独立行政法人 医薬品医療機器総合機構
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安全対策業務

平成20年度 第2回医薬品・医療機器安全使用対策検討結果報告(医薬品関連事例) 別添3

本文別添1別添2|別添3

 

情報不足等のため、製造販売業者による対策が困難と考えられた事例   (ヒヤリ・ハット)

    具体的内容 背景・要因 改善策 調査結果
1 第13回 電子カルテシステムの処方オーダー機能において、薬剤組み合わせによる「絶対禁忌」「相互作用禁忌」の警告メッセージの表示と通常入力を不可とする機能が、作動していなかった。停電時のパソコンによる簡易処方箋発行の打ち合わせ時に機能停止が発見された。 単独のオーダリングシステムから電子カルテシステムのオーダーリング機能へ変更準備中、電子カルテシステムで、新たに「注射のオーダーと投薬オーダーの総合チェック機能」が提供され、その内容を説明する準備作業として、それまでの警告機能を一端使用不可とし、新たな機能に設定を置き換えて実施した後、担当SEが元に戻す作業を忘れたまま本稼動してしまった。
  • 企画課SEとの協議で、新たなプログラムの変更時に、各端末へ配信する前後に登録した確認用オーダーをテスト入力し、チェック機能が正常に働いているかを確認する体制とする。
  • 開発本部もシステム根幹部の安全対策をパッケージレベルで再検討する。
システム上の問題と思われる。

情報不足等のため、製造販売業者による対策が困難と考えられた事例  (事故)

    発生段階 事故の程度 事例概要 調査結果
1 第12回 実施段階 障害の可能性
(低い)
5ヶ月間にわたって肘部にインフルエンザ予防接種を実施した。約1ヶ月後から患者の訴えにより、予防接種後に肘の腫脹があり、診療科で様子観察をしていたが軽快しなかったため、整形外科を受診した結果、滑液包炎と診断された。患者から相談・苦情があり、予防接種者全員を調査した結果、20人に滑液包炎の発症があった。 当該ワクチンの製造販売業者に確認したが、本事例に該当すると考えられる副作用報告等を受けておらず、また手技等を含め詳細が不明であり、これ以上の検討は困難と考える。
2 第12回 実施段階 障害の可能性
(なし)
主治医が造影剤の副作用に関して説明を行った後に造影CT を行った。オムニパークを注入後、数分して喘鳴が出現、血圧低下、呼吸状態が悪化した。ボスミン、ステロイド剤投与にても呼吸状態は改善せず、挿管し人工呼吸器管理とした。呼吸状態および全身状態はその後速やかに改善し、5時間後には抜管でき、当日中にほぼ検査前と同様の状態に改善した。 本剤投与による血圧低下、呼吸困難などの症状については、添付文書に記載されている副作用症状と考えられるが、患者の原疾患や既往症等の詳細な情報が不明であり評価困難と考える。
3 第12回 実施後の観察
及び管理段階
障害の可能性
(なし)
麻酔導入後、執刀前に、セフマゾンとプリドールの投与を開始した。その数分後、皮膚発赤著明、血圧感知不能の心停止に近いショック状態になった。 アナフィラキシーショック等については、両剤とも添付文書に記載されいる副作用症状と考えられるが、患者の原疾患や既往症等の詳細な情報が不明であり評価困難と考える。
4 第12回 実施後の観察
及び管理段階
障害の可能性
(高い)
今までの既往から胆管炎が第一に疑われ、以前から使用歴がありアレルギー症状の出現も認めなかったスルペラゾンを抗生剤として投与することとし、Veen F500mL +スルペラゾン1g/ 生食100mL の点滴静注を開始した。直後より嘔気の出現、意識状態の急激な低下を認め、意識状態はJCS 300、頸動脈触知は微弱、気道確保の上、アンビュランスバッグにて呼吸補助を開始した。 本剤投与による嘔吐や意識低下等の症状については、添付文書に記載されている副作用症状と考えられるが、患者の原疾患や既往症等の詳細な情報が不明であり評価困難と考える。
5 第13回 準備段階 障害なし 輸液ポンプで1時間に50mL のシスプラチンを注入するところ、10分程度で終了した。 詳細情報が不明であり評価不能と考える。
6 第13回 実施後の観察
及び管理段階
障害残存の
可能性なし
患者は重症感染症から、DICを併発し、末梢ルートからFOY(ガベキサートメシル酸)を投与していた。翌日の14時半ごろ、末梢ルート刺入部のやや中心側に、約2×5センチ大に皮膚が白く変化していることに気付いた。刺入部付近から点滴漏れを疑うような腫脹は認めなかった。主治医の指示により様子観察となり、1 時間後に再度観察を行った。2時間後、末梢ルート刺入部付近から5×9センチ白色化していたため、翌日整形外科受診することとなった。整形外科医が診察し、壊死になる可能性が高いと診断し、処置をした。末梢からのブドウ糖液500mL にFOY2000mg の使用したが、添付文書に1000mg までの使用が明記されていることは知っていた。しかし、患者はDICを併発しており中心静脈からルートを取ることはリスクが大きいと考え、あえて末梢に血管を確保した。また、用量・濃度についても、治療上必要でありやむを得ず2000mg を使用した。 事例概要からFOYの副作用と考えられ、製造販売業者等による新たな医療安全対策は困難と考える。
7 第13回 実施後の観察
及び管理段階
障害残存の
可能性(高い)
手術を予定していた患者が、腰椎麻酔施行し、抗生剤等薬剤投与した後、一時、心肺停止となった。パンスポリンまたは等比重マーカインのアレルギーによるアナフィラキシーショックが考えられた。術前の問診において、抗菌薬及び局所麻酔剤のアレルギーを示唆する患者からの報告はなかった。また、外来においても、局所麻酔剤を使用しているが特に症状は見られていないため、抗菌薬及び局所麻酔剤のアレルギー歴はないものと判断していた。 アナフィラキシーショックについては、両剤とも添付文書に記載されいる副作用症状と考えられるが、患者の原疾患や既往症等の詳細な情報が不明であり評価困難と考える。
8 第13回 実施後の観察
及び管理段階
障害残存の
可能性(低い)
患者は退院10日後に、退院後初めての外来受診を受けた。その際、患者は、左手尺側のしびれを訴え、入院中に左前腕に行った点滴が漏れたためではないかと訴えた。入院中、患者は、特に同部の疼痛やしびれはなく、退院後に気が付いたとのことであった。原因は不明であるが、末梢神経障害を疑い、メチコバールを処方し経過観察とした。 点滴内容等が不明であり、評価不能と考える。