2024年4月16日
独立行政法人 医薬品医療機器総合機構
1. 調査対象の範囲
公財)日本医療機能評価機構による薬局ヒヤリ・ハット事例収集・分析事業において収集され評価機構ホームページで公表されている事例から、以下のとおり抽出した全1,788事例。
2023年1月1日から2023年6月30日までに報告された、事例の区分が「調剤に関するヒヤリ・ハット事例」(以下、「調剤」という。)及び「疑義照会や処方医への情報提供に関する事例」(以下、「疑義照会」という。)49,807事例のうち、発生要因が「医薬品の名称類似」、「医薬品や包装の外観類似」または「医薬品包装表示・添付文書の要因」のいずれかに該当する3,388事例から、以下の事例を抽出。
(1)事例の区分「調剤」では、「事例の内容」が「規格・剤形間違い」又は「薬剤取違え(同成分)」のいずれにも該当しない事例。
(2)事例の区分「疑義照会」では、「仮に変更前の処方通りに服用した場合の患者への影響」については「患者に健康被害が生じたと推測される」に該当する事例、「処方通りに服用した患者への影響」については「患者に健康被害があった」に該当する事例。
2. 検討方法
薬局ヒヤリ・ハットの事例について、医薬品の使用方法及び名称・包装等の観点から安全管理対策に関する専門的な検討を行うため、各医療関係職能団体代表、学識経験者等の専門家及び製造販売業者の代表から構成される標記検討会を開催し、医薬品の物的要因に対する安全管理対策について検討した。
3. 調査結果
医薬品の製造販売業者等による安全使用対策の必要性の有無について、1,788事例のうち処方箋からの保険者番号等の転記ミスや調剤報酬の算定誤り等を除いた1,780事例の調査結果を表1に示す。
類型 | 調査結果 | 事例数 | 割合 |
---|---|---|---|
I | 製造販売業者等により、速やかに新たな対策をとる必要がある事例 | 0 | 0% |
II | 製造販売業者等により、既に対策がとられている事例、または既に対策が検討されている事例 | 118 | 6.6% |
III | 上記以外の事例(事例の集積が必要な事例、ヒューマンエラーによる事例など) | 1,662 | 93.4% |
計 | 1,780 | 100% |
4. 調査結果の内訳
- 製造販売業者等により、既に対策がとられている事例、または既に対策が検討されている事例(別添1[595.12KB])
- 一般名称類似による取違え等の事例(1から34番、63番、70から77番、91から92番)
- 選択的DPP-4阻害剤/SGLT2阻害剤 配合剤-2型糖尿病治療剤-とSGLT2阻害剤との販売名類似による取違え等の事例(35から37番、78番)
- 月経困難症治療剤と子宮内膜症に伴う疼痛改善剤・月経困難症治療剤との取違え等の事例(38から41番、79番)
- アスピリン/ランソプラゾール配合剤とカリウムイオン競合型アシッドブロッカー-プロトンポンプインヒビター-との販売名類似による取違え等の事例(42番、80から82番)
- 抗乳癌剤と高血圧症・狭心症治療薬、持続性Ca拮抗薬との販売名類似による取違え等の事例(43番、83から86番)
- COPD治療配合剤と長時間作用性吸入気管支拡張剤との販売名類似による取違え等の事例(44から57番、87から89番)
- 勃起不全治療剤と前立腺肥大症に伴う排尿障害改善剤と肺動脈性肺高血圧症治療剤との一般名称が同一であることによる取違え等の事例(58番、90番)
- アレルギー性疾患治療剤と持続性Ca拮抗降圧剤との販売名類似による取違え等の事例(59から62番)
- 抗てんかん剤と消化酵素製剤との販売名類似による取違え等の事例(64から65番、93から95番)
- 選択的SGLT2阻害剤-2型糖尿病治療剤-とアレルギー性疾患治療剤との販売名類似による取違え等の事例(66番、96番)
- 鎮咳剤と不整脈治療剤との販売名類似による取違え等の事例(67番、97から108番)
- 前立腺肥大症・癌治療剤と心機能・組織循環促進剤との販売名類似による取違え等の事例(68番)
- 入眠剤と抗てんかん剤との販売名類似による取違え等の事例(69番、109から115番)
- 合成副腎皮質ホルモン剤と緩下剤との販売名類似による取違え等の事例(116から117番)
- 抗精神病剤とその他の循環器官用薬との販売名類似による取違え等の事例(118番)
- 事例の集積が必要な事例、ヒューマンエラーによる事例など(別添2[1.96MB])
以上