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処方箋医薬品注)
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
先天性胆汁酸代謝異常症
一次胆汁酸のアミノ酸抱合不全をきたす以下の欠損症は本剤の効果は期待できない。
通常、コール酸として1日量5~15mg/kgを1回又は数回に分けて食事中に経口投与する。なお、患者の状態に応じて適宜増減すること。
回腸末端部に発現する胆汁酸トランスポーター(IBAT)の発現が低下しているとの報告があり1)、本剤を含む胆汁酸の取り込みが低下しているおそれがある。
治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。妊娠中にコール酸が投与された先天性胆汁酸代謝異常症患者において、正常な出産が認められたとの報告があるが、妊婦に本剤を含むコール酸製剤を投与した経験は限られている。また、妊娠ヒツジ又はヒツジ胎児にコール酸を投与した際に早産が、妊娠ハムスターにコール酸を投与した際に肝障害が認められたことが報告されている2),3),4)。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。健康な授乳婦28例における乳汁中コール酸濃度は、0.89µmol/L(平均値)であったことが報告されている5)。
新生児を対象とした臨床試験は実施されていない。
患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。一般に生理機能が低下している。
フェノバルビタール(フェノバール等)、プリミドン
肝毒性のある胆汁酸異常代謝産物が増加することで、肝トランスアミナーゼの上昇が認められることがあるので、これらの薬剤との併用は、治療上の有益性が危険性を上回る場合のみとすること。
フェノバルビタールの投与により健康成人において内因性の一次胆汁酸(コール酸及びケノデオキシコール酸)のプールサイズ及び合成速度を増加させることが報告されている。フェノバルビタール、プリミドン(投与後その一部がフェノバルビタールへ代謝される)は、患者においてコレステロールから胆汁酸異常代謝産物の合成を促進する作用を有していると考えられることから、原疾患を悪化させるおそれがある。
シクロスポリン
投与する場合、総胆汁酸濃度を慎重にモニタリングし、必要に応じて本剤の用量を調整すること。また、必要に応じて血清又は尿中における各胆汁酸(コール酸や胆汁酸異常代謝産物を含む)の濃度も確認すること。
胆汁酸の肝臓取込み及び肝胆汁分泌を阻害することから、本剤の薬物動態を変化させるおそれがある。
コレスチラミン、コレスチミド
本剤の効果が減弱するおそれがあるため、可能な限り間隔をあけて投与すること。
陰イオン交換樹脂であるこれらの薬剤は本剤を吸着するため、本剤の吸収が阻害されるおそれがある。
制酸剤水酸化アルミニウムゲル等
アルミニウムを含有する制酸剤は本剤を吸着するため、本剤の吸収が阻害されるおそれがある。
ウルソデオキシコール酸
本剤及びウルソデオキシコール酸の効果が減弱するおそれがあるため、可能な限り間隔をあけて投与すること。
本剤及びウルソデオキシコール酸の吸収が競合するおそれがある。
エロビキシバット
本剤の効果が減弱するおそれがある。
回腸末端部に発現する胆汁酸トランスポーター(IBAT)阻害作用により、本剤の吸収が阻害されるおそれがある。
1%以上
0.1~1%未満
頻度不明注1)
胃腸障害
下痢
肝胆道系障害
胆石症
皮膚および皮下組織障害
そう痒症
臨床検査
トランスアミナーゼ上昇
代謝および栄養障害
低カルシウム血症
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。
日本人先天性胆汁酸代謝異常症患者(3β-ヒドロキシ-Δ5-ステロイドデヒドロゲナーゼ(以下、「3β-HSD」)2例、Δ4-3-オキソステロイド-5β-リダクターゼ(以下、「Δ4-3-oxoR」)2例の計4名)に本剤5~15mg/kg/日を26週間経口投与したとき、いずれの患者においても、本剤投与前と比較して、血清中コール酸(投与前:0.00~0.57µmol/L、投与26週時:1.58~4.68µmol/L)及びデオキシコール酸(投与前:0.00~0.13µmol/L、投与26週時:0.05~3.52µmol/L)濃度が増加した6)。
コール酸は、胆汁酸トランスポーターであるIBAT及び受動輸送により、主に回腸末端部より吸収され7),8)、NTCP等を介して肝臓に取り込まれる。肝臓においてアミノ酸抱合されたコール酸は主にBSEPにより胆汁中に排泄され、小腸内へと分泌された後、回腸末端部において再吸収される(腸肝循環)。
コール酸及びタウロコール酸のヒト血清におけるタンパク結合率は90~95%(血清中コール酸として0.31µmol/L未満)及び46~49.5%(血清中タウロコール酸として0.12~0.72µmol/L)であった9)。
コール酸は、肝臓においてbile acid-CoA synthase、bile acid-CoA amino acid N-acetyltransferase等によりアミノ酸(タウリン又はグリシン)抱合される。小腸内へ分泌された後、回腸末端部から再吸収されなかったアミノ酸抱合型コール酸(タウロコール酸、グリココール酸)は、腸内細菌によるアミノ酸の脱抱合、脱水酸化によってデオキシコール酸へと変換される。
腸管から吸収されなかった胆汁酸(コール酸及びデオキシコール酸等)は糞中へと排泄される。
外国人健康成人4例を対象に、フェノバルビタール60mgを1日4回、最大18日間反復投与したとき、コール酸のプールサイズ及び合成速度はフェノバルビタール投与前と比較して増加した10)。
プールサイズ(mg)
合成速度(mg/日)
フェノバルビタール
投与前
投与後
被験者1
358
652
114
195
被験者2
636
1147
186
338
被験者3
827
1207
220
240
被験者4
377
365
149
140
ラットにシクロスポリン(0.1~10mg/kg)又はクレモフォール油を1日1回4日間反復投与したとき、シクロスポリンは、コール酸、タウロコール酸及びデオキシコール酸の血清中濃度を用量依存的に増加させた11)。ラット肝スライスを用いたin vitro試験の結果、シクロスポリンは、コール酸の肝臓内への取込みを阻害し、コール酸及びアミノ酸抱合型コール酸の肝臓からの排出を阻害すると考えられた12)。
回腸瘻を施した外国人被験者8例を対象に、ウルソデオキシコール酸500mgを単回経口投与したとき、投与後8時間までの回腸におけるコール酸量(平均値±標準誤差)は、ウルソデオキシコール酸投与前で327±91µmol、投与後で517±96µmolと増加した13)。
先天性胆汁酸代謝異常症患者4例(Δ4-3-oxoR欠損症及び3β-HSD欠損症各2例)を対象に、本剤5~15mg/kg/日(1日投与量として50mg~500mg)を1日1~2回に分けて食事と共に、74週間経口投与した。主な有効性の評価項目は表2のとおりであった。なお、4例全例が本剤投与開始前までケノデオキシコール酸による治療を受けていた症例であった。
被験者
欠損症
Δ4-3-oxoR欠損症
3β-HSD欠損症
尿中異常代謝産物(mmol/molCr):主要評価項目
ベースライン
3.33
2.65
1.84
139.44
投与26週
1.56
18.06
14.57
7.72
投与74週
3.61
5.14
3.30
17.86
血清中異常代謝産物(μmol/L)
0.50
0.18
2.34
36.99
0.20
2.12
9.08
1.69
1.12
4.03
7.20
12.71
血清中AST(U/L)
20
26
28
228
23
27
21
56
48
22
44
血清中ALT(U/L)
10
34
197
15
14
18
31
異常代謝産物として、3β-HSD欠損症患者では3β-hydroxy-Δ5 bile acids、Δ4-3-oxoR欠損症患者ではΔ4-3-oxo-bile-acidsが測定された
認められた副作用は低カルシウム血症1例であった6)。
先天性胆汁酸代謝異常症の患者では、コレステロールから胆汁酸に代謝されるまでの生合成経路におけるいずれかの酵素の欠損により、胆汁酸の生成まで反応が進まず、毒性の強い中間代謝産物(異常胆汁酸等)が蓄積されることにより肝機能障害が生じる。また、コール酸の不足により、胆汁酸生合成経路の律速酵素であるcholesterol 7α-hydroxylase(CYP7A1)に対する負のフィードバック制御が機能せず、胆汁酸生合成経路が亢進し、異常な中間代謝産物がさらに増加する。本剤の経口投与は、肝臓においてCYP7A1をダウンレギュレーションさせ、異常な中間代謝産物の産生を抑制する14)。さらに、胆汁流量を増加させ、異常な中間代謝産物やビリルビン等の肝クリアランスを促進する。また、コール酸の不足により吸収が低下する脂溶性ビタミンと脂肪の吸収を促進する。
コール酸(Cholic Acid)
3α,7α,12α-トリヒドロキシ-5β-コラン-24-酸
C24H40O5
408.58
白色。本品は、酢酸に溶けやすく、アセトン及びエタノールにやや溶けにくく、エーテル及びクロロホルムに溶けにくく、水及びベンゼンに極めて溶けにくい。
197℃~202℃
60カプセル[10カプセル(PTP)×6]
1) Duane, W. C. et al.:J Lipid Res. 2000;41:1384-1389
2) Perez, R., et al.:Res Exp Med. 1994;194:63-67
3) Campos, G. A., et al.:Acta Obstet Gynecol Scand. 1986;65:23-26
4) Siviero, I., et al.:Pediatr Surg Int. 2008;24:325-331
5) Forsyth, J. S., et al.:Eur J Pediatr. 1983;140:126-127
6) 社内資料:国内第Ⅲ相試験(承認年月日:2023年3月27日、CTD2.7.4.2.1.1.1)
7) Ryu, H., et al.:Pharmaceuticals. 2021;14:654-670
8) Weiner, I. M., et al.:Am J Physiol. 1962;202:155-157
9) Burke, C. W., et al.:Clin Chim Acta. 1971;32:207-214
10) Miller, N. E. & Nestel, P. J.:Clin Sci Mol Med. 1973;45:257-262
11) Azer, S. A. & Stacy, N. H.:Toxicol Appl Pharmacol. 1994;124:302-309
12) Barth, A., et al.:Exp Toxicol Pathol. 2006;58:31-37
13) Stiehl, A., et al.:Gastroenterol. 1990;98:424-428
14) Setchell K. D., et al.:Cambridge University Press. 2007;736-766
株式会社レクメド
〒194-0022 東京都町田市森野一丁目7番23号
電話:042-732-2209FAX:042-732-2208
*本剤は新医薬品であるため、厚生労働省告示第107号(平成18年3月6日付)に基づき、2024年5月末日までは、投薬は1回14日分を限度とされている。
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