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Aurora EV ICD MRIデバイス


作成又は改訂年月
承認・届出等
販売名Aurora EV ICD MRIデバイス
括弧内名称の添え書き
添付文書管理コード
承認番号
承認・認証年月等
一般的名称
警告
禁忌・禁止
形状・構造及び原理等
使用目的又は効果
使用方法等
使用方法等に関連する使用上の注意
使用上の注意
重要な基本的注意
相互作用(他の医薬品・医療機器等との併用に関すること。)
併用禁忌(併用しないこと。)
併用注意(併用に注意すること。)
不具合・有害事象
その他の注意
臨床成績
保管方法及び有効期間等
有効期間
使用期間(予想寿命)
承認条件
主要文献及び文献請求先
主要文献
文献請求先
製造販売業者及び製造業者の氏名又は名称等
氏名又は名称(製造販売業の種別)
住所等
電話番号

Aurora EV ICD MRIデバイス

再使用禁止
取扱説明書を必ずご参照下さい。

作成又は改訂年月

2024年11月作成(第1版)

承認・届出等

販売名

Aurora EV ICD MRIデバイス

括弧内名称の添え書き
条件付MRI対応

添付文書管理コード

30600BZX00218000_A_01

承認番号

30600BZX00218000

承認・認証年月等

令和6年10月

一般的名称

一般的名称
35852000
自動植込み型除細動器

警告

1. 併用医療機器

(1)
本品を植え込んだ患者に【使用上の注意】、「相互作用」 併用注意の項に記載されている医療機器を使用した場合は、使用後に本品の機能が正常であるかを確認すること[電磁干渉等による機能不全が生じている可能性がある。]。

(2)
本品の植込み時に閾値測定等リードを介して使用するテスト装置はCF形のものを使用すること。また、患者周辺のAC電源から電気を供給している機器は、必ず正しくアースを接続すること[外部装置からの漏れ電流によって、不整脈が生じることがある。]。


2. 使用方法

(1)
患者ごとに適切な間隔でフォローアップを行い、ペーシング閾値、センシング閾値、リードインピーダンス等を測定すること。また、フォローアップの結果によっては、頻拍検出パラメータの再評価を行うこと[閾値の上昇、リード固定位置移動、リード損傷等によるペーシング不全又はセンシング不全、不適切な治療の施行、不整脈の検出不全などが発生することがある。]。

(2)
本品の植込み術中又は摘出術中は、ショック治療をオフに設定すること[本品又は除細動電極に触れているときに除細動ショックが出力されると強力な電気ショックを受けることがある。]。

(3)
体外式除細動器を準備し、心肺蘇生術を遅滞なく実施できる準備が整っていない限り本品の試験、植込み又は植込み後の試験を行ってはならない。

(4)
本品は、心臓外科手術の行える施設であって、植込み型除細動器の植込み・交換術及び電気生理学的検査等に十分な経験を持ち、トレーニング等により本品の適応、原理、仕様、使用方法等について十分理解した医師が取り扱うこと。本品の植込みは、植込型除細動器移植術の施設基準を満たす施設にて行うこと。[施設基準を満たさない施設では安全性が担保されない。]


3. MRI検査について

(1)
MRI検査の実施にあたっては、【使用方法等】「2.MRI検査に関する手順」の「MRIを実施するための条件」すべてを満たす場合にのみとすること(1.5T又は3T円筒ボア型以外のMRI(1.0T、オープン型等)は本品に対して使用できない)[本体の故障となることがある。]。

(2)
MRI検査は、関係学会の定める施設基準を満たす施設でのみ、実施者基準を満たした者が行うこと[適切なMRI検査が行われない可能性がある。]。

(3)
MRIを実施するための条件について、患者への教育を徹底すること。

禁忌・禁止

1. 適用対象(患者)

(1)
次の症状及び心疾患をもつ患者に対して適用しないこと[適切な治療が行われない場合がある。]。

1)
インセサント型のVT又はVF

2)
原疾患がVT又はVFを伴わない慢性心房性頻拍性不整脈

3)
症候性徐脈

4)
急性心筋梗塞、薬物中毒、溺水、感電、電解質異常、低酸素症、敗血症などによる一過性又は回復可能な心室性頻拍性不整脈


2. 併用医療機器(【使用上の注意】 相互作用 併用禁忌の項参照)

(1)
MRI撮像可能条件を満たさない場合のMRI検査[本品が故障したり、適切な治療が行われない場合がある。]。

(2)
低周波治療器(経皮的電気刺激装置:TENS)[オーバーセンシングや適切な治療が行われない場合がある。]。

(3)
マイクロ波治療器(ジアテルミー)[発生する熱によって故障するなどの場合がある。]。

(4)
単極ペーシングを行う植込み型パルスジェネレータ[単極ペーシングパルスは本品の作動に影響し、不適切な治療を誘発することがある。]。

(5)
デュアルチャンバ又はトリプルチャンバペーシングを行う植込み機器[適切な治療が行われない場合がある。]。

(6)
抗頻拍性不整脈治療を行う植込み機器[適切な治療が行われない場合がある。]。

(7)
高周波治療器(短波ジアテルミー)[発生する熱により、重篤な外傷又はリードの恒久的な損傷が生じるおそれがある。]

(8)
鍼電極低周波治療器(電気利用の鍼治療)[オーバーセンシングによりペーシングが抑制される可能性がある。]。

(9)
超音波治療器(超音波ジアテルミー)[超音波による機械的振動(音波を集中させること)によって本体が故障(物理的損傷)する場合がある。]。


3. 使用方法

(1)
再使用禁止。

(2)
再滅菌禁止。

(3)
本品の植込み又はフォローアップ時に専用のプログラマ以外を使用しないこと[電磁干渉などによって、本品の動作異常等が生じることがある。]。

形状・構造及び原理等

1. 形状・構造

(1) 本体
モデル番号:DVEA3E4




高さ 64.2mm 
幅 50.5mm 
ケース厚さ 13.4mm 
質量 76.6g 
原材料 チタン、
ポリウレタン、
シリコーンゴム 
X線識別コード REX 


(2) 付属品

1) トルクレンチ



原材料 ポリエーテルイミド、
ステンレス鋼 


2. 原理等
本品は、心室イベントをVF、FVT又はVTとして検出し、治療前の各確認を行った上で、その検出内容に応じて設定された治療を自動的に行う。

使用目的又は効果

本品は、心室性頻拍の治療を目的として、体内に植え込み、センシング、カーディオバージョン、抗頻拍ペーシング治療及び除細動を行う血管外植込み型除細動器である。ただし、症候性徐脈患者への治療を除く。
なお、本品は撮像可能条件に適合する場合にのみ限定的にMRI検査を行うことが可能となる機器である。

使用方法等

1. 一般的な植込み手順

(1)
本体、リード、プログラマ、ペーシングシステムアナライザ等を用意する。

(2)
リードを植え込む。

(3)
ペーシングシステムアナライザを用いてR波振幅*を測定する。
* 測定値は「Epsila EV MRIリード」の添付文書の【使用方法等】欄を参照。

(4)
本体にリードを接続する。

1)
付属品のトルクレンチを用いて、コネクタポートの開口部からセットスクリューの先端が見えなくなるまで、セットスクリューを緩める。


セットスクリューの確認


2)
リードのコネクタピンの位置を見ながら、先端がセットスクリューの位置を越えるまで挿入する。



リードのコネクタモジュールへの挿入


3)
トルクレンチが空回りするまで、セットスクリューを締める。

4)
リードを軽く引っ張って、本体にしっかりと固定されていることを確認する。


(5)
本体及びリードの留置及び固定

1)
リード本体のねじれを防ぐため、本体を回転させて余分な長さのリードをゆるく巻きつける。

2)
本体及びリードを左中腋窩領域に作成したポケットに挿入する。

3)
植込み後の回転と移動を最小限に抑えるため、非吸収性縫合糸を用いて本体をポケット内に固定する。デバイスのスーチャーホールに糸を通して固定する。



スーチャーホールの位置


(6)
インピーダンステスト、センシングテスト*及びペーシング閾値テストを実施する。
* 測定値は「Epsila EV MRIリード」の添付文書の【使用方法等】欄を参照。

(7)
頻拍性不整脈の検出パラメータ及び必要な治療パラメータをOnに設定し、センシング、ぺーシング、検出及び治療のパラメータが適切に設定されていることを確認する。VF誘発試験を実施し、30J以下の供給エネルギーで心室細動の停止に成功した場合、植込みが可能となる。

(8)
デバイスのパラメータを設定し、ポケットを閉じる。


2. MRI検査に関する手順

(1) 事前確認
以下に示すいずれかの方法によって、患者にMRI対応製品が植え込まれていることを確認する。

1)
患者手帳により、本体及びリードがメドトロニック社製のMRI対応製品であることを確認する。

2)
プログラマを用いて患者の本体及びリードがメドトロニック社製のMRI対応製品であることを確認する。


(2) 患者のケア

1)
患者の蘇生が必要になった場合に備え、体外式除細動器を直ちに使用できるよう準備する。

2)
患者の血行動態を監視するモニタを患者に取りつける。


(3) MRI検査の実施

1)
リードベクトルのインピーダンスが以下に示す許容範囲内であることを確認する。

・Ring 1 to Ring 2:100〜1500Ω

・Ring 1 to Coil 2:100〜1500Ω

・Coil 2 to Coil 1:30〜250Ω

・Coil 2 to Can:30〜250Ω


2)
MRIシュアスキャンをOnに設定する。

3)
警告事項に注意して、MRIのスキャンを実施する。


(4) MRI検査後

1)
MRIシュアスキャンをOffに設定する。

2)
必要に応じて、デバイスチェックを行う。


なお、「MRIを実施するための条件」は以下のとおりである。

<本体及びリードに関する項目>

(1)
完全なMRI対応システムを有している患者にのみMRIを実施すること(完全なMRI対応システムとは、本体及びEpsila EV MRIリードをいう。)。

(2)
リードの損傷の疑いがある場合、又は以前使用していたリードが患者に遺残している場合にはMRIを実施しないこと。

(3)
リードエクステンション又はリードアダプタとの併用時はMRIを実施しないこと。

(4)
リードの固定が不安的な時期(植え込み後6週間以内)はMRIの実施を推奨しない。

(5)
複数の植込み機器を有している場合、すべての植込み機器がMRI対応であり、各植込み機器のMRIを実施する条件をすべて満たしている場合にのみMRIを実施すること。


<MRI装置及び撮像に関する項目>

(1)
以下に示す条件に適合するMRI機器を使用すること。

・円筒ボア型磁石、臨床用のMRIシステムであること。

・1.5T又は3Tの静磁場を有するMRI機器であること。

・最大空間勾配は20T/m(2000ガウス/cm)以下であること。

・1軸あたりの最大勾配スルーレートが200T/m/s以下であること。

・水素ラーモア周波数は42.58Mhz/Tであること。


(2)
以下に示すRF磁場に関する条件に適合するMRI機器を使用すること。

・1.5T MRIの全身SARが2.0W/kg以下、及び頭部SARが3.2W/kg以下であること。

3T MRIの全身SARが4.0W/kg以下、及び頭部SARが3.2W/kg以下であること。さらに、全身スキャン[アイソセンター(MRIボアの中心)がC7(第七頚椎)より下側にあるとき]を行う場合は、3T MRIのB1+RMSが2.0μT以下であること。

3T MRIを用いて全身スキャン[アイソセンター(MRIボアの中心)がC7(第七頚椎)より下側にあるとき]を行う場合は、B1+RMSを表示する3T MRIを使用すること。


(3)
以下に示すいずれかのモニタ監視システムを用いて患者の血行動態を継続的にモニタリングしてMRIを実施すること。

・心電図

・パルスオキシメータ

・プレチスモグラフィー


3. 組み合わせて使用する医療機器

(1)
使用可能な医療機器(プログラマ及びモニタは例示)

併用機器 販売名 承認(認証)番号 
植込み型除細動器用リード Epsila EV MRIリード 30600BZX00219000 
プログラマ ケアリンク 2090W 21900BZX00423000 
モニタ メドトロニック マイケアリンク
ペイシェントモニタ 
225ACBZX00078000 
メドトロニック ケアリンク エクスプレスモバイルアプリケーション* 228ADBZX00094000 

(製造販売業者はすべて日本メドトロニック株式会社)



*併用に際しては下表に示すテレメトリヘッド(植込み能動型機器用プログラマ)を使用する。

販売名 承認番号 製造販売業者 
メドトロニック 24967
ペイシェントコネクタ注) 
30100BZX00034000 日本メドトロニック
株式会社 

注)現時点で、販売名『メドトロニック 24967 ペイシェントコネクタ』は、販売名『メドトロニック ケアリンク エクスプレスモバイルアプリケーション』の対応OSがiOSの製品とのみ併用可能である。


使用方法等に関連する使用上の注意

1. 取扱い及び植込みの準備

(1)
植込みに際し、心電図モニタ、X線透視装置、除細動器及び体外式ペースメーカがすべてそろっており、かつ、使用可能な状態であることを確認すること。

(2)
本品を室温と同温にしておくこと[著しい温度変化は本品の最初の動作に影響することがある。]。

(3)
インテロゲーションの際に本品の異常(電池ステータスの異常、電気的リセットなど)がプログラマに表示された場合は、本品を植え込まずに製造販売業者又は販売業者に連絡すること。

(4)
植込み前に検出機能(出荷時はOff)を「On」にしないこと。検出機能を「On」にすると、本品は診断用情報の記録を開始し一部の診断用情報は消去できない。植込み前に記録された診断情報がある場合は本品を植え込まずに製造販売業者又は販売業者に連絡すること。

(5)
本品を液体に浸漬したり、植込み中にコネクタポートをフラッシュしたりしないこと[本品及びリードシステムの性能に悪影響を及ぼすことがある。]。


2. リード植込み及び測定評価

(1)
植込み時にPSAを用い、ペーシング及びセンシング閾値を測定すること。

(2)
高電圧(HV)リードインピーダンスが30〜250Ωの範囲内であることを確認すること[この範囲外である場合は本品の損傷又は高電圧治療が送出されない可能性がある。]。

(3)
リードを挟まないこと[リードの伝導及び絶縁を損なう可能性がある。]。

(4)
リードがねじれないようにすること[余分なストレスがリードにかかりリードを破損することがある。]。


3. リードと本体との接続

(1)
リードのコネクタ部が本品のコネクタポートにしっかり挿入されたことを確認してからセットスクリューを締めること。

(2)
リードを本体に挿入する前に、コネクタポートの開口部からセットスクリューの先端が見えなくなるまで付属品のトルクレンチを用いて、セットスクリューを緩めること。この際、緩めすぎないこと[緩めすぎると、セットスクリューがコネクタブロックから外れたり、セットスクリューでグロメットを損傷したりする場合がある。]。

(3)
付属のトルクレンチで時計方向に回し、カチカチという音が数回鳴るまで、セットスクリューを締めること[セットスクリュー及びセットスクリュー溝(ソケット)の破損を防ぐため。]。

(4)
リードが確実に接続されていることを確かめること。リードは、本品のコネクタ近傍の位置を保持し、リードに損傷を与えないようゆっくりと注意深く引っ張り、リードが確実に固定されていることを確認する[確実に接続されていないとセンシングが不適切となり、適切な治療が行われないことがある。また、強く引っ張るとリードが損傷することがある。]。

(5)
本品にリードが接続されているときは、電導体をすべての電極から完全に離すこと[高電圧治療中に本体ケース(Active Can)又はリード電極が電導体に接触していると、電流が心臓を迂回し本品及びリードが損傷を受けることがある。]。

(6)
リードの具体的な使用方法及び注意事項についてはリードの取扱説明書を参照すること。


4. 植込み

(1)
患者に異常がないことを絶えずモニタし、異常が発見された場合には患者が安全な状態で、本品の使用を停止するなど適切な処置を講じること。

(2)
余分なリードは、ねじらないよう本品を回転させながら緩く巻くこと(下図)。リードを折り曲げないこと。




(3)
ポケットを縫合する前に、本品が設定どおりに動作しているか確認すること。確認は本品がポケット内に収納された状態で行うこと[ポケットの外にあると、わずかなEMIノイズを心内電位として検出し、オーバーセンシングすることがある。]。

(4)
本品はポケット内の筋組織に適切に固定すること。

(5)
不適切な検出又は治療を避けるため、ポケットの閉創中は頻脈性不整脈検出機能を「Off」にしておくこと。


5. 植込み後の試験

(1)
症状の変化、使用する薬物その他の要因による除細動閾値(DFT)の変動によって、術後に不整脈の対処が不能になる可能性がある。術後の試験で心室細動又は心室頻拍の停止に成功したからといって、将来的にも同様な成果が得られるとは限らない。


6. プログラミング

(1)
パラメータ設定の組合せによって、選択できないパラメータが存在することがある。

(2)
シングルチャンバ双極ペースメーカと本品とを併用する場合は、ペースメーカが患者の心拍を正しくセンシング及びペーシングしていることを確認すること。また、ICD本体との相互作用を確認すること[ICD本体の正常な動作を妨げる可能性がある。本干渉により頻拍性不整脈の検出と治療が不適切になったり、VFのアンダーセンシングにつながる可能性がある。]。

(3)
ペーシング振幅、ペーシングパルス幅及び感度は、適切なセーフティマージンを設けて設定すること[リードが安定すると、センシング閾値の低下、ペーシング閾値の上昇、アンダーセンシング又はキャプチャ不全が起こる可能性がある。]。

(4)
パラメータが患者の十分なセーフティマージンを示していることを最初に確認することなく、出荷時のペーシング振幅及びセンシング設定を使用しないこと。

(5)
本品のペーシング捕捉には限界があることを考慮して、ペーシング(心休止防止ペーシング、ショック後ペーシング)及び抗頻拍ペーシング治療を使用すること。

(6)
心休止防止ペーシング及びショック後ペーシングは、心停止の検出性能の限界を考慮して使用すること。


7. その他の注意

(1)
リードを摘出できず、体内に留置せざるを得ない場合には、先端にキャップをかぶせてそのリードと心臓との間に伝導路が形成されないよう処置すること。

(2)
除細動効果を確かめる試験を行なう場合、ガイドワイヤなどの伝導体をすべての電極から遠ざけること[ガイドワイヤなどの金属物は、本品やリードに短絡が生じ損傷する可能性がある。]。

使用上の注意

重要な基本的注意

1. 植込みの適応
本品の植込み適応は、『不整脈非薬物治療ガイドライン』§1又はこれと同等以上のガイドライン等を参照のこと。

2. プログラマのワイヤレステレメトリ機能を用いて本品の設定等を行う場合は、設定等を開始する前にプログラマ上の表示と患者が植え込んでいる機器が一致していることを確認すること。セッション中は患者を視認すること[適切でない患者を選択してセッションを続けると、患者の機器に誤った設定をプログラムする可能性がある。]。
3. 家電製品・周辺環境等に関する注意
次のような家電製品、電気機器等の使用又はこれらへの接近、周辺環境によって電磁干渉等が生じることがある。エネルギーが高いと、本体が破損したり、電極が接触する組織を焼灼したりして、本品の機能が影響を受けることがある。これらが原因と思われる異常が認められたときは、これらから離れるか、使用を中止するよう患者に指導すること。

(1)
漏電している電気機器(通常使用して問題のない電気機器も含む。)には絶対に触れないよう指導すること。

(2)
身体に通電したり、強い電磁波を発生する機器[肩コリ治療器等の低周波治療器、電気風呂、医療用電気治療器等、高周波治療器(短波及びマイクロ波ジアテルミー)、筋力増強用の電気機器(EMS)、体脂肪計等]は使用しないよう指導すること。

(3)
空港等で使用されている金属探知器(設置型・携帯型)に関する注意:ICD手帳等を係官に提示し、金属探知器を用いない方法で検査を受けるよう指導すること。

(4)
小型無線機[アマチュア無線機(ハンディタイプ、ポータブルタイプ及びモービルタイプ)、パーソナル無線機及びトランシーバ(特定小電力無線局のものを除く。)等]から15cm以上離すこと。

(5)
店舗、図書館等公共施設の出入口等に設置されている電子商品監視機器(EAS)に関する注意:EASは分からないように設置されていることがあるため、出入口では立ち止まらないで中央付近を速やかに通り過ぎるよう指導すること§2

(6)
物流・在庫管理や商品等の精算、盗難防止等の目的で使用されるRFID(電子タグ)機器に関しての注意:以下の事項を守るよう患者に指導すること§3

1)
ゲート型RFID機器:ゲート付近では立ち止まらないで中央付近を速やかに通り過ぎること。ゲート周囲に留まったり、寄り掛かったりしないこと。
※ここでは公共施設、商業区域などの一般環境下で使用されるRFID機器を対象としており、工場内など一般人が入ることができない管理区域でのみ使用されるRFID機器(管理区域専用RFID機器)については対象外としている。

2)
据置き型のRFID機器(高出力950MHz帯パッシブタグシステムに限る。):RFID機器が設置されている場所の半径1m以内に近づかないこと。

3)
ハンディ型、据置き型(高出力950MHz帯パッシブタグシステムを除く。)及びモジュール型のRFID機器:植込み部位をRFID機器のアンテナ部より22cm以内に近づけないこと。


(7)
誘導型溶鉱炉、各種溶接機、発電施設、レーダー基地、強い電磁波を発生する機器などには絶対に近づかないよう指導すること。

(8)
IH炊飯器、IH調理器等の電磁気家電製品は強力な電磁場を作り出すため、患者は使用中の電磁気家電製品の近くにいる時間を短くするよう指導すること。特にIH炊飯器は使用開始から「保温中」も含めて終了まで、使用中は常に強力な電磁波を放出するため、植え込まれた機器をそのような炊飯器に近づけないよう指導すること§4

(9)
携帯電話端末等(スマートフォン等の無線LANを内蔵した携帯電話端末を含む。)を使用する場合は以下の事項を守るよう指導すること§5

1)
携帯電話端末等を本品から15cm以上離すこと。

2)
携帯電話端末等を携帯する場合、常に15cm以上本品から離して携帯するか電波を発射しない状態に切り替えること[電源をオフにする、又は電波をオフ(電波オフが可能な携帯電話端末等の場合。)にする。]。


(10)
キーを差し込む操作なしでドアロックの開閉又はエンジン始動・停止ができるシステムを搭載している自動車等の場合、当該システムのアンテナ部から発信される電波が、植込み型心臓ペースメーカ等の出力を一時的に抑制する場合があるので、以下の点に注意するよう患者に指導すること§6

1)
本品を植え込まれた患者が当該システムを搭載した車両へ乗車する場合は、車両に搭載されたアンテナ部から植込み部位を22cm以上離すこと。なお、ドアの開閉時には、アンテナ部から電波が一時的に発信されるので、必要以上にドアの開閉を行わないようにすること。

2)
運転手等が持つ車載アンテナとの通信機器(以下「携帯機」という。)を車外に持ち出すなど車両と携帯機とが離れた場合、アンテナ部から定期的に電波が発信される車種があるので、本品を植え込まれた患者が乗車中は、携帯機を車外へ持ち出さないようにすること。

3)
駐車中においてもアンテナ部から定期的に電波が発信される車種があるので、車外にいても車に寄り掛かったり、車内をのぞき込んだり、車に密着したりするような動作は避けること。

4)
他の者が所有する自動車に乗車する場合は、当該システムを搭載した車種か確認すること。


(11)
非接触ICカード(各種交通機関の出改札システム又はオフィスなどの入退出管理システムで使用される)システムの読み取り機(アンテナ部)から植込み部位を12cm以上離すよう指導すること§7

(12)
全自動麻雀卓等での遊戯は避けるよう指導すること。

(13)
磁石又は磁石を使用したもの(マグネットクリップ、マグネット式キー等)を植込み部位に近づけないよう指導すること。

(14)
磁気治療器(貼付用磁気治療器、磁気ネックレス、磁気マット、磁気枕等)を使用する場合、植込み部位の上に貼るもしくは近づけることは避けるように指導すること。

(15)
エンジンのかかっている自動車のボンネットを開けて、エンジン部分に近づかないよう指導すること。

(16)
農機(草刈り機、耕運機等)、可搬型発電機、オートバイ、スノーモービル、モーターボート等を操作・運転する場合、露出したエンジン付近には近づかないよう指導すること。
また、電動工具等は使用中に近づかないよう指導すること。

(17)
電気自動車(プラグインハイブリッド車を含む。)の充電器が、本品のペーシング出力に一時的な影響を与える場合があるので、以下の点に注意するよう患者に指導すること§8

1)
電気自動車の急速充電器は使用しないこと。

2)
急速充電器を設置している場所には、可能な限り近づかないこと。なお、不用意に近づいた場合には、立ち止まらず速やかに離れること。

3)
電気自動車の普通充電器を使用する場合、充電中は充電スタンド及び充電ケーブルに密着するような姿勢はとらないこと。


4. 磁気等を発生する医用電気機器・周辺環境等に関する注意
医用電気機器治療又は診断に使用する医療機器の影響は、装置のタイプ又は使用するエネルギーレベルによって異なるので、これらの機器を使用している間は本品が正しく機能しているかモニタし、使用後は本品をチェックすること。「相互作用」の項に記載の医療機器が干渉源になる可能性がある。

(1)
施設等の周辺環境によって電磁干渉等が生じ、ペーシングが抑制されて危険を伴うことがある。さらにエネルギーが高いと、本体が破損したり、電極が接触する心筋組織を焼灼する場合もある。また、プログラマを使用している際にノイズ等が見られ、プログラマが正常に機能しないことがある。周辺に存在する医用電気機器等が原因と思われる異常が認められたときは、これらから離れるか、医用電気機器等の使用を中止すること。

(2)
本品を植え込んだ患者のX線CT検査に際し、本体にX線束が連続的に照射されるとオーバーセンシングが起こり、適切な治療の一時的な抑制又は不適切な頻拍治療を行う可能性があるので、本体にX線束を照射しないよう十分に注意すること(「相互作用」を参照)§9

(3)
本体の植込み部位にパルス状の連続したX線束が照射されるとオーバーセンシングが起こり、本品が適切な治療の一時的な抑制又は不適切な頻拍治療を行う可能性があるので、本体の植込み部位にX線束を照射しないよう十分に注意すること(「相互作用」を参照)§10


5. MRI検査に関する注意

(1)
MRI検査を行う際は、直前にMRIシュアスキャンモードを「On」に設定すること[患者への健康被害、本体やリードの損傷が生じる可能性がある。]。

(2)
MRI検査終了後、速やかにMRIシュアスキャンモードを「Off」に設定すること[MRI SureScanモードが「On」に設定中は、不整脈の検出及び治療が停止されるため、自発性頻拍性不整脈が治療されず患者への健康被害が生じる可能性がある。]。

(3)
MRIの撮影位置は、本品及びMRI対応リードにおけるアーチファクトの影響を考慮し設定すること[MRI画像がアーチファクトの影響によって診断に適さない可能性がある。]。

(4)
MRIスキャン中に患者の血行動態機能が低下した場合は、スキャンを中止して患者をMRI検査室の外に移動させ、患者の血行動態機能を回復させるために適切な措置をとること。


6. その他患者への指導事項

(1)
本品を植え込んだ患者に次の注意を促すこと。

1)
本品及びリードに損傷を与えたり、植込み位置が移動してしまう可能性があるため、植込み部位を圧迫したり、叩いたり、むやみにいじったりしないこと。

2)
患者向け小冊子を熟読すること。

3)
自動車運転及び免許取得に関して、道路交通法に基づき患者に十分に指導すること。

4)
日常生活においても強い電磁波等によってリセットが発生することがある。強力な電磁場を避けるよう患者に指導すること。リセット発生時にはアラート音が鳴るため、アラート音が鳴った場合は受診するよう患者に指導すること。

5)
患者の名前又は住所に変更があった場合、治療を受けている医師に連絡するよう指導すること[本品に関する問題が迅速に取り扱われるようにするため。]。


7. フォローアップ(詳細は取扱説明書参照)

(1)
感度を0.3mV未満に変更する前に、EMI感受性及びオーバーセンシングが増加する可能性について慎重に評価すること。

(2)
本品を植え込んだ後は少なくとも3〜4か月ごとに、プログラマを用いた対面又は遠隔モニタリングにおいてフォローアップを実施し、電池の消耗、作動状況、患者診断情報等を確認すること。対面のフォローアップの間隔は、前述の確認項目に加え、病態、患者の自覚症状等を考慮し設定すること。また、植込み後の定期的なフォローアップでは、リード測定及びトレンドデータを用いて、本品及びEpsila EV MRIリードの植込み位置及び向きを評価し、異常が認められた場合は、必要に応じて画像撮像を用いてリードの位置を確認すること。

(3)
本品に使用されている電池の一般的な特性として、予想寿命に近い場合、電池電圧が急激に低下したり、電池内部抵抗値が急激に上昇する場合等があるので、フォローアップ時に注意すること。予想寿命に近い場合、対面フォローアップ期間の短縮などを検討し、注意すること。

(4)
推奨交換時期(RRT):電池電圧が3日連続して2.73V未満になったとき。

(5)
RRT到達後の動作:本品を直ちに交換すること。プログラマにRRTメッセージが表示された場合、標準的な使用条件下では電池寿命終了(EOS)まで3か月と規定されている。しかし、標準的な使用条件よりも電池消耗を伴う使用条件下においては3か月よりも前にEOSが表示されることがある。

(6)
プログラマに表示される予想寿命は目安であるので、定期的なフォローアップを欠かさないこと。交換時期は、予想残存寿命ではなくRRTに基づき判断すること。

(7)
プログラマに「Charge Circuit Timeout」又は「Charge Circuit Inactive」というメッセージが表示された場合は、速やかに本品を交換すること。

(8)
7日間以内に高電圧充電が行われていると、表示される電池電圧が一時的に低下する場合がある。異常が疑われる場合には製造販売業者又は販売業者へ連絡すること。

(9)
マグネットモード:本品上にマグネットを置くと頻脈性不整脈検出機能及び治療機能は一時的に停止する。ただし、本品の上にプログラミングヘッドを置き、非ワイヤレステレメトリセッションを確立した場合は、頻脈性不整脈の検出は停止されない。

(10)
患者自身が点検すること:患者向け小冊子を参照すること。

(11)
併用する薬剤の追加投与又は投与量の変化に伴い、患者の心機能状態に影響を及ぼす可能性があるため、頻拍検出条件の再評価を行い、除細動試験を実施するなど、除細動効果が得られることを確認すること(「相互作用」を参照)§11

相互作用(他の医薬品・医療機器等との併用に関すること。)

併用禁忌(併用しないこと。)

医療機器の
名称等 
臨床症状・
措置方法 
機序・危険因子 
磁気共鳴画像診断装置(MRI)
(MRI撮像可能条件を満たさない場合) 
本体交換 強い磁場の影響によって本体が故障する可能性がある。 
プログラマによる再設定 電磁干渉によって、不適切な治療の施行、不整脈の検出不全などが生じる可能性がある。 
低周波治療器(経皮的電気刺激装置:TENS) 治療器の使用中止 不適切な治療の施行、不整脈の検出不全などが生じる可能性がある。 
マイクロ波治療器(ジアテルミー) 本体交換 発生する熱によって故障する可能性がある。 
治療器の使用中止 不適切な治療の施行、不整脈の検出不全などが生じる可能性がある。 
治療器の使用中止 リードが植え込まれている場合は、そのリードが使用されているか否かにかかわらず、短波及びマイクロ波によって、電極周囲が熱せられて組織を損傷させる可能性がある。 
単極ペーシングを行う植込み型心臓パルスジェネレータ 併用不可 単極ペーシングパルスによって、不適切なショック又は治療を誘発する可能性がある。 
デュアルチャンバ又はトリプルチャンバペーシングを行なう植込み機器 併用不可 適切な治療が行われない可能性がある。 
抗頻拍性不整脈治療を行なう植込み機器 併用不可 適切な治療が行われない可能性がある。 
鍼電極低周波治療器(電気利用の鍼治療) 治療器の使用中止 オーバーセンシングによって、不適切な治療の施行、不整脈の検出不全などが生じる可能性がある。 
高周波治療器(短波ジアテルミー) 治療器の使用中止 電極に電流が流れ、細動を誘発したり組織に損傷を与える可能性がある。 
超音波治療器(超音波ジアテルミー) 治療器の使用中止 発生する熱によって故障する可能性がある。 

併用注意(併用に注意すること。)

医療機器の
名称等 
臨床症状・
措置方法 
機序・危険因子 
一般的電気手術器(電気メス)※1 治療器の使用中止、体外式除細動 心室細動が誘発される可能性がある。 
治療器の使用中止/頻拍検出機能オフ 不適切な治療の施行、不整脈の検出不全などが生じる可能性がある。 
プログラマによる再設定 ある状況下では、本体が電気的にリセットされたり、RRTが表示されたりする可能性がある。 
末梢脈を絶えず触診したり、末梢動脈圧、心内圧をモニターして心臓の動きを把握する。 ECGモニタ装置が干渉される。 
体外式衝撃波結石破砕装置※2 本体交換 ビームの焦点にあると、本品は破壊される可能性がある。 
治療器の使用中止、体外式除細動 電磁干渉によって、不適切な治療の施行、不整脈の検出不全などが生じる可能性がある。 
放射線照射治療装置※3 ・本体が直接被曝しないようにする。
・体外式除細動器の準備をする。 
高線量の電離放射線(癌治療の目的で行われるコバルト照射又は直線加速器により生ずる)は、本体内部のCMOS回路に影響する可能性がある。また、不適切な治療の施行が生じる可能性がある。 
体外式除細動装置※4 本体交換 本体保護回路の故障が生じる危険がある。 
本体交換 体外式除細動器の放電によって、永久的なペーシング閾値の上昇を招く可能性がある。 
リード交換 電極遠位端の焼灼が生じる可能性がある。 
プログラマによる再設定 本体が電気的にリセットされたり、RRTが表示されたりする可能性がある。 
プログラマによる再設定又は体外式ペースメーカの使用 体外式除細動器の放電によって、一時的なペーシング閾値の上昇を招く可能性がある。 
X線CT装置及びX線CT装置を組み合わせた医療機器※5、§9 プログラマによる再設定、体外式除細動器の使用 X線束が連続的に照射されるCT検査に際し、本体内部のCMOS回路に影響を与えることなどによって、オーバーセンシングが起こり、不適切な頻拍治療を行ったりすることがある。 
X線診断装置・X線透視診断装置・X線発生装置等※6、§10 プログラマによる再設定、体外式除細動器の使用 パルス状の連続したX線束が照射された場合、本体内部のCMOS回路に影響を与えることなどによって、オーバーセンシングが起こり、不適切な頻拍治療を行ったりすることがある。 
高周波アブレーション※7 本体交換 一時的又は永久的に機能が停止する可能性がある。 
プログラマによる再設定 電気的リセットが起きたり、RRTが誤表示されたりする可能性がある。 
治療器の使用中止 心室性頻脈性不整脈を誘発したり、意図しない組織の損傷が生じたりする。 
高圧治療器(高圧酸素療法等)※8 治療器の使用中止 機器の機能に影響し、本品を損傷させる可能性がある。 
抗不整脈薬(アミオダロン塩酸塩など)※9、§11 頻拍検出機能インターバルの再評価 抗不整脈薬の徐拍化作用によって、治療対象の不整脈のインターバルが、設定された本品の頻拍検出インターバルを上回る可能性がある。 
除細動パラメータの再評価 抗不整脈薬による心内電位波形の変化又は除細動閾値の変化によって、治療対象の不整脈に対して適切な除細動効果が得られない可能性がある。 
プログラマによる再設定 抗不整脈薬の作用によって、ペーシング閾値が変化する場合がある。 

併用注意の相互作用の低減方法
※1 電気メスとその不関電極との電流経路を本品及びリードからできる限り遠ざけること。電気メスによる影響の度合いは、電気メスの種類、止血電流及び切開電流並びに電流経路及び本品とリードの状態によって変わるが、電気メスの出力は必要最小限にとどめ、手術中、頻拍検出機能をオフにすること。
※2 結石破砕装置を使用する場合、本品を結石破砕ビームの焦点から十分離すこと。
※3 放射線照射治療の場合、放射線からの距離にかかわらず、本体を放射線が透過しない物質で遮蔽する。あるいは、直接本体に照射しないなどの対応をとること。本品の作動状態を心電図で継続的に確認し、治療後は本品の機能が正常に動作していることを確認すること。結果として生ずる損傷は、被曝後すぐに分からないことがあるので注意すること。被爆の前には頻拍検出機能をオフにすること。
※4 体外式除細動装置を使用する場合、本品や心筋の損傷の危険性を減らすため、パドルの位置は本品から十分離し、パドルとパドルを結ぶ軸が本品とリード先端を結ぶ軸に直角になるようあてること。
※5 X線束が連続的に照射されるCT検査に際しては、植込み部位にX線束を照射しないようにする。やむを得ず、植込み部位にX線束を5秒以上連続して照射する検査を実施する場合には、患者に“両腕挙上”をさせる等して本体の位置を照射部分からずらすことができないか検討すること。植込み部位にX線束を照射する場合には、検査中、頻拍検出機能をオフにしたのち、脈拍をモニタすること。あるいは、一時的体外式除細動器を準備し、使用すること。
※6 ・パルス状の連続したX線束を照射する透視・撮影(数秒以内での連続した撮影、パルス透視、DA撮影、DSA撮影、シネ撮影等)を行う場合、不適切な頻拍治療を行う可能性がある。
・パルス状の連続したX線束を照射する場合には、本体の植込み部位にX線束を照射しないようにすること。
・やむを得ず、ICD本体の植込み部位にパルス状の連続したX線束を照射する場合には、患者に”両腕挙上”をさせる等をしてICD本体の位置を照射部分からずらすことができないか検討すること。本体の植込み部位にX線束の照射を避けられない場合には、検査中、頻拍検出機能をオフにして、脈拍をモニタすること。あるいは一時的体外式除細動器を準備し、使用すること。
※7 高周波アブレーションを施行する前に、プログラマを用いてすべての検出機能を「Off」にすること。植え込んだ本品は臨床上の判断に基づき、患者に対して適切な設定に変更すること。アブレーションを行う際、アブレーションカテーテルと本品又はリードとの直接的な接触を避け、対極板は電流経路が本品システムの上又は近くにならないように留置すること。術中は患者の血行動態をモニタリングし、体外式除細動装置を使用できるようにしておくこと。
※8 高圧治療の圧力は4.0絶対気圧を超えないようにすること。
※9 ・抗不整脈薬の追加投与、増量、又は投与薬剤の変更を行った場合には、本品による治療が行なわれない可能性があるため、本品の頻拍検出インターバルの再評価を考慮すること。
・抗不整脈薬の追加投与、増量、又は投与薬剤の変更を行った場合には、本品による治療が行なわれない、又は治療効果が得られない可能性があるため、本品の除細動パラメータの再評価を考慮すること。
・抗不整脈薬の作用によって、ペーシング閾値が変化し、ペーシング効果が得られない可能性があるため、閾値に応じてペーシング設定の変更を考慮すること。


不具合・有害事象

1. 重大な不具合

(1)
出力停止を含む機能不全:本品等の電子機器では、予想不可能かつ偶発的な回路構成部品又は電池の故障によって適切な治療ができなくなることがある。

(2)
電池早期消耗:本品等の電子機器では、予想不可能かつ偶発的に回路構成部品又は電池の故障による電池早期消耗が発生し、適切な治療ができなくなることがある[電池が消耗してきている(電池早期消耗を含む。)場合には、電池電圧を測定することによってその度合いを確認することができるため、本品の植込み後はフォローアップを行うこと。]。

(3)
ショック治療の誘発又は抑制:本品等の電子機器では、予想不可能かつ偶発的な回路構成部品又は電池の故障によって、またリードとの接続不良又はリードに発生した不具合によってショック治療の誘発又は抑制が発生し、適切な治療ができなくなることがある。

(4)
ペーシング不全及びセンシング不全:本品等の電子機器では、予想不可能かつ偶発的な回路構成部品又は電池の故障によって、またリードとの接続不良又はリードに発生した不具合によってペーシング不全及びセンシング不全が発生し、適切な治療ができなくなることがある。


2. その他の不具合

(1)
テレメトリ不全:本品等の電子機器では、予想不可能かつ偶発的に回路構成部品又は電池の故障によるテレメトリ不全が発生することがある。

(2)
テレメトリ不全:医療機関内での検査の際、他の医療機器、測定機器、電源事情等による電磁干渉の影響によって交信が不能となるテレメトリ不全が発生することがある[テレメトリ不全が起きた場合には、電磁干渉の影響を受けない環境下での動作確認を実施すること。改善が見られない場合には、速やかに製造販売業者又は販売業者に連絡すること。]。


3. 重大な有害事象

(1)
死亡:出力停止又は適切な治療を行うことができず心停止状態が持続し、死亡につながることがある。

(2)
死亡:センシング不全又は持続的なノイズのセンシングによって適切な治療を行うことができず、死亡につながることがある。

(3)
アダムス・ストークス発作:出力停止又は適切な治療を行うことができず心停止状態が数秒間以上持続するために卒倒することがある。卒倒が原因となり二次的な被害が発生するおそれがある。


4. その他の有害事象
急性組織外傷、生体反応(アレルギー等)、不整脈、機器の移動、不快感、皮膚糜爛、心臓以外への刺激、血腫/漿液腫又は嚢胞の形成、血液浸出、しゃっくり、不適切な除細動ショック、感染、心室頻拍・心室細動の検出不全、心室頻拍・心室細動の停止不能、心室不整脈が発生していないときの治療出力による心室頻拍・心室細動の誘発、収縮性心膜炎、疼痛、電極部の組織ないし筋肉の熱傷及び損傷、線維化組織形成、皮膚のただれ・発赤、圧迫壊死、体液滞留、足首や手のはれ、オーバーセンシング

・MRIの実施における有害事象
リードの発熱における組織損傷、特発性の頻拍性不整脈の検出不全及び治療不全(頻拍性不整脈の検出及び治療が一時的に停止されることによる)、ポケットの組織損傷及び患者の不快感(デバイスの発熱による)、MRI誘発性筋肉刺激、不整脈の検出不全、治療不全、不適切な治療、デバイスとプログラマとの通信不良、デバイス又はリードの移動、デバイスの振動

その他の注意

1. 特定医療機器の取扱い
特定医療機器を取り扱う医師その他の医療関係者は、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第六十八条の五、第2項及び薬発第600号(平成7年6月26日)の第17、6項(2)を遵守すること。

臨床成績

血管外植込み型除細動器(EV ICD)システムの安全性と有効性を評価する、前向き、多施設共同、単群、非無作為化臨床試験を実施した。

1. 結果
被験者356名が本臨床試験に登録され、そのうち316名にEV ICDシステムの植込みが試みられた。植込みが試みられた316名のうち、315名に胸骨下リードが留置された。17か国の実施医療機関46施設で、計299名の被験者でEV ICDシステム全体の植込みに成功した。

(1) 主要安全性評価項目
植込み後6か月の時点でのEV ICDシステム若しくは手技、又はその両方に関連する主要合併症の回避率について、事前に設定したOPCである79%を上回り、両側95%信頼区間の下限値が89.0%であった。このため、安全性に関する主要評価項目が達成された。

植込みが試みられた被験者数 植込み試行後182日までにEV ICDシステム/手技に関連する主要合併症が発生した被験者数 植込み試行後182日のEV ICDシステム/手技に関連する主要合併症の回避率のKaplan-Meier推定値 両側95%信頼区間の下限値 
316 23 92.6% 89.0% 


(2) 主要有効性性評価項目
植込み時のEV ICD除細動試験の成功率について、事前に設定したOPCである88%を上回り、両側95%信頼区間の下限値が96.6%であった。このため、有効性に関する主要評価項目も達成された。

植込み時除細動試験を完了した被験者数 植込み時除細動試験に成功した被験者数 植込み時除細動試験の成功率 両側95%信頼区間の下限値 P値 
302 298 98.68% 96.64% <0.0001 

保管方法及び有効期間等

有効期間

18か月

使用期間(予想寿命)

ペーシング0%、年2回の高電圧治療、6か月間不整脈イベント前EGMをOnに設定、植込み時に3時間のワイヤレステレメトリ、年1回来院時に1時間のワイヤレステレメトリ、年4回のリモートモニタリング(1回あたり30分間)における、電池接続後5か月経過時の植込みからRRTメッセージが表示されるまでの予想電池寿命は、11.7年である。

承認条件

1.
関連学会と連携の上、実施施設基準及び実施者基準を設け、安性を確保できる施設及び本品に関する十分な知識を有する医療従事者により本品の使用及びMRI検査が行われるよう、適切な措置を講ずること。

2.
MRI検査を行うための条件について、医療従事者に対する研修及び患者に対する教育を徹底し、十分なサポート体制を構築し、安全性の確保に努めること。

主要文献及び文献請求先

主要文献

§1 日本循環器学会/日本不整脈心電学会合同ガイドライン:不整脈非薬物治療ガイドライン(2018年改訂版).

§2 厚生労働省医薬食品局.盗難防止装置等による電波の医用機器への影響.医薬品・医療用具等安全性情報 No.203,2004.

§3 厚生労働省医薬食品局.UHF帯RFID機器及び新方式携帯電話端末の心臓ペースメーカ等の植込み型医療機器へ及ぼす影響について.医薬品・医療機器等安全性情報 No.237,2007.

§4 厚生労働省医薬局.IH式電気炊飯器等による植込み型心臓ペースメーカ、植込み型除細動器及び脳・脊髄電気刺激装置(ペースメーカ等)への影響について.医薬品・医療用具等安全性情報 No.185,2003.

§5 総務省『各種電波利用機器の電波が植込み型医療機器等へ及ぼす影響を防止するための指針』平成30年7月

§6 厚生労働省医薬食品局.使用上の注意の改訂について(その175):植込み型心臓ペースメーカ及び植込み型除細動器(いわゆるスマートキーシステムとの相互作用).医薬品・医療機器等安全性情報 No.224,2006.

§7 厚生労働省医薬局.ワイヤレスカードシステム等から発射される電波による植込み型の医用機器(心臓ペースメーカ及び除細動器)への影響について.医薬品・医療用具等安全性情報 No.190,2003.

§8 厚生労働省医薬食品局.電気自動車の充電器による植込み型心臓ペースメーカ等への影響に係る使用上の注意の改訂について.医薬品・医療機器安全性情報 No.302, 2013.

§9 厚生労働省医薬食品局,X線CT装置等が植込み型心臓ペースメーカ等へ及ぼす影響について.医薬品・医療機器等安全性情報 No.221,2006.

§10 厚生労働省医薬食品局.使用上の注意の改訂について(その210):植込み型除細動器(X線診断装置等との相互作用).医薬品・医療機器等安全性情報 No.263,2009.

§11 厚生労働省医薬食品局:使用上の注意の改訂について(その191): 塩酸アミオダロン(経口剤)、塩酸アミオダロン(注射剤).医薬品・医療機器等安全性情報 No.241,2007

文献請求先

問い合わせ先
【製造販売業者及び製造業者の氏名又は名称等】を参照すること。

製造販売業者及び製造業者の氏名又は名称等

氏名又は名称(製造販売業の種別)

日本メドトロニック株式会社

第一種医療機器製造販売業

住所等

(記載なし)

電話番号

カスタマーサポートセンター 0120-998-167(文献請求先も同じ)

〒100-0013 東京都千代田区霞が関3-3-2 新霞が関ビル

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