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劇薬
処方箋医薬品注)
通常、成人にはダブラフェニブとして1回150mgを1日2回、空腹時に経口投与する。ただし、術後補助療法の場合には、トラメチニブと併用し、投与期間は12ヵ月間までとする。なお、患者の状態により適宜減量する。
トラメチニブとの併用において、通常、成人にはダブラフェニブとして1回150mgを1日2回、空腹時に経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。
トラメチニブとの併用において、通常、ダブラフェニブとして以下の用量を1日2回、空腹時に経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。
体重
26kg以上38kg未満
38kg以上43kg未満
43kg以上51kg未満
51kg以上
1回投与量
75mg
100mg
125mg
150mg
トラメチニブとの併用において、通常、小児にはダブラフェニブとして体重に合わせて次の用量を1日2回、用時、水に分散して空腹時に経口投与する。
8kg以上10kg未満
10kg以上14kg未満
14kg以上18kg未満
18kg以上22kg未満
22kg以上26kg未満
26kg以上30kg未満
20mg
30mg
40mg
50mg
60mg
70mg
30kg以上34kg未満
34kg以上38kg未満
38kg以上42kg未満
42kg以上46kg未満
46kg以上51kg未満
80mg
90mg
110mg
130mg
NCI-CTCAE注1)によるGrade判定
処置
忍容不能なGrade 2又はGrade 3
休薬Grade 1以下まで軽快後、1段階減量して投与を再開
Grade 4
原則投与中止治療継続が患者にとって望ましいと判断された場合には、Grade 1以下まで軽快後、1段階減量して投与を再開
注1)NCI-CTCAE v4.0によりGradeを判定
カプセルの場合
用量調節段階注2)
1回投与量(1日2回)
通常投与量
1段階減量
2段階減量
3段階減量
4段階減量
投与中止
注2)適切な処置により副作用が管理できた場合には、減量時と逆の段階を経て増量可
―
小児用分散錠の場合
10mg
症状が悪化するおそれがある。,
本剤の曝露量が増加する可能性がある。,
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。動物実験では、ラットにおいて母動物の体重増加量・胎児体重の低値、骨化遅延が20mg/kg/日(臨床曝露量(AUC)の約0.3倍)以上の群でみられ、黄体数・着床数の低値、着床前・後死亡率の高値、生存胎児数の低値、心室中隔欠損及び胸腺分離が300mg/kg/日(臨床曝露量(AUC)の約1.9倍)群で認められている。,,
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。ヒトの乳汁中への移行は不明である。
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
低出生体重児、新生児、乳児を対象とした臨床試験は実施していない。,
患者の状態を観察しながら注意して投与すること。一般に生理機能が低下している。
CYP3A阻害剤
本剤の血中濃度が上昇するおそれがあるので、CYP3A阻害作用のない薬剤への代替を考慮すること。やむを得ずCYP3A阻害剤と本剤を併用投与する場合には、患者の状態を慎重に観察し、副作用の発現・増強に注意すること。
これらの薬剤がCYP3Aを阻害することにより、本剤の代謝が阻害され、血中濃度が上昇するおそれがある。
CYP2C8阻害剤
本剤の血中濃度が上昇するおそれがあるので、CYP2C8阻害作用のない薬剤への代替を考慮すること。やむを得ずCYP2C8阻害剤と本剤を併用投与する場合には、患者の状態を慎重に観察し、副作用の発現・増強に注意すること。
これらの薬剤がCYP2C8を阻害することにより、本剤の代謝が阻害され、血中濃度が上昇するおそれがある。
CYP3A及びCYP2C8誘導剤
本剤の血中濃度が低下するおそれがあるので、CYP3A及びCYP2C8誘導作用のない薬剤への代替を考慮すること。
これらの薬剤がCYP3A及びCYP2C8を誘導することにより、本剤の代謝が促進され、血中濃度が低下する可能性がある。
CYP3A基質
CYP3Aにより代謝される薬剤と併用する場合は、これらの薬剤の血中濃度が低下し、有効性が減弱する可能性がある。
本剤がCYP3Aを誘導することにより、これらの薬剤の血中濃度が低下する可能性がある。
CYP2C9基質
CYP2C9により代謝される薬剤と併用する場合は、これらの薬剤の血中濃度が低下し、有効性が減弱する可能性がある。
本剤がCYP2C9を誘導することにより、これらの薬剤の血中濃度が低下する可能性がある。
OATP1B1及びOATP1B3基質
OATP1B1及びOATP1B3の基質となる薬剤と併用する場合は、これらの薬剤の血中濃度が上昇するおそれがある。
本剤がOATP1B1及びOATP1B3を阻害することにより、これらの薬剤の血中濃度が上昇するおそれがある。
皮膚有棘細胞癌(0.4%、1.6%)、ケラトアカントーマ(0.2%、3.7%)、ボーエン病(0.4%、頻度不明)があらわれることがある。臨床試験において、有毛細胞白血病患者では他がん種の患者よりも有棘細胞癌の発現頻度に高い傾向が認められた(皮膚有棘細胞癌(5.5%、頻度不明)、扁平上皮癌(5.5%、頻度不明))注4)。
原発性悪性黒色腫(0.1%、1.1%)等の悪性腫瘍(二次発癌)があらわれることがある。臨床試験において、有毛細胞白血病患者では他がん種の患者よりも悪性腫瘍(二次発癌)の発現頻度に高い傾向が認められた(基底細胞癌(12.7%、頻度不明))注4)。
心不全(0.1%、0.5%)、左室機能不全(0.1%、1.4%)、駆出率減少(5.8%、4.7%)等の重篤な心障害があらわれることがある。,
ALT(11.2%、1.6%)、AST(11.2%、0.5%)等の上昇を伴う肝機能障害があらわれることがある。,
脳出血(0.1%、頻度不明)、脳卒中(いずれも頻度不明)等の脳血管障害があらわれることがある。注1)重大な副作用の発現頻度は、トラメチニブとの併用時、本剤単独投与時の順に記載した。
トラメチニブとの併用時注2)
10%以上
1%~10%未満
1%未満
頻度不明
感染症
-
毛包炎、膿疱性皮疹、爪囲炎
蜂巣炎、尿路感染、上咽頭炎
**血 液
貧血、血小板減少症
代 謝
食欲減退、脱水、低ナトリウム血症、低リン血症、高血糖
**神経系
頭痛
浮動性めまい、末梢性ニューロパチー
眼
霧視、ぶどう膜炎、視力障害
網膜色素上皮剥離、網脈絡膜症、網膜剥離、眼窩周囲浮腫
**心・血管
高血圧、低血圧、出血(鼻出血、歯肉出血等)
リンパ浮腫、徐脈、QT/QTc間隔延長、房室ブロック
心拍数減少
呼吸器
咳嗽、呼吸困難
肺臓炎、間質性肺炎
消化器
悪心、下痢、嘔吐
便秘、腹痛、口内乾燥、口内炎
膵炎
肝胆道系
ALP増加、γ-GTP増加
皮 膚
発疹、皮膚乾燥
そう痒症、ざ瘡様皮膚炎、紅斑、日光角化症、寝汗、過角化、脱毛症、手掌・足底発赤知覚不全症候群、皮膚病変、多汗症、脂肪織炎、皮膚亀裂、光線過敏症
急性熱性好中球性皮膚症(Sweet症候群)
筋骨格系
関節痛、筋肉痛
四肢痛、筋痙縮、血中CK増加
横紋筋融解症
腎
腎炎、腎不全、尿細管間質性腎炎、急性腎障害
全 身
発熱(49.6%)、疲労、悪寒
無力症、末梢性浮腫、インフルエンザ様疾患、粘膜の炎症、体重増加
顔面浮腫
その他
脂漏性角化症
乳頭腫、アクロコルドン、過敏症
本剤単独投与時注3)
鼻咽頭炎
高血糖、食欲減退、低リン酸血症
末梢性ニューロパチー
心・血管
QT/QTc間隔延長
ぶどう膜炎
咳嗽
悪心、嘔吐、下痢、便秘
発疹、過角化(34%)、脱毛症、手掌・足底発赤知覚不全症候群
そう痒症、皮膚乾燥、日光角化症、皮膚病変、紅斑、光線過敏症
脂肪織炎
関節痛
筋肉痛、四肢痛
腎不全、急性腎障害、尿細管間質性腎炎
疲労、発熱、無力症
悪寒、インフルエンザ様疾患
乳頭腫、アクロコルドン、脂漏性角化症
過敏症
日本人固形癌患者12例にダブラフェニブ75~150mg(ヒプロメロースカプセル)を空腹時に単回経口投与した時、血漿中ダブラフェニブ濃度は投与1.0~4.0時間後に最大となった2)。その後、血漿中ダブラフェニブ濃度は二相性を示して低下し、消失半減期は約5~15時間であった。Cmax及びAUC0-12hは75mg群と100mg群の間では投与量増加に伴い増加したが、100mg群と150mg群は同程度であった。反復投与後の血漿中ダブラフェニブのAUC0-12hは単回投与時と比べて約40%減少し、ダブラフェニブ代謝の自己誘導が示唆された。血漿中ダブラフェニブ濃度は、投与開始後21日目までには定常状態に達すると考えられた。外国人固形癌患者4例のマイクロドーズ試験で、ダブラフェニブ150mgを単回経口投与した時の、[14C]ダブラフェニブ50μgを単回静脈内投与に対する絶対的バイオアベイラビリティは94.5%であった3)。
投与量(mg)
例数(n)
Cmax(μg/mL)
Tmax(hr)
AUC0-12h(μg・hr/mL)
T1/2(hr)
1日目
75
3
1.39(29.9)
4.0(3.0-4.0)
4.63(35.6)
15.2(2,140.1)
100
3.81(32.2)
1.0(0.9-2.0)
11.4(42.9)
13.1(55.4)
150
6
2.41(40.1)
2.5(1.0-4.0)
9.24(29.3)
5.07(47.0)a
21日目
1.43(75.5)
3.0(1.5-4.0)
2.85(41.5)
2.90(22.1)
6.02(17.3)
5
2.08(37.0)
1.5(1.0-3.0)
5.90(33.3)
幾何平均値(変動係数%)、Tmaxは中央値(最小値-最大値)a:n=5
外国人固形癌患者14例にダブラフェニブ150mgを高脂肪・高カロリー食摂食後に単回経口投与した時、AUC及びCmaxは絶食下に比べてそれぞれ約31及び51%低下した。また、食後のTmax(6時間)は絶食下(2時間)に比べて遅延した4)。
ダブラフェニブのヒト血漿蛋白結合率は99.7%であった5)(in vitro)。
ダブラフェニブは主にCYP2C8及び3A4により水酸化体に代謝され、更にCYP3A4によりカルボン酸体に代謝された。また、カルボン酸体は非酵素的に脱メチル化された6)。
血漿中には、主にカルボン酸体が検出された(血中放射能の約54%)(外国人)7)。その他にはt-ブチル基が酸化された水酸化体、脱カルボン酸化された脱メチル体が検出された2),7)(外国人及び日本人)。
外国人固形癌患者4例に[14C]ダブラフェニブの95mg(懸濁液)を単回経口投与した時、尿糞中には投与量の93.8%が回収された(投与後240時間)。放射能の主排泄経路は糞中(投与量の約71.1%)であり、尿中には22.7%が回収された7)。
海外第Ⅰ相試験(A2102試験及びX2101試験)及び国際共同第Ⅱ相試験(G2201試験)に組み入れられた109例(6歳以上18歳未満)のデータを用いた母集団薬物動態解析の結果、①26kg以上38kg未満の患者に75mg、②38kg以上43kg未満の患者に100mg、③43kg以上51kg未満の患者に125mg、④51kg以上の患者に150mgをそれぞれ1日2回反復経口投与した際の、ダブラフェニブのCmax(μg/mL)及びAUC0-12h(μg・hr/mL)の中央値は、①1.29及び4.35、②1.48及び5.20、③1.65及び6.05並びに④1.50及び5.25と推定された。また、海外第Ⅰ相試験(A2102試験及びX2101試験)及び国際共同第Ⅱ相試験(G2201試験)に組み入れられた243例(0歳以上18歳未満)のデータを用いた母集団薬物動態解析の結果、①17kg未満の患者に2.5mg/kg、②17kg以上26kg未満の患者に2.5mg/kg、③26kg以上38kg未満の患者に2.5mg/kg、④38kg以上51kg未満の患者に2.5mg/kg、⑤51kg以上の患者に150mgをそれぞれ1日2回反復経口投与した際の、ダブラフェニブのCmax(μg/mL)及びAUC0-12h(μg・hr/mL)の中央値は、①1.25及び3.70、②1.37及び4.41、③1.42及び4.77、④1.47及び4.97並びに⑤1.38及び4.90と推定された。
ダブラフェニブはCYP2B6及び3A4を誘導した8)。また、ダブラフェニブはCYP2C8及び2C19を阻害した(IC50値:それぞれ8.2及び22.4μmol/L)9)。ダブラフェニブはPgp及びBCRPの基質であった10)。
外国人固形癌患者16例にCYP3A4の阻害作用を有するケトコナゾール(経口剤は国内未承認)400mgの1日1回反復経口投与をダブラフェニブ75mg注)の1日2回反復経口投与と併用したときのダブラフェニブのAUC及びCmaxは、ダブラフェニブ単独投与に比べてそれぞれ約71及び33%増加した11)。
外国人固形癌患者17例にCYP2C8の阻害作用を有するゲムフィブロジル(国内未承認)600mgの1日2回反復経口投与をダブラフェニブ75mg注)の1日2回反復経口投与と併用したとき、ダブラフェニブ単独投与に比べてダブラフェニブのAUCは約47%増加したものの、Cmaxは変化しなかった12)。
外国人固形癌患者14例にダブラフェニブ150mgの1日2回反復経口投与とワルファリン(S体:CYP2C9の基質、R体:CYP3A4及びCYP1A2の基質)15mg単回経口投与を併用したときのワルファリンのAUCは、ワルファリン単独投与に比べて、S体で約37%、R体で約33%減少した。また、ワルファリンのCmaxはワルファリン単独投与に比べて、S体で約18%、R体で約19%増加した13)。
外国人固形癌患者12例にダブラフェニブ150mgの1日2回反復経口投与とミダゾラム(CYP3Aの基質)3mgの単回経口投与を併用したときのミダゾラムのAUC及びCmaxは、ミダゾラム単独投与に比べてそれぞれ約74及び61%減少した14)。
外国人固形癌患者17例にCYP3A及びCYP2C8の誘導作用を有するリファンピシン600mgの1日1回反復経口投与をダブラフェニブ150mgの1日2回反復投与と併用したとき、ダブラフェニブ単独投与に比べて、ダブラフェニブのCmaxは27%、AUCは34%減少した15)。
外国人がん患者16例にロスバスタチン(OATP1B1及びOATP1B3の基質)10mgの単回経口投与をダブラフェニブ150mgの1日2回経口投与と併用したとき、ダブラフェニブ非併用投与に比べて、ロスバスタチンのCmaxは94%、AUCは22%増加した。また、ダブラフェニブ150mgを1日2回14日間反復投与した後にロスバスタチン10mgを単回経口投与したとき、ダブラフェニブ非併用投与に比べて、ロスバスタチンのCmaxは156%増加、AUCは7%増加した16)。
トラメチニブ外国人固形癌患者17例にトラメチニブ2mgの1日1回反復経口投与とダブラフェニブ150mgの1日2回反復経口投与を併用した時、血漿中ダブラフェニブのCmax及びAUCは、ダブラフェニブ単独投与時に比べて、それぞれ約16及び23%増加した17)。ラベプラゾール外国人固形癌患者17例にラベプラゾール(プロトンポンプ阻害剤)40mgの1日1回反復経口投与をダブラフェニブ150mgの1日2回反復経口投与と併用したとき、ダブラフェニブ単独投与に比べてダブラフェニブのAUCは3%増加し、Cmaxは12%減少した15)。注)本剤の承認用法・用量は、ダブラフェニブとして1回150mgを1日2回、空腹時経口投与である。
BRAF V600E/K変異を有する①進行固形癌患者(第Ⅰ相パート)及び②根治切除不能な悪性黒色腫患者(第Ⅱ相パート)(症例数:①6例及び②6例)を対象にダブラフェニブ(1回150mgを1日2回連日投与)とトラメチニブ(2mgを1日1回連日投与)を併用する第Ⅰ/Ⅱ相非盲検非対照試験を実施した。第Ⅱ相パートにおける奏効率注1)は83%(5/6例)であった。副作用発現頻度は、100%(12/12例)であった。主な副作用は、発熱66.7%(8/12例)、AST増加及び末梢性浮腫各50.0%(6/12例)であった18)。注1)RECIST(ver 1.1)ガイドラインによる治験責任医師に基づく判定(CR+PR)
BRAF V600E/K変異を有する根治切除不能な悪性黒色腫患者704例を対象に、ダブラフェニブ(1回150mgを1日2回連日投与)とトラメチニブ(2mgを1日1回連日投与)を併用する群(併用療法群352例)とベムラフェニブ(1回960mgを1日2回連日投与)を投与する群(ベムラフェニブ群352例)と比較した第Ⅲ相非盲検無作為化比較試験を実施した。全生存期間(OS)の中間解析において、ベムラフェニブ群と比較して併用療法群において統計学的に有意な延長が認められた[Kaplan-Meier法で推定した中央値:併用療法群未到達、ベムラフェニブ群17.2ヵ月、ハザード比0.69(95%信頼区間:0.53-0.89)、層別log-rank検定 p=0.005]。
ダブラフェニブとトラメチニブ併用療法群における副作用発現頻度は、91%(320/350例)であった。主な副作用は、発熱47%(163/350例)、悪寒28%(98/350例)及び悪心23%(81/350例)であった19)。
BRAF V600E/K変異を有する根治切除不能な悪性黒色腫患者423例を対象に、ダブラフェニブ(1回150mgを1日2回連日投与)とトラメチニブ(2mgを1日1回連日投与)を併用する群(併用療法群211例)と、ダブラフェニブ(1回150mgを1日2回連日投与)を投与する群(単剤療法群212例)を比較した第Ⅲ相二重盲検無作為化比較試験を実施した。無増悪生存期間(PFS)の解析において、単剤療法群と比較して併用療法群において統計学的に有意な延長が認められた[Kaplan-Meier法で推定した中央値:併用療法群9.3ヵ月、単剤療法群8.8ヵ月、ハザード比0.75(95%信頼区間:0.57-0.99)、層別log-rank検定 p=0.035]20)。なお、OSの最終解析において、Kaplan-Meier法で推定した中央値は併用療法群で25.1ヵ月、単剤療法群で18.7ヵ月であった[ハザード比0.71(95%信頼区間:0.55-0.92)]。ダブラフェニブとトラメチニブ併用療法群における副作用発現頻度は、併用療法群では、86%(179/209例)であった。主な副作用は、発熱47%(98/209例)、悪寒27%(57/209例)及び疲労25%(52/209例)であった。単剤療法群では、88%(186/211例)であった。主な副作用は、過角化30%(63/211例)、疲労27%(56/211例)及び脱毛症25%(52/211例)であった。
BRAF V600E変異を有する根治切除不能な悪性黒色腫患者250例を対象に、ダブラフェニブ(1回150mgを1日2回連日投与)を投与する群(187例)とダカルバジン1,000mg/m2(体表面積)を3週毎に静脈内投与する群(63例)を比較した第Ⅲ相非盲検無作為化比較試験を実施した。PFSの解析において、ダカルバジン群と比較してダブラフェニブ投与群における統計学的に有意な延長が認められた[Kaplan-Meier法で推定した中央値:ダブラフェニブ投与群5.1ヵ月、ダカルバジン群2.7ヵ月、ハザード比0.30(95%信頼区間:0.18-0.51)、層別log-rank検定 p<0.0001]。
ダブラフェニブ投与群における副作用発現頻度は、88%(164/187例)であった。主な副作用は、過角化34%(63/187例)、皮膚乳頭腫21%(40/187例)、脱毛症20%(37/187例)であった21)。
BRAF V600E/K変異を有する再発ハイリスク(American Joint Committee on Cancer(AJCC)Melanoma of the Skin Staging version 7に基づく病期Ⅲa:リンパ節転移1mm超、Ⅲb、Ⅲc)の悪性黒色腫の術後患者870例(日本人患者5例を含む)を対象に、ダブラフェニブ(1回150mgを1日2回連日投与)とトラメチニブ(2mgを1日1回連日投与)を併用する群(併用療法群438例)とプラセボ群(432例)を比較した第Ⅲ相二重盲検無作為化比較試験を実施した。併用療法もしくはプラセボの投与期間は12ヵ月間とした。無再発生存期間(RFS)の解析において、プラセボ群と比較して併用療法群において統計学的に有意な延長が認められた[Kaplan-Meier法で推定したRFSの中央値:併用療法群未到達、プラセボ群16.6ヵ月、ハザード比0.47(95%信頼区間:0.39-0.58)、層別log-rank検定 p=1.53×10-14]。
ダブラフェニブとトラメチニブ併用療法群における副作用発現頻度は、91.5%(398/435例(日本人患者3例を含む))であった。主な副作用は、発熱56.1%(244/435例)、疲労39.1%(170/435例)、悪寒35.6%(155/435例)であった22)。
BRAF V600E変異を有する切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌患者を対象に、ダブラフェニブ(1回150mgを1日2回連日投与)とトラメチニブ(2mgを1日1回連日投与)の併用投与(①白金系抗悪性腫瘍剤を含む化学療法歴のある患者57例(日本人患者1例を含む)、②化学療法歴のない患者36例)を検討する第Ⅱ相非盲検非対照試験を実施した。奏効率注1)(%)はそれぞれ①63.2(95%信頼区間:49.3-75.6)及び②61.1(95%信頼区間:43.5-76.9)であった。ダブラフェニブとトラメチニブ併用療法群における副作用発現頻度は、89.2%(83/93例(日本人患者1例を含む))であった。主な副作用は、発熱49.5%(46/93例)、悪心38.7%(36/93例)、嘔吐及び皮膚乾燥26.9%(25/93例)であった23)。
標準的な治療選択肢のないBRAF V600E変異を有する固形腫瘍患者、BRAF V600E変異を有する再発又は難治性の有毛細胞白血病患者注2)等(18歳以上)を対象に、ダブラフェニブ(1回150mgを1日2回連日投与)とトラメチニブ(2mgを1日1回連日投与)の併用投与を検討する第Ⅱ相非盲検非対照試験を実施した。奏効率は、表のとおりであった。
がん種
例数(日本人患者数)
奏効率(%)(95%信頼区間)
甲状腺未分化癌注1)
36(2)
56(38.1-72.1)
胆道癌注1)
43(2)
53(37.7-68.8)
消化管間質腫瘍注1)
1(0)
0
WHO grade 1又は2の神経膠腫(LGG)注3)
13(2)
69(38.6-90.9)
WHO grade 3又は4の神経膠腫(HGG)注4)
45(1)
33(20.0-49.0)
小腸癌注1)
3(0)
67(9.4-99.2)
有毛細胞白血病注5)
55(0)
89(77.8-95.9)
ダブラフェニブとトラメチニブ併用療法群における副作用発現頻度は、88.8%(174/196例(日本人患者7例を含む))であった。主な副作用は、発熱41.8%(82/196例)、疲労27.0%(53/196例)、悪寒26.0%(51/196例)であった24)。,注2)プリンアナログによる一次治療に不応若しくは当該治療の1年以内に再発した、又は2つ以上の治療後に増悪した有毛細胞白血病患者が対象とされた。注3)RANO LGG(2011)基準による治験責任医師に基づく判定(CR+PR+MR)注4)RANO HGG(2010)基準による治験責任医師に基づく判定(CR+PR)注5)NCCNのガイドライン、Consensus Resolution Criteria、及び過去の臨床試験の定義から改変した基準による治験責任医師に基づく判定(微小残存病変を伴う又は伴わないCR+PR)
BRAF V600変異を有するLGG及びランゲルハンス細胞組織球症(LCH)患者(1歳以上18歳未満)を対象に、ダブラフェニブ(12歳未満:2.625mg/kg、12歳以上:2.25mg/kgを1日2回連日投与)注6)とトラメチニブ(6歳未満:0.032mg/kg、6歳以上:0.025mg/kgを1日1回連日投与)の併用投与(①LGG:20例、②LCH:10例)を検討する第Ⅰ/Ⅱ相非盲検非対照試験を実施した。奏効率注7)(%)はそれぞれ①25.0(95%信頼区間:8.7-49.1)及び②60.0(95%信頼区間:26.2-87.8)であった25)。ダブラフェニブとトラメチニブ併用療法群における副作用発現頻度は、100%であった。主な副作用は発熱53.3%(16/30例)、疲労36.7%(11/30例)、皮膚乾燥36.7%(11/30例)であった。注6)小児に対する本剤の承認用法・用量は患者の体重のみに基づいて設定されている。注7)①はRANO LGG(2011)基準による独立画像判定に基づく判定(CR+PR)、②はHistiocyte Society Evaluations and Treatment Guidelines(Apr. 2009)(Minkov et al. 2009)による治験責任医師に基づく判定(CR+Regressive disease)。
BRAF V600変異を有する初回治療後に増悪したHGG患者(1歳以上18歳未満)(41例(日本人患者11例を含む))を対象にダブラフェニブ(12歳未満:2.625mg/kg、12歳以上:2.25mg/kgを1日2回連日投与)注6)とトラメチニブ(6歳未満:0.032mg/kg、6歳以上:0.025mg/kgを1日1回連日投与)の併用投与を検討する第Ⅱ相非盲検非対照試験を実施した。奏効率注8)(%)は56.1(95%信頼区間:39.7-71.5)であった26)。ダブラフェニブとトラメチニブ併用療法群における副作用発現頻度は、85.4%(35/41例(日本人患者11例を含む))であった。主な副作用は発熱36.6%(15/41例)、皮膚乾燥24.4%(10/41例)、発疹17.1%(7/41例)であった。,注8)RANO HGG(2010)基準による中央判定(CR+PR)
BRAF V600変異を有する初回化学療法の適用となる注9)LGG患者注10)(1歳以上18歳未満)を対象に、ダブラフェニブ(12歳未満:2.625mg/kg、12歳以上:2.25mg/kgを1日2回連日投与)注6)とトラメチニブ(6歳未満:0.032mg/kg、6歳以上:0.025mg/kgを1日1回連日投与)の併用投与(D+T群73例(日本人患者4例を含む))とカルボプラチン(6週間を1サイクルとして、175mg/m2を第1、8、15及び22日目に静脈内投与)とビンクリスチン(最初の10週間1.5mg/m2を1週間間隔で静脈内投与し、2週間休薬した後、6週間を1サイクルとして、第1、8及び15日目に1.5mg/m2を静脈内投与)の併用投与(C+V群37例(日本人患者2例を含む))を比較した第Ⅱ相無作為化非盲検比較試験を実施した。奏効率注11)(%)は、D+T群で46.6(95%信頼区間:34.8-58.6)、C+V群で10.8(95%信頼区間:3.0-25.4)であり、C+V群と比較してD+T群で統計学的に有意に高かった(片側p値<0.001、Mantel-Haenszelカイ二乗検定)26)。D+T群における副作用発現頻度は、93.2%(68/73例(日本人患者4例を含む))であった。主な副作用は発熱47.9%(35/73例)、皮膚乾燥21.9%(16/73例)、疲労20.5%(15/73例)であった。,,注9)切除後に進行した又は切除の適応のない患者であり、疾患進行に伴う神経学的障害のために化学療法を開始することが適切と判断された患者注10)G2201試験の各群に組み入れられた患者の組織型(WHO 分類(改訂2016年))は、以下のとおりであった。D+T群:毛様細胞性星細胞腫22例、神経節膠腫21例、LGG・非特定型14例、多形黄色星細胞腫6例、線維形成性乳児星細胞腫、グリア神経細胞腫瘍・非特定型及びびまん性神経膠腫・非特定型各2例、並びに星細胞腫、びまん性星細胞腫及び線維形成性乳児神経節膠腫各1例C+V群:毛様細胞性星細胞腫12例、神経節膠腫9例、LGG・非特定型6例、多形黄色星細胞腫4例、並びに星細胞腫、線維形成性乳児星細胞腫、線維形成性星細胞腫・非特定型、びまん性星細胞腫、グリア神経細胞腫瘍・非特定型及び未分化神経外胚葉性腫瘍各1例注11)RANO LGG(2011)基準による中央判定(CR+PR)
ダブラフェニブは、BRAF変異型(V600E、V600K及びV600D)のキナーゼ活性を阻害した27)。また、ダブラフェニブは、A375P F11細胞株を移植したマウスの腫瘍組織において、RAFシグナル経路下流のERKのリン酸化を阻害した28)。
ダブラフェニブは、BRAF V600E変異型を発現するヒト悪性黒色腫由来A375P F11細胞株を皮下移植したマウスにおいて、腫瘍増殖を抑制した32)。また、ダブラフェニブとトラメチニブを併用投与することにより、各薬剤単独投与と比較して腫瘍増殖抑制作用が増強した28)。
ダブラフェニブメシル酸塩(Dabrafenib Mesilate)
N-{3-[5-(2-Aminopyrimidin-4-yl)-2-(1,1-dimethylethyl)-1,3-thiazol-4-yl]-2-fluorophenyl}-2,6-difluorobenzenesulfonamide monomethanesulfonate
C23H20F3N5O2S2・CH4O3S
615.67
白色~淡黄白色の粉末である。
28カプセル[プラスチックボトル、乾燥剤入り]
28錠[プラスチックボトル、乾燥剤入り]
1) Hatzivassiliou,G.et al.:Nature. 2010;464(7287):431-435 [20160200]
2) 社内資料:国内第Ⅰ相試験におけるダブラフェニブの薬物動態(2016年3月28日承認、CTD2.7.6 BRF116056試験) [20160201]
3) Denton,C.L.et al.:J.Clin.Pharmacol. 2013;53(9):955-961 [20160202]
4) Ouellet,D.et al.:J.Pharm.Sci.2013;102(9):3100-3109 [20160203]
5) 社内資料:血漿蛋白結合(2016年3月28日承認、CTD2.7.2.2.1.1.1) [20160204]
6) 社内資料:In vitro代謝(2016年3月28日承認、CTD2.6.4.5.5) [20160205]
7) Bershas,D.A.et al.:Drug Metab.Dispos. 2013;41(12):2215-2224 [20160206]
8) 社内資料:CYPに対するin vitro誘導作用(2016年3月28日承認、CTD2.6.4.5.7.1) [20160207]
9) 社内資料:CYPに対するin vitro阻害作用(2016年3月28日承認、CTD2.6.4.5.7.2.2) [20160208]
10) 社内資料:トランスポーターによるin vitro輸送(2016年3月28日承認、CTD2.6.4.4.5) [20160209]
11) 社内資料:ケトコナゾールとの薬物相互作用(2016年3月28日承認、CTD2.7.2.2.1.1.4)[20160211]
12) 社内資料:ゲムフィブロジルとの薬物相互作用(2016年3月28日承認、CTD2.7.2.2.1.1.4) [20160212]
13) 社内資料:ワルファリンとの薬物相互作用(2016年3月28日承認、CTD2.7.2.2.1.1.4) [20160213]
14) 社内資料:ミダゾラムとの薬物相互作用(2016年3月28日承認、CTD2.7.2.2.1.1.4.1) [20160214]
15) 社内資料:リファンピシン又はラベプラゾールとの薬物相互作用(2018年3月23日承認、CTD2.7.2.2.1.1) [20170557]
16) 社内資料:ロスバスタチンとの薬物相互作用(2018年3月23日承認、CTD2.7.2.2.1.2) [20170558]
17) 社内資料:ダブラフェニブとトラメチニブの薬物相互作用(2016年3月28日承認、CTD2.7.2.2.1.3) [20160210]
18) 社内資料:国内第Ⅰ/Ⅱ相臨床試験(MEK116885試験)(2016年3月28日承認、CTD2.7.6 MEK116885試験) [20160215]
19) 社内資料:海外第Ⅲ相臨床試験(MEK116513試験、COMBI-v)(2016年3月28日承認、CTD2.7.6 MEK116513試験(COMBI-v試験)) [20160216]
20) 社内資料:海外第Ⅲ相臨床試験(MEK115306試験、COMBI-d)(2016年3月28日承認、CTD2.7.6 MEK115306試験(COMBI-d試験)) [20160217]
21) 社内資料:海外第Ⅲ相臨床試験(BRF113683試験)(2016年3月28日承認、CTD2.7.6 BRF113683試験) [20160218]
22) 社内資料:国際共同第Ⅲ相臨床試験(F2301試験)(2018年7月2日承認、CTD2.7.6.4.1.1) [20180229]
23) 社内資料:国際共同第Ⅱ相臨床試験(E2201試験)(2018年3月23日承認、CTD2.7.6.4.2.1) [20170555]
24) 社内資料:国際共同第Ⅱ相臨床試験(X2201試験)(2023年11月24日承認、CTD2.7.6.4.2.1)[20230079]
25) 社内資料:海外第Ⅰ/Ⅱ相臨床試験(小児X2101試験)(2023年11月24日承認、CTD2.7.6.4.2.3)[20230078]
26) 社内資料:国際共同第Ⅱ相臨床試験(G2201試験)[20240167]
27) 社内資料:BRAF阻害作用(2016年3月28日承認、CTD2.6.2.2.1.1.1) [20160222]
28) King,A.J.et al.:PLoS One. 2013;8(7):e67583 [20160221]
29) 社内資料:BRAF変異陽性ヒト悪性黒色腫由来細胞株の増殖に及ぼす影響 (2016年3月28日承認、CTD2.6.2.2.1.5)[20160219]
30) 社内資料:BRAF変異陽性ヒト非小細胞肺癌由来細胞株の増殖に及ぼす影響 (2018年3月23日承認、CTD2.6.2.2.1.1)[20170556]
31) 社内資料:BRAF変異陽性ヒト甲状腺未分化癌由来細胞株の増殖に及ぼす影響 (2023年11月24日承認、CTD2.6.2.2.1.1)[20230080]
32) 社内資料:マウスにおけるヒト悪性黒色腫由来細胞の増殖抑制作用(2016年3月28日承認、CTD2.6.2.2.2.1.2) [20160220]
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