目次
(参考資料)
リン酸オセルタミビル(タミフル)について
〈安全対策調査会(平成19年12月25日開催)における検討結果等の概要〉
この医薬品・医療機器等安全性情報は、厚生労働省において収集された副作用等の情報をもとに、医薬品・医療機器等のより安全な使用に役立てていただくために、医療関係者に対して情報提供されるものです。
平成20年(2008年)1月
厚生労働省医薬食品局
No. | 医薬品等 | 対策 | 情報の概要 |
---|---|---|---|
1 | フルルビプロフェン(経口剤)他(6件) | 使用上の注意の改訂について(その193) | |
2 | 市販直後調査対象品目 | 平成20年1月1日現在、市販直後調査の対象品目一覧を紹介する。 |
(緊):緊急安全性情報の配布 (使):使用上の注意の改訂 (症):症例の紹介
厚生労働大臣への副作用等報告は、医薬関係者の業務です。 医師、歯科医師、薬剤師等の医薬関係者は、医薬品や医療機器による副作用、感染症、不具合を知ったときは、直接又は当該医薬品等の製造販売業者を通じて厚生労働大臣へ報告してください。なお、薬種商販売業や配置販売業の従事者も医薬関係者として、副作用等につき、報告することが求められています。 |
使用上の注意の改訂について(その193)
平成19年11月30日及び12月26日に改訂を指導した医薬品の使用上の注意について、改訂内容、主な該当販売名等をお知らせいたします。
1 | 〈解熱鎮痛消炎剤〉 フルルビプロフェン(経口剤) |
[販売名] | フロベン顆粒8%、同錠40(科研製薬)他 |
[副作用 (重大な副作用)] |
再生不良性貧血:再生不良性貧血があらわれるとの報告があるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。 中毒性表皮壊死症(Lyell症候群)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、剥脱性皮膚炎:中毒性表皮壊死症(Lyell症候群)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、剥脱性皮膚炎があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。 |
2 | 〈解熱鎮痛消炎剤〉 フルルビプロフェンアキセチル |
[販売名] | ロピオン静注50mg(科研製薬) |
[副作用 (重大な副作用)] |
中毒性表皮壊死症(Lyell症候群)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、剥脱性皮膚炎:中毒性表皮壊死症(Lyell症候群)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、剥脱性皮膚炎があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。 |
3 | 〈骨格筋弛緩剤〉 A型ボツリヌス毒素 |
[販売名] | ボトックス注100(グラクソ・スミスクライン) |
[用法・用量に関連する使用上の注意] | 〈眼瞼痙攣〉 眼瞼下垂があらわれることがあるので、上眼瞼挙筋周囲への投与を避けること。 〈痙性斜頸〉 肩甲挙筋へ投与する場合は、嚥下障害及び呼吸器感染のリスクが増大する可能性があるので注意すること。 |
[重要な基本的注意] | ボツリヌス毒素の投与により、投与筋以外の遠隔筋に対する影響と考えられる副作用があらわれることがあり、嚥下障害、肺炎、重度の衰弱等に伴う死亡例も報告されている。嚥下困難等の神経疾患を有する患者では、この副作用のリスクが増加するため特に注意すること。 本剤投与後、脱力感、筋力低下、めまい、視力低下があらわれることがあるので、自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には注意させること。 |
[副作用 (重大な副作用)] |
ショック、アナフィラキシー様症状、血清病:ショック、アナフィラキシー様症状、血清病を起こす可能性があるので、本剤の投与に際しては、これらの症状の発現に備えること。 また、本剤投与後、悪心等の体調の変化がないか、患者の状態を十分観察し、異常がないことを確認すること。呼吸困難、全身潮紅、血管浮腫、発疹等の症状が認められた場合には投与を中止し、血圧の維持、体液の補充管理、気道の確保等の適切な処置を行うこと。 痙攣発作:痙攣発作あるいはその再発が報告されているので、これらの症状が認められた場合には、適切な処置を行うこと。痙攣発作の素因のある患者に投与する場合には特に注意すること。 |
4 | 〈他に分類されない代謝性医薬品〉 エベロリムス |
[販売名] | サーティカン錠0.25mg、同錠0.5mg、同錠0.75mg(ノバルティスファーマ) |
[副作用 (重大な副作用)] |
肺胞蛋白症:肺胞蛋白症があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。 |
5 | 〈合成抗菌剤〉 メシル酸ガレノキサシン水和物 |
[販売名] | ジェニナック錠200mg(富山化学工業) |
[重要な基本的注意] | ショック、アナフィラキシー様症状が報告されているので、本剤の使用前にアレルギー既往歴、薬物過敏症等について十分な問診を行うこと。 |
[副作用 (重大な副作用)] |
ショック、アナフィラキシー様症状(呼吸困難、浮腫、発赤等):ショック、アナフィラキシー様症状があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。 |
〈以下の6及び7の改訂理由〉 | インフルエンザに罹患した小児・未成年者の異常行動発現のおそれについては、「インフルエンザ治療に携わる医療関係者の皆様へ(インフルエンザ治療開始後の注意事項についてのお願い)」(平成19年2月28日)等により、各関係団体を通じて医療関係者等へ情報提供してきたところであるが、薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会(平成19年12月25日開催)における「リン酸オセルタミビル(タミフル)について」の検討結果等(本号の「参考資料」参照)を踏まえ、改めて医療関係者等に対し注意を喚起するため、塩酸アマンタジン及びザナミビル水和物の各製造販売業者に対し使用上の注意の改訂を指示したものである。 |
6 | 〈抗パーキンソン剤〉 塩酸アマンタジン |
[販売名] | シンメトレル細粒10%、同錠50mg、同錠100mg(ノバルティスファーマ)他 |
[重要な基本的注意] | 「A型インフルエンザウイルス感染症」に本剤を用いる場合 因果関係は不明であるものの、本剤の服用後に異常行動等の精神神経症状を発現した例が報告されている。 小児・未成年者については、異常行動による転落等の万が一の事故を防止するための予防的な対応として、本剤による治療が開始された後は、(1)異常行動の発現のおそれがあること、(2)自宅において療養を行う場合、少なくとも2日間、保護者等は小児・未成年者が一人にならないよう配慮することについて患者・家族に対し説明を行うこと。 なお、インフルエンザ脳症等によっても、同様の症状が現れるとの報告があるので、上記と同様の説明を行うこと。 |
7 | 〈抗ウイルス剤〉 ザナミビル水和物 |
[販売名] | リレンザ(グラクソ・スミスクライン) |
[重要な基本的注意] | 因果関係は不明であるものの、本剤の使用後に異常行動等の精神神経症状を発現した例が報告されている。 小児・未成年者については、異常行動による転落等の万が一の事故を防止するための予防的な対応として、本剤による治療が開始された後は、(1)異常行動の発現のおそれがあること、(2)自宅において療養を行う場合、少なくとも2日間、保護者等は小児・未成年者が一人にならないよう配慮することについて患者・家族に対し説明を行うこと。 なお、インフルエンザ脳症等によっても、同様の症状が現れるとの報告があるので、上記と同様の説明を行うこと。 |
市販直後調査の対象品目一覧
(平成20年1月1日現在) |
一般名 | 製造販売業者名 | 市販直後調査開始年月日 |
販売名 | ||
カルテオロール塩酸塩 | 大塚製薬(株) | 平成19年7月3日 |
ミケランLA点眼液1%、同LA点眼液2% | ||
ダルベポエチンアルファ(遺伝子組換え) | キリンファーマ(株) | 平成19年7月9日 |
ネスプ静注用10μgシリンジ、同静注用15μgシリンジ、同静注用20μgシリンジ、同静注用30μgシリンジ、同静注用40μgシリンジ、同静注用60μgシリンジ、同静注用120μgシリンジ | ||
リン酸フルダラビン | バイエル薬品(株) | 平成19年7月12日 |
フルダラ錠10mg | ||
エストラジオール | (株)資生堂 | 平成19年8月9日 |
ル・エストロジェル0.06% | ||
タダラフィル | 日本イーライリリー(株) | 平成19年9月12日 |
シアリス錠5mg、同錠10mg、同錠20mg | ||
トピラマート | 協和発酵工業(株) | 平成19年9月26日 |
トピナ錠50mg、同錠100mg | ||
モンテルカストナトリウム | 杏林製薬(株) | 平成19年10月2日 |
キプレス細粒4mg | ||
モンテルカストナトリウム | 萬有製薬(株) | 平成19年10月2日 |
シングレア細粒4mg | ||
ロクロニウム臭化物 | 日本オルガノン(株) | 平成19年10月2日 |
エスラックス静注25mg/2.5mL、同静注50mg/5.0mL | ||
メシル酸ガレノキサシン水和物 | 富山化学工業(株) | 平成19年10月5日 |
ジェニナック錠200mg | ||
イデュルスルファーゼ(遺伝子組換え) | ジェンザイム・ジャパン(株) | 平成19年10月17日 |
エラプレース点滴静注液6mg | ||
ピロカルピン塩酸塩 | キッセイ薬品工業(株) | 平成19年10月19日 |
サラジェン錠5mg*1 | ||
ニコランジル | 中外製薬(株) | 平成19年10月19日 |
シグマート注2mg、同注12mg、同注48mg*2 | ||
硫酸クロピドグレル | サノフィ・アベンティス(株) | 平成19年10月19日 |
プラビックス錠25mg、同錠75mg*3 | ||
ロラタジン | シェリング・プラウ(株) | 平成19年10月19日 |
クラリチン錠10mg、同レディタブ錠10mg*4 | ||
トラボプロスト | 日本アルコン(株) | 平成19年10月25日 |
トラバタンズ点眼液0.004% | ||
塩化ストロンチウム(89Sr) | 日本メジフィジックス(株) | 平成19年10月31日 |
メタストロン注 | ||
エプレレノン | ファイザー(株) | 平成19年11月13日 |
セララ錠25mg、同錠50mg、同錠100mg | ||
エストラジオール | (株)ポーラファルマ | 平成19年11月20日 |
ディビゲル1mg | ||
イミキモド | 持田製薬(株) | 平成19年12月10日 |
ベセルナクリーム5% | ||
ダルナビルエタノール付加物 | ヤンセンファーマ(株) | 平成19年12月10日 |
プリジスタ錠300mg | ||
インスリンデテミル(遺伝子組換え) | ノボノルディスクファーマ(株) | 平成19年12月14日 |
レベミル注300、同注300フレックスペン | ||
ネララビン | グラクソ・スミスクライン(株) | 平成19年12月14日 |
アラノンジー静注用250mg | ||
塩酸エルロチニブ | 中外製薬(株) | 平成19年12月18日 |
タルセバ錠25mg、同錠100mg、同錠150mg | ||
塩酸メチルフェニデート | ヤンセンファーマ(株) | 平成19年12月19日 |
コンサータ錠18mg、同錠27mg | ||
ベラプロストナトリウム | 東レ(株) | 平成19年12月19日 |
ケアロードLA錠60μg | ||
ベラプロストナトリウム | 科研製薬(株) | 平成19年12月19日 |
ベラサスLA錠60μg |
*1: | 効能追加された「シェーグレン症候群患者の口腔乾燥症状の改善」 |
*2: | 効能追加された「急性心不全(慢性心不全の急性増悪期を含む)」 |
*3: | 効能追加された「経皮的冠動脈形成術(PCI)が適用される急性冠症候群(不安定狭心症、非ST上昇心筋梗塞)」 |
*4: | 用法追加された「小児」 |
参考資料
リン酸オセルタミビル(タミフル)について 〈安全対策調査会(平成19年12月25日開催)における検討結果等の概要〉 |
薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会(平成19年12月25日開催)における「リン酸オセルタミビル(タミフル)について」の検討結果等の概要を紹介します。なお、検討結果等の「全文」及び当該調査会の資料は、厚生労働省ホームページ(http://www.mhlw.go.jp/)に掲載してますので、そちらも併せて御参照ください。
平成19年12月25日 | ||
薬事・食品衛生審議会 医薬品等安全対策部会 安全対策調査会 |
リン酸オセルタミビル(タミフル)について
当調査会は、リン酸オセルタミビル(タミフル)の服用と異常な行動等の副作用との関係について結論の取りまとめを行うため、本年4月4日、6月16日及び11月11日に会議を開催した。本年6月16日にはタミフルの安全性について希望団体等からの意見陳述の聴取を行った。また、本年6月16日及び11月11日にはリン酸オセルタミビルの基礎的調査検討のためのワーキンググループ(基礎WG)及びリン酸オセルタミビルの臨床的調査検討のためのワーキンググループ(臨床WG)から調査検討の状況について報告を受けて検討を進めてきた(注1)。
(注1)タミフルの安全対策の経緯等については、別添「参考資料」参照
本日、当調査会は、基礎WG及び臨床WGにおける調査検討の結果について、それぞれ別添1及び別添2のとおり報告を受けて検討を行った。タミフルの服用と異常な行動及び突然死との関係についての現時点における当調査会の検討結果等は、以下のとおりである。
〈編注:下線の各別添資料については掲載を省略しています。〉
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本日、当調査会は、基礎WG及び臨床WGから非臨床試験(動物実験等)、臨床試験、疫学調査(現時点では、明確な結論を得るために必要な解析には至っていない)等の結果について報告を受けた。現時点において、直ちにタミフルの服用と異常な行動及び突然死との因果関係を示唆するような結果は得られていないが、特に、疫学調査及び臨床試験については、十分かつ慎重な検討や分析を進め、可及的速やかに臨床WG及び当調査会に報告することが適当である。
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このようなことから、当調査会としては、引き続き基礎WG及び臨床WGにおいて、現在実施中又は解析中の非臨床試験、臨床試験及び疫学調査等の結果を含めた更なる調査検討を進め、できるだけ早期に最終的な結論の取りまとめを行うこととする。 | ||||
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インフルエンザによって異常行動が起こり得ることに対し、改めて医療関係者及び国民の注意を喚起する必要がある。 | ||||
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以上を踏まえ、タミフルについて現在講じられている措置(注2)は、現在も妥当であり、引き続き医療関係者、患者・家族等に対し注意喚起を図ることが適当である。
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さらに、ザナミビル水和物(リレンザ)及び塩酸アマンタジン(シンメトレル等)について、次の点を添付文書の使用上の注意に記載し、インフルエンザに罹患した小児・未成年者の異常行動発現のおそれについて改めて医療関係者、患者・家族等に対し注意喚起を図ることが適当である。
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お知らせ 医薬品・医療機器等安全性情報は、医薬品医療機器情報提供ホームページ(https://www.pmda.go.jp/)又は厚生労働省ホームページ(http://www.mhlw.go.jp/)からも入手可能です。 |