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安全対策業務

平成30年度 第3回医療機器・再生医療等製品安全使用対策検討結果報告

平成31年3月27日
独立行政法人 医薬品医療機器総合機構

1. 調査対象の範囲

 公財)日本医療機能評価機構(以下、「評価機構」という。)による医療事故情報収集等事業報告書中の記述情報及び評価機構ホームページ上の公開データ中の医療機器に関連する医療事故及びヒヤリ・ハット事例

1)医療事故関係について

 評価機構による医療事故情報収集等事業第53回及び第54回報告書(以下、「当該報告書」という。)中の記述情報及び評価機構ホームページ上の公開データから抽出した平成30年1月1日~6月30日の間に報告された事例。

2)ヒヤリ・ハット事例関係について

 当該報告書中の記述情報から抽出した平成30年1月1日~6月30日の間に報告された事例。

3)その他

 当該報告書中の記述情報から別途抽出した医療機器にかかる以下の事例。

  • 移動時のドレーン・チューブ類の偶発的な抜去に関する事例
  • 点滴ラインのクレンメを閉じずに輸液ポンプから外し薬剤が急速投与した事例
  • 人工呼吸器を使用中に人工鼻と加温加湿器を併用した事例
  • ガイドワイヤーの破損(親水性のガイドワイヤーと金属針を併用)に関する事例
  • ガイドワイヤーの破損(操作が適切でなかった)に関する事例
  • 体内にガーゼが残存(カウントが合わなかった)した事例
  • 体内にガーゼが残存(残存した状態でカウントが合っていた)した事例

2. 検討方法

 医療機器に起因するヒヤリ・ハット等の事例について、医療機器としての観点から安全対策に関する専門的な検討を行うため、各医療関係職能団体代表、学識経験者等の専門家及び製造販売業者の代表から構成される標記検討会を開催し、医療機器の物的要因に対する安全管理対策について検討した。

3. 調査結果

  1. 医療機器毎の事例数について

調査対象の各事例において使用されている医療機器毎に、各事例の報告者意見に基づく事故の内容及び事故の程度を分類し、まとめた結果を図1~図4 、表1及び表2に示す。
また、表1及び表2においては、各医療機器におけるヒューマンエラー・ヒューマンファクターに起因する事例の事故の程度と内容の内訳を示している。
 

図1 ドレーン・チューブにおける事故の内容の内訳

ドレーン・チューブにおける事故の内容の内訳

図2 ドレーン・チューブにおける事故の程度の内訳

ドレーン・チューブにおける事故の程度の内訳

表1 ドレーン・チューブにおけるヒューマンエラー・ヒューマンファクターに起因する事例の事故の程度と内容の内訳(表1
 

図3 ドレーン・チューブ以外の医療機器における事故の内容の内訳

ドレーン・チューブ以外の医療機器における事故の内容の内訳

 

図4 ドレーン・チューブ以外の医療機器における事故の程度の内訳

ドレーン・チューブ以外の医療機器における事故の程度の内訳


表2 ドレーン・チューブ以外の医療機器におけるヒューマンエラー・ヒューマンファクターに起因する事例の事故の程度と内容の内訳(表2

 

  1. 類似事例数について

 調査対象の各事例において、これまでに同様の事例が集積され、PMDA医療安全情報を作成・配信し、注意喚起を実施している事例と同様の事例数をまとめた結果を表3と表4に示す。

分類 総件数 類似事例数 内訳

表3 ドレーン・チューブ

動脈ライン 5 0  
中心静脈ライン 23 3 ・PMDA医療安全情報No.57
「皮下用ポート及びカテーテルの取扱い時の注意について」
気管チューブ 35 6 ・PMDA医療安全情報No.30(5件)
「気管チューブの取扱い時の注意について」
・PMDA医療安全情報No.36(1件)
「チューブやラインの抜去事例について」
気管カニューレ 15 4 ・PMDA医療安全情報No.36
「チューブやラインの抜去事例について」
尿道カテーテル 11 4 ・PMDA医療安全情報No.54
「膀胱留置カテーテルの取扱い時の注意について」
胸腔ドレーン 11 1 ・PMDA医療安全情報No.36
「チューブやラインの抜去事例について」
末梢静脈ライン 11 0  
栄養チューブ
(NG・ED)
15 7 ・PMDA医療安全情報No.42(6件)
「経鼻栄養チューブ取扱い時の注意について」
・PMDA医療安全情報No.48(1件)
「三方活栓の取扱い時の注意について」
腹腔ドレーン 4 0  
硬膜外カテーテル 3 0  
脳室・脳槽ドレーン 3 1 ・PMDA医療安全情報No.52
「開放式脳室ドレナージ回路使用時の注意について」
皮下持続吸引ドレーン 2 1 ・PMDA医療安全情報No.36
「チューブやラインの抜去事例について」
血液浄化用カテーテル・回路 5 0  
その他のドレーン・チューブ類 43 5 ・PMDA医療安全情報No.36(2件)
「チューブやラインの抜去事例について」
・PMDA医療安全情報No.42(1件)
「経鼻栄養チューブ取扱い時の注意について」
・PMDA医療安全情報No.43(1件)
「胃瘻チューブ取扱い時のリスク」
・PMDA医療安全情報No.54(1件)
「膀胱留置カテーテルの取扱い時の注意について」
合計 186 32  
 
分類 総件数 類似事例数 内訳

表4 ドレーン・チューブ以外の医療機器

心電図・血圧モニター 3 1 ・PMDA医療安全情報No.29
「心電図モニタの取り扱い時の注意について」
人工呼吸器 13 2 ・PMDA医療安全情報No.30(1件)
「気管チューブの取扱い時の注意について」
・PMDA医療安全情報No.7(1件)
「人工呼吸器の取扱い時の注意について」
血液浄化用機器 1 0  
パルスオキシメータ 1 0  
ペースメーカ 4 0  
除細動器 1 0  
人工心肺 4 0  
内視鏡 1 0  
歯科用回転研削器具 1 0  
その他の医療機器 77 3 ・PMDA医療安全情報No.57(1件)
「皮下用ポート及びカテーテルの取扱い時の注意について」
・PMDA医療安全情報No.16(1件)
「電気メス取扱い時の注意について(その3)」
・PMDA医療安全情報No.50(1件)
「シリンジポンプセット時の注意について」
合計 106 6  
 
  1. 安全使用対策の必要性

 医療機器の製造販売業者等による安全使用対策の必要性の有無について、調査対象の全292事例の調査結果を表5に示す。

 
調査結果 事例数 割合

表5 医療事故及びヒヤリ・ハット事例に関する調査結果

医療機器の安全使用に関して製造販売業者等による対策が必要又は可能と考えられた事例 0 0.0%
製造販売業者等により既に対策がとられているもの、もしくは対策を既に検討中の事例 6 2.1%
製造販売業者等によるモノの対策は困難と考えられた事例 286 97.9%
292 100%

 

4. 調査結果の内訳

  1. 製造販売業者等により既に対策がとられているもの、もしくは対策を既に検討中の事例(別添1)
    1. 皮下植込み型ポートのカテーテル断裂の事例(1~4番)
    2. 自動吻合機の結紮不良による出血事例(5番)
    3. バイポーラ鉗子の固定ピン脱落事例(6番)
  2. 製造販売業者によるモノの対策は困難と考えられた事例(ヒューマンエラー、ヒューマンファクター)(別添2)
  3. 製造販売業者によるモノの対策は困難と考えられた事例(情報不足等)(別添3)

以上