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処方箋医薬品注)
トランスサイレチン型心アミロイドーシス(野生型及び変異型)
通常、成人にはアコラミジス塩酸塩として1回800mgを1日2回経口投与する。
投与の必要性を慎重に判断すること。本剤投与によりeGFRが低下することがあり、腎機能が悪化するおそれがある。eGFRが15 mL/min/1.73m2未満の患者は、臨床試験では除外されている。
本剤は主に胆汁中に排泄されるため、血中濃度が上昇するおそれがある。AST、ALT又は総ビリルビンが基準値上限の3倍を超える患者は、臨床試験では除外されている。
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。本剤は胎盤を通過する可能性がある。ラットを用いた胚・胎児発生試験では、胎児の体重低値が認められている(胎児の体重の低値が認められなかった用量でのAUCに基づく曝露量は、臨床用量での曝露量の15倍)。また、ラットを用いた出生前及び出生後の発生に関する試験では、出生児の離乳前までの体重低値に加え、学習障害が認められている(出生児における無毒性量での母動物のAUCに基づく曝露量は、臨床用量での曝露量の15倍)1)。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット)の結果から、本剤は乳汁中に移行する可能性がある。
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
1%以上2%未満
0.5%以上1%未満
胃腸障害
悪心
下痢、腹部不快感、上腹部痛
臨床検査
-
血中クレアチニン増加
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。
日本人健康成人9例に本剤400mg注1)及び800mgを絶食下で単回経口投与したときのアコラミジスの血漿中濃度推移及び薬物動態パラメータは以下のとおりであった2)。
投与量
Cmax(ng/mL)
Tmaxa)(h)
AUC0-inf(ng•h/mL)
T1/2(h)
400mg
6621
(2342.7)
1.0
[0.5, 1.0]
106992
(33400.1)
34
(12.5)
800mg
11699
(5766.9)
[0.5, 2.0]
177305
(83313.2)
44
(27.8)
9例の算術平均値 (標準偏差)
a) 9例の中央値 [範囲]
健康成人6例に本剤800mgを絶食下で1日2回12日間経口投与したときのアコラミジスの血漿中濃度は、投与10日目までに定常状態に達し、Cmaxに基づく累積係数は1.3~1.6であった3)(外国人データ)。
日本人の野生型又は変異型のトランスサイレチン型心アミロイドーシス患者に本剤800mgを1日2回経口投与したときの定常状態における薬物動態パラメータの母集団薬物動態解析に基づく推定値は以下のとおりであった2)。
Cmax,ss
(ng/mL)
Ctrough,ss
AUC0-12h,ss
(ng•h/mL)
15768 (1650)
2638 (1429)
55486 (18761)
24例の算術平均値(標準偏差)
健康成人17例に本剤800mgを空腹時又は高脂肪食摂取後に単回経口投与したとき、食事によりアコラミジスのCmaxは約22%低下したが、AUC0-infは食事の影響を受けなかった4)(外国人データ)。
アコラミジスのヒト血漿タンパク結合率は96.3%~96.5%であった3)(in vitroデータ)。
アコラミジスはUGT1A1、UGT1A4、UGT1A9及びUGT2B7でグルクロン酸抱合体に代謝された3),5)(in vitroデータ)。
健康成人6例に本剤の14C標識体800mgを単回経口投与したとき、アコラミジスは主にグルクロン酸抱合による代謝で消失した。ヒト血漿中総放射能の約63.1%が未変化体、約7.6%がグルクロン酸抱合体であった3)(外国人データ)。
健康成人6例に本剤の14C標識体800mgを単回経口投与したとき、投与後216時間までの糞中及び尿中に投与量のそれぞれ約34%及び約68%が排泄された。未変化体の尿中排泄率は投与量の10%以下であった6)(外国人データ)。
健康成人及びATTR-CM患者330例(日本人33例)を対象とした母集団薬物動態解析の結果、腎機能(クレアチニンクリアランス:25.9~190 mL/min、eGFR:25.4~157 mL/min/1.73m2)はアコラミジスの見かけのクリアランスに影響を及ぼさなかった3)。
健康成人及びATTR-CM患者330例(日本人33例)を対象とした母集団薬物動態解析の結果、年齢(18~89歳)はアコラミジスの見かけのクリアランス及び分布容積に影響を及ぼさなかった3)。
アコラミジスはCYP2C8及びCYP2C9に対する阻害作用を示し、KI値はそれぞれ39µmol/L及び210µmol/L、kinact値はそれぞれ0.033min-1及び0.049min-1であった5)。アコラミジスはOATP1B1に対する阻害作用を示し、IC50値は55.5µmol/Lであった2)。
健康成人14例に本剤800mgを1日2回8日間反復経口投与し、本剤の投与7日目にアデホビル(OAT1基質)10mgを単回投与したとき、アデホビル単独投与時と比較して、アデホビルのCmaxは8%減少、AUC0-infは19%増加した3)(外国人データ)。
健康成人18例に本剤800mgを1日2回9日間反復経口投与し、本剤の投与7日目にオセルタミビル(OAT3基質)75mgを単回投与したとき、オセルタミビル単独投与時と比較して、オセルタミビルカルボン酸のCmaxは7%減少、AUC0-infは4%増加した3)(外国人データ)。
野生型又は変異型のトランスサイレチン型心アミロイドーシス患者注2)632例(プラセボ群211例、本剤群421例)を対象とした30ヵ月間の二重盲検プラセボ対照試験*1を実施した。本剤の用法・用量は800mg 1日2回とした。このうち、ベースライン時のeGFRが30 mL/min/1.73m2以上の患者611例(プラセボ群202例、本剤群409例)が有効性の主要な解析対象集団とされた。
投与開始12ヵ月後以降はタファミジスメグルミン又はタファミジスを併用可能とされ、併用割合はプラセボ群22.8%(46例)、本剤群14.9%(61例)であった。
Part Bの主要評価項目である「投与開始30ヵ月後までの死因を問わない死亡割合、心血管事象に関連する入院頻度、脳性ナトリウム利尿ペプチド前駆体N端フラグメント(NT-proBNP)のベースラインからの変化量、及び6分間歩行距離のベースラインからの変化量から構成される階層的複合エンドポイント」について、本剤群でプラセボ群と比べて統計学的に有意な差が認められた(p<0.0001(有意水準4%(両側)*2)、Finkelstein-Schoenfeld法)。主要評価項目の構成要素別の結果を下表に示す。
プラセボ群
(202例)
本剤群
(409例)
死因を問わない死亡(発現割合%(発現例数))
25.7(52)
19.3(79)
平均値±標準偏差(発現例数/対象例数)
0.293±0.5751
(50/150)
0.132±0.3257
(68/330)
NT-proBNP(pg/mL)
ベースライン値
2650.11±1899.482
(202)
2865.33±2149.639
(409)
4348.33±4758.130
(133)
2853.70±2876.953
(280)
ベースラインに対する比
調整幾何平均値[95%信頼区間]a
2.771
[2.485, 3.091]
1.465
[1.356, 1.583]
6分間歩行距離(m)
351.51±93.828
362.78±103.501
(407)
322.38±120.916
(121)
365.96±124.734
(269)
ベースラインからの変化量
最小二乗平均値[95%信頼区間]a
-104.29
[-119.53, -89.06]
-64.65
[-75.45, -53.86]
平均値±標準偏差(例数)
a:病型(野生型/変異型)、スクリーニング時のNT-proBNP(3000pg/mL以下/超)、スクリーニング時のeGFR(45 mL/min/1.73m2未満/以上)、投与群、評価時期、投与群と評価時期の交互作用を固定効果、ベースライン値を共変量としたMMRM(共分散構造は無構造、NT-proBNPについてはスクリーニング時のNT-proBNP(3000pg/mL以下/超)をモデルから除いて解析した)。投与開始後の欠測について、中止例における欠測値はJump to Referenceを仮定した多重代入法により補完され、死亡例における欠測値は死亡例と同じ群で同じ評価時期に測定されたデータの下位5%点の値が補完された。
また、投与開始30ヵ月後までの死因を問わない死亡割合及び心血管事象に関連する入院頻度のNYHA心機能分類(I/IIとIII)別の部分集団解析の結果、死因を問わない死亡割合(発現例数)はNYHA心機能分類Ⅰ/Ⅱ度の集団でプラセボ群24.3%(42/173例)、本剤群17.4%(59/339例)(ハザード比[95%信頼区間]*3:0.695[0.466, 1.036])、NYHA心機能分類Ⅲ度の集団でプラセボ群34.5%(10/29例)、本剤群28.6%(20/70例)(ハザード比[95%信頼区間]*3:1.145[0.515, 2.546])、生存例における心血管事象に関連する入院頻度(発現例数/対象例数)は、NYHA心機能分類Ⅰ/Ⅱ度の集団でプラセボ群0.31回/年(47/131例)、本剤群0.12回/年(55/280例)、NYHA心機能分類Ⅲ度の集団でプラセボ群0.18回/年(3/19例)、本剤群0.21回/年(13/50例)、全症例における心血管事象に関連する入院頻度(発現例数/対象例数)は、NYHA心機能分類I/II度の集団でプラセボ群0.51回/年(74/173例)、本剤群0.25回/年(87/339例)、NYHA心機能分類III度の集団でプラセボ群0.75回/年(12/29例)、本剤群0.47回/年(22/70例)であった7, 8)。
副作用発現頻度は本剤群で11.9%(50/421例)、プラセボ群で5.2%(11/211例)であった。本剤群の主な副作用として、悪心[本剤群1.4%(6/421例)、プラセボ群0.5%(1/211例)、以下同順]、下痢[1.0%(4/421例)、0%]、発疹[1.0%(4/421例)、0.5%(1/211例)]が認められた9)。,
日本人の野生型又は変異型のトランスサイレチン型心アミロイドーシス患者注2)(25例)を対象とした30ヵ月間の非盲検非対照試験を実施した。本剤の用法・用量は800mg 1日2回とした。主要評価項目である「投与開始30ヵ月後までの死因を問わない死亡割合及び心血管事象に関連する入院頻度」について、死亡は認められず、心血管事象に関連する入院頻度(発現例数/対象例数)は0.1329回/年(5/25例)であった7)。
副作用の発現頻度は12.0%(3/25例)であり、主な副作用として腎機能障害が8.0%(2/25例)、便秘、薬疹が4.0%(1/25例)に認められた9)。
アコラミジスはTTRの4量体における2つのサイロキシン結合部位に選択的に結合することにより、疾患抑制性のT119M変異型TTRと同様の立体構造にシフトすることで4量体を安定化させ、その単量体への解離を抑制し、新たなTTRアミロイド形成の律速段階を抑制する。
結晶構造による解析で、本剤は野生型TTR及びV122I変異型TTRに結合すると、Ser117側鎖への相互作用により、疾患抑制性のT119M変異型TTRと同様の立体構造にシフトすることが示された10)。
アコラミジス塩酸塩
3-[3-(3,5-Dimethyl-1H-pyrazol-4-yl)propoxy]-4-fluorobenzoic acid monohydrochloride
C15H17FN2O3・HCl
328.77
白色から褐色の固体である。エタノールにやや溶けにくく、水に溶けにくい。
Log D = 0.52(pH 7)
1) 社内資料:毒性試験の概要文(2025年3月27日承認、CTD 2.6.6.9)
2) 社内資料:アコラミジスの薬物動態に関する資料
3) 社内資料:臨床薬理の概要(2025年3月27日承認、CTD 2.7.2.2、CTD 2.7.2.3)
4) 社内資料:生物薬剤学試験及び関連する分析法の概要(2025年3月27日承認、CTD 2.7.1.3)
5) 社内資料:薬物動態試験の概要文(2025年3月27日承認、CTD 2.6.4.7)
6) 社内資料:健康成人男性を対象に[14C]-アコラミジスを経口投与したときの吸収、代謝、排泄及びマスバランスを評価する海外第I相試験(AG10-007試験)(2025年3月27日承認、 CTD 2.7.6.4)
7) 社内資料:臨床的有効性の概要(2025年3月27日承認、CTD 2.7.3.2.1、CTD 2.7.3.2.2)
8) Gillmore JD, et al. N Engl J Med 2024; 390:132-142.
9) 社内資料:臨床的安全性の概要(2025年3月27日承認、CTD 2.7.4.2.1)
10) 社内資料:効力を裏付ける試験(2025年3月27日承認、CTD 2.6.2.2)
アレクシオンファーマ合同会社メディカル インフォメーション センター
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