的結合に対する50%阻害濃度(IC50値)及び阻害定数(Ki値)はそれぞれ3.1nM、2.1nMであった24)(in vitro)。また、アゼルニジピンは肝初回通過効果を受けにくい25)(イヌ)。
高血圧モデル動物(高血圧自然発症ラット、DOCA食塩高血圧ラット、腎性高血圧ラット、腎周囲炎性腎性高血圧犬)への0.1ないし1~3mg/kgの単回経口投与により血圧は用量依存的に下降し、その作用は緩徐に発現しかつ持続的であり、類薬に比べて心拍数にほとんど影響を及ぼさなかった。また、高血圧自然発症ラット又は腎性高血圧犬への反復経口投与においても安定した降圧作用を示した26)。
アゼルニジピン(Azelnidipine)
3-[1-(Diphenylmethyl)azetidin-3-yl]5-(1-methylethyl)(4RS)-2-amino-6-methyl-4-(3-nitrophenyl)-1,4-dihydropyridine-3,5-dicarboxylate
C33H34N4O6
582.65
淡黄色~黄色の結晶性の粉末又は塊を含む粉末である。エタノール(99.5)又は酢酸(100)に溶けやすく、水にほとんど溶けない。エタノール(99.5)溶液(1→100)は旋光性を示さない。
本剤は光により着色するので開封後は遮光して保存すること。
1) 中島光好 他:臨床医薬. 2000;16(2):191-205
2) 本態性高血圧症患者における薬物動態(カルブロック錠:2003年1月31日承認、申請資料概要ヘ-Ⅲ-2)
3) 社内資料:生物学的同等性試験(錠8mg)
4) 社内資料:生物学的同等性試験(錠16mg)
5) 中島光好 他:臨床医薬. 2000;16(2):179-190
6) アゼルニジピンの血漿蛋白結合率(カルブロック錠:2003年1月31日承認、申請資料概要ヘ-Ⅱ-2)
7) チトクロームP450分子種(カルブロック錠:2003年1月31日承認、申請資料概要ヘ-Ⅱ-3)
8) 代謝に及ぼすグレープフルーツジュースの影響(カルブロック錠:2003年1月31日承認、申請資料概要ヘ-Ⅱ-5)
9) アゼルニジピンの排泄(カルブロック錠:2003年1月31日承認、申請資料概要ヘ-Ⅲ-1)
10) 小口寿夫 他:臨床医薬. 1999;15(5):765-777
11) 肝機能障害患者における薬物動態(カルブロック錠:2003年1月31日承認、申請資料概要ヘ-Ⅲ-1)
12) 桑島巌 他:臨床医薬. 2000;16(3):375-387
13) イトラコナゾール併用投与時の薬物動態(カルブロック錠:2003年1月31日承認、申請資料概要ヘ-Ⅲ-6)
14) CS-905 臨床薬理試験の要約(レザルタス配合錠:2010年1月20日承認、申請資料概要2.7.2.5)
15) シンバスタチン併用投与時の薬物動態(カルブロック錠:2003年1月31日承認、申請資料概要ヘ-Ⅲ-6)
16) アトルバスタチン及びプラバスタチン併用投与時の薬物動態(カルブロック錠:2012年12月19日公表、再審査報告書)
17) Hirashima, H. et al.:臨床薬理. 2006;37(3):127-133
18) 吉永馨 他:臨床医薬. 2000;16(5):671-739
19) 全評価患者における有効性のまとめ(カルブロック錠:2003年1月31日承認、申請資料概要ト-Ⅱ-12)
20) 荻原俊男 他:臨床医薬. 1999;15(6):985-1004
21) 猿田享男 他:臨床医薬. 1999;15(6):1005-1031
22) 吉永馨 他:臨床医薬. 1999;15(6):943-983
23) 平井愛山 他:臨床医薬. 1999;15(9):1505-1545
24) アゼルニジピンの作用機序(カルブロック錠:2003年1月31日承認、申請資料概要ホ-Ⅰ-2)
25) アゼルニジピンの初回通過効果(カルブロック錠:2003年1月31日承認、申請資料概要ヘ-Ⅱ-1)
26) アゼルニジピンの降圧作用(カルブロック錠:2003年1月31日承認、申請資料概要ホ-Ⅰ-1)
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