目次
- プロトンポンプ阻害薬による中毒性表皮壊死症と皮膚粘膜眼症候群
- ベラプロストナトリウムによる間質性肺炎
- クエン酸シルデナフィル(バイアグラ)と硝酸薬の併用による重篤な副作用について
- 使用上の注意の改訂について(その109)
この医薬品等安全性情報は、従来の医薬品副作用情報を改めたもので、厚生省において収集された副作用情報をもとに、医薬品等のより安全な使用に役立てていただくために、医療関係者に対して情報提供されるものです。
平成10年(1998年)8月
厚生省医薬安全局
No. | 医薬品名 | 対策 | 情報の概要 |
---|---|---|---|
1 | プロトンポンプ阻害薬 | 使 症 | プロトンポンプ阻害薬との因果関係が否定できない中毒性表皮壊死症、皮膚粘膜眼症候群が国内でそれぞれ3例、2例報告された。また海外においても、それぞれ9例、11例報告されていることから、今般、「使用上の注意」の改訂を行い、注意喚起することとした。 |
2 | ベラプロストナトリウム | 使 症 | ベラプロストナトリウムを投与した患者において、間質性肺炎が3例(副作用名「胸部X線異常影」1例を含む)発現し、1例が死亡していることから、「重大な副作用」に「間質性肺炎」の項を追記し、注意喚起を行った。 |
3 | クエン酸シルデナフィル | クエン酸シルデナフィルは、米国等において「バイアグラ」の商品名で販売されている勃起障害治療薬であり、米国では硝酸薬との併用による死亡症例が多数報告されたため、両剤の相互作用に関する注意喚起を行っている。また、国内において、本剤は未承認の医薬品であるが個人輸入等により持ち込まれているといわれており、硝酸薬を併用した患者の死亡が報告されたことから、本剤と硝酸薬との併用による重篤な副作用に関して情報提供を行うこととした。 | |
4 | ランソプラゾール他(17件) | 使用上の注意の改訂について(その109) |
緊:緊急安全性情報の配布 使:使用上の注意の改訂 症:症例の紹介
プロトンポンプ阻害薬による中毒性表皮壊死症と皮膚粘膜眼症候群
成分名 該当販売名 |
成分名 | 該当販売名 |
---|---|---|
オメプラゾール ランソプラゾール |
オメプラゾン錠(吉富製薬) オメプラール錠(アストラ・ジャパン) タケプロンカプセル(武田薬品工業) |
|
薬効分類等 | プロトンポンプ阻害薬 | |
効能効果 | 胃潰瘍、十二指腸潰瘍、吻合部潰瘍、逆流性食道炎、Zollinger‐Ellison症候群 |
(1)経緯
プロトンポンプ阻害薬は、胃粘膜壁細胞の胃酸分泌の最終段階を担っているプロトンポンプであるH+、K+‐ATPase活性を抑制することにより、胃酸分泌を抑える作用を示す医薬品である。胃潰瘍、十二指腸潰瘍等の治療に用いられ、我が国ではオメプラゾール、ランソプラゾール、そして、ラベプラゾールがそれぞれ平成3年1月、平成4年10月、平成9年10月に承認されている。
市販後、オメプラゾールの投与中に中毒性表皮壊死症が発現した症例が、国内で2例報告され、外国でもオメプラゾールとの因果関係が不明なものも含め中毒性表皮壊死症が7例、皮膚粘膜眼症候群が10例報告されている。
また、ランソプラゾールでも国内において中毒性表皮壊死症1例、皮膚粘膜眼症候群2例が、外国において因果関係が不明なものも含め中毒性表皮壊死症2例、皮膚粘膜眼症候群1例が報告されている。
このため、オメプラゾール、ランソプラゾールの「使用上の注意」をそれぞれ平成9年12月、平成10年4月に改訂し、医療関係者への注意喚起を行った。
なお、ラベプラゾールについては、このような副作用は報告されていない。
(2)症例の紹介
オメプラゾールの国内における2例の中毒性表皮壊死症について、投与開始から紅斑出現までの期間はそれぞれ17日間、25日間である。転帰は、1例がオメプラゾール等の投与を中止し、ステロイドパルス療法により軽快したが、もう1例はオメプラゾールの投与は中止したが、敗血症を併発し急性腎不全により死亡した。この2例を表1に紹介する。
一方、ランソプラゾールの国内において報告された3例は、投与開始から皮膚症状の初発までの期間は13~41日間であり、いずれの症例もランソプラゾールの投与中止、ステロイドの投与等により改善した。報告例のうち国内症例の1例を表2に紹介する。
(3)安全対策
オメプラゾール、ランソプラゾールの「重大な副作用」の項に中毒性表皮壊死症、皮膚粘膜眼症候群を新たに記載し、注意喚起を行った。
なお、オメプラゾールについては、使用上の注意の「副作用」の項に、中毒性表皮壊死症(Lyell症候群)を記載するとともに、皮膚粘膜眼症候群(Stevens‐Johnson症候群)は国内では報告はないが海外での報告があるため下記のように記載した。
《使用上の注意(下線部追加改訂部分)》
〈オメプラゾール〉
副作用
(1)重大な副作用
4)中毒性表皮壊死症(Lyell症候群)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens‐Johnson症候群):まれに中毒性表皮壊死症(Lyell症候群)があらわれることがあり、また、外国において皮膚粘膜眼症候群(Stevens‐Johnson症候群)が報告されているので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
(平成9年12月改訂)
〈ランソプラゾール〉
副作用
(1)重大な副作用
3)中毒性表皮壊死症(Lyell症候群)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens‐Johnson症候群)(0.1%未満)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。(平成10年4月改訂)
〈参考文献〉
1)宮田聡子他:西日本皮膚、58(4):574(1996)
表1症例の概要
No. | 患者 | 1日投与量 投与期間 |
副作用 | 備考 | |
---|---|---|---|---|---|
性、 年齢 |
使用理由〔合併症〕 | 経過及び処置 | |||
1 | 男 70代 |
胃潰瘍〔多発性結節性動脈炎、心房細動、骨粗鬆症、口腔内真菌症〕 | オメプラゾール 20mg 23日間 |
オメプラゾール、オルノプロスチル、スクラルファート投与開始17日後に、手掌、足底に紅斑が出現し、次第に全身に広がった。投与21日後、紅斑は癒合傾向を示した。側胸部よりの皮膚生検で、中毒性表皮壊死症と考えた。発疹に対してメチルプレドニゾロン1g/日のパルス療法(3日間)を行うも、投与23日後、顔面にも紅斑は広がり、口腔粘膜、肛門部の粘膜はびらん面を呈した。手掌、足底、体幹にも水疱が多発し、容易に破れた(ニコルスキー現象陽性)。オメプラゾール、オルノプロスチル、乳酸カルシウム、アルファカルシドールの投与を中止した。投与中止2日後、プレドニゾロン60mg/日の内服投与を開始し投与中止5日後、メチルプレドニゾロンのパルス療法を行うことにより、皮膚の痛みは若干改善、紅斑、水疱部は痂皮を形成した。投与中止12日後、手掌、足底の水疱はなくなり、発赤もほぼ消失、色素沈着を軽度残した。 〈皮膚生検について〉 表皮下の水疱形成と表皮の壊死がみられた。水疱内には赤血球とリンパ球細胞がみられた。基底細胞の浮腫状変化があった。真皮上層の血管周囲性と表皮真皮境界部にリンパ球様細胞の浸潤がみられた。 1)表皮真皮境界部の剥離 2)表皮の壊死性変化 3)真皮血管周囲性の軽度の細胞浸潤 上記3項目のいずれもがみられたため中毒性表皮壊死症と診断した。 |
企業報告 |
併用薬:オルノプロスチル、メチルジゴキシン、プレドニゾロン、トリアゾラム、アムホテリシンB、アルファカルシドール、乳酸カルシウム、スクラルファート | |||||
2 | 男 70代 |
胃潰瘍 〔拡張型心筋症、心房細動〕 |
オメプラゾール 20mg 28日間 |
オメプラゾール投与開始25日後に腹部に紅斑出現した。投与28日後に救急外来受診し、オメプラゾールを中止、ニザチジンに変更にて帰宅した。初診時の臨床より中毒性表皮壊死症(TEN)と診断され、その原因として薬疹(オメプラゾール)を疑い、入院加療、プレドニゾロン60mg/日投与開始した。投与中止6日後、ベタメタゾン8mg/日に変更し、紅斑、ニコルスキー現象も消失した。投与中止10日後、MRSAによる敗血症併発し、中止11日後、ベタメタゾン6mg/日に減量した。中止12日後、無尿、腎不全(疑)。中止13日後、心房細動、急性腎不全併発した。中止17日後、ベタメタゾン2mg/日に減量し、中止18日後、急性腎不全にCVV‐H(持続的血液濾過透析)施行するも血圧保てず死亡した。(死因:急性腎不全、敗血症) | 参考文献1) |
併用薬:水酸化アルミニウムゲル・水酸化マグネシウム、硝酸イソソルビド(頓用) |
表2症例の概要患者
No. | 患者 | 1日投与量 投与期間 |
副作用 | 備考 | |
---|---|---|---|---|---|
性、 年齢 |
使用理由〔合併症〕 | 経過及び処置 | |||
1 | 男 30代 |
食道潰瘍〔気管支喘息、先天性肝線維症、HCV抗体陽性、食道静脈瘤、肝性脳症〕 | ランソプラゾール 30mg 43日間 |
本剤投与41日後、口腔粘膜びらん・潰瘍が発現した。食事ができず、かつ歩行困難になったため、入院した。入院時、手掌・足底部に多形紅斑様皮疹の多発を認めたが、結膜の炎症所見はなく、ニコルスキー現象は陰性であった。 入院2日目、皮膚科にてスティーブンス・ジョンソン症候群の疑いがあると診断され、全薬剤投与を中止し、以前より服用していたプレドニゾロンを隔日投与から連日投与に変更し、また、口唇部のびらん・浮腫、口内炎が強く、摂食困難なため、IVH管理とした。投与中止4日目、口腔内出血及び凝血塊のため開口困難な状態であったが、6日目には口内炎は軽快傾向を示し、9日目には食事を再開した。 本剤投与中止12日後、手掌・足底部の紅斑は消失した。その後、本剤、テオフィリン以外の薬剤を再投与したが、同様症状の再発はなかった。 |
企業報告 |
併用薬:テオフィリン、ラクツロース、ダントロレンナトリウム、肝不全用成分栄養剤、フロセミド、アルファカルシドール、ジアゼパム、スクラルファート、アズレンスルホン酸ナトリウム・L‐グルタミン、スピロノラクトン、プレドニゾロン |
ベラプロストナトリウムによる間質性肺炎
成分名 該当商品名 |
成分名 | 該当商品名 |
---|---|---|
ベラプロストナトリウム | ドルナー錠20μg(東レ) プロサイリン錠20(科研製薬) |
|
薬効分類等 | 経口プロスタサイクリン(PGI2)誘導体製剤 | |
効能効果 | 慢性動脈閉塞症に伴う潰瘍、疼痛及び冷感の改善 |
(1)経緯
ベラプロストナトリウムは化学的に安定で経口投与可能なプロスタサイクリン(PGI2)誘導体で、経口投与により抗血小板作用、血流増加作用等を示し、慢性動脈閉塞症に伴う潰瘍、疼痛及び冷感を改善する薬剤であり、平成4年1月に承認された。
本剤の承認以降、間質性肺炎が3例報告されたことから、平成10年6月に「使用上の注意」の改訂を行い、医療関係者への注意喚起を行うこととした。
(2)症例紹介
報告された3例のうち、1例は死亡、他の2例はステロイドパルス療法等により回復した。
報告された症例を表1に紹介する。
(3)安全対策
ベラプロストナトリウム投与により間質性肺炎が報告されたことから、「重大な副作用」に間質性肺炎の項を追記し、注意喚起を行った。
ベラプロストナトリウムによる間質性肺炎については、その発生を予測することは難しく、また、間質性肺炎の初期症状(発熱、乾性咳嗽、呼吸困難等)と感冒様症状との鑑別も難しいと言われている。
したがって、本剤の使用中に発熱、乾性咳嗽、呼吸困難、肺音の異常(捻髪音)等が認められた場合には直ちに投与を中止し、適切な治療を行う等の対応が必要である。
《使用上の注意(下線部追加改訂部分)》
〈ベラプロストナトリウム〉
副作用
(1)重大な副作用
3)間質性肺炎(頻度不明):間質性肺炎があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。(平成10年6月改訂)
表1‐1症例の概要
No. | 患者 | 1日投与量 投与期間 |
副作用 | 備考 | |
---|---|---|---|---|---|
性、 年齢 |
使用理由〔合併症〕 | 経過及び処置 | |||
1 | 男 70代 |
閉塞性動脈硬化症 | 120μg 84日間 |
閉塞性動脈硬化症の患者にベラプロストナトリウム、イコサペント酸エチル、シロスタゾールの投与を開始し、翌日、微熱の自覚症状が発現した。投与開始62日目、咳嗽、37℃台の発熱、蕁麻疹が発現し、投与開始76日目、発熱が改善されないため、皮膚科に入院した。82日目、呼吸困難が発現し、胸部X線写真、CTにて両側肺野に間質性陰影出現、ABG(動脈血液ガス分析)(roomair)、pH7.471、PCO224.7Torr、PO239.8Torrと低酸素血症出現、聴診所見でfinecrackleを聴取した。間質性肺炎に対し、コハク酸メチルプレドニゾロンナトリウム1g/日(3日間)でパルス療法を開始し、その後コハク酸メチルプレドニゾロンナトリウムを漸減した。84日目、本剤、イコサペント酸エチル、シロスタゾールの投与を中止した。本剤中止1週間前後で胸部X線写真陰影は改善し、プレドニゾロン経口投与を開始した。その後プレドニゾロンを減量し、本剤中止約1ヵ月後退院した。 DLST:本剤184% イコサペント酸エチル161% シロスタゾール150% |
企業報告 |
併用薬:イコサペント酸エチル、シロスタゾール、塩酸チクロピジン、アスピリン・ダイアルミネート、ワルファリンカリウム、プロブコール、イデベノン、硝酸イソソルビド、ニコランジル、塩酸ジルチアゼム |
表1‐2症例の概要
No. | 患者 | 1日投与量 投与期間 |
副作用 | 備考 | |
---|---|---|---|---|---|
性、 年齢 |
使用理由〔合併症〕 | 経過及び処置 | |||
2 | 男 70代 |
閉塞性動脈硬化症 | 120μg 19日間 |
ベラプロストナトリウム、アルプロスタジルアルファデクス、塩酸サルポグレラート投与開始後16日目に溶血性貧血のため、アルプロスタジルアルファデクスの点滴を中止した。17日目、血痰の出現を認め、19日目、右肺野に間質性肺炎様陰影が出現した。プレドニゾロンの投与を開始し、ベラプロストナトリウムの投与を中止した。その時点では呼吸困難はなかった。本剤中止4日後、呼吸困難が強く発現し、左肺野にも間質性肺炎所見がみられたためメチルプレドニゾロンによるパルス療法を開始し、塩酸サルポグレラート投与を中止した。本剤中止5日後、左右肺野の間質性肺炎所見がやや軽減し、呼吸困難軽減するも本剤中止6日後、呼吸困難再発現し、増強したため、人工呼吸管理を行ったが、呼吸不全が改善せず死亡した。 | 企業報告 |
併用薬:アルプロスタジルアルファデクス、塩酸サルポグレラート | |||||
3 | 男 70代 |
閉塞性動脈硬化症 | 120μg 47日間 |
閉塞性動脈硬化症の患者にベラプロストナトリウム、塩酸キナプリル投与を開始し、5日目にシロスタゾールの追加投与を開始した。本剤投与開始40日目に全身倦怠感及び呼吸苦が発現した。45日目に上記症状が著明になり、47日目、胸部X線写真で右下肺野・左中下肺野に粒状影を認め、入院した。SaO252%のため酸素投与したが、胸部X線写真で更にスリガラス陰影を呈したため、すべての薬剤を中止し、コハク酸メチルプレドニゾロンナトリウムを3日間投与した。本剤中止4~6日後までにO20.5LにてPO295Torr、PCO235.5Torr、pH7.48まで回復し、胸部X線写真の陰影も改善した。本剤中止7日後のDLSTの結果、本剤249%、塩酸キナプリル144%、シロスタゾール164%であった。本剤中止19日後にプレドニゾロン投与にて全身状態良好となり、胸部X線写真でも改善がみられた。 | 企業報告 |
併用薬:塩酸キナプリル、シロスタゾール |
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クエン酸シルデナフィル(バイアグラ)と硝酸薬の併用による重篤な副作用について
(1)経緯
クエン酸シルデナフィルは、我が国において未承認の医薬品であるが、米国等においては「バイアグラ」の商品名で勃起障害治療薬として販売されている。
本剤は、米国においては医師の診断、管理下で、患者への十分な説明が行われた後に使用される薬剤とされているものであり、硝酸薬との併用が禁忌とされているが、両剤の併用によるものを含む死亡症例が多数報告されたため、米国FDA(食品医薬品局)及び本剤の販売元の米国ファイザー社が注意喚起を行っている。
一方、我が国において本剤は未承認ながら、各種報道等を通じて広く知られるところとなり、個人輸入等により少なからず国内に持ち込まれているといわれており、平成10年7月には本剤と硝酸薬を併用した患者の死亡が報告されるに至った。
今後も本剤が個人使用される可能性が懸念されることから、念のため本剤と硝酸薬との併用による重篤な副作用に関して情報提供を行うものである。
(2)本剤と硝酸薬との併用による重篤な副作用に関する情報
本剤と硝酸薬との併用による重篤な副作用に関連する情報として、米国FDA(食品医薬品局)のホームページに掲載された情報及び本剤の製造元である米国ファイザー社が医師あてに情報提供したドクターレターがあり、その仮訳を各々資料1及び資料2に掲げる。
患者が本剤を服用している、あるいはその可能性が疑われる場合等については、これらの情報を参考とされたい。
(3)本剤と硝酸薬との併用による重篤な副作用に関する国内症例
本症例は、医療機関から情報提供されたものである。
- 60代の男性で、高血圧、糖尿病、不整脈の治療中でニトログリセリン貼付剤等を使用中。
- 友人よりもらったバイアグラを1錠服用後性行為。
- 家族が異常に気づき救急隊を要請(服用約2時間20分後)。救急隊到着時点ですでに心肺停止状態。直ちに医療機関に搬送し心肺蘇生術を試みるも死亡(服用約3時間半後)。
- 死因は不明。
(4)副作用報告について
本剤を服用した患者での副作用(因果関係が不明なものを含む)を経験された医療機関におかれては、厚生省医薬安全局安全対策課(TEL 03‐3595‐2435)まで報告されたい。
資料1 FDA(米国食品・医薬品局)医薬品審査・調査センター(CDER)ホームページの情報 Postmarketing Information‐Sildenafil Citrate (Viagra) [June 8, 1998‐FDA] [http://www.fda.gov/cder/news viagrapostmarket.html] (仮訳) 市販後情報-クエン酸シルデナフィル(バイアグラ): (1998年6月8日) FDAに報告されている死亡症例のうちバイアグラが投与されていたとされるものの概要を、本日、情報公開要求に応じて掲載します。これらの報告は、既にトーク・ペーパーにより公表しているこの医薬品の安全性に関するFDAの見解を変更するものではありません。この症例概要は、単にこれらの報告に関心を持つ一般の方が容易にそれを入手できるようにするために掲載するものです。 当該症例報告を御覧になるに際しては、自発的報告システムにより集められる情報の限界について理解しておく必要があります。これらの症例の中には、報告された臨床データが不十分で報告された事象が当該医薬品により引き起こされたかを判断できないものがあります。更に、報告された事象が患者の持つ疾病によるものであったり、別の要因による場合もあります。 すなわち、寄せられた症例報告は医薬品による(副作用等の)事象の集計や、医薬品のリスク評価には使用できません。医薬品販売期間、市場占有率、市場規模、販売力、副作用の公表及び規制措置のすべてが、症例が報告されるかどうかに影響します。このデータから医薬品の安全性を比較することはできません。 副作用データベース(AERS)における報告数は、報告された副作用を経験した患者の数を意味するものではありません。これは、同一患者について複数の報告者が報告している場合や、以前報告した症例のフォローアップとして追加報告している場合、報告の重複があり得るからです。 1998年6月8日現在、バイアグラによる死亡症例として、重複しない16症例がFDAに報告されています。 症例1 63歳男性 グルコトロール(商品名。一般名:グリピジド)、アロプリノール及びアスピリンによる治療中。II型糖尿病、高コレステロール血症、高血圧及び発作型心房細動の既往あり。バイアグラ服用及び性行為から約1時間後に出血性拍出を来す。病院にて患者の様態が悪化し死亡。死因不詳。 症例2 62歳男性 ジゴキシン、インスリン及び降圧剤による治療中。糖尿病、鬱血性心不全、不整脈及び肺線維症の病歴あり。バイアグラを1回服用後(性行為はなし)30分ないし1時間後、首がうな垂れ、呼吸が停止していた。救急治療室搬入時、無呼吸、無脈。蘇生術奏効せず。死因は心筋梗塞、うっ血性心不全及び高血圧とされている。 症例3 64歳男性 イムダー(商品名。一般名:一硝酸イソソルビド)による治療中。心筋症、冠状動脈疾患、成人型糖尿病の既往及び狭心症を疑う既往あり。バイアグラを1回服用、性行為を行い失神。蘇生術奏効せず。死因は心室性不整脈及び心筋虚血とされている。 症例4 60歳男性 治療歴、併用薬不明。バイアグラを処方された後に死亡。服薬状況不明。死因不詳。 症例5 バイアグラを服用している患者が死亡した旨を報告者が報道で知った症例。 症例6 73歳男性 ハイトリン(塩酸テラゾシン)による治療中。高血圧の既往あり。2度目のバイアグラを服用後、性行為中に意識消失。脳幹出血と心筋梗塞を起していることが病院で判明。意識が戻らず死亡。死因不詳。 症例7 73歳男性 併用薬不明。心筋梗塞の既往あり。バイアグラ服用後、胸痛、低血圧及び第3度房室ブロックにより入院。蘇生術に反応せず、入院数時間後に死亡。性行為についての情報なし。死因不詳。 症例8 48歳男性 併用薬不明。糖尿病の既往あり。バイアグラ服用後、性行為中胸痛出現。救急車内でニトログリセリンを投与され、胸痛がおさまり30分間は容体が安定。胸痛再発し、心停止に至る。救急治療室にて死亡。死因不詳。 症例9 バイアグラを服用した後、胸痛があり、ニトログリセリンを舌下服用した者が死亡した旨の報道があったと報告された症例。性行為に関する情報なし。後に患者は死亡。死因不詳。 症例10 バイアグラを服用している患者が死亡した旨を報告者が報道で知った症例。性行為に関する情報なし。 症例11 74歳男性 グリプライド、ハイトリン(商品名。一般名:塩酸テラゾシン)、グルコファージ(商品名。一般名:塩酸メトホルミン)及びコザール(商品名。一般名:ロサルタンカリウム)で治療中。II型糖尿病、高血圧及び黒色腫の既往あり。報告された副作用は、夜バイアグラを服用後、翌朝突然死したというもの。性行為に関する情報なし。死因は心肺停止とされている。 症例12 80歳男性 ハイトリン(商品名。一般名:塩酸テラゾシン)による治療中。持続型心房細動及び良性前立腺肥大の既往あり。性行為中に突如意識消失。死因不詳。 症例13 57歳男性 併用薬及び治療歴不明。バイアグラの1回服用後、性行為に及ぶ。直後に激しい胸痛を覚える。ニトログリセリンを投与される。救急治療室にて死亡。死因不詳。 症例14 70歳男性 カルジゼム(商品名。一般名:塩酸ジルチアゼム)、テノーミン(商品名。一般名:アテノロール)及びシンスロイド(商品名。一般名:レボチロキシンナトリウム)による治療中。冠動脈疾患、高血圧及び甲状腺機能低下症の既往あり。バイアグラ服用後死亡。死亡日は不明。性行為に関する情報なし。死因不詳。 症例15 67歳男性 カプトプリル、プラバコール、アテノロール及びアスピリンによる治療中。心疾患、高血圧及び高コレステロール血症の既往あり。バイアグラ服用、性行為後1時間ないし1時間半後に死亡。患者は(顔面)蒼白、呼吸困難に陥った。病院到着時には既に死亡。死因不詳。 症例16 インシュリンによる治療中の53歳の男性がバイアグラ使用後に死亡したとの報告症例。性行為に関する情報なし。死因不詳。 Summary of Death Reports in Viagra Users Received from Marketing [July 21, 1998‐FDA] [http://www.fda.gov/cder/consumerinfo/viagra/viagraupdate721.htm(抜粋)] (仮訳) 市販開始(1998年3月下旬)から6月までにおける (1998年7月21日) バイアグラは、1998年3月末の発売以来6月までの間、270万処方が調剤されているが、この間に、バイアグラを処方された後に死亡した77症例がFDAに報告されている。このうち6例は外国における症例であり、24例は不確実な報告(風聞、噂、マスコミ、報告者がわからない)であった。更に、8例はバイアグラの服用は不明とされており、残り39例が米国におけるバイアグラ服用後の死亡症例である。これらの39例の死因は、13例が不明、2例が脳卒中、24例が心臓への影響(10例が心筋梗塞又はその疑い、9例が心停止、3例が心疾患の徴候、2例が冠状動脈疾患)であった。 米国における39例はすべて男性であった。年齢が特定されているのは31例であり、平均年齢は66才(中央値64才年齢域48~87才)であった。18例で投与量が報告されており、1例を除き50mgが投与されていた。6例でバイアグラとは併用禁忌であるニトログリセリン又は硝酸系製剤の投与を受けていた。性行為に関する情報のある報告症例において、14例は性行為の最中か2時間以内に、また3例では2時間以降に、死亡又は致死的な徴候が発現していた。39例中33例(85%)は冠状動脈疾患の危険因子(高血圧、高コレステロール血症、喫煙、糖尿病、肥満、心疾患の既往歴)を1つ以上有していた。また、心疾患や危険因子を持っていると診断されたことのなかった患者で、剖検により重篤な冠状動脈疾患が見つかったものが1例あった。 他の既承認薬の場合と同様、FDAは引き続き死亡や重大な副作用の報告を注意深く検討することでバイアグラの市販後の安全性を監視するとともに、より一層の規制措置の必要性について引き続き評価していく。 |
資料2 米国ファイザー社のバイアグラ(Viagra)に関するドクターレター (仮訳) 1998年5月 医師の皆様へ 米国ファイザー医薬事業部Sexual Healthチームのメディカル・ディレクターとして、また、救急医療認定医としてこの手紙を発信します。周知の通り、PDE‐5(cGMP‐specific type 5 phosphodiesterase)の阻害剤であるバイアグラ(成分名:クエン酸シルデナフィル)がファイザー社により発見・開発され、男性の勃起不全(erectile dysfunction:ED)治療薬としてFDAにより承認されました。添付文書にバイアグラの併用禁忌薬剤として硝酸薬(organic nitrate)が挙げられていることもご存知のことと思います。ファイザー社は、これらとバイアグラとの併用が不注意により起こり得ることがあり、救急医療現場において、こうした患者さんが診断や治療を受ける可能性があることを認識しております。ファイザー社は、勃起不全というこの薬の適応症を考えますと、救急医療に従事する医師の皆様が必ずしもバイアグラに関連する情報をルーチンに受けることがあまり期待出来ないと考え、また、弊社にすでに幾つかの質問が寄せられたこともあり、この手紙をすべての救急医療に従事する医師の皆様にお送りすることが当薬剤を服用する患者さんの安全のために重要なことと考え、発信することにいたしました。 添付文書に加え、ここに「一酸化窒素と血圧調整」と題した文書を同封し、追加情報を皆様にお知らせいたします。注意深くお読みいただいた上、周囲の方々にも内容を徹底していただきたく存じ上げます。この中では、二重盲検によるプラセボ・コントロール試験としてニトログリセリン舌下錠ないしは硝酸イソソルビドとの相互作用に関する臨床試験を行い、バイアグラ服用患者に起きた血圧の急激かつ大幅な低下の幾つかの症例データが得られたことをお示しし、禁忌となった背景である生理学上のメカニズムを説明しています。米国において一般的に処方されている短時間作用型及び長時間作用型硝酸薬のリストも添付してあります。 性行為が一般的に心臓の活動及び心筋の酸素消費量を増やすことはよく知られています。このため、添付文書中の「一般的注意事項(Precautions:General)」の記載にある通り、医師の皆様におかれましてはバイアグラの処方を検討している患者さんの循環器系の状態を考慮していただきたいこと、また特に、どのような剤形や頻度であれ、硝酸薬(organic nitrates)を服用する患者さんにはバイアグラを処方しないでいただきたいことをお知らせしております。私たちは適切な診断と治療を行うために、併用禁忌に関する事項について救急医療に携わる医師の皆様の注意を喚起したいケースをいくつか考えてみました。
加えて、FDAによるバイアグラの承認は男性のED治療としてのみ承認されていますが、女性が自分自身の判断又は医師による適用外処方で服用するケースがあり得ます。したがって、以上に述べましたことは主に男性に起こり得るものですが、このような適用外使用が続けば、女性にも同様の事象が起こることが考えられます。 Rechard L. Siegel, M.D. 一酸化窒素と血圧調節
シルデナフィルと硝酸薬以外の血管拡張薬との併用 硝酸薬を投与されている患者さんにおける血圧低下をシルデナフィルが増強し得るという現象は、その他の血管拡張薬では見られておりません。シルデナフィルの臨床試験(フェーズII・III)における安全性データを見ますと、高血圧治療薬を服用している患者さんにシルデナフィルを併用しても血圧低下に伴う症状(めまい等)を悪化するリスクは高くありませんでした。 代表的な硝酸薬(organic nitrate)のリスト (米国、商品名は省略) ニトログリセリン(Nitroglycerin) 一硝酸イソソルビド(Isosorbide Mononitrate) 硝酸イソソルビド(Isosorbide Nitrate) 四硝酸五エリスリトール(Pentaerythritol Tetranitrate) 四硝酸エリスリチル(Erythrityl Tetranitrate) 二硝酸イソソルビド/フェノバルビタール(Isosorbide Dinitrate/Phenobarbital) 有機硝酸(organic nitrate)を含む違法な物質 硝酸アミル、亜硝酸アミル(時として乱用され、"poppers"等の種々の名前で呼ばれる) 硝酸ブチル |
使用上の注意の改訂について(その109)
医薬品等安全性情報No.148掲載分以降に改訂を指導した使用上の注意について、改訂内容、主な該当商品名、参考文献等をお知らせいたします。
1 〈プロトンポンプインヒビター〉 ランソプラゾール |
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[販売名] | タケプロン(武田) |
[副作用 (重大な副作用)] |
中毒性表皮壊死症(Lyell症候群)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens‐Johnson症候群)(0.1%未満)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。 間質性肺炎(0.1%未満)があらわれることがあるので、発熱、咳嗽、呼吸困難、肺音の異常(捻髪音)等があらわれた場合には、速やかに胸部X線等の検査を実施し、本剤の投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。 |
〈参 考〉 | 企業報告 |
2 〈経口プロスタサイクリン(PGI2)誘導体製剤〉 ベラプロストナトリウム |
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[販売名] | ドルナー(東レ)、プロサイリン(科研) |
[副作用 (重大な副作用)] |
間質性肺炎(頻度不明):間質性肺炎があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。 |
3 〈全身麻酔剤〉 亜酸化窒素 |
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[販売名] | 笑気ガス(昭和電工)他 |
[慎重投与] | 耳管閉塞、気胸、腸閉塞、気脳症等、体内に閉鎖腔のある患者[閉鎖腔内容量及び内圧が変化する。] |
[その他] | 仰臥位での開頭術において、本剤の体内閉鎖腔内圧上昇作用により術後に緊張性気脳症が発症したとの報告がある。 |
〈参 考〉 | 吉田一博他:日本臨床麻酔学会誌、4(3):235(1984) |
4 〈ベンズアゾシン系鎮痛剤〉 ペンタゾシン(注射剤) |
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[販売名] | ペンタジン(三共)他 | |
[禁忌] |
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[慎重投与] | 肝機能障害のある患者[本剤の作用が増強するおそれがある。] 高齢者(「高齢者への投与」の項参照) |
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[重要な基本的注意] | 本剤の大量投与により薬物依存を生ずることがあるので、観察を十分に行い慎重に投与すること(「副作用」の項参照)。 | |
[相互作用 (併用注意)] |
モルヒネ製剤[本剤の作用が増強されることがある。併用が必要な場合には、一方又は両方の投与量を必要に応じて減らすこと。また、本剤は高用量において、モルヒネの作用に拮抗することがあるので、通常、モルヒネとの併用は避けること。] 中枢性鎮痛剤(塩酸ブプレノルフィン、臭化水素酸エプタゾシン、酒石酸ブトルファノール等)[本剤の作用が増強されることがある。併用が必要な場合には、一方又は両方の投与量を必要に応じて減らすこと。] ベンゾジアゼピン誘導体・その他の鎮痛剤(ジアゼパム、ニトラゼパム、メタゼパム等)[本剤の作用が増強されることがある。併用が必要な場合には、一方又は両方の投与量を必要に応じて減らすこと。] 中枢性薬剤(睡眠剤等)(バルビツール酸誘導体(フェノバルビタール等))[本剤の作用が増強されることがある。併用が必要な場合には、一方又は両方の投与量を必要に応じて減らすこと。] アルコール[本剤の作用が増強されることがある。併用が必要な場合には、一方又は両方の投与量を必要に応じて減らすこと。] セロトニン神経系賦活作用を有する抗うつ剤(塩酸アミトリプチリン、塩酸サフラジン等)[抗うつ剤の作用が増強され、不安感、悪心、発汗、潮紅等が起こるおそれがある。併用が必要な場合には、一方又は両方の投与量を必要に応じて減らすこと。] 動物実験(ウサギ)においてサリチルアミドとの併用によりペンタゾシンのCmaxが約2倍程度高くなり、サリチルアミドのCmaxは過剰のペンタゾシンを併用することにより約2.5倍となるとの報告があるので、併用しないことが望ましい。 また、やむを得ず併用する場合には本剤を減量するなど注意すること。 |
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[副作用 (その他の副作用)] |
血液:白血球減少 過敏症:顔面浮腫、発赤 |
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[高齢者への投与] | 低用量から投与を開始するとともに、投与間隔を延長するなど慎重に投与すること[高齢者では高い血中濃度が持続する傾向等が認められている。](「薬物動態」の項参照)。 | |
[過量投与] | 症状:傾眠、呼吸抑制、血圧低下等を起こすことがあり、重症の場合には、循環不全、昏睡、痙攣等を起こすことがある。 処置:十分な呼吸維持と循環器系の補助療法を行う。痙攣に対する治療は必須であり、中枢神経抑制作用に対してナロキソン投与を行う。 |
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〈参 考〉 | 企業報告 |
5 〈片頭痛治療剤、起立性低血圧・血管性頭痛用剤〉 メシル酸ジヒドロエルゴタミン |
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[販売名] | ジヒデルゴット(ノバルティス)他 | |
[禁忌] |
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[相互作用 (併用しないこと)] |
リトナビル、ネルフィナビル[本剤の血中濃度が大幅に上昇し、血管攣縮等の重篤な副作用を起こすおそれがある。] | |
〈参 考〉 | 企業報告 |
6 〈片頭痛治療剤、起立性低血圧・血管性頭痛用剤〉 酒石酸エルゴタミン・無水カフェイン、酒石酸エルゴタミン・無水カフェイン・イソプロピルアンチピリン |
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[販売名] | カフェルゴット(ノバルティス)他、クリアミン(ガレン) | |
[禁忌] |
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[相互作用 (併用しないこと)] |
リトナビル、ネルフィナビル[エルゴタミンの血中濃度が大幅に上昇し、血管攣縮等の重篤な副作用を起こすおそれがある。] | |
〈参 考〉 | 企業報告 |
7 〈精神神経用剤〉 ペモリン |
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[販売名] | ベタナミン(三和化学) | |
[禁忌] |
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[慎重投与] | 肝機能障害又はその既往歴のある患者[肝機能障害が強くあらわれるおそれがある。]重篤な腎機能障害のある患者[本剤は主に腎で排泄されるため副作用が強くあらわれるおそれがある。] | |
[副作用 (重大な副作用)] |
重篤な肝障害:肝不全を起こすことがあるので、定期的に肝機能検査を行うなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。 薬物依存:長期投与により薬物依存を生じることがあるので、長期投与する場合には観察を十分に行い、症状があらわれた場合には適切な処置を行うこと。 |
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[副作用 (その他の副作用)] |
精神神経系:めまい、幻覚、興奮、不安、刺激性、不眠、焦燥感、頭痛、逆説的傾眠、肩こり 消化器:胃部不快感、口渇、食欲不振、嘔気、便秘 その他:疲労、発汗 |
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[小児等への投与] | 小児等へ投与する場合には慎重に投与すること。[外国で小児への投与により致死的な急性肝不全が起こったとの報告、また、長期投与により発育抑制があらわれたとの報告がある。] | |
〈参 考〉 | Jaffe, S.L., et al.:J.Am. Acad. Child. Adolesc. Psychiatry, 28(3):457(1989) Berkovitch, M., et al.:Clin. Pharmacol. Ther., 57(6):696(1995) Rosh, J.R., et al.:Pediat. Res., 41(4, Part) :87A(1997) Avery:Tenn. Med., 90(8):311(1997) Susan, E.P., et al.:JAMA, 254:946(1985) 企業報告 |
8 〈重症筋無力症・排尿障害治療剤〉 臭化ジスチグミン(経口剤) |
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[販売名] | ウブレチド(鳥居)他 | |
[禁忌] |
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9 〈耳鼻科用剤〉 塩酸セフメノキシム(耳鼻科用剤) |
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[販売名] | ベストロン(千寿) |
[副作用 (その他の副作用)] |
呼吸器:喘鳴、咳嗽、呼吸困難等を起こすことがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。 |
〈参 考〉 | 企業報告 |
10 〈アンジオテンシン変換酵素阻害剤〉 塩酸イミダプリル |
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[販売名] | タナトリル(田辺製薬)他 |
[用法・用量に関連する 使用上の注意] |
クレアチニンクリアランスが30mL/分以下、又は血清クレアチニンが3mg/dL以上の重篤な腎機能障害のある患者では、投与量を半量にするか、若しくは投与間隔をのばすなど慎重に投与すること。[排泄の遅延による過度の血圧低下及び腎機能を悪化させるおそれがある。](「慎重投与」及び「薬物動態」の項参照) |
[慎重投与] | (重篤な腎機能障害のある患者[血中濃度が上昇するおそれがあるので、血清クレアチニン値が3mg/dL以上の場合には、投与量を減らすか又は投与間隔をのばすなど慎重に投与する。]を削除) 腎機能障害のある患者(「用法・用量に関連する使用上の注意」及び「重大な副作用」の項参照) 脳血管障害のある患者[過度の降圧が脳血流不全を惹起し、病態を悪化させることがある。] |
[相互作用 (併用注意)] |
他の降圧作用を有する薬剤(降圧剤、硝酸剤等)[降圧作用が増強することがある。定期的に血圧を測定し、両剤の用量を調節する。] |
[副作用 (重大な副作用)] |
まれに急性腎不全、また、腎機能障害の増悪があらわれることがあるので、腎機能検査を行うなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。 |
[副作用 (重大な副作用:類薬)] |
他のアンジオテンシン変換酵素阻害剤で、膵炎があらわれたとの報告があるので、血中のアミラーゼ、リパーゼの上昇等が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。 |
[副作用 (その他の副作用)] |
精神神経系:眠気、頭痛、ふらつき、めまい、立ちくらみ、不眠等 呼吸器:咳、咽頭部異和感・不快感、痰、嗄声 消化器:悪心、嘔気、嘔吐、胃部不快感、腹痛、食欲不振、下痢等 肝臓:GOT、GPT、Al‐P、LDHの上昇、黄疸等 過敏症:光線過敏症、発疹、・痒 その他:しびれ、倦怠感、顔面潮紅、血清カリウムの上昇、浮腫、味覚異常 |
〈参 考〉 | Hoogkamer, J.F.W., et al.:Eur. J. Clin. Pharmacol., 50(6):531(1996) 企業報告 |
11 〈低血圧治療剤〉 塩酸ミドドリン |
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[販売名] | メトリジン(大正製薬)他 | |
[禁忌] |
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[慎重投与] | 前立腺肥大に伴う排尿困難のある患者[本剤が膀胱頚部のα受容体に作用するため、排尿困難を悪化させるおそれがある。] | |
[重要な基本的注意] | 外国において、神経原性起立性低血圧に対する二重盲検試験が実施された。臥位血圧が過度に上昇した症例が報告されているので注意すること。動悸、頭痛などの症状は臥位血圧の上昇による場合が考えられる。臥位血圧の上昇は本剤の減量、又は頭部を高くして寝ることで調節できるが、臥位高血圧が続く場合には投与を中止すること。 | |
[副作用 (その他の副作用)] |
消化器:悪心、腹痛、嘔吐、口内炎、腹部膨満感、便秘、下痢 その他:ほてり感、悪寒、倦怠感、頻尿、発汗亢進、肩こり、異常感覚、排尿困難 中枢神経系:頭痛、めまい 皮膚:発疹、立毛感、・痒感、蕁麻疹、発赤 |
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〈参 考〉 | 企業報告 |
12 〈H2受容体拮抗剤〉 シメチジン(注射剤) |
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[販売名] | タガメット注射液(スミスクライン・ビーチャム)他 |
[重要な基本的注意] | 急速な静脈内注射により、まれに不整脈、血圧低下を起こすことが報告されているので、静脈内注射する場合は、できるだけ時間をかけて緩徐に行うこと(本剤を5分かけて静脈内投与した後の血圧低下の程度は、2分かけて投与した後と比較し小さかった)。なお、心血管疾患のある患者、全身状態の悪い患者、術後の患者には、点滴静注すること。 |
[相互作用 (併用注意)] |
クマリン系抗凝血剤(ワルファリン)、ベンゾジアゼピン系薬剤(ジアゼパム、トリアゾラム)、抗てんかん剤(フェニトイン、カルバマゼピン)、三環系抗うつ剤(イミプラミン)、β‐遮断剤(プロプラノロール、メトプロロール、ラベタロール)、カルシウム拮抗剤(ニフェジピン)、抗不整脈剤(リドカイン)、キサンチン系薬剤(テオフィリン、アミノフィリン)、プロカインアミド、エリスロマイシン[(臨床的影響(副作用)が報告されている薬剤)これらの医薬品の血中濃度を高めることが報告されているので、これらの医薬品を減量するなど慎重に投与すること。] |
[副作用 (重大な副作用)] |
房室ブロック等の心ブロック:房室ブロック等の心ブロック(0.1%未満)があらわれることがあるので、このような場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。 |
[副作用 (その他の副作用)] |
過敏症:発疹、末梢神経障害(過敏性血管炎に基づく末梢神経障害が報告されている。) (これらの症状があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。) 循環器:頻脈、徐脈、動悸 |
〈参 考〉 | Kirch, W., et al.:Klin. Wochenschr., 60:1401(1982) 企業報告 |
13 〈H2受容体拮抗剤〉 シメチジン(経口剤) |
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[販売名] | タガメット(スミスクライン・ビーチャム)他 |
[相互作用 (併用注意)] |
クマリン系抗凝血剤(ワルファリン)、ベンゾジアゼピン系薬剤(ジアゼパム、トリアゾラム)、抗てんかん剤(フェニトイン、カルバマゼピン)、三環系抗うつ剤(イミプラミン)、β‐遮断剤(プロプラノロール、メトプロロール、ラベタロール)、カルシウム拮抗剤(ニフェジピン)、抗不整脈剤(リドカイン)、キサンチン系薬剤(テオフィリン、アミノフィリン)、プロカインアミド、エリスロマイシン[(臨床的影響(副作用)が報告されている薬剤)これらの医薬品の血中濃度を高めることが報告されているので、これらの医薬品を減量するなど慎重に投与すること。] |
[副作用 (重大な副作用)] |
房室ブロック等の心ブロック:房室ブロック等の心ブロック(0.1%未満)があらわれることがあるので、このような場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。 |
[副作用 (その他の副作用)] |
過敏症:発疹、末梢神経障害(過敏性血管炎に基づく末梢神経障害が報告されている。) (これらの症状があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。) 循環器:頻脈、徐脈、動悸 |
〈参 考〉 | Kirch, W., et al.:Klin. Wochenschr., 60:1401(1982) 企業報告 |
14 〈抗悪性腫瘍剤〉 ダカルバジン |
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[販売名] | ダカルバジン注協和(協和醗酵) |
[副作用 (重大な副作用)] |
アナフィラキシーショックがあらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し適切な処置を行うこと。 |
〈参 考〉 | 企業報告 |
15 〈抗結核抗生物質〉 リファンピシン |
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[販売名] | リマクタン(チバガイギー)他 | |
[禁忌] |
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[相互作用 (併用禁忌)] |
ネルフィナビル[ネルフィナビルの作用が減弱するおそれがある。] | |
[相互作用 (併用注意)] |
本剤の肝代謝酵素誘導作用により、下記薬剤の作用を減弱させることがある。 クマリン系抗凝血剤 経口糖尿病用剤 シクロスポリン、タクロリムス テオフィリン ジギタリス製剤、抗不整脈剤(キニジン、塩酸メキシレチン、ジソピラミド、プロパフェノン、塩酸ピルジカイニド)、カルシウム拮抗剤(ベラパミル、ニフェジピン等)、ブナゾシン、β‐遮断剤(メトプロロール、プロプラノロール等)、マレイン酸エナラプリル、クロフィブラート副腎皮質ステロイド剤ジアフェニルスルホン、クロラムフェニコール、ドキシサイクリン、アゾール系抗真菌剤(フルコナゾール等)、テルビナフィン、ジドブジン、リトナビルフェニトイン、ベンゾジアゼピン系薬剤(ジアゼパム、ミダゾラム、トリアゾラム等)、ゾピクロン、三環系抗うつ剤(ノルトリプチリン等)トロピセトロン |
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〈参 考〉 | Yuen, G.J., et al.:Clin. Pharmacol. Ther., 61:147(1997) Villikka, K., et al.:Br. J. Clin. Pharmacol., 43:471(1997) |
16 〈インターフェロン製剤〉 注射用乾燥インターフェロン‐β |
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[販売名] | フエロン(東レ)他 |
[副作用 (重大な副作用)] |
皮膚粘膜眼症候群(Stevens‐Johnson症候群)(0.1%未満) |
〈参 考〉 | 企業報告 |
17 〈非イオン性MRI用造影剤〉 ガドテリドール |
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[販売名] | プロハンス注(ブリストル・マイヤーズ スクイブ) |
[副作用 (重大な副作用)] |
痙攣発作:痙攣発作があらわれることがあるので、発現した場合はフェノバルビタール等バルビツール酸誘導体又はジアゼパムを投与するなど、適切な処置を行うこと。 |
〈参 考〉 | 企業報告 |
医薬品等安全性情報No.148正誤表
ページ | 誤 | 正 |
10 | 2 乾燥弱毒生風しんワクチン他 [副反応] |
2 乾燥弱毒生風しんワクチン他 [副反応]の枠外に 「ただしDPTワクチンの頻度は1000万人 接種あたり1人程度、他はすべて同文。」を 追記する。 |
17 | 22 一般用医薬品 小柴胡湯配合製剤 [販売名] 小柴胡湯エキス顆粒(ツムラ) |
22 一般用医薬品 小柴胡湯配合製剤 [販売名] ルルAシロップ小児用(三共)他 |
26 | 58〈HIV逆転写酵素阻害剤〉 | 〈HIVプロテアーゼ阻害剤〉 |
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