独立行政法人 医薬品医療機器総合機構
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安全対策業務

平成21年度 第3回医薬品・医療機器安全使用対策検討結果報告(医療機器関連事例) 別添3

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ヒューマンエラーやヒューマンファクターに起因すると考えられた事例(事故事例「人工呼吸器」)

No. 報告回 分類 事故の程度 事故の内容 背景・要因 改善策 調査結果
1 17回 酸素供給 障害なし 人工呼吸器装着中の患者をCT検査の目的で移送した際、酸素ボンベの残量の確認を怠った。そのため、ジャクソンリースによる人工換気を行っていたが検査室に到着後、検査室前でボンベ内の酸素が切れ、ボンベを交換している最中に心肺停止状態となった。 移動に際し、酸素ボンベの残圧確認がされず、移動途中で酸素が切れた。酸素の使用流量とボンベの残圧から、ボンベが使用可能な時間を計算し準備する習慣が無かった。酸素が無くなりジャクソンリースが膨らまず、ボンベ交換中に人工換気ができなかった。
  • 酸素ボンベ使用時には、必ず酸素残圧を確認し、使用できる時間を考慮して準備すること速報にて通知した。
  • 注意喚起のための「酸素残量時間の目安」の換算表と「換算式」をすべての酸素ボンベ設置場所にポスターとして貼った。
  • 特に人工呼吸器や高濃度の酸素を使用中の患者を移送する際には、未使用の酸素ボンベを使用する。
  • ジャクソンリースを使用して、患者を移送する場合には、バックバルブマスクも持参する。
  • 万が一の場合のため、マウスTO チューブなどの応用について、BLS 講習の内容を強化する。
  • 確認が不十分であった
2 17回 酸素供給 障害
の可能性
なし
ICUで人工呼吸器管理中であった患者の警報が鳴り、SpO2の低下を確認した。ICU担当医師は人工呼吸器の障害を疑ったが、酸素供給の仕組み上、配管からの酸素供給の異常と判断し、酸素ボンベ対応に切り換えた。並行して、院内非常召集を行い、他の人工呼吸器装着患者にも対応を行った。全館で人工呼吸器を装着していたすべての患者それぞれに医師及びスタッフを配置し、酸素供給配管から酸素ボンベに切り換え、手押しバッグの呼吸で対応した。業者が設備の不具合の対応を始め、緊急連絡網で院外にいた関係者を召集し、緊急対策本部を防災センターに置き、医師をはじめ職員の迅速な対応により、患者の容体へ甚大な影響を与えることはなかった。 液体酸素タンクからの酸素供給配管にある緊急遮断弁(火災時酸素供給を停止するための法規制の弁)の開放を維持する駆動用窒素ボンベのエア漏れにより圧が低下したため、緊急遮断弁が閉じ、酸素供給が停止した。エア合成装置内のセンサー故障のため、液体窒素タンクからの窒素供給が止まらなかった。エア合成装置で窒素分圧が過剰になり、酸素供給配管に窒素が混入した。酸素配管への窒素混入により酸素供給配管での圧が下がらず、(圧の低下により作動すべき)緊急用予備酸素ボンベからの酸素供給も作動しなかった。その結果、酸素供給配管で純粋な酸素が流れず、酸素濃度が低い窒素混合ガスが流れた。
  • 酸素供給配管の緊急遮断弁および駆動装置の修理、また緊急遮断弁の駆動装置の点検を定期点検の項目に加えることにした。
  • 窒素混入の原因になったエア合成装置内のセンサーの修理を行った。
  • センサーの点検を定期点検項目に加えることにした。
  • 酸素配管への窒素の混入防止のため逆流防止弁を設置した。
  • 酸素配管の病棟に入る直前のアウトレットに酸素濃度計を常設、監視する 。
  • 酸素供給配管にある緊急遮断弁駆動装置の誤作動の原因になる、駆動用ボンベにセンサーを取り付けることやボンベの予備を追加することを検討する。
  • エア合成装置内のセンサー自体は3年に一度新しいものと交換する。
  • センサーが一つしかないのでもう一つ追加する。
  • 従来の圧センサーに加え、酸素配管の酸素濃度監視をする装置の設置を検討する。
  • 医療ガス供給設備の基本構造について、酸素供給タンクを専用化する等、抜本的な変更を検討する。
  • 施設・設備 
     
  • 保守・点検の不備
3 17回 回路 障害なし 人工呼吸器装着中の患者を看護師2名で右側臥位に体位変換を行うため、看護師は右側に立ち人工呼吸器の蛇管を持っていた。しかし蛇管を人工呼吸器のアームから外さなかったため蛇管が引っ張られて気管カニューレが抜けそうになった。瞬時に蛇管を引き寄せようとしたが、気管カニューレを保持していなかったために気管カニューレが逸脱した。 看護師2名で体位変換したが、事前に2名で役割の確認、気管カニューレの確認ができていなかった。また蛇管を呼吸器のアームからはずさず実施したのでアームの動きが悪く、蛇管の引き寄せが十分に行われなかった。今まで何度も体位変換し、逸脱の認識が薄かった。
  • 人工呼吸器装着中の体位変換において、実施する看護師の役割を明確にし、人工呼吸器と気管カニューレの保持を確実に実施できるよう周知する。
  • 人工呼吸器装着患者の体位変換手技により気管チューブの逸脱事故のリスクも考え、主治医を交えてアセスメントし、体位変換時の手順の統一を図る。
  • 判断に誤りがあった
4 17回 回路 障害なし 気管挿管チューブにて人工呼吸器を使用していた。自己抜管の危険性があったため、家族の同意を得て、両上肢の抑制を行っていた。人工呼吸器のアラーム音がしたため訪室すると、抑制中の手がチューブに届き、挿管チューブを抜けているのを発見した。すぐに、アンビューにて換気を実施し、医師にて再挿管し呼吸器管理を続行した。 主治医と鎮静剤の使用の検討をしていたが、神経難病の診断の途中であるため、鎮静剤の投与を控えていた。患者は意識があり、挿管と抑制による苦痛が増強していた。そのため、6時に看護師の監視下で抑制を解除し上肢の解放をはかった。その後、前腕が少し動くように抑制をしたが、体動により抑制中の左前腕が挿管チューブに手が届き、自己抜管に至った。
  • 人工呼吸器装着中の患者の苦痛と抑制による苦痛の増強が自己抜管に至ることを予見し、患者の状態を正しくアセスメントして鎮痛剤の使用を主治医と検討する。
  • 効果的な抑制ができるよう検討する。
  • 安全で効果的な抑制具の検討をする
  • 確認が不十分であった
     
  • 観察が不十分であった
5 17回 回路 障害
の可能性
なし
患者を移動する為、コンセントを抜き人工呼吸器(ニューポートベンチレータ HT50)を内部バッテリー作動に切り替え、一時的に呼吸器回路を外したため「低圧アラーム」が点灯し、アラーム音が鳴った。患者は、ストレッチャーに右側臥位の状態で、看護師3人が患者の搬送に関わった。移動中、「低圧アラーム」が鳴り続けるため、通路の途中でストレッチャーを停止し、回路の接続部の点検をしたが、回路の外れはなく、患者の呼吸状態は安定していたため、搬送した。その後、患者は顔色が不良となり、SpO2が50%まで低下していた。 呼吸器装着患者の移動時準備時の点検が不十分であった。人工呼吸器装着中患者の観察が不足し (移動中にSpO2値を見ていなかった)。責任分担が不明確であった。人工呼吸器アラームに対する看護師のリスク管理に対する認識、判断に誤りがあった。主治医に、搬送中の呼吸器のアラーム状態を知らせてなかった。
  • アラーム音の異常を理解し、正しく回避することが出来る。
  • 移送中、患者の顔色、胸郭の動き、SpO2値を観察する。看護師の責任者を明確にする。
  • アラームの問題点が回避するまで病室から移動しない。
  • 移動前に医師に報告をし、医師の同行により安全を確保する。
  • 判断に誤りがあった
6 17回 回路 障害なし 患児は挿管中で人工呼吸器管理中であった。呼吸状態が悪化したため、呼吸器の条件を変更したが改善しないため、バギングしようとアンビューバッグと挿管チューブをつなげた瞬間ワイヤーを固定しているテープ(左側)がはがれた。 固定用テープが貼がれやすい状態であった。初めの心拍低下がみられバギングしようとした時、焦りがあり酸素チューブもひっかかりやや突っ張った状態であった。
  • 17時の観察時は固定用テープが貼がれるような状態でなくても分泌物が多ければ状態が変わる為、常に観察しテープを貼り変える等の対処する。
  • 急変時はどうしても焦りが出てしまう為、アンビューバッグなどもつっぱったりなどしないようすぐにスムーズに使用出来るようセットしておく。
  • 心理的状況(慌てていた・思い込み等)
7 17回 回路 障害なし 患者カンファレンスのため、遅出の看護師以外の日勤の看護師ほぼ全員が集合していた。廊下にいた医師が人工呼吸器のアラームが鳴っていたため患者の部屋に入ると、人工呼吸器の回路が患者の気切カニューラから外れており、酸素飽和度も80台に低下していた。ナースセンターのセントラルモニターの酸素飽和度低下のアラームが鳴っていたが誰も気が付かなかった。セントラルモニターのアラームの音量は、いつの間にか8から4のレベルに下げられていた。 カンファレンス中の患者対応の看護師が1人であった。この看護師は、別な患者を対応していた。呼吸器だけでなくセントラルモニターのSpO2の低下でのアラームも鳴ったが、気付かなかった。セントラルモニターのアラーム音のレベルがいつの間にか8から4に下げられていた。
  • 全ての人工呼吸器のアラームを最大にした。
  • セントラルモニター音を4から8にレベルを上げた。
  • アラームの音量を下げないように全員に周知し、セントラルモニターにアラームレベルを下げないことを表示した。
  • カンファレンスの時は、患者対応1人から2人に増やす。
  • カンファレンス中にセントラルモニターのアラームが作動した場合は、モニターの近くにいる看護師がアラームの原因を把握し対応する。
  • 判断に誤りがあった
8 17回 呼吸器
本体
障害
の可能性
なし
患者が車椅子でトイレに行くため、人工呼吸器(servoi ユニバーサル)を外し酸素3Lを人工鼻から一時的に投与した。その際、フォローに入っていた看護師Aが、アラームが鳴りっぱなしになるため人工呼吸器をスタンバイモードにした。患者がトイレから戻り、看護師Bは患者の痰の吸引を行い、その後、人工呼吸器をスタンバイモードのまま装着した(スタンバイモードになっているのは分かっていたが、早く人工呼吸器をつけないといけないと思い、焦っていた)。すぐに人工呼吸器を作動させようとしたが開始ボタンが解らず、看護師Cに聞き、スタンバイモードを解除し、換気を開始した。 スタッフ個々の知識の違いがあったが(スタンバイモードにすることがある、危険だからしない、両方の声があり)、ルールとして徹底されていなかった。呼吸器再装着の際、スタンバイモードになっているにもかかわらず装着した。
  • 呼吸器をはずした際は、スタンバイモードにしないことをルール化し、再度徹底する。
  • 今回の事例をもとに、スタッフ教育を再度行う。
  • 知識が不足していた・知識に誤りがあった
9 17回 その他 死亡 入院時よりNPPVを24時間使用し、治療を行っていた。前額部と鼻骨部にマスクが接触し発赤があり、皮膚保護した。WOC 認定看護師にコンサルトし、ケアを続行していたが、10日後、鼻骨部に2×1. 5cm の褥創を発見した。マスクをフルフェイスマスクに変更したが、褥創は進行した。その後、創部外縁上皮化し、改善傾向見られたが、死亡退院となった。 NPPVマスクが鼻骨、前額部を圧迫しており、24時間人工呼吸器を必要とする状態であった。適切なマスクの選択と固定方法における知識が不足していた。人工呼吸器と接続チューブの固定が不安定で鼻骨部に摩擦とずれが生じていたことが、悪化させた要因と考える。
  • NPPV装着患者のマスク管理における知識と技術の習得、適切なマスクの選択、適切なマスクの固定方法の徹底する。
  • ずれと圧迫がかからない人工呼吸器と接続蛇腹の固定する。
  • 医師、ME、専門領域看護師を含め、NPPV の使用に伴うマスク管理について検討する。
  • 観察が不十分であった
     
  • 知識が不足していた・知識に誤りがあった
     
10 18回 回路 不明 看護師は、セントラルモニターの警報レベルのアラーム音に気付き、モニター上心停止を確認して、直ちにベッドサイドに行った。患者の気管切開カニューレと人工呼吸器蛇管の接続部が外れ、患者は、チアノーゼが出現し、心停止の状態であった。看護師は直ちに人工呼吸器蛇管を再装着し、病室のドアを開けてスタッフの応援を呼び、胸骨圧迫を開始した。蘇生処置を行ない、人工呼吸器を再装着した。 患者はICU内の個室で隔離管理していた。事故発生後、呼吸器のアラーム音を100%まであげ、個室外から警報音を確認したが、認識しづらい状態にあることがわかった。ここ1週間の痰は膿性痰であり、痰量が一時的に増え、気管支を閉塞し気道内圧が上昇し、気管チューブが逸脱した可能性も示唆された。患者自身による自己抜管は、両上枝の可動制限があることから、可能性は低いことが予想されたが、患者の首振りによる自己抜管の可能性は不明である。呼吸器のアラームの音量が下がっていた。また、人工呼吸器によってはアラーム音に差がある(Servo 300では、警報音がリセットされないと音量がさらに増量し異常が発見されやすい)。今回使用したServo i(Servo300より新機種)は、その設定がなくやや発見しづらい。気管切開用のチューブ(ボーカレード、サクションエイドなど)と呼吸器の延長チューブ(フレキシブルチューブなど)の接続の間はスペースがなく、接続がゆるくなりやすい傾向にある。そのため、常時、接続の程度の確認が必要になってくるが、これまで、ICUで確認してはいなかった。今回も接続がゆるくなっていた可能性がある。
  • 担当看護師がベッドサイドを離れる時には、観察が途切れないように、必ず周りの看護師に離れることを伝え、協力を得ることを徹底する。
  • 個室管理の患者のベッドサイドを離れる時は、各種警報音が聞こえるよう、ドアを開放する。
  • 人工呼吸器、ベッドサイドモニター、セントラルモニターのアラーム音量は100%に設定・記録・報告することを周知徹底する。
  • 誤アラームを出来る限り防止するために、アラーム音のレベル(「クライシスアラーム」とその他アラームレベル)の設定を明確にし、ベッドサイドモニター横に明示する。
  • 担当看護師は、始業時にモニターのアラーム音量をその都度確認し、記録する。
  • ベッドサイドのモニターは、設定すれば他のベッドのモニターが同時に観察出来る機能があるので活用する。
  • 呼吸器と気管チューブの接続部は常時確認・記録することとゴムなどによる固定(検討事項)をする。
  • 確認が不十分であった
     
  • 施設・設備
11 18回 回路 障害
の可能性
(低い)
患児は気管カヌラより人工呼吸器(CPAPモード)で管理中であった。自宅療養目的でSLE2000からLTV1200(貸出機)に人工呼吸器を変更していた。病室で、人工呼吸器のアラーム音が鳴ったが、モニター上、SpO2 100%、HR140~150回、回路外れはなかった。患児に少しずつチアノーゼ出現したため、O2 100%に上げたが効果なく、バギング施行するがチアノーゼは増強した。看護師が心臓マッサージを行いながら状況確認すると、気管カヌラの固定ヒモが結ばれた状態で気管カヌラ先端を自己抜管していた。 新しい呼吸器になり蛇管が短くテンションがかかりやすく自己抜管されやすい状態にあった。気管カヌラを固定してあるヒモがゆるむ可能性を意識してヒモの状態を確認していなかった。
  • 固定ヒモのゆるみのチェックは意識して患児をさわるたびに行なう。
  • テンションがかかりやすくあぶないと思っていたが医師に回路についての相談を早期に行なわなかった。
  • 気付いたことは早期に先輩、医師へ相談し対応を考える。
  • 確認が不十分であった
     
  • 観察が不十分であった
12 18回 設定・
操作部
不明 患者は自発呼吸をサポート(5回)するために人工呼吸器(SERVO i)を装着していた。看護師Aは、患者の病室に入室し血圧、酸素飽和度、体温を測定し、看護師Bと共に、人工呼吸器のモードを「オン」から「スタンバイ」に切り替え、患者の体位交換を実施した。体位交換を終え、看護師Bは退室した。その後、看護師Aがウォータートラップの水抜きをし、経管栄養のチューブを接続し、退室した。約40分後、当事者が経管栄養の経過観察のため患者の病室に入室したところ、患者心肺停止しているのを発見した。翌日、家族の要請により人工呼吸器の記録を確認したところ、約40分間の稼動停止が判明した。 当事者がウォータートラップの水抜き後人工呼吸器のモードを「スタンバイ」から「オン」に切り替えていなかった。
当事者が病室を退室する際、人工呼吸器の画面が「オン」に切り替わっていることを確認しなかった。人工呼吸器を装着する患者には生体情報モニターを設置していなかった。
  • 患者が離床する時以外は「スタンバイ」モードを使用しないことを徹底する。
  • 人工呼吸器を取り扱う職員に対する教育の内容・方法を見直す。
  • 人工呼吸器取扱マニュアルの内容を見直す。
  • 以前に「スタンバイ」モードを使う中で危険性を指摘された事例があったが全職員には展開されていなかったため、「ヒヤリハット」報告体制の充実を図る。
  • 人工呼吸器を装着した患者には、生体情報モニターの設置を必須とする。
  • 確認が不十分であった
     
  • 技術(手技)が未熟だった・技術(手技)を誤った
13 18回 その他 障害なし 患者は鎮静の為プロポフォール20mL/hで持続注入を行なっていた。吸引後など右上肢・下肢の動きがあり随時プロポフォール1mLをフラッシュしていた。2時間後人工呼吸器のアラームが鳴り患者の元に行くと気管チューブを自己抜去しているのを発見した。速やかに隣室にいた担当医に連絡し再挿管となった。 鎮静効果が不十分であった。
抑制が十分でなかった。
  • 持続セデーション中の患者の評価を密に行う。
  • 確実な抑制を行う。
  • 確認が不十分であった
     
  • 観察が不十分であった
14 18回 その他 障害なし 患者は呼吸状態が悪化し、人工呼吸器管理としていた。挿管前に呼吸苦にてパニック状態になっていたため、セルシン1Aを筋注した。SpO2上昇せず、挿管した。挿管後、自己抜去予防としてミトン装着した。患者はセルシンの効果でウトウトしていた。セルシン投与から1時間20分後、患者の声がし、人工呼吸器のアラームが鳴ったため直ちに訪室すると、患者がミトンで挿管チューブをはさみ自己抜去していた。 挿管時、挿管後の患者の意識レベルのアセスメントが充分出来ていなかった。薬剤の効果も含めたアセスメントが出来ていなかった。
  • 挿管後の患者(鎮静が充分されていない患者)には、自己抜去を予防するため、抑制帯やソフトシーネなどを使用し確実に防止出来るような対策を実施する。
  • 医師と相談し、鎮静剤の投与も考える。
  • 確認が不十分であった
     
  • 観察が不十分であった
15 18回 その他 障害
の可能性
(高い)
患者は、他院から搬送され、呼吸状態不良でありリザーバーマスクで酸素が維持出来ない状態であったが、本人が気管内挿管を拒否したため、BIPAPを装着し非侵襲的人工呼吸管理、薬剤投与、CHDFなどの濃厚治療開始した。BIPAP装着時、鼻骨部に、褥瘡形成予防のためにデュオアクティブを貼付した。この時、皮膚状態に異常はなかった。患者は体位交換などでBIPAPのマスクがずれたり外れると、SpO2が著明に低下する状態であった。5日後、口鼻腔吸引を実施する際、デュオアクティブを除去したところ鼻骨部に2.2cm×5cmの赤色から黒色の褥瘡形成が認められた。 BIPAP装着時の褥瘡形成予防のためには、デュオアクティブは適切ではないことが周知徹底されていなかった。また、患者は、SpO2が低下するとはいえ、るいそう著明で低栄養と褥瘡発生のリスクが高い状況で、皮膚状態を観察していなかったことが要因である。
  • 病棟のスキンケアリンクナースが中心となって、皮膚トラブル防止のための教育を定期的に実施し、スタッフ全員が、適切な皮膚トラブルの予防対策を遂行できるようにする。
  • 局所の圧迫による褥瘡形成は予測しうる皮膚トラブルであり、全身状態の観察と記録を残すことを徹底する。
  • 観察が不十分であった
     
  • 知識が不足していた・知識に誤りがあった
16 18回 その他 障害
の可能性
なし
経鼻カテーテルより栄養を注入。気管切開し人工呼吸器を装着していた。モニターのアラームが鳴ったため病室へ行ったところ、患者が右側臥位の状態で経管栄養剤(エンシュアリキッド)と痰の混ざったものを嘔吐しているのを発見した。栄養カテーテルが抜けかかり、口腔内に痰や吐物が少量あった。栄養カテーテルを抜き口腔、鼻腔及び気管カニューレ内を吸引した。しかし、患者は後弓反張状態で、しだいにSpO2が80台に低下した。2人の看護師で酸素を8Lから10L使用しアンビュー加圧を開始したが、SpO2は上昇しなかった。確認すると、気管カニューレ(アジャストフィットNEO)が抜去しているのを発見した。 Yガーゼの下で気管切開部が隠れて見えなかった。気管カニューレ抜去の発見が遅れた。Yガーゼで気管カニューレ挿入部が見えなかった。筋緊張による後弓反張で気管カニューレが抜ける危険の認識不足があった。
  • 患者異常時の観察力の向上(重要なものから順に見る)。
  • Yガーゼを使用しない。
  • 気管カニューレは、ひもをたすき掛けにして固定する。
  • 気管カニューレの変更を検討する。
  • 確認が不十分であった
     
  • 観察が不十分であった
 

ヒューマンエラーやヒューマンファクターに起因すると考えられた事例(事故事例「電気メス等」)

No. 報告回 事故の程度 事故の内容 事故の内容 背景・要因 改善策 調査結果
【熱傷】
17 17回 障害
の可能性
なし
使用方法
の間違い
ストリッピングの手術中、電気メスを2台使用し医師5名、看護師1名が直接介助で手術を行っていた。電気メスはフットスイッチにしており、使用時は足で踏んで出力するようにしていた。その際、電気メスの先端が患者の右大腿内側に触れていたのに気付かず、医師が位置を移動した際に誤って電気メスのフットスイッチを踏んでしまった。その結果、患者の右大腿内側に軽度の火傷をきたした。 医師5人に対して看護師が1名で器械出しの直接介助をしていた。看護師の位置から電気メス、器械類を把握するのが困難であった。
  • 電気メスの先端は必ず定位置に置くよう指導する。
  • フットスイッチの配置を位置がわかるように検討する。
  • 手術中の声掛け確認を徹底する。
・確認が不十分であった
18 17回 障害
の可能性
(低い)
機器の
不具合・
破損
肝拡大右葉切除術終了後、シーツ除去すると、患者の下顎皮膚に約7×2cm に黒く炭化した熱傷に気付いた。リンデロンVGを塗布したのち、ガーゼにて被覆し、継続加療を行う方針とした。
手術中は電気メス(アルゴンビームコアギュレーター、ティッシュリンクなど)を使用した。シーツが水でぬれておりコードや電気器具先端が金属部分に触れていた可能性があった。電気凝固器具のスイッチが血液凝固により固着し、指を離してもスイッチがオンになったままで、シーツを焼き、患者に熱傷をきたした。
この手術では、開胸器を通常と反対向きに使用していた。患者の下顎に開胸器のハンドル部分が接していた可能性が高い。
手術中は電気メス(アルゴンビームコアギュレーター、ティッシュリンクなど)を使用し、シーツが水でぬれておりコードや電気器具先端が金属部分に触れていた可能性もある。術者が気がつかずに開胸器の金属(ハンドル部)が皮膚(下顎)に接触し圧迫壊死を起こした可能性がある。
  • 看護師は術前のみならず、手術中も患者の身体に金属が接触していないかの確認を随時行っていく。
  • 術者は、交流電流を発生する手術器具を使用するにあたって、これらの機能・理論を理解したうえで使用する。
  • 交流電流発生器具に関する勉強会を行っていく。
  • 確認が不十分であった
19 17回 障害
の可能性
(低い)
突然の
発火
扁桃摘出術後出血の患者に全身麻酔下で止血処置を行った。凝固止血装置を使用中に突然発火した。口腔内のそばにあった綿に引火し口腔内粘膜及び舌粘膜を火傷した。 術野におくガーゼ等が乾燥していた可能性がある。
カフなし気管内チューブを使用したため、局所の酸素濃度が高くなった可能性がある。
器械の危険性について、診療部でのインフォメーションが不十分であった。
  • 術野におくガーゼ等は十分に水分を含ませておく。
  • カフなし気管内チューブを使用するときは、周囲をぬれガーゼ等でしっかりパックして局所の酸素濃度が高くならないように心がける。
  • 可燃性のあるガーゼやシーツの近くでの本器の通電を控える。
  • 器械の危険性について、診療部でのインフォメーションを徹底する。
  • 知識が不足していた・知識に誤りがあった。
20 17回 障害
の可能性
(低い)
対極板の
不適切な
使用
ラジオ波焼灼術終了後、大腿部に貼っていた対極板の後が赤くなっていた。両大腿部の発赤部分を冷却するとともに、形成外科医師による診察を行った。対極板は古いものが使用され、ラジオ波装置にあった対極板を使用しなかった。ラジオ波装置に対極板の抵抗値、抵抗異常時の警報機能がなかった。 古い対極板を使用した。ラジオ波装置にあった対極板を使用しなかった。ラジオ波装置に対極板の抵抗値、抵抗異常時の警報機能がなかった。
  • 有効期限内の製品を正しく使用する。
  • 機器にあった製品を使用する。
  • 機器の点検を行う。
  • 警報機能がない機器については異常がないか観察をする。
  • 確認が不十分であった
21 17回 障害
の可能性
(低い)
使用方法
の間違い、
対極板の
不適切な
使用
全身の皮膚状態に異常のないことを確認し、体位固定後、右大腿部(膝上10cmm 程度外側より)に対極板(メラNE ジェルパッドスタンダード)を貼布した。執刀開始、電気メスは使用できていたが、術中、医師が超音波メスやバイポーラのフットスイッチを何度も誤って踏んでいた。メス先はリネンのポケットに入れた状態だった(熱傷の起きた部位とは離れた場所)。手術開始から2時間後、手術中突然電気メスが使用できなくなった。電気メスの警報は鳴らなかった。電気メス本体とコードを別の物に交換したが同じように使用できないため、対極板を確認すると、皮膚から完全にはがれイエローフィンの棒に着いていた。この時点で皮膚の観察はできていない。対極板を他の部位に貼りかえ手術を継続した。その後、電気メスのトラブルはなかった。手術終了後リネンを剥がすと、患者の右大腿部膝蓋骨から上12cm に1cm ×3cm の黒色に皮膚変化し熱傷をきたしていた。 対極板が手術中に剥がれた。(対極板の貼布していた皮膚は乾燥していなかった。湿潤はなかった。部位は適当であった。貼り方に問題はなかった。)。対極板に接続しているコードが長く床にたれている状態で、術者の足元にあった。引っ張られた可能性がある。マニュアルどおりの部位と貼り方をしていて対極板がはがれる危険性があることの認識が薄かった。対極板がはがれたが電気メス本体の警報が鳴らなかった。対極板が剥がれた状態でも通電できた。対極板の種類が剥がれても警報の鳴らないタイプであることを認識していなかった。
  • 定例会で事例を共有し、解決策を検討した。
  • 対極板が半分以上剥がれた時に警報のなるタイプの対極板を試行し変更した。
  • 電気メスの講習会を実施し、電気メスの使用上の注意点を教育した。
  • 手術室の看護師の異動等入れ替わりが多いので毎年定期的に行う。
  • 対極板についているコードが術者や看護師の足元にこないよう指導した。
  • 確認が不十分であった
22 17回 障害
の可能性
(低い)
薬剤等の
併用、
他材料等
の併用
両側口蓋扁桃摘出術施行した。口角部の炎症を生じないよう、口角・口唇部の保護を目的に生理食塩水で湿らせたガーゼを口唇周囲に留置、保護し手術を開始した。術野の焼灼にはバイポーラ凝固ピンセットを使用した。手術終了時にガーゼを外すと右下口唇の上皮剥離と皮下組織の損傷を認め、開口器などによる機械的損傷と考え、ステロイド含軟膏を塗布した。しかし、翌日には下口唇部の腫張が増強し、右下口唇部の損傷は赤唇縁を超えていたため、形成外科を受診した。その結果、バイポーラ基部の絶縁部から生理食塩水を含んだガーゼを介し、通電したため熱傷をきたしたと診断された。 患者の皮膚が脆弱であったため、口唇及び口角の保護のために湿らせたガーゼを使用したが、通常は実施しない処置であった。ガーゼを湿らせるために生理食塩水を使用した。今回使用したバイポーラ凝固ピンセットは、通常、当科が使用している非絶縁性のものではなかった。
  • 当科の外来手術では、本症例のような事態を避けるために、絶縁性のバイポーラ凝固ピンセットを使用していた。
  • 手術部には、非絶縁性と絶縁性のバイポーラ凝固ピンセットがあり、手術部運営部会にて機器の取り扱いについて周知した。
  • 確認が不十分であった
23 17回 障害
の可能性
(低い)
薬剤等の
併用
手術が創縫合に進み直接介助者である看護師は、術野の清拭用にマスキンWアルコール綿を医師に手渡したが、医師には「マスキンアルコールである」事を伝えなかった。医師はそれを生食綿と思い込み、その綿球で創部を拭いた後、少量の出血を認めたため電気メスを使用した。そのため、置いてあったガーゼに引火した。看護師がそのガーゼを床に落として消火している間に、医師が手術器材台のビーカーに入ったマスキンWアルコールを(生食と思い込んでいたため)消火のために創部にかけ、患者の右側腹部に2~3度の熱傷をきたした。 医師が電気メスを使用するとは思わなかった。看護師は、当院でのヘルニア手術は5回程度経験しており、そのつど同様の方法ををとっており、術野の清拭は生食を使用するという決まりを知らなかった。また、手術器材台の上には手術前皮膚消毒に用いた消毒薬のビーカーは薬品の明示がなかった。
  • 手術野に引火の危険のある消毒薬を使用しない。
  • 直接介助と術者で確認の声かけを行う。
  • 術野に使用する薬品の容器には薬品名を明示する。
  • 不必要な薬品は使用後すばやく間接介助者に渡す。
  • 手術室のマニュアルの全般的な見直しを実施する。
  • 確認が不十分であった
     
  • 心理的状況(慌てていた・思い込み等)
     
  • 連携
24 17回 障害
の可能性
(低い)
使用方法
の間違い
左膝変形性関節症の手術終了後、手術台の上で患者が横になった状態で、医師が包帯を巻いている時、看護師が患者の左第1趾底面に約2cm ×2mm の熱傷を発見した。手術時に使用した電気メス(電気メス用ハンドコントロールペンシル)のペンシル部分を、手術台に置いたため、麻酔がかかった患者の膝を屈曲した際に、患者の足で電気メスを踏み、スイッチに触れ電源が入り、熱傷となったと推察された。 器具を入れるポケットを使用しているにもかかわらず、医師が電気メスをすぐに置きやすい手術台に置いてしまうくせがついていた。電気メスの色は黄色で目立つが、プラスチック製で見た目がやわらかい印象で、刃物という危険な意識をもちづらい。ペンシル部分のスイッチがすぐに手元で入りやすい構造であった。
  • 手術時に、医師が電気メスを手術台に置かない。
  • ポケットに入れやすいよう工夫する。
  • 介助する看護師が医師に注意する。
  • 確認が不十分であった
     
  • 技術(手技)が未熟だった・技術(手技)を誤った
25 17回 障害
の可能性
(低い)
金属が
接触
患者に右扁桃摘出術施行した。出血に対して、電気凝固的に止血処置を行った。その際に金属に接していた部分に電気が走り熱傷を起こした。 確認が不十分であった。視野を確保するため口蓋弓鈎で広げて止血をしていたが、その際に右口角に口蓋弓鈎が接している状態で通電したと考えられた。
  • 今後、電気メスを使用しない。
  • 十分な注意を心がける。
  • 確認が不十分であった
     
  • 技術(手技)が未熟だった・技術(手技)を誤った
26 17回 障害
の可能性
(低い)
使用方法
の間違い
手術はCO2レーザーと電気メスの併用して行った。手術終了の直前にCO2レーザーから電気メスに変更した。このとき誤ってレーザーのペダルを踏んでしまい、緑布に引火し、患者の左大腿後面が熱傷した。熱傷は約10cm ×30cm ほどで、一部3度まで達している可能性があった。 手術操作に夢中になり、確認を怠った。
  • レーザー使用時はこまめに電源をおとし誤発射を避ける。
  • 不燃性の布の使用を検討する。
  • 誤作動を防ぐような機械の開発依頼をする。
  • 確認が不十分であった
27 18回 障害
の可能性
なし
対極板の
使用に
関連
肝癌に対してラジオ波焼灼術を施行した。対極板除去時、右大腿部に貼用していたものが一部はがれており、熱傷が生じていた。すぐに冷却し皮膚科医の診断では、熱傷の深度は深い可能性があるため、エキザルベ塗布し経過観察し加療を行なった。その後、植皮術を施行した。 治療中体動が激しく対極板の一部が外れていた。治療中は清潔シーツをかけているためはがれているかどうかの確認が困難であった。対極板の損傷の可能性も考えられる。
  • 対極板装着時の確認を徹底する。
  • 体動が強い時は、外れていないか確認する。
  • 対極板は壊れやすいものと考え、シールを取り外す際、丁寧に扱う。
  • 確認が不十分であった
【近隣組織 (臓器) の損傷】
28 17回 障害
の可能性
(低い)
機器の
不具合・
破損
腹腔鏡下で腸切除術開始後、医師が手術操作で触った部分以外に電気メス(フォーカス40)による熱傷のような損傷箇所を発見した。術者の把持している鉗子の先と電気メスがぶつかり通電したものと思い、手術を続行したが、その後、同じような部分が発見されたため、使用していた電気メス先を点検したところ、先端から10cm ほどのところのコーティングに傷があり、そこから通電し、腸の損傷がおきたことが疑われた。全腸を検索するため、開腹手術を行い、大腸に6ヶ所の同様の損傷を発見し修復した。 腹腔鏡下手術において電気メスの使用に伴う事故としては、絶縁不良、内視鏡用鉗子の容量結合、トロカーの容量結合、直接結合が考えられる。今回の症例では、使用されていたトロカーが安全性の高い全金属性のRT カニューレであることから、容量結合が原因であった可能性は少なく、電極の絶縁部分に損傷が見られることから、絶縁の破損部分より放電した可能性が高いと考えられる。また、高電圧モード(スプレー凝固等)の使用により電極の絶縁部分が破損した可能性と使用中に温度が高くなったメス先で絶縁部分を損傷させた可能性が考えられた。
  • 使用前にアクティブ電極の絶縁部分に傷、破損等がないか注意深くチェックする。
  • 可能な限り低い出力設定で使用する(切開・凝固ともに40W 以内)。
  • 高電圧モード(スプレー凝固)は使用を避ける。
  • 低電圧モード(デイシケートモード)を使用する。
  • 開回路の状態( 刃先が目的組織に接触していない状態)では作動させない。
  • 確認が不十分であった
29 17回 障害
の可能性
(低い)
その他 人工血管置換術を行うために胸骨正中切開を施行した。縦隔剥離操作中に、医師Aが通常靭帯のある部位を電気メスで切開した。医師Bが開胸器をかけ術野を確認したところ、胸骨上縁直上の気管が2cm にわたって露出しており、よく見ると気管軟骨(輪状軟骨)が縦切され、気管内挿管チューブの一部が見えていた。気管損傷と判断し、人工血管置換術は中止とし、気管損傷の修復をした。 胸骨柄部が内反していたため、通常の靭帯の位置と誤り、軟状軟骨を切開した。
  • 出血もあり視野が不良な中での剥離切開ではあったが、靭帯と誤認して気管を切開することは通常ではありえない。今後、より慎重に手術操作を行うように注意喚起する。
  • 確認が不十分であった
     
  • 技術(手技)が未熟だった・技術(手技)を誤った
【穿孔】
30 17回 障害
の可能性
(低い)
その他 卵巣のう腫手術のため片側付属器切除術が実施された。回腸、大網の癒着が高度で、その癒着剥離を行ったが、回腸末端から約25cm の部位を剥離したところ、剥離部分から出血があった。その出血点をセッシで挟鉗して電気メスで焼灼した時に小さな穴があき、腸液の漏出があった。すぐに縫合修復が行われた。 3度目の開腹術で消化管の癒着も多く、腹壁の剥離部分の漿膜が欠損して薄くなっていることに気付かなかった。
  • 年齢を考慮した剥離操作、止血操作を行う。
  • 確認が不十分であった
     
  • 技術(手技)が未熟だった・技術(手技)を誤った
31 17回 障害
の可能性
(低い)
その他 大腸内視鏡下ポリペクトミーでスネアをかけた後、通電する際に本来は周囲の腸管と十分離れていることを確認して行った。患者は術後であり、腸管の癒着の影響でファイバーの保持が困難であった。このため、通常よりもやや周囲の腸管に押し当てた状態で、通電した。通電直後に腹痛等は生じなかったため、穿孔はないと判断し、瘢痕部をクリッピングした。翌日になり、患者に腹部の圧痛が出現し、発熱も認めたため、腹部CT を行ったところ、腹腔内に遊離ガスを認めた。穿孔性腹膜炎と判断し緊急手術を行った。 ポリペクトミーの経験が未だ浅いためか、術後強度癒着症例であり、大腸内視鏡挿入も困難であった。ポリープの存在部が癒着により保持が困難であった。心疾患・糖尿病があり、腸管ぜん動のコントロールに使用するセスデンや、グルカゴンが使用できなかった。
  • おこりうる確率をもった合併症であり、本ケースは消化器外科チームが患者及び家族に説明し納得していただき、周術期に合併症が起きないように、厳重に経過観察を行った。
  • 消化器内視鏡スタッフの充実も必要であることを検討する。
  • 技術(手技)が未熟だった・技術(手技)を誤った
32 17回 障害なし その他 側方発育型大腸腫瘍の内視鏡的切除を予定していたが、通常使用するスネアでは病変絞扼できないため、周囲を切開してから切除する方法に変更した。病変周囲を盛り上げて電気メス(フラッシュナイフ)で切開を行ったが、切開電流が粘膜の深部に及んで微小な穿孔が生じ、大腸内に送気した空気により腹腔内気腫が生じた。 大腸粘膜は薄いために切開には常に穿孔の危険がある。同病変は微小癌の可能性が高く、内視鏡的切除により患者が受ける恩恵は高いために、まだ大腸腫瘍に対しては保険適応ににはなっていない内視鏡的粘膜下切開・剥離法が専門施設で広くおこなわれているのが現状である。
  • リスクを説明して了解は得ていたが、通常手技ではの治療が切除ができないと判断された時点で、外科的切除に方針転換することで防止できた。
  • 手技の確立と普遍化、普及を行う。
  • 判断に誤りがあった
 

ヒューマンエラーやヒューマンファクターに起因すると考えられた事例(ヒヤリ・ハット事例「人工呼吸器」)

No. 報告回 具体的内容 背景・要因 改善策 調査結果
【電源】  
1 17回 クモ膜下出血で入院中の患者、人工呼吸器装着中である。右脳室ドレーン、左脳槽ドレーン挿入中であり、右脳室ドレーンは患者の右側、左脳槽ドレーンは左側に設置されていた。ドレーン管理を確実に行なうために、左脳槽ドレーンも右側に設置しようと、患者の頭側を通ったところ、人工呼吸器のコンセントに足をかけてしまい、コンセントが抜けかけ、人工呼吸器のLOWバッテリー機能が作動した。 すぐにコンセントを確実に入れ、人工呼吸器の誤作動がなかったため、経過観察となる。
  • コンセントやルートが複数ある場合は、ルート整理を徹底して行なうことや、患者の頭側に一人入れるようベッドを配置し、急変や処置時確実な対応を迅速に行なえるよう環境を整えておく。
  • 医療機器の主電源が抜けた場合、患者にどのような影響があるかを念頭におき、機械の管理をしていく。
  • 確認が不十分であった
【酸素供給】 
2 17回 夜間のみBipapを装着する患者であり、リーダー、メンバーでダブルチェックの元でBipapを装着したが、酸素の指示量が1Lのところを10Lで装着されていたのを次勤務に発見された。酸素の量を指示量の1Lに戻し、経過観察した。意識レベル等に変化は見られなかった。 Bipapを装着していない時は酸素を0.5Lの微量計で吸っており、Bipap使用時に使う15L計の10Lの位置と微量計の1Lの位置が同じだった為に見間違えた。
  • 見間違える可能性もある為、1つ1つ丁寧に指でたどりながら確認する。
  • また不必要なものは外したり、間違えにくいように記載する。
  • 確認が不十分であった
【回路】  
3 17回 MEによるラウンド点検において人工呼吸器ハミングVの回路のインピーダンスバルブが抜けかかっていた。そのままの状態であったらインピーダンスバルブが完全に抜けてしまい、回路内の圧が大きく下がってしまう可能性があったが、MEによるラウンド点検が機能したために患者に大きな影響はなかった.輸注ポンプの高さを変更することで対応した。 人工呼吸器ハミングVと輸注ポンプタワーが触れていたため、インピーダンスバルブのロックが外れていたためと考えられる。
  • インピーダンスバルブのロックが外れないように人工呼吸器の周りの環境を整備する必要がある。
  • 確認が不十分であった
4 17回 緊急入院で挿管となったため、人工呼吸器(ベビーログ)を組立装着した。呼吸器回路に破損があったり酸素較正の表示が出るため、呼吸器本体を変えたり、回路を新しいものに変えたりしたが、加湿器の温度が上昇しないため、再度回路の点検を行ったところ、回路の付け間違い(加湿器から呼気弁、呼気側が吸気についていた)を1時間後に発見し医師に報告、再度セットし直した。患児に異常はなかった。 常に緊急時のシミュレーションをしたり、人工呼吸器を組立練習を行う。人工呼吸器を常に組み立てておく。
  • 本体と回路の連結するところが、わかりやすいように呼吸器側にラベルを貼る。
  • 確認が不十分であった
     
  • 技術(手技)が未熟だった・技術(手技)を誤った
5 17回 臨床工学科のラウンドにて呼吸器回路の接続が吸気と呼気が反対になっているのがわかった。 回路を2人で確認する際に呼吸器の接続が外れていないかばかりに集中し、吸入器が呼器側についていることをおかしいと思わなかった。
  • 回路をたどりながら、声出し確認、指差し確認を行っていく。
  • 確認が不十分であった
     
  • 技術(手技)が未熟だった・技術(手技)を誤った
6 17回 人工呼吸器回路の呼気側フィルターの接続が外れていた(ロックするレバーが解除になっていた)為、人工呼吸器が作動せず、換気が開始されなかった。 呼気フィルターを接続するロックが解除になっていたが、そのレバーは人工呼吸器回路の点検、準備時にME部が操作している。そこでのヒューマンエラーが原因であると考える。またその後の確認不足も要因の1つである。
  • 呼気フィルターの接続するロックレバーに「触るな」シールを貼る(レバーを覆うように)。
  • 点検終了後は人工呼吸器の呼気フィルタのロックレバーを基本的には操作しないよう徹底する。
  • 点検終了後に人工呼吸器を操作した場合は、必ず再度点検を行い人工呼吸器が正常に動作するか確認する。
  • 確認が不十分であった
     
  • 技術(手技)が未熟だった・技術(手技)を誤った
7 17回 呼吸器を外すたびに加湿器のアラームが鳴るため回路を確かめると、呼気と吸気の回路が逆になっていることに気付いた。加湿器の温度は39.0度前後であったが、回路がやや熱くなっていた。 体位交換時など呼吸器の回路を組みかえる時にしっかり確認せず変えた。
  • 呼吸器の回路を組み替える時は必ず口元に一番近いところを組み替えるようにする。
  • 勤務の始まりの時に呼吸器を指さし確認する。
  • いつもと違うアラームが鳴ったり、違いに気付いたら、チェックリストを見ながら確認する。
  • 回路を外し、再度取り付ける時は必ず取り付けた後に接続の誤りがないか確認することを徹底する。
  • また、処置で外した時は、外す部分が最小限となる部分から外すようにする。
  • 確認が不十分であった
     
  • 技術(手技)が未熟だった・技術(手技)を誤った
8 18回 患者は急性呼吸不全のため、経鼻挿管・人工呼吸器管理を行なっていた。午後から、看護師2名で挿管チューブの固定テープを巻きなおした。夜勤看護師から気管内チューブとコネクターの接続が甘いと申し送りを受けたため、看護師2名で退室時チューブとコネクターの接続状況を確認し、弛みがないことを確認し退室した。ナースステーションに戻り、他の患者の点滴準備をし、ナースステーション設置の生体情報モニターを確認すると、患者のSpO2値が低下していたため患者のもとへ訪室した。気管内チューブとコネクターの接続部が外れたのに気付いた家族が、接続しているところであった。 気管内チューブを留置後、13日目であった。患者は時々、気道内圧が高まり、気管支鏡下で硬い痰を吸引していた。潤滑剤などで、気管内チューブの内腔が滑りやすい状態であった可能性がある。気管内チューブは経鼻挿管されており、人工呼吸器に接続する際、気管内チューブとコネクターの接続部あたりに負荷がかかっていた可能性がある。気管内チューブとコネクターの固定方法が看護師によってまちまちであった。前日も接続ハズレが起きたが、SpO2値の変動がなかったため、主治医に報告・相談していなかった。一旦、接続ハズレを起こしたことで、接続部があまくなっていた可能性がある。日々の家族とのコミュニケーションが不十分だった可能性がある。退室時、コネクターとチューブの接続の弛みがないことを確認していたため、接続が外れるとは思わなかった。
  • すぐに主治医へ連絡した。患者家族へ状況説明を行なった。SpO2の低下がみられたため、主治医来棟後、家人の希望により気管支鏡下で喀痰の吸引を行なった。
  • 気管内チューブとコネクターの接続部をテープで固定した。
  • 気管内チューブの入れ替えについて、主治医に相談した。
  • 定期的な気管内吸引の必要性について、主治医に確認した。
  • 人工呼吸器の取り扱い上で不手際があったことを、家族へ看護師長が謝罪した。
  • 判断に誤りがあった
9 18回 夜間、患者の体がベッドの下の方に下がってきていたため、他の看護師に体位を一緒に整えてほしいと依頼する。ベッドサイドに行き、体位を整えようと他の看護師と患者をベッドの上の方に移動した。その際、蛇管の下の方がベッド柵に引っかかり、ボーカレードがつれて3分の2程度抜けてしまった。事故発生時から挿入後まで呼吸状態の変動はなかった。 お互いにボーカレードと蛇管に注意できていなかった。声かけもしていなかった。
  • ボーカレードの挿入部だけでなく、蛇管の方もつれないようゆとりがあるか体位を整える前に確認する。
  • 体位を整えている際もゆとりがあるか確認しながら行なう。
  • 蛇管がある側の看護師にゆとりがあるか声をかける。
  • お互いに声をかけ合い確認しながら対応をする。
  • 確認が不十分であった
【加温加湿器】 
10 17回 人工呼吸器(LTV)を使用している患者の呼吸器の加湿器が外れているのを発見した。加湿器内の水、回路を触れてみたところ冷たかった。 患者の呼吸状態と分泌物か引けることを確認。
  • 加湿器に水を足したあと、留め具がかかっているかを確認する。
  • また、時間毎に、加湿の設定だけでなく、加湿器が接続されているのかを触れて確認する。
  • 確認が不十分であった
11 17回 心停止になった患者。急変にてPICUに早めに移動させたかった為、場所を開け呼吸器の準備を行った。その後、移動となるが、次の勤務者に加温器の電源が入ってないことを指摘された。 加温器の水を満たし、電源を入れたつもりでいたが、電源が入っているかの確認を怠った。
  • 急変時であっても、最終確認を怠らない。
  • 確認が不十分であった
12 18回 人工呼吸器の作動点検の為、病室訪問したところ、加温加湿器内に水が入っておらず、空焚き状態であった。それと同時に回路のウォータートラップ内に水が溢れ、水による回路の閉塞を起こしかけていた。このとき、気道内圧アラーム設定はシビアに設定されておらず、アラームは鳴っていなかった。 既存のチェックリストの活用をしておらず、加温加湿器内への給水、回路内水分の排水が行われていない。
  • チェックリストの活用を徹底する。
  • アラーム設定を出来る限りシビアに行う。
  • 何らかの理由で設定をあまくする場合には、現場で責任者を決め、確実に管理を行う。
  • 確認が不十分であった
13 18回 患者は呼吸状態不安定により人工呼吸器装着となった。その際に加温加湿器をONにしていなかった。次の勤務者に発見された。 すぐに加湿器の電源を入れた。
  • 人工呼吸器が開始されたら、すぐにチェックリストにてチェックを行うようにする。
  • 設定内容も含め、ダブルチェックを行うようにする。
  • 加温加湿器がONにされていない場合、患者にどのような影響があるか考える。
  • 呼吸器の電源と加温加湿器は必ず同時につける習慣を身につける。
  • 確認が不十分であった
【設定・操作部】 
14 17回 CTより帰室後人工呼吸器を再装着した。出棟中にモードが変更されていて、確認しないまま装着したため、約10分間、出棟前と異なるモードで作動していた。 TVやSpO2の確認はしていたが、モードの確認は行なっていなかった。
  • 今後は確認を行い再発を予防する。
  • 出棟時はモードの変更をしない。
  • 確認が不十分であった
15 17回 2時間毎にCVP値を測定しており、呼吸器のPEEP設定を4から0にして測定していた。朝8時の測定の際に変更したPEEPの設定を、元に戻していない事を、日勤者が呼吸器設定を確認した際に気付いた。 CVP 測定後の確認が不十分であった。夜間帯はできていたが、朝になり、緊張や疲労が蓄積していたことも考えられる。
  • CVルートの操作部に測定時はPEEPを0にすることが表示されていたが、測定後は戻すことを加えた。
  • 呼吸器の設定を変えて処置を実施する場合には、基本的にダブルチェックである。処置後に設定を戻す時に必ず看護師間で或いは医師が近くに居たらダブルチェックを行っていく。
  • 確認が不十分であった
     
  • 身体的状況(寝不足・体調不良等)
16 17回 呼吸器装着中の患者にてSIMV+PS(量)O248%の管理中であった。朝勤務時9時に呼吸器の設定確認する。10時頃CT検査のため医師が呼吸器を外し、呼吸器は人工肺装着し設定そのままで出かけた。帰室後医師が呼吸器装着した。自分はそのまま呼吸器の設定条件の確認をしなかった。準夜勤務者出てきてO2設定が100%になっていること発見した。医師に確認したが「酸素濃度をあげた記憶はない」との返事であった。 呼吸器を外し移動した後は必ず設定確認をすることになっていたのに気が急いていてマニュアル通りにしなかった事が一番の要因である。医療機器使用に関する患者へ装着する前後の確認を怠った。
  • 急いでいても必ずマニュアル通りの行動をする。
  • 呼吸器は重要な医療機器であり患者に使用する前後の確認は基本であり大切なことである。
  • ルート類の確認と同時に呼吸器の設定の確認点検を徹底していく。
  • 確認が不十分であった
【その他】 
17 17回 手術終了後次の手術のため、麻酔器(S/5エスパイヤ)の回路交換を行った。その際、ソーダーライムの上方が紫色に変わっていたため、交換した。本来なら交換後リークテストをする手順だったが、次の手術入室時間が迫っており、また器械出しの準備もしなければならず、リークテストするのを忘れてしまった。麻酔導入中エアリークが発生し、アンビューにて呼吸調整が行われ、その後麻酔器を別のものと交換し麻酔再開になった。患者は、一次的に酸素飽和度の低下と心拍数の上昇が見られたが、麻酔器交換後バイタルサインも落ち着き手術が行われた。 短時間に一人に業務が集中した事の問題点。必須業務項目の省略。
  • 短時間での手術の入れ替え時のソーダライム交換は不要とし、必要時は麻酔科医が行う事として、業務を分散させた。
  • 確認が不十分であった
     
  • 勤務状況
18 18回 医師が気管切開チューブを交換後、カニューレの圧が空気を追加しても、15~20分ごとにカフ圧が低下し、低換気アラームが鳴った。夜間になり、当直医にカニューレ交換を依頼した後、空気漏れを確認したところ、パイロットバルーンの部分に小さな亀裂が発見された。 メーカーにも調査依頼したが、製造過程~開封~使用中のどの段階で亀裂が生じたものか特定は出来なかった。挿入前の確認ではカフの空気漏れは確認出来なかった、もしくは発見しづらかった。(事後に空気を入れた時はカフやパイロットバルーンは膨らんだため異常ないようにみえ、破損部は一旦膨らむくらいの弁状の小さな亀裂であったため、発見しづらいと思われる。)
  • 挿入前のカフに空気を注入して確認を継続して徹底していく。
  • 繰り返しの低換気アラーム際には、破損の可能性を考え、気管チューブを交換する。
  • 確認が不十分であった
19 18回 患者は、挿管されていて、体動が激しい患児であった。患児の近くを通りかかった際にチューブを児がつかみ自己抜管をしているのを発見した。勤務に入った際に固定がされていることは確認していた。抜管時には入眠していたため、頭の抑制のみを行ないミトンは使用していなかった。抜管はしていたが人工呼吸器のアラームはならなかった。また、ジャクソンリースを使用しようとした際に、インファントの酸素の配管がつながっておらず、すぐに使用が出来なかった。 医師に報告し、吸引、ネブライザーを行ない、再挿管をした。 ・ラウンドや処置の際には、チューブの固定がしっかりされていたかを手が届いたりしないかを観察していく。
・体動が激しい患児は自己抜管のリスクが高いことを念頭におき、必要時には体動や在胎週数にあわせたミトンなどの抑制を行なっていく。
・スタッフ全員が、勤務開始時には同じように急変の可能性を予測した環境整備をしていく。
  • 確認が不十分であった
     
  • 観察が不十分であった
20 18回 術後の患者が挿管されて入室してきた。部屋の真ん中にベッドを設置し医師が呼吸器を装着した。モニター類をつけ終わり、看護師2人でベッドを設置されている場所よりも壁側へ移動させようとした。呼吸器を先に壁側に移動した際に挿管チューブが呼吸器に引っ張られ誤って抜管された。 すぐに医師に報告。医師により気道確保しアンビュー加圧。自発呼吸ありSpO290台後半で保てているため酸素投与となる。
  • 入室の際に呼吸器の配置場所なども考慮してベッドを設置する。
  • 挿管されている場合のベッド移動は挿管チューブに細心の注意を払い3人以上で行なう。
  • 挿管チューブの固定はしっかりと確実に行なう。また、常に挿管チューブの固定の観察を行い、必要であればすぐに再固定を行う。
  • なぜその患者は挿管されているのか、挿管チューブが抜去された場合患者にどのような悪影響があるのかを考え行動する。
  • 判断に誤りがあった
 

ヒューマンエラーやヒューマンファクターに起因すると考えられた事例(ヒヤリ・ハット事例「電気メス等」)

No. 報告回 具体的内容 背景・要因 改善策 調査結果
【異物残存(可能性も含む)】
21 17回 腹腔鏡下手術後、バイポーラの把持鉗子のセラミック部分が破損しているのを、洗浄委託業者が洗浄中に発見した。術前の確認では破損は見られなかった。どの時点の破損かは特定できず、破損部品を見つけ出すことができなかった。また、他部位の手術中であり、用手的に探したが見つからず、術後に患者・家族にセラミック部分の遺残の可能性を説明した。セラミック部品の身体への影響は少ないことを説明され、本人・家族共に了承はしていただいた。 把持鉗子メーカーによると、セラミック部品は衝撃に対し破損しやすいとのことで、洗浄方法について指導していると話していた。9月にも同製品の同部位の破損があり、洗浄業者は注意点を守って洗浄していた。今回の要因は不明。把持鉗子メーカーによると、どの時点の破損かは不明だが、セラミック部品の破損は多いと言っていた。
  • 術前、術後の器械の点検と確認を徹底する。
  • 術中も、機器の焦げを落とす際に、看護師が破損の有無を確認する。
  • 確認が不十分であった
     
  • 保守・点検の不備
【熱傷】
22 17回 直腸癌手術中、術野にあったソノサージの電源に左肘が触れた。ソノサージが作動し、ブレードの先端が患者の大腿に置かれていたため、シーツの上から患者の大腿にピンホールの熱傷を負わせた。執刀医が気付き、皮膚確認後、カラヤヘシブを貼付した。 操作方法に慣れていなかった。ソノサージの電源が手元に重なっていた。手術中に物を置く場所が狭い。
  • 手術室配属時の機器教育を強化する。
  • ソノサージ・ポンプ類他、手術室で使用する機器の説明、注意事項の説明を臨床工学士で実施する。
  • 術野で長時間使用しないものは、術野外の台に引き上げる。
  • 確認が不十分であった
     
  • 知識が不足していた・知識に誤りがあった。
23 17回 慢性扁桃炎に対し両口蓋扁桃摘出術施行中、使用したバイポーラのコーティーング部分が一部剥げており、患者の左口角に8平方ミリメートルの熱傷を起こした。 バイポーラのコーティーングの剥げていた部分が両側同部位であり、下面になっていたので確認が出来ていなかった。
  • バイポーラの全チェックと使用前の確認を行う。
  • 確認が不十分であった
24 18回 腹腔鏡補助下子宮全摘、両側附属器切除、骨盤リンパ節生検を行なった。体外用のペン型電気メス(ハンドスイッチ)と体内用のモノポーラー電気メス(フットスイッチ)を接続し手術を開始した。体内用モノポーラーを使用するため、モノポーラーのフットスイッチであることを口頭で確認し、フットスイッチ3秒ほどを押し通電音は鳴ったが、凝固止血されなかったためフットスイッチを押すのをやめた。この際、下腹部の覆布上に置いてあった体外用のペン型電気メスに通電しており、覆布の下の皮膚が7mmほど凝固切開された状態となった。電気メスコードの接続を確認したところ、体内用と体外用の電気メスコードの接続が逆になっており、フットスイッチを押すとペン型電気メスに通電する状態となっていた。 内視鏡下手術でラパロ下用Aコードと開腹用ハンドピースを1台の電気メスに接続していた。本来、ラパロ用Aコードを接続した側にフットスイッチを接続するはずが、開腹用ハンドピース側に接続されていたため、医師がフットスイッチを踏んだ際、ハンドピースから出力し、患者の腹部に熱傷を負わせた。
  • 電気メスの接続部に、フットスイッチ用かハンドスイッチ用かわかるように表示をする。
  • 電気メスなどのパワーソースを使用する際には、使用前に通電状況と接続状況を確認する。
  • 使用しないパワーソースは、術野におかないか、置く場合には容器に収納する。
  • 使用前に通電状態を確認する。
  • 使用していないものは術野に置かない。
  • 接続箇所を臨床工学技士に確認後、接続する。
  • 臨床工学技士の代わりに看護師が接続した後、必ず確認する。
  • 看護師の中には、フットスイッチが作動するほうの接続部がどちらなのか、はじめの電気メスのオリエンテーション時でフットスイッチに関する指導を行う。
  • 誰もがすぐわかるように、電気メス本体にどちらがフットスイッチ用の接続か明記する。
  • 操作方法が曖昧な時はきちんと確認する。新人には指導する。
  • 始業点検、確認してから使用する。
  • 確認が不十分であった
【患者への影響なし】
25 17回 腹腔鏡下RFAの手術の際、対極板が2枚あり、コーディネーターに相談したが、わからず、予備であると勘違いした。このため、RFA用の対極板を2枚貼るべきところ、1枚しか貼らなかった。翌日、MEが対極版が1枚あまっている事を発見した。幸い患者皮膚トラブルは発生しなかった。 事前にマニュアル確認時、対極板について「事前確認する」と記載されていることに対する対応をしていなかった。対極板を2枚貼るという点について、知識が不足していた。通常手術では電気メス1台の使用につき対極板1枚を貼付していた。手術室内にあるマニュアルが更新されていなかった。腹腔鏡下RFAは年間数件と少ない。手術が立て込み多忙な日が連日続いていた。
  • 少ない症例については特に事前確認を行い、不明点を明らかにしておく。
  • 症例についた看護師はマニュアル変更点を担当者に伝達する。
  • 内科医師・看護師から更新情報の伝達を受ける。
  • 早急にマニュアルを見直し、整備する。
  • 確認が不十分であった
     
  • 知識が不足していた・知識に誤りがあった。
26 18回 特殊タイプの対極板の補充が途切れていることに土曜日気付き、メーカーに直接依頼し月曜日朝補充してもらった。 前回補充時、受け取り者は物品カードを添付していない。NHS以外の物品の流通・取り扱いに関する知識不足。最後の1枚を使用した看護師から欠品報告がなかった。
  • NHS物品に変更することの検討
  • 最後の1個を使用したものはコーディネーター報告をする。
  • 管理数を10枚から20枚に増やし、2カード方式とする。
  • 確認が不十分であった
     
  • 報告等(忘れた・不十分・間違い・不適切)
     
  • 保守・点検の不備
27 18回 電気メスのコードを接続したところゆるくて通電しなかった。他の機種を使用し手術に影響はなかった。 手術が重なり確認が不十分であった。同機種の接続コードが新しい物と古い物の2種類あったが、全機種に接続可能と思っていた。
  • 接続コードと器械の接続状態をすべて点検する。
  • 使用前の確認を徹底する。
  • 確認が不十分であった
28 18回 鏡視下婦人科電気メスコードを手術翌日の器械組みの係がAC滅菌に出した。その翌日準備室のスタッフが、婦人科鏡視下電気メスコードはステラット滅菌であることに気付いた。電気メスコードに破損はなかった。 確認が不十分、思い込んでいた、医療機器に複数の規格が存在した。
  • 単品器械はきちんと滅菌方法を確認し滅菌する。
  • 確認が不十分であった
     
  • 知識が不足していた・知識に誤りがあった。
【不明】
29 17回 人工肛門造設術時、電気メスのスイッチを入れ、切開時は「PURE」で立ち上がり、使用時は「BLEND」に変更しなければならない。しかし、「PURE」のままで変更を忘れていた。他に看護師に指摘されOP開始直後すぐに「BREND」に変更し、トラブルなく終了した。 電気メス使用時の確認手順に問題があった。
  • 電気メス本体の操作パネルに、誰が見てもわかるよう注意喚起する表示を貼る。
  • 確認が不十分であった
30 18回 電メスホルダーを術後器械カウントし忘れていることに気付かないまま、廃棄してしまった。 電メスホルダーはディスポリネンについており、術後回収しようとしていた。最終器械カウントで、追加器械記入表を確認したが、単品カードと照らし合わせなかった。器械点数が多く、患者の退室に間に合うようにカウントを終わらせなければと慌てていた。
  • 術野に出ている器械は、閉創終了前に医師の協力を得て必ず手元に戻す。
  • 器械カウントの大切さ、単品カードは確実な回収と正しい滅菌のために使用していることを再教育する。
  • 確認が不十分であった
     
  • 心理的状況(慌てていた・思い込み等)