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ON-X 機械式人工心臓弁

再使用禁止

作成又は改訂年月

*2021年01月改訂(第2版)

2020年10月作成(第1版)

承認・届出等

販売名

ON-X 機械式人工心臓弁

添付文書管理コード

22200BZI00014000_A_02

承認番号

22200BZI00014000

承認・認証年月等

平成22年6月

一般的名称

一般的名称
35590010
機械式人工心臓弁

警告

使用方法

1. ON−X 機械式人工心臓弁(ON−X弁)使用時は、微粒子、異物等との接触を避けること。[リーフレット及びハウジングの表面にこれらが付着した場合、血流に影響を及ぼしたり、塞栓症を起こすことがある]
2. 硬い鋭利な道具で本品に触れないこと。ハウジング及びリーフレットに力を加えないよう、本品の取扱いに細心の注意を払うこと。[本品に重大な損傷が生じる可能性があり、構造的弁機能不全、リーフレット脱落、血栓形成の原因となるおそれがある]
3. 診断用カテーテル、ペースメーカリード等を弁口に通さないこと。[人工弁機能不全、リーフレット損傷又は脱落、カテーテル、ペースメーカリード等の挟み込みの原因となる]

禁忌・禁止

適用対象(患者)
長期の抗凝固療法に関連する合併症の可能性がある患者には使用しないこと。[抗凝固薬の服用を適切に行うことができない場合、出血や血栓等が生ずる可能性がある]

使用方法

1. 再使用禁止
2. 再滅菌禁止

形状・構造及び原理等

1. 構成
本品は、機能不全に陥った心臓弁の機能を代替することを目的に使用される医療機器である。本品には下記の種類があり、植込み部位及びサイズによって使い分けられる。

(1) オンエックス
大動脈弁用 僧帽弁用 
19 大動脈弁 23 僧帽弁 
21 大動脈弁 25 僧帽弁 
23 大動脈弁 27/29 僧帽弁 
25 大動脈弁 31/33 僧帽弁 
27/29 大動脈弁 − 


(2) オンエックス コンフォームエックス
大動脈弁用 僧帽弁用 
19 大動脈弁 25/33 僧帽弁 
21 大動脈弁 − 
23 大動脈弁 − 
25 大動脈弁 − 
27/29 大動脈弁 − 


2. 形状

(1) オンエックス
大動脈弁用            側面図



僧帽弁用             側面図



(2) オンエックス コンフォームエックス
大動脈弁用            側面図



僧帽弁用             側面図



3. 寸法
弁最大開口角 90度

(1) 大動脈弁の寸法
オンエックス/オンエックス コンフォームエックス

サイズ 弁口面積(mm2) 実質弁開口面積(mm2) 
19 228 200 
21 284 253 
23 344 313 
25 411 373 
27/29 411 373 

許容範囲±3%



(2) 僧帽弁の寸法
オンエックス

サイズ 弁口面積(mm2) 実質弁開口面積(mm2) 
23 344 313 
25 411 373 
27/29 411 373 
31/33 411 373 

許容範囲±3%



オンエックス コンフォームエックス

サイズ 弁口面積(mm2) 実質弁開口面積(mm2) 
25/33 411 373 

許容範囲±3%



(3) 材質
名 称 原 材 料 
弁 ハウジング 基質:グラファイト
表層:パイロライティックカーボン 
リーフレット 基質:グラファイト
(タングステン10%含有)
表層:パイロライティックカーボン 
縫合布 ポリテトラフルオロエチレン 
チタンリング チタン合金 
縫合糸 ポリエチレンテレフタレート 
ホルダ ポリスルホン 

作動・動作原理
ON−X弁は、純粋な混合物を含まないパイロライティックカーボン(ON−Xカーボン)をグラファイト基質上にコーティングとして使用した機械式二葉弁である。

リーフレットの基質には放射線不透過性のタングステンが含有されており、ソーイングリングの外輪には放射線不透過性のチタン合金を使用している。ソーイングリングは回転可能であり、オリエンテーションの基準になるマーカがついている。縫合輪にはポリテトラフルオロエチレンを使用している。

リーフレットは血流で並列に開く。旋回角度は50度であり、これによって逆流量を減少させている。旋回角度やリーフレットの開放角を決めるピボット機構は、磨耗を最少限に抑え、表面が常に血液洗浄されるよう設計されており、広い有効弁口面積の確保につながっている。ハウジングの入口部はフレアー状になっており、血流のセパレーションや乱流を抑制し血行動態を改善する。流出口のリーフレットガードは閉鎖時のリーフレットを保護する。

使用目的又は効果

本品は、後天性心疾患の大部分をしめる僧帽弁や大動脈弁の狭窄あるいは閉鎖不全症に対して使用し、心臓弁の機能を代替することを目的に使用する。

使用方法等

1. ON−X弁

(1) ON−X弁の選択
適切なサイザを使用し、弁植込み位置に適したサイズのON−X弁を選択すること。各サイザ径はON−X弁径と同じである。

サイズ 弁の
タイプ 
サイザの選択 ソーイングリングの位置 
サイザの
タイプ 
レプリカ
使用の有無 
19 大動脈弁 円筒形 ○ スープラアニュラ 
21 大動脈弁 円筒形 ○ スープラアニュラ 
23 大動脈弁 円筒形 ○ スープラアニュラ 
25 大動脈弁 円筒形 ○ スープラアニュラ 
27/29 大動脈弁 円錐形 ○ イントラアニュラ 
23 僧帽弁 円筒形 × スープラアニュラ 
25 僧帽弁 円筒形 × スープラアニュラ 
27/29 僧帽弁 円錐形 × スープラアニュラ 
31/33 僧帽弁 円錐形 × スープラアニュラ 
25/33 僧帽弁 円錐形 × スープラアニュラ 


(2) )大動脈弁の計測
サイザを患者弁輪に挿入する。

1) 25mm以下のサイズの大動脈弁は、ソーイングリングはスープラアニュラに位置し、円筒形のカーボン部分は弁輪内におさまるように設計されている。(図1)そのため、円筒形のサイザを使用してサイズを決定した後、反対側のON−X弁型のサイザを使用してリーフレットガードとソーイングリングが冠状動脈口の妨害にならないことを確認すること。ソーイングリングが弁輪内におさまるような計測の仕方はしないこと。

図1


2) 27/29mmの大動脈弁のソーイングリングはイントラアニュラに位置するように設計されているため、円錐形のサイザを使用すること。
3) 冠状動脈口の障害にならないことを確認すること。適切なサイザが決定したら、そのサイズのON−X弁を選択する。


(3) 僧帽弁の計測
サイザを患者弁輪に挿入する。

1) 全ての僧帽弁は、ソーイングリングがスープラアニュラに位置し、カーボン部分が弁輪内におさまるように設計されている。(図2)23mm及び25mmの場合は、円筒形のサイザを使用すること。27/29mm及び31/33mmの場合は、円錐形のサイザを使用すること。
図2



2) 適切なサイザが決定したら、そのサイズのON−X弁を選択する。(僧帽弁のハウジングのサイズは25mmから33mmまで共通で、大きなサイズはソーイングリングが厚くなっている。そのため、弁のサイズを大きくしても血行動態上の利点はない。弁と比較した心室のサイズ、術後の心臓腔縮小の可能性、心卒中時の心弛緩状態を考慮して、必要であればサイザで計測したサイズより小さいサイズを選択すると良い)


(4) ON−X弁の準備
二重包装されたON−X弁の包装に破れや、ピンホール等損傷のないことを確認すること。ON−X弁の無菌性は完全な包装形態が保たれている場合のみ保証される。使用期限が過ぎていないことを確認すること。すでに期限を過ぎている場合は、無菌性は保証されない。ラベルに記載されているON−X弁のモデル、サイズ、製造番号の内容が適合することを確認すること。適合しない場合は、使用しないこと。

1) タブをつかんで容器の中心方向に向かって引張り、蓋を完全に剥がす。
図3



2) 内部容器を無菌的に取り出し、器具トレイの上に置く。内部容器は上部に付いているペーパータブをゆっくり引き上げることにより外部容器から取り出せるようになっている。また、外部容器を器具トレイの上でゆっくり逆さにし、内部容器を器具トレイの上に置くことも可能である。(図4)
図4



3) 内部容器を開封する。蓋をねじり、滅菌保証シールを破って上に引くと開封できる。(図5)
図5



4) ON−X弁を取り出す。専用のハンドルの先端をホルダの差込み口にカチッと音がするまでしっかり差し込むこと。(図6)容器からON−X弁をゆっくり引き上げて取り出し、ホルダからホルダプレートを外す。
図6



5) 回転試験を行う。手術用手袋を装着した手で、注意深くソーイングリングを持ち、ハンドルを左右いずれかの方向にゆっくり回す。弁がソーイングリング内で容易に回転することを確認する。回転はピボットの軸に合わせて付けられたオリエンテーションマークで止めること。容易に回転しない場合には、そのON−X弁は使用しないこと。
6) 製造番号タグの糸を切って外す。このタグは取り外し直後であれば、無菌性を確認するための検査に使用することも可能である。
7) 植込み準備完了。植込み時の位置決めを容易にするため、ハンドルは把手と柄の部分を持って曲げることができる。ON−X弁を持たないように注意すること。


(5) ホルダの取り外し
外科的縫合終了後、バルブホルダについている支持糸を切断し、バルブホルダとハンドルをON−X弁から外すこと。(図7)この方法で、ON−X弁を傷つけることなくホルダを外すことが可能である。この後ハンドルとホルダを取り外す。

図7



(6) リーフレット可動試験
ON−X弁縫合後、リーフレットが自由に可動することを確認する。

1) 専用のリーフレットプローブを使用して試験をすること。
2) ゆっくりとリーフレットにプローブをあて、リーフレットが解剖学的な妨害なしに容易に開閉することを確認する。妨害があった場合には、弁をローテーションさせて妨害のない位置を探すこと。


(7) 弁のローテーション
次のいずれかの方法で弁方向を所定の位置にローテーションすることが可能である。

1) ON−X弁からホルダを取り外す前にローテーションしたいときは、バルブホルダを装着したままハンドルでローテーションする。
2) ON−X弁からホルダを取り外した後にローテーションしたいときは、専用ローテータを使用してローテーションする。

a. ローテータの先端をリーフレットの間に入れ、クロスバーをピボット軸に合わせ、ローテータが弁の中に収まるまで注意深く挿入する。(図8)
図8



b. 僧帽弁の場合は、ローテータの先端でリーフレットが開くことを確認してからローテータを挿入する。
c. 大動脈弁の場合は、ローテータの先端を弁口の中心部に挿入するとリーフレットが開く。
d. 妨害がない位置まで弁を左右いずれかの方向にゆっくりとローテーションさせる。
e. 再度リーフレットの可動試験を行う。リーフレットが自由に可動する弁方向が見つからない場合は、弁輪からはみだした組織があれば切除し、さらには弁を摘出してサイズ或いはタイプを考え直す必要がある。


(8) 弁のオリエンテーション
ON−X弁について推奨するオリエンテーションは次のとおりである。(図9)

僧帽弁:弁のピボット軸は、非解剖学的に留置する。このオリエンテーションは、リーフレットの可動性を阻害したり、大動脈流出路を妨害したりする可能性を減少させ、リーフレットの開閉運動をより均一化する。

図9



2. アクセサリ
ON−X弁を正しく使用するためには以下の専用アクセサリキットを使用すること。

販売名 届出番号 
ON−X 機械式人工心臓弁サイザ 11B1X00016000255 
ON−X 機械式人工心臓弁サイザ ONXI3 11B1X00016000256 

使用方法等に関連する使用上の注意

1. アクセサリは滅菌されていないため、必ず使用前に滅菌すること。
2. ON−X弁の径を正確にもとめるため、サイズの決定はON−X弁専用のサイザで行うこと。
3. 弁の過大サイズは、弁の機能に支障をきたすことがあるため注意すること。ON−X弁は、血行動態上優れた性能を有しているため、無理に大きなサイズを使用する必要はない。過大な弁の植込みは、リーフレットの動きが組織によって妨害される危険性が増すため回避すること。
4. ON−X弁を梃子にしてハンドルを曲げないこと。ON−X弁に損傷を与え、機械的不具合につながるおそれがある。
5. 弁縫合糸に異常な牽引力をかけることを回避するため、ON−X弁かバルブホルダを取り外してからハンドルを取り外すこと。
6. ローテータに無理な力を加えないこと。
7. ローテータ挿入時に抵抗を感じた場合には、挿入を中止し、ローテータの向きを確認してからもう一度挿入すること。
8. 植込み位置で弁をローテーションする力と、植込み前の回転試験で弁をローテーションする力はほぼ同じでなければならない。回転試験のときよりも過剰に大きな力を要する場合には、異物が妨害しているのでローテーションは中止すること。リーフレットの動きに妨害があって、ローテーションが不可能な場合には、弁を摘出して小さなサイズと交換するか、違う人工弁を使用すること。
9. ON−X弁に重大な損傷を及ぼすおそれがあるため、ローテーションする場合には、いかなるときもON−X弁専用ローテータ以外のものを使用しないこと。
10. 術後管理の抗凝固療法については文献の臨床研究を参照すること。
11. 弁サイズの測定や弁の植込みの妨害にならないよう、弁葉や弁輪の石灰化組織を切除すること。僧帽弁の場合は、弁葉を切除するときに腱索を短く切ること。僧帽弁の弁葉や基部組織の全体或いは一部を残す場合は、弁輪のサイズを注意深く測定し、可能な限り小さなサイズの弁を植込むと良い。ON−X僧帽弁はユニークな設計のため、サイズを小さくしても血行動態上不利になることはない。
12. 術中に弁が開いた状態を維持したい場合には、専用のリーフレットプローブをリーフレットの間に挿入すると良い。縫合後、縫合糸の端は短く切り、周囲の組織や縫合糸の結び目がリーフレットを妨害していないことを確認すること。確認は、専用のリーフレットプローブを使用すること。

使用上の注意

使用注意(次の患者には慎重に適用すること)

*患者の弁輪に残余カルシウムが見られる場合、弁輪が極度に弱い場合、又は弁輪の形状が不規則で人工弁の形状に合わない場合は、本品の使用に関して慎重に検討すること。[植込みの妨害になり弁が適切に留置できない可能性があるため]

重要な基本的注意

1. バルブホルダに固定されたON−X弁が、植込み目的の弁サイズであることを再確認すること。
2. 一度取り外したバルブホルダを再度ON−X弁に挿入しないこと。
3. 角針のような先端部が刃のようになった針は、ポリエステルのソーイングリングに損傷を与えるので使用しないこと。
4. リーフレットの可動試験は、適合するサイズのローテータの先端又はリーフレットプローブを使用すること。金属又は研磨用器具をON−X弁に接触させないこと。
5. ローテータを使用した弁のローテーションは、ON−X弁を縫合した状態においてのみ行うこと。ローテーションにかなりの抵抗を感じた場合には、ローテーションを中止すること。
6. 歯科治療を受ける患者や菌血症を起こす可能性がある患者には、予防的に抗生物質を与えること。(歯周病患者における抗菌療法の指針2010:日本歯周病学会)
7. 本品は下記のMRI装置下に置くとき、温度上昇が1.6℃以下であり安全性が確認されている。「自己認証による」
3T以下の静磁場

720G/cm以下の最大傾斜磁場強度

不具合・有害事象

1. 重大な不具合
弁周囲漏れ、血栓症、人工弁の構造的不良、リーフレットの離脱/破損

機械式二葉弁の使用患者が、急性呼吸不全、狭窄症、心不全の症状を示した場合には、これらの事例を考慮しなければならない。患者に対してはこれらの事例へのすみやかな診断と適切な処置を行うこと。

2. その他の不具合
機械式人工弁は正常に機能しているとき音を発するため、患者によっては耳ざわりに感じる場合がある。

3. 重大な有害事象
合併症による再手術、人工弁の摘出、不可逆的障害、死亡

4. その他の有害事象
溶血性貧血、感染症、血栓塞栓症、血栓症、裂開、血行動態の不良、抗凝固療法による出血、心不全、心筋梗塞、狭心症、不整脈、心内膜炎、脳卒中、パンヌス、逆流


本品の臨床試験における有害事象を表1、2に示す。


表1 有害事象の経時的発生頻度と統計学的な非発生頻度

大動脈弁 植込み症例数:184例、累積使用数:411.8患者・年

合併症 術後急性期1 術後安定期2 事象の非発生率3% (SE) 
例 頻度4
(%) 
例 頻度
(%) 
術後1年
(138例) 
術後3年
(37例) 
死亡 2.2 0.7 97.8%(1.1) 96.0%(1.5) 
弁関連死 0.5 0.2 99.4%(0.5) 98.8%(0.9) 
心内膜炎 0.0 0.5 99.4%(0.6) 98.9%(0.8) 
弁摘出 0.5 0.5 98.4%(0.9) 97.8%(1.1) 
溶血 0.0 0.0 100.0%(0.0) 100.0%(0.0) 
出血 0.5 0.7 99.4%(0.5) 97.3%(1.4) 
出血多量 0.5 0.2 100.0%(0.0) 99.1%(0.9) 
弁周囲漏れ 2.2 0.7 96.7%(1.3) 96.7%(1.3) 
弁周囲
多量な漏れ 
0.5 0.0 100.0%(0.0) 100.0%(0.0) 
非構造的
弁機能不全 
0.0 0.0 100.0%(0.0) 100.0%(0.0) 
再手術
(弁関連) 
1.1 0.7 97.8%(1.1) 97.2%(1.2) 
構造上の
弁劣化 
0.0 0.0 100.0%(0.0) 100.0%(0.0) 
血栓塞栓症 0.5 1.7 97.8%(1.1) 93.9%(2.5) 
血栓症 0.0 0.0 100.0%(0.0) 100.0%(0.0) 


表2 有害事象の経時的発生頻度と統計学的な非発生頻度

僧帽弁 植込み症例数:229例、累積使用数:417.9患者・年

合併症 術後急性期1 術後安定期2 事象の非発生率3% (SE) 
例 頻度4
(%) 
例 頻度
(%) 
術後1年
(134例) 
術後3年
(44例) 
死亡 3.9 2.2 95.4%(1.4) 89.2%(2.7) 
弁関連死 0.4 0.5 99.5%(0.5) 97.2%(1.7) 
心内膜炎 0.0 0.7 99.0%(0.7) 99.0%(0.7) 
弁摘出 0.4 0.7 98.0%(1.0) 98.0%(1.0) 
溶血 0.0 0.0 100.0%(0.0) 100.0%(0.0) 
出血 1.8 1.4 96.4%(1.3) 94.4%(2.0) 
出血多量 1.8 0.5 97.0%(1.2) 97.0%(1.2) 
弁周囲漏れ 0.9 0.7 98.0%(1.0) 97.1%(1.2) 
弁周囲
多量な漏れ 
0.4 0.2 99.4%(0.6) 99.4%(0.6) 
非構造的
弁機能不全 
0.0 0.2 100.0%(0.0) 99.1%(0.9) 
再手術
(弁関連) 
1.3 1.2 97.0%(1.2) 97.0%(1.2) 
構造上の
弁劣化 
0.0 0.0 100.0%(0.0) 100.0%(0.0) 
血栓塞栓症 0.9 1.7 97.0%(1.2) 96.3%(1.4) 
血栓症 0.0 0.0 100.0%(0.0) 100.0%(0.0) 


1術後30日以内に発生した有害事象

2術後30日以上経過した時点で発生した有害事象を線形比率で外挿して起算した

3カプラン・マイヤー法に基づいて算出した有害事象の非発生率

4植込み症例数に対する発生頻度

その他の注意

特定医療機器登録制度(医療機器トラッキング制度)について患者に説明すること。

臨床成績

1. 試験の概要
欧州、カナダ、米国における計20施設において、1996年9月12日の第一例の植込み患者から最後に本品が植込まれた2001年5月24日までの患者を対象に2001年6月30日までの期間において、無比較オープン臨床試験を実施した。本試験では、大動脈弁あるいは僧帽弁の植込みを必要とした患者における本品の植込み後における心機能の改善を評価することを目的とした。対象となった症例総数は558例となり、それぞれの試験における弁の種類による植込み症例数は下記のとおりである。


症例内訳

 大動脈弁 僧帽弁 二弁置換 計 
欧州試験 184 117 21 322 
北米試験 119 112 236 
計 303 229 26 558 


2. 有効性評価

(1) 本品の植込み対象となった患者の血行動態の改善状態に対する本品の有効性を評価するため、NYHA機能分類について検討した。術後3ヵ月において、大動脈弁では、70%以上の患者で(163/232例)NYHA機能分類が1段階以上改善していた。またその効果は2年以上持続していた。僧帽弁では、術後3ヵ月後には85.7%(132/154例)が、一年後には88.1%(104/118例)の患者のNYHA機能分類が1段階以上改善していた。
(2) NYHAクラスの変化に伴い患者のQOLも有意に改善していた。
(3) 平均圧較差については術後の日数の経過に伴い徐々に低下する傾向が認められているが有意の変化ではなく、安定した血流が確保されていることを示唆していた。
(4) 有効弁口面積は安定しており、十分な血流が確保されていることを示唆していた。
(5) 術後の血液逆流に関する検討では、大動脈弁で検討可能であった累積患者数(763例)の97.0%に相当する患者で逆流が認められないか、軽微なものであった。僧帽弁で検討可能であった累積患者数(617例)の57.7%に相当する患者で逆流が認められないか、軽微なものであった。


3. 有効性に関する考察
本品の臨床試験成績から、下記のような有効性が示唆されている。

(1) 本品の植込みに至った直接的な誘因は、血流の逆流あるいは狭窄であったが、本品の植込みにより血流を確保するに足るだけの安定した弁口面積が確保されていること。
(2) 機械弁に生じがちな逆流がほとんどの症例で発生していないか、軽微であること。
(3) 機械弁の植込みによる溶血性がほとんど認められていないこと。
(4) NYHA機能分類からみた患者の症状の改善が70%の患者に認められていること。
(5) 患者のQOLが有意に改善していること。


4. 安全性評価

(1) 機械弁の植込みによって生じる溶血性に関する検討結果では、その指標である血清LDHとハプトグロブリンの値は、いずれも健常参考値の範囲内であった。
(2) 手術中の有害事象は大動脈弁では4例、僧帽弁では1例が報告されている。それぞれの発生率は1.3%、0.4%であった。
(3) 術後急性期における本品由来の死亡例(突然死)は大動脈弁で1例、僧帽弁では2例であった。
(4) 術後急性期の本品に関連する有害事象の発生例は大動脈弁では12例(4%)、僧帽弁では8例(3.5%)であった。主たる理由は大動脈弁では弁周辺の漏れ、僧帽弁では出血であった。本品に由来しない有害事象の発生は大動脈弁では60例(19.8%)、僧帽弁では73例(31.9%)であった。
(5) 術後安定期における本品に関連する有害事象は大動脈弁では23例(7.6%)(突然死1例を含む)であり、僧帽弁では18例(7.9%)(突然死1例を含む)であった。いずれも出血過多や弁周辺の漏れが理由となっている。本品に由来しない有害事象の発生は大動脈弁で46例(15.2%)、僧帽弁では42例(18.3%)であった。
(6) FDAのガイドラインによる客観的指標(OPC)から判定した結果では本品は安全であると評価された。


5. 安全性に関する考察
現時点で広く使用されている機械弁の安全性を示す指標を用いて判定した結果では、本品の安全性はFDAの基準を満たしていた。

保管方法及び有効期間等

使用期間

製品ラベルに記載

製造販売業者及び製造業者の氏名又は名称等

氏名又は名称(製造販売業の種別)

泉工医科工業株式会社

第一種医療機器製造販売業

住所等

電話番号

03-3812-3254

〒100-0013 東京都千代田区霞が関3-3-2 新霞が関ビル

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