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エパルレスタット錠50mg「YD」

処方せん医薬品

添付文書番号
企業コード
作成又は改訂年月
日本標準商品分類番号
薬効分類名
承認等
一般的名称
3.組成・性状
3.1組成
3.2製剤の性状
4.効能又は効果
5.効能又は効果に関連する注意
6.用法及び用量
7.用法及び用量に関連する注意
9.特定の背景を有する患者に関する注意
9.5妊婦
9.6授乳婦
9.7小児等
11.副作用
11.1重大な副作用
11.2その他の副作用
12.臨床検査結果に及ぼす影響
14.適用上の注意
15.その他の注意
15.1臨床使用に基づく情報
16.薬物動態
16.1血中濃度
16.3分布
16.5排泄
17.臨床成績
17.1有効性及び安全性に関する試験
18.薬効薬理
18.1作用機序
18.2薬理作用
19.有効成分に関する理化学的知見
20.取扱い上の注意
22.包装
23.主要文献
24.文献請求先及び問い合わせ先
26.製造販売業者等

エパルレスタット錠50mg「YD」

添付文書番号

3999013F1096_5_03

企業コード

830001

作成又は改訂年月

2023年8月改訂(第1版)

日本標準商品分類番号

873999

薬効分類名

アルドース還元酵素阻害剤

承認等

エパルレスタット錠50mg「YD」

販売名コード

YJコード

3999013F1096

販売名英語表記

EPALRESTAT TABLETS

販売名ひらがな

えぱるれすたっとじょう

承認番号等

承認番号

21700AMZ00489

販売開始年月

2005年7月

貯法・有効期間

貯法

室温保存

有効期間

3年

基準名

日本薬局方

エパルレスタット錠

一般的名称

エパルレスタット錠

3. 組成・性状

3.1 組成

エパルレスタット錠50mg「YD」

有効成分1錠中、エパルレスタット   50mg
添加剤D-マンニトール、ポビドン、無水ケイ酸、硬化油、ヒドロキシプロピルセルロース、カルメロースCa、ステアリン酸Mg、ポリソルベート80、ヒプロメロース、酸化チタン、タルク、プロピレングリコール、カルナウバロウ

3.2 製剤の性状

エパルレスタット錠50mg「YD」

剤形白色のフィルムコーティング錠
外形表面
裏面
側面
大きさ直径約7mm
厚さ約2.9mm
質量120mg

4. 効能又は効果

糖尿病性末梢神経障害に伴う自覚症状(しびれ感、疼痛)、振動覚異常、心拍変動異常の改善
(糖化ヘモグロビンが高値を示す場合)

5. 効能又は効果に関連する注意

  1. 5.1 糖尿病治療の基本である食事療法、運動療法、経口血糖降下剤、インスリン等の治療を行った上でなお、糖化ヘモグロビンが高値を示す患者に対して適用を考慮する。
  2. 5.2 本剤の投与の対象となる患者の糖化ヘモグロビンは、HbA1c(NGSP値)7.0%以上(JDS値6.6%以上)を目安とする。
  3. 5.3 不可逆的な器質的変化を伴う糖尿病性末梢神経障害の患者では効果が確立されていない。

6. 用法及び用量

通常、成人にはエパルレスタットとして1回50mgを1日3回毎食前に経口投与する。

なお、年齢、症状により適宜増減する。

7. 用法及び用量に関連する注意

投与中は経過を十分に観察し、12週間投与して効果が認められない場合には他の適切な治療に切り換えること。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット)で乳汁中へ移行することが報告されている1)

9.7 小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

11. 副作用

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど、適切な処置を行うこと。

11.1 重大な副作用

  1. 11.1.1 血小板減少(頻度不明)
  2. 11.1.2 劇症肝炎、肝機能障害、黄疸、肝不全

    劇症肝炎(頻度不明)、著しいAST・ALTの上昇等を伴う肝機能障害(0.1%未満)、黄疸(頻度不明)、肝不全(頻度不明)があらわれることがある。

11.2 その他の副作用

0.1~0.5%未満

0.1%未満

頻度不明

過敏症

-

発疹、そう痒、紅斑、水疱等

-

肝 臓

AST・ALT・γ-GTPの上昇等

ビリルビン上昇

-

消化器

腹痛、嘔気

嘔吐、下痢、食欲不振、腹部膨満感、便秘

胸やけ

腎 臓

-

BUN上昇、クレアチニン上昇

尿量減少、頻尿

血 液

-

貧血、白血球減少

-

その他

-

倦怠感、めまい、頭痛、こわばり、脱力感、四肢疼痛、胸部不快感、動悸、浮腫、ほてり

しびれ、脱毛、紫斑、CK上昇、発熱

注)発現頻度は使用成績調査を含む。

12. 臨床検査結果に及ぼす影響

本剤の投与により尿は黄褐色又は赤色を呈するため、ビリルビン及びケトン体の尿定性試験に影響することがある。

14. 適用上の注意

14.1 薬剤交付時の注意

PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。

15. その他の注意

15.1 臨床使用に基づく情報

本剤の投与により、黄褐色又は赤色の着色尿があらわれることがある。本剤及び代謝物の影響による。

16. 薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1 単回投与

    健康成人10例に50mgを食前30分に単回経口投与すると、血漿中濃度は1時間後に最高に達し、その濃度は3.9μg/mLである。血漿中半減期は1.8時間で、血漿中濃度は4時間後に0.37μg/mLとなる2)

     

    Tmax
    (hr)

    Cmax
    (ng/mL)

    AUC0-∞
    (ng・hr/mL)

    t1/2
    (hr)

    1.05±0.16

    3896±1132

    6435±1018

    1.844±0.387

    (平均値±標準偏差)
     

  2. 16.1.2 生物学的同等性試験

    エパルレスタット錠50mg「YD」とキネダック錠50mgをクロスオーバー法によりそれぞれ1錠(エパルレスタットとして50mg)、健康成人男子24名に絶食単回経口投与して血漿中未変化体濃度を測定した。得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について統計解析を行った結果、両剤の生物学的同等性が確認された3)

      •  
      • 判定パラメータ
      • 参考パラメータ

    AUC0-6

    (μg・hr/mL)

    Cmax

    (μg/mL)

    Tmax

    (hr)

    t1/2

    (hr)

    エパルレスタット
    錠50mg「YD」

    6.52±1.85

    3.22±0.96

    1.7±0.6

    0.9±0.4

    キネダック
    錠50mg

    6.56±1.58

    3.44±0.96

    1.5±0.7

    0.9±0.3

    (平均値±標準偏差、n=24)


    血漿中濃度並びにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。

     

16.3 分布

ヒト血清に対する蛋白結合率は90.1%である4)in vitro、平衡透析法)。

16.5 排泄

尿中主要代謝物はベンゼン環が水酸化を受けた一水酸化体及び二水酸化体の硫酸抱合体である4)

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験

  1. 17.1.1 国内二重盲検比較試験

    二重盲検比較試験においてエパルレスタットの有用性が認められている。また、糖尿病性末梢神経障害に伴う自覚症状及び神経機能の改善度について対照群との間に有意の差が認められている5)

  2. 17.1.2 国内臨床試験

    二重盲検比較試験を含む臨床試験において、自覚症状の改善率は39.6%(99/250例)、機能試験改善率は27.9%(64/229例)、全般改善率は39.0%(98/251例)である5),6),7),8),9),10),11),12),13),14)

18. 薬効薬理

18.1 作用機序

エパルレスタットはアルドース還元酵素を特異的に阻害し、神経内ソルビトールの蓄積を抑制することにより、糖尿病性末梢神経障害における自覚症状及び神経機能異常を改善する15),16)

18.2 薬理作用

  1. 18.2.1 アルドース還元酵素阻害作用
    1. (1) ラットの坐骨神経、水晶体、網膜、ウサギ水晶体及びヒト胎盤より抽出したアルドース還元酵素に対して強い阻害作用が認められている。50%阻害濃度は1.0~3.9×10-8Mである16),17),18)in vitro)。
    2. (2) アルドース還元酵素以外の糖代謝系酵素に対しては10-5Mでほとんど阻害作用を示さない16)in vitro)。
    3. (3) エパルレスタットの酵素阻害様式は偏拮抗阻害であり、また、その作用は可逆的である16),17)
  2. 18.2.2 ソルビトール蓄積抑制作用
    1. (1) 糖尿病性神経障害患者にエパルレスタット150mg/日を4週間経口投与すると、赤血球内ソルビトール値の有意な低下が認められている19),20)
    2. (2) 高濃度グルコース存在下で、ラットの坐骨神経、赤血球、水晶体及びヒト赤血球内ソルビトールの蓄積を抑制する。50%抑制濃度は1.5~5×10-6Mである16),17)in vitro)。
    3. (3) ストレプトゾトシン糖尿病ラットの坐骨神経内ソルビトールの蓄積を抑制する21),22)。また、高フルクトース食を負荷したストレプトゾトシン糖尿病ラットの坐骨神経、網膜及び赤血球内ソルビトール蓄積を抑制する23)
  3. 18.2.3 運動神経伝導速度改善作用
    1. (1) ストレプトゾトシン糖尿病ラットの尾部神経の運動神経伝導速度の低下を抑制あるいは改善する21),22)。また、高フルクトース食を負荷したストレプトゾトシン糖尿病ラットの尾部神経の運動神経伝導速度を改善する23)
    2. (2) 自然発症糖尿病ラットの尾部神経の運動神経伝導速度を改善する24)
  4. 18.2.4 自律神経機能に対する作用
    1. (1) ストレプトゾトシン糖尿病ラットの副交感神経機能の指標である心電図R-R間隔変動の異常を抑制する25)
    2. (2) ストレプトゾトシン糖尿病ラットの交感神経機能の指標である心臓のノルエピネフリンのturn-overの低下を改善する26)
  5. 18.2.5 神経の形態学的変化に対する作用
    1. (1) ストレプトゾトシン糖尿病ラットの坐骨神経の総有髄神経線維密度の低下を抑制する25)。また、腓腹神経の髄鞘の厚さ、軸索面積及び軸索真円率の低下を抑制する27)
    2. (2) ストレプトゾトシン糖尿病ラットの軸索流の異常を改善する28)
  6. 18.2.6 神経血流に対する作用

    ストレプトゾトシン糖尿病ラットの坐骨神経血管の血流を有意に改善し、虚血状態をあらわす坐骨神経内の乳酸含量の上昇を有意に抑制する29)

  7. 18.2.7 神経ミオイノシトール含量に対する作用

    高フルクトース食を負荷したストレプトゾトシン糖尿病ラットの坐骨神経ミオイノシトール含量の低下を抑制する27),29)

19. 有効成分に関する理化学的知見

一般的名称

エパルレスタット(Epalrestat)

化学名

2-{(5Z)-5-[(2E)-2-Methyl-3-phenylprop-2-en-1-ylidene]-4-oxo-2-thioxothiazolidin-3-yl}acetic acid

分子式

C15H13NO3S2

分子量

319.40

性状

黄色~橙色の結晶又は結晶性の粉末である。
N,N-ジメチルホルムアミドにやや溶けやすく、メタノール又はエタノール(99.5)に溶けにくく、水にほとんど溶けない。
光により徐々に退色し、分解する。

化学構造式

20. 取扱い上の注意

  1. 20.1 アルミピロー包装開封後は光、湿気を避けて保存すること。
  2. 20.2 使用期限内であっても開封後はなるべく速やかに使用すること。

22. 包装

100錠[10錠(PTP)×10]

23. 主要文献

1) 宮本茂敏 他:現代医療. 1986;18(増Ⅲ):40-50

2) 町井浩司 他:現代医療. 1996;28:1273-1280

3) (株)陽進堂社内資料:生物学的同等性試験

4) 宮本茂敏 他:現代医療. 1986;18(増Ⅲ):82-97

5) 後藤由夫 他:医学のあゆみ. 1990;152:405-416

6) 後藤由夫 他:現代医療. 1986;18(増Ⅲ):449-466

7) 森川秋月 他:現代医療. 1986;18(増Ⅲ):467-470

8) 鈴木将夫 他:現代医療. 1986;18(増Ⅲ):437-442

9) 上田幸生 他:現代医療. 1986;18(増Ⅲ):471-475

10) 中井継彦 他:現代医療. 1986;18(増Ⅲ):476-479

11) 原信也 他:現代医療. 1986;18(増Ⅲ):480-486

12) 厨直美 他:現代医療. 1986;18(増Ⅲ):487-491

13) 桑田隆志 他:現代医療. 1986;18(増Ⅲ):492-496

14) 杉本英克 他:現代医療. 1986;18(増Ⅲ):497-502

15) 第十八改正日本薬局方解説書 廣川書店. 2021;C1003-1007

16) 寺島宏 他:現代医療. 1986;18(増Ⅲ):1-10

17) 寺島宏 他:J. Pharmacol. Exp. Ther. 1984;229:226-230

18) 川村雅範 他:有機合成化学協会誌. 1997;55(7):651-657

19) 中埜幸治 他:医学のあゆみ. 1990;152:137-142

20) 堀田饒 他:現代医療. 1987;19(8):2587-2593

21) 吉川隆一 他:Metabolism. 1984;33:212-214

22) 吉川隆一 他:Diabetologia. 1983;24:290-292

23) 堀田饒 他:Diabetologia. 1985;28:176-180

24) 柿崎正栄 他:現代医療. 1984;16:1274-1276

25) 浅野次義 他:糖尿病. 1983;26:1105-1111

26) 吉田俊秀 他:Diabetes. 1987;36:6-13

27) 堀田饒 他:糖尿病. 1986;29(Suppl.1):22-25

28) 鬼頭昭三 他:Hiroshima J. Med. Sci. 1986;35:109-115

29) 安田斎 他:Diabetes. 1989;38:832-838

24. 文献請求先及び問い合わせ先

共創未来ファーマ株式会社 お客様相談室

〒155-8655 東京都世田谷区代沢5-2-1

TEL 050-3383-3846

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元

株式会社陽進堂

富山県富山市婦中町萩島3697番地8号

26.2 販売元

共創未来ファーマ株式会社

東京都品川区広町1-4-4

〒100-0013 東京都千代田区霞が関3-3-2 新霞が関ビル

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