独立行政法人 医薬品医療機器総合機構
メニュー
閉じる
閉じる
閉じる

添付文書、患者向医薬品ガイド、
承認情報等の情報は、
製品毎の検索ボタンをクリックしてください。

安全対策業務

平成23年度 第3回医薬品・医療機器安全使用対策検討結果報告(医療機器関連事例) 別添1

本文|別添1|別添2別添3

製造販売業者等により既に対策がとられているもの、もしくは対策を既に検討中の事例(医療事故)

No. 事故の
程度
販売名 製造販売業者名 事故の内容 事故の背景要因の概要 改善策 調査結果
1 移植腎機能低下 フレックスカートリッジタクロリムスTARC シーメンスヘルスケア・ダイアグノステック タクロリムス血中濃度測定機ならびに測定用試薬の製造元より、試薬3ロットについて、特にタクロリムス血中濃度が低い領域において20~40%程度低値を示す可能性があり、自主回収を行うとの報告があった。
さらに製造元からは、直接以下の5点の説明を受けた。
(1)特にタクロリムス血中濃度が低い領域において20~40%程度低値を示す可能性がある原因は不明であり、測定現場で実施される精度管理では把握できないこと、
(2)製造元での原因究明の過程で試薬を消費したため、最近のロット全てについて安全性確認を実施した訳ではないので、報告した3ロット以外にも不具合が発生していた可能性は否定できないこと、
(3)ただし、今回の事象と明らかな因果関係を有する健康被害の報告がないことから、3ロット以外の同様の事象はないと考えていること、
(4)当初の報告における「健康被害の発生はない」との表現は正確ではなく、納入医療機関の測定部署からの報告であり、関係診療科へ確認した結果ではなかったこと、
(5)ただし、その後の再調査で因果関係が明らかな健康被害の発生はないことを確認したこと、
 一方、本院では当該測定機へ変更になった以前より、タクロリムス血中濃度が従来よりも低めであるとの指摘が、特に腎移植グループより複数回あった。さらに、今回の報告を契機に集計したところ、
(1)当該測定機に変更後、通常は10%前後発生する拒絶反応が全く認められなくなった一方で、ウイルス性尿路系感染症に特有のデコイ細胞陽性例が増加していること、
(2)BKウイルス腎症と確定診断がついた症例が当該測定機への変更後だけでも3症例にのぼり、うち2症例は透析に戻らざるをえなくなったこと、
が判明した.この2症例はともに生体腎移植症例である。
以上のことから、タクロリムス血中濃度の表示が実際よりも低く表示されたためにタクロリムスの過剰投与となり、そのために過剰免疫抑制によるウイルス性尿路系感染症さらにはBKウイルス腎症の発生の増加につながったのではないかと疑われた。
ただし、「製造元が明らかにしている以外にも不具合ロットが発生しており、そのために過剰免疫抑制状態の患者が多発した」という仮説を否定はできないが、証明もできないという状況である。
ng/mlのオーダーの薬剤血中濃度を測定するには、本来であればHPLCによる測定が必要となるが、そのためには技術と人手を要する。そこで開発されたのがタクロリムス血中濃度測定機であり、臨床現場に近いところでほとんど自動的に測定が可能である。
 特に移植医療現場へのフィードバックを迅速に行うことによって、免疫抑制剤の投与量の微調整が可能となったことは、移植医療には大きな進歩をもたらした。
 しかし、ng/mlのオーダーの薬剤血中濃度の簡便な測定にはそもそも限界があり、血中濃度が低いほど測定値のバラツキは大きくなる。
 今回の過剰免疫抑制症例の多発は、このような背景にロットの不具合が重なったために発生した可能性は否定できない。
 一方、このような事態はどこの医療機関でも発生しうるので、全国的に問題が表面化するのが当然と考えられる。
 しかし、BKウイルス腎症の診断が必ずしも容易ではないこと、さらに当該製造元の血中濃度測定機を導入して腎移植を実施している施設の多くは症例数がそれ程多くないために、BKウイルス腎症の診断が困難な可能性があることがその背景にある可能性がある。
今回の事象の判明後、製造元はHPLCによるロットの追加検定を開始したとしている。しかし、依然としてその原因は明らかにされていない。
 そこで、本院では、別製造元の測定機を導入している外注業者による測定を開始した。ただし、測定値の経時的変化の把握も必要なことから、本測定機による測定もしばらく継続した。
 さらに、特に低い測定値の解釈に注意が必要なことから、測定値の表示に下限値を設け、その値以下では実測値の表示をしないこととした。
 また、腎移植の場合には拒絶反応とBKウイルス腎症を病理診断によって初期の段階で鑑別することは容易ではないことに鑑み、尿細胞診検査の回数を増やしてデコイ細胞の早期発見に努めるとともに、デコイ細胞陽性例では血中のBKウイルス抗体価を測定することで、BKウイルス腎症の早期発見に努めることとした。
当該製品は測定値が低くなる可能性があることから、特定ロットについて当該企業により自主回収が実施されている。また当該企業による調査の結果、回収ロットに起因した原料の安定性の問題であり、回収対象の3ロット以外に測定誤差は認めていないとのこと。
2 障害なし ベンチレータ840 コヴィディエン ジャパン 急変し、蘇生した患者に人工呼吸管理を行っていた。自発呼吸のない状態で昇圧剤を多量投与していた。22:00頃、人工呼吸器の電源が突然落ちてしまった。主治医がアンビューで呼吸補助をすぐに開始した。電源を再度入れるも、すぐにまた電源が落ちてしまったため、別の機器へ交換した。
  1. 前年当機器納入
  2. 約2ヶ月前、ME室にて点検中不具合発生(点検最中にモニタ画面が消失し、異常警報が鳴動した。電源のオン・オフを繰り返したが、画面は復帰しなかった)し、メーカーへ修理依頼した。納入から当日まで3患者に使用した。のべ稼働時間1247時間。
  3. メーカー修理点検にて、同様の不具合が起きたことを確認した。パワーサプライユニットの電子部品の不調との見解だが、根本的な原因は不明。修理内容はGUI、CPU、PCB交換し動作点検。点検異常なし。
  4. 当院返却。
  5. 当該事例発生3日前、ME室にて貸出点検。SST異常なし。
  6. 発生当日、病棟患者急変のためME室より当機器貸し出し。
 同日、 20:56人工呼吸器装着した。1時間くらい使用後、突然電源が切れ画面が真っ暗になったと。(主治医より)
主治医が、用手換気し、別の機器に変更した。
人工呼吸器不具合発生時に、ナースコールへアラーム音を発信させる仕組みに全対象機器を変更する。
※現在は、6台中3台がナースコール対応型となっている。
当該事例については企業から薬事法に基づく不具合報告が行われており、解析の結果、パワーサプライユニットの故障により規定の電圧が供給されなかったことが判明し、当該ユニットを交換・修理したとのこと。 
3 障害なし エクセランKids 泉工医科工業 人工心肺開始直後に人工肺での酸素化の不良が起こった。
その直後、人工肺の入口圧の急激な上昇により人工心肺装置の安全装置が作動した。
体外循環の維持が困難となったために、体外循環を離脱し人工肺の交換を行った。
人工心肺の開始直前のACTは395[S]であり、人工心肺の開始直後で420[S]であった。
また、血小板数が開始直前で22万であったのに対して人工心肺中には0.5万まで低下していた。
該当の人工肺は、解析のために製造元に提出した。その結果は、明らかな血栓はなくフィブリンの凝集を多く認めたとの報告を受けた。
各学会によれば、人工心肺を用いた体外循環の約0.1~0.5%において原因の分からない目詰まりの様な現象が起こり、体外循環の維持が困難になるとの報告がある。今回の事象もそれに当てはまると考える。
心臓外科医師との相談の結果としては、人工心肺開始後から10分間は心停止を行わずに、回路の状態を確認する時間を設けることになった。
技士としては、今後も患者の状態や人工心肺回路の状況を的確に判断し、迅速かつ適切な対応を行いながら安全な体外循環業務を行うようにする。
当該事例については企業から薬事法に基づく不具合報告が行われており、当該品の解析結果から、回路内圧上昇の原因は中空糸表面に血液凝固塊等が付着したことによると推察された。
なお、当該製品の添付文書には血液凝固等による目詰まりにより、回路内圧が上昇する可能性があることが記載されているところ。
4 障害なし EnRhythm P1501DR 日本メドトロニック 医療機器等に関する出来事 洞不全症候群に対し、永久ペースメーカー移植術を施行された。約3年後、ペースメーカーチェックを施行したところ、通常移植後10年前後保たれると考えられる電池残量がわずかとなっていた。 永久ペースメーカージェネレーター交換を行う。 当該事例については企業から薬事法に基づく不具合報告が行われており、植え込みから3年後に 選択的交換指標(ERI)を表示したためペースメーカを交換したとのことである。当該製品は電池抵抗の上昇によりテレメトリ時の電池電圧が低く測定される事象が発生したことから、電池抵抗上昇時にもERIを表示させる等のソフトウェア改修を行っている。しかし、その後、その対策によってERI表示までの期間が従来よりも短くなることが新たにわかったことから、当該企業により医療機関に情報提供が開始されている。
5 障害残存の可能性がある(高い) 体外式心臓ペースメーカDDD型EDPE30/S 日本光電工業 乳房切除術施行後、多発骨転移を指摘され治療を行っていた。
前年より微熱・全身倦怠感を認め、当院に入院。リステリアによる感染性心内膜炎、右房内腫瘤に伴う完全房室ブロックをきたし、一時ペーシングを開始した。ペーシングから離脱するも徐脈や浮腫の増強等を認めたため、再度挿入し、経過観察中であった。シャワー室へ移動後、突然息苦しさを訴え、2分後には意識レベルの低下を認めた。直ちに蘇生を開始し、ハリーコールを要請。心室細動に対して、7回の電気的除細動を試みるも心室細動の状態が続いた。
10時14分には心臓カテーテル検査室に入室し、さらに2回の除細動を行い、人工呼吸器に装着した。
10時25分頃、一時ペーシングの本体のバッテリーランプが点滅していることに気付いた。10時30分頃、PCPS(経皮的心肺補助装置)による循環のサポートを開始。
10時39分頃に、一時ペーシングの本体を交換した。その後、肺動脈造影を施行するも血栓の存在は認めなかった。
12時ICUに入室。入室後は低体温療法の上、輸血、昇圧剤などを使用しながら治療を継続。17時頃わずかに瞬目、開眼等の反応を認めるようになった。鎮静下にカテコラミンの投与を行ないながら、適宜、輸血や血液製剤の投与も行なったが、鎮静を浅くすると従命反応を認めた。その後、全身状態は徐々に回復。
PCPS、人工呼吸器から離脱。意識障害は認めなかった。13日後、ICUを退室した。
  • ペースメーカーの電池消耗のサインを把握できていなかった。
  • ペースメーカーの電池消耗ランプが点滅した状態で、パルスを示すランプが高頻度(250/分)に点滅していた。(PR設定60)
  • 医師が指示したペースメーカーのチェックポイントに、電池消耗ランプの確認が含まれていなかった。
  • この病棟の看護師は、ペースメーカーの管理に慣れていなかった。
  • 事故発生後の再現実験において、同一モデル3台(2台は本院使用中の器材、1台は販売会社所有の器材)中3台で同一現象再現されたため、本モデルでバッテリーアラームの見落としが再発した場合、同様の危険な不整脈が誘発されると判断されたため、事故機種のBiotronik EDP30Sは使用禁止。台数が不足し、救命のために使用せざるを得ない場合は、必ず新品のバッテリーを装填する。
  • 使用を許可するバッテリー
    1. バッテリーチェッカーが利用可能な場合 → 緑の範囲は使用可
    2. バッテリーチェッカーが利用不可能な場合 → 新品のみ
  • 点検マニュアルを作成、周知する。
当該事例については企業から薬事法に基づく不具合報告が行われており、再現試験の結果から、電池交換指示ランプが点灯した状態で使用継続されたために、電池が極度に消耗しペーシングレートに異常を来したものと判断されている。なお、類似事例の発生を防止するため当該製品の添付文書に電池交換指示ランプが点灯した場合は速やかに新しい電池と交換する旨を追記し納入先の医療機関に情報提供予定。
6 障害なし Intera 1.5T Nova Dual フィリップス エレクトロニクス ジャパン 両膝にコイルを巻いて検査を行い、かかとが接触していたため、電流が流れて熱傷を起した。 患者が素足であったため、タオルをかけたが、かかとが接触していることに気づかずに施行した。
検査中に、患者からブザーがあったが、間違えて押したが勝手に判断し、患者のところに行かず、確認していなかった。
患者は検査中に熱かったと話された。
検査前の確認と患者への指導を確実に行い、患者からの異常な知らせは、必ず、確認をするように徹底した。 MR装置の添付文書には高周波ループによる熱傷のおそれと、皮膚同士が接触する場合にタオル等を挟む予防方法が記載されている。
なお、これまで同様の事例が集積されており、PMDA医療安全情報No.25「MRI検査時の注意について(その1)」を作成・配信し、注意喚起も実施しているところ。
7 障害なし ボーンマロウコレクションキット パルメディカル 骨髄バンクドナーの骨髄採取時に、初回採取した骨髄液(620ml、希釈液含む)を自分で組み立てて設置したスタンド式骨髄回収バックに入れて濾過・回収していたとき、回収に時間がかかるためバック内のフィルターを触ってほぐしていたところ、スタンドと骨髄バックとのスライド式コネクター部分に緩みが生じてしまい、バックが傾いて骨髄液を少量こぼしてしまった。
まず、回収した骨髄液の重量を測定して損失した骨髄液が希釈液を含め85mlであることを確認した。事故発生後、骨髄財団のマニュアルで決められた採取上限量(本患者の場合1000ml)以下の945mlの採取を完遂し、患者体重当たり2x10^8個の骨髄有核細胞を得た。これは骨髄バンクで決められた目標細胞数であった。
 上記事項を手術終了後直ちに事務局へ報告した。
実際はバッグのプラスチックの口部分を金属スタンドにおいて金属のスライド部分でロックする。
  • バッグをスタンドに固定する際に、固定操作が簡単とはいえず、スタンドのスライド部分がうまくスライドされず使いにくい印象を普段から有している。
  • プラスチックの口部分に厚みがあるために、金属をスライドさせるときにプラスチック部分を乗り越えてスライドすることが困難。
  • ロックが甘くても、一応、セットできてしまう。
    ・今回は、おそらくロックが甘くて操作中にバッグがスタンドから脱落した。
  • 製品の構造自体も見直しが必要かもしれない。
事務局へ報告。厚生労働省に届出。メーカーに調査依頼(調査依頼回答:製品の不備はないが、たしかに、装着時の抵抗が大きく、装着しにくい。ただし、海外で作成している製品なので、改善が難しい) 当該企業によると、骨髄採取用バッグが誤った方法で専用スタンドに取り付けられたために固定が不十分となり、骨髄ろ過中にバッグが脱落したとのこと。当該製品の添付文書には、バッグの取り付け方について詳細に記載されている。また骨髄ろ過中はバッグを専用スタンドから外し輸液スタンド゙等に設置するとされている。
8 障害なし セイフアクセス輸液セット 日本コヴィディエン 患者は、口腔粘膜障害により経口からの食物摂取困難なため、中心静脈ラインにて高カロリー輸液が投与されていた。深夜1時30分、ナースコールにて患者から「咳が出て止まらない」との報告をうけ、呼吸状態を観察したところ、呼吸困難感があり、末梢酸素飽和度が89%に低下していた。
同時に、点滴ラインのフィルター部分より患者側のライン内に所々空気が混入していることを発見した。直ちに点滴を止め、ルートを交換すると共に、当直医の指示で酸素投与を開始した。患者が呼吸困難感を訴えてから約10分後、呼吸状態は落ち着いた。その後、同様の症状は出現していない。
本輸液ラインは、クローズドシステムであり、ラインの途中から外すことが出来ないシステムである。事例発生時、輸液ラインのフィルター上部(点滴側)には異常は見られていなかった。また、23時、1時に看護師が患者の点滴ラインの接続等を確認した際には異常は発見されていない。更に患者は自力での歩行及び移動は困難な状態であり、ベッドからの移動等は行っておらす、破損につながる機会はなかった。
  • 何らかの原因により、点滴のフィルター部分に破損が生じた可能性がある。
  • 点滴ラインの破損により、ライン内に空気が混入し、患者が身体的症状を起こした可能性がある。
  • 輸液セットの変更を検討中。
  • 日中・夜間問わず、輸液ラインの設置位置及びライン内の異常の点検の徹底。
当該企業に問い合わせたところ、フィルタ側の三方活栓を開いた状態でセイフTポートから薬液を注入したためにフィルタに過度な陽圧がかかり破損に至ったものと推察されている。当該製品の添付文書には、フィルタ破損のおそれがあることからフィルタ下部からの加圧は避けるよう記載されているところ。
9 障害残存の可能性なし KTPレーザー手術装置DL-10

エンドスタットファイバーP/N10-0612
HOYA



HOYA
KTPレーザーは照射中ではなかったが、使用後の器具を患者の腹部上のドレープの上に置いていた。突如、患者左ソ径部あたりより発火を認め、砕石位である患者の左大腿部のドレープに引火し、熱傷を認めた。
  1. レーザー照射後に、高温の炭化組織等の汚れがファイバー先端部に付着した状態で、可燃物であるコンプレッセンに発火した可能性。可燃物であるコンプレッセン上にレーザーペンシル、電気メスペンシルを置いたこと。
  2. フットスイッチの誤操作によるレーザー照射の可能性。
    • レーザー照射後にレーザー装置をスタンバイモードに変更していなかった。
    • フットスイッチを踏まないとレーザーは出力されない。
    • フットスイッチ操作時は、靴を脱ぎ足で出力操作を行っている。
    • レーザー使用後の電気メス使用時も保護メガネをかけて行っていた(保護メガネを装着するとまったく緑色の光は見えない)。
    • レーザー使用後、フットスイッチの位置を後方に下げていない。足はフットスイッチから離したと術者の発言があったが、誤照射の可能性の検証は不可能である。
  • 熱傷・燃焼予防:可燃性物であるドレープ上にレーザーや電気メスの先端を接触させない。⇒レーザー先端部を濡れたガーゼで保護する。電気メスペンシルはホルスター付きの製品へ発注変更する。
  • レーザー装置使用上の注意:レーザーを照射しない時は、スタンバイモードに切り替える。レーザー使用後は、フットスイッチを足元から離す。
  • 操作切巍時は、複数電気装置使用趾の不具合がないか声だし確認を行う。
当該企業に確認したところ、当該品の解析結果では異常は認められないが、照射後のファイバをドレープの上に置いたところ、ドレープが発火したとのことである。使用者はフットスイッチから足を離したと述べているが、当時の使用状況等が不明である。
なお、当該事例をふまえ、当該企業により照射後のファイバの置き場所等について注意喚起が実施されているところ。
10 障害なし 不明 不明 3クール目の化学療法を目的に、外来化学療法室でポート針の留置を行った際に、カテーテルの閉塞を認めた(外来担当E医師)。患者の問診で、1週間程度前に右鎖骨下の痛みがあり、その後は痛みも消失していることから、ピンチオフが疑われた。胸部レントゲン検査で確認したところ、右鎖骨下部位でのカテーテル断裂と、カテーテル先端部の心房内への流出を認めた。同日に消化器・乳腺・甲状腺外科に入院。IVRでカテーテル先端の抜去を施行した。さらに翌日ポートの抜去を行い、退院予定となる。 中心静脈カテーテルが鎖骨と肋骨の慢性的な影響で、カテーテルの破損を引き起こして、右鎖骨下の部位で断裂を引き起こし、カテーテルの先端が心臓に引っ掛かった状態となった。中心静脈ポートにおける合併症の一つである。
  1. 中心静脈カテーテル挿入時には、末梢側からのアプローチを徹底すること。
  2. 外来化学療法の施行時に点滴滴下の不良などが見られた場合には、ピンチオフを念頭において、ポートの抜去を検討する。
当該事例については製品名等が不明であるが、これまで同様事象が集積されていることから、平成23年5月21日付薬食安発0525第1号・薬食機発0525第1号連名通知「皮下用ポート及びカテーテルに係る添付文書の改訂指示等について」が発出されており、全ての皮下用ポート及びカテーテル製品の添付文書にカテーテル断裂について注意する旨を記載し、医療機関へ情報提供を行うよう指示されているところ。
11 障害なし MRIポート メディコン 2年前に化学療法のために他院に依頼してCVポートを留置してもらった。前年初めまでポートを使用していたが、その後は使用頻度が少なくなり、使用しないまま閉塞しないように定期的にヘパリンフラッシュしていた。CT検査を行い、その後、心臓内にカテーテルが認められた。ポートからのカテーテルが途中で切断されていることが確認された。 カテーテルが鎖骨と第1肋間の間で圧迫され、離断を引き起こした可能性がある。 ポート挿入時に、上肢の運動制限がある事を説明する。 当該事例については、これまで同様事象が集積されていることから、平成23年5月21日付薬食安発0525第1号・薬食機発0525第1号連名通知「皮下用ポート及びカテーテルに係る添付文書の改訂指示等について」が発出されており、当該製品の添付文書においてもカテーテル断裂について注意する旨を記載し、医療機関へ情報提供を行うよう指示されているところ。