独立行政法人 医薬品医療機器総合機構
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安全対策業務

平成23年度 第2回医薬品・医療機器安全使用対策検討結果報告(医薬品関連事例) 別添3

本文別添1別添2|別添3|別添4

ヒューマンエラーやヒューマンファクターに起因すると考えられた事例(医療事故)

No 事故の程度 販売名等 製造販売業者等 事故の内容 事故の背景要因の概要 改善策 調査結果
1 障害なし ノボラピッド30ミックス注フレックスペン ノボ 本日上・下腹部CT撮影予定で朝食は欠食であった。担当看護師は患者に欠食の説明を行い、朝食後薬も別に置いていた。インシュリンについてはそのまま準備し(ノボラピッド30ミックス注フレックスペン6単位)、実施をしてしまった。実施後欠食に気がついた。施注前の血糖値122mg/dlにて、ブドウ糖摂取。30分後血糖値118mg/dl、主治医及び病棟師長に報告した。 検査に対する把握不足・確認不足
インシュリンをしないことに対する患者への説明不足
患者への説明の徹底
病室における欠食時の表示方法の検討
  • 確認が不十分であった
2 障害なし ガスモチン錠5mg/ムコダイン錠250mg/アレジオン錠20mg/セロクラール10mg/トリプタノール錠10mg/重質酸化マグネシウム/ベシケア錠2.5mg/リスミー錠1mg/レンドルミンD錠0.25mg 大日本住友/杏林/ベーリンガー/アベンティス/萬有/局方/アステラス/塩野義/ベーリンガー 入院当日。他院より紹介のため持参薬あり。薬局にて鑑別を依頼した。夜勤で出勤。日勤者より「薬品は鑑別依頼中である」と申し送りを受けた。薬局からは鑑別後の処方薬が病棟にあがってきており、配薬車に準備されていた。配薬車には患者名が入っていたが、準備されていないと思い込み、確認しないまま夕食後薬も眠前薬も患者には投与しなかった。夜中に再度配薬車を確認した際に服用させていないことが発覚した。 配薬車へ薬の準備をした際、夜勤者に伝えていなかった。
夜勤者は配薬車に名前がはいっているにもかかわらず、確認をしなかった。
薬はあがってきていないという思い込み
伝達の徹底
配薬車の確認の徹底
  • 確認が不十分であった
  • 心理的状況(慌てていた・思い込み等)
  • 連携
3 障害なし リウマトレックスカプセル ワイス株式会社 ステロイドの増量をし、1週間後に経過観察するため1週間の処方とした。患者にもその旨説明した。
オーダリングシステム上、ステロイド以外の内服を処方する際、
リウマトレックスカプセル2mg 分2(朝、夕)食後
      *・・・・・週2回(木、金)      07-06から7日分
本来であれば2日分でよいところ7日分と入力した。
いつもの院外薬局で処方薬をうけとり7日間内服後再診。患者から7日間内服したと告げられ、血液検査施行。
データ上異常なく、予防のためロイコボリンの処方をおこなった。
  • 処方入力後の確認を怠った
  • 院内での処方監査なく院外に発行されるシステム
  • 週2日内服と入力しても1週間分入力できてしまうシステム
  • 院外薬局の処方箋確認不足(ステロイド増量に気を取られ他の処方の確認を怠った)
  • 包装シートの記載をしていない
  • 薬剤師の知識不足
  • 患者の思い込み
  • コンピューターシステムの改善
  • 特定の薬に関して、院内の監査を実施し院外へ発行する
  • 事例の共有、対策の周知
  • 確認が不十分であった
  • 知識が不足していた・知識に誤りがあった
  • オーダリング時等の誤入力
4 障害なし レキソタン細粒1%/レボトミン散10%/ミヤBM 中外/田辺三菱/ミヤリサン 患者Aの与薬時の持ち出し薬を過って持ち出し、患者B(患者Aと氏名の最初の文字が同じ)に与薬してしまった。 薬袋、薬包確認をするはずであったが行わず、思い込みで投与した。
マニュアルの順守違反、マニュアルの形骸化、
薬袋、薬包に薬剤名投与日時、氏名を記載することとし、もう一度患者と名前の確認を行うこととした。
マニュアルの読み合わせ確認を再度行った。
  • 確認が不十分であった
  • 患者の外見(容貌・年齢)・姓名の類似
5 障害なし カプロシン皮下注2万単位/0.8mL 沢井 血管拡張術術後、翌日より1日2回抗凝固剤皮下注射の指示があった。カプロシン2万単位/0.8ml 8000単位皮下注の指示であった。初めて行う注射であり、他の病棟看護師に実施時間の確認をし、9時・21時に実施することとした。注射箋を確認した際、8000単位に気がつかず、0.8mlだと思い、口頭で薬液量を「0.8mlですね」と言いながら、注射器に0.8ml吸い、他の看護師に伝票と薬剤を見せて確認してもらった。その後患者の所へ行き、名前と注射箋の確認を行い、施注した。
夜勤者が出勤した際、投与方法の確認があり、その時過剰投与に気がついた。医師に報告後指示にて凝固系の採血を行い、結果を報告した。当日夜間行う予定のカプロシンは中止になり、翌日予定量を実施した。
注射箋・注射ラベルの確認が不十分であった。指差し呼称による確認をしていなかった。
0.8mlが8000単位だと思いこんだ。
カプロシンという薬剤を実施するのは初めてであり、減量して使用する認識がなかった。
他者確認を依頼する際「0.8ml」と言い依頼したため、他者確認者は先入観をもった。
指差し呼称による処方箋・薬品・注射ラベルの確認の徹底
  • 確認が不十分であった
  • 心理的状況(慌てていた・思い込み等)
6 死亡 ティーエスワン/シスプラチン注「日医工」/タキソテール点滴静注用 大鵬薬品工業/日医工/サノフィ・アベンティス DCS療法(TS-1/CDDP/DOC)として、1日目にTS-1 120mg/dayを先行投与し、8日目にシスプラチン注105mg(CDDP:60mg/m2)とタキソテール85mg(DOC:50mg/m2)を投与した。その後、徐々に食欲低下を認め12日目に腹痛を伴う下痢が出現したためラックビー3gを開始。13日目には血液データでWBC:2700(neutro:71.0%)と減少傾向を示していた。15日目には急にふらつきが出現し転倒。16日目には、血液データでWBC:300(neutro:6.0%)とchome著明な好中球減少を認めたため、G-CSFおよび抗菌化学療法を開始した。その後、呼吸苦および血痰を認めたためGICUに移室したが更に状態は悪化し、循環動態も各種昇圧剤を使用するが改善なく、数回の心臓マッサージを行う17日目に死亡された。 強力な化学療法に変更したにも関わらず、患者状態や血液検査等を十分な観察が行えていなかった。
  • 化学療法により汎血球減少する時期には、頻回に観察や血液検査を行う。
  • 好中球減少時にはクリーンルームを有効利用し感染予防に努める。
  • 強力な化学療法に変更する場合は、経過観察をより十分に行い副作用の早期発見に努める。
  • 観察が不十分であった
7 障害なし アミカシン硫酸塩注射液100mg「サワイ」 澤井製薬 患者Aの母親(患者B)が他病棟に入院し、点滴治療を行っていた。Bが点滴した状態で車いすにのり、Aの病室に面会にきていた。看護師CはAに抗生剤を点滴投与するため、抗生剤を準備してベッドサイドにむかった。薬剤の照合をベッドサイドの端末を使い実施したが、ボトルをつなぎ替えるときに、母親の点滴のメインボトルを外しつなぎ替えた。(指示がメインを止めて、抗生剤だけを流すことになっていたため、メインボトルと抗生剤のボトルをつなぎ替えた。ボトルについていた患者名をフルネームで確認しなかったため、その時点では気がつかなかった。)Bが自分の病棟へ帰ったときにその病棟の看護師により発見された。 ベッドサイドに点滴をしている面会者(点滴をつないでいる別の患者)がいたが、カーテンに患者が隠れた状態でボトルを交換した。患者の状況を確認しないまま、点滴を交換したことが、要因である。
ボトルを外したときにつながっていたボトルに記載されている患者名(フルネーム)で確認しなかった。
刺入部からボトルまでラインをたどって確認すること。
当該事例のように面会者が患者であった場合は点滴交換のときは面会者にはせきを外してもらうことも必要である。
ボトルの名前確認
  • 確認が不十分であった
8 障害残存の可能性なし 未入力 未入力 人工呼吸器管理の患者が局麻で脳室ドレナージ術を施行することになり、外回りを担当。病棟からプロポフォールを持参しており、入室後ラインを確保し、プロポフォールを滴下していた。(他看護師がライン確保の介助をし、当事者は他の事をしていた)
その場に3名の看護師がいたが、人工呼吸器への接続、モニタリング、点滴台の移動、体位固定など、多重課題であった。医師は2名いたが、術野のセッティング、人工呼吸器の接続などを行っていた。約10分後急激なBP低下が見られ、その場にいた医師に報告。プロポフォールが全開で滴下されていることに気付く。(1000mg/100mlが短時間で滴下)ネオシネジン、エフェドリンの投与や輸液を滴下し、BPは回復傾向にあったが、手術を行うことは危険との医師の判断により、手術は中止になった。
すぐに輸注ポンプにセットしなかった。
当部署で同じ薬剤は使用するが、形状が違い投与方法が当部署と違うことをしりながら、ライン介助を行った看護師に注意を促さなかった。滴下合わせをしたか確認しなかった。お互いに多重課題であった。
一つ一つ確認しながら業務を行う。多重課題のときは優先順位を考えて行動する。
やったことのないことは一緒にやる、もしくはやらせない。
医師に滴下速度を確認する。
  • 確認が不十分であった
  • 知識が不足していた・知識に誤りがあった
9 障害なし オキシコンチン錠20mg 塩野義 膀胱癌にて疼痛コントロールのため1日2回8時と20時にオキシコンチン20mg与薬していた。麻薬は看護師管理であり、時間がくると患者の所へ持参していたが、8時の与薬を忘れていた。与薬をするとパソコンに与薬入力にするのだか、事前に入力し、ワークシートにも与薬したと、事前チェックしていたため、与薬したと思い込こみ、12時に日勤者が麻薬の残薬を確認したときに気がついた。 与薬する前に事前入力をしていた。
業務終了時の確認が出来ていなかった。
内服薬与薬マニュアルのマニュアル違反
麻薬管理マニュアルの遵守
実施後入力の徹底
  • 確認が不十分であった
  • 心理的状況(慌てていた・思い込み等)
10 障害なし 大塚糖液40% 大塚工場 血糖値60mg/dl≧40%ブドウ糖20ml、60mg/dl<低血糖症状なければ様子観察、の指示があった。夕食前血糖値60mg/dlであり、指示簿で確認。「60mg/dl<低血糖症状なければ様子観察」と思い、そのまま経過観察した。3時間後に再度確認をし、間違いに気がついた。
  • 血糖値60mg/dlを60mg/dl≧ではなく、60mg/dl<と思い込んだ
  • 入院時指示表には、下記のように記載されていた。
     入院指示票の(1)(2)両方に60という値があり、紛らわしいと感じた。
〈低血糖時〉
  1. 血糖≦60  40%ブドウ糖40ml 静注(30分後血糖再検)
  2. 60<血糖<100 食事orブドウ糖10g 症状あれば40%ブドウ糖 20ml静注
記載方法の検討
  • 確認が不十分であった
  • 心理的状況(慌てていた・思い込み等)
11 障害残存の可能性なし エフェドリン 日医工 加刀前の抗生剤投与の指示があったが希釈法の指示がなかったため、自身の判断で希釈し、total20mlとして準備した。抗生剤を投与しようとして10mlのシリンジを手に取り、静脈注射した。8ml投与したところで、投与している薬剤がエフェドリンであることに気づいた。点滴ラインに残っている一部を吸引して破棄した。投与直後、血圧は140台、心拍数は100~130まで上昇した。血圧を下げるためにセボフルランの投与濃度を上げ、フェンタニルを投与したところ、約10分で投与前のバイタルサインに戻った。その後、術中は問題なく経過し、抜管してリカバリーに移動した。 薬剤を投与する前にシリンジに書いてある薬剤名を確認しなかった。更に抗生剤とエフェドリンのシリンジはそれぞれ20ml、10mlと規格の異なるものであったが、シリンジの大きさの違いを認識していなかった。 薬剤投与時には薬剤名を確認してから投与する。麻酔カートの上の薬剤を分けて置くようにする。
  • 確認が不十分であった
12 障害なし ウテロン サンド
  1. 妊娠31週3日、シリンジポンプにてウテロン1.5ml/Hにて持続中。
  2. 羊水増加に伴い腹部緊満強く、16:52羊水除去開始。
  3. 17:00日勤者から準夜勤務者へ引き継ぐ。30分で羊水500ml除去指示あり。
  4. 17:30羊水300ml除去。滴下調整行う。血圧90-100/60-70台にて経過、気分不良なし。
  5. 18:00羊水800ml除去したところで、本人より腹部緊満、疼痛の訴えあり。
  6. 主治医不在にて病棟にいる他の医師へ状況報告。医師より「2gローディング」との指示。(2gローディングとは、子宮収縮増強に対して行われる治療で通常10ml~20ml/hで維持している硫酸マグネシウム製剤(1g=10ml)を60ml/hに増量し20分間与薬する方法である。)
  7. 指示内容が通常ウテロンでは行わない方法だったが、医師に確認を行わず18:09よりウテロンを60ml/hに増量し、18:29に終了した。その後腹部緊満落ち着いてきたとの訴えあり。
  8. 主治医が病棟へ戻り、状況報告にてウテロンの過剰投与に気付く。
  1. 主治医が手術のため不在であった。
  2. 指示を出した医師が、輸液が何かを知らなかった。
  3. 指示出し時に、「2gローディング」とだけで、何の薬剤を使うかを指示していなかった。通常この病棟では、「2gローディング」と言えば、マグセントを60cc/20mで実施することであり、頻回に実施されていた。
  4. 4.助産師が2年目であり、医師へ指示内容の確認がしにくい雰囲気であった。
  1. 静脈注射実施時は、輸液の名前、量、単位、時間などの確認を呼称しながら行う。
  • 確認が不十分であった
  • 連携
13 障害なし アレビアチン 大日本住友製薬 2時10分、トイレで転倒している患者を発見。意識は清明であった。右上肢にふるえを認めた。3時20分頃には運動機能は完全に回復した。患者はけいれんであったと報告。緊急CT検査では以前の脳挫傷の所見であった。症候性てんかんの既往、速やかに麻痺が改善したことからてんかん発作と考えられた。
 薬剤確認をかかりつけ病院に確認したところ、デパケンR800mgとアレビアチン150mg(ハイシーに混合)処方であった。入院時薬剤鑑定で、デパケンR800mgとハイシー2包であったため主治医はデパケンRとハイシーを院内処方に切り替えた。入院後3日間アレビアチンが処方されていなかった。
  1. 前医処方抗てんかん薬の情報が薬剤を管理している母親や施設のスタッフに適切に伝わっていなかった
  2. 患者は高次脳機能障害であり、本人の服薬内容に関して認識力は低下していると思われるが、薬剤師は患者のみに確認した
  3. 粉薬は鑑定が難しいことから、情報提供や処方先への確認をすることになっているが省略した
  4. 持参薬を院内処方に切り替えた際のリスク
紹介状の投薬内容と本人の認識や実際の処方薬などに相違がないか確認をし疑問があれば必ず問い合わせを行う
持参薬を院内処方に切り替える際特に抗けいれん剤については慎重に行う。また、入院目的を考えて、コントロールされている場合は持参薬を利用することも考える。
  • 確認が不十分であった
14 障害なし ウルソ100錠 三菱 脊柱管狭窄症のため、後方固定術を施行。術後ベッド上安静を強いられるため、術後数日間内服薬を看護師管理とした。患者から預かった内服薬を確認し、薬袋に入れる際、処方録を確認しながら薬袋に薬品名と投与する錠数を記入した。本来ウルソ1回2錠1日6錠のところ、1回1錠と記入した。投薬車には薬袋のみ入れ、処方箋控えは入れなかったため、看護師は薬袋に書かれている錠数を与薬した。4日後患者本人より指摘され発覚する。 新しく薬袋を作成し、薬品名と投与量を転記した。
転記する際、他の看護師とダブルチェックをしなかった。
投薬車には必ず、処方箋控えを薬品を一緒に置いておくというマニュアル違反
4日間マニュアル違反をしていることに気がついていない。(マニュアルへの知識不足)
マニュアルの遵守
転記行為の禁止
  • 確認が不十分であった
15 障害残存の可能性なし マイスリー アステラス 不穏行動がみられ、指示によりセロクエル投与したが落ち着かなかった。21時50分医師より「マイスリーを2錠内服」と口頭で指示があった。病棟ストック薬剤にマイスリー錠(10mg)があった。2錠内服させるのは多いと感じ1錠内服させた。22時10分不穏状態持続しているため、1錠追加内服させた。23時頃、看護師は21時56分に不眠時の指示としてマイスリー5mg錠が処方されていることに気づいた。倍量のマイスリーが投与されたことが判明し、心電図、SpO2モニター装着。血圧、呼吸状態安定しているため、胃洗浄せず。その後、血圧、脈拍に変化なし。時折、無呼吸があり、一時的にSpO2が92%まで下降することがあったが、すぐに98%まで回復した。約2時間おきに排泄のため覚醒しては再び入眠し、6時頃通常通り、覚醒した。 緊急時のみに口頭指示を受けるというルールから逸脱し、口頭指示を受けた。向精神薬にも関わらず、個人処方ではなく、ストック薬剤を看護師が投与するという逸脱した行為であることの認識がなかった。マイスリーに関する知識不足があり、規格量ではなく錠数だけでやり取りしていた。向精神薬剤をストックしていた。 緊急時以外には口頭指示は受けない。口頭指示を受けるときは患者名、投与日時、薬剤名、規格量、投与量、投与経路を復唱し、確認する。病棟ストック薬剤を廃止し、患者個々に処方する。
  • 確認が不十分であった
16 障害残存の可能性なし ブスコパン注 20ミリグラム 日本ベーリンガーインゲルハイム 前処置の抗コリン剤の注射を施行するため、問診票を確認。全ての項目に「いいえ」とチェックしていたので、依頼書、カルテ。本人に確認をせずブスコパンを静注した。静注後に依頼書に抗コリン剤不可と記載している事に気付く。患者と確認したところ眼科にて緑内障の診断はうけていないが眼が見えにくいと返答あり。ブスコパン静注後、眼痛、視力低下見られず。 問診票のみの確認しか行わなかった。 医師と看護師で確認を行う。予約時に問診票のチェックを患者と共に行う。依頼書のチェックを必ず行う。
  • 確認が不十分であった
17 障害なし オルメテック しおのぎ 患者が転院する際に持参薬の中から、オルメテックを中止との医師からの指示があり、看護師が薬の番号を調べて取り除くが、別の薬を取り除いた、転院先の看護師から連絡があり、間違いが発覚した。薬は転院先にもあり患者に被害はなかった。 調剤されている薬袋からの薬の取り出しは、看護師が行うことは危険である。 持参薬から薬を引くときは、危険であるから、再処方をおこなう
  • 確認が不十分であった
18 障害なし プレドニン しおのぎ 臨時でプレドニンを内服していたが、処方が切れ、看護師に今後の指示を下さいと言われ、研修医は指導医に確認してから薬を出しますといい、そのまま確認するのを忘れた。5日後に患者が発熱し炎症反応が上昇しているので、指導医が処方していないのに気がついた。 研修医に対する指導体制が不備
連携不足
研修医の記録は指導医が毎日チェックするルールを守る。
医師・看護師間で情報交換をおこない、指導を徹底する。
  • 確認が不十分であった
  • 連携
19 障害なし ソル・コーテフ100mg ファイザー 心カテ室でペースメーカー植え込み術をおこなっていた。主治医が、研修医にソルコーテフ100mgを静脈注射してと指示し、
研修医は救急カートからソルコーテフ100の溶解液のみとり、実施した。1時間後、看護師が救急カートを整備していて間違いに気がついた。患者の状態は変化ないため、あらためてソルコーテフ100を実施するのはやめ、経過観察となった。
研修医の薬品に対する知識不足
実施する際に、薬品名を読み取っていない。
溶解液付き医薬品をリスト化して、全部署に配布
研修医に指導
薬品実施時には必ず薬品名を読みとる。
  • 確認が不十分であった
  • 知識が不足していた・知識に誤りがあった
20 障害なし メイアクトMS小児用細粒 明治製菓 発熱にてセフェム系の薬を処方していた。発熱状態変わらないため外来受診。同じセフェム系のメイアクトを3日分処方した。(1日量300mg)2日後に再度受診。同様の処方をしたところ、薬剤師より問い合わせあり。過剰投与が発覚した。ただちに家族へ連絡。肝機能検査を行い、内服一時中止とした。 1日30mg/kgだと思い込んで処方した。
1回目の処方した際、薬剤師からの問い合わせがなかった。
予定量以外の処方が出た場合、問い合わせをするように約束事になっていたが、その機能が働いていなかった
薬品集を確認を上、確実な処方
薬剤師との連携の徹底
  • 確認が不十分であった
  • 心理的状況(慌てていた・思い込み等)
21 障害なし 未記入 未記入 内視鏡室にてEMR後に腹痛出現あり。他看護師が医師にソセゴン1A静注指示をもらい、その後他看護師より指示内容を聞いた。点滴側管より投与の指示を、点滴内混注と聞き違い点滴内混注をしてしまった。点滴内混注をしたと他看護師へ伝えた際に間違いに気が付いた。 医師より直接指示を確認したのではなく、また聞きとなった。他看護師より聞いた指示内容を復唱したが他看護師からの返答がなかった。 指示内容の復唱をしダブルチェックを徹底する。
  • 確認が不十分であった
22 障害残存の可能性がある(低い) トポテシン/ネダプラチン 第1三共/塩野義 子宮頸癌に対して広汎子宮全摘術施行。リンパ節転移を認めたため補助化学療法として、CPT-11 60mg/NDP 80mg/m2 投与開始した。当初は入院中にDAY8投与予定であったが、退院希望強く退院。外来化学療法の入力は入院中に行った。外来の処方画面にはCPTー11/NDPセット登録がなく、CPT-11単剤(100mg/m2)の項目を選択。投与量を減量しないまま処方、投与した。2日後薬剤師より指摘を受け、発見した。副作用が強く出現する可能性があるために外来受診。採血検査では異常所見ないことを確認した。下痢症状があるとのことで止痢剤を処方した。
  1. CPT-11/NDPの外来投与用のセット登録が完了していなかった。
  2. 投与量の確認をせずに処方した。
  3. 診療録の投与量を確認せずに調剤確定した。
  4. 外来化学療法はオーダリングシステムで入力すると薬剤部から部署に届けられ、担当者が確認の上、投与する。入力時には一度入力された内容を改めて担当医、または上級医が確認しOKボタンをクリックする。投与量は従来単独で使用する投与量であったため、薬剤部は過剰投与量とは認識されなかった。本事例はオーダー時のダブルチェックが機能しなかったことが要因と考える。
抗癌剤を処方する時は自動計算だけでなく、電卓などを使用し、手計算を行い、入力画面と照合し投与量を確認することを徹底する。症例毎に実施計画書に記載されている量を確認し、調剤決定することを徹底する。
  • 確認が不十分であった
  • オーダリング時等の誤入力
23 障害なし デュロテップパッチ 未記入 がん性疼痛あり、デュロテップパッチを10時に貼布していた。10時に交換予定であったが、検査出し、入院と重なり、朝情報時は交換の有無確認をし、10時に交換をしなければと思っていたが、忘れてしまい、他の看護師が次回処方分を金庫に入れるときに気付いた。 10時前後に検査や点滴、入院と重なると思いながら業務を行っていたが、入院になった患者の検査(採血)等に手惑い、11時過ぎに本人のところへ検温と点滴の確認のみして部屋を出てしまった。そのまま休憩にあがってしまった。13時他の看護師が本日のが残っているのを発見する。 重要な時間処置については、大きくメモに書きて分るようにしておく。タイマーを掛けて忘れないようにする。
  • 確認が不十分であった
  • 心理的状況(慌てていた・思い込み等)
24 障害なし マイスリー5mg 未記入 夜勤明けの朝ラウンドを行い患者の状態を聞いていると、「夜眠れなかったから眠剤を飲んで寝た。ちょっとボーっとしてるかな」との言動あり。眠剤を服用していない患者のため、その眠剤はどうしたのか問うと「前の人から貰って飲んだのよ」と言われ、同室者から「私が飲んでるのをやったわよ」と申告あり、インシデント発覚となる。眠剤を渡した患者は内服自己管理であった。眠れなかった患者が同室者が眠剤を服用しているのを知っていたため、眠剤をくれるよう声かけ同室者が手渡した。
服用した内服はマイスリー5mgであった。
4人部屋であり、他の同室者のいびきや物音がうるさく眠れなかったと言動あり。 部屋調整の検討
眠れないときには該当患者用の眠剤の指示あるためスタッフに声かけるよう説明する
手渡した患者様に違う内服を手渡すと副作用など出現する恐れあるため危険であることを説明する。
該当患者2名の担当医師より内服の重要性の説明を行ってもらう
  • 患者・家族への説明
25 障害なし ソラナックス ファイザー 患者には抗うつ薬と、抗不安薬が処方され、中止となっていた。抗不安薬が夜間のみ投与、抗うつ薬再開の医師指示になった。そのため、処方箋に夕のみ投与と看護師が手書きで記載していた。抗不安薬の処方が切れたため、医師が翌日からの処方をオーダーした。薬剤が払いだされたため、当日フリーのA看護師と、受け持ち以外のB看護師が薬剤と指示伝達を確認し、前回分の処方箋と新たに処方された処方箋の確認を行なった。A看護師は、抗うつ薬が増量になっていたため、受け持ちC看護師に伝え、指示の確認を依頼した。C看護師は処方箋とオーダーを確認し、抗うつ薬が増量になったことを直接医師に確認した。その旨を夜勤のD看護師に申し送った。D看護師は前回の処方箋を破棄するときに、新しい処方せんと見比べた。抗うつ薬の増量は確認したが、処方が変更されていない事に気づかず、処方箋を破棄した。その後、E看護師とセットの確認(ICUでは夜間に1日分セットをしている)をし、投与前にF看護師と確認をしたが、過剰投与に気づかないまま朝食後投与する。日勤看護師が過剰投与に気づく。 指示伝達確認時、内服セット時に複数の看護師が関わっているが、前回処方と新たな処方の指差し確認ができていなかった。
医師指示、患者情報の確認不足であった。
医師が抗うつ薬の減量指示を出しているにもかかわらず、新たな処方は減量されていなかった。
薬剤の指示伝達確認時には、新たな処方内容と前回処方と変更がないか指差し確認する。
薬剤セット時にも、前回処方と今回処方で変更がないか指差し確認する。
患者の情報把握、医師指示の確認を怠らない。
  • 確認が不十分であった
26 障害なし モルヒネ塩酸塩錠 未記入 モルヒネ塩酸塩錠を毎食後2錠と眠前2錠・疼痛時2錠を内服をしている患者であった。夕食前に主治医より指示変更の電話があり、他の看護師が電話を受け、夕食前に指示を確認したが入力はなかったため夕食後内服分は変更なく投薬を行った。18:30にモルヒネ塩酸塩錠の内服変更の指示が入力されており、18:47に指示を受けた。朝食後・夕食後・疼痛時の内服がモルヒネ塩酸塩錠10mg2錠から1錠へ減量になっていたが、同患者の中止薬の処理や他患者の対応で指示を受けた時に薬袋の指示を変更しておらず、朝食後に2錠を与薬してしまった。薬剤師より看護師へ連絡があり、誤薬が発覚する。 指示受け行ったが、途中で中止薬の処理や他患者の対応で指示を確認・処理できていなかった。
モルヒネ塩酸塩錠が持参薬であり、薬袋が手書きであった。薬袋でダブルチェックを行った。
指示受けを行った時点で薬袋の指示を変更していなかった。
指示変更の指示受けを行った時点で、指示を印刷し、薬袋に貼付する。
薬を取り扱う際は他の業務は行わない。
  • 確認が不十分であった
27 障害なし モルヒネ塩酸塩10mg 未記入 8時定時の内服モルヒネ塩酸塩錠10mg2錠を患者の所へ持っていった。車椅子に乗車し朝食を摂取していた。朝食後内服するため、置いていて下さいと言われた為食後の内服と共に手渡した。その際、薬包紙に入れて手渡した。
その後廊下にて患者とすれ違った際内服の確認を行うと内服したとの報告であった。昼食前に日勤帯看護師が床頭台にモルヒネ塩酸塩錠が置いてあるのを発見し、内服されていなかったことが判明した。主治医へ報告し、朝のモルヒネ塩酸塩錠は中止となった。
自宅でも定時に内服しており管理を出来ると思い込んでいた。また、内服したと思い込んでいたため錠剤自体の確認を怠った。空の確認は内服したことの確認の為薬包紙に移すことは、行ってはいけなかった。 内服、錠剤の確認を行う。麻薬は、空にて内服を確認する為薬包紙などに移さず直接内服して頂く。直接内服する時間に持っていき確薬を行う。
  • 確認が不十分であった
  • 心理的状況(慌てていた・思い込み等)
28 障害残存の可能性なし 未記入 未記入 ・内服1日自己管理中で確認を行っている。他患者の対応をしていて、確認に行くのを忘れていた。本人もリハビリが早くからあったことで、内服を忘れてしまったとのこと。日勤の看護師が昼食後の確認に行った時に、内服がケースに残っているのを発見し医師に報告。朝食後内服は当日のみ中止し、夜間の血圧測定の指示あり。血圧110~130mmhg台にて経過。
  • 他患者の対応をしていて忘れていた。大丈夫だと安心していた。
  • 患者のリハビリ時間の変動で慌てて忘れてしまった。
  • 内服したかの確認。
  • 食堂に持ってきてもらってから内服してもらう。
  • 確認が不十分であった
29 障害なし ブロプレス 武田 ナースステーションで臨時薬の内服切れの確認を行った。患者の内服しているブロプレスが朝より処方切れであった。医師オーダー表に処方依頼しなければいけなかったが、医師オーダー表に処方依頼してしまったため朝の内服が無投薬となった。
13時40分 その日のリーダーが医師オーダー表をみて、無投薬であることを発見する。10時の血圧150/67mmHg
医師へ報告し、通常血圧3検であるところをその日のみ4検の指示。夜間血圧高値であれば当直医へ効果の短い降圧剤を依頼し、明朝血圧が高値であれば朝食後のブロプレスを早めに内服するようにとの指示あり。その後朝まで収縮血圧150代、拡張血圧60から70代で経過し様子観察となった。
受け持ちの導尿指導や、委員会があり、また水曜日のP勤で自己管理の内服配りもあり業務が煩雑し焦っていた。 落ち着いて焦らず業務を行う。処方切れと処方依頼日を再度確認する。
  • 確認が不十分であった
  • 心理的状況(慌てていた・思い込み等)
30 障害なし トリプタノール/ノイロトロピン/ガバペン 未記入 ペインクリニックで入院された患者で当日ブロック施行し疼痛緩和していた。夕食後より内服が新たに処方されていたが処方されていた内服に気付いたのが23時頃で患者も鼾をかき寝ていた。疼痛もVAS0と言われていたため入眠を妨げないようにと鎮痛剤、抗不安剤を翌日の朝よりセットし内服させた。 内服・医師指示のチェックを怠っていた。
主治医へ相談せず自己判断したため。
内服をセットする際指示された日付できちんとセットする。
患者が寝ていたり時間が遅れる際には主治医へ報告し指示を仰ぐようにする。
  • 判断に誤りがあった
31 障害なし 未記入 未記入 抗癌剤投与2日目で副作用として吃逆があり眠れないと訴えあり。患者からは訪室するたびに治せないなら点滴を外して帰るなどイライラした様子がみられていた。主治医へ報告しセルシンを1/2A静脈注射施行した。2時間程眠られていたが、再度吃逆にて眠れないと訴えにて、詰め所まで来られ点滴を外し治療はしないと軽度興奮ぎみであった。他スタッフと相談し再度セルシン使用。その後訪室すると眠られていた。
朝トイレへふらふらしながら歩かれている姿をみかけ声をかけると昨夜、眠前薬(デゾラム・レンデム)を2錠ずつ内服したと報告を受ける。
患者が入眠されていたことで薬が効いたのだと思い込み、内服されている薬など十分に観察できていなかった。 患者への説明と対応。本当に本人管理で良いのか検討していく。
  • 確認が不十分であった
32 障害なし サクシゾン注100mg 日研 生理食塩水100mlとサクシゾン注射用100mg1/2バイアル点滴に指示があったが、注射箋に記載されていた量(50mg)に気づかずそのまま100mgを点滴内に混入し、患者に実施した。 注射箋と薬品の指差し確認はしていたが、注射箋に記載されていた量までの確認が出来ていなかった。
100mgと思い込んでいた。
指差し呼称の確実な実施
薬剤投与量が規格外の場合は注射箋確認時に注射箋に明示
  • 確認が不十分であった
  • 心理的状況(慌てていた・思い込み等)
33 障害なし サイレース 未記入 眠前にニトラゼパム錠を定期内服されている患者であり、持参薬がなくなるためサイレースに処方変更となる予定であった。薬配カートでセット済みの眠前薬(ニトラゼパム)は一人でチェックし、サイレースは鍵付管理のためダブルチェックし内服薬を与薬する。翌日夕方に日勤看護師よりサイレースが1錠少なく、ニトラゼパムとサイレースの重複投与の指摘を受ける。 与薬開始日の確認をせず、処方内容のダブルチェックしかしていなかった。
処方開始日の記載は普段通り薬袋右上に日付が書かれているだけであった。
手書きで「持参薬のニトラゼパムの変わりです」と書かれていたが、処方開始日が目立つようには記載されていなかった。
ニトラゼパムとサイレースが同種薬との認識がなかった。
マニュアル通りに指差し呼称を行う。
処方切り替えの場合は与薬の開始日を分かりやすく記載する。
内服予定日を薬袋の裏に記入する。
  • 確認が不十分であった
34 障害なし リュープリン注射用キット3.75 未記入 本日13時ごろ受け持ち看護師がだれなのかを他の看護師が確認していた。一緒に患者担当割りが記載してあるホワイトボードを確認すると部屋番号がなかった。リーダー板で確認し自分が受け持ちであることに気づく。カルテを確認しリュープリン指示があることを確認。本人の部屋に確認に行こうとした際にすでに外泊していたため本人へ連絡し、本人も帰宅後気づいたことから来院され施行する。 本日の担当看護師である自分自身がホワイトボードだけで確認しており、リーダー板まで確認していなかった。 リーダー板に部屋割りを記載しているため、転記となるホワイトボードには部屋割りは記さない
  • 確認が不十分であった
35 障害なし ノボリンRフレックスペン 未記入 自分は夜勤のチームであり夕食前の17時30分に患者の血糖測定を行い、スケールを用いインスリンを夜勤フリーとダブルチェックでセットを行った。他の看護師が配膳を行い、患者は食事を食べられていた。自分はインスリンがあった事を他の事に気を取られ、忘れていた。19時に思い出し、インスリンの未投与に気がついた。 他患者もし夕食前に血糖測定があったが、まだ検査から帰室しておらずこの患者の血糖測定を帰室時に測定忘れしないようにと気をとられていた。 インスリンがある患者は投与前の時間でタイマーをセットしタイマーで動く。
看護助手や、他看護師に配膳前にインスリンがある事を声かけする。また、配膳時にインスリンがある患者を紙等にリストアップし他者にもわかるように表示する。
  • 確認が不十分であった
36 障害なし ワソラン 未記入 遅出勤務で経管栄養の夕食後薬をナースステーションで準備するとき、患者1名分の内服準備を漏らし、流動時与薬せず勤務を終了した。21:00に夜勤の看護師が与薬カートの中に内服が残っているのを発見した。与薬有無の確認の連絡を受けるまで、与薬が漏れたことに気付かなかった。その後、夜勤の看護師が注入した。 与薬カートには経管患者の引き出しには赤いテープで「経管」と表示していたが、その患者の分だけ、隣の列の中に引き出しがあった。薬を準備するとき、与薬カート全体を見て確認をしなかった。経管患者の与薬が終わった時点でカートの残薬を確認したが、その時も、列の違うその引き出しを見落としていた。 経管患者は同じ列に引き出しを集める
薬の準備をした時点で、もう一度すべてのカートの引き出しを確認する。
  • 確認が不十分であった
37 障害なし フロモックス 未記入 夜勤Nsより、内服のフロモックスの処方依頼ずみであり、薬局から上がってきているがを確認するよう申し送りを受ける。申し送り後、他の日勤スタッフが薬局より、フロモックスを持参し、確認ボックスに入れる。Drよりの指示伝達を確認し、個数確認する。当日からの内服開始と勘違いし、朝投与分1錠を、当日日勤担当Nsに手渡す。(昼から)は、フリー業務Nsにセットをお願いする。しかし、フリーNsがセット時に内服薬袋に翌日の日付が右上に書いてあるのにきずき、ネット上確認した所、(本日まで抗生剤、注射)あり。翌日からの内服が発覚する。急ぎ患者へ確認したが、内服のフロモックスを内服したあとであり、アクシデント発生となる。
  1. 術後何日目の患者であるかを把握していなかった。
  2. 内服薬を指示伝達と確認したにもかかわらず、開始日程の確認が曖昧で、翌日内服開始を本日と思い込み、(ダブルチェックせずに、担当Nsに渡してしまった。
  3. 担当Nsが新人Nsであり、注射による抗生剤投与終了後に、内服へ移行する事を知らず、投与時に疑問に思わず、そのまま本人へ手渡してしまった。
  1. 指示伝達と内服確認時(開始時期、日数、個数)の確認とともに、点滴など、重複がないかの確認、術後何日目であり、内服薬が処方された経緯を確認する。
  2. セット、投与時のダブルチェックの徹底。
  3. 新人Nsへの教育、説明。パスの確認やアセスメントの方法の指導。
  • 確認が不十分であった
38 障害なし 未記入 未記入 ナースステーションにて、薬を確認後セットしていた。眠前の薬があったが、時間が0時近くだったため、夜勤チーム者に送ってセットした。翌日カンファレンスにて前日の眠前薬内服していないと指摘あり発覚する。 薬についての考えがあまく、自己判断をしてしまっていた。 薬の投薬ミスがあった場合、きずいた時点で主治医へ報告する。
  • 判断に誤りがあった
39 障害なし ヒューマリンR注100単位/mL リリー 術後、21病日経過し、血糖値も落ち着き、値によりインシュリンの量を決め実施することは中止になっていた。1日4回の血糖値測定は継続していた。眠前の血糖測定時、インシュリンが中止になっていることに気がつかず、血糖の値を確認後、ヒューマリンR4単位を実施してしまった。 検査伝表には、血糖値によってインシュリンの実施するという「スケールあり」と記載してあった。そのために、実施するものと思い込んだ。
指示表で確認する際に、確認が不十分であった。(中止のサインをみていなかった)
指示表で中止のサインはあったが、まぎらわしかった
確認作業の徹底
中止サイン方法の改善検討
  • 確認が不十分であった
  • 心理的状況(慌てていた・思い込み等)
40 障害残存の可能性なし ドルミカム10mg アステラス製薬 胃瘻造設目的で内視鏡室へ入室する。直後より体動激しかった。医師の指示に従いペンタジンを1/2Aとブスコパン1A注射を準備した。その後、「ドルミカム2mLと生理食塩水8mLで10mLにして下さい」と指示を受けたが、最初は理解できなかった。指示を聞き直し準備を行った。内視鏡開始前に医師から「ペンタジン1/2A静注」と指示があり、復唱して実施。その後ドルミカム2mLと指示があったがその指示を聞き漏らし復唱せずに注射した。医師から何mL入れているのかと質問されたときは8mL注入していた。直後呼吸抑制が出現し、アキネセート注入しバックバルブマスクで換気し徐々に覚醒した。 当院はドルミカムは医師が行う薬剤となっていたが知らなかったため実施してしまった。
口頭指示は復唱して行うが中途半端な確認になっていた
投与にあたって注意を要する薬剤に関する知識を習得する
口頭指示は指示の復唱を徹底して行う。
分らない指示関しては必ず聞き直し実施する
  • 確認が不十分であった
41 障害残存の可能性がある(高い) プラビックス錠75mg/セロクラール錠10mg サノフィ・アベンティス/サノフィ・アベンティス
  1. 入院当日、持参薬を主治医と看護師と両者でダブルチェックをした。前院からの紹介状なかった。薬手帳等現在内服中の薬を記した書面はなかった。
  2. 主治医は、確認した持参薬を継続内服するように指示した。
  3. 主治医は、既往にステント留置術をしていること、バイアスピリン(抗血栓剤)を内服していたこと、外来受診中に薬疹により中止したことは把握していた。しかし、前院処方のプラビックス(抗血栓剤)セロクラール(脳循環改善剤)を内服していることは知らなかった。入院当日に確認した持参薬にその薬はなかった。
  4. 入院前まで内服していたプラビックス・セロクラールは4日間投与されなかった。
  5. 入院5日目、早朝より発語が少なかった。10時前に呼吸器内科当番医師が診察する。低酸素状態と判断した。酸素吸入調整をする。
  6. 妻が昼食時と夕食時頃に面会し、患者の様子がおかしいと感じた。17時頃に日勤担当看護師に、異常を感じることと医師への報告を希望した。
  7. 日勤担当看護師は、いつもと違うことは感じていたが午前中にすでに診察を受け対処していること、その時と大きな変化はないため妻ほどの緊急性を感じなかったことから、妻には「休日のため明日主治医に診てもらう。」と答えた。
  8. 準夜看護師は意識レベルの変動を感じ生体モニターを装着した。左共同偏視、左上下肢麻痺を認め当直医師に報告した。
  9. 当直医は救急外来対応中のため血管確保の指示をし、診察した。頭部MRIの結果、多発性脳塞栓症が判明した。
  10. 妻から心臓の薬を返されて内服していなかったと話があった。
  1. 前院からの紹介状は発行されていないため、前院の処方内容が明確ではなかった。(前院の紹介による当院受診ではなかった)持参薬が前院の処方と合致しているのか確認ができない状況であった。
  2. その状況で、妻が届けた内服薬の現物のみを主治医と看護師とで確認した。見落としや間違える危険性もある。
  3. 薬剤師のマンパワー不足により、入院時の薬剤指導を実施できない状態である。持参薬の薬剤師によるチェック体制がない。
  4. 患者は肺炎を併発しており、反応の鈍さ(新たな合併症徴候:多発性脳塞栓症)を血液ガスの結果から低酸素状態によるものと判断した。
  5. 多発性脳塞栓症:シャワーエンボリズムのために、現れた症状は典型的な脳梗塞症状とは異なったため、今回の反応の鈍さを脳梗塞と推測することはむずかしかった。
  6. プラビックス・セロクラールは、動脈の血栓を予防するもので、心臓内の血栓防止には効果を期待できない。その薬を内服していたとしても心臓内からの脳塞栓症は、防止できなかったかもしれない。これらの薬を内服しなかったことと脳塞栓症発症との因果関係は低い。
  7. 妻が日勤担当看護師に異常を感じること、医師の診察依頼を複数回したが取りあってもらえなかったことが、妻の病院への不審を募らせる要因となった。
  8. 日勤担当看護師は、午前中に診察を依頼し対処していること、その時と大きな変化はないことから緊急性がないと判断した。そのため、妻の訴えを受け止められなかった。また、他の看護師にも相談しなかったため、助言や妻へのフォローがなされなかった。
  1. 薬剤師も含む持参薬の確認体制の構築(確実に持参薬の確認ができる方法を検討する。処方箋・紹介状・薬手帳等の書面との照合を原則とする、薬剤師の介入、など薬剤科とも協力し確認方法をルール化する)
  2. 患者を常に見ていた家族からの「おかしい」の言葉は、貴重な情報と受け止める認識をもつ。医療はチームで行うため、報告・相談・連絡が重要である。よって、医師への報告や看護師間の相談を躊躇しないように医療安全情報として職員へ発信していく。
  • 確認が不十分であった
42 障害なし テグレトール細粒50% ノバルティス
  1. 夕方より、患者の病状変化あり。目がうつろになり顔色不良、夕食1割摂取介助するが、同状態のため無理せず水分のみとした。主治医に報告し、様子観察の指示。
  2. 夜間良眠。
  3. 朝、トロンとした表情、嘔気あり食事摂取できず。バイタル異常なし。主治医に報告。
  4. 主治医、診察、血液検査の結果、VPAの値が低かった。ダイアップ坐薬挿入し、点滴開始。薬剤科に連絡し確認、VPA再調剤依頼する。
  5. 薬剤科が医師の連絡を受け確認したところ、VPAのところCBZを調剤、調剤間違いがあったことが判明した。デパケン細粒40%1gのところテグレトール細粒50%1gを14日分として、14.1g調剤しました
  6. 夕から開始の定期処方であった。朝まで4回服用している。
  7. 患者は、1日点滴施行し回復した。
  8. 家族への説明の場を設け、説明し、納得していただいた。
  1. ハード面での不備:デパケン細粒・テグレトール細粒とも装置瓶に入れて配置していた。同じ茶褐色・同じ大きさの装置瓶で隣り合わせに配置していた。
  2. 鑑査時、色・粒子形・重量確認を実施したが、処方箋と調剤レシートの確認がおろそかになった。
  3. 薬剤師が1名休んでおり、心理的な焦りがあった。
  1. ハード面の改善:デパケン細粒は装置瓶に移さず、商品のボトルそのままを使用し、テグレトール細粒と離れた所に配置する。
  2. 鑑査時に処方箋と調剤レシートを並べて照らし合わせ確認する。
  3. 勤務状況にあわせた体制を検討する。
  • 確認が不十分であった
  • 心理的状況(慌てていた・思い込み等)
43 障害なし ワーファリン1mg エーザイ OP予定。抗凝固剤服用中にて、2週間前に内服中止となる。1包化していたため、薬剤部に抗凝固剤を抜いて貰うように依頼した。抗凝固剤を抜いた状態で薬剤部より薬が届き、確認せずそのまま術前まで内服させた。術後に薬が再開となり、再度薬の中身を確認したところ、抗凝固剤が0.5錠はいっているのが発覚した。 他の病棟から転棟した患者であり減量になった薬剤を申し受けており、確認していると思い、1包の中の個数の確認をしなかった。
薬剤部で確実に減量されていると思い込んだ
減量を依頼する際に、薬剤情報を添付せずに依頼した。
マニュアルの遵守
  • 確認が不十分であった
  • 連携
44 障害なし リントン錠(3mg) 田辺三菱 入院後内服開始。悪性症候群の診断のため内服薬変更(原因と思われる薬剤の中止)と持続点滴開始となった。その後、徐々に症状改善してきていた。
定期処方切れのため、処方依頼。主治医が不在のため、他の医師に依頼した。夕より開始分を処方。改善していた症状が再発。
転棟する。処方後2日目、深夜勤務の看護師が朝の薬を準備する時に、処方箋を見て疑問に思い、当直医に相談。処方された内容が間違っていること、間違った薬を7回服用していることが判明した。
主治医、診察。処方変更する。点滴継続。
  1. 医師が処方を間違えた。主治医が不在のため他の医師が処方。悪性症候群で処方変更した以前の処方内容で処方されていた。処方箋には、システム上、以前の処方内容が印字されており、中止薬に線を引く時、間違って他の薬に線を引いていた。確認不足。
  2. 看護師は、主治医が不在のため、他の医師に処方依頼しているが、患者情報提供せず、処方後の処方箋とカルテの確認不足のままサインしている。
  3. 看護師は、与薬時、処方箋確認するが、悪性症候群の患者の与薬内容に疑問を持たず、与薬した。
  4. 主治医は、不在前に指示の確認をしていなかったため、他の医師に処方依頼する状況になった。
  1. 主治医以外の医師が処方する場合、患者の状態を確認してから行う。
  2. 看護師は、主治医以外の医師に処方依頼する場合は、患者情報を提供する。
  3. 看護師は、処方箋とカルテの確認を5Rの確認・声だし・指差しの徹底。
  4. 患者の状態・薬について把握し、状態に合わせた観察・介入・記録を行う。
  • 確認が不十分であった
  • 記録等の記載
45 障害なし ワーファリン錠1mg エーザイ 手術予定となり、2週間前に抗凝固剤の内服中止の指示があった。患者の薬は分包になっており、薬剤部に抗凝固剤の錠剤を分包の中から取り出すように依頼した。1包の中には1.5錠入っていたが1錠しか抜いておらず、0.5錠はいったままで術前まで内服。術後、内服再開の時点で0.5錠入っていることに気がついた 1包の中身を減量する場合は、依頼書及び処方箋控え叉は薬品情報をもとに確認の上、減量するのだが、依頼書のみだけで減量しており、マニュアル違反である
薬剤師1人だけでおこなっており、他者と確認するという行為のマニュアル違反
調剤手順の厳守
日直等一人調剤時の対応検討
  • 確認が不十分であった
  • 連携
46 障害なし ノイトロジン注100μg 中外製薬 化学療法目的にて入院中、白血球減少のため、白血球減少治療薬注射していた。白血球の増加みられ、医師は中止の指示を出した。指示を出した時点で処方箋の中止処理を行わなかった。翌日処方箋と薬剤があるのを確認した。注射ワークシートには患者の名前がなかったが、オーダー確認しなかった。前日の白血球は10000あることは確認していたが、本日注射があるものと思い込みそのまま実施した。実施後実施サインを入力する際、中止になっていることが判明した。主治医に報告、様子観察の指示があった。 薬の作用に関する知識不足
前日中止になっているにもかかわらず、伝達がなされていない情報伝達不足
中止時、マニュアルに沿った処方箋処理・薬品処理が出来ていなかった。
情報伝達の徹底
マニュアルの徹底
薬品に関する知識の習得
  • 確認が不十分であった
  • 知識が不足していた・知識に誤りがあった
  • 心理的状況(慌てていた・思い込み等)
47 障害残存の可能性がある(高い) ワーファリン(1mg)/ワーファリン(0.5mg) エーザイ 当患者は当院外来通院をしている。息子が管理できることを確認しワーファリン処方が開始されている。右上腕骨近位端骨折で救急病院入院加療を行っており、情報提供書を持参し当院受診する。これまでの診察医は退職しており当院では始めての診察医となる。PT-INR検査後情報提供書内容と同じ用量のワーファリン(1mg)2錠 1×28 ワーファリン(0.5mg)1錠 1×28を指示簿に記載。それを事務員がPC入力する際0,5mgを5mgと入力してしまった。事務員は処方入力の時院内手順はふんでいた。その処方箋を処方医が確認したが入力ミスを発見できなかった(院内取り決めとしている)。処方箋は、家族により院外薬局に提出され用量間違いのまま薬が渡された。同処方内プラビックス(75)0,66粉砕の指示に対し錠剤への変更依頼の連絡が院外薬局から入りプラビックス2錠と錠剤に変更指示がされているが、ワーファリンに対する疑義照会はなかった。脳室内出血で救急病院搬送入院となり持参薬を調べたところ用量変更になっている。 事務員の入力は、指示簿1.薬品名2.用量3.用法4.処方日数の順にPC画面とつき合わせながらそれぞれを入力し指示簿に確認のレ点を入れている。薬剤1に対し視点がPC画面と指示簿の間を数回往復している状況があり、薬剤数が増えるとその回数は多くなる。また事務員によってはPC入力後プリントアウトした物と指示簿をつき合わせている者がいるが、確認することは院内手順で決まっている。その処方箋を処方医にまわし確認している。医師は、外来診察時PHSでの問い合わせや、リハビリや内服薬のみ希望で来院した患者とは、短時間の会話で対応ができるようにと診察室から処置室に来て患者と話をしている等のことから業務が煩雑になっている。 第1回委員会で出された案
すぐに実施開始は、ハイリスク薬に関しては事務員2名でのダブルチェックを行う。
ハイリスク薬に関してはPC内薬剤名の後ろに注意などのマークをいれ分かりやすくする。
検討案は1.オーダリングの導入2.薬剤師による入力3.処方箋の確認を外来看護師と事務員2名で行う等。
  • 確認が不十分であった
  • オーダリング時等の誤入力
48 障害なし ハロマンス注50mg ヤンセン ハロマンス2A フルデカシン3V 指示の患者に、ハロマンス2Aとネオペリドール3Aを筋注してしまった。 忙しくダブルチェックを怠った。
薬剤の調整場所に薬剤を用意したスタッフと調整して患者に施行したスタッフが別であり、発生要因による薬剤間違いが発生した。
なし
院内ルールのダブルチェックを遵守していれば予防できた
  • 確認が不十分であった
  • 心理的状況(慌てていた・思い込み等)
49 不明  プレドニン 塩野義 ・患者Aに患者Bのメインの点滴(ピーエヌツイン1号)を点滴してしまった。患者Bに患者Aの点滴(プレドニン30mg+生食100ml)を点滴してしまった。患者Aのメインはフルカリック2号であった。 ・患者Aの点滴交換のためパソコンで患者認証したところ点滴が終わっていなかったため患者認証した点滴をトレーに戻し、パソコン台の上に並べて置いた。ナースコールがなったため一時的に患者Aの側を離れた。
再度訪室した際、同室の患者Bの点滴がなくなったためパソコンで患者認証を行った。再度ナースコールがなったため患者認証した点滴をトレーに戻し、パソコン台の上に並べて置いて一時的に患者Bの側を離れた。
再度訪室し、患者Aに患者Bのメインの点滴(ピーエヌツイン1号)を点滴してしまった。患者Bに患者Aの点滴(プレドニン30mg+生食100ml)を点滴してしまった。実際点滴交換をする際、患者氏名の確認を怠り投与した。
その5分後患者Aに指摘され患者間違いに気付いた。
さらに30分後患者Bにも指適され患者間違えに気付いた。
ベッドが隣同士だった。 不明
  • 確認が不十分であった
50 障害残存の可能性がある(低い) KCL補正液 20ml 大塚
  1. 医師は血清カリウム値が2.77mEq/Lに低下したため、カリウム補正量を2mEq/kg/dayに増量する予定であった。
  2. 医師は注射伝票を作成したが、約20mEq/kg/dayの点滴メニュー(Aq 1.7mL 1モルKCL 18.3mL ヘパリン 0.02mL)を作成した。
  3. その注射伝票をもとに看護師が補液を作成した。
  4. 看護師は誤ったメニューの補液に切り替えた。
  5. 医師は夕方、血清カリウム値は4.91mEq/Lまで上昇したが、正常範囲内であったため補液変更せず。
  6. 医師はその6時間後、血清カリウム値は8.68mEq/Lまで上昇した時点で、オーダーミスに気づいた。
  1. 手書きの注射処方箋であり、通常、医師は投与量を電卓で計算し注射箋に記入する。今回、Aq(蒸留水)18.3mL、1モルKCL1.7mLと記載するところ、Aqの指示量を記載する欄に1モルKCLの量を、1モルKCLの指示量を記載する欄にAqの量を書いてしまった。
  2. 医師は注射処方時、注射伝票を医師間でダブルチェックすることになっていたが、新規入院患児の処置、他病棟からの要請等各医師が多忙な状態でありダブルチェックを行ったが間違いに気づかなかった。
  3. 看護師は数種類の内容変更とルート変更があり業務が煩雑であった。
  4. 補液と注射伝票を確認する際カリウムが「多いな」と思ったが、指示通りであったこと、予定交換時間が過ぎていたことから早く交換しなければならないという焦りから、それ以上の確認はせず補液を切り替えた。
  5. NICUの特徴(使用量が少量である、変更が頻回など)から注射液請求は個人毎ではなく病棟配置薬から取り出し、使用後に伝票を薬剤科、医事課へ提出する事になっており薬剤科のチェックが入らない状況にあった。
  1. カリウム製剤のおき場所に「要希釈」の注意喚起テープを貼る。
  2. meq計算方法の勉強会を開催する。
  3. カリウム製剤他、危険薬剤の勉強会開催。
  4. 当院採用医薬品採用リスト(特にNICUで使用する薬品)を全スタッフに配布する。
  5. 医師間ダブルチェック手順の見直し(チェックした伝票にダブルチェックのサインをする)。
  6. オーダーした医師、ダブルチェックした医師はサインをし、2つのサインがあるものがチェック終了の伝票とする。
  • 確認が不十分であった
  • 心理的状況(慌てていた・思い込み等)
  • オーダリング時等の誤入力
51 障害なし ヒューマリンR注100単位/mL リリー 昼食前に他の看護師より血糖値とインシュリンの確認を依頼された。昼食前血糖220であり、ヒューマリン10単位の指示があった。しかしこの指示は昨日より中止になり、違うインシュリンに指示変更されていた(朝・夕)。中止の記載に気づかないまま、ヒューマリン10単位の伝票を発行し、準備確認した。 指示簿の中止欄の見落とし。
指差し呼称による確認不十分
注射の中止指示が人目でわかるような明示方法の工夫
  • 確認が不十分であった
52 障害残存の可能性なし 不明 不明 医薬品情報提供マスターへの新規採用医薬品の情報作成時、誤ってコードが未設定の状態で副作用情報を保存した。そのため本来ならば空欄であるはずの他の医薬品のコード未設定部分にその副作用情報が登録され、その後、翌日11時頃に気がつくまでに処方された患者の医薬品情報提供書の内容が誤ったものとなった。 薬情のシステム上の不備:コードが未設定の状態で保存されてしまう点・未設定で保存された内容が、他の医薬品のコード未設定部分に保存されてしまう点医薬品マスター登録者の理解不足:医薬品情報提供システムに関する知識不足調剤時の確認不足:医薬品情報提供書の内容に関して、間違いがないという思い込み コードが未設定の状態で保存が行われた際、「警告」が表示されるよう部門システム業者と交渉。医薬品マスター登録マニュアル作成。調剤時に医薬品情報提供書の内容確認の徹底。
  • 確認が不十分であった
  • システム
53 障害残存の可能性がある(低い) エグザール 日本化薬 外来化学療法部にて、ホジキン病患者のAVBd療法施行で「エクザール注10mg 7mg 生食PB 20mL」の処方が出ていた。エクザール注2本が、冷蔵庫に保管されており、2本とも当該患者の分であると思い込み開封してしまった。そのため、抗がん剤調製時、本来エグザール1バイアル(10mg)を使用し7mgで調製するところ、調製者はエクザールを2バイアル使用し17mgを調整した。鑑査者も間違いに気づかず、患者に投与された。同日、調製者が調製内容を入力した際、間違いに気づいた。
  1. 薬剤(冷所医薬品)の保管が患者個別に保管されていなかった。
    →薬剤は前日に1患者1トレイで患者の薬剤が外来化学療法室に払いだされていたが、エクザールは冷所保存の薬剤であったため、1患者1トレイになっていた薬剤のセットをばらしてエクザールのみ冷蔵庫に保管した。その際、もう1名の患者の分と同じトレイに無記名でエクザールが保管されていた。
  2. 抗がん剤の調製内容の記載(7/10/17mL(抜き取り量/溶解量/最終的な溶解量)と記載)の統一がされていなかった。
  3. ダブルチェックが十分に機能していなかった→鑑査者は、注射器に17mLが充填されていることは確認したが、使用されたバイアル数と処方せんに記載されているエクザールの投与量7mgとの照合が不十分であった。
  1. 薬剤の(冷所医薬品)の保管を患者の患者個別に保管する(1患者1トレイ)。
  2. 抗がん剤の調製内容の記載の統一を行った。
    →10mg×1V(抗がん剤の規格と使用本数)10mg×7/10mL(10mgを10mLに溶解して7mL使用)全量17mL(最終的な注射液の量)
  3. 化学療法処方監査者、抗がん剤調製者、監査者の役割を明確にし、それぞれが担う役割を再度見直し、明文化した。
  • 確認が不十分であった
  • 心理的状況(慌てていた・思い込み等)
54 障害なし ミラクリッド注射薬5万単位 持田製薬 ガンマグロブリンを側管にて投与後、維持液を30分流してから、ミラクリッド5万単位1管点滴静脈注射の指示があった。通常、定量筒に入れ、維持液で希釈して30分かけて滴下するところを、側管よりワンショットしてしまった。 処方箋のコメントから、投与する内容を表面的にしかみることができておらず、ワンショット投与であると思い込み、ダブルチェック時や投与時に、具体的に振り返りながら確認することができていなかった。また、他のチームの患者の処置であった。 対象・薬物・投与方法など再認識することと、他のチームの慣れない処置は、ダブルチェック時に、具体的な投与方法・経路・手技などを確認して、ダブルで実施するようにする。小児点滴の手順書の見直しを行う。初めて経験する薬剤は、薬効・投与方法など、不明な点は他のスタッフとも確認する。
  • 確認が不十分であった
  • 心理的状況(慌てていた・思い込み等)
55 不明 原疾患との判別が不可能 ノーベルバール静注用250mg ノーベル 超低出生体重児。出生後直ちに仮死蘇生を行い未熟児室へ搬送した。同日17時に鎮静のためノーベルバールを初期投与量として20mg/kg静注した。翌日朝より維持投与量として5mg/kgを12時間毎に静注する予定であったが、オーダーをした医師が初期投与量と同じ量を継続するものと思い込み、20mg/kgでオーダーし継続した。2日目および3日目も前日のオーダーが継続され、4日目、別の医師が翌日のオーダーをした際に、ノーベルバールの2日目以降の量が維持量に減量されていないことに気付き、過剰投与が判明した。直ちに投与を中止し、フェノバルビタールの血中濃度を測定したところ、170.6μg/mlに上昇していた。薬剤排泄の促進のため、メイロン、ラシックスを投与したが、フェノバルビタールの血中濃度に変化が無いため、早急に低下させることが必要と判断し、父親の同意を得て、合成血を用いた交換輸血を実施し、その後フェノバルビタールの血中濃度は徐々に低下傾向となった。 診療科内での、研修医(後期研修医は1年目の半年まで)の出した初回オーダーは上級医による確認を受けるとの取決めが遵守されていなかったこと及び注射作成時及び投与時の指示書等での確認が行われなかったこと。 以下のとおり診療科内での改善を図る。
  1. 研修医(後期研修医一年目)の出した初回オーダーは、最低半年間は上級医による確認を得るという小児科内での決定事項を、ルールとして明文化し、これを遵守すること。
  2. 一人の患者に複数の医師が治療に当たる場合には、誰が薬剤等のオーダーの確認に責任を持つかを明確にすること。
  3. ノーベルバールなどの薬剤の使用方法について記載した標準的マニュアルを作成し、これに基づいて診療を行うこと。
  4. 注射オーダーのコメント入力は、薬剤部からの疑義紹介が出来ないこと及び注射ラベルにもコメント内容が反映されないことから、注射作成時及び実施時には、指示画面又は注射指示書のコメント内容を十分確認すること。
  5. 研修医に対する薬剤の使用に関する指導を徹底し、上級医に何でも相談できる環境を整備すること。
  6. ノーベルバール等、血中濃度測定が可能な薬剤を使用する場合には、必ず血中濃度の測定を行って適正な投与量を決定すること。
  7. 薬剤を投与する際には、薬剤投与量や投与スケジュールを、また、投与中には、治療効果や副作用の有無などを診療録に記載すること。
  • 確認が不十分であった
56 障害残存の可能性なし テルモ生食 テルモ 急性腎不全の患者に対し主治医が下記の注射処方せんを発行した。 1) 生食1000mL 1袋 塩化ナトリウムシリンジ3A アスパラカリウム2A 所要時間3時間
その後主治医が下記の注射処方せんを発行した。 2) KCL注1A(生食点内注)
主治医がA看護師に点滴の口頭指示を行った。A看護師はこの時、輸液本体の確認はせず、加薬する薬剤名と用量を確認した(この時の口頭指示の内容と注射処方せんの内容が同じであったかの記憶は曖昧)。
A看護師は電子カルテの注射カレンダーで主治医が発行した注射処方せん1)2)の内容を確認して準備後に点滴を開始した。
主治医は電子カルテのスタッフ伝言板に注射処方せんと違う内容を記載した。
(スタッフ伝言板の内容)
「本日のメイン点滴 生食500+10%Nacl 4A+10mKCL 3A」
その後、看護師が電子カルテのスタッフ伝言板に気が付き、患者に投与している点滴内容は注射処方箋の内容(生食1000mL 1袋 塩化ナトリウムシリンジ3A アスパラカリウム2A KCL注1A)であり、医師が投与したい点滴内容(スタッフ伝言板の内容)と違うことが判明した。
その後呼吸苦の訴えあり。急激に肺水腫が増悪しCFDF適応となった。
口頭で医師から看護師に点滴内容の指示あり。
その後電子カルテの注射カレンダーで点滴内容確認後に指示通り実施した。
(実施内容)
注射処方せん:生食1000mL 1袋 塩化ナトリウムシリンジ3A アスパラカリウム2A 所要時間3時間
 追加処方:KCL注1A(生食内に点内注) 主治医は電子カルテのスタッフ伝言板示に注射処方と違う処方内容を記載した。
(スタッフ伝言板の内容)
「本日のメイン点滴 生食500+10%Nacl 4A+10mKCL 3A」
実施後にスタッフ伝言板に実施した点滴と違う内容の指示が書かれていることに気がついた。
スタッフ伝言板に指示は記載しない
注射処方発行後の指示変更は看護師に伝え、新規処方発行
  • 確認が不十分であった
57 不明 抗毒素検査未実施 沈降ジフテリア破傷風混合トキソイド 1ml アステラス製薬株式会社 4ヶ月前に2種混合ワクチン実施する。公費負担資料を保健センターへ配送する。配送先の保健センターより、用紙に貼られているワクチン有効期限が切れていると小児科外来へ連絡があった。小児科部長が報告を受け薬剤科と医事課へ確認依頼し、有効期限切れワクチンを接種したことが分かった。実施時、外来で看護師が指差し呼称で有効期限まで言い、医師が見ながら確認していた。
現在の所健康被害はない。家族はワクチンが有効であったのかを知りたいとのことで、今後抗毒素量測定し追加接種するか検討していく。所属医師会と保健センターへ報告を行った。
薬剤科のワクチン有効期限管理が不十分だった。外来から1週間分請求、1週間分受領しており薬剤師と看護師のダブルチェックを行っていなかった。薬剤科から払い出されたのだから大丈夫という思い込みがあった。家族とのワクチン確認では有効期限まで確認していなかった。 薬剤科における有効期限管理を他薬剤と同様、購入時に期限チェック表に記載、毎月棚卸し時に確認し期限せまったものには付箋を付ける。ワクチンの払出は当日使用する物のみとし、薬剤師と看護師が有効期限まで確認する。キャンセルとなったワクチンは当日夕方薬剤科に返納。キャンセル等の付箋を貼る。当日ワクチン接種前に予定者名簿とワクチンを医師と看護師で照合する。家族とワクチンを確認するときは有効期限まで確認する。
  • 確認が不十分であった
58 障害残存の可能性なし ワルファリンK細粒0.2% 株式会社 陽進堂 心臓血管外科外来にて医師がワーファリン1.3mgを1.2mgに減量投与するため、電子カルテにこれまで行っていた入力の単位で「1.2」と入力した。「1.2」と入力した薬剤は「ワルファリンK細粒0.2%」で、g単位であった。そのため1.2g(ワーファリン2.4mg相当)を投与することとなった。
同日、倍量処方となった内服薬は院外調剤薬局からご家族に手渡された。その際、処方が倍量になっていることをご家族へ聞いても明確な返答がなかったが、調剤薬局から処方医への疑義照会はなかった。
その後、倦怠感、右大腿部内出血、右前腕内出血により救急外来を受診し、ワーファリン過剰による出血と考えられ入院となった。
医師がワーファリン1.3mgを1.2mgに減量投与するため、電子カルテにこれまで行っていた入力の単位で「1.2」と入力したが、「1.2」と入力した薬剤は「ワルファリンK細粒0.2%」で、g単位であったことに気がつかなかった。
また、処方が倍量になっていることについて、院外調剤薬局から処方医への疑義照会がなかった。
細粒薬は%が複雑で投与事故が起こりやすいため、今後「ワルファリンK細粒0.2%」は使用しないよう電子カルテの投与リストから外す。
また、薬剤部は新規薬剤採用時にハイリスク薬の単位数の変化等を鑑み、医師に具体的な注意喚起、アラート表示等を行う。
  • 確認が不十分であった
  • オーダリング時等の誤入力
59 障害なし 日本脳炎ワクチン 武田薬品 日本脳炎ワクチン接種。後日医事課より、新型ワクチンを接種したかどうか問い合わせあり。新型ワクチンを接種したつもりであったが、調べると接種したのは旧型ワクチンであり、しかも使用期限が切れていた。 主治医と看護師が使用期限を確認していなかった。
旧ワクチンの使用停止について通達が届いていなかった。
薬剤の管理不備
薬剤の管理方法の改正
薬剤の確認についてマニュアル改正
医療安全研修会による周知徹底
  • 確認が不十分であった
60 障害なし ヒューマリンR注100単位/mL リリー 手術前の糖尿病コントロール中、食前皮下注の指示あり。血糖測定をフリー業務の看護師に依頼。その後インシュリン注射をすることを忘れ、日勤者がインシュリンを打っていないことに気がついた。 フリー業務看護師に血糖測定を依頼した際、インシュリン注射もしてくれるのではないかという当事者の思い込み。
業務依頼時の伝達不足、連携不足
業務内容の再確認
  • 心理的状況(慌てていた・思い込み等)
  • 連携
61 障害なし 日本脳炎ワクチン 武田薬品 普段はワクチン類は小児科外来で定数管理していた。当日、予防接種のために来院。有効期限を確認せず、種類・量・年齢等のみ確認後実施した。実施したワクチンが旧ワクチンのものであることが判明。しかも有効期限がきれていることが判った。 外来における薬品管理の不備
薬剤師と外来との連携不備
医療事故予防マニュアルの改正
(改正した医療事故防止マニュアルについて)  
1.医薬品安全使用のための業務手順書の病棟・外来等における医薬品の管理について内容改正
定数管理制について:ワクチン類は定数配置薬としない を追加 。 
品質管理について:有効期限 1年2回有効期限チェック⇒1年2回(5月・11月第3週)有効期限チェック。    
ワクチンの借用に関する手順:新規に作成(受払方法は伝票運用とし、詳細を記載)。  
2.看護部医療事故マニュアルの「薬剤の投与」の項目を改正    
薬剤準備時注射箋と薬剤と注射ラベルを確認⇒注射箋と薬剤(薬剤名・規格・量・有効期限)と注射ラベルを確認する。
  • 確認が不十分であった
62 障害なし 注射用エラスポール100/イノバン0.3%シリンジ 小野/協和発酵 食道癌術直後、ICUに搬入。OP室より急性肺障害予防薬を点滴しながら帰室。帰室後循環動態維持のために心不全用薬を使用した。急性肺障害予防薬は本来単独で実施しなければいけなかったが、心不全用薬を側管から投与した。 配合禁忌薬に対する知識不足 配合禁忌薬剤一覧表作成による知識の共有
  • 知識が不足していた・知識に誤りがあった
63 障害残存の可能性がある(低い) デパケンR 200mg 協和発酵工業株式会社 [事故等の内容]
  1. 12:10頃、(昼食後の定期薬服薬時通常ホール側の介助者が患者氏名を相手側看護師に伝え、薬を受け取り服用して頂く手順であったが、)記録室側の看護師から患者氏名を読み上げ服薬介助者へ薬を手渡した。
  2. この時、患者を確認し氏名を読み上げ薬を渡したが、他患者の薬(デパケンR(200)2T)を渡した。
  3. しかし、ホール側の介助者側も受け取った時点での患者確認と薬の名前を確認せず服薬させた。
  4. その直後に記録室側の看護師が間違って渡したことに気付いた。
  5. 直ちに当直医師・主治医へ誤薬状況を報告、指示を受けた。
  1. 服薬時のマニュアルに服薬介助者が患者を確認した後、相手側看護師に伝え薬を受け取り、そこで再度薬の氏名と患者確認を行い服薬する、という行為がされていなかったため誤薬の原因の一つである。
  2. 今回は、間違った服薬方法で業務を行っていたこともあるが、服薬時の基本である患者確認の不十分さである。
  3. 服薬マニュアル内容を周知徹底していなかったため、マニュアルにそった服薬方法を熟知していなかった。
  1. 与薬工程の見直し
  2. 新規与薬車の導入予定
  3. 服薬介助直前の患者確認(薬氏名と患者)方法として、指差し確認をし、誤薬防止に努める。
  4. 服薬マニュアル内容をスタッフ各自に確認し、服薬手順通りの行動が出来るよう徹底することで全員が同じ行動がとれるように統一していく。
    (マニュアル通り、ホール側の看護師が患者氏名を伝え、記録室側の看護師は、薬の患者氏名を確認後渡す。受け取った看護師は、薬氏名と患者を指 差し確認し与薬する。)
  5. 名前が同じ患者に対しては、薬立ての位置を遠ざける。
  6. 与薬時はあわてず時間に余裕を持って業務を確実にあたる。
  7. 記憶に頼った仕事はしない。
  8. 自己管理できる患者に対しては計画を立て行っていく。
  9. 服薬の回数も極力減少して頂くよう主治医とも話し合う。
  • 確認が不十分であった
64 障害なし トリクロリールシロップ10% アルフレッサファーマ 急性咽頭炎にて外来受診。エコー検査指示あり。安静保持のため、トリクロリールシロップ内服指示あり。患児の名前を呼び、外来処置室に呼び入れ、患者確認せず与薬。その後患者間違いが判明。 当該児と外見(容貌・年齢)・姓名が類似していた。
当該児と思い込み、患者確認を怠った。
IDカード・カルテ・患者へ名乗ってもらうという患者確認のマニュアル遵守
  • 確認が不十分であった
  • 患者の外見(容貌・年齢)・姓名の類似
65 障害なし プラビックス錠75mg サノフィ・アベンティス 心不全にてプラビックス内服中。胃カメラの指示あり。その際プラビックス中止の指示は出されず。医師にも確認せず胃カメラ前日まで服用した。カメラ施行中に内服中であることが判り、組織検査の提出はしなかった。 薬品について、抗凝固剤とは理解していたが、検査と結びつかなかった。
医師への確認不足
手術・観血的検査時の中止薬の徹底
  • 確認が不十分であった
66 障害残存の可能性なし アレビアチン100mg1錠 住友製薬 右前頭葉腫瘍摘出術と術後放射線療法後の患者。術後の痙攣のためアレビアチン200mgでコントロール中。
眠気、顔面の皮疹が出現、当院脳外科病棟に入院。アレビアチンによる中毒の可能性が高く、アレビアチン100mgを中止とした。皮膚生検後アレビアチンによる薬疹と診断確定し、マイスタンに変更された。副作用もなく順調に経過しており、退院となる。その当日の朝、中止薬であったアレビアチンを看護師の配薬後内服されていることが判明した。内服後3時間経過観察を行なったが、明らかな症状は認めなかったので退院となった。帰宅途中(約4時間後)顔面、皮疹、熱感の出現を家族から電話連絡が入った。すぐに来院するように指示。入院時、顔面紅潮、皮疹、発熱を認め再入院となった。
  1. 根本原因
    • 禁忌薬剤が与薬カートに混在したこと
    • 内服薬の直前の確認の省略したこと
    • アレルギー情報が共有されなかったこと
    • 禁忌薬剤の内服が判明後の経過観察が不十分であったこと
  2. 背景要因
    • 中止薬や変更薬の保管の問題
    • 薬剤投与の確認の問題
    • アレルギー対策のルール違反
    • 遅発型アレルギーの対応の不備
  1. 中止薬や変更薬は病棟保管とせず薬剤部に返却する
  2. 安全な薬物療法に対する確認行為の遵守
  3. アレルギー情報の共有を図る
  4. 中止薬や禁忌薬剤を内服した場合は、血管確保や経過観察として入院を延期したり、外来での発生の場合は、入院するなど具体的にマニュアルに記載する
  • 確認が不十分であった
67 障害なし ネオペルカミン マイラン製薬 閉鎖神経ブロック注射を左右間違えた。 業務多忙があったか。 麻酔を行なう時に再度確認をする。
  • 確認が不十分であった
68 障害残存の可能性がある(低い) ジフルカンカプセル ファイザー 入院当初より食が細く、食事量が少なくなってきた。点滴やテルミールなどの捕食を摂取するようになり、消化器内科受診、本人からも胃カメラ希望有り、当日胃カメラ実施予定だった。入院時より内服自己管理を実施。自己にてケースに錠剤を入れセット後、看護師が再度処方箋と薬のセットを確認する。内服後看護師が空シートと処方箋を確認する方法をとっていた。胃カメラ実施時に確認されたジフルカンの空シートは、中に薬は入っておらず空シートのみ胃の中で発見された。胃カメラ後は、CVより24時間持続点滴開始、尿失禁もあるためバルン挿入、点滴のルートを触るなど又アラームスイッチを切るなどの行為が見られるため両上肢・体幹拘束開始となった。 注目を集めたい行動が度々見られていたので、様々な危険性を予測した対応が必要であった。今回のケースは、薬を自己管理し(1日分のセット)、看護師が確認するという管理方法を取っていたため、シートから1錠ずつ出して服用するという方法が取れず、シートに切れ目を入れ1シート毎にセットしていた。この事がシートの誤飲に繋がったと思われる。 精神状態が不安定な患者の場合、シートを飲んでしまう可能性があるため、シートではなく1包化での払い出しに切り替え対応する必要がある。治療を進めていく中で、症状の有無にかかわらず、精神科によるアセスメントが重要と考える。
  • 確認が不十分であった
69 障害なし ヒューマリンR注100単位/mL リリー 前日より、インシュリン注射が中止になっていた。朝、中止をしていると申し送りがあった。昼前、他の看護師よりインシュリン注射の有無を聞かれ、インシュリンがあると思い込み、ヒューマリンR10単位施注した。 ワークシートに記載があったにもかかわらず、インシュリンがあると思い込んだ。
他の看護師と指示表を確認しているが、中止の欄の確認までしていなかった。
指示表の見方の徹底
中止になったばあいの表示方法の検討
  • 確認が不十分であった
  • 心理的状況(慌てていた・思い込み等)
70 障害なし ヒューマリンR注100単位/mL リリー 末梢から補液をしていた。その中にインシュリンを入れ、正確に投与するため輸液ポンプ使用。(ハイリスク薬剤はポンプ使用することになっていた)末梢から中心静脈に変更。その際、輸液ポンプを末梢から中心静脈のルートに設定変更するのを忘れ、投与速度が遅くなった。8時間後に判明し、予定量の半量しか入らなかった。 輸液ポンプ使用に関するマニュアルの確認不足
中途採用者に対する、フォローが出来ていなかった
前病院では、インスリン混注薬剤のポンプ使用はしていなかった。
マニュアルの徹底
中途採用者のフォローアップ体制強化
  • 確認が不十分であった
71 障害なし ビーフリード輸液 大塚工場 膀胱癌の患者、点滴準備時、隔壁を開通し、アミノ酸製剤と生理食塩水を撹拌した上で点滴開始するところ、開通させたつもりが、開通されておらず、生理食塩水のみ点滴をしてしまった。点滴終了時、アミノ酸製剤が残っているのに気づき判明した。 長期休暇復帰後であり、隔壁開通の仕方に対する知識が不十分であった。
隔壁開通後の確認作業に対するマニュアル違反
隔壁開通方法の周知徹底
ポスターによる注意喚起
  • 確認が不十分であった
72 障害なし リズミック錠10mg 大日本住友製薬 当院に入院しながら、他院で外来透析をしている患者である。持参薬であるリズミック服用日が、透析日(週3日)のみであったのを、4日間、毎日服用させてしまった。 「持参薬報告」には、透析日服用のコメントがあった。しかし、「持参薬処方箋」にはそのコメントがなく(医師の記載忘れ)、それに気付かずそのまま配薬してしまった。
  1. 「持参薬報告」と「持参薬処方箋」の相違点の確認を徹底する。
  2. 「持参薬処方箋」へのコメントを忘れないように医師に伝える。
  • 確認が不十分であった
73 障害残存の可能性なし 不明 不明 フェンタニル過剰投与。フェンタニル0.5mg/10mlをフェンタニル0.1mg/含有生食10mlと勘違いし静注した。 フェンタニル1Aに0.5mg製剤と0.1mg製剤があったため。 シリンジにある内容物の確認をしっかりすることで防ぐことが可能と思われる。
  • 確認が不十分であった
74 障害残存の可能性なし 不明 不明 処方薬のリボトリール0.1%1mg/g 0.1mgを5倍の0.5mg処方してしまった。 カルテの記事をよく見てない。看護師、医師との間のコミュニケーション不足と勘違い、医師同士のコミュニケーション不足と勘違い。 コミュニケーションを密にする。カルテの記事の確認を前後含めてきちんとする。
  • 確認が不十分であった
75 死亡 グリコラン錠250mg 日本新薬株式会社 外来で維持透析中の患者。処方されていた経口血糖降下剤(グリミクロン錠40mg1錠朝食前)で血糖コントロールをしていた。血糖コントロールが不良となり患者の希望で、内分泌内科に紹介となった。内分泌内科を受診し、同科の医師がグリコラン錠250mg3錠(1錠毎食後)を処方した。約1ヵ月後、患者は転倒し、右大腿骨転子部不顕性骨折を生じ整形外科に入院。骨接合術を施行。数日後より嘔吐あり、ショック状態となりICUに入室。著明なアシドーシスあり。グリコラン内服による乳酸アシドーシスと診断し、間歇的血液透析、持続的血液ろ過透析等実施するが、回復せず翌日死亡となった。
  • 処方をしたA診療科の医師はグリコランが透析患者へは禁忌薬であるという認識がなかった。
  • 血糖コントロールを依頼した腎臓内科医師はメトホルミン塩酸塩が透析患者へは禁忌であることは知っていた。
  • 内分泌内科でグリコランが処方されたことは知っていたが、グリコランがメトホルミン塩酸酸であると理解していなかった。
  • 内分泌科医師がメトホルミン塩酸塩を処方することはない、という思い込みがあった。
  • 看護師は、グリコランが処方されたことは知っていたが、透析患者には禁忌だと知らなかった。
  • 薬剤師は、患者が透析患者と分からずチェックできなかった。
  1. 院内へ注意喚起:禁忌薬の副作用に注意、配慮して使用するよう医局に対して注意した。
  2. 透析患者への禁忌薬一覧表を作成し院内へ配布する。
  3. 処方オーダー時、透析患者への投与注意のコメントを出すよう検討中。
  4. オーダー画面の商品名の後へ分類名又は一般名を入れることを検討中。
  5. 薬剤師が週1回程度透析患者の内服薬チェックを行う。
  • 確認が不十分であった
  • 知識が不足していた・知識に誤りがあった
76 障害なし ノボラピッド30ミックス ノボ 他の看護師が、インシュリンの施注にいくのを見て、同室の患者のインシュリンも一緒に実施してもらおうと声をかけ、間違って違う部屋の患者のインシュリンを渡した。他の看護師は違う患者のインシュリンと気づかずに施注してしまった。 依頼する際、患者確認を依頼する方、される方のダブルチェックが行われていない。確認不足 確認の徹底
  • 確認が不十分であった
77 障害なし ノボラピッド30ミックス ノボ 糖尿病の患者にインシュリン施注のために訪室しようとしたところ、他の看護師より同室者のインシュリン施注の依頼を受けた。看護師は依頼された看護師からインシュリンと注射箋がはいったバットを受け取り、2人分をもって病室にはいった。まず自分が行う予定であった患者にインシュリンを施注した。その後依頼を受けた患者の所に行き、注射箋と本人を確認せず単位数だけ述べ実施した(普段の倍量の単位を施注した)。その後、他の看護師が違う患者のインシュリンを渡したことに気づき、判明した。 患者と注射箋、注射薬の確認不足、マニュアル違反
同室者のインシュリンだと思い込み、確認を怠った
患者確認のマニュアルの徹底
  • 確認が不十分であった
  • 心理的状況(慌てていた・思い込み等)
78 障害なし ビーフリード輸液 田辺製薬 中心静脈栄養チューブ挿入。翌日より高カロリー輸液開始となった。前日までは末梢より点滴が行われていたが、本日より中止、新たに高カロリー液の処方をされた。本日中止になった薬剤と注射箋が残っており、そのまま高カロリー輸液の側管より過剰投与してしまった。 中止になった時点での注射箋の処理・薬剤の処理が出来ていなかった。注射指示欄を確認したにもかかわらず、確認不足。
ワークシートには中止の場合、中止と表示されるが、中止と表示されることを認識しておらず、確認が不十分であった。
注射ワークシート帳票出力時の設定変更(未実施の薬品のみ出力する)
  • 確認が不十分であった
79 障害なし ウルソ錠100mg/ザイロリック錠100/パリエット錠10mg/ゼチーア錠10mg/リズミック錠10mg/酸化マグネシウム*(丸石) 田辺三菱/GSK/エーザイ/シェリング・プラウ/大日本住友/丸石 食道静脈瘤塞栓術のパスの指示がでた。検査当日以降に飲む薬と2病日以降に飲む薬があった。申し送りには「継続薬パス参照」と記載した。パスを参照すると分かると思っていたので、投薬車の薬品に休薬の明示せず。他の看護師が1日早く内服させた。 内服開始時期の記載不備
パスシートの確認不十分
パスシート確認の徹底
内服開始時期の明示
  • 確認が不十分であった
80 障害残存の可能性がある(高い) 不明 不明 フェンタニル過剰投与。鎮静剤投与中止後、患者より創部痛の訴えがあり、顔面に冷汗がみられたため、医師の報告しフェンタニル1A投与の指示を受ける。リーダー看護師がフェンタニル0.5mg/10ml 1Aを準備し、受け持ち看護師が当直医にシリンジを手渡す。当直医が全量を静注した後、患者の眼球が上転し、呼吸休止がみられる。投与から30分ほど経過し、患者の意識レベルが改善しコミュニケ-ションが図れるようになる。 医師、看護師間のコミュニケーション不足。口頭指示の確認について抜けていることがあった。成人患者の場合、フェンタニルを希釈して投与することがなかったため、希釈の必要はないと思っていた。体調が優れず、注意力が散漫していたと思われる。 医師より口頭指示を受けた場合、薬剤名・薬剤量・希釈の有無について確認を行うこと。
  • 確認が不十分であった
  • 身体的状況(寝不足・体調不良等)
81 障害なし オキシコンチン5mg 塩野義 ナースコールの対応や面会患者のナースコール対応に追われ、患者Aに投与すべき麻薬投与時間が20分も過ぎており慌てていた。担当看護師とリーダー看護師は、麻薬を金庫から出す際にダブルチェックした。担当看護師はそのまま患者のもとへ向かったが、患者Bを患者Aだと思い込み、誤ってBの病室へ入った。リーダー看護師は他患者のナースコール対応のため病室へは付き添わず、ベッドサイドでのダブルチェックを行わなかった。担当看護師が指示書に書いてある他患者Aの名前のフルタイムを読み上げ確認したところ患者Bは誤りに気付かずに「はい」と返答し、「今までは痛み止め2個だったから減ってよかった」と話した。担当看護師は患者間違いに気がつかずに薬を投与してしまった。投与した後、指示書・処方せんに記載してある氏名と投与した患者の氏名が違っていることに気が付いた。 担当看護師は準看護師として5年の経験はあるが、今年度看護師として入職し、夜勤にもまだ慣れておらず、またかなりの多重業務であった。担当看護師が病室番号や患者名表示の確認を行わず、また患者の名前をこちらから読み上げる一方的なものであった。ベッドサイドでのダブルチェックを行わなかった。 患者に名前を言ってもらうことを徹底する。
名前を言えない患者にはリストバンドで確認をする。
  • 確認が不十分であった
  • 心理的状況(慌てていた・思い込み等)
82 障害なし ランタス注ソロスター/ヒューマリンR注100単位/mL サノフィ・アベンティス/リリー 1日1回昼の時間にランタスソロスターのインシュリン10単位実施していた。毎食前血糖測定の指示あり。血糖値によっては追加で速効性インシュリンを実施していた。昼の血糖値の結果、追加で実施しなければいけなかったが、ランタスだけでよいと思い、実施しなかった。 昼は持続型のインシュリンを施注しており、1種類だけでいいと思っていた。(思い込み)
血糖値によっては2種類実施することに対する知識不足
チーム内での確認作業が行われておらず、慣れない処置に対する支援体制の不備(婦人科・小児科が主の病棟)
確認の徹底
  • 確認が不十分であった
  • 心理的状況(慌てていた・思い込み等)
83 障害残存の可能性なし ボスミン外用液0.1% 第一産業 膀胱、子宮周囲剥離を実施し、尿道の摘出を行うため会陰操作に移行。尿道周囲の剥離操作を行うため出血予防のため、執刀医は局注する目的で介助の看護師に「ボスミン」とだけ指示。看護師は「何倍ですか?」と聞いたが「いつもの」と返答あり。看護師は局所に散布又はガーゼに浸し圧迫止血で使用することが多かったため、その方法で使用するものと思い込み「5000倍ボスミン」を準備した。執刀医は「5000倍ボスミン」と聞いたが濃度に対して認識がなく、さらに研修医が薬杯に用意された5000倍ボスミンを注射器に吸い取り、本来の投与方法で使用すべきでない濃度のボスミンを尿道周囲粘膜に皮下注射した。直後に頻脈、血圧上昇、ST上昇し心筋梗塞が疑われた。経食エコー、12誘導心電図検査実施。その後、血圧低下きたし多量の薬剤投与する。心筋梗塞の可能性は低いと判断され、状態改善し手術再開。手術時間短縮のため術式を変更し終了する。 「5000倍ボスミン」の濃度の認識に誤りがあった。
表示ラベルの記載に「5000倍ボスミン」としか記載がなかった(5000倍ボスミンは院内製剤であり、ボスミン外用液0.1% 200mlに亜硫酸水素Na4g、生理食塩水を全量1000mlになるよう混和し、無菌室においてろ過、充填、滅菌、分注の工程で調整。100mlに分注し払い出されたもの)。
医師、看護師間での口頭指示による確認が不十分であった。
外用薬、注射薬の区別、製剤の濃度についての共通認識を持つ→再教育、周知
口頭指示時のルールの再確認→5W1H、復唱確認
院内の全ての製剤の表示、使用上状況の見直し
「5000倍ボスミン」の名称を「外用 0.02%アドレナリン液」に変更
事例の共有
  • 確認が不十分であった
84 障害残存の可能性がある(低い) テグレトール ノバルティス 当科再来となり、当初、処方をする際には紹介状は提出されず、概ね同じ、とのことで、以前の処方を複写して、そこからカルバマゼピン等不必要なものを削除した。処方入力の間は一旦、トイレに退席していた患者が、その後に帰室し、紹介状を提出し、セロクエルについて議論したところ、ステロイド剤の投与中で、副作用のリスクが高い、との結論になり、セロクエルを削除してリスペリドンを再度、コピー&ペーストで処方に入れ、これで処方箋を発行した。22時過ぎに、処方の記録を見てテグレトールが処方されていることに気付き、患者宅に連絡したところ内服してしまったとのことであった。翌日からの内服からは取り除くことが可能とのことで、当日はそのまま経過観察して頂くことにした。翌日午前中に他院皮膚科に受診された際に、皮疹が再燃しており、カルバマゼピンが皮疹の原因であることが確定すると共に、ステロイド剤の再増量を要すると判断された。当院での入院可能な病棟を早急に探し、入院となった。躁状態は有るが、この時点では病識が保たれ、入院治療の必要性も、感染予防と精神症状による必要性の双方を充分に理解して主体的に同意できていたため、任意入院となった。 処方時の経過を振り返ると、カルバマゼピンの処方が混入する余地の有るタイミングは、リスペリドンをコピー&ペーストする際である。出力した処方箋を確認する習慣の欠如は問題かも知れないが、限られた時間で、個別性の強い精神療法や生活指導を比較的緊急に行なう必要性の高い患者層が集中しがちな構造になっている当院の精神科外来で、次の診察枠の患者の診察開始時刻が過ぎていることが多い状況が原因として考えられる。 今後はオーダー端末に、禁忌薬剤の登録と、その薬剤が処方された際のアラームの機能を持たせることが必要であると考えられる。また、院外薬局が禁忌薬剤を把握できるシステムも望まれる。精神科の外来業務量の過多が原因として考えられ、業務量の削減も検討が必要である。
  • 確認が不十分であった
85 障害なし ペチロルファン1ml/アタラックスP25mg/アトロピン0.5mg/セルシン10mg 不詳/ファイザー/不明/武田 病棟にて、前処置としてペチロルファン1ml、アタラックスP25mg、アトロピン0.5mg、セルシン10mgを筋注、車椅子にてデイサージャリーに搬出された。デイサージャリー来室時、患者は返事をするのも、やっとの状態で、顔面蒼白、車椅子上でぐったりしており、自力ではベッドに移れない状態であった。血圧63/36mmhg、SpO2も87%まで下降していた。耳鼻科医師をコール、安静臥床と酸素投与にて回復した。患者は150cm、35kg程度、前処置としては明らかに過量であった。 前投薬を必要とする手術が今までほとんどなく、以前はストレッチャーでOpe出しをしていたことを知っていたが、かなり前の事であったため、最近は車椅子で出棟している事を聞きそのまま出棟してしまった。 手術後、病棟看護師に状態を報告する。
上記のような前投薬をするときは、診療科医師同伴でストレッチャーにて来棟するようにする。
  • 確認が不十分であった
86 障害なし ブロプレス錠4/メバロチン錠5 武田薬品/第一三共 患者に対する診察において、前回受診時と同じ処方をすべきところ、誤ってそれ以前の処方をコピーし、そのまま処方してしまった。前々回受診時から、処方内容を変更しており、その変更後の処方内容と、今回実際に処方された内容が違ったため、患者入所中の施設から確認の電話があり発覚した。今回処方した薬は、まだ内服していなかった。 長期通院患者であり、処方内容を最近変更したことを確認しなかった。 長期通院患者に対しても、その都度、処方を確認する。最近の処方内容変更の有無の確認、患者本人への確認も行なっていく。
  • 確認が不十分であった
87 障害なし リボトリール 中外製薬 夜勤でVds配薬を通常時間に行い夜勤を終了した。翌日の夜勤看護師が、無投薬を発見した。Vdsは種類ごとに分包され、ホッチキスで1つにまとめられていた。当該日、ホッチキスで止めてあったのが外れ、取り出すときに、2種類のうち1種類が薬袋に残ってしまった。 薬袋には、患者名、薬剤名、用法、用量、が記載されていたが、患者名しか確認していなかった。 配薬時は、配薬の前後に、患者名、薬剤名、用法、用量を必ず確認する。
  • 確認が不十分であった
88 障害なし メシル酸ペルゴリド錠「マイラン」250mg マイラン製薬株式会社 メシル酸ペルゴリド「マイライン」50μg6Tを処方したつもりが、250μg6T処方していたことが、3日後夕に判明。3日前に腹痛、嘔吐あり。内視鏡、CT,エコー、採血を行い、明らかな原因見つからず。対象療法として消化管運動改善薬を投与した。6.11までには症状軽減していた。その後薬剤減量し、症状は消失した。 錠数を変更することに注意がいっていたため、剤型を間違って選択していたことに気付けなかった。確認をせず終えたことが最大の要因と思われる。 処方入力時、剤型の誤選択が問題なので、今後2種類以上剤型があるものについては、より慎重に選択する。
  • 確認が不十分であった
  • オーダリング時等の誤入力
89 障害残存の可能性なし ロイケリン散 100mg/g ワイスー武田 【胃薬を処方したつもりがロイケリン(血液内科で使用する抗がん剤)が処方されていた。】
 前回の診察から2カ月後の受診患者の血液検査データに異常(白血球半減・軽度肝機能異常・PSAの不自然な低下)があり、担当医が原因追及したところ、前回の処方に間違って抗がん剤が処方されていることに気付いた。前月まで前担当医が処方していたデカドロン錠とガスターD錠 10mg 2錠 分2(朝・夕)食後 をDo処方した。日数が55日だったので56日に変更した。その科では処方することのない抗がん剤(ロイケリン散 100mg/g 100mg 分2(朝・夕)食後)が処方されていた。診療科の責任医師と共に患者・家族に間違った処方があったことを謝罪した。血液検査の結果について説明し、ロイケリンの服用を中止することを説明した。今後の易感染状況を懸念して、入院の上状況観察させていただきたいとお願いし、2週間ほど入院していただいた。血液データーは元に近い状況に戻ったが、下痢症状で腎機能の低下があり、点滴治療にて数日で改善し、退院となった。
【確認不足】医師が処方入力時、Do処方だったので入力後の画面やプリントした処方箋を確認していなかった。
【薬剤検索システムの甘さ】これまで1文字での検査ができるシステムになっていた。今回、何故、ロイケリンが処方入力されることになったのか原因を薬剤部・電子カルテシステムの関係者に調査依頼した結果、ロイケリンは「6-MP」で検索ができる。医師が日数を56日に変更した際に、カーソルが何らかの理由で薬剤名を入力する欄に移動し、気付かないで「6」を入力した結果、「6-MP」がヒットし、これにも気付かず、入力確認されて処方された可能性があることがわかった。
【調剤薬局での疑義照会によるリスクチェックがかからない】調剤薬局では提出された処方箋に基づいて調剤をする。個人情報の観点から、患者が伝えない限り、病名や他にかかっている診療科等を知り得ていない。明らかにおかしな薬剤や量については疑義照会の対象となるが、今回の場合は患者が何の薬剤かと質問しているが、その対象にならなかった。また、当院では血液内科でこの薬剤が処方されるので、調剤薬局薬剤師は調剤することに疑問をもたなかった可能性もある。
  1. 医師は、処方入力した後、画面及び処方箋を目で見て、指差し、声だし確認する。
  2. 薬剤検索をかな文字3文字で検索のシステムに変更した。
  • 確認が不十分であった
  • オーダリング時等の誤入力
90 障害残存の可能性なし 生理食塩液PL「フソー」100ml 扶桑薬品工業株式会社
  1. 未熟児で出生。
  2. 低ナトリウム血症(113)にて、ステロイドを投与したが変わらなかった。
  3. 輸液のナトリウムを、生食水と同等の濃度にするように、上級医が「10%NaCl 9ml、10%糖液 50ミリ、H2O 41ml 3.6ml/h 」の指示を出し、研修医が電子カルテに入力した。
  4. 薬剤を選択するときに、10%NaClを、生理食塩水と勘違いして入力。
  5. 2日後、上級医はナトリウムが回復しないために輸液を確認したところ、間違いを発見した。
  1. 研修医の電子カルテへの入力間違い。
  2. 上級医の確認が出来ていなかった。
  3. 看護師も発見できなかった。
  1. 上級医が研修医が入力後は、内容を確認する。
  2. 点滴指示内容のパターンを提示し、看護師でも理解できるようにする。
  • 確認が不十分であった
  • オーダリング時等の誤入力
91 障害なし ドロレプタン25mg/10ml 第一三共株式会社
  1. 子宮筋腫摘出術の麻酔管理中に、術後嘔気対策のために持参していたドロレプタンと、術後鎮静目的で硬膜外腔に投与予定であったカルボカインとを不注意で間違い、ドロレプタン5mlを硬膜外腔に投与した。
  2. 投与後すぐに誤薬投与に気付き、麻酔科医師に連絡した。硬膜外腔からの薬剤回収は不可能のため、薬液濃度の希釈を図り、生理食塩水100mlを硬膜
    外腔内に注入した。
  3. ドロレプタン投与後のバイタルサインに問題なく、麻酔覚醒時の意識レベル、覚醒後の四肢の運動・知覚も特に問題なく、病棟での経過観察とした。
  4. スタッフ医師が当日夜と翌日に診療したが、錐体外路症状などドロレプタンの副作用を示唆する症状はなく、術後経過も順調であった。
  1. 硬膜外に投与予定のカルボカインを持参し忘れていた。
  2. 術中の出血が予想以上に多く、緊急で輸血をオーダーし、投与の準備中に、閉腹操作に入ったため、慌てて術後鎮痛の処置を行おうとした。
  3. 術後嘔気、嘔吐のリスクが高い比較的若い女性の婦人科手術であったため、あらかじめドロレプタンを用意していた。
  4. 術後鎮痛対策の薬剤と術後嘔気、嘔吐対策の薬剤を混同してしまった。
  5. ドロレプタンもカルボカインも使い慣れていない薬剤であった。
  1. 緊急時で慌ただしい場合でも、薬物投与前には十分な確認が必要。
  2. 使用する薬剤の薬効、薬理、副作用、投与経路に関して、事前に学んでおく必要がある。
  • 確認が不十分であった
  • 心理的状況(慌てていた・思い込み等)
92 障害なし グラケーカプセル15mg エーザイ 中和目的にてグラケーが処方された。医師は1日6Cap朝夕3Capづつのつもりで処方したが、実際には1日3Capで処方された。処方の袋には「1回に散薬1包お飲み下さい」と記載されていたが、中身はカプセルが2日分6Cap入っていた。日勤の看護師は1Capのみ配薬車にいれた。夜勤看護師はそれをそのまま与薬したが、朝与薬の前に気がつき、医師に確認。朝3CAP内服し、昼に残りの2Cap服用するように言われた
  • 医師の看護師への情報伝達が出来ていなかった(医師は指示表に記載しなかった):グラケーを処方したことを、医師は看護師に伝えなった。また、指示表にも記載されなかった。処方薬が上がってきた時点で処方されたことがわかった。
  • グラケーの処方目的が理解されていなかった
    処方された内容に関して確認不足
  • 1日3CAP朝・夕の処方が出た場合、1回1.5capになるため、散薬にしていいのかどうかアラームが鳴るシステムになっている。また薬袋にもオーダーが出た時点で「1回散薬1包お飲み下さい」と書かれた薬袋がプリントアウトされる。今回アラームは鳴ったが、散薬にするかどうかの確認ができておらず、薬剤師は薬袋を確認しないまま処方箋だけを見て、1日3capとして散薬にしないままカプセルを準備した。調剤確認した他の薬剤師は処方箋と処方されたカプセルの数だけ確認し、薬袋に記載されている内容は確認しなかった。
  • ワーファリンとグラケーの併用禁忌について、医師がオーダーされ、薬剤部がオーダーを取り込んだ時点でアラームが鳴り(併用禁忌・散薬にするのかという同時アラーム)、画面には併用禁忌と表示された。薬剤師より併用禁忌であることを医師に伝え確認した。医師はワーファリンの中和目的で処方したと伝えた。薬剤師は1日投与量まで確認はしなかったため、散薬にするのかどうかの確認をしなかった。
医師と看護師との情報伝達方法の検討:指示表への確実な指示の記入を医師に依頼した
  • 確認が不十分であった
  • 連携
  • オーダリング時等の誤入力
93 障害残存の可能性なし ベストロン点眼薬 千寿製薬 ベストロン点眼薬を薬剤師が病棟に払い出したが、溶解液だけを払い出した。病棟看護師も気づかずに溶解液を点眼していた。 ベストロン点眼薬はあまり調剤することがなかったためセットで調剤することを忘れていた。そのため、溶解液を実薬と思い込んで調剤してしまった。 「ベストロン点眼液」の引き出しに「溶解液とセットで調剤」のシールを貼った。
業者に点眼液と溶解液がセット化できないか薬剤部から働きかけてもらう。
  • 確認が不十分であった
94 障害残存の可能性なし オルメテック/カルデナリン/アダラートCR 第一三共/ファイザー/バイエル 内服薬を自己管理している患者。翌日からの1日分処方が出た為、病室にて患者に「明日飲んで下さい」と内服薬を渡した。患者は以前処方された薬2日分を持っていたが、以前の処方箋を確認せずに渡した。
朝、患者は以前から持ってい内服薬と新たに渡した内服薬を重複して飲んでしまった。薬は降圧剤。患者の普段の血圧は170だが、60から70台にまで低下してしまった。
以前からある処方箋を確認しておらず、翌日からという新しい処方箋しか見ず渡してしまった。
患者別ワークシートに反映されていなかったため、内服薬は既に持っていないだろうという思い込みがあった。患者の残薬を確認しなかった。患者に内服薬を渡そうとしたが、何度訪室してもおらず、デイルームにもいなかった為、早く渡さないといけないと焦っていた。「非透析日」や「検査前も内服可」という事を伝えなければならないと伝えることに集中し、しなければいけないことが欠けてしまった。
自己管理の内服薬を渡すときには、必ず残薬を確認することを徹底する。
患者別のファイルをすべて確認し、以前の処方箋と比較しながら渡す。
思い込みではなく、処方箋と残数を看護師・患者2人で必ず確認する。
伝えることは紙や薬袋に書くなどし、伝え忘れないようにする。
焦るとしなければならない事が欠けてしまうため、気持ちを落ち着かせ今何をしなければならないかを確認して行動する。
  • 確認が不十分であった
  • 心理的状況(慌てていた・思い込み等)
95 障害なし プレマリン錠0.625G/プラノバール配合錠 ファイザー/ファイザー 交互に「10日プレマリン投与、12日間プラノバール投与」する(カウフマン療法)予定であったが、実際には両剤を同時投与した。 産婦人科で処方された薬剤および当該薬剤による治療(カウフマン療法)について、精神科の研修医(担当医)と、処方内容を確認する主治医がカウフマン療法に対する知識が不足していた。 薬剤の内容や意義を理解したうえで処方することは当然であるが、他科より処方されている薬剤については治療の知識が十分でないことも想定される。不明な点があれば、当該診療科に疑義照会する。
  • 知識が不足していた・知識に誤りがあった
96 障害残存の可能性がある(低い) ティーエスワン 大鵬薬品工業 薬剤に関する出来事 本日朝食後にTS-1内服開始予定の患者より「まだ内服薬が来ていない」との報告あり。確認すると別の患者様のカップに内服薬が入っていたことが判明(0:15頃薬のダブルチェックを行っており、その際にカーデックス管理の内服薬は確認後に一人でカップに入れた。患者様より指摘された後、別の患者様のカップに誤って入れていたことに気づいた)。すでに別の看護師にて与薬されており内服された後であった。当時、受け持ち看護師は他患者の見送りのため病棟を空けていた(与薬した看護師はダブルチェック済みであったため疑問に思わず与薬した。ダブルチェックは与薬した看護師とは別の看護師同士で行っていた)。ただちに主治医がご本人に抗癌剤の誤薬があったことを説明され、胃洗浄施行された。 ・与薬は必ず受け持ちが行う・やむを得ず与薬できない場合等は確実に申し送りを行う・自己管理できる人は『看護手順』の自己管理基準に沿って、自己管理してもらう(服薬後の確認をする)・できない人は薬袋を持っていき、呼称、リストバンドで確認し与薬する
  • 確認が不十分であった
97 障害残存の可能性がある(高い) ノボ・ヘパリン注5千単位/5ml 持田製薬 ワーファリン投与を中止しヘパリン投与を開始した後、脳出血を発症した。 ヘパリン開始後にAPTTが治療域以上に高値をしめしたが、担当チームでこの異常を把握していなかった。チームの医師が変更になっており、患者の情報について、共有と治療上の注意点の把握ができていなかった。 クリニカルパスを作成し、ヘパリン使用の標準化を行う。検査結果について、チーム全体でのチェックを行う。
EMRなどの手術予定患者でもヘパリンなど抗凝固療法のリスク評価を適切におこなう。
  • 観察が不十分であった
98 障害なし 不明 不明 血糖値100mg/dl以下の時は、インスリン中止の指示であったが、ヒューマリンRを8単位投与してしまった。 確認不足 指示は何回も確認する。また、血糖値からインスリンの投与可能な値か判断できる知識を身につける。
  • 確認が不十分であった
99 障害なし 不明 不明 メテナリン静脈注射の指示のところ、アトニンを吸い医師に渡して、静脈注射した。 知識不足 原則、口頭での指示は受けないようにする。緊急時受ける場合は1人では受けずに、誰かと一緒に声だし、メモを取り確認する。薬剤も2者で確認する。
  • 確認が不十分であった
100 障害なし 不明 不明 500mlの点滴 100ml/1hで投与する指示を 1時間ですべて投与した。 投与して10分後にチェックを忘れてしまった。 今後はタイマーをかけてきちんと10分後にチェックを行い、定期的にラウンドする。
また、輸液ポンプを使用して適切な輸液管理を行っていく。
  • 確認が不十分であった
101 障害なし ラボナール注射用0.5g 田辺三菱 頻拍の治療目的に患者を鎮静させるためにラボナールを投与した。呼吸停止となったためマスク換気を施行しながら、頻拍の治療は終了した。覚醒後も異常は認められなかった。
呼吸停止する投与予定量ではなく、過剰投与がわかった。ラボナールを生理食塩水100mlで希釈するはずが、ラボナールに付属した注射用水20mlで希釈されており、予定量の5倍のラボナールが投与された。
処方時には上級医が 「ラボナールを処方しておいて。」 と、口頭で指示があった。電子カルテ処方:「手技;点滴静脈注射 末梢静脈ライン<右手>側管 薬品;ラボナール注射用0.5g/管 1A 用法;注射回数:1日1回」。
投与時には上級医が 「ラボナールを2ml静注して。」 と、口頭で指示をした。
研修医はラボナールを生理食塩水100mlで希釈することを知らなかった。
希釈時はダブルチェックする約束であったができていなかった。
投与時に投与薬は「mg」で指示する約束であったが、指示する相手が研修医であったため分かり易くと思い「ml」で指示した。
研修医のオリエンテーション時に具体的薬剤名を挙げて注意をしてもらうこととした。
ラボナールの処方はセット処方として、生理食塩液100mlと同時に処方することとした。
希釈時のダブルチェック、投与時の「mg」指示を再確認した。
  • 確認が不十分であった
102 障害なし 不明 不明 ビーフリード1000ml+塩化ナトリウム1A 40ml/hを急速投与した。 ラウンド時に点滴の滴下と残量の確認をするという認識不足の為、滴下の確認を怠ってしまった。 今後、ラウンド毎に点滴の滴下、残量の確認を行う。
  • 確認が不十分であった
103 障害なし ノルアドレナリン注1mg 第一三共 シリンジポンプよりノルアドレナリン、シグマート、イノバンを持続点滴中であったが、シグマートを交換するとき、同じテーブルに用意していたノルアドレナリンを誤接続し、ノルアドレナリンが過剰投与された。 点滴交換時、透析の呼び出しがあり、あわてて点滴を交換した。その際確認が十分でなく薬剤名が照合できていなかった。 忙しいときや、他の業務が介在するときに確認を怠ったり、あるいは確認したと思いこみ、誤薬の要因になっている。このような環境下においては特に多重チェックの機能を充実させる必要がある。
  • 確認が不十分であった
  • 心理的状況(慌てていた・思い込み等)
104 障害なし 不明 不明 点滴投与中に刺入部より点滴漏れあり。 末梢から化学療法を施行しており、トイレ移動後に点滴漏れを起こしてしまった。観察不足 トイレ歩行で漏れるのであれば、24時間抗がん剤投与の場合は、排尿ごとに介助していくなど、対応、排尿後の観察の徹底をした。
  • 観察が不十分であった
105 障害なし 不明 不明 掲示板に手術日の中止指示があり、定期処方もその指示で確認してしまった為 電子カルテの中止、再開が分かりずらかった。よく見なかった。 内服中止、再開が分かるように指示簿の入力や申し送りを徹底する。
  • 確認が不十分であった
106 障害なし 不明 不明 外泊中、プレドニン(5mg)昼2T内服のところ3T内服した。 患者は、減量になっていたことを知らなかった。 外泊の際は、内服薬が前回と比べて減量などしていないか電子カルテでしっかり確認し、用法、用量について説明する。
  • 患者・家族への説明
107 障害残存の可能性なし ヒューマリンR注100単位/ml 10ml 日本イーライリリー
  1. 当日朝の採血でカリウムが6.3と高値であったため、カリウムを低下させる目的でグルコース一インスリン療法を予定した。
  2. その際、インスリンとしてヒューマリンRを8単位、500mLの点滴内に混注するつもりであったが、誤って8mLとオーダーした。
  3. その後ヒューマリンRを含む点滴が投与され、およそ200単位体内に点滴静注された。
  4. もともと意思疎通が困難な方であったため症状の出現はなかったが、15時に血糖測定を行ったところ51mL/dLと低血糖を認めた。
  5. ヒューマリンRを含む点滴は中止し50%ブドウ糖20mL投与したが、その時点ではオーダー間違いに気づいていなかった。
  6. 16時に血糖値を再検したところ26mg/dLとさらに低下しており、その時点でオーダー間違いに気づいた。
  1. 点滴オーダーの際に、単位を確認せずに行った。
  2. 点滴実施する看護師が、初めて使用する薬剤であったため、使用方法、投与方法について知識がなかった。
  1. 薬剤オーダーのマスターを変更した。mL単位の入力を削除し、入力できなくした。
  • 確認が不十分であった
  • オーダリング時等の誤入力
108 障害なし ハイペン錠200mg/ガスモチン錠5mg/オメプラール錠10/ナイキサン錠100mg/セブンイー・P配合カプセル 日本新薬/大日本住友/アストラゼネカ/田辺三菱/科研 夜勤帯で朝食後薬を準備し、配薬車にセットした。内服確認表の準備者の欄に押印した。食後の時間帯に薬を持参すると、まだ食事摂取中のため、食後に再度持参しようと思い配薬車に薬を入れた。その後他の業務を行っている間に与薬することを忘れた。与薬後の残薬確認や、勤務終了後の残薬確認は行わなかった。日勤のリーダーは昼の配薬準備時、内服確認表が配薬車のケースからでているのに気づき、配薬車の中を確認。薬剤が残っており、内服確認表の内服確認者の欄に押印はなかった。患者に確認すると「朝の薬は飲まなかった」と言われ、無投薬が発覚した。 当時者は残薬を確認するという手順を知らなかった。指導もうけなかった。
新人看護師であり、フォロー体制に不備があった。
看護手順の徹底
フォロー体制の強化
  • 確認が不十分であった
109 障害なし 不明 不明 朝分の内服を昼食後に内服した。バイタルサインに変化なし。 患者指導、確認不足 高齢であり、理解力や記憶力の低下があることも考え、今後は看護師管理とした。
  • 確認が不十分であった
110 障害なし 不明 不明 片頭痛を訴えた妊娠末期の妊婦に禁忌薬であるロキソニンを内服させた。(Dr指示) 知識不足 与薬の際には、十分に作用、副作用、禁忌の確認を行い、このようなことがないようにする。疑問に思った時点で必ず調べてから指示実施をする。
  • 知識が不足していた・知識に誤りがあった
111 障害なし レボフロキサシン錠100mg「BT」 バイオテックベイ 入院時発熱有り、炎症反応高値にて、夜勤帯に医師より抗生物質内服指示あり、オーダー入力される。夜勤看護師は口頭で指示を受け、ストック薬からレボフロキサシン2錠だし、本人に渡した。ワークシートには「処方があがってきたら、2錠ストックへ」と記載した。翌日朝も処方があがってきたら服用してもらうつもりであったが、日勤者には伝えなかった。その後臨時処方薬があがってきたかどうか日勤者は確認をしなかった。4日後、日勤者がストック薬を確認中レボフロキサシン2錠返納されていないことに気がついた。処方薬が見当たらないため、カルテを確認すると別の日付の処方になっていた。医師に報告、炎症反応低下しているため、そのまま中止となった。 口頭指示と同時に処方オーダー入力されており、処方カルテ控えによる確認が出来ていなかった。(処方日の確認不足)
チーム間での情報伝達エラー
医師の処方日間違い。処方入力の仕方(臨時・緊急)の選定ミス
内服時の処方箋確認の徹底(マニュアル遵守)
情報伝達エラーの防止策の検討
処方入力の仕方について、再度説明
  • 確認が不十分であった
112 障害なし コリネール/アルドメット/ワソラン/エペナルド/タケプロン/リボール/ウロナベリン/クレストール/ムコスタ/アスペノンカプセル/ガスモチン/ラジレス/オルメテック/ワーファリン 日医工/日本ユニバーサル/エーザイ/大洋/武田/化研生薬/日医工/シオノギ/大塚/バイエル/大日本住友製薬/ノバルティス ファーマ/第一三共/エーザイ 他患者と間違えて、配薬し、内服させた。内服後、患者本人から薬袋の名前が自分の名前と違うことを指摘され、間違ったことを確認した。 患者確認をしていない。名乗ってもらっていない。ネームバンドとベッドネームを確認していない。 患者確認の徹底と習慣化。配薬手順の遵守。
  • 確認が不十分であった
113 障害残存の可能性なし トロンビン液モチダソフトボトル 持田製薬 *看護師が経口用トロンビン剤を午前午後の計2回、静脈内与薬した。(詳細は以下の通り)
1)事故発生当日
10時30分 担当看護師であるA看護師は、冷所保存されていた経口用トロンビン5000単位(内服用薬袋に入っていた)を薬袋から取りだし、患者の右上肢にキープされていた輸液ルートのプラネクタから側注した。
12時30分 B看護師訪室時、輸液セットのコネクターが全開にも拘わらず点滴滴下見られず、刺入部が発赤腫脹を呈していたので、「点滴漏れ」と判断して左上肢に刺し変えた。
14時30分 A看護師は、本日2回目の経口用トロンビン5000単位を左上肢に側注した。直後に患者は吐気を訴え、左上肢から肩・背部にかけての疼痛、気分不良となったが、そのまま様子観察していた。
14時40分 患者の気分不良は幾分落ち着いたが、点滴滴下が止まった。A看護師は「抜針したら痛みが取れる」と独自に判断して、B看護師に刺し変え依頼した。
15時00分 依頼されたB看護師は、左上肢刺入部の異常事態に気付き、ESD施行後の指示を出した内科医師に連絡、患者の状態(左前腕の血管痛、腫脹、赤紫色)を報告した。同医師は、血管外科医と相談のうえ、血栓の有無の確認のため左上肢のエコー検査の指示を出した。
15時30分 同医師が患者に付き添ってエコー室に行き、放射線科医による検査が開始された。それとほぼ同時刻頃、患者の状況が好転しない不安にかられたA看護師は「注射薬の副作用か?」との独自判断、薬品情報でトロンビン5000単位を調べ、この時点で初めてトロンビン5000単位の投与方法が経口投与であることを知り、同僚C看護師にも投与方法を確認して、自分の誤投与であることを認識した。直ぐに、ESD施行医師、内科部長に連絡した。
15時40分 エコー検査により放射線科と内科の医師の間で左上肢に血栓のないことが確認された。検査中に看護師より経口トロンビン静脈内投与の報告を受けたESD施行医師は、慎重を期してトロンビン誤投与による副作用と処置等について薬剤部に相談した。極めて稀有な事態であったため、薬剤部でも予想される病態および適切な対処法に関する情報収集に若干の時間を要した。
16時15分 左上肢に血栓がないという診断が得られたので、前述の情報収集に基づいて、まず、全身状態把握のため血清・生化学・凝固系等の採血指示が出された。この間、患者の全身状態は安定しており、意識は清明、呼吸も正常であった。左上肢前腕の状態は、色調は部分的に暗赤色を呈して、点状出血がみられたが、橈骨動脈は触知可能であった。
17時30分 この間も患者の全身状態は安定しており、変化はみられなかった。処置室で治療に必要な血管確保のため右ソケイ部よりCVダブルルーメンカテーテルを挿入した。主治医とESD施行医師が循環器内科医と治療計画を相談した結果、CVダブルルーメンカテーテルよりヘパリンNa 2000単位静注後、ヘパリンNa 5000単位2/mlで持続投与開始となる。万全を期すため、準夜および深夜はHCU(高度ケア治療室)に移動し、綿密な経過観察を継続した。
主治医から家族に対してトロンビン5000単位誤薬事態について説明がなされた。
2)翌日以降の経過
夜間から翌日にかけても全身状態の悪化および左上肢病変の進行は認められなかった。バイタルサインは安定しており(血圧140~150mmHg、脈拍60/分、呼吸平静、尿量流出良好で肺雑音なし)、局所炎症所見の増大や握力の低下もなく、普通の会話も可能であった。以上のように、病態の進行・悪化を回避するために複数診療科の専門医による診断と治療がおこなわれ、入念な看護体制が敷かれた。このような集中治療により、重篤な状態にはいたらず、退院可能な状態にまで回復している。
当該看護師の聴取内容より、事故の背景・原因は以下の通りであった。
  • 新人看護師であった
  • 1ヶ月前より他人より仕事がこなせていないという思いがあり、不安の中で業務を行っていた。
  • 当日は6名(うち3名は重症病棟の患者)の受持ち担当であったが、点滴がうまくはいらなかったり、点滴の準備に追われていたり、自分としては「早くしなければ・・・という」あせりがあった。
  • 自分には受持ち担当は2~3人が丁度いいと思っていた。他の人に応援を頼むことは出来る状況であったが、迷惑はかけたくなかった。
  • 業務マニュアルの存在は知っており、ダブルチェックや個人の情報処理に用いられるバーコード対応携帯端末(PDA: Personal digital assistant)の実施の必要性も自覚していたが、今回に限り、「早く仕事をこなさなくては・・・」という意識が強く、原理原則を失念してしまっていた(今までは薬剤使用時にPDAを使用していたが、今回、初めて使用しなかった)
  • 禁注射の記載はわかっていたが、そのトロンビンが経口薬とは知らなかった。
  • 「禁注射」の解釈については、
    ○トロンビンを注射シリンジに吸い取っての静脈注射は「禁」と解釈した。
    ○トロンビン容器のまま静脈への直截投与は「禁」と解釈したが、輸液ルートからの側注じゃ静脈注射と理解できていなく、側注は良いと解釈した。
  • 内視鏡治療の患者は4月に担当したことはあるが、受け持ち経験は久しぶりであり、トロンビン薬の取り扱いは初めてだった。
  • 自分自身の薬剤に対する知識不足、経験不足、処置に対する問題意識の欠如があった。
    以上を総括すると、今年度採用の新人看護師が不安の中で仕事を行っており、多忙な業務に追われてダブルチェックやPDA実施、上司への報告、同僚への相談など、原理原則を失念していたことが推測される。当該看護師が、内科病棟で汎用される薬剤の薬理作用および使用上の注意に関する知識が乏しく、看護業務全般に関する問題意識も欠如していたことは否めない。今後、当該看護師を含めた新人看護師に対して、疾患・薬剤等に対する知識を高め、個々の患者に問題意識を持って看護業務に携わるようにスタッフ全員でさらに指導していかなくてはならない。
再発防止のためには、まず新入職者全員に対して看護業務上の原理原則を遵守させることが不可欠である。具体的には、ダブルチェックやPDA実施などの再徹底と監督強化、自分で分からないことについて同僚への相談、事故発生時における迅速な上司への報告などである。次に、看護業務全般に関する問題意識を高めるため、すでに実施している薬剤師との勉強会の定期化を含めて、教育体制の見直しに取り組んでいかなくてはならない。それとともに、新人看護師に対して仕事上の悩みを聞く、「慣れの落とし穴」へのフォローアップ体制を強化させるなど細やかな職場環境を整備することが必要である。
今回の教訓として、以下の事項について組織的に取り組み、システムで考えていく。
  1. 新人教育に、通常の医療専門用語の意味・解釈の共通認識と理解の確認を取り入れる。
  2. 再発防止用に、事故状況を再現するVTRやシナリオを作成し、繰り返し教育する。
  3. 通常、薬杯に移して施行されるべき経口投与の原則を遵守する(直与薬の禁止)
  4. 慣れの時期(10月~11月)のfollow up を強化する。
  5. 薬剤(トロンビン)の誤投与が回避されるべき形状(物理的に連結不可能な形状へ変更など)に関して製造元・業者への提言が必要である。
  • 確認が不十分であった
  • 知識が不足していた・知識に誤りがあった
114 障害残存の可能性なし ホリゾン10mg注射液 アステラス製薬 静注40分後、担当看護師が訪室した際、意識レベル低下、呼吸自発なし。直ちにバイタル管理、酸素投与並びにアンビュー換気開始。その20分後に意識レベルは会話可能となり、40分後にはクリアとなった。 当該患者を担当する研修医は、非代償期肝硬変患者に対する鎮静剤の効果や影響に十分慣れておらず、上級医と一緒に投薬すべきところ、一人で行った。上級医は、研修医の管理が不十分であった。 研修医の投薬判断について、必ず上級医と一緒に行うこと。投薬後の経過観察について、リスクのある患者への静注製剤使用時は十分に行うこと。
  • 知識が不足していた・知識に誤りがあった
115 障害なし アドエア250ディスカス60吸入用 GSK 入院時アドエア250ディスカス60吸入処方あり1日1回吸入、1回2吸入の指示があった。(入院前かかりつけ医からは1日2回の吸入オーダーがあり、2回行っていた。)入院時喘息発作強く、看護師管理とした。薬袋には1日1回と赤字で記載があったが、1回2吸入と記載もあったため、また、かかりつけ医で2回吸入していたこともあり、1日2回だと思い、薬袋に10時、20時と記載し、申し送り事項にも1日2回と記載した。状態安定するまで、看護師管理で1日2回吸入とし、状態安定後は患者管理として吸入していた。1ヶ月分吸入薬があるところを、2週間経過後患者本人から、吸入薬がなくなったと言われ、過剰投与に気がついた。 入院時処方箋の確認不足
薬袋と処方箋の確認不足
薬袋に10時、20時と記載したことにより、その数字に目がいってしまい、用法の確認が出来なかった。
服薬指導の依頼はしていたが、指導忘れがあった
薬剤師による吸入薬の正確な使用方法の指導
処方箋・薬袋の声だし・指差し確認の徹底
薬袋への投与時間等の転記の禁止
  • 確認が不十分であった
  • 心理的状況(慌てていた・思い込み等)
116 障害残存の可能性なし レミナロン シオノギ製薬
  1. CVカテーテル挿入試みたが入らなかったため、DIC治療のため急きょ昨日から使用していた
     左前腕末梢静脈よりレミナロン(タンパク分解酵素阻害剤)を投与した。
    (レミナロン1000mgを5%ブドウ糖250mlに溶解し、時間10mlで3時間投与)
     投与中の刺入部の変化は認めていなかった。
  2. 3時間後右手に新しいライン確保ができたため、そこにレミナロンはつなぎ変えた。
  3. 翌日左前腕部の黒色変化に気付いた。黒色部は壊死組織となったため切開、デブリ実施。
  4. 皮膚排泄ケア認定看護師介入している。
  1. レミナロンは高濃度で投与すると静脈炎や硬結、潰瘍、壊死を起こす。添付文書によると
     「末梢血管から投与する場合は100mgあたり50ml以上の輸液が望ましい」とあり、
     今回の場合は濃度に問題があった。
  2. 点滴ラインが昨日刺入した部位であった。(確認が不十分)
  1. 末梢静脈から投与する場合の濃度に注意する。
  2. 末梢静脈から投与する場合は、確実に血管に入っていることを確認の上投与を開始する。
  3. 刺入部の観察を十分に行う。
  • 確認が不十分であった
117 障害なし フルカリック3号/ヒューマリンR注100単位/mL 田辺製薬/リリー 2日前からCVより輸液1日2本から1日1本に減量になっていた。本日も注射箋・注射ワークシートにてフルカリック3号1103ml/24hであることを確認し、点滴のラベルに時間を記入(11時~11時)。点滴修了したため更新時間に点滴交換を行った。輸液ポンプ使用していたため、輸液量・時間量を設定した。24時間と分かっていたが、無意識に12時間で設定した。患者の部屋を覗いた同チームの看護師に輸液ポンプの設定確認を依頼した。依頼された看護師は注射箋を確認せず、12時間毎の更新だろうと思い込み、電卓で計算したうえで設定された量の確認をした。注射箋の確認はしなかった。その後夜勤者も申し送りを受けた後、患者を訪室し輸液ポンプの設定量を確認したが、正しいと思い込んだ。当日22時30分点滴のアラームがなり、訪室すると残量が少なかった。設定量を再度確認すると24時間計算ではなく、12時間計算で設定されていたことに気がついた。残量を再度計算し、朝まで持続できるように設定を変更し実施、翌日朝主治医に報告した。夕食前の血糖値は303/dlと高血糖であり、追加でヒューマリンを皮下注した。 24時間と分かっていながら、思い込みで計算した。
点滴(CV)は12時間更新だろうと思い込んだ。
注射箋による確認方法のマニュアル違反
輸液ポンプに対する過信のため、残薬の確認が不十分である。
計算時のダブルチェックをしなかった
注射薬確認方法についてマニュアルの徹底
  • 確認が不十分であった
  • 心理的状況(慌てていた・思い込み等)
118 障害残存の可能性なし ヒューマリンR注 U-100 日本イーライリリー株式会社 右頸部膿瘍のため当院耳鼻科病棟に入院。。内科にコンサルトし補液開始。「ヒューマリンR50単位 生食50mL」の静脈内持続投与の指示あり、夜勤担当看護師Aは、注射指示書の医薬品の欄に「ヒューマリンR注100単位/mL 10mL」とあるのを見て「100単位10mL」と思い50単位を5mL と計算した。夜勤担当看護師Aは、日勤の担当看護師Bとダブルチェックする際、処方箋、薬剤、および院内標準希釈のマニュアルの赤枠にある「ヒューマリンR(U -100)50単位+生食50mL 1単位=1mL」の記載を見て確認を行った。また、看護師Bは看護師Cに薬剤名は告げず「100単位10mL なので50単位5mL ですよね」と確認し、Cは「そうです」と答えた。Aは、インスリン5mL 生食50mL を作成し、シリンジポンプ1mL/ 時間で開始した。20時30分血糖測定し321mg/dL のため、流量を1mL増量し2mL/ 時間とした。0時すぎ、患者から発汗、倦怠感の訴えがあり血糖を測定。51mg/dL であった。持続インスリンを中止し、処置を行い症状は改善した。他の夜勤看護師がカルテを確認、インスリンが5mL(500単位)で調剤されていることが判明した。
  1. ヒューマリンR注インスリンの濃度は1000単位/mL であるが、看護師Aは注射指示書を見て、100単位10mL は50単位5mL だと判断した。100単位/mL を見落としたか、あるいはこの表記 が「1mL が100単位」であるという意味であることを知らなかった可能性がある。
  2. 看護師Aはインスリン(バイアル)は「1mL が100単位」の薬剤だけであるという認識がなかった。
  3. 当該病棟では、インスリンの持続投与患者が少なく、看護師A、Bともに持続インスリンの経験が無かった。
  4. 看護師Aは、初めて持続インスリンを作成するのに作成方法や基準をみなかった。
  5. インスリンの名称変更について、オーダリングの変更や各部署への情報提供は行われていたが、インスリン希釈の作成マニュアルにあるインスリン名称の更新はされていなかった。
  6. 看護師Bはインスリンを確認した時に、看護師Aが先に「100単位10mL、50単位5mLでいいですよね」と口頭で伝えたため、両者に思い込みが生じた。
  7. 看護師Bは看護師Aが50mL シリンジでインスリンを吸っているのを見て「おかしい」と感じたが、相手に伝えなかった。
  8. 看護師Cは薬剤名が分からないまま、簡単に返答してしまった。
  1. インスリン静脈内持続投与の作成手順の内容を再度全部署で再チェックする
  2. インスリンの学習会を認定看護師に依頼し部署毎に周知する
  3. インスリン薬剤自体の表記方法の検討をメーカー等に依頼する
  4. ダブルチェックの確認方法の精度を向上する
  5. 事例の共有を行う
  • 確認が不十分であった
  • 心理的状況(慌てていた・思い込み等)
119 障害なし ビタジェクト テルモ 本来CVにビタジェクトが処方されていたがCVが中止になったが処方はそのままとなっていた。その事に気が付かないで静脈点滴にビタジェクトを混入した。 CV拔去した時点で点滴内ビタミン剤を変更するべきところCVの処方で本来末消から入れてはいけないビタジェクトが入ってしまった。 医師が状況を正しく判断し点滴内容をしっかり処方する。看護師も使う薬をしっかり覚えるに尽きる
  • 確認が不十分であった
120 障害残存の可能性がある(低い) キシロカイン注シリンジ1% アストラゼネカ 明け方より酸素飽和度の低下を認め、酸素投与量を増量して経過を見ていた。排尿後より呼吸困難が強くなり、苦しい、熱いなど体動が著明となり無意識に酸素マスクを外したりする行動から呼吸状態の悪化。当直医は7時5分に家族に電話連絡し、緩和の目的で塩酸モルヒネを使用したい旨の説明をさしあげ、同意を得た。塩酸モルヒネを開始することとなった。塩酸モルヒネを開始するにあたり、静脈血管を確保するため、当直医は、患者の腕がむくんでいたため血管確保が困難と考え、看護師が塩酸モルヒネを準備している間に、静脈確保を試みようと考えた。薬品庫(通常施錠されている)の鍵を開錠し、薬品庫の2段目の引き出しから血管ルート用ヘパフラッシュ5mlと誤って局所麻酔用1%キシロカイン注シリンジを取りだした。カテーテル延長チューブに約4ml(40mg)を充填し、7時40分頃静脈に留置後ラクテック500mlで点滴を開始した。その側管から塩酸モルヒネをシリンジポンプで1ml/時間で開始。1時間で3mlまで増量したところ、1時間後には体動も少なくなり、酸素飽和度も50%から70~80%台まで改善されました。9時過ぎに看護師による定期の薬剤管理チェックがあり、その際に局麻用1%キシロカイン注のシリンジが1本不足していることが分かり、当直医に確認した結果、薬剤取り違えが判明した。
  1. 事故の原因は、薬品戸棚から取り出す際に、容器の形状や色などによる思い込みから、ラベルを確認を怠ったこと。
      確認行為が曖昧になった理由として、当直医は、患者の急変により、早く血管確保をしなければという時間的焦り、身体的 状況などから、薬品庫の2段目にあるヘパフラッシュを取り出したつもりが、無意識的に手前の1%キシロカイン注を取り出した。その後、準備時、実施時の作業を単独で行ったために、複数人での確認の行為が出来なかったことで、誤投与が回避できなかった。
  2. 薬品棚の薬剤の配置の問題
    • ヘパフラッシュは、静脈に使用する薬剤であるが、当病棟は処置をする薬剤として、2段目の処置薬剤(外用、軟膏、局所麻酔薬等)に保管されていました。このことから、1)の状況により誤認する危険性が高い配置となっていたことも問題であったと考える。
  1. 作業台内の局所用と血管用を混在しないように配置する(各病棟実施済み)。
  2. 局麻用キシロカイン注シリンジについては、開封すると「禁静注」の注意書きを見落としやすくなるため、薬剤部よりメーカーへ薬剤間違い防止のためにシリンジに色を付けるなどの対策について依頼を行う。
  3. 薬剤準備・実施時の確認のルールを遵守するための啓発を行う。
  4. 医師、看護師等問わず、複数で確認する。
  5. 指差し呼称の有効性を周知する。
  6. 作業台等から薬剤を取り出す際の確認作業についてのステッカーを貼り、注意喚起を行う。
  • 確認が不十分であった
121 障害なし レベミル注フレックスペン ノボ 朝食前低血糖持続するため、2日前より朝前のインシュリンを昼前に変更した。注射箋にも昼前レベミル注フレックスペン 20Uと記載され、ワークシートにも昼前インシュリンと記載されていた。夜勤の看護師はワークシートを確認せず、以前は朝食前に施注していたため、朝食前だろうと思いみ、インシュリンの準備をした。朝前の血糖値52であり、指示中の40%ブドウ糖40ml注射。30分後には221であった。血糖値上昇したため、夜勤のフリー業務の看護師に注射の依頼をした。依頼された看護師は食前の血糖値が低かったため、朝食摂取確認後、患者名、実施日、種類、単位を確認後患者に実施した。昼前日勤の担当看護師が昼実施予定のインシュリンが朝実施されていることに気がついた。 2日前にインシュリンが変更になっており、患者の情報把握不足
出勤した際に業務手順ではワークシートを確認するようになっているにもかかわらず、確認不足。
注射箋確認時の指差し、声だし確認が出来ていなかった。
注射箋と注射ワークシートの照らし合わせという行為の未実施
確認行為の徹底
看護業務手順の遵守
  • 確認が不十分であった
  • 心理的状況(慌てていた・思い込み等)
122 障害残存の可能性なし ノボラピッド ノボノルディスクファーマ 血液検査を施行。1時間後の血糖値が55まで低下した。50%TZを20ml注射した。2時間後の血糖値は69だった。50%TZ40ml追加した。その後は低血糖症状なし。 看護師は連休あけだった。新規に入院した患者の確認を怠ったこととフルネームで患者確認しなかった。 患者誤認防止はフルネーム確認を行う。再確認するニュースを配布した。
  • 確認が不十分であった
123 障害残存の可能性なし 不明 不明 顎関節強直症で筋突起切除・左下顎第三大臼歯抜歯行い、外来通院中の患者。左臼歯部・左顔面痛あり咬合調整・鎮痛剤処方していたが、各種鎮痛剤効果ないためカロナール処方(筋痛に対して)。初診時よりアセトアミノフェンに対してアレルギーあることを申告していたが、これに関して見落とし、処方・内服開始(湿疹あり2日間で中止)してしまった。 確認不足 処方時に再確認
  • 確認が不十分であった
124 障害なし メソトレキセート錠 ワイスー武田 骨髄移植後慢性GVHDに対しMTX週1回内服をしていた。5週間分処方したが、「週1回」という用法はオーダリングにないため「1日1回5日分」として処方した。患者は5日間連続で内服、翌週から口内炎ができて高熱をきたし30日に発熱性好中球減少症として入院となった。入院後の問診にてMTXの内服方法が間違っていることが明らかになった。MTXは前年から処方を開始していたが、その頃からずっと処方されたMTXは連日内服をしていたとのことだった。処方開始当初は少量であったため連日内服をしても影響が少なかったものと考えられる。今回は量が増えており、受診間隔を空けるために多く処方したことが長く連日内服することにつながり、その結果骨髄抑制、口内炎が顕著になったものと考える。 オーダリングの用法用量の選択肢に「週1回内服」が無いために入力方法は上記の様に行うしかなかった。処方のコメントに「週1回内服」と入力しておけば避けられたと思われる。 処方のコメントに「週1回内服」と入力する事を徹底する。患者に服薬説明をし、理解されたか確認を必ず行う。システムの改良を行う。
  • オーダリング時等の誤入力
125 障害なし ブロプレス錠8 武田 術後3病日。ブロプレスは中止になっていた。定期処方薬がなくなり、次回の定期処方薬を確認した。処方箋控えや薬袋にはブロプレス中止とは記載されていなかったため内服可だと思い、患者に配薬した。配薬後ワークシートの申し送り欄を確認すると中止中であることに気がついた。血圧120~66mmHgであり、医師に報告、様子観察の指示がでた。 ワークシートの確認不足
内服薬の作用に対する知識不足
次回処方薬の薬袋や処方箋控えに明示がなく、分かりにくかった
ワークシートの確認の徹底
中止した薬剤の明示方法の検討
  • 確認が不十分であった
126 障害なし バイアスピリン錠100mg バイエル 術後経過よく、術前から服用していたバイアスピリンが再開になり、朝食後1錠服用していた。食後服用し、処方がなくなったため、医師への依頼表にその旨記載し、当日の日勤者に口頭で申し送った。空になった薬袋は捨て、処方箋控えはカルテにはせた。しかし、日勤者は口頭のため、申し送られたとは思わなかった。医師の連絡表は確認したが、バイアスピリンが処方されたかどうかは確認しなかった。翌朝夜勤の看護師は、投薬車の中にバイアスピリンはなかったが、処方されていない事に気づかず、他の内服薬を与薬した。日勤者が処方されて病棟にあがってきた内服薬を確認時、バイアスピリンの処方薬を見つけた。夜勤者に確認すると与薬していないことが判明した。本来朝食後に服用するところを昼食後に服用してもらった。 処方薬がなくなったとき、「新しく処方が確認されるまで、投薬車の中に空の薬袋と処方箋控えを残しておく」という部署の取り決め事項あり、取り決め事項の周知が出来ていなかった。
伝達方法が書面ではなく、口頭になっていたため伝わらなかった。(情報伝達のエラー)
取り決め事項の周知徹底
情報伝達方法の検討
  • 確認が不十分であった
127 障害残存の可能性なし 生食注シリンジ「タイヨー」10ml 大洋薬品工業株式会社 他患者に一度使用した生食注シリンジの残薬を当該患者に使用してしまった。 当該患者の点滴が終了したため、トレイに入った生食注シリンジを患者のところへ持っていき、シリンジに表示されている患者名の確認をせずに患者に投与し、ルートロックをした。その後看護室に戻りビドマの上を見ると、同じようなトレイが置いてあり、手元のルートロック後のシリンジの患者名を確認すると、他患者のものであったことが判明する。他患者も当該患者同様に、点滴開始時に滴下不良であり、フラッシュした残りの生食注シリンジをビドマの上においていた。 同一患者に使用する生食注を、複数回使用するといったローカルルールが一部のスタッフにあり、当事者の看護師は先輩看護師より、このルールを教わり実施していた。
添付文書に「開封後の使用は1回限りとし、使用後の残液は容器とともに速やかに破棄すること」という項目が周知徹底されていない。
ルートロックの際に患者確認の手順を省略した。
生食注の単回使用について、スタッフへ周知徹底した
マニュアルに沿った患者確認方法の遵守と指導を実施する
  • 確認が不十分であった
128 障害なし レボフロキサシン錠100mg「BT」 バイオテックベイ 患者は3病日であったが、レボフロキサシン(抗生物質)の処方がでており、○月×日から内服と記載があった。本日はその前日の△日であったが、、○月×日だと思い込み、抗生物質の点滴と内服を併用することもあるため、本日朝から内服していると思い込み、夕食後に与薬した。与薬後翌朝の薬を準備する時点で気がついた。主治医に報告し様子観察の指示があった。 日付を今日が△日ではなく×日だと思い込んだ
抗生物質の点滴と内服を併用して実施するかどうか確認せず、実施すると思い込んだ
確認の徹底
  • 確認が不十分であった
  • 心理的状況(慌てていた・思い込み等)
129 障害なし プリンペラン注射液10mg アステラス 在宅の患者で、かかりつけの開業医より、点滴の指示あり、4回分準備され、かかりつけ医の訪問診療時に利用者宅に持参、利用者宅で保管されていた。点滴を2回実施した。その後他の看護師が訪問し、点滴を実施しようと思い、薬液を確認したところ、残りの2回分は本来プリンペランであるところ、アリナミンであった。既に2回施注しており、アリナミンを施注した可能性があった。直ちに薬品間違いについて、かかりつけ医に報告した。かかりつけ医では在庫の確認はできておらず。利用者には特に身体的変化はなかった。その後指示通りの薬品を点滴実施した。 かかりつけ医より、薬品を受領した際の確認不足
叉、薬液混入前の薬液確認不足
薬品のアンプルがどちらとも茶色であり、プリンペランだと思い込んだ
受領時の確認の徹底
注射実施における指差し呼称による確認の徹底
  • 確認が不十分であった
130 障害なし ラシックス錠20mg/アルダクトンA錠25mg サノフィ・アベンティス/ファイザー 内服自己管理困難であり、看護師管理としていた。夜勤の看護師は配薬車に朝食後の薬を準備した。準備の際、与薬確認表を配薬車の引き出しから出しておき、配薬時に配薬確認のチェックをするようになっていたが、配薬車の引き出しから、与薬確認表をだすのを忘れた。配薬時、与薬確認表が出ている患者の薬のみ与薬した。日勤の看護師が昼食後を準備する際、朝食後薬が残っているのを発見した。 内服を準備する際、「内服確認表を引き出しから出しておく」という行為を忘れた。
内服したかどうか最終確認不足
準備から与薬、与薬後の確認までの一連の行為に関して取り決め事項の遵守
取り決め事項の統一化
  • 確認が不十分であった
131 障害なし メリカット坐剤25 日医工ファーマ 髄内釘挿入術後2病日、疼痛あり、患者から坐薬挿入の希望があった。指示のメリカット坐薬25mg挿入するため、訪室。ダウンライトを点け、側臥位になってもらうように声をかけた。肛門の場所を確認し挿入試みるが、坐薬がすべり膣口に誤挿入してしまった。肛門に挿入した感覚と違うことにすぐ気づき、直ちに膣口から坐薬を摘出しようとしたが奥に入ってしまい摘出困難となった。直ぐに他の看護師に報告、主治医に報告した。医師より本人の希望する処置ができるものなら実施すること、疼痛に関しては坐薬再挿入可の指示あり。本人の希望もあり、婦人科外来にて膣洗浄を行った。翌日再度、婦人科外来受診し、大丈夫であると、医師より説明あり、納得された。 部屋のダウンライトしか点けず、叉、疼痛のため側臥位が不十分な状態で坐薬を挿入しようとした。 患者にいかに負担なくできるか、全身をアセスメントし、実施方法を検討する。
  • 確認が不十分であった
132 障害なし ブロプレス錠 武田 薬剤に朝食後と診療録に処方記載されていたが、処方箋は用法が毎食後で入力発行されていた。診療録確認者、調剤監査者ともに間違いに気付かず投薬を行ってしまった。患者は正しい服用方法で内服されていた。 記載内容の確認を怠った。調剤監査者は薬袋の用法記載部分を思い込み確認していなかった。 処方箋訂正時は分かりやすく記載する。薬剤を薬袋に入れる際には薬剤名、服薬方法を口に出しながら薬袋を確認する。
  • 確認が不十分であった
  • オーダリング時等の誤入力
133 障害なし ブロムヘキシン塩酸塩錠4mg 未記入 準夜帯の勤務だった。19時・20時に緊急入院があり、患者・家族に入院の説明を行っていた。側管薬の準備・投与をA・Bチームが行った。22時過ぎに点滴を確認したところ残りの側管薬がワゴンに2つ残っており、実施を行った。0時過ぎに実施入力で注射覧にブロムヘキシン注が未投与であり、Bチームに確認したところ投与してないと言われ、ナースステーション内を探したところブロムヘキシン注が無かったため、そのまま帰宅した。次の日、日勤者が処置室にブロムヘキシン注が置いてあるのを発見しインシデント発見となる。主治医に報告し状態観察と指示を受け、状態変化なく経過した。 ブロムヘキシン注がナースステーションになく、勝手に投与しているものと思い込んでしまった。Bチームに確認して投与してないと言われて、Aチームが投与したと思い込んでいた。 誰が投与したのか所在を確認する。勤務最終で未投与の有無を確認し、確実に投与を行う。
  • 確認が不十分であった
134 障害なし イスコチン 三共製薬 他院より、入院患者が痙攣症状、嘔気を訴え当院の持参薬を確認したところ1包量が多いため確認依頼があった。レセプトを確認したところ抗結核薬が200mgのところ2gで入力され過剰投与していることが判明した。 レセプトの入力は転記しており転記間違いである(イスコチン200mgが2gで処方されていた。初診時に医師がイスコチン散200mgの処方を行った。委託事務員がレセプト入力を行った際に200mgの入力を0.2gと入力しなければならないが2gと入力した)。
再診時には前回処方入力した処方箋が打ち出されるようになっている。カルテの指示内容と違っていたが見逃されそのまま外来へ提出され、医師も確認不十分のままサインと印鑑を押して医事に回ってきた。PC画面と処方内容の確認をするようになっていたが見逃された。カルテが医事に帰ってきた際にもPC画面と指示内容を確認しカルテに検印するようになっていたが検印が無く最終の確認が出来ていなかった。
再診時の処方指示の際に確認が不十分であった。調剤薬局は常用量の4倍の指示であるにもかかわらず気づかず疑義照会をしなかった。
マニュアルの遵守。調剤薬局の対応としては抗結核薬をチェック機能にかかるようシステムを変更した。地域の調剤薬局等に本件の情報提供し、注意喚起を促す。
  • 確認が不十分であった
  • オーダリング時等の誤入力
135 障害残存の可能性なし ノボリンR注フレックスペン 未記入 午後12時20分頃、昼の固定打ちインスリン(ノボリンRフレックスペン10単位)使用している患者X氏。部屋担当看護師Aは11時30分にインスリンを施行し休憩になるため、後上がりの看護師Bに流動注入(インシュリン実施済みで流動注入のみ)を依頼して休憩に上がった(※看護師Bはインスリンを施行されていたことは知らなかった)。
看護師Bと看護師Cは、通常が12時にインスリンを施行していたので、引き継いだときインスリンが未実施だと思っていた。看護師Bと看護師Cはインスリンの患者氏名・種類・量をダブルチェックし準備した。看護師Cはインシュリン実施入力画面で●印を目で確認したが●を疑問に思いながらも看護師Aには確認せず、通常12時実施だったため、”未実施”と思い込んだ。看護師Cは更に、看護師Dが病室にいたため患者氏名・種類・量をパソコンで再確認しインスリン実施した。A看護師が休憩が終わり過重注射が発覚。主治医に報告、2時間後にBSチェックの指示あり経過観察となった。
休憩前の引き継ぎを受けた看護師への細かい言葉かけ及び、疑問に思ったがそれ以上の行動を起こさなかった担当者への確認行為不足 疑問に感じた場合はすぐに担当看護師に確認し思い込み作業を行わない。看護師間の申し送りは具体的に行い、曖昧な表現は避ける。また、インスリン時間の認識の統一を行う
  • 確認が不十分であった
  • 心理的状況(慌てていた・思い込み等)
136 障害なし ファンギゾンシロップ100mg/dl フ゛リストルマイヤース゛株式会社 歯科受診し口腔内の培養をした結果、カンジタ菌が検出されたため、主治医よりファンギゾンシロップが1回1mlで1日3回投与の指示で処方があった。リーダーは指示受けした際に1回3ml、1日3回投与だと思い込み、薬袋に間違った量「朝3ml、昼3ml、夕3ml」と一回量をマジックで記載した。8日間投与の指示だったが、過剰投与をおこなったため、3日目の昼で残薬が少ないことに気付かず経過した。薬剤を準備する時は目盛のついた薬杯で準備していたが、薬袋に記載していた誤った投与量のみを見て確認してしまっていた。薬の入っていた瓶は茶色で斜光瓶であったことや、薬剤が濃縮で沈殿しやすかったこともあり、残量が見えにくい形状であったため残量が少ないことに気付かなかった。最後に投与した看護師がリーダーの次の指示受けのためファイルに処方箋を挟んでいたが、その日以降のリーダーは処方切れに気づかなかった。最後に投与して4日経過し、リーダーが処方切れの処方箋に気づき発覚した。患者の経過は発熱や痰の量の増加等の変化などは特になく、次回歯科受診まで追加の投与については様子観察の指示となった。 指示受けした際、処方箋に1回3mlと誤って記載した。関わったスタッフは正しい処方内容を確認せずに、「誤って記載された部分の量」のみを見て使用した。(当該病棟では1回量を明確に知るため薬袋に1回投与量・個数を記入するルールを作っていた)薬が薬局から上がってきた時、ダブル確認をしていない 
薬局に問い合わせたところ、患者名・薬剤名・投与方法・1回投与量などの記入されたラベルは、病棟に上げる際には付けるようにしているとのことだが、その時には付いていなかった。(パスボックスに出し入れする際などに外れた可能性はある)
薬袋にmlや個数を転記しない
指示受けした時、少しでも疑問に感じたら、薬局に問い合わせる。
処方箋・カルテの内容を他の看護師と一緒に確認する。
  • 確認が不十分であった
  • 心理的状況(慌てていた・思い込み等)
137 障害なし 未記入 未記入 担当看護師より、夜勤に入る前に「今日から内服自己管理をお願いします。」と説明を受けた。患者は自宅でも内服の自己管理をしていた経験があり、受け答えでも落ち着いており、、担当看護師からも特に注意する点などの説明はなかった。そのため通常病棟で使用している「朝」「昼」「夕」の表示があり、ケースが分割された入れ物に1日分の内服をセットし、20時に説明を行った。本人にも明日の分であることを説明したが、朝服用の確認に訪室したところ、1日分の内服すべてを服用していたのを発見した。すぐに主治医へ報告し、様子観察の指示となった。 本人が十分に理解していなかった。
内服の表示が分かりにくかった。
本人、担当看護師、リハビリスタッフと協議し、本人がわかりやすい方法で内服自己管理できるよう援助する
  • 患者・家族への説明
138 障害なし プレドニゾロン錠「タケダ」5mg 未記入 転院されて前医から持参薬あり。主治医に持参薬続行の指示をもらい、薬局持参薬担当に連絡し昼食後の内服のみ間に合わないため取っておくよう言われ、他看護師と一緒に昼食後薬を確認するが、前医から薬情や診療情報提供書の持参なく、診療情報提供書は後日郵送しますとのことであった。内服を確認する書類がなく、薬袋で確認しマグミット1錠、プレドニゾロン5mg3錠与薬した。
持参薬確認した薬剤師からプレドニゾロン5mg3錠は翌月の日付で3日間投与分であったことを電話連絡受ける。薬袋を確認すると、薬袋の左下に「○月△日‐×日(翌月の日付で3日間)に内服」と書いてあった。
主治医に報告し、不足分の3錠は追加処方するとのことで経過観察となる。
  • 昼食前で忙しい時間帯に確認をした。
  • 確認する書類がなかった。(薬情・診療情報提供書)
  • 薬袋の「昼食後」のところしか確認しなかった。
  • 薬袋を隅々まで確認する。
  • 2人で声を出して確認する。
  • 何のために内服しているのか確認する。
  • 出来れば確認出来る書類を一緒に持ってきてもらう。(前医から)
  • 確認が不十分であった
139 障害なし 未記入 未記入 狭心症があり、毎日1日1回朝8時にニトロダームTTSを張り替える方で、当日も朝8時に張り替える予定だった。薬は配薬カートの中に入っているため、仮眠が終わって3時頃に他の内服薬もあるため一緒に確認した。夜勤である私が、食後の薬を渡し回る時に張り替える予定だったが8時の時点で忘れていて、15時に日勤者が配薬カートの中にニトロダームTTSが残っていることに気づき発覚した。日勤者が主治医に報告し、15時にニトロダームTTSは張り替えた。 貼付薬を確認して、配薬カートに表示もせず、入れたままであった。時間処置で抜き出しておらず、最終で確認も不足していた。 薬がある時は薬ありときちんと表示する。時間処置で抜き出す。最終で配薬カートをもう一度確認する。
  • 確認が不十分であった
140 障害なし 未記入 未記入 土曜日に右大腿骨頚部骨折で施設より緊急入院。医師は、電子カルテ内でバイアスピリン中止の指示を出した。入院を受けた看護師Aは、家族より持参薬を受け取った。持参薬の取り扱いは、時間内(平日8:30~17:00、土曜日8:30~12:00)と時間外で異なる。時間内の入院での持参薬は、薬局に提出するが、当事例は土曜日の午後で時間外だったため、月曜日の朝食後薬までを病棟で処理することとなった。持参薬にバイアスピリンがあることを確認したが、「内服薬の中からバイアスピリンを抜く処理は、他の入院処理が終了してから実施しよう」と思い、薬袋にバイアスピリン中止のことを記入しないまま、またセットすることなく配薬カートに入れた。他の看護師Bが、配薬カートの個人ボックスに他の薬と一緒に(バイアスピリンは抜かれないまま)セットした。
月曜日、薬局担当者(当該病棟担当薬剤師)が、内服薬チェック時にバイアスピリン中止の指示に気づき、配薬カートを確認するとバイアスピリンを抜いていない状況でセットされており、日曜と月曜の朝食後、2回投与された。 電子カルテ上、手術前の休薬に関しては、患者情報の禁忌欄に手術禁忌項目として登録されていれば、手術オーダ画面が開いた時点で「手術前に休薬が必要な薬剤を服用中の患者です」と表示されるが、今回は記載がなかった。
内服の薬袋にバイアスピリン中止のコメントは記載されていなかった。
内服セット者のサインがない。 バイアスピリン中止の指示を把握していなかった。
手術目的であることをしっかり把握し気に留めながら内服チェックを行っていく
内服セット者または受け持ち看護師は誰が見ても分かるように薬袋への記載、または張り紙をし注意喚起を行う。
術前に内服中止薬のある患者の一覧表を作成する。
電子カルテシステムでの改善として、手術オーダ画面に「休薬確認」のような入力項目を追加して、必須入力とする方法を検討する。
  • 確認が不十分であった
141 障害なし 水溶性ハイドロコートン注 未記入 17時に準夜スタッフと患者名・薬品名・投与量・時間をダブルチェックした。18時に投与することを忘れないように他スタッフに声をかけてたため18時に「ハイドロコートンはいってくれた?」と声かけられ慌てて準備した。水溶性ハイドロコートン注・1回0.5瓶・18時投与の指示で18時にラベルを確認し注射器で薬液を全量吸った。薬液を吸った後ダブル確認せず、ネット上で最終確認したが、確認したつもりでそのまま半分捨てずに投与した。他スタッフの「ハイドロコートン0.5瓶だったよね」という言葉に全量投与してしまったことに気付きアクシデントがわかった。 確認不足。 注射液を注射器で吸った後は、再度ダブル確認するように徹底する。慌てて注射液を準備しない。
  • 確認が不十分であった
142 障害なし 未記入 未記入 ICUは満床で、朝の内服薬投与が必要な患者は4人であった。
机の上に、4人分の内服薬とトレイが準備してあり、昨日、自分の受け持ち患者の内服薬の1日分のセットはダブルチェックしていたが、内服薬投与前のダブルチェックを他のスタッフが行ってくれており、チェックしたものと思ってトレイを取った患者が、自分の患者ではなく、他の患者のものであった。
名前自体を確認しおらず、また朝の内服薬のダブルチェックも怠ってしまった為、他の患者の内服薬を白湯に溶かし準備してしまった。また間違った患者の内服薬には、今日は中止にする予定の降圧剤も含まれていた。
溶解した後に、患者のシリンジの氏名が受け持ち患者と違うことに気づき、インシデント発覚となる。
  • 確認不足
  • 夜勤明けであり、緊張感が緩んでいた
  • 思い込みがあった
  • 薬を確認・準備をする時は、必ず自分で行い、1日分のセッテング、投与前のダブルチェック、溶解後、投与直前のベッドサイド・リストバンドでの確認、を十分に行う
  • 朝同じ時間に、全部の患者の内服薬・トレイを机には並べず、受け持ち看護師が責任を持って、投与前に内服薬・トレイを出してダブルチェック後、溶解し、専用のトレイに入れて、投与患者のモニターの横にセッティングする
  • 確認が不十分であった
  • 身体的状況(寝不足・体調不良等)
  • 心理的状況(慌てていた・思い込み等)
143 障害残存の可能性がある(低い) ハウスダスト1:10 鳥居薬品 外来看護師は、外来診察室にて医師からハウスダスト0.07mlの皮下注射の指示を受けた。処置箋に確認しながら薬剤を準備した。準備時薬剤名と投与量を声に出しながら1mlのシリンジに0.7mlを吸った。患者に氏名を確認しながら、伝票を確認した。実施中に量が多いと思ったが、そのまま続行した。片付け中に、0.07mlのところを0.7ml実施したことを気づき、すぐに患者と医師へ連絡。ボスミンを緩衝剤として使用した。数時間安静に臥床し経過観察したが異常はみとめなかったが、遅発性のアレルギー症状の観察のため1日入院となった。翌日、アレルギー症状なく退院となった。
  1. 減感作療法のためアレルゲン(ハウスダスト)を投与時、確認作業が曖昧になり、0.07mlと口に出しているが、実際は0.7mlをシリンジに吸ってしまった。
  2. 実施時、いつもより多いと疑問に思ったが、疑問を解決しないまま実施した。
  3. 作業段階を1人で行いチェック機構がなかった。
薬物治療のための6Rの重要性を啓発する。
減感作治療の危険性について認識する。
危険薬についてのダブルチェック体制の構築する。
  • 確認が不十分であった
144 障害なし チラージンS錠50 あすか ○日より5日分の内服が開始となり、看護師管理で与薬していた。医師は次回定期処方として○日の6日後に開始予定で処方され、○日には病棟にあがってきていた。しかし、定期処方薬品入れにははいっておらず、患者の常備薬入れに保管された。内服開始5日目の夕食後に内服薬は空になった。その日の担当の看護師は空の袋を捨て、次の処方薬を補充しなかった。その後の担当看護師も与薬していないことに気づかず、他の定期薬のみ与薬した。日勤の看護師が常備薬入れを点検した際、処方薬があることに気づき、内服させていないことが判明した。 内服薬がなくなった時点で、次回処方の有無の確認を怠った
定期処方にもかかわらず、定位置に置いていなかった。そのために次回の処方はないと思い込んだ
薬が空になると、追加処方されるか中止になるか、確認するまで空袋を配薬車に置いておくという取り決め事項ができていなかった。
取り決め事項の徹底
カルテのよる処方薬の確認の徹底周知
  • 確認が不十分であった
  • 心理的状況(慌てていた・思い込み等)
145 障害なし バイアスピリン錠100mg バイエル デブリメント術施行。術後創部より出血あり、様子をみていたが、出血多く、皮膚科に連絡。皮膚科看護師と外科医が来棟し患者を診察。創部の出血が続くため、出血部位をバイポーラで止血処置された。処置の際、皮膚科看護師より、「抗血小板剤の服用はしていないか」と問われ、確認するとバイアスピリンが内服中であった。外科医よりバイアスピリン中止の指示を受け、中止とした。 デブリドメンを行う際、皮膚科に紹介した。その際、バイアスピリンの内服中止について確認しなかった。
皮膚科医師はカルテを見たが、中止薬の指示はされなかった。
患者が服用している内服薬に対する確認不足
抗血小板薬・抗凝固薬の中止の有無について、確認を徹底する
  • 確認が不十分であった
146 障害なし ラジカット注30mg 田辺三菱 ラジカット30mg30分かけて1日2本施注の指示があり。朝・夕に実施していた。当日の担当看護師は注射箋に2本としか記載がなかったため、少し時間を空ければいいだろうと思い、9時に1本目を実施し、12時頃2本目を実施した。ワークシートに記載があったかどうかは覚えていない。翌日担当の看護師が昨日担当の看護師に昨日の実施時間を確認し、実施時間間違いに気がついた。 ラジカットという薬品に対する知識不足(当院の医薬品集には1日2回朝・夕と記載あり)
リーダー・メンバー間も連携が出来ていなかった
処方箋には1日2本としか記載がなかったため、理解出来ていなかった。
薬剤に対する教育、確認方法の指導(医薬品集)
患者用ワークシートへの申し送り事項への記載の徹底
チーム内での連携・ミーティング方法の検討
  • 知識が不足していた・知識に誤りがあった
  • 連携
 
 

ヒューマンエラーやヒューマンファクターに起因すると考えられた事例(予防接種ワクチンの管理に関する事例)

No. 事例 調査結果
1 薬剤部が、平成19年度分のインフルエンザワクチンを卸業者に返品するため、払い出し部署の在庫品の製造番号確認を行い、卸業者に連絡したところ平成18年度分の製造番号のワクチンがあった。インフルエンザワクチンの接種者のカルテを確認したところ、平成18年度分のワクチンを接種した患者が7名いることがわかった。調査の結果、薬剤部へ返却されたワクチン6本が払い出され、使用されていた。
薬剤の払い出し時、各部署へ払い出されたワクチンの製造番号管理がされておらず、検品時の有効期限確認ができていなかった。また、各部署から期限切れなどで返却されてくる薬剤の管理方法が曖昧だった。また、実施時において、冷蔵庫から取り出す時、注射器に詰める時、医師との確認時に薬品名、使用量、患者名は確認したが有効期限の確認はしていなかった。インフルエンザワクチンは、毎年返却しており、その年度のものであるという認識から実施時の確認が不足していた。薬剤部から請求薬品が届いたときにも、有効期限の確認はしていなかった。
  • 確認が不十分であった
 
 

ヒューマンエラーやヒューマンファクターに起因すると考えられた事例(散剤の薬剤量間違いの事例)

No. 事例 調査結果
1 通院中の患者に外来診療時にパーキンソン病治療薬ネオドパストン(成分名レボドパ)の処方を粉砕150mg 分6から粉砕300mg 分6に増量した(院外処方)。その後、薬剤の影響を観察するため入院となった際に、薬剤師が持参薬を確認し、患者家族から「以前より倍になって、6錠分になった」と聞き(実際には1.5錠が3錠になっていた)、前回の外来受診時の処方内容を確認することなく、ネオドパストン600mg 分6と持参薬確認表に記載した。患者が持参薬を飲みきったため、研修医Aが持参薬確認表を基にネオドパストン600mg 分6(7日分)を臨時処方、その後、研修医Bが複数回にわたり同様の処方を行った。その後、発熱、歩行困難等、症状が悪化したため、主治医が処方をネオドパストン400mg 分4に減量したが、不随意運動の増加が目立ったため、主治医が入院以前の量を確認したところ、処方量の間違いがわかった。
不随意運動の増加と薬剤増量の因果関係について、投薬時間と不随意運動の発現、軽快時間が必ずしも一致しなかったことから不明な点も多いが、薬剤を減量したところ不随意運動が減少した事から、薬剤の過量投与が影響していることが十分に考えられた。
事故当日、薬剤部は入院時の持参薬を確認しなければならない患者が多数いたこと、薬剤管理業務の必要な患者の対応をしていたこと及び薬剤に関して疑義照会が多数あったことなど業務が集中していたために、患者の申告する持参薬の情報を医療情報システム等の他の手段で確認しなかった。また、患者が持参していた院外調剤薬局から提供された「お薬情報提供用紙」に散薬の用法用量の記載がなかったために確認ができなかった。
診療科では、外来での薬剤の変更についての情報が正確に入院担当医に伝達できていなかった。外来での薬剤変更時のカルテ記録が脱落していた。入院時の持参薬剤が散剤であり、薬袋や薬自体に用量の記載がされていなかった。
  • 確認が不十分であった
2 医師は、オーダリングシステムでテグレトール(CBZ)25mg/ 日を処方するところ、250mg/ 日と入力した。薬剤部の鑑査もスルーして患者に投与した。25日後、患者は予定通り受診し血中濃度採血を受けたところCBZ濃度は予想値より高いが異常値でなかったこと、患者は少し眠いくらいで元気であった事から、次回処方を半分量で125mg(このとき主治医は、最初25mg 処方したことに気付かなかった)として処方した。処方変更後9日目に患者にまだ眠いという症状がある為、医師がオーダリングを見直したところ10倍量のテグレトールが投与されていたことに気付いた。
医師は、オーダリングで打ち込むときに数値(ゼロを触った可能性あり)を間違えたと思われる。また、数値を打ち込むときに不必要に小数点以下の「0」が多く出てきて、間違いに気付きにくかった。
  • 確認が不十分であった
  • オーダリング時等の誤入力
3 コデインリン酸塩散1% 60mg を処方しようとして60g 処方し患者が1回分内服し体調不良を訴え、入院をした。医師は外来診療で処方時、投与量に注意が行き単位を確認しなかった。医師は院外薬局から疑義照会時、数字のみ確認し処方箋を確認しなかった。
  • 確認が不十分であった
4 病棟の複数の定期処方を調剤し、後日別の薬剤師が検薬を実施した。約1ヵ月後、看護師は処方箋と薬内容を確認中、他の患者の薬に比べ、当該患者のセルシン散の量が少ないことに気付いた。薬剤科で確認したところ、セルシン散20mg/ 日処方を間違い、2mg/ 日で秤量していたことがわかった。 セルシン散(10mg/g)は、処方量を計算して瓶の中から秤取り、分包するようになっているが、計算を間違えており、検薬時も間違った秤量が印字されているが、発見できなかった。
  • 確認が不十分であった
5 当院で処方した硫酸アトロピン末の院外薬局での調剤間違いのため、患者が硫酸アトロピン末が1000 倍量を服用し、意識障害になり、緊急入院となった。処方は、当院呼吸器内科医師が行い、内容は硫酸アトロピン末1.5mg 分3 であった。処方内容には誤りがなく、院外処方を行った薬局に問い合わせた結果、硫酸アトロピン末〔1mg/g〕1.5mg(成分量処方)のところ、硫酸アトロピン原末〔g/g〕を1.5g で調剤していた。院外薬局によると初めて取り寄せる薬であった。
  • 確認が不十分であった
  • 知識が不足していた・知識に誤りがあった
6 医師は患者にデパケンを処方し、薬剤システムは処方箋を受付けた。当直薬剤師2名が、それぞれ、調剤と鑑査を担当した。調剤担当者が処方箋に従い、薬剤の秤量計算を行う過程で業務を中断した。業務再開後の調剤で、本来であれば、デパケン細粒40% 100mg 1日3回毎食後7日分の処方に対して、1.75g 秤量すべきところを誤って12.25g 秤量し、7倍量の過量調剤となった。鑑査担当者は鑑査項目である調剤量の計算を怠り、調剤担当者が誤計算した量で重量鑑査を行い、薬剤を患者へ交付した。患者は傾眠傾向、NH3 値上昇、全身けいれんが頻発し、かかりつけ医の薬剤師から当院へ連絡を受け、調剤の誤りがわかった。
  • 確認が不十分であった
7 サイトメガロウイルス感染症に対する治療のため、バリキサ錠(散剤にして処方)を内服していた患児で、母親より小児科医に内服薬が足りないと電話があった。薬剤部に確認すると、14日分を、7日分に分包して払い出していたことがわかった。その結果、一包中の薬剤量が2倍量となり、7日間は過量内服していたことが判明した。バリキサ錠は毒薬で粉砕不可薬であったが、患者は小児のため処方医より粉砕指示があり、そのため、錠剤を粉砕し紙に包んで分包する手巻き式の調剤を行った。手巻き式の調剤は、電子的な鑑査システムが困難であり、処方箋のみで確認した。1日2回、14日分の処方に対し、本来28包調剤するところを投与日数の14日を見て、14包分包した。鑑査者もこれに気付かず交付した。
  • 確認が不十分であった