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Tron FX 血栓除去デバイス

再使用禁止

作成又は改訂年月

**2024年10月(第7版)

*2023年4月(第6版)

承認・届出等

販売名

Tron FX 血栓除去デバイス

添付文書管理コード

23000BZX00378000_B_02

承認番号

23000BZX00378000

承認・認証年月等

平成30年12月

一般的名称

一般的名称
10714004
中心循環系塞栓除去用カテーテル

警告

・本品は、関係学会の定める「経皮経管的脳血栓回収用機器適正使用指針」を満たす医師及び施設で使用すること。[適切な医師及び施設で使用されない場合、安全性が担保されないため]

・本品を用いる治療対象血管を選択する際には、関連学会の定める「経皮経管的脳血栓回収用機器適正使用指針」の適応基準を遵守すること。[重篤な合併症のおそれがあるため]

<適用対象(患者)>

・本品による治療を開始するにあたり、患者又はそれに代わり得る適切な者に対し、可能な限り本品の有効性及び安全性、並びに本品の治療により血流再開が得られなかった場合に保存療法に比較し死亡リスクが増加する可能性があることを説明し、同意を得ること。[血流再開が得られない症例においては保存療法に比べ死亡のリスクを増加させるおそれがある]

・再開通療法は、術前検査等により治療効果が期待できる患者に限定して適用すること。[症候性の頭蓋内出血のおそれがある]

・血栓部位の近位側に狭窄又は留置されたステントが認められる患者への使用は、本品の通過が容易であると判断した場合に限り使用すること。[本品が抜去不能となり、安全な回収を妨げるおそれがある]

<使用方法>

・本品の使用を検討する際には、各医療機関の血管内治療及び脳梗塞管理を施行するスタッフとともに、患者のリスク因子を十分に評価し、他の治療方法を含めて総合的に治療方法を選択すること。

・本品の使用の前に以下の事項を考慮し、使用可否を慎重に判断すること。[本品の使用に伴う重篤な有害事象並びに不具合等の発生を低減するため]

(1)
本品の使用前に、必ず頭部コンピュータ断層撮影(CT)にて出血性変化及び早期虚血徴候(early CT sign)を適切に評価すること。

(2)
可能な限りMRI拡散強調画像(DWI)で脳梗塞の範囲を評価すること。

(3)
これらの画像診断と患者の神経学的症状を総合的に勘案し、本品の適用を判断すること。

禁忌・禁止

<使用方法>

・再使用禁止。再滅菌禁止。


<適用対象(患者)>
以下の患者には使用しないこと。

・頚動脈の解離/血管炎/本品の誘導が困難な屈曲血管病変/急性期頭蓋内出血/占拠性病変又は頭蓋内腫瘍/CT又はMRIにより、広汎な早期虚血性変化のある患者。[手技に伴う頭蓋内出血等の予期せぬ合併症リスクを回避することが確実でない疾患のため]

・造影剤に対するアレルギーを有する患者又は顕著な金属アレルギーを有する患者。

・48時間以内にヘパリン投与を受けており、PTT/APTTが臨床検査の正常値の2倍を超えている患者。[出血のおそれがあるため]

・既知の出血素因、あるいは凝固因子欠乏症を有している又は経口の抗凝固薬治療(ワーファリン等)を受けており、INRが3を超える患者。[出血のおそれがあるため]

・血小板数が30,000/mm3未満の患者。[出血のおそれがあるため]

・薬剤でコントロールできない高血圧(収縮期>185mmHg、拡張期>110mmHg)を有する患者。[出血のおそれがあるため]

形状・構造及び原理等

<概要>
本品は、ステント部がプッシャーワイヤー部の先端に取り付けられた血栓除去用の医療機器である。
先端のステント部はイントロデューサーシースに収納されており、マイクロカテーテルに挿入後、イントロデューサーシースは取り外される。本品がマイクロカテーテル内に収められた状態で目的部位まで挿入する。マイクロカテーテルを引くことでステント部は自己拡張し血栓を捕捉、これを回収する。
本品は、滅菌済で提供される単回使用の医療機器である。

<外観図(代表図)>

(1)
近位部コイルマーカー

(2)
第一遠位コイルマーカー

(3)
第二遠位コイルマーカー

(4)
イントロデューサーシース

(5)
プッシャーワイヤー

(6)
ステント拡張径

(7)
ステント部全長

(8)
ポジショニングマーカー

(9)
中央部視認性マーカー(品番により数量が異なる)


<血液、体液等に接触する原材料>
ニッケルチタン合金、プラチナ/タングステン合金、金錫合金、ポリテトラフルオロエチレン、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル、ポリアミドイミド

<寸法等>

表1.
品番 ステント拡張径
(表示径) 
表示長 コイル
マーカー 
中央部視認性
マーカー 
プッシャー
ワイヤー長 
推奨血管径 
近位端 遠位端 
mm mm 個 個 個 mm mm 
SFT-1.5-15 1.5 15 2,000 1〜1.5 
SFT-2-15 15 2,000 1.5〜2 
SFT-2-15A 15 2,000 1.5〜2 
SFT-4-20 20 2,000 2〜4 
SFT-4-20A 20 2,000 2〜4 
SFT-4-40 40 2,000 2〜4 
SFT-4-40A 40 2,000 2〜4 
SFT-6-50 50 2,000 3〜5.5 


<原理>
本品は、併用するマイクロカテーテルを通して目的部位へ挿入され、血管閉塞の原因である血栓の遠位側でマイクロカテーテルを手前に引くことで、ステント部が自己拡張によって展開し、血栓を捕捉する。捕捉された血栓はステント部に保持されたままマイクロカテーテルとともにガイディングカテーテル内に収められ回収される。また、ステント部の第一遠位コイルマーカー、第二遠位コイルマーカー、近位部コイルマーカー及び中央部視認性マーカーは、X線不透過性であり、X線透視下でステントの位置を識別できる。
(以下、「ステント部」は「ステント」、「プッシャーワイヤー部」は「プッシャーワイヤー」と表記する。)

使用目的又は効果

本品は、急性期虚血性脳梗塞(原則として発症後8時間以内)において、組織プラスミノーゲンアクチベーター(t-PA)の経静脈投与が適応外、又はt-PAの経静脈投与により血流再開が得られない患者を対象とし、血流の再開通を図るために使用する。

使用方法等

1. 併用する医療機器等の準備
本品との併用を推奨する医療機器は以下のとおりである。

(1)
マイクロカテーテル
表2.に記載の内径を有するマイクロカテーテルの使用を推奨する。

表2:推奨マイクロカテーテル
品番 推奨される
マイクロカテーテルの内径 
SFT-1.5-15 0.42〜0.69mm(0.0165〜0.027インチ) 
SFT-2-15 0.42〜0.69mm(0.0165〜0.027インチ) 
SFT-2-15A 0.42〜0.69mm(0.0165〜0.027インチ) 
SFT-4-20 0.42〜0.69mm(0.0165〜0.027インチ) 
SFT-4-20A 0.42〜0.69mm(0.0165〜0.027インチ) 
SFT-4-40 0.42〜0.69mm(0.0165〜0.027インチ) 
SFT-4-40A 0.43〜0.69mm(0.017〜0.027インチ) 
SFT-6-50 0.53〜0.69mm(0.021〜0.027インチ) 


(2)
ガイドワイヤー

(3)
原則バルーン付ガイディングカテーテル
※血管径に適したガイディングカテーテルを選択

(4)
吸引用60mLシリンジ

(5)
回転式止血弁付きYコネクター(RHV)

(6)
ヘパリン加生理食塩液

(7)
持続灌流セット

(8)
シースイントロデューサー等、その他必要な機器


2. 事前準備とマイクロカテーテルへの挿入

(1)
血管造影を実施し、閉塞部位を確認する。また表1を参照して対応する品番を選択する。

(2)
標準的な血管内手術手技により、ガイディングカテーテルを目標部位に配置する。

(3)
表2を参照して、選択した品番に対応したサイズのマイクロカテーテルを選択する。

(4)
脳血管用ガイドワイヤーを用いて、マイクロカテーテルをガイディングカテーテルの中に通しながら先端が閉塞部位の遠位端を超えた位置まで送達させる。

(5)
標準的な血管内手術手技により、ガイディングカテーテルとマイクロカテーテルをヘパリン加生理食塩液で持続的にフラッシュする。

(6)
プロテクターから本品を取り外す際、クリップからプッシャーワイヤーを取り外し、イントロデューサーシースとプッシャーワイヤーを同時に把持しながら、ステントがイントロデューサーシースから抜けてしまわないように慎重に取り外す。

(7)
ステントがイントロデューサーシース内に完全に収納されていることを確認する。目視で本品に破損等の異常がないことを確認する。破損等の異常が確認された際は、使用を中止し、新しい製品に取り換える。

(8)
マイクロカテーテルに接続されているRHVのロッキングを緩め、イントロデューサーシースの先端がRHVの中間部まで位置するまで挿入する。

(9)
RHVのロッキングを強く締めすぎないように注意しながら締め、RHVのサイドポートからヘパリン加生理食塩液でフラッシュし、イントロデューサーシースの近位部までヘパリン加生理食塩液がきていることを確認する。

(10)
RHVのロッキングを緩め、イントロデューサーシースをマイクロカテーテルのハブの部分でしっかりと安定するまで前進させ、ロッキングを強く締めすぎないように注意しながら締める。

(11)
本品のプッシャーワイヤーをゆっくりと押し進め、マイクロカテーテルのハブを注意深く確認しながら、ステントがマイクロカテーテル内に挿入されることを確認する。


3. 本品の送達とステント展開

(1)
プッシャーワイヤーのポジショニングマーカーがイントロデューサーシースの近位端に到達するまでプッシャーワイヤーをマイクロカテーテル内に押し進める。

(2)
RHVのロッキングを緩め、イントロデューサーシースをRHV及びプッシャーワイヤーの手元側から抜去する。抜去したイントロデューサーシースは再使用する可能性があるため、破棄せず清潔に保管する。

(3)
血液の逆流を防ぐために、プッシャーワイヤーを押し進めることができる程度にRHVのロッキングを締めて、慎重にプッシャーワイヤーを押し進める。ポジショニングマーカーがマイクロカテーテルのハブに達したとき、または、ポジショニングマーカーの近位端がRHVの近位端に達したとき、第二遠位コイルマーカーがマイクロカテーテル先端付近まで到達している。

(4)
X線透視下で、ステントの第二遠位コイルマーカーがマイクロカテーテルの先端マーカーに重なるまで送達する。ステントが血栓を完全に覆うように配置されていることを確認する(図1-A)。

(5)
ステントを展開させる際、RHVのロッキングを緩め、ステントが前後に動いてしまわないようにプッシャーワイヤーを保持しながら、マイクロカテーテルを手元側に慎重に引く(図1-B)。

(6)
ステントの近位部コイルマーカーの遠位端とマイクロカテーテルの先端マーカーが重なるまで、マイクロカテーテルを引きながらステントを展開する(図1-C)。

(7)
ガイディングカテーテルに接続されているRHVを締めた後、血管造影を実施し、閉塞部位の血流再開の状態を評価する。

(8)
ステント展開後、X線透視下で閉塞部位の血流の再開状態を確認しながら医師の判断により、ステントの完全展開の状態を一定時間維持する。


4. ガイディングカテーテルへのステントの回収

(1)
ガイディングカテーテルのバルーンを拡張させて血管を閉塞させる。

(2)
ステントの近位部コイルマーカーの遠位端がマイクロカテーテルの先端マーカーと重なっていることを確認する(図2)。

(3)
ガイディングカテーテルに接続されたRHVのロッキングをマイクロカテーテルが多少動かせる程度に緩める。

(4)
ガイディングカテーテルに接続されたRHVのサイドポートに60mLシリンジを接続し、ガイディングカテーテル内を吸引しながら、本品及びマイクロカテーテルを一体として、ゆっくりガイディングカテーテル内にステントを引き込み、血栓を回収する(図1-D)。

(5)
本品とマイクロカテーテルが完全にガイディングカテーテル内に回収されるまで、シリンジによる強い吸引を続ける。

(6)
本品とマイクロカテーテルをガイディングカテーテルの手元側から引き抜く前に、ガイディングカテーテルに接続されたRHVを取り外し、本品とマイクロカテーテルを抜去する。

(7)
本品とマイクロカテーテルを抜去後もガイディングカテーテル内を吸引し、血栓がないことを確認する。

(8)
ガイディングカテーテルのバルーンを収縮する。

(9)
ガイディングカテーテルに再度RHVを接続し、閉塞部位の血流の再開状態等を評価する。追加で血栓回収手技を行う際は、本品をマイクロカテーテルから慎重に取り出し、ヘパリン加生理食塩液で洗浄し、本品に破損等がないかよく確認した上で、イントロデューサーシースに再収納し使用する。ただし、破損等が確認された場合やステントを2回展開した製品は破棄し、新しい製品に取り換える。

(10)
マイクロカテーテル以外の中間カテーテル等を使用する場合で、そのカテーテルがステント近位部まで安全に挿入可能である場合は、そのカテーテルの先端マーカーとステントの近位部コイルマーカーの遠位部が重なっていることを確認し、マイクロカテーテルを使用した場合と同様に「4.ガイディングカテーテルへのステントの回収」の手順を実施する。

<使用方法等に関連する使用上の注意>

1.
ステントを回収する際は、ステントの近位部コイルマーカー及びプッシャーワイヤーが血管内に露出している状態で回収作業を行わないこと。

2.
本品に無理にトルク(回転)を加えないこと。[本品は手技中にトルクを加えることを意図していないため、血管又は本品の損傷につながるおそれがある]

3.
ステントを展開する際や、回収する際に、ステントの近位部コイルマーカーの遠位端がマイクロカテーテルの先端マーカーと重なっていることを確認すること。

4.
製品毎に新しいマイクロカテーテルを使用すること。

5.
本品使用中に抵抗を感じた場合や血管攣縮が起きた場合、本品を無理に引き戻すことはせず、原因を確認してから使用を再開すること。原因の確認が困難な場合や安全性が損なわれると判断した場合は、本品を併用医療機器と共に慎重に抜去する。[血管又は本品の損傷につながるおそれがある]

6.
本品及びマイクロカテーテルをガイディングカテーテル内に回収する際に抵抗を感じた際は、操作を中止し、ガイディングカテーテル内を吸引しながら、ガイディングカテーテルごと抜去すること。[血管又は本品の損傷につながるおそれがある]

使用上の注意

使用注意(次の患者には慎重に適用すること)

原則として、脳梗塞の発症から8時間を超えない患者に適用すること。[脳梗塞の発症から8時間を超えた患者に対し本品を使用した場合の有効性及び安全性は確立されていない]

重要な基本的注意

1.
t-PAの経静脈投与により血流再開が得られなかった患者に対し本品を使用する際には、より慎重に使用すること。[t-PAを使用していない患者に比べて脳出血発生のリスクが高まっていると考えられるため]又、当該t-PAの添付文書を必ず参照すること。[t-PAの添付文書にて、脳出血発生のリスクからt-PA投与後24時間以内のヘパリン投与と投与量に関する注意事項等が記載されているため]

2.
本品はX線透視下で適切な抗血小板剤又は、抗凝固剤を併用して使用すること。

3.
本品と表2の推奨マイクロカテーテル以外のマイクロカテーテルとの適合性は確認されていない。

4.
手技中はヘパリン加生理食塩液によるフラッシュを維持すること。

5.
本品の使用に際し、本品を用いた治療に伴う合併症を含めた緊急時の対応が可能な体制を整えること。又、術後は必要に応じて速やかに頭部CTにより頭蓋内出血の確認を行うこと。

6.
本品にトルクをかけたり、折り曲げたりしないこと。

7.
ステントを展開する際にステントを押し進めないこと。

8.
本品の送達中や回収中に抵抗を感じた際は、操作を中止し、原因を確認すること。

不具合・有害事象

本品の使用の際に、以下のような不具合並びに有害事象が発生するおそれがあるが、これらに限定されるものではない。

1. 不具合

<重大な不具合>

・機器の変形、損傷、破損、断裂/離断、キンク

・本品のマイクロカテーテルへの挿入困難

・機器の機能・動作不良

・病変到達困難

・抜去困難

・意図しない位置での展開

2. 有害事象

<重大な有害事象>

・死亡            ・精神状態の変化

・脳卒中を含む神経系障害   ・失明

・頭蓋内出血         ・くも膜下出血

・脳圧迫           ・脳浮腫

・出血性脳梗塞        ・大脳動脈閉塞

・脳血管収縮         ・虚血

・血栓除去不全        ・大腿神経損傷

・血管穿孔又は解離      ・急性・亜急性血栓症

・後腹膜血腫         ・動静脈瘻

・偽動脈瘤形成        ・急性心筋梗塞

・頻脈、徐脈         ・呼吸不全

・抗血小板剤、抗凝固剤又は造影剤による副作用

・破損部品の体内遺残     ・感染症

<その他の有害事象>

・穿刺部位での血腫又は出血

・血管攣縮          ・空気塞栓

・血管閉塞          ・術後出血

・術前の治療対象外領域を含む遠位塞栓

・低血圧、高血圧       ・貧血、血小板減少

・筋骨格痛          ・頭痛

・鼻出血           ・悪心

・熱傷感           ・脱力感

・胸部痛           ・刺痛

・静脈炎           ・視覚障害

・しびれ           ・言語障害

・過敏            ・腎機能低下

・めまい           ・腎不全

妊婦、産婦、授乳婦及び小児等への適用

本品を使用する手技はX線透視下で実施される。妊婦又は妊娠の可能性がある患者については、医学上の有益性がリスクや不利益を上回る場合にのみ使用されること。[X線による胎児への影響が懸念される]

その他の注意

次の使用方法及び患者に対する本品の有効性・安全性は臨床試験において確認されていない。

(1) 使用方法

・同一血管における3回を超えた使用

・本品一製品における2回を超えた使用


(2) 患者

・年齢が20歳未満、85歳超の患者

・NIHSSスコアが30超である患者

臨床成績

急性期脳梗塞(発症後8時間以内)において、t-PAの経静脈投与が適応外、又はt-PAの経静脈投与により血流再開が得られない患者を対象とし、脳血管内の血栓を除去することにより、血流の再開を図る目的で使用する本品の有効性及び安全性を検討するため、国内臨床試験を実施した。
本試験は、前向き、多施設共同単群試験であり、50例を登録した。
本試験における選択基準及び除外基準は以下の通りである。

1. 選択基準

(1)
急性期脳梗塞と判断される閉塞血管に起因する神経学的障害がある患者

(2)
急性期脳梗塞の症状が現れて8時間以内の治療が可能である患者

(3)
t-PAの経静脈投与が適応外、又はt-PAの経静脈投与により血流再開が得られない患者

(4)
血管造影によりアクセスが可能であることが確認された、中大脳動脈(M1あるいはM2-M3)、脳底動脈、椎骨動脈、後大脳動脈(P1あるいはP2)、前大脳動脈(A1-2)もしくは頭蓋内内頚動脈の閉塞(術前のTICIスコア:0or1)を有する患者

(5)
NIHSSスコアが8-30である患者

(6)
発症前のmRSスコアが0-2である患者

(7)
20歳以上85歳以下である患者(同意取得時)

(8)
本人又は代諾者(20歳以上の被験者の親権を行う者、配偶者、後見人その他これに準ずる者)による文書同意(署名)が得られる患者


2. 除外基準

(1)
以下のことが認められる患者

・頚動脈の解離

・血管炎

・本品の誘導が困難な屈曲血管

・本品の誘導が困難な50%を超える狭窄

・急性期頭蓋内出血

・占拠性病変又は頭蓋内腫瘍

・CT又はMRIにより、広汎な早期虚血性変化を認める


(2)
異なる2つ以上の主要な脳血管系に治療を要する閉塞を有する患者

(3)
造影剤に対するアレルギーを有する患者、あるいは造影剤を使用できない患者、又は顕著な金属アレルギーを有する患者

(4)
48時間以内にヘパリン投与を受けており、PTT/APTTが臨床検査の正常値の2倍を超えている患者

(5)
既知の出血素因、あるいは凝固因子欠乏症を有している又は経口の抗凝固薬治療(ワーファリン等)を受けており、INRが3を超える患者

(6)
血小板数が30,000/mm3未満の患者

(7)
血糖値が50mg/dL未満の患者

(8)
薬剤でコントロールできない高血圧(収縮期>185mmHg, 拡張期>110mmHg)を有する患者

(9)
推定余命が90日未満と判断される患者

(10)
妊娠もしくは授乳中の女性患者

(11)
医薬品あるいは医療機器の治験に被験者として参加している患者

(12)
上記以外の理由により、治験責任(分担)医師が本治験への参加を不適切と判断した患者

 抗Xa薬やダビガトランの強度を正確に測定するマーカーは普及してないため、抗Xa薬はINRを、ダビガトランはPTT/APTTを指標として、少なくとも上記の閾値を越える場合は適応外とみなすこととした。


本試験の有効性主要評価項目である「2パス/機器、3パス/血管で本品を用いた術直後の血流再開率」及び、安全性主要評価項目である「術後90日以内の死亡率」は表3、4の通りである。

表3:有効性主要評価項目
評価項目 %(n/N) 95%CI 
2パス/機器、3パス/血管で本品を用いた術直後の血流再開率
(TICIスコア 2a以上) 
80.0%(40/50) 67.0-88.8% 


表4:安全性主要評価項目
評価項目 %(n/N) 95%CI 
術後90日以内の死亡率 8.0%(4/50) 3.2-18.8% 


本試験の有効性副次評価項目である「術直後に血栓回収に伴う新たな塞栓が認められる被験者の割合」、「術後24時間以内に症候性頭蓋内出血※※を伴わない血流再開率」、「術後90日時点でmRSスコアが2以下、またはNIHSSスコアが術前から10点以上改善した被験者の割合」、「術後90日時点でmRSスコアが2以下に改善した被験者の割合」は表5の通りである。

※※ 症候性頭蓋内出血:くも膜下出血、脳内出血あるいは脳内血腫のうちNIHSSが4点以上悪化したもの。

表5:有効性副次評価項目
評価項目 %(n/N) 
術直後に血栓回収に伴う新たな塞栓が認められる被験者の割合 8.0%(4/50) 
術後24時間以内に症候性頭蓋内出血を伴わない血流再開率 78.0%(39/50) 
術後90日時点でmRSスコアが2以下、又はNIHSSスコアが術前から10点以上改善した被験者の割合 72.7%(24/33) 
術後90日時点でのmRSスコアが2以下の被験者の割合 57.6%(19/33) 


本試験の安全性副次評価項目である「術後24時間以内の頭蓋内出血(症候性及び無症候性)の発生率」、「術後24時間以内の症候性頭蓋内出血の発生率」、「術後24時間以内の無症候性頭蓋内出血※※※の発生率」、「術後90日以内の機器あるいは手技に関連する重篤な有害事象の発生率」、「治験機器の不具合」は表6の通りである。

※※※ 無症候性頭蓋内出血:くも膜下出血、脳内出血あるいは脳内血腫のうちNIHSSの悪化が4点未満のもの。

表6:安全性副次評価項目
評価項目 %(n/N) 
術後24時間以内の頭蓋内出血(症候性及び無症候性)の発生率 30.0%(15/50) 
術後24時間以内の症候性頭蓋内出血の発生率 2.0%(1/50) 
術後24時間以内の無症候性頭蓋内出血の発生率 28.0%(14/50) 
術後90日以内の機器あるいは手技に関連する重篤な有害事象の発生率 2.0%(1/50) 
治験機器の不具合 0.0%(0/50) 


本試験で認められた本品との因果関係がある有害事象は表7、8の通りである。

表7:本品との因果関係がある有害事象(術中)
有害事象 %(n/N) 
くも膜下出血 4.0%(2/50) 
出血性脳梗塞 2.0%(1/50) 
術中大脳動脈閉塞 4.0%(2/50) 
脳血管収縮 4.0%(2/50) 


表8:本品との因果関係がある有害事象(術直後以降)
有害事象 %(n/N) 
くも膜下出血 6.0%(3/50) 

保管方法及び有効期間等

保管の条件

水濡れに注意し、直射日光及び高温多湿を避けて、保管すること。

有効期間

本品の包装に記載されている有効期間(製品のラベルに表示されている使用期限)までに使用すること。[自己認証(当社データ)による]

承認条件

1.
脳血管障害治療に関する十分な知識・経験を有する医師により、同治療に伴う合併症への対応ができる体制が整った医療機関において、本品が使用されるよう、関連学会と連携の上で必要な措置を講ずること。

2.
1.に掲げる医師が、適応を遵守し、講習の受講等により、本品を用いた血管内治療に関する手技及び同治療に伴う合併症等に関する十分な知識を得た上で、本品が用いられるよう、関連学会と連携の上で必要な措置を講ずること。

製造販売業者及び製造業者の氏名又は名称等

**氏名又は名称

大塚メディカルデバイス株式会社

第一種医療機器製造販売業

電話番号

03-6717-1458

販売業者(お問い合わせ先)
テルモ株式会社

電話番号:0120-12-8195(テルモ・コールセンター)

〒100-0013 東京都千代田区霞が関3-3-2 新霞が関ビル

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