独立行政法人 医薬品医療機器総合機構
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安全対策業務

植込み型心臓ペースメーカ等が受ける電磁波影響に関する自己点検等について

医薬安第144号
平成12年11月20日

日本医療機器関係団体協議会会長 殿
日本医用機器工業会会長 殿

厚生省医薬安全局安全対策課長

植込み型心臓ペースメーカ等が受ける電磁波影響に関する自己点検等について

 植込み型心臓ペースメーカが外部からの電磁波の影響により誤作動を起こす可能性については、平成11年6月の医薬品等安全性情報No.155や平成9年6月の医薬品等安全性情報No.143等において注意喚起を行ってきたところであるが、今般、日本ビタトロン株式会社から、同社の一部の製品について電磁波の影響により突然の出力停止する可能性があり得ることが判明したため、その旨を関係医療機関に注意喚起をしたとの報告を受けた。
 この件を踏まえ、現段階においては、植込み型心臓ペースメーカ、植込み型除細動器及び脳・脊髄電気刺激装置への電磁波影響による不具合発生の可能性を否定しきれていないことから、下記の措置を実施するよう傘下企業に周知をお願いする。

  1. 植込み型心臓ペースメーカ、植込み型除細動器及び脳・脊髄電気刺激装置(以下「植込み型心臓ペースメーカ等」という。)の製造業者、輸入販売業者もしくはこれら機器の外国製造承認に関する国内管理人(以下「製造業者等」という。)は、悪影響を及ぼす可能性のある盗難防止装置等の電磁波を発出する装置について現状を調査し、それらの装置から発出される電磁波によって、自社の植込み型心臓ペースメーカ等が受ける影響について自己点検を実施し、結果を厚生省医薬安全局安全対策課まで報告すること。
  2. 製造業者等は、電磁波の影響によると考えられる医療用具の不具合が発生した場合には、薬事法に基づく副作用・感染症報告の提出にあわせて、当該ペースメーカの動作記録と患者行動記録の照合を行うなどの分析を行い、不具合発生の原因となった電磁波発生装置について考察を加えること。

以上

植込み型心臓ペースメーカ等が受ける電磁波影響に関する自己点検の方針

 医療用具の製造業者、輸入販売業者及び外国製造承認取得者(国内管理人)(以下「製造業者等」という)は、苟も人の生命及び健康に携わる業務を営む点に鑑み、その業務の性質に照らし、危険防止のため、実験上必要とされる最善の注意義務を求められるところである。また、製造物責任の観点から、製造業者等は「欠陥のない製品」の製造供給責任が求められており、製造業者等は、本来設計されている通りの製造品質と性能を持った製品を製造供給するとともに、その製品を意図した目的に用いたときに起こり得るリスク(危険)に対して適切な対策を講じる責任を有している。
 今般、一部の生体機能補助・代行機器において、電磁波の影響による機能不全リスクが判明したことから、前記の責任遂行するため、製造業者等は自社の製品に対して当該リスクに関する点検を実施し、自社製品の安全を確認することとする。

(1)要点検電磁波発生装置のリストアップ

植込み型心臓ペースメーカ等が植え込まれている患者の生活活動のあらゆるケース(以下「患者生活環境」という)を想定し、その中で遭遇する可能性のある電磁波発生装置であって、人体に植込まれた植込み型心臓ペースメーカ等対して影響を及ぼすことが否定できない強度・性質の電磁波を発生する装置(以下「要点検電磁波発生装置」という。)を総点検し、リストアップする。(盗難防止装置、電磁調理器等)

(2)各要点検電磁波発生装置が各植込み型心臓ペースメーカに与える影響に関する点検確認

「(1)」でリストアップした各要点検電磁波発生装置を用いて、それぞれ自社の植込み型心臓ペースメーカ等に電磁波を照射してどのような影響がでるか点検を行う。ここで、各要点検電磁波発生装置から植込み型心臓ペースメーカ等に照射する電磁波の強度・性質については、安全の観点から、科学的に最も植込み型心臓ペースメーカ等が悪影響を受けると考えられる条件(以下「電磁波照射条件」という。)で行う。
ただし、過去に行った試験結果や学術研究等によって、客観的かつ科学的にその影響が解明されている事項については、これを証明する資料をもって、実際の点検におきかえることができる。

(3)不具合報告

「(2)」の点検において、薬事法施行規則第64条の5の2第2項第一号ハ又は薬事法施行規則第64条の5の2第2項第二号ハに該当することが判明した場合には、速やかに薬事法に基づく副作用・感染症報告を行う。

(4)要点検電磁波発生装置の見直し

要点検電磁波発生装置については、常に国内外の業界誌、研究報告等を精査することによって、最新の状況を入手することに努め、新たな要点検電磁波発生装置が判明した場合には、それが植込み型心臓ペースメーカ等に対して与える影響について速やかに点検を行う。同時に、その点について関係者に情報提供するように努める。

(5)電磁波照射条件の最適化

電磁波照射条件については、国内外の研究報告等を精査することにより、安全を確保するための最善条件に設定することに努め、条件の見直しが行われた場合には、速やかに自社の植込み型心臓ペースメーカ等に対して総点検を実施し、新たな電磁波照射条件での動作確認を実施する。

(6)不具合発生事例の分析

植込み型心臓ペースメーカ等において原因が特定されない誤作動等の不具合事例が発生した場合には、当該製品の動作記録と患者の行動記録等を分析するなどして、電磁波の影響による不具合の可能性についても考察を加え、副作用・感染症報告の際にその点について記載する。