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大動脈閉塞バルーン ブロックバルーン

再使用禁止

作成又は改訂年月

2017年10月17日改訂(第8版 新記載要領に基づく改訂)

*2015年07月27日改訂(第7版)

承認・届出等

販売名

大動脈閉塞バルーン ブロックバルーン

添付文書管理コード

21200BZZ00250000_A_01

承認番号

21200BZZ00250000

承認・認証年月等

平成12年4月

一般的名称

一般的名称
32584004
中心循環系閉塞術用血管内カテーテル

警告

禁忌・禁止

適用対象(患者)

1. 解離性大動脈瘤[バルーンの挿入や膨張・収縮により瘤が破裂するおそれがある]
2. 大動脈から総腸骨動脈にかけて重篤な蛇行及び石灰化を伴う症例[血管壁又はバルーンを損傷するおそれがある]
3. 頭部、上肢などバルーン留置部より上部からの出血を併発した症例[当該部位からの出血を増大させるおそれがある]
4. 重篤な血液凝固異常[止血不能や血栓症のおそれがある]

使用方法

1. 再使用禁止。
2. 再滅菌禁止。
3. 再閉塞は、10回以上繰り返さないこと。
[閉塞能力やバルーン強度が落ちるおそれがある]

4. 本品に脂肪乳剤及び脂肪乳剤を含有する製剤を投与しないこと。[主要文献1 原材料のポリカーボネートが脂肪乳剤により破損するおそれがある]

形状・構造及び原理等

本品は、先端にバルーンを有するダブルルーメン構造のカテーテル及び本カテーテルを挿入する際に必要な器具類から構成されている。

(バルーンカテーテルセットと挿入キットの2構成)

1. 形状・構造・名称

(1) バルーンカテーテル
図1.バルーンカテーテル

(2) バルーンカテーテルセット
図2.バルーンカテーテルセット構成


バルーン長 65mm 
有効血管内径 20〜30mm 
カテーテルサイズ
(推奨ガイドワイヤー径) 
9.0Fr
(0.032インチ) 
ルーメン ダブル 
挿入有効長 685mm 
バルーン直径 15mm 


(3) 挿入キット
図3.挿入キット構成


仕様

シース内径 10.0Fr 
ダイレーター(大)サイズ 10.0Fr 
ダイレーター(小)サイズ 8.0Fr 
ガイドワイヤー J型 0.032インチ × 145cm 
セルジンガー針 17G 
その他 三方活栓 /シリンジ(20mL)/メス 


2. 原材料(生体に接触する部分)

(1) ポリ塩化ビニル
本品のポリ塩化ビニル部品は、可塑剤であるフタル酸ジ-2-エチルヘキシルを使用している。[主要文献2]

(2) ステンレス
(3) ポリエーテルエーテルケトン
(4) ポリウレタン樹脂
(5) シリコーンゴム
(6) シリコーンオイル
(7) 銀錫
(8) ポリテトラフルオロエチレン
(9) 弗素樹脂
(10) 硫酸バリウム
(11) ナイロン6
(12) イソプレンゴム
(13) ポリカーボネート
(14) ポリエチレン
(15) ポリプロピレン
(16) ポリスチレン
(17) Ni-Ti合金
(18) タングステン
(19) ポリビニールピロリドン

使用目的又は効果

本品は、血管閉塞用バルーンカテーテルであり、血管手術などで血流の遮断及び血管の閉塞をする必要があるとき、あるいは手術、外傷などで起こる出血を軽減するときに使用する。

本品は、滅菌済みであるので、そのままただちに使用できる。

使用方法等

1. 許容注入量の目安確認
患者の身体的条件や臨床的判断を考慮した上で、許容注入量の目安とすること。[血管径によって許容注入量が異なる]

(参考)

身長(cm) 胸大動脈付近の血管内径(mm) 
145〜155 20〜22 
168〜178 26〜28 
183〜193 33〜34 

Susan J. Quaal 著「Comprehensive Intraaortic Balloon Counterpulsation,1993 by Mosby-Year Book,Inc.」より



血管内径に対する注入量の関係

(アクリル管による実験値)


2. *バルーンカテーテルのマーキング
*本バルーンカテーテルには下図に示す位置にマーキングされている。挿入時、先端から1番目のマーカー(バルーン先端から300mmの位置)が、シースハブの位置まできたときにバルーン全体がシースから抜け出たことを意味する。

*図4


3. 挿入準備

(1) トレーからバルーンカテーテルの体外チューブ部分だけを取出し、体外チューブの注入ポートに付属の三方活栓を取り付け、ここから付属のシリンジ(20mL)を用いて20mLの目盛までバルーン内の空気を抜くこと。[操作1]次に三方活栓をロック後、シリンジ(20mL)を押して空気を大気に逃がす。[操作2]体外チューブ内の空気をしっかり抜くために、[操作1]と[操作2]を3回以上繰りかえすこと。
[操作1] 体外チューブ内の空気を抜く。


[操作2] 抜いた空気を大気に逃がす。

関連注意

●バルーンカテーテル挿入が完了するまで、バルーン内は、陰圧状態を維持すること。

[経皮挿入ができなくなるおそれがある]

(2) Y字コネクターとカテーテルを持ち上げながら、バルーンカテーテルをトレーから取り出し、バルーンホルダーを抜き取る。
関連注意

●トレーから取り出す際はY字コネクター側から最初に取出し、最後にバルーンホルダー部を取り出すこと。

[カテーテルを折ったり、傷つけたりするおそれがある]

●バルーンカテーテルをねじったり、無理な力をかけないこと。

(3) X線透視をやむを得ず使用しない場合は、第二肋間と大動脈挿入部との長さを事前に確認しておくこと。[カテーテル上のシースパッキンの位置をずらすことにより、目印として使用することができる。この場合、挿入完了までシースパッキンが移動しないよう注意すること]
(4) バルーンカテーテルを深皿に入れたヘパリン加生理食塩水で浸漬洗浄する。
(5) スタイレットノブを反時計回りに少なくとも半回転させ、後方に真直ぐ引いて、スタイレットワイヤーを抜き、セントラルルーメン内をヘパリン加生理食塩水でフラッシュする。
図5.反時計方向に回す

関連注意

●抜いたスタイレットワイヤーは、再度挿入するため無菌性を維持すること。

(6) 付属のシース内部をサイドチューブからヘパリン加生理食塩水でフラッシュし、三方活栓をロック後、シースに付属のダイレーター(大)を通す。その後、ダイレーター(大)のハブを時計方向に回して確実に締め込み一体化する。


4. 挿入手順

(1) 大腿動脈に付属のセルジンガー針(テフロン針17G)を、45度以下の角度で穿刺する。
図6.穿刺状態


(2) セルジンガー針外筒を残して針を抜き取り、付属のガイドワイヤーの先端側(J型側)からセルジンガー針外筒を通して血管内に約30cm挿入する。
(3) ガイドワイヤーが動かないように固定しながら、セルジンガー針外筒を引き抜く。
(4) ガイドワイヤーに付いた血液を濡れた滅菌済みガーゼで拭き取る。
(5) ダイレーターを挿入しやすくするために、付属のメスでガイドワイヤー挿入部の皮膚を数mm切開する。
(6) 付属のダイレーター(小)を外部に出ているガイドワイヤーを通して挿入し、血管内に根元まで押し進めることにより穿刺孔を拡張する。その後、ガイドワイヤーが動かないように固定しながらダイレーター(小)を引き抜き、創部を圧迫止血する。
(7) ガイドワイヤーに付いた血液を濡れた滅菌済みガーゼで拭き取る。
(8) 一体化させたシースとダイレーター(大)を外部に出ているガイドワイヤーを通して挿入し、皮膚の外に出ているシースの残りの部分が2.5cmになるまで回転させながら血管内に進める。
図7.ガイドワイヤーの挿入

関連注意

●シースとダイレーター(大)を挿入する際は、シースがねじれないように十分注意すること。

(9) シースを血管内に残したまま、以下の要領でダイレーター(大)を抜き取る。
・一方の手で、シースハブの止血弁をつかみ、他方の手でダイレーター(大)ハブを握る。

・ダイレーター(大)ハブを反時計回りに回し、ガイドワイヤーをシース内に残したままダイレーター(大)を外す。

(10) シースのサイドチューブからの血液の逆流を確認する。逆流がない場合には、シースが血管内に正しく入っていないことを疑うこと。
(11) ガイドワイヤーをバルーンカテーテルの先端に開口しているセントラルルーメンに挿入する。メス型ルアーハブからバルーン用ガイドワイヤーが出てくるまで、バルーン用ガイドワイヤーに沿ってバルーンカテーテルを進める。
図8.バルーンカテーテルを挿入

(12) バルーンカテーテルをシースに通して体内に進める。
常にバルーンカテーテルの挿入部に近いところをつかんで、カテーテルがねじれないようにする。バルーンが挿入しづらいときは、時計方向(バルーンの巻き方向)にねじりながら挿入する。

関連注意

●バルーン挿入時には動脈圧によって、バルーンの折り目にできた細い隙間から出血する場合がある。これはチャネリングと呼ぶ現象で、バルーンリークなどの異常ではない。バルーンカテーテルが挿入されるに従って、血液の流出は軽減される。

(13) バルーンがシース内を通過したら、ガイドワイヤーを逐次先行させながら、抵抗を感じ取りつつ注意深く、先端が所定の位置(左鎖骨下動脈分岐部の2cm以上下方で、できるだけ頭部側に)にくるまでバルーンカテーテルを挿入する。
図9.バルーンカテーテルの挿入


(14) バルーンカテーテルの位置が最終的に確定するまでは、体外に出ているカテーテルの無菌性を維持する。
(15) シースパッキンをシースハブに押込み取り付ける。
関連注意

●シースの周りに縫合糸や結紮糸を掛けないこと。

[シースのねじれや損傷の原因となる]

(16) セントラルルーメンからガイドワイヤーを抜き取り、スタイレットを挿入する。
図10.スタイレットの挿入

関連注意

●スタイレットを挿入しないと、カテーテルが押し戻されたり、カテーテルが破損する可能性がある。

(17) スタイレットノブを時計回りに回転させてメス型ルアーハブに確実に固定する。
図11.時計方向へ回す

バルーンカテーテルの位置の調整が必要になった場合、一方の手でシースパッキンを掴み、他方の手でカテーテルを握って無菌的に位置を調整する。

関連注意

●シースを動かしてバルーンカテーテルの位置の変更をしないこと。

●先端位置の最終的な確認はスタイレット挿入後に行うこと。

[スタイレットは、剛性が高く、スタイレット挿入後はバルーンカテーテルが真直ぐに伸びる傾向にある]

(18) バルーンカテーテルの位置が確定したら、シースパッキンやY字コネクターのパッド部分を皮膚に縫合するなどして固定し、バルーンカテーテルの動きを制限する。
図12.固定


5. 拡張・収縮・再拡張(閉塞・再閉塞)手順

(1) 上肢での動脈圧がモニターできるようにあらかじめ準備しておく。
(2) 付属のシリンジ(20mL)に生理食塩水を入れ、体外チューブの注入ポートに取付けられている三方活栓に接続する。
(3) 三方活栓のハンドルを操作し、バルーンカテーテル側とシリンジ側を連通させ、シリンジのピストンを押してバルーンカテーテル内へ生理食塩水を注入する。上肢での動脈圧上昇が得られたら、血管閉塞が完了なのでそれ以上注入しないこと。
関連注意

●三方活栓のハンドル操作は、バルーンカテーテル内の空気が抜かれた状態が維持されるように行うこと。

[一旦空気側に開放した後に生理食塩水を注入すると、生理食塩水内に多量の空気が混入し、万が一バルーンが破裂した場合に空気塞栓によって臓器を損傷するおそれが大きくなる]

図13.生理食塩水の注入

関連注意

●許容注入量にいたるまで上肢での動脈圧上昇が得られない場合は、バルーンの破裂、バルーン留置部より上部の出血及びバルーン留置位置の不適を疑うこと。

(4) 三方活栓のハンドルをバルーンカテーテル側に戻してロックする。
(5) 血管閉塞時には下肢灌流に注意しながら適時バルーンを収縮し、下肢還流を行う。
(6) 術野での出血制御に成功したら、バルーンをゆっくり収縮し、以下の手順に従い速やかにバルーンカテーテル抜去する。


6. 抜去手順

(1) 抜去に先立ちシリンジを操作してバルーンを収縮させる。
(2) すべての縫合箇所を外す。
(3) シースハブからシースパッキンを外し、バルーンがシースに接触するまで、シースを介してバルーンカテーテルを引き戻す。この時、バルーンをシース内に引き込まないこと。
(4) バルーンカテーテルとシースを一緒に取り出す。
このとき血栓が下肢に流れるのを予防するために挿入部下方を指で圧迫する。

関連注意

●シースを通して、バルーンカテーテルを抜去しないこと。

[バルーンの破損又は脱落する可能性があるため]

(5) 抜去後数秒間、上方側から出血させた後、次に挿入部上方を指で数秒間圧迫し、下方側からも同様に出血させる。
その後、約30分間挿入部を圧迫して止血する。

(6) 挿入部遠位側の下肢に十分な血行があることを確認する。

使用上の注意

重要な基本的注意

1. ガイドワイヤーを通したままカテーテルを強く押したり、ガイドワイヤーを勢いよく引き抜かないこと。
[血管を損傷するおそれがある]

2. 生理食塩水は血管内径によって決まる許容注入量(下表)以上入れないこと。
[バルーンの破裂やバルーン接着部が破損するおそれがある]

血管内径 許容注入量 
20mm 25mL 
25mm 35mL 
30mm 45mL 


3. 血管閉塞中、バルーンカテーテル内への血液の逆流や血圧低下が見られた場合には、それ以上使用しないこと。
[破裂、破損している可能性がある]

4. バルーンの収縮は、観血的動脈圧をみながら半閉塞までゆっくりと行い、急に収縮させないこと。
[血圧が急激に下がりショック状態に陥るおそれがある]

5. カテーテル、スタイレット、ガイドワイヤー等の操作は、慎重に行い、操作中に少しでも抵抗を感じたり、操作に追従して先端が動かない場合には、カテーテルが血管壁に押し付けられていたり等が考えられるので、手技を中断してX線透視下でその原因を確認すること。
[そのまま無理に操作を続行すると、血管を損傷したりカテーテルが破損するおそれがある]

6. 緊急時等、やむを得ず付属のスタイレットが装着されたまま挿入する場合は、挿入時に少しでも抵抗感があれば、挿入を中断してX線透視下でガイドワイヤーを用いて挿入するか、他の血管閉塞手段への変更を検討すること。
7. バルーンカテーテル抜去時に異常な抵抗が感じられる場合、バルーンが引っ掛かっている可能性があるので、抜去を中断し、動脈切開によってバルーンカテーテルを取り出すことを検討すること。
8. バルーン拡張の際、生理食塩水の注入は必ず付属のシリンジ(20mL)を用いて行い、過度の注入抵抗が感じられたらそれ以上注入を続けないこと。
[バルーンの破裂やバルーン接着部が破損するおそれがある]

9. 再閉塞に際しては、引き抜いた生理食塩水の量以上注入しないこと。
[それ以上注入するとバルーンが破裂するおそれがある]

10. 本品にアルコール、エーテルなどの溶剤を使用しないこと。
[主要文献 3 本品のプラスチック部材が破損することがある]

11. 本品には可塑剤にフタル酸ジ−2−エチルヘキシルを使用しているものがあるため、溶出のおそれがある。
[主要文献 2 本品のプラスチック部材が破損することがある]

12. 他の医療機器と組合わせて使用する際は、安全確認を行ってから使用すること。

不具合・有害事象

本品の使用に伴い、以下のような不具合又は有害事象が発症する場合がある。

重大な不具合

1. バルーンの穿孔・破裂
2. カテーテルの破損(折れ、曲がり、破断)
3. バルーンの拡張不良(生理食塩水注入不能)
4. 先端チップ及びバルーンの離脱

有害事象

重大な有害事象

1. 大動脈損傷
2. 大動脈解離
3. 下肢の虚血

保管方法及び有効期間等

保管の条件

水濡れ、ほこり、高温、多湿、直射日光にあたる場所はさけること。

有効期間

包装箱に記載[自己認証(当社データ)による]

使用期間

総閉塞時間45分以下[自己認証(当社データ)による]

主要文献及び文献請求先

主要文献

1.三方活栓等に関する自主点検について(医薬安発第1101002号 平成14年11月1日)

2.ポリ塩化ビニル製の医療用具から溶出する可塑剤(DEHP)について

 (医薬安発第1017003号 平成14年10月17日)

3.医薬品とポリカーボネート製の医療用具の併用に関する自主点検について(医薬安発第0526001号 平成15年5月26日)

製造販売業者及び製造業者の氏名又は名称等

氏名又は名称(製造販売業の種別)

泉工医科工業株式会社

第一種医療機器製造販売業

住所等

電話番号

03-3812-3254

〒100-0013 東京都千代田区霞が関3-3-2 新霞が関ビル

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