独立行政法人 医薬品医療機器総合機構
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安全対策業務

第30回ジェネリック医薬品品質情報検討会

開催日時等

 日時 2023年1月30日(月曜日) 14時から16時10分
 場所 AP虎ノ門 Room A 及び web
 

出席委員等(敬称略)

委員 (16名)

合田幸広(座長)、宮川政昭、澤木康平、橋場元、東光久、荒戸照世、石井伊都子、伊藤清美、奥田晴宏、西島正弘、檜垣和孝、南博信、武藤正樹、守安貴子、四方田千佳子、渡邊善照

欠席委員 (0名)

なし

参考人

吉野文枝(日本製薬団体連合会)、大野公嗣、浅見宗俊(日本ジェネリック製薬協会)、永井祐子(日本バイオシミラー協議会)

事務局

国立医薬品食品衛生研究所

本間正充(副所長)、伊豆津健一、吉田寛幸、小出達夫、坂本知昭、原矢祐樹、森田時生(薬品部)、石井明子、橋井則貴、柴田寛子、多田稔(生物薬品部)

国立感染症研究所

鈴木里和(薬剤耐性研究センター)、星野泰隆(真菌部)

厚生労働省

吉田易範、林亜紀子、杉山真麻子、竹野伸洋、湯本貴文(医薬品審査管理課)、藤井大資、西村昌洋(監視指導・麻薬対策課)、豊田有彩(医薬安全対策課)

医薬品医療機器総合機構

倉持憲路、佐野幸恵、小川卓巳(ジェネリック医薬品等審査部)、栗林亮佑(再生医療製品等審査部)、北原淳、木村絵梨、前川佳子、樋口優紀子(安全性情報・企画管理部)

 

審議概要

(1)開会

 委員16名で開会が告げられた。
 検討会の広報を目的として作成されたクリアファイルについて参加者に提示された。今後学会等で医療関係者に配布し、検討会の活動の周知に利用することが報告された。

(2)2021年度「後発医薬品品質確保対策事業」検査結果報告(案)について

 2021年度「後発医薬品品質確保対策事業」として都道府県等の協力により実施された医薬品等一斉監視指導の検査結果について、552品目48有効成分の溶出試験、崩壊・定量・純度・力価試験、およびバイオ後続品の生物活性等試験に係る検査等の結果が報告された(資料30-1)。
 48有効成分551品目は承認書に定める規格に適合したが、パンテチン細粒20%「KN」について溶出試験で規格値を下回る結果となった。都道府県により当該品目の製造販売業者及び製造業者に対する立入等調査が実施され、溶出試験法について製造販売承認書で引用する公的試験法との軽微な相違が見られたものの、当該相違が不適合となった原因とは判断できなかった。本製品については既に自主回収が行われていること、および溶出性が承認規格を下回った場合においてもその程度はわずかであることから、重大な健康被害が発生する恐れはないとの製造販売業者の見解が報告された。
 以上の内容について、確認され了承された。

(3)学会等での発表・研究論文について

 後発医薬品及びバイオシミラー(対象期間:2022年4月から2022年9月)に関する文献及び学会発表(資料30-2、資料30-3)について報告された。
 後発医薬品に関しては、当該期間に問題を指摘する文献がないことが報告された。
 リツキシマブバイオシミラーについては、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫の初発患者において、リツキシマブ先行品使用群に比べてリツキシマブバイオシミラー使用群のInfusion reaction 発現率が高い傾向にあることが報告された。一方で、症例数が少ないこと、および群ごとのリスク因子に関する具体的な記載がないことから、学会抄録のみで議論をすることは難しい点が指摘された。今後より詳しい情報を収集できるよう検討するとの説明があり、了承された。

(4)(独)医薬品医療機器総合機構の後発医薬品相談窓口相談について

 2022年度上半期の医薬品医療機器総合機構への相談内容について報告された(資料30-4)。
 ヘパリン類似物質油性クリームの先発品と後発品の保湿作用の差に関する相談について、同製剤の開発時には保湿効果を指標とした生物学的同等性試験が実施されていることが製造販売業者の見解として説明された。一方で、事例のように半固形の皮膚適用製剤では製品間で効果についての患者の実感の差異を指摘する報告が散見されるため、これらの製剤については、生物学的同等性試験において臨床の評価を重視する方向で検討を進めていることが事務局より説明された。
 催眠鎮静剤・抗不安剤であるアルプラゾラム錠で、割線のある先発品から割線のない後発品へ変更された事例が報告された。当該医薬品は複数品目が承認されている先発品の銘柄によって割線のある製剤とない製剤が存在し、この事例で用いられた後発品は割線のない先発品に対応して開発された製剤であった。同様な医薬品においては、医療現場と薬局間での情報共有が望まれるとともに、後発医薬品の開発段階において、先発品の割線の有無や使用方法が適切に考慮されるよう、承認審査の過程においても確認する方向で検討することとされた。
 以上の内容について、確認され了承された。

(5)ジェネリック医薬品品質情報検討会開催後の改善状況

 第21回検討会から第29回検討会において検討され、課題が指摘された製剤のその後の改善状況について報告された(資料30-5)。各メーカーにより品質改善の対応がなされた製剤については、次年度に製剤試験WGにおいて確認のための品質評価を実施することとなった。一部製品は、先発品との生物学的同等性を確認した自社製品と溶出挙動が類似の範囲にあることが報告された。
 以上の内容について、了承された。

(6)2023年度製剤試験WGの検討対象候補品目リスト

 2023年度製剤試験WGの検討対象候補品目リスト(資料30-6)について、治療領域別に選定するほか、過去の後発医薬品品質確保対策事業の結果等を考慮して選定した旨、事務局から報告された。
 以上の内容について、了承された。

(7)その他

 本検討会の成果をまとめた総説二報が紹介され、引き続き学会誌等への公表により周知を進めていくことが確認された。
 委員より、ブルーブックの共同開発品に関する情報について、より明確にされたいとの利用者の意見が伝えられた。事務局より、記載内容と方法の改善を業界団体の意見も踏まえつつ、WGで検討するとの回答があった。
 また、昨今の連鎖的な回収の要因となった後発品メーカーの不祥事に関して、品質試験等から事前に検出することはできなかったのか、との質問が出された。事務局より、この10年間に行われた流通品の公的試験等で品質に課題があるとされた製剤が多いと報告されている製造所において、重大な製造管理の問題が発覚していること、昨年度から実施されている厚生労働省の総合対策の中で、製品の品質試験と製造所のGMP調査との連携を強化していることなどが説明された。また、審査において各社の製造品目数、製造量等に見合った製造・品質管理体制が確保されていることを確認するとともに、共同開発品については承認申請者の責任及び承認申請資料の信頼性の確認を実施しているとの説明があった。多くの委員より、本検討会が後発品の品質に関して専門的見地からの検討や提案を行っていくことが重要であるとの意見が出された。
 最後に、本会をもって退任する委員4名より退任の挨拶があった。医療における後発医薬品の重要性が検討会の設置時から格段に増した中で、2020年から製造管理や供給の問題が連続して発生していることを受け、製品品質に対する信頼回復に向けた本検討会の役割に対する期待が示された。
 

提出資料

  1. 議事次第
  2. ジェネリック医薬品品質情報検討会メンバー
  3. 資料30-1 令和3年度「後発医薬品品質確保対策事業」検査結果報告書
  4. 資料30-2-1 後発医薬品文献調査報告書(概要)
  5. 資料30-2-2 後発医薬品文献調査結果のまとめ
  6. 資料30-2-3 後発医薬品味覚・使用感関係その他論文集(著作権の関係で掲載できません。)
  7. 資料30-3-1 バイオシミラー文献調査報告書(概要)
  8. 資料30-3-2 バイオシミラー文献調査結果のまとめ
  9. 資料30-3-3 バイオシミラー問題指摘論文集(著作権の関係で掲載できません。)
  10. 資料30-4 医薬品医療機器総合機構後発医薬品相談受付状況
  11. 資料30-5 ジェネリック医薬品品質情報検討会開催後の改善状況
  12. 資料30-6 令和5年度製剤試験WGの対象候補品目リスト
  13. 参考資料1 後発医薬品の継続的な品質改善に向けたジェネリック医薬品品質情報検討会の取り組み(医療薬学 48(10)431-442(2022)) (著作権の関係で掲載できません。)
  14. 参考資料2 医療用医薬品の品質問題と安定供給 (YAKUGAKU ZASSHI 143(2)139-152(2023))(pdf)