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毒薬
処方箋医薬品注)
通常、ホスカルネットナトリウム水和物として1回体重1kgあたり60mgを、1時間以上かけて8時間ごとに1日3回、又は1回体重1kgあたり90mgを、2時間以上かけて12時間ごとに1日2回、それぞれ点滴静注する。なお、初期療法は2~3週間以上行う。
初期療法に続く維持療法には、通常、ホスカルネットナトリウム水和物として1回体重1kgあたり90~120mgを2時間以上かけて1日1回点滴静注する。維持療法中に再発が認められた場合は、初期療法の用法・用量により再投与することができる。
通常、ホスカルネットナトリウム水和物として1回体重1kgあたり60mgを、1時間以上かけて12時間ごとに1日2回点滴静注する。初期療法は1~2週間以上行う。
通常、ホスカルネットナトリウム水和物として1回体重1kgあたり90~120mgを2時間以上かけて1日1回点滴静注する。維持療法中に再発が認められた場合は、初期療法の用法・用量により再投与することができる。
本剤を中心静脈より投与する場合は希釈せずに用いるが、末梢静脈より投与する場合には、血管への刺激を軽減するため、5%ブドウ糖注射液又は生理食塩液にて2倍に希釈して用いる(12mg/mL)こと。なお、本剤の血漿中濃度の過剰な上昇により、本剤の毒性が増強することがあるので、点滴速度に十分注意し、点滴静注以外では投与しないこと。また、点滴速度を調節するため、点滴ポンプを使用することが望ましい。
本剤の用量は、各患者の腎機能に応じて個別に調節すること。
初期療法:
クレアチニンクリアランス(mL/分/kg)
通常投与量 180mg/kg/日
点滴時間 1時間以上
点滴時間 2時間以上
1日3回(8時間毎)1回投与量(mg/kg)
1日2回(12時間毎)1回投与量(mg/kg)
>1.4
60
90
1.4≧ >1
45
70
1≧ >0.8
35
50
1日1回(24時間毎)1回投与量(mg/kg)
0.8≧ >0.6
40
80
0.6≧ >0.5
30
0.5≧ ≧0.4
25
0.4>
投与しないこと
維持療法:
通常投与量 90mg/kg/日
通常投与量 120mg/kg/日
120
65
2日に1回(48時間毎)1回投与量(mg/kg)
105
20
15
点滴時間2時間以上
(男性)クレアチニンクリアランス(mL/分/kg)=(140-年齢)/(72×血清クレアチニン[mg/100mL])
(女性)クレアチニンクリアランス(mL/分/kg)=(140-年齢)×0.85/(72×血清クレアチニン[mg/100mL])
体重
初期投与量
維持投与量
1回投与量
投与時間
投与間隔
原薬
製剤
40kg
2,400mg3,600mg
100mL150mL
1時間以上2時間以上
8時間毎12時間毎
3,600~4,800mg
150~200mL
2時間以上
50kg
3,000mg4,500mg
125mL187.5mL
4,500~6,000mg
187.5~250mL
60kg
3,600mg5,400mg
150mL225mL
5,400~7,200mg
225~300mL
70kg
4,200mg6,300mg
175mL262.5mL
6,300~8,400mg
262.5~350mL
80kg
4,800mg7,200mg
200mL300mL
7,200~9,600mg
300~400mL
90kg
5,400mg8,100mg
225mL337.5mL
8,100~10,800mg
337.5~450mL
100kg
6,000mg9,000mg
250mL375mL
9,000~12,000mg
375~500mL
本剤のキレート作用によりカルシウム及びマグネシウムの血清中濃度の低下をさらに増強することがある。また、血清中カリウム濃度をさらに低下させることがある。
慎重に観察を行い、血清電解質の補正など適切な処置を行うこと。本剤による電解質異常により症状を悪化させることがある。
投与しないこと。腎障害を増悪させることがある。,
腎障害を増悪させることがある。
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上まわると判断される場合にのみ投与すること。動物実験(ラット)で胎盤通過性が報告されている。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。ラット(75mg/kg投与)の乳汁中薬物濃度が母体血中濃度の3倍に達したとの報告がある。
腎機能に注意し、慎重に投与量を設定すること。一般に腎機能が低下している場合が多い。
腎障害の増強、低カルシウム血症が起こることがある。なお、海外で本剤とペンタミジンイセチオン酸塩(静注)との併用により、重篤な低カルシウム血症が発現し死亡した症例が報告されている。
相加的に副作用(腎障害、低カルシウム血症)が増強する。
低カルシウム血症が起こることがある。
本剤のキレート作用により、低カルシウム血症を呈しやすくなる。
腎障害を増強することがある。
相加的に副作用(腎障害)が増強する。
熱・悪寒、発疹等を初発症状とし、戦慄、顔面蒼白、チアノーゼ、呼吸困難等のショック様症状があらわれることがある。
重度の腎障害を起こすことがある。,
,
10%以上
1~10%未満
1%未満
頻度不明
血液
貧血(28.7%)、血中ヘモグロビン減少、顆粒球減少
白血球減少、血小板減少
血栓症
白血球増多
循環器
高血圧、心電図異常、心悸亢進、浮腫、潮紅
徐脈、期外収縮、低血圧
心室性不整脈、QT間隔の延長
呼吸器
呼吸困難、喉頭炎
過敏症
発疹、そう痒
皮膚
皮膚潰瘍形成
皮膚障害、多汗
腎臓
クレアチニンクリアランス低下、血清クレアチニン上昇(18.6%)等の腎機能異常
尿毒症、排尿困難、尿道障害、多尿
蛋白尿、中毒性ネフロパシー、腎尿細管障害、夜間頻尿、抗利尿ホルモン異常
腎臓痛、尿崩症
代謝異常
アシドーシス、Al-P上昇
血液量過多、LDH上昇、体重減少、アミラーゼ上昇、CK上昇
電解質異常
低マグネシウム血症(14.4%)、低カリウム血症(13.8%)、低カルシウム血症(11.7%)
低リン酸血症、高リン酸血症、低ナトリウム血症
高カルシウム血症
消化器
悪心(30.9%)・嘔吐(17.0%)
下痢、食欲不振、腹痛、便秘、消化不良、味覚倒錯
腸炎、膵炎、鼓腸放屁、口渇、口内乾燥
精神神経系
知覚異常(12.2%)、頭痛(11.2%)
めまい・眩暈、不随意筋収縮、無力症、錯乱、知覚減退、神経障害、抑うつ、不安、疲労、倦怠感、精神病、神経過敏、興奮、攻撃性、振戦、運動失調
緊張亢進、ジスキネジア、末梢神経障害、反射亢進、昏迷、協調異常、EEG異常、傾眠、健忘
泌尿・生殖器
局所刺激性による性器の刺激、陰茎潰瘍、外陰膣潰瘍
肝臓
AST上昇、ALT上昇、γ-GTP上昇、A/G比異常
筋肉
ミオパシー、筋炎、筋脱力、筋肉痛
注射部位
注射部位の疼痛
注射部位の炎症
その他
発熱(10.6%)
悪寒、感染症
視覚異常、疼痛、網膜剥離、複視、耳鳴、耳痛
本剤の過量投与が、米国における189例の後天性免疫不全症候群(エイズ)患者におけるサイトメガロウイルス網膜炎を対象とした臨床試験において10例報告されている。1例は大発作、昏睡を起こし、呼吸停止、心停止により死亡した症例で、他の9例はそれぞれ推奨用量の1.14~8倍(平均4倍)の投与を受け、3例に痙れん発作、3例に腎不全、4例に四肢や口周囲知覚異常、5例でカルシウム及びリン酸塩等の電解質異常が発現した。
CHO細胞を用いた染色体異常試験、マウス培養細胞を用いた形質転換試験及びマウスを用いた小核試験で変異原性が認められた。
サイトメガロウイルス網膜炎の後天性免疫不全症候群患者に本剤を60mg/kg(1時間注入、1日3回、3週間)又は90mg/kg(2時間注入、1日2回、2週間)の用量で反復静脈内注入したときの血漿中ホスカルネット濃度は、注入終了時に約600μmol/Lの最高濃度を示し、その後約3時間の半減期で血漿中より消失し、反復投与による蓄積傾向は認められなかった1),2) (海外データ)。
定常状態における平均分布容積は0.3~0.6L/kgの範囲であった1),2),3) (海外データ)。
in vitro試験では、血漿中ホスカルネット濃度1~1000μmol/Lで14~17%が血漿蛋白と結合する(海外データ)。
後天性免疫不全症候群患者に本剤を56~213mg/kgの用量で静脈内注入時の脳脊髄液中のホスカルネット濃度は、ほぼ50~250μmol/Lで、この濃度は血漿中濃度の10~70%に相当した4) (海外データ)。
本剤を後天性免疫不全症候群患者に反復静脈内注入したときの血漿クリアランス(2臨床試験)は130±44(n=12)及び178±48mL/分(n=10)で、連続注入したときの血漿クリアランス(2臨床試験)は152±59(n=12)及び214±25mL/分(n=5)であった。腎機能が正常な患者の静脈内に本剤を連続注入したとき、注入終了後12時間以内に投与量の79~92%が未変化体として尿中に排泄され、尿中排泄データより腎からの排泄機構には糸球体濾過と尿細管分泌の関与が示唆された。血漿からのホスカルネットのクリアランスは、患者のクレアチニンクリアランスに比例していたので、患者の腎機能(クレアチニンクリアランス)に応じて、投与量を個別に調整することが必要である5),6) (海外データ)。
本剤を後天性免疫不全症候群患者(n=6)の静脈内に3日間持続注入後の血漿中ホスカルネット濃度の半減期は、0.45±0.32時間(α相)、3.3±1.3時間(β相)であった。血漿中ホスカルネットの半減期は、腎障害の重症度に比例して長くなり、24時間のクレアチニンクリアランス値が44~90mL/分の患者における半減期は2~8時間と報告されている3) (海外データ)。
本剤で初期療法を受けている患者データの解析から、ホスカルネットに対する累積暴露(血漿中ホスカルネット濃度-時間曲線下面積)と投与終了時における腎機能(血清クレアチニン)低下との関連性が示唆されている。
ジドブジン及びガンシクロビルとの併用による薬物動態学的相互作用の可能性は少ないことが報告されている7),8) 。
後天性免疫不全症候群患者(先天性免疫不全症候群患者1例を含む)におけるサイトメガロウイルス網膜炎計10例に、初期治療として1日体重1kgあたりホスカルネット180mgを1日2~3回に分けて4週間点滴静注した。続く4週間を維持治療とし、1日1回体重1kgあたりホスカルネット90~120mgを点滴静注した。初期療法期では11眼中8眼(9例)に有効(眼底所見改善度「不変」以上)であり、このうち「著明改善」(網膜炎スコアの減少率76%以上)は6眼であった。また、維持療法期では4眼中4眼(3例)に有効であった。継続観察期に移行した2例で、再燃・再発はみられなかった9) 。
有害事象9)10例中7例(70.0%)に28件の有害事象が発現し、うち、本剤との因果関係が否定されなかった有害事象(副作用)は5例(50.0%)に15件認められた。その内訳は、アナフィラキシーショック、頭部不快感、口唇のしびれ、四肢しびれ、こむら返り、喉頭浮腫、吃逆、白血球数減少、赤血球数減少、代謝性アシドーシス、低カルシウム血症、低マグネシウム血症、低カリウム血症、高リン血症、腎不全各1件(10.0%)であった。
第I相、第II相試験のうち有効性評価を行った4試験において、後天性免疫不全症候群患者に発症したサイトメガロウイルス網膜炎に対して、初期治療として1日体重1kgあたりホスカルネット180mgを1日2~3回に分けて14~21日間点滴静注した。続く12週間以上を維持治療とし、1日1回体重1kgあたりホスカルネット60~120mgを点滴静注した。有効率は、初期療法期:87%(82/94例)、維持療法期:89%(40/45例)であった。
ホスカルネットナトリウムは、DNAポリメラーゼのピロリン酸結合部位に直接作用して、DNAポリメラーゼ活性を抑制し10) 、サイトメガロウイルス及びヒトヘルペスウイルス6の増殖を抑制する。
ホスカルネットナトリウムは、サイトメガロウイルスの各種分離株のin vitroでの増殖を300~400μmol/Lで完全に抑制した。また、in vitroでヒトヘルペスウイルス6に対するIC50は49±2μmol/Lであった。in vivoにおいてホスカルネットナトリウムはサイトメガロウイルス感染マウスの死亡率を減少させた11),12),13) 。
野生型サイトメガロウイルスをホスカルネットナトリウム添加培地で継代培養することにより、ウイルスDNAポリメラーゼ遺伝子の突然変異に基づくホスカルネット耐性サイトメガロウイルス株が分離されている。したがって、ホスカルネットナトリウムに対する臨床応答が認められない場合には、耐性変異株の出現する可能性があるので、臨床分離株のホスカルネットナトリウムに対する感受性試験を行うことが望ましい。なお、サイトメガロウイルス網膜炎を発症した後天性免疫不全症候群患者でなされた薬剤耐性の検討において、ホスカルネットナトリウムに対する耐性株は分離されなかったとの報告がある。また、ガンシクロビル耐性サイトメガロウイルス株がホスカルネットナトリウムに対して感受性を示したとの報告14) もあり、これまでの報告ではホスカルネットナトリウムがヒトで薬剤耐性及び交叉耐性を生じにくいことが示されている。
ホスカルネットナトリウム水和物(Foscarnet Sodium Hydrate)(JAN)
Trisodium phosphonoformate hexahydrate
CNa3O5P・6H2O
300.04
ホスカルネットナトリウム水和物は、白色の結晶性の粉末である。水にやや溶けやすく、エタノール(95)に極めて溶けにくく、ジエチルエーテルにほとんど溶けない。
250mL(1バイアル)
1) Taburet, A.M., et al.:Antimicrob. Agents Chemother., 1992, 36(9) 1821-1824
2) Castelli, F., et al.:Eur. J. Clin. Pharmacol., 1997, 52, 397-401
3) Sjövall, J., et al.:Clin. Pharmacol. Ther., 1988, 44(1) 65-73
4) Raffi, F., et al.:Antimicrob. Agents Chemother., 1993, 37(9) 1777-1780
5) Sjövall, J., et al.:Antimicrob. Agents Chemother., 1989, 37(9) 1023-1031
6) Aweeka, F.T., et al.:J. Acquir. Immune Defic. Syndr. Hum. Retrovirol., 1999, 20(4) 350-357
7) Aweeka, F.T., et al.:Antimicrob. Agents Chemother., 1992, 36(8) 1773-1778
8) Aweeka, F.T., et al.:Clin. Pharmacol. Ther., 1995, 57(4) 403-412
9) 木村 哲 他:化学療法の領域, 2002, 18(10) 77-90
10) Derse, D., et al.:J. Biol. Chem., 1982, 257(17) 10251-10260
11) Wahren, B., et al.:Intervirology, 1980, 14, 7-15
12) Kern, E.R., et al.:Antimicrob. Agents Chemother., 1978, 14(6) 817-823
13) Akesson-Johansson A., et al.:Antimicrob. Agents Chemother., 1990, 34(12) 2417-2419
14) Drew, W.L., et al.:Abstract Th. B. 306 Presented at the XI International Congress on AIDS, 1996, Vancouver, Canada July 7-12
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