独立行政法人 医薬品医療機器総合機構
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安全対策業務

チクロピジン塩酸塩製剤及びTAXUSエクスプレス2ステントの安全対策に係る協力依頼について

薬食審査発第0420006号
薬食安発第0420004号
平成19年4月20日

各都道府県衛生主管部(局)長 殿

厚生労働省医薬食品局審査管理課長
厚生労働省医薬食品局安全対策課長

チクロピジン塩酸塩製剤及びTAXUSエクスプレス2ステントの
安全対策に係る協力依頼について

 本年3月に承認された薬剤溶出型冠動脈ステント「TAXUSエクスプレス2 ステント:承認番号21900BZX00340000」(以下「本件ステント」という。)については、併用される標準的な抗血小板療法に用いられる薬剤として、アスピリン製剤及びチクロピジン塩酸塩製剤の使用が推奨されたところです。また、チクロピジン塩酸塩製剤については、臨床試験等の結果から術後少なくとも6ヶ月間の投与が推奨されたところです。
 チクロピジン塩酸塩製剤の製造販売業者(以下「医薬品製造販売業者」という。)及び本件ステントの製造販売業者(以下「医療機器製造販売業者」という。)に対し、別添のとおり薬事法第77条の3第1項に基づく情報の収集及び提供の徹底を指示しましたので、チクロピジン塩酸塩製剤及び本件ステントの安全対策の一環として医療機器製造販売業者の行う患者情報の収集について、同法第77条の3第2項に基づき、貴管下の医療施設及び医療関係者の理解と協力が得られるよう周知方御配慮をお願いします。

 

 

別添

薬食審査発第0420003号
薬食安発第0420001号
平成19年4月20日

ボストン・サイエンティフィック ジャパン株式会社
代表取締役社長 デイビッド・ダブリュー・マックフォール 殿

厚生労働省医薬食品局審査管理課長
厚生労働省医薬食品局安全対策課長

TAXUSエクスプレス2ステントの適正使用について

 本年3月に承認した薬剤溶出型冠動脈ステント「TAXUSエクスプレス2ステント:承認番号21900BZX00340000」(以下「本件ステント」という。)については、併用される標準的な抗血小板療法に用いられる薬剤として、アスピリン製剤及びチクロピジン塩酸塩製剤の使用を推奨したところです。また、チクロピジン塩酸塩製剤については、臨床試験等の結果から術後少なくとも6ヶ月間の投与が推奨されたところです。
 本件ステントの適正使用はもとより、ステント血栓症及び併用されるチクロピジン塩酸塩製剤による血栓性血小板減少性紫斑病、無顆粒球症及び重篤な肝障害等の重大な副作用の発現防止のため、患者、医薬関係者等に対し一層の注意喚起を行う必要がありますので、本件ステントの販売にあたり、医薬関係者等の協力を得つつ、下記のとおり薬事法第77条の3第1項に基づく情報の収集及び提供等をお願いします。

 
 


  1. 講習会等の開催について

 最新の添付文書の警告欄及び禁忌・禁止欄の内容(別紙参照)を網羅した本件ステントの適正使用のための講習会又は医局説明会(以下「講習会等」という。)を開催し、講習会等へ参加した医療機関のみに本件ステントの販売を限定すること。

  1. 患者に対する重要な説明事項を記載した文書、患者手帳等の整備等について

(1)

 本件ステント治療における重要な説明事項に関する患者への周知の徹底を図るため、患者に対する重要な説明事項を記載した文書、患者手帳等(以下「患者説明文書等」という。)を整備し、これらを用いて患者への説明が適切に行われるよう、本件ステント納入先医療機関への情報提供を徹底すること。
 なお、以下の事項については、特に説明を受ける者の目に付くよう、文書作成上特段の配慮を行うこと。
1) 本件ステントの使用における利点及びリスク
2) 本件ステント留置術と併せて使用されるチクロピジン塩酸塩製剤については、本件ステント留置後少なくとも6ヶ月間の投与が推奨されたこと
3) チクロピジン塩酸塩製剤の投与開始後2ヶ月間、原則として2週間に1回、血球算定等の臨床検査が必要となること
4) 転院等の都合により、万が一当該血液検査が実施されていない場合には、医師に申し出ること
5) 自覚症状があった場合には、直ちに医師に連絡すること

(2)

 患者説明文書等については、本件ステント納入先医療機関に配布するとともに、不足の生じないよう注意すること。また、当該医療機関に対し、以下の点について定期的に注意喚起すること。

1) 患者説明文書等を用いて適切な説明を実施されたいこと
2) 必要な血液検査を実施されたいこと
3) ステント血栓症の発症又はチクロピジン塩酸塩製剤の副作用の発生に十分注意し、発生した場合には直ちに連絡されたいこと

(3)

 患者の転院時の迅速な安全確保措置の実施等に資するため、患者の同意が得られた場合には、以下の患者情報の入手に努めること。また、医療機関に対し、患者同意の取得につき定期的に協力依頼を行うこと。

1) 患者イニシャル
2) チクロピジン塩酸塩製剤の投与開始日
3) 本件ステント留置日
4) 転院情報
  1. チクロピジン塩酸塩製剤製造販売業者との連携による医療機関への情報提供等の実施について

(1)

 本件ステント留置術を行った医療機関に引き続き患者が入通院する場合には、チクロピジン塩酸塩製剤製造販売業者と連携し、チクロピジン塩酸塩製剤については、本件ステント留置後少なくとも6ヶ月間の投与が推奨されたこと、及び、投与開始後2ヶ月間は、原則として2週間に1回、血球算定等の臨床検査が実施されるべきことなどチクロピジン塩酸塩製剤の適正使用のために必要な情報提供を速やかに行うこと。

(2)

 患者が転院した場合には、2.(3)で入手した患者情報につき、速やかにチクロピジン塩酸塩製剤製造販売業者に対し提供すること。

  1. 患者転院時における医療機関間の情報提供に対する協力依頼について

 患者が転院する際、本件ステント留置術を行った医療機関の主治医から転院先医療機関の主治医に対し以下の情報が的確に提供されるよう、必要な協力依頼を行うこと。また、以下の内容を記載した文書を作成し、本件ステント納入先医療機関に配布すること。

  
1) 患者が本件ステントを用いた治療中であること
2) 本件ステント治療において併用されるチクロピジン塩酸塩製剤は、本件ステント留置後少なくとも6ヶ月間の投与が推奨されたこと、及び、投与開始後2ヶ月間は、原則として2週間に1回、血球算定(白血球分画を含む)が必要となること
3) 自覚症状があった場合には、ただちに医師に連絡することを患者に指導すること
  1. チクロピジン塩酸塩製剤製造販売業者と連携して行う安全対策の期限について

 3.(2)に掲げるチクロピジン塩酸塩製剤製造販売業者と連携して行う安全対策の期限については、当面平成20年3月末日までとするが、期間終了後においても、チクロピジン塩酸塩製造販売業者と連携し、本件ステント及びチクロピジン塩酸塩製剤に関する適正使用情報を収集し、本件ステント納入先医療機関等に対する適切な情報提供の実施に努めるものとする。

 

 

別紙

TAXUSエクスプレス2ステントの添付文書(通知発出日現在)の警告及び禁忌・禁止の項の一部抜粋

【警告】

  1. リスク低減措置
  (1)  冠動脈造影法、PTCA、冠動脈用ステント留置術、抗血小板療法に十分な経験を持ち、本品に関する所要の講習を受けた医師が使用すること。
  (2)  留置から1年を超える長期予後は、現在のところ日本の医療環境下において十分な確認はされていないこと、留置後の抗血小板療法であるチクロピジン塩酸塩製剤の投与が、薬剤塗布のないベアメタルステントに比べて長期にわたって必要であり、チクロピジン塩酸塩製剤による出血及び重篤な副作用の発現のリスクが高まること等を踏まえ、本品の使用に当たっては、各患者における利点とリスクを考慮し、使用患者を慎重に選定すること。患者の選定に当たっては、病変部(血管)の位置、対照血管径、病変長とその特徴、急性又は亜急性血栓症により危険にさらされる心筋領域の大きさを考慮すること。
  (3)  使用前に、本品の特性(利点とリスク)とともに、留置後の抗血小板療法に伴うリスク等について患者に十分に説明し、理解したことを確認した上で使用すること。留置後、胸痛等の虚血症状が見られる場合は、医師に連絡するよう十分指導するとともに、特にチクロピジン塩酸塩製剤の投与については、生命に関わる重篤な副作用が発生する場合があることを説明し、以下について患者を指導すること。 

 [1] 

投与開始後2ヶ月間は定期的に血液検査を行う必要があるので、原則として2週間に1回、来院すること。

 [2] 副作用を示唆する症状が現れた場合にはただちに医師等に連絡すること。
  (4)  留置後は定期的なフォローアップを行うとともに、使用に当たっては、適切な抗血小板療法、抗凝固療法を行うため、以下の点に考慮すること特に抗血小板療法については、留置時に十分に効果が期待できる状態にになるよう、十分な前投与を行うこと。
 [1]  本品を留置した患者への無期限のアスピリンの投与と、術後少なくとも6ヶ月間のチクロピジン塩酸塩製剤の投与を推奨する。ただし、患者の状態に応じて適宜延長又は他の抗血小板療法を検討すること。さらに、投与期間終了後も経過観察を継続し、必要に応じて再投与を検討すること。
 [2] 6ヶ月未満の抗血小板療法における本品の安全性は確認されていない。また、本品を使用した日本の患者にチクロピジン塩酸塩製剤を投与した際の血栓症の発生頻度や発現時期は、大規模臨床試験では確認されていない。
 [3] 本品留置後の抗血小板療法、抗凝固療法により、出血、血腫が現れることがある。
 [4] 併用する抗血小板薬の添付文書を必ず参照すること。
 なお、チクロピジン塩酸塩製剤の投与においては、血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)、無顆粒球症、重篤な肝障害等の重大な副作用が、主に投与開始後2ヶ月以内に発現し、死亡に至る例も報告されているので、以下の点に十分留意すること。
 [1]     投与開始後2ヶ月間は、特に上記の副作用の初期症状の発現に十分留意し、原則として2週間に1回、血球算定(白血球分画を含む)、肝機能検査を行い、上記副作用の発現が認められた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。本剤投与期間中は、定期的に血液検査を行い、上記副作用の発現に注意すること。
 [2] 本剤投与中、患者の状態から血栓性血小板減少性紫斑病、顆粒球減少、肝障害の発現等が疑われた場合には、必要に応じて血液像もしくは肝機能検査を実施し、適切な処置を行うこと。
 [3] 投与開始後2ヶ月間は、原則として1回2週間分を処方すること。
  (5)  患者の生命に関わる合併症が発生した場合のため、冠動脈ステント留置術は、緊急冠動脈バイパス手術が迅速に行える施設のみで行うこと。

 

  1. 適用対象(患者)

 TAXUS エクスプレス2 ステント(以下、本品という)の使用には、血栓症(急性、亜急性、遅発性)、血管合併症、出血事象などの冠動脈ステント留置に関連するリスクが伴うので患者の選別は慎重に行うこと。

 

 

【禁忌・禁止】
  1. 適用対象(患者)
  (1)  本品の使用は、以下の患者には禁忌である。
  [1]  パクリタキセル又はその類縁物質に対する過敏症が明らかになっている患者。
  [2] SIBSポリマー又はその個々の構成成分に対する過敏症が明かになっている患者。
  (2)  冠動脈へのステント留置は以下の患者では禁忌である。
  [1]  閉塞領域又は病変の近位側の血管が蛇行(<60°)している患者。
 [2] 術前に不安定狭心症を発症した患者で、ステント留置が危険だと思われる患者。
 [3] 発症間もない急性心筋梗塞患者で、血栓又は血流減少の所見がある患者。
 [4] 冠動脈造影等で病変部に重篤な血栓症が認められた患者。
 [5] 標準的外科治療(CABG)がより好ましい患者。
 [6] 特定した病変の遠位側にびまん性の病変があるか血流の減少が認められる患者。
 [7] 抗血小板療法又は抗凝固療法が禁忌である患者。
 [8] 妊婦、又は妊娠している可能性のある患者。
 [9] 病変が伏在静脈グラフト内、保護されていない左冠動脈主幹部、冠動脈入口部又は分岐部に位置する患者。
 [10] 患者の病変が、血管形成術用バルーンの完全な拡張やステント又はデリバリーカテーテルの適正な留置・配置を行えないものであると判断された場合。
 [11] 316Lステンレススチールに対する過敏症が明らかな患者では、本品の留置によりアレルギー反応が生じるおそれがあるので使用しないこと。[本品は血管内に留置して使用されるものであり、含有金属が溶出することにより金属アレルギーを惹起する恐れがある。このような場合にはステント本来の効果が減弱する恐れがあるとする報告*があるので、必ず問診を行い金属アレルギーの患者についてはステント治療を実施することの妥当性について再検討を行うこと。]
  *参考文献「Lancet2000;12:1895-1897」

 

 

 

別添

薬食審査発第0420004号
薬食安発第0420002号
平成19年4月20日

(別記1) 殿

厚生労働省医薬食品局審査管理課長
厚生労働省医薬食品局安全対策課長

チクロピジン塩酸塩製剤の適正使用について

 標記については、従来より、薬剤溶出型冠動脈ステントに係る標準的な抗血小板療法として使用されるチクロピジン塩酸塩製剤の適正使用に係る医療機関等への注意喚起の徹底等につき、対応をお願いしてきたところですが、本年3月に新たな薬剤溶出型冠動脈ステント「TAXUSエクスプレス2ステント:承認番号21900BZX00340000」(以下「本件ステント」という。)が承認され、本件ステントに係るチクロピジン塩酸塩製剤の投与期間については、臨床試験等の結果から術後少なくとも6ヶ月間の投与が推奨されたところです。
 従来より、薬剤溶出型冠動脈ステント留置術と併用されるチクロピジン塩酸塩製剤による血栓性血小板減少性紫斑病、無顆粒球症及び重篤な肝障害等の重大な副作用の発現防止のための注意喚起の徹底が図られてきたと承知していますが、本件ステントの販売に合わせて、これまでの取組みに加え、下記のとおり薬事法第77条の3第1項に基づく情報の収集及び提供等の徹底方御配慮をお願いします。

 


  1. 本件ステント製造販売業者との連携による医療機関への情報提供の実施について
  (1)  本件ステント留置術を行った医療機関に引き続き患者が入通院する場合には、本件ステント製造販売業者と連携し、チクロピジン塩酸塩製剤については、本件ステント留置後少なくとも6ヶ月間の投与が推奨されたこと、また、投与開始後2ヶ月間は、原則として2週間に1回、血球算定等の臨床検査が実施されるべきことなど、チクロピジン塩酸塩製剤の適正使用のために必要な情報提供を速やかに行うこと。
  (2)  患者の転院先医療機関における安全対策を徹底するため、本件ステント製造販売業者より患者情報の提供を受けた際には、転院先医療機関に対し、上記(1)と同様、必要な情報提供を速やかに行うこと。
  1. 本件ステント製造販売業者と連携して行う安全対策の期限について

 1.(2)に掲げる本件ステント製造販売業者と連携して行う安全対策の期限については、当面平成20年3月末日までとするが、期間終了後においても、本件ステント製造販売業者と連携し、チクロピジン塩酸塩製剤及び本件ステントに関する適正使用情報を収集し、医療機関等に対する適切な情報提供の実施に努めるものとする。

 

 

 

別記1

 

第一三共株式会社 代表取締役社長
マルコ製薬株式会社 代表取締役 竹市 清男
日医工株式会社 代表取締役社長
テイコクメディックス株式会社 代表取締役社長 石川 弘道
キョーリンリメディオ株式会社 代表取締役社長
サンド株式会社 代表取締役 中道 淳一
小林化工株式会社 代表取締役社長
沢井製薬株式会社 代表取締役社長 澤井 弘行
株式会社三和化学研究所 代表取締役社長
大洋薬品工業株式会社 代表取締役社長 新谷 重樹
辰巳化学株式会社 代表取締役社長
鶴原製薬株式会社 代表取締役社長
東和薬品株式会社 代表取締役社長 吉田 逸郎
日清キョーリン製薬株式会社 代表取締役社長 松田 孝
日新製薬株式会社 代表取締役 大石 俊樹
ニプロファーマ株式会社 代表取締役会長
日本薬品工業株式会社 代表取締役社長
メディサ新薬株式会社 代表取締役社長 岩佐 孝
株式会社陽進堂 代表取締役 下村 健三