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安全対策業務

医薬品・医療用具等安全性情報 No.150

目次

  1. 白血球除去フィルター使用の輸血時における血圧低下、ショックについて
  2. フルタミドによる肝障害
  3. シアノアクリレート系外科用接着剤と滅菌済脳外科用パッドとの併用による脳動脈の閉塞性血管病変について
  4. [解説]医薬品の適正使用のためにアルブミン製剤の適正使用について
  5. 使用上の注意の改訂について(その110)

 この医薬品等安全性情報は、従来の医薬品副作用情報を改めたもので、厚生省において収集された副作用情報をもとに、医薬品等のより安全な使用に役立てていただくために、医療関係者に対して情報提供されるものです。

平成10年(1998年)10月
厚生省医薬安全局

情報の概要

No. 医薬品名 対策 情報の概要
1 血液フィルター 使 症 血液製剤(濃厚赤血球製剤、血小板製剤)の輸血に際し、製剤中に混入する白血球に起因する副作用を防止する目的で、白血球除去フィルターを使用することがある。この白血球除去フィルターを使用して輸血を行った際に、血圧低下、ショック症状が発現することが報告されていることから、白血球除去フィルターの「使用上の注意」を改訂し注意喚起を行った。
2 フルタミド 緊 使 症 フルタミドは抗アンドロゲン作用を有する前立腺癌治療薬であり、平成6年10月に承認された。承認後重篤な肝障害による死亡症例が報告され、重篤な肝障害について「使用上の注意」に記載し注意喚起を行ってきた。しかしこれまでに8例の死亡に至った重篤な肝障害が報告され、そのうち5例は今年(平成10年)に入ってからの症例であった。そのため注意喚起を徹底するために本年8月に緊急安全性情報を配布したところであり、今般、その内容について情報提供を行う。
3 シアノアクリレート系外科用接着剤及び滅菌済脳外科用パッド 使 症 脳動脈瘤の破裂防止等の脳外科手術において、滅菌済脳外科用パッドでラッピングを行った後にシアノアクリレート系外科用接着剤で固定した症例で、脳動脈の閉塞性血管病変(脳動脈の狭窄や閉塞等)が発現した症例が、これまでに16例報告されているので「使用上の注意」にその旨を記載し、注意喚起を行った。
4 アルブミン製剤   [解説]
アルブミン製剤の適正使用について
重篤な循環血流量減少、熱傷、低アルブミン血症等の患者で、アルブミンを投与した群と投与していない群とで比較検討した論文が、英国コクラン研究所から報告されたのでこれを紹介する。
5 フルタミド他(42件)   使用上の注意の改訂について(その110)

緊:緊急安全性情報の配布 使:使用上の注意の改訂 症:症例の紹介

目次へ

白血球除去フィルター使用の輸血時における血圧低下、ショックについて

一般的名称
該当商品名
一般的名称 該当商品名
血液フィルター 【血小板製剤用】
セパセルPL(旭メディカル)
イムガードIII-PL(テルモ)
ポール輸血フィルターPL(川澄化学工業、日本ポール)
ポール輸血フィルターピュアセルPL(川澄化学工業、日本ポール)
【赤血球製剤用】
セパセルRZ(旭メディカル)
イムガードIII-RC(テルモ)
サイタフィルター(ニプロ)
ポール輸血フィルターRC(川澄化学工業、日本ポール)
ポール輸血フィルターRC400(川澄化学工業、日本ポール)
類別 器具器械56 採血又は輸血用器具
適応 【血小板製剤用】輸血時の血小板製剤からの白血球除去
【赤血球製剤用】輸血時の赤血球製剤からの白血球除去


(1)経緯

 血液製剤(濃厚赤血球製剤、血小板製剤)の輸血に際し、製剤中に混入する白血球に起因する副作用として、発熱、悪寒、蕁麻疹、輸血不応、サイトメガロウィルス感染等が知られている。
 昨今、このような輸血後の副作用防止の観点から、白血球除去フィルターが使用されている。白血球除去フィルターは血液製剤中に含まれる白血球を選択的に除去することによって、白血球に起因する副作用を防止することを目的とするものであり、使用される血液製剤により赤血球製剤用と血小板製剤用が市販されている。フィルター部分の材質についてはポリエステルとポリウレタンに大別され、吸着及びふるい効果によって白血球が除去される。
 また、輸血後移植片対宿主症(GVHD)防止1),2)のため放射線照射済みの血液製剤を用いる場合であっても、混入白血球による同種抗体産生に起因する血小板不応状態の発生等の予防又は白血球抗体による発熱、悪寒等の副作用防止のためには白血球除去フィルターを、それぞれ状況に応じて使用する必要がある3),4),5)。
 ところが、白血球除去フィルターを使用して血液製剤の輸血を行った際に、血圧低下、ショック症状が生じた症例が報告されてきた。
 血液製剤の輸血中にショック症状が発症することについては、既に、血液製剤の添付文書に記載されてきた。これまでに報告された白血球除去フィルター使用時のショック症状等について、フィルターとの因果関係等、必ずしも発症原因については明らかではないものの、今般、症例の概要を紹介するとともに、当面の安全対策として、白血球除去フィルターを使用して輸血を行う場合には、患者の状態等を注意深く観察しながら実施すること、及び血圧低下、ショック等の重篤な症状の発生に際し救急処置がとれるよう、あらかじめ準備しておくことなどについて、白血球除去フィルター全製品について統一した記載内容で「使用上の注意」の改訂を行い、医療関係者への一層の注意喚起を行うこととした。
 

(2)症例の紹介

 これまでに報告された血圧低下、ショックの症例は30例あり、血小板製剤輸血時に22例、赤血球製剤輸血時に8例の報告がある。このうち、自己血輸血(赤血球製剤)の際の発症例も1例報告されており、当該症例については白血球除去フィルターとの因果関係が示唆されるところである。
 なお、現在のところ、死亡例1例が報告されているものの、その他の症例については、ショック等の発症後直ちに講じられた救急処置が奏効し、回復に至っている。
 報告された症例の一部を表1に紹介する。
 

(3)発症原因

 白血球除去フィルター使用時の輸血時における血圧低下、ショック等の発症については、以下の説を含めいくつかの議論がなされており、現段階で原因の特定には至っていない6)-8)。

I 白血球除去フィルターに使用されている材質が、異物として生体の内因系凝固系に何らかの影響を及ぼす(サイトカイン、ヒスタミン、ブラジキニン等の産生を促すなど)とする説9)-12)。

II 白血球除去フィルターが日常的に使用されている血小板製剤輸血においてショックの報告が多いことから、血小板製剤に起因するものとする説12)-14)。
 

(4)安全対策

 上述のように、白血球除去フィルター、血液製剤又は患者背景のいずれが主たる原因であるかは現時点ではなお未解明な部分が多い。
 ショックに対する注意喚起については、一部の製品においては、行われていたところであるが、今般、当面の安全対策として、白血球除去フィルターを使用して輸血する場合、患者の状態等を注意深く観察しながら実施すること、及び血圧低下、ショック等の重篤な症状の発生に際し救急処置のとれるよう、あらかじめ準備しておくことなどについて「使用上の注意」の改訂を行い、白血球除去フィルター全製品について統一した内容で「重要な基本的注意」として記載し、医療従事者への一層の注意喚起を行うこととした。
 

(5)報告のお願い

 安全性確保の観点から、白血球除去フィルターを使用した輸血時に血圧低下、ショック等(死亡に至らなかった事例を含む)の有害事象の発症が認められた場合には、医薬品等安全性情報報告制度による報告をお願いしたい。
 

《使用上の注意(下線部改訂追加項目)》

〈血液フィルター〉

重要な基本的注意

 白血球除去フィルターを使用して血液製剤(血小板製剤、濃厚赤血球製剤)の輸血を行った際に、血圧低下、ショックなどの重篤な症例が報告されています。
 使用に際しては、急激な血圧低下、ショックなど重篤な症状の発生時に備え、あらかじめ救急処置のとれるよう準備しておいてください。
 また、輸血中は、患者の状態をよく観察し、発熱、悪寒、頭痛、関節痛、蕁麻疹、呼吸困難、血圧低下、ショックなどの異常が認められた場合には、直ちに輸血を中止し適切な処置を行ってください。
 アレルギーや過敏症の既往歴のある患者への使用は特に注意が必要です。

 

〈参考文献〉

1)高橋孝喜他:日赤研究班による輸血後GVHDの全国アンケート結果.日本輸血学会雑誌、40:528‐531(1994)

2)田所憲治他:DNA多型解析からみた診断.日本輸血学会雑誌40:535-538(1994)

3)Moselery RV, et al: Death associated with multiple pulmonary emboli soon after battle, injury. Ann. Surg, 171:336‐346(1970)

4)日本赤十字社:「放射線照射輸血用血液」の製剤ラベル・添付文書のお知らせ(1998.6)

5)H. Ohto:Gamma radiation dose not prevent transfusion induced HLA alloimmunization. Transfusion, 37:878‐879(1997)

6)Hume H.A., et al.:Letter to the editor. Transfusion, 38:413‐415(1998)

7)Hume H.A., et al.:Hypotensive Reactions: a previously uncharacterized complication of platelet transfusion? Transfusion, 36:904‐909(1996)

8)石田明、半田誠:(2)血小板輸血に伴う即時型副作用の解析.プロスペクティブスタディー、日本輸血学会雑誌44(3):376‐379(1998)

9)Takahashi TA, et al.:Quality of platelet components, the role of suspension medium and leukocyte depletion. Transfusion Clinique et Biologique, 6:481‐487(1994)

10)Morris. K, Bharucha C.:Influence of Filtration on Platelet Transfusion Reactions. European Journal of Medical Research, 2:523‐526(1997)

11)倉田雅之他:血小板輸血時のアナフィラキシーショックの発現に白血球除去フィルターの関与を証明し得た一例.第38回日本臨床血液学会総会:13‐15(1996.11)

12)柴雅之、田所憲治他:非溶血性輸血副作用.治療学31(5):31‐35(1997)

13)日本赤十字社中央血液センター:赤十字社血液センターに報告された非溶血性輸血副作用.輸血情報(1997)

14)Heddle N.:What causes reactions to platelet concentrates‐the plasma supernatant or the cells. Biol Clin Hematol, 17:41‐45(1995)


表1 症例の概要

No. 患者 副作用 備考
性・年齢 使用理由〔疾患名〕 経過及び処置
1
40代
血小板製剤に混入する白血球により引き起こされる非溶血性発熱反応、同種免疫等の副作用の防止〔急性骨髄性白血病AML‐Ml〕 通算4回目の白血球除去フィルター使用の血小板製剤輸血時において、輸血開始5分後に気分不快、顔面紅潮、腹痛を訴え、血圧が66mmHg(収縮期圧)まで低下した。輸血を直ちに中止し、抗アレルギー剤、抗ヒスタミン剤、副腎皮質ステロイド剤等を投与したところ、3時間後に症状が軽快した。翌日、前投与を実施し白血球除去フィルター使用による血小板製剤輸血を開始したところ、開始10分後に前日と同様の症状が発生したため輸血を中止した。副腎皮質ステロイド剤、抗アレルギー剤、昇圧剤を投与したところ、20分後に血圧が正常に、そして7時間後には気分緩和を確認した。 企業報告
2
70代
血小板製剤に混入する白血球により引き起こされる非溶血性発熱反応、同種免疫等の副作用の防止〔骨髄異形成症候群〕 通算5回目の白血球除去フィルターを使用し輸血を実施、輸血5分後発疹が出現した。輸血5~10分後に気分が悪くなり吐き気、嘔吐を認めた。輸血15分後気道閉塞、意識喪失、失禁、血圧低下が起こった(この間4単位分を輸血)。救急部スタッフが往診し、エアウェイにて気道を確保、酸素吸入を行い、コハク酸ヒドロコルチゾンナトリウム1000mgを静注した。1時間後、脈拍安定、意識は戻るが、再度嘔吐(吐物に血液が混ざる)があり、胃粘膜の出血と考え、絶食中心静脈栄養投与にて処置した。1週間後まで酸素吸入を継続、3週間ほど中心静脈栄養投与を継続したが、粥食を経て、症状は23日後の時点で完全に回復した。 企業報告
併用薬:ペニシリン製剤、カルバゾクロムスルホン酸ナトリウム、トラネキサム酸、アスコルビン酸、グリチルリチン・グリシン・システイン配合剤
3
30代
輸血時の洗浄赤血球製剤からの白血球除去〔悪性リンパ腫〕 以前から白血球除去フィルターを用いて血小板製剤の輸血を数回受けていた患者に対し、同様に白血球除去フィルターを用いて洗浄赤血球製剤の輸血を実施したところ、輸血開始約5分後アナフィラキシー様ショック(呼吸困難、胸部苦悶、眼球上転)が発現した。
血圧は120/70mmHgから60/測定不能mmHgまで低下した(心拍数144)。
直ちに輸血を中止し、コハク酸ヒドロコルチゾンナトリウム500mgを投与したところ、15分後に回復した。
企業報告
4
70代
術中の出血による血圧維持のための自己血輸血に赤血球製剤用フィルターを使用〔閉塞性動脈硬化症〕 大動脈・大腿動脈バイパス術中の血圧維持のため、白血球除去フィルターを使用して自己血輸血(希釈式)を行ったところ、輸血開始3分後に血圧低下(収縮期圧が100mmHg→50~60mmHgへ低下した)を認めた。輸血を直ちに中止し昇圧剤(塩酸エフェドリン5mg、塩酸フェニレフリン0.1mg)を投与したところ、1分後に血圧が回復した。10分後、輸血を再開したところ再び血圧低下を認め、収縮期圧100mmHg以下となった。直ちに輸血を中止したところ血圧は回復した。 企業報告
併用薬:マレイン酸エナラプリル、テプレノン、ベンズブロマロン、トリクロルメチアジド
5
60代
白血球減少症の治療のため〔再生不良性貧血症〕 ステロイドパルス療法開始4日目、通算5回目の白血球除去フィルター使用の血小板製剤輸血を実施した。輸血1分後、全身痙攣を発現した。直ちに輸血を中止し、コハク酸ヒドロコルチゾンナトリウムを静注及びIVHから投与した(各500mgずつ)。その後、呼吸停止したため気管内挿管したが、血圧降下しショック状態となった。
1時間後、コハク酸ヒドロコルチゾンナトリウムを投与したが反応せず、その後2回にわたって昇圧剤を投与(エピネフリン、エピネフリン+炭酸水素ナトリウム)し、蘇生術(心マッサージ)を施したが効果なく、その2時間後に死亡した。
企業報告
併用薬:コハク酸メチルプレドニゾロンナトリウム

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フルタミドによる肝障害

成分名
該当商品名
成分名 該当商品名
フルタミド オダイン錠(日本化薬)
薬効分類等 非ステロイド性抗アンドロゲン剤
効能効果 前立腺癌


(1)経緯

 フルタミドは、アンドロゲンがその受容体に結合することを阻害することにより、抗アンドロゲン作用を示す前立腺癌治療薬であり、米国、EU各国等約70ヵ国で広く使用されている。
 本剤は治験時より、GOT、GPT上昇等の肝機能検査値異常が認められていたことから、平成6年10月の承認時から「使用上の注意」の「副作用」の項にその旨を記載し、また、外国において重篤な肝障害並びにそれによる死亡例が報告されていたことから、「一般的注意」の項に「外国において重篤な肝障害が報告されていること」を記載し、注意喚起を行ってきた。
 発売後、我が国においても重篤な肝障害による死亡例が報告されたことから、平成7年12月には「一般的注意」の「外国において」を削除し、更に平成8年7月には重篤な肝障害による2例目の死亡例が報告されたことに伴い「劇症肝炎等の重篤な肝障害」の記載に改め、医療関係者への注意喚起を行ってきた。しかし、現在までに本剤との関連性を否定できない重篤な肝障害による死亡例8例が報告(そのうち5例は本年に入っての報告)されたため、新たに「警告」を設ける等、「使用上の注意」の改訂を行い、併せて「緊急安全性情報」を配布し、医療関係者への一層の注意喚起を行った。
 

(2)症例の紹介

 報告された8例は、50~80歳代であり、平均年齢は75歳で、前立腺癌のステージC期2例、D期6例である。本剤の投与量は全例375mg/日で、全例に他の薬剤が併用されていたが、そのうち7例はLH‐RHアゴニスト製剤であった。合併症は水腎症2例、糖尿病、脳梗塞、膀胱炎が各1例で3例は合併症がなかった。
 投与開始から肝機能検査値の異常あるいは症状が発現した日までの期間は27~156日間で平均約85日間であった。本剤を投与した患者の背景に共通要因は認められないが、劇症肝炎と考えられる4例を表1に紹介する。
 

(3)安全対策

 本剤との関連性を否定できない重篤な肝障害による死亡例が8例報告されたことから、少なくとも1ヵ月に1回肝機能検査を行うこと、異常が認められた場合には投与を中止すること等の「警告」欄を新設するとともに、「肝障害のある患者」を「禁忌」とする等の「使用上の注意」の改訂を行い、併せて「緊急安全性情報」を配布し、より一層の注意喚起を行った。
 

《使用上の注意(下線部改訂追加項目)》

〈フルタミド〉

警告
 

(1)劇症肝炎等の重篤な肝障害による死亡例が報告されているので、定期的(少なくとも1ヵ月に1回)に肝機能検査を行うなど、患者の状態を十分に観察すること。

(2)GOT、GPT、LDH、Al‐P、γ‐GTP、ビリルビンの上昇等の異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。

(3)副作用として肝障害が発生する場合があることをあらかじめ患者に説明するとともに、食欲不振、悪心・嘔吐、全身倦怠感、・痒、発疹、黄疸等があらわれた場合には、本剤の服用を中止し、直ちに受診するよう患者を指導すること。

 
禁忌(次の患者には投与しないこと)
肝障害のある患者


表1‐1 症例の概要

No. 患者 1日投与量
投与期間
副作用 備考
性・年齢 使用理由〔疾患名〕 経過及び処置
1
70代
前立腺癌 375mg
135日間
前立腺癌(Stage D2)治療のため本剤の投与を開始した。投与130日後にむかつきとともに嘔吐、食欲不振が持続していたが、かゆみや発熱はなく、本人や家族は黄疸に気が付かなかった。投与135日目に投与を中止したが、その翌日に黄疸が著明のため入院した。入院時、GOT 2184(KU)、GPT 2098(KU)、総ビリルビン10.4(mL/dL)、プロトロンビン37.4%、ヘパプラスチン27%であった。その後、意識障害が出現し、プロトロンビン40%以下で劇症肝炎と診断し、血漿吸着浄化療法等を行った。しかし、投与中止12日後に死亡した。剖検肝は650gと縮小していた。 企業報告
臨床検査値
  本剤投与
開始前
本剤投与
11日目
本剤投与
38日目
本剤中止
翌日
本剤中止
6日目
本剤中止
8日目
本剤中止
10日目
総ビリルビン(mL/dL) 0.6 0.5 0.3 10.4 19.3 21.8 24.1
GOT (KU) 14 19 31 2184 697 517 286
GPT (KU) 7 10 24 2098 1101 776 475
プロトロンビン活性(%) 125 37.4 18.4 13.6 5以下
ヘパプラスチンテスト(%) 104 27 14 8 4以下

併用薬:塩酸ロペラミド
併用療法:去勢術(投与開始12日前)
2
60代
前立腺癌 375mg
120日間(27日間休薬)
前立腺癌(Stage D2)治療の を開始したが、約2週間後に休薬した。投与再開105日目に2~3日前 黄疸出現と連絡を受け投与を中止し、その2日後に入院した。入院時プロトロンビン15%と著明に低下しており、2日後に全身管理目的でICUに入院した。血漿交換を5日間施行し、プレドニゾロンを60mgから漸減しながら投与、またグルカゴン・インシュリン療法を行った。
投与中止4日目の夜から意識レベルが低下し、肝性昏睡2~3度となり、更に2日後に肝性昏睡3~4度となり、呼吸困難増悪し、投与中止8日目に死亡した。
剖検は行われていない。
企業報告
臨床検査値
  本剤投与
開始前
本剤再開
65日目
本剤再開
105日目
本剤中止
翌日
本剤中止
2日目
本剤中止
4日目
本剤中止
7日目
総ビリルビン(mL/dL) 1.5 1.1 25.4 20.8 28.4 16.9 17.6
GOT (KU) 16 111 1998 1810 1258 372 245
GPT (KU) 8 143 1569 1400 1158 284 188
プロトロンビン活性(%) 22 15 25
ヘパプラスチンテスト(%) 15 11 17

併用薬:酢酸リュープロレリン、ファモチジン、テプレノン


表1‐2 症例の概要

No. 患者 1日投与量
投与期間
副作用 備考
性・年齢 使用理由〔疾患名〕 経過及び処置
3
80代
前立腺癌 375mg
38日間
前立腺癌(Stage C)治療のため本剤を38日間投与した。投与中止2日目頃より体調不良となり、その4日後に近医にて黄疸、肝機能障害を指摘され入院した。入院時、GOT 4000(KU)台、プロトロンビン15.3%、肝性昏睡1~2度(羽ばたき振戦なし)で、CTにて著明な肝萎縮がみられた。同日より血漿交換、血液透析濾過を3日間、同時にグルカゴン・インシュリン療法、肝不全用アミノ酸製剤、H2ブロッカー、塩酸ドパミン、ラクツロースの投与を行った。投与中止8日目から深昏睡となり、肝臓は更に萎縮し、その後多量の腹水、血圧低下、代謝性アシドーシスとなり全身性痙攣が頻発した。投与中止11日目に死亡した。
剖検は行われていない。
企業報告
臨床検査値
  本剤投与
開始前
本剤中止
6日目
本剤中止
7日目
本剤中止
8日目
本剤中止
9日目
本剤中止
10日目
総ビリルビン(mL/dL) 0.6 13.7 10.2 10.2 10.3 15.7
GOT (KU) 30 4680 1261 798 419 453
GPT (KU) 26 3180 822 472 256 318
プロトロンビン活性(%) 15.3 33.1 41.4 17.8

併用薬:酢酸ゴセレリン、エトドラク、トロキシピド
4
50代
前立腺癌 375mg
95日間
前立腺癌(Stage D2)治療のため本剤の投与を開始した。投与82日目にGOT、GPT、γ‐GTPの上昇あり、グリチルリチンの投与を開始した。本剤の投与は95日目に中止した。投与中止8日目にGOT 2570(KU)、GPT2230(KU)、LDH 1380(KU)、γ‐GTP 401(KU)、ヘパプラスチン30%と肝障害を認めたため、内科に入院した。入院後より、肝臓エキス・フラビンアデニンジヌクレオチド、メナテトレノン、グリチルリチン・グリシン・システイン配合剤100mL等の肝疾患治療薬を消化管出血の予防をはかりながら投与した。また、低アルブミン血症があり、適宜アルブミンを投与した。投与中止25日目にGOT、GPTは100(KU)前後に低下したが、ヘパプラスチンは30%前後に徐々に低下し、また総ビリルビンは28.9(mL/dL)と上昇した。黄疸所見は入院時と変わらず続き、亜急性肝炎の経過をたどり、投与中止69日目に死亡した。死亡時の肝生検では亜急性の広範囲壊死像を呈していた。 企業報告
臨床検査値
  本剤投与
開始前
本剤投与
25日目
本剤投与
82日目
本剤中止
8日目
本剤中止
9日目
本剤中止
16日目
本剤中止
25日目
本剤中止
55日目
本剤中止
67日目
総ビリルビン(mL/dL) 1.8 0.6 1.1 16.5 31.5 28.9 42.7 37.2
GOT (KU) 21 29 382 2570 1445 499 138 170 156
GPT (KU) 22 44 388 2230 1499 513 107 58 22
プロトロンビン活性(%) 51
ヘパプラスチンテスト(%) 30 33 24 26 32

併用薬:酢酸ゴセレリン
併用療法:前立腺癌の手術(投与開始前)

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シアノアクリレート系外科用接着剤と滅菌済脳外科用パッドとの併用による脳動脈の閉塞性血管病変について

一般的名称
該当商品名
一般的名称 該当商品名
外科用接着剤
その他の衛生材料(滅菌済脳外科用パッド)
ビオボンド(吉富製薬)
アロンアルフアA「三共」(東亞合成)
滅菌ベンシーツ(川本産業)
類 別 医療用品 4 整形用品薬効分類等
適 用 【ビオボンド】
生体組織の接着、補強
創傷の被覆並びに汚染防止
【アロンアルフアA「三共」】
生体組織(皮膚、血管、臓器等)の創傷癒合
【滅菌ベンシーツ】
脳外科手術中の脳組織の損傷を防ぐ


(1)経緯

 シアノアクリレート系接着剤は、シアノアクリレート(シアノアクリル酸アルキル)モノマーを主成分とした液状混合物であり、ごく微量の水分によって急速に重合し硬化する性質から、接着剤として広く使用されている。医療分野においても、生体組織中の微量水分にて硬化させることにより、外科用接着剤として生体組織(皮膚、血管、臓器等)の接着、補強、創傷癒合や、創傷の被覆及び汚染防止を目的に使用されている。
 また、滅菌済脳外科用パッドは合成繊維製の不織布を滅菌したものであり、脳外科手術中の脳組織の損傷を防ぐ目的で使用される。
 脳動脈瘤の破裂防止、脳動脈瘤の頚部あるいは親動脈等の血管補強等を目的とした脳外科手術において、両者の併用、すなわち、滅菌済脳外科用パッドによるラッピング後にシアノアクリレート系外科用接着剤でコーティング等の固定を行った際に、脳動脈における狭窄や閉塞等閉塞性血管病変の発現症例が、これまでに16例報告されている。
 このため、すでに一部のシアノアクリレート系外科用接着剤については「使用上の注意」の改訂が行われていたところであるが、このような症例の発生がシアノアクリレート系外科用接着剤共通の問題である可能性が否定できないことから、今般、シアノアクリレート系外科用接着剤及び滅菌済脳外科用パッドの双方について、「使用上の注意」の改訂を行い、医療関係者への一層の注意喚起を行うこととした。
 

(2)症例の紹介

 これまでに報告された症例は、脳動脈瘤の補強、脳動脈瘤の頚部あるいは親動脈等の血管補強を目的として、シアノアクリレート系外科用接着剤と滅菌済脳外科用パッドとを併用したところ、脳動脈の閉塞性血管病変を発現したものであり、現在のところ、死亡例は報告されていないものの、その多くに後遺障害が残存している。報告された症例の一部を表1に紹介する。1),2),3)
 

(3)発生原因

 脳動脈瘤の手術において、動脈瘤の大きさや動脈分岐の状態からネッククリッピングのみでは不十分なものに対し、ラッピング、コーティングが選択され、破裂予防の有効性が報告されている4),5)。また、未破裂動脈瘤の手術が増加するにつれ、ラッピング、コーティングの機会が多くなってきている5)。
 シアノアクリレート系外科用接着剤と滅菌済脳外科用パッドとの併用による脳動脈の閉塞性血管病変の発生原因については種々考えられ、親動脈を含めての全周性のラッピングを行う場合に両者を併用することによって、シアノアクリレートモノマーによる血管毒性6)と不織布による高度の線維化の増強を起こすことが最大の原因として推定されるものの、詳細及び原因の特定については今だ明確ではない。
 

(4)安全対策

 脆弱化した脳血管の補強目的に、シアノアクリレート系外科用接着剤と滅菌済脳外科用パッドとを併用して閉塞性血管病変が発現したことについて、すでに一部のシアノアクリレート系外科用接着剤で注意喚起が行われていたが、今般、その因果関係が否定できないことから、それぞれの「使用上の注意」に以下の記載を行って注意喚起を行うこととした。
 

(5)報告のお願い

 安全性確保の観点から、外科用接着剤あるいは滅菌済脳外科用パッドの使用時に、不具合等有害事象の発現が認められた場合には、医薬品等安全性情報報告制度による報告をお願いしたい。
 

《使用上の注意(下線部追加改訂部分)》

〈シアノアクリレート系外科用接着剤〉

重要な基本的注意

 本剤は血管障害性を有する成分を含み、臨床的に滅菌済脳外科用パッドなど不織布との併用において脳動脈の閉塞性血管病変が認められているので、血管の全周性の使用、及び滅菌済脳外科用パッドなど不織布へのコーティングを避ける等注意すること。

1)脳動脈瘤の親動脈、あるいは紡鐘状動脈瘤の血管補強を目的として全周にわたり滅菌済脳外科用パッドなど不織布でラッピングし、その上全面にシアノアクリレート系外科用接着剤でコーティングした症例で動脈狭窄を認めたとの報告がある。
 全周性に囲む手技は、遅発性の求心性狭窄、あるいは閉塞を生じる危険性があるとされている。

2)脳動脈瘤頚部などの補強のために行った、滅菌済脳外科用パッドなど不織布によるラッピングとシアノアクリレート系外科用接着剤によるコーティングに伴い、閉塞性血管病変を認めた未破裂動脈瘤症例が報告されている。
 発生要因として、接着剤の含有成分であるシアノアクリレートによる血管毒性と滅菌済脳外科用パッドなど不織布による高度の線維化が推定されている。

3)脳動脈瘤頚部の補強のために行った、滅菌済脳外科用パッドなど不織布によるラッピングとシアノアクリレート系外科用接着剤によるコーティングに伴い、脳動脈閉塞が認められ、また、肉芽腫形成、炎症性肉芽反応が疑われたとの報告がある。
 

〈滅菌済脳外科用パッド〉

重要な基本的注意

 本品は、臨床的にシアノアクリレート系外科用接着剤との併用において脳動脈の閉塞性血管病変が認められているので、血管の全周性の使用、及びシアノアクリレート系外科用接着剤によるコーティングを避ける等注意すること。

1)脳動脈瘤の親動脈、あるいは紡鐘状動脈瘤の血管補強を目的として全周にわたり滅菌済脳外科用パッドなど不織布でラッピングし、その上全面にシアノアクリレート系外科用接着剤でコーティングした症例で動脈狭窄を認めたとの報告がある。
 全周性に囲む手技は、遅発性の求心性狭窄、あるいは閉塞を生じる危険性があるとされている。

2)脳動脈瘤頚部などの補強のために行った、滅菌済脳外科用パッドなど不織布によるラッピングとシアノアクリレート系外科用接着剤によるコーティングに伴い、閉塞性血管病変を認めた未破裂動脈瘤症例が報告されている。
 発生要因として、接着剤の含有成分であるシアノアクリレートによる血管毒性と滅菌済脳外科用パッドなど不織布による高度の線維化が推定されている。

3)脳動脈瘤頚部の補強のために行った、滅菌済脳外科用パッドなど不織布によるラッピングとシアノアクリレート系外科用接着剤によるコーティングに伴い、脳動脈閉塞が認められ、また、肉芽腫形成、炎症性肉芽反応が疑われたとの報告がある。

〈参照文献〉

1)栗田裕樹他:親血管の全周性wrappingにより、その遅発性狭窄を生じた中大脳動脈瘤の2例

The Mt. Fuji Workshop on CVD. 13, 119, 1995.
(Hiroki Kurita et al:Delayed Parent Artery Narrowing Occurring Months after Aneurysm Surgery. A Complication after Aneurysm Surgery‐Technical Case Report. Neurosurgery, 36(6):1225(1995))

2)川村伸吾他:脳動脈瘤術後のWrapping/Coatingに伴う脳動脈閉塞性病変.第25回日本脳卒中の外科研究会発表(1996.4)

3)小笠原邦昭他:脳動脈瘤に対するBemsheets wrapping後の遅発性親動脈狭窄.第25回日本脳卒中の外科研究会発表(1996.4)

4)雄山博文他:Cotton Fiberでの脳動脈瘤のラッピング後の異物性肉芽形成について-親血管が閉塞した1例を含む4例の報告-.脳卒中の外科、24:313(1996)

5)松本祐蔵他:脳動脈瘤ラッピング術後の親動脈閉塞.脳卒中の外科、25:202‐206(1997)

6)Dov. Weissberg, et al:Necrosis of arterial wall following application of Methyl 2‐Cyanoacrylate. Surg. Gynec. Obstet.,119:1248(1964)


表1 症例の概要

No. 患者 1日投与量
投与期間
副作用 備考
性・年齢 使用理由〔疾患名〕 経過及び処置
1
70代
右中大脳動脈瘤(未破裂)    脳動脈挟窄
左同名半盲を主訴に来院。右後頭葉の脳梗塞の診断で保存的に加療し、3ヵ月後に精査で発見された右中大脳動脈の未破裂動脈瘤に対して手術を施行した。動脈瘤からM2下側動脈幹起始部にかけての血管壁は非常に薄く、赤くなっており、動脈瘤頚部のクリップ後にinferiortrunk(下側動脈幹)の脆弱な部分をシアノアクリレート系外科用接着剤をひたした滅菌済脳外科用パッドにて全周性にラッピングして補強した。術後のCTで術後合併症を認めず、患者は神経学的異常所見なく術後12日目に退院したが、3ヵ月後に右側頭葉から後頭葉に至る広範な脳梗塞により、強い左片麻痺と構語障害を生じて再入院した。直ちに施行された脳血管撮影で、術後挟窄を認めなかったinferior trunk(下側動脈幹)にラッピング部位を中心にした強度の狭窄が確認された。4ヵ月後の退院時にも運動障害、言語障害は残存していた。
企業報告
文献1
2
40代
左中大脳動脈瘤(未破裂)    閉塞性血管病変
頭痛の主訴でMRIを施行し、左中大脳動脈瘤を発見、手術した。動脈瘤の中大脳動脈前枝側は硬化性変化があり、動脈瘤頚部を残し、クリッピング、滅菌済脳外科用パッドにてラッピング及びシアノアクリレート系外科用接着剤のコーティングを施行した。術後14日目の脳血管撮影を行うも、問題はなかった。術後31日目より失語を伴う一過性脳虚血発作(TIA)が頻発した。術後39日目のCTで左前頭葉に梗塞、脳血管撮影にて左中大脳動脈前枝側に閉塞あり。軽度の失語が残った。
企業報告
文献2
3
60代
右中大脳動脈瘤(未破裂)    脳主幹動脈閉塞による脳梗塞
左中大脳動脈瘤の破裂によるくも膜下出血の根治術の際、未破裂の右中大脳動脈瘤を発見した。後日、手術を施行したところ、動脈瘤の動脈硬化が強く、ネッククリッピングを行うと親動脈の狭窄を来す可能性が高いと判断し、ボディクリッピングを行い、残った動脈瘤に対し、滅菌済脳外科用パッドとシアノアクリレート系外科用接着剤で補強を行った。術後68日後に、左上下肢が突然脱力し、入院した。CT検査の結果、右中大脳動脈流域に脳梗塞巣の出現が認められ、脳血管撮影の結果、脳外科用パッドによるラッピング部に著明な狭窄が確認された。保存的加療後、リハビリテーション実施のため3ヵ月後に転院した。転院前後の時期にフォローアップの脳血管撮影を行ったところ、狭窄部の閉塞が確認された。左片麻痺が残存し、寝たきり生活の状態である。
企業報告
文献3

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[解説]医薬品の適正使用のために

アルブミン製剤の適正使用について

 ヒトアルブミン製剤は「1アルブミンの喪失(熱傷、ネフローゼ症候群等)及びアルブミン合成低下(肝硬変症等)による低アルブミン血症、2出血性ショック」を適応症としており、重篤な患者に使用されるケースが多い薬剤である。今般、英国コクラン研究所から重篤な熱傷等へのアルブミン投与に関する論文が報告された(Human albumin administration in critically ill patients:systematic review of randomised controlled trials. British Medical Journal Vol.317 P235‐240, 1998)。この研究は、1975年から1997年までに公表された無作為抽出比較試験(RCT)32報の論文を総括し、循環血流量減少、熱傷、低アルブミン血症等の重篤な患者におけるアルブミン投与による死亡率への影響を調査したものである。
 

(1)論文の概要

 本論文では上記のような重篤な患者で、アルブミンを投与した群と投与していない群とで比較検討した結果、アルブミンを投与した群で死亡率が高かったと報告している。検討された32報の論文中、死亡に関するデータが得られなかった論文が2報、アルブミン投与群、コントロール群いずれも死亡患者がいなかった報告が6報あり、これらを除いた24報の論文について検討がなされている。その結果、コントロール群での死亡危険率が約10%であるのに対し、アルブミン投与群での死亡危険率は16%であり、後者の方が死亡危険率が6ポイント高かった(表1)。一方、死亡に関するデータが入手できなかった2報以外の30報で集計すると、コントロール群での死亡危険率が8%、アルブミン投与群の死亡危険率が14%であった。2)このような検討結果に対し、著者は「極めて重篤な状況にある患者にアルブミンを使用すべきか否かについて緊急に見直しを行う必要がある」との見解を述べている。
 

(2)対応

 英国医薬品庁(MCA)、米国食品医薬品局(FDA)は、本報告によって回収や使用のガイドラインの改定等の措置はとっておらず、本論文の内容について医療関係者に情報提供し、アルブミン製剤の使用にあたって、使用のガイドライン等の遵守についての注意喚起を行うとともに、本論文の内容を評価すべく専門家による検討を開始している。我が国においても中央薬事審議会において、専門家による検討を開始した。今後アルブミン製剤を使用する場合には、現在、見直し作業が進められているが使用基準にも配慮し、適応を十分検討するとともに患者の状態を十分に観察するなど慎重に行うことが必要である。
 

〈参考文献〉

1)Human albumin administration in critically ill patients:systematic review of randomised controlled trials. British Medical Journal Vol.317 P235‐240(1998)

2)Human albumin administration in critically ill patients. The Cochrane Library 1998 issue 3


表1

疾患名 アルブミン投与群
死亡数/患者数(死亡率%)
コントロール群
死亡数/患者数(死亡率%)
循環血流量減少 38/256(15) 26/278(9)
熱傷 19/81(23) 8/82(10)
低アルブミン血症 41/259(16) 24/248(10)
合計 98/596(16) 58/608(10)

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使用上の注意の改訂について(その110)

 医薬品等安全性情報No.149掲載分以降に改訂を指導した使用上の注意について、改訂内容、主な該当商品名、参考文献等をお知らせいたします。

1 〈非ステロイド性抗アンドロゲン剤〉
フルタミド
[販売名] オダイン(日本化薬)
[警告]
警 告

(1)劇症肝炎等の重篤な肝障害による死亡例が報告されているので、定期的(少なくとも1ヵ月に1回)に肝機能検査を行うなど、患者の状態を十分に観察すること。

(2)GOT、GPT、LDH、Al‐P、γ‐GTP、ビリルビンの上昇等の異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。

(3)副作用として肝障害が発生する場合があることをあらかじめ患者に説明するとともに、食欲不振、悪心・嘔吐・全身倦怠感、・痒、発疹、黄疸等があらわれた場合には、本剤の服用を中止し、直ちに受診するよう患者を指導すること。
[禁忌]
次の患者には投与しないこと
肝障害のある患者
 
2 〈非ステロイド性消炎鎮痛剤〉
アンピロキシカム
[販売名] フルカム(ファイザー)
[禁忌]
リトナビルを投与中の患者
[相互作用
(併用禁忌)]
リトナビル[リトナビルのチトクロームP450に対する競合的阻害作用により、併用した場合、本剤の血中濃度が大幅に上昇し、不整脈、血液障害、痙攣等の重篤な副作用を起こすおそれがある。]
 
3 〈非ステロイド性消炎鎮痛剤〉
インドメタシン(経口剤、坐剤)
[販売名] インダシン(萬有)他
[副作用
(重大な副作用)]
血管浮腫(頻度不明):血管浮腫があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合には、投与を中止し適切な処置を行うこと。
[副作用
(その他の副作用)]
(過敏症:血管浮腫を削除)
〈参考〉 企業報告
 
4 〈非ステロイド性消炎鎮痛剤〉
オキサプロジン
[販売名] アクチリン(ワイス)他
[副作用
(重大な副作用)]
ショック、アナフィラキシー様症状:ショック(頻度不明)、アナフィラキシー様症状(頻度不明)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常(蕁麻疹、呼吸困難、血圧低下等)が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
消化性潰瘍:消化性潰瘍(頻度不明)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常(胃痛、嘔吐、吐血・下血等を伴う胃腸出血)が認められた場合には必要に応じて減量、休薬、投与中止等の適切な処置を行うこと。
[副作用
(その他の副作用)]
血液:貧血、白血球減少
肝臓:肝炎、GOTの上昇、GPTの上昇、Al‐Pの上昇
〈参考〉 企業報告
 
5 〈非ステロイド性消炎鎮痛剤〉
スリンダク
[販売名] クリノリル(萬有)他
[副作用
(その他の副作用)]
肝臓:胆石、まれに黄疸、胆汁うっ滞等、また、ときにGOT、GPT、Al‐Pの上昇があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止すること。
〈参考〉 企業報告
 
6 〈抗パーキンソン剤〉
塩酸タリペキソール
[販売名] ドミン(日本ベーリンガー)
[重要な基本的注意] 本剤の減量・中止が必要な場合は、漸減すること。[急激な減量又は中止により、発熱、意識障害、無動無言、高度の筋硬直、不随意運動、嚥下困難、頻脈、血圧の変動、発汗、血清CPKの上昇等を症状とするSyndrome malin(悪性症候群)があらわれることがある。]
[副作用
(重大な副作用(類薬の場合))]
(Syndrome malin(悪性症候群):類薬(レボドパ、塩酸アマンタジン、ドロキシドパ、メシル酸ペルゴリド)で、急激な減量又は中止により、高熱、意識障害、高度の筋硬直、不随意運動、ショック症状等があらわれたとの報告がある。このような場合には、再投与後、漸減し、体冷却、水分補給等の適切な処置を行うこと。を削除)
[副作用
(重大な副作用)]
Syndrome malin(悪性症候群):本剤の急激な減量又は中止により、悪性症候群があらわれることがある。観察を十分に行い、発熱、意識障害、無動無言、高度の筋硬直、不随意運動、嚥下困難、頻脈、血圧の変動、発汗、血清CPKの上昇等があらわれた場合には悪性症候群の症状である可能性があるため、再投与後、漸減し、体冷却、水分補給等の適切な処置を行うこと。
幻覚、妄想、せん妄:幻覚(5%以上)、妄想、せん妄(5%未満)があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合には、減量又は投与を中止するとともに、必要に応じ抗精神病薬を使用する等適切な処置を行うこと。
[副作用
(その他の副作用)]
(精神神経系:幻覚、妄想、せん妄を削除)
〈参考〉 企業報告
 
7 〈精神神経用剤〉
エチゾラム
[販売名] デパス(吉富)他
[副作用
(その他の副作用)]
精神神経系:刺激興奮、錯乱(精神分裂病等の精神障害者に投与すると逆に刺激興奮、錯乱等があらわれることがある。)、健忘、眠気、ふらつき、めまい、歩行失調、頭痛、頭重、言語障害、不眠、酩酊感、興奮、焦躁、振戦、眼症状(霧視、調節障害)
[妊婦、産婦、授乳婦等への投与] 妊娠後期に本剤を連用していた患者から出生した新生児に活動低下、哺乳困難、嘔吐があらわれることがあり、また、他のベンゾジアゼピン系化合物(ジアゼパム、ニトラゼパム)を連用していた患者から出生した新生児に哺乳困難、筋緊張低下、嗜眠、黄疸の増強等の症状が発現したとの報告があるので、妊娠後期の婦人には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
[過量投与] 本剤の過量投与が明白、又は疑われた場合の処置としてフルマゼニル(ベンゾジアゼピン受容体拮抗剤)を投与する場合には、使用前にフルマゼニルの使用上の注意(禁忌、慎重投与、相互作用等)を必ず読むこと。なお、投与した薬剤が特定されないままにフルマゼニルを投与された患者で、新たに本剤を投与する場合、本剤の鎮静・抗けいれん作用が変化、遅延するおそれがある。
〈参考〉 企業報告
 
8 〈精神神経用剤〉
クロチアゼパム
[販売名] リーゼ(吉富)他
[副作用
(その他の副作用)]
肝臓:黄疸、GOT、GPTの上昇(異常が認められた場合は中止するなど適切な処置を行うこと。)
[小児等への投与] 未熟児、新生児、乳児、幼児又は小児に対する安全性は確立していない。
[過量投与] 本剤の過量投与が明白、又は疑われた場合の処置としてフルマゼニル(ベンゾジアゼピン受容体拮抗剤)を投与する場合には、使用前にフルマゼニルの使用上の注意(禁忌、慎重投与、相互作用等)を必ず読むこと。なお、投与した薬剤が特定されないままにフルマゼニルを投与された患者で、新たに本剤を投与する場合、本剤の鎮静・抗けいれん作用が変化、遅延するおそれがある。
〈参考〉 企業報告
 
9 〈抗躁剤〉
炭酸リチウム
[販売名] リーマス(大正製薬)他
[禁忌]
(チアジド系利尿剤が投与されている患者[リチウムの腎における再吸収が促進され、毒性を増強することがある。]を削除)
[相互作用
(併用を避けること)]
(チアジド系利尿剤[リチウムの腎における再吸収が促進され、毒性を増強することがある。]を削除)
〈参考〉 企業報告
 
10 〈精神神経用剤〉
ハロペリドール
[販売名] セレネース(大日本)他
[副作用
(重大な副作用)]
無顆粒球症:無顆粒球症があらわれることがあるので、異常(初期症状として発熱、咽頭痛、全身倦怠等)があらわれた場合には、投与を中止し、血液検査を行うこと。
横紋筋融解症:横紋筋融解症があらわれることがあるので、CPK上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇等に注意すること。
〈参考〉 企業報告
 
11 〈精神神経用剤〉
ブロムペリドール
[販売名] インプロメン(吉富)他
[副作用
(重大な副作用)]
麻痺性イレウス:腸管麻痺(食欲不振、悪心・嘔吐、著しい便秘、腹部の膨満あるいは弛緩及び腸内容物のうっ滞等)を来し、麻痺性イレウスに移行することがあるので、腸管麻痺があらわれた場合には投与を中止すること。なお、この悪心・嘔吐は本剤の制吐作用により不顕性化することもあるので注意すること。
横紋筋融解症:横紋筋融解症があらわれることがあるので、筋肉痛、脱力感、CPK上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇等に注意すること。
〈参考〉 企業報告
 
12 〈眼瞼痙攣治療剤〉
A型ボツリヌス毒素
[販売名] ボトックス(アラガン)
[副作用
(重大な副作用)]
眼:重篤な角膜露出、持続性上皮欠損、角膜潰瘍、角膜穿孔の報告がある。
〈参考〉 企業報告
 
13 〈骨格筋弛緩剤〉
カルバミン酸クロルフェネシン
[販売名] リンラキサー(大正製薬)他
[副作用
(重大な副作用)]
ショック:ショック(頻度不明)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
〈参考〉 企業報告
 
14 〈不整脈用剤〉
ジソピラミド
[販売名] リスモダン(ヘキスト・マリオン・ルセル)他
[禁忌]
テルフェナジン、アステミゾール又はスパルフロキサシンを投与中の患者
[QT延長、心室性不整脈を起こすことがある。]
[重要な基本的注意] 腎機能障害のある患者では本剤の排泄が遅延し血中濃度が上昇するおそれがあるので、投与間隔をあけるなど患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。
異常がみられた場合には減量又は投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
[副作用
(重大な副作用)]
心停止、心室細動、心室頻拍(Torsades de pointesを含む)、心室粗動、心房粗動、房室ブロック、洞停止、失神、心不全悪化等:これらの症状があらわれることがあるので定期的に心電図検査を行い、異常が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
低血糖:低血糖があらわれることがあるので低血糖症が認められた場合には、ブドウ糖を投与するなど適切な処置を行うこと。(高齢者、糖尿病、肝障害、血液透析を含む腎障害、栄養状態不良の患者に発現しやすいとの報告がある。)
無顆粒球症、痙攣、麻痺性イレウス、緑内障悪化:これらの副作用があらわれることがあるので、このような場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
[副作用
(その他の副作用)]
(循環器:胸部圧迫感、胸部不快感、胸痛、泌尿器:残尿感、尿量減少、排尿回数減少
精神神経系:全身倦怠感を削除)
循環器:徐脈、心胸比増大、QT延長、QRS幅増大、血圧低下
消化器:口渇、食欲不振、便秘、下痢、嘔気、腹痛、腹部膨満感、胃部不快感、嘔吐
泌尿器:尿閉、排尿障害、夜尿、多尿、頻尿、乏尿、尿の停滞感
視覚器:視力障害、複視、霧視、黄視、光に対する過敏症
その他:顔面灼熱感、浮腫、ほてり、嗄声、インポテンス、月経異常、女性型乳房、全身倦怠感、胸部圧迫感、胸部不快感、胸痛
腎臓:腎機能障害
[高齢者への投与] 高齢者では生理機能が低下していることが多く、副作用が発現しやすいので用量並びに投与間隔に留意する必要がある。入院させるなど患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。また、男性の高齢者では、抗コリン作用による排尿障害があらわれやすいので注意すること。
[小児への投与] 小児等に対する安全性は確立していない。[使用経験が少ない。]
 
15 〈不整脈用剤〉
リン酸ジソピラミド(注射剤)
[販売名] リスモダンP(ヘキスト・マリオン・ルセル)他
[禁忌]
高度の房室ブロック、高度の洞房ブロックのある患者[刺激伝導障害が悪化し、完全房室ブロック、心停止を起こすおそれがある。]
テルフェナジン、アステミゾール又はスパルフロキサシンを投与中の患者
[QT延長、心室性不整脈を起こすことがある。]
[慎重投与] 刺激伝導障害(房室ブロック、洞房ブロック、脚ブロック等)のある患者[刺激伝導障害が悪化するおそれがある。]
治療中の糖尿病患者[低血糖を起こすおそれがある。]
重症筋無力症の患者[重症筋無力症を悪化させるおそれがある。]
血清カリウム低下のある患者[催不整脈作用の誘因となるおそれがある。]
高齢者[「高齢者への投与」の項参照。]
[副作用
(重大な副作用)]
心停止、心室細動、心室頻拍(Torsades de pointesを含む)、心室粗動、心房粗動、房室ブロック、洞停止、失神、呼吸停止、心房停止、心室性期外収縮、血圧低下:これらの症状があらわれることがあるので、観察を十分に行い、このような症状があらわれた場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。
低血糖:低血糖があらわれることがあるので低血糖症が認められた場合には、ブドウ糖を投与するなど適切な処置を行うこと。(高齢者、糖尿病、肝障害、血液透析を含む腎障害、栄養状態不良の患者に発現しやすいとの報告がある。)
[副作用
(その他の副作用)]
(泌尿器:尿量減少
その他:口内異和感を削除)
循環器:QRS幅増大脚ブロック、ブロックを伴う発作性心房性頻拍、PQ延長、QT延長
消化器:口渇、嘔吐、口内異常感、便秘
肝臓:黄疸、GOT、GPT上昇等
泌尿器:尿閉、排尿障害、乏尿
[高齢者への投与] 高齢者では生理機能が低下していることが多く、副作用が発現しやすいので用量に留意するなど、患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。また、男性の高齢者では、抗コリン作用による排尿障害があらわれやすいので注意すること。
[小児への投与] 小児等に対する安全性は確立していない。[使用経験が少ない。]
[その他の注意] 本剤により心房細動・粗動から洞調律に回復した時、塞栓を起こすことがある。その可能性が予測されるときにはヘパリンの併用が望ましい。
 
16 〈不整脈用剤〉
リン酸ジソピラミド(徐放剤)
[販売名] リスモダンR(ヘキスト・マリオン・ルセル)他
[禁忌]
テルフェナジン、アステミゾール又はスパルフロキサシンを投与中の患者
[QT延長、心室性不整脈を起こすことがある。]
[重要な基本的注意] 腎機能障害のある患者では本剤の排泄が遅延し血中濃度が上昇するおそれがあるので、投与間隔をあけるなど患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。異常がみられた場合には減量又は投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
[副作用
(重大な副作用)]
心停止、心室細動、心室頻拍(Torsades de pointesを含む)、心室粗動、心房粗動、房室ブロック、洞停止、失神、心不全悪化等:これらの症状があらわれることがあるので定期的に心電図検査を行い、異常が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
低血糖:低血糖があらわれることがあるので低血糖症が認められた場合には、ブドウ糖を投与するなど適切な処置を行うこと。(高齢者、糖尿病、肝障害、血液透析を含む腎障害、栄養状態不良の患者に発現しやすいとの報告がある。)
無顆粒球症、痙攣、麻痺性イレウス、緑内障悪化:これらの副作用があらわれることがあるので、このような場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
[副作用
(その他の副作用)]
(循環器:胸部不快感
泌尿器:残尿感、尿量減少
その他:口内異物感、鼻が渇く、顆粒球減少を削除)
循環器:QT延長、QRS幅増大、徐脈、動悸
消化器:口渇、便秘、胃部不快感、嘔気、胸やけ、胃のもたれ、腹痛、食欲不振、下痢、腹部膨満感、口内異常感
泌尿器:尿閉、排尿障害、排尿困難、頻尿、乏尿、排尿時間延長
その他:全身倦怠感、胸部不快感、顔のほてり、鼻乾燥、呼吸困難、インポテンス
[高齢者への投与] 高齢者では生理機能が低下していることが多く、副作用が発現しやすいので用量並びに投与間隔に留意する必要がある。入院させるなど患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。また、男性の高齢者では、抗コリン作用による排尿障害があらわれやすいので注意すること。
[小児への投与] 小児等に対する安全性は確立していない。[使用経験が少ない。また、徐放錠のため投与量の調節が困難で過量投与のおそれがある。]
 
17 〈血圧降下剤〉
メチクラン
[販売名] アレステン(日本新薬)他
[副作用
(重大な副作用)]
間質性肺炎、肺水腫:間質性肺炎、肺水腫(各々0.1%未満)があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合には投与を中止すること。
[副作用
(その他の副作用)]
(呼吸器:まれに肺水腫があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合には投与を中止すること。を削除)
 
18 〈鎮咳剤〉
塩酸エフェドリン
[販売名] ヱフェドリン「ナガヰ」他
[相互作用
(併用注意)]
キサンチン誘導体(テオフィリン、ジプロフィリン等)、ステロイド剤(プレドニゾロン、ベタメタゾン等)、利尿剤(フロセミド、ヒドロクロロチアジド等)[血清カリウム値が低下するおそれがあるので、血清カリウム値をモニターするとともに、減量するなど注意すること。]
[副作用
(重大な副作用)]
重篤な血清カリウム値の低下:β2‐刺激剤により重篤な血清カリウム値の低下が報告されている。また、β2‐刺激剤による血清カリウム値の低下作用は、キサンチン誘導体、ステロイド剤及び利尿剤の併用により増強することがあるので、重症喘息患者では特に注意すること。更に、低酸素血症は、血清カリウム値の低下が心リズムに及ぼす作用を増強することがある。このような場合には、血清カリウム値をモニターすることが望ましい。
 
19 〈鎮咳剤〉
l‐塩酸メチルエフェドリン
[販売名] l‐塩酸メチルエフェドリン散(大日本)
[相互作用
(併用注意)]
キサンチン誘導体、ステロイド剤、利尿剤[「副作用:重大な副作用」の項参照]
[副作用
(重大な副作用)]
重篤な血清カリウム値の低下:β2‐刺激剤により重篤な血清カリウム値の低下が報告されている。また、β2‐刺激剤による血清カリウム値の低下作用は、キサンチン誘導体、ステロイド剤及び利尿剤の併用により増強することがあるので、重症喘息患者では特に注意すること。更に、低酸素血症は、血清カリウム値の低下が心リズムに及ぼす作用を増強することがある。このような場合には、血清カリウム値をモニターすることが望ましい。
[副作用
(その他の副作用)]
精神神経系:頭痛、熱感、眠気、不眠、めまい、神経過敏、疲労等
 
20 〈H2受容体拮抗剤〉
塩酸ロキサチジンアセタート
[販売名] アルタット(帝国臓器)
[副作用
(重大な副作用)]
まれに汎血球減少、無顆粒球症(初期症状:全身倦怠、脱力、皮下・粘膜下出血、発熱等)があらわれることがあるので、定期的に血液検査を実施し、異常が認められた場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。
〈参考〉 企業報告
 
21 〈消化性潰瘍治療剤〉
スクラルファート
[販売名] アルサルミン(中外)他
[その他の注意] 経管栄養処置を受けている成人患者、未熟児及び新生児発育不全において、胃石・食道結石がみられたとの報告があるので、観察を十分に行い、これらが疑われた場合には本剤の投与を中止し、適切な処置を行うこと。
〈参考〉 企業報告
 
22 〈子宮内膜症・乳腺症治療剤〉
ダナゾール
[販売名] ボンゾール(東京田辺)他
[副作用
(重大な副作用)]
心筋梗塞:心筋梗塞が発生したとの報告がある。
間質性肺炎:間質性肺炎が発生したとの報告がある。
 
23 〈切迫早産治療β2刺激剤〉
塩酸リトドリン(注射剤)
[販売名] ウテメリン(キッセイ)他
[慎重投与] 筋緊張性(強直性)ジストロフィー等の筋疾患又はその既往歴のある患者
[横紋筋融解症があらわれることがある。]
[相互作用
(併用注意)]
硫酸マグネシウム[CPK上昇があらわれることがある。]
[副作用
(重大な副作用)]
不整脈:心室頻拍等の重篤な不整脈があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。なお、多胎妊娠等の患者では、麻酔薬を投与した直後に重篤な不整脈から心停止に至った症例が報告されているので、本剤使用時あるいは、中止直後に麻酔を行う際には特に注意すること。
横紋筋融解症:筋肉痛、脱力感、CPK上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇を特徴とする横紋筋融解症があらわれることがあるので、このような場合には直ちに投薬を中止し、適切な処置を行うこと。
[副作用
(その他の副作用)]
循環器:上室性頻拍、動悸、ときに頻脈、顔面潮紅、胸痛、息苦しさ、まれに心電図異常(ST・Tの異常)、顔面疼痛があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合には注入速度を遅らせ、減量するなど適切な処置を行うこと。また、胎児に頻脈、不整脈があらわれることがある。
その他:一過性の血糖上昇、CPK上昇、ときに尿糖の変動、発熱まれに冷汗があらわれることがある。
〈参考〉 企業報告
小柴寿人他:産科と婦人科、64(7):1034(1997)
岩崎竜彦他:栃木産婦医報、24(2):94(1997)
 
24 〈切迫早産治療β2刺激剤〉
塩酸リトドリン(経口剤)
[販売名] ウテメリン(キッセイ)他
[慎重投与] 筋緊張性(強直性)ジストロフィー等の筋疾患又はその既往歴のある患者
[横紋筋融解症があらわれることがある。]
[副作用
(重大な副作用)]
横紋筋融解症:筋肉痛、脱力感、CPK上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇を特徴とする横紋筋融解症があらわれることがあるので、このような場合には直ちに投薬を中止し、適切な処置を行うこと。
〈参考〉 企業報告
 
25 〈合成ビタミンD製剤〉
アルファカルシドール
[販売名] アルファロール(中外)他
[相互作用] カルシウム製剤[本剤は腸管でのカルシウムの吸収を促進させるため、高カルシウム血症があらわれるおそれがある。]
ビタミンD及びその誘導体[相加作用により、高カルシウム血症があらわれるおそれがある。]
〈参考〉 企業報告
 
26 〈合成ビタミンD製剤〉
カルシトリオール
[販売名] ロカルトロール(ロシュ)他
[相互作用] カルシウム製剤[本剤は腸管でカルシウムの吸収を促進させるため、高カルシウム血症があらわれるおそれがある。]
〈参考〉 企業報告
 
27 〈経口プロスタサイクリン誘導体製剤〉
ベラプロストナトリウム
[販売名] ドルナー(東レ)、プロサイリン(科研)
[慎重投与] 抗凝血剤、抗血小板剤、血栓溶解剤を投与中の患者[「相互作用」の項参照]
[相互作用
(併用注意)]
抗凝血剤(ワルファリン等)、抗血小板剤(アスピリン、チクロピジン等)、血栓溶解剤(ウロキナーゼ等)[出血傾向を助長することがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、減量又はいずれかの投与を中止するなど適切な処置を行うこと。]
[副作用
(重大な副作用)]
間質性肺炎(頻度不明):間質性肺炎があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
狭心症(頻度不明):狭心症があらわれることがあるので、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
心筋梗塞(頻度不明):心筋梗塞があらわれるとの報告があるので、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
[副作用
(その他の副作用)]
血液:貧血、好酸球増多、血小板減少、白血球減少(異常が認められた場合には投与を中止すること。)
精神・神経系:頭痛、めまい、ふらつき、立ちくらみ、眠気、もうろう状態、しびれ感
肝臓:GOT上昇、GPT上昇、γ‐GTP上昇、ビリルビン上昇、LDH上昇、Al‐P上昇、黄疸
循環器系:顔面潮紅、ほてり、のぼせ、動悸、血圧低下、頻脈、潮紅
その他:トリグリセライド上昇、浮腫、疼痛、胸痛、関節痛、息苦しさ、耳鳴、倦怠感、発熱、熱感、発汗、冷汗、背部痛、脱毛、咳嗽
腎臓:BUN上昇、血尿、頻尿
〈参考〉 企業報告
 
28 〈抗悪性腫瘍代謝拮抗剤〉
フルオロウラシル(経口剤、注射剤)
[販売名] 5‐FU(協和醗酵)他
[相互作用
(併用注意)]
フェニトイン[構音障害、運動失調、意識障害等のフェニトイン中毒があらわれることがある。]
[その他の注意] フルオロウラシルの異化代謝酵素であるジヒドロピリミジンデヒドロゲナーゼ(DPD)欠損等の患者がごくまれに存在し、このような患者にフルオロウラシル系薬剤を投与した場合、投与初期に重篤な副作用(口内炎、下痢、血液障害、神経障害等)が発現するとの報告がある。
〈参考〉 原田英昭他:鳥取医誌、18(2):197(1990)
企業報告
 
29 〈抗悪性腫瘍代謝拮抗剤〉
テガフール、テガフール・ウラシル
[販売名] フトラフール(大鵬薬品)他、ユーエフティ(大鵬薬品)
[副作用
(重大な副作用)]
急性膵炎:急性膵炎があらわれることがあるので、観察を十分に行い、腹痛、血清アミラーゼ値の上昇等が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
消化管潰瘍、消化管出血:消化管潰瘍、消化管出血があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。

骨髄機能抑制、溶血性貧血等の血液障害:汎血球減少、無顆粒球症(症状:発熱、咽頭痛、倦怠感等)、白血球減少、血小板減少、貧血、出血傾向、溶血性貧血等があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
[副作用
(その他の副作用)]
(膵臓:まれに急性膵炎があらわれることがあるので、観察を十分に行い、腹痛、血清アミラーゼ値の上昇等が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
消化器:胃・十二腸潰瘍、胃腸出血を削除)
〈参考〉 企業報告
 
30 〈抗悪性腫瘍代謝拮抗剤〉
カルモフール、テガフール、テガフール・ウラシル、ドキシフルリジン
[販売名] ミフロール(三井)他、フトラフール(大鵬薬品)他、ユーエフティ(大鵬薬品)、フルツロン(ロシュ)
[その他の注意] フルオロウラシルの異化代謝酵素であるジヒドロピリミジンデヒドロゲナーゼ(DPD)欠損等の患者がごくまれに存在し、このような患者にフルオロウラシル系薬剤を投与した場合、投与初期に重篤な副作用(口内炎、下痢、血液障害、神経障害等)が発現するとの報告がある。
 
31 〈放射性医薬品〉
[N, N’‐エチレンジ‐L‐システイネート(3‐)]オキソテクネチウム(99mTc)ジエチルエステル
[販売名] ニューロライト(第一RI)
[副作用
(重大な副作用)]
ショック:まれに(0.1%未満)ショックがあらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。
〈参考〉 企業報告
 
32 〈漢方製剤〉
乙字湯
[販売名] ツムラ乙字湯エキス顆粒(ツムラ)他
[副作用
(重大な副作用)]
間質性肺炎:発熱、咳嗽、呼吸困難、肺音の異常(捻髪音)等があらわれた場合には、本剤の投与を中止し、速やかに胸部X線等の検査を実施するとともに副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。また、発熱、咳嗽、呼吸困難等があらわれた場合には、本剤の服用を中止し、直ちに連絡するよう患者に対し注意を行うこと。
偽アルドステロン症:低カリウム血症、血圧上昇、ナトリウム・体液の貯留、浮腫、体重増加等の偽アルドステロン症があらわれることがあるので、観察(血清カリウム値の測定など)を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、カリウム剤の投与等の適切な処置を行うこと。
ミオパシー:低カリウム血症の結果としてミオパシーがあらわれることがあるので、観察を十分に行い、脱力感、四肢痙攣、麻痺等の異常が認められた場合には投与を中止し、カリウム剤の投与等の適切な処置を行うこと。
〈参考〉 企業報告
 
33 〈ペニシリン系抗生物質〉
ベンジルペニシリンカリウム
[販売名] 結晶ペニシリンGカリウム(明治製菓)他
[副作用
(重大な副作用)]
皮膚粘膜眼症候群(Stevens‐Johnson症候群)、中毒性表皮壊死症(Lyell症候群)(頻度不明)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、このような症状があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
出血性膀胱炎(頻度不明)があらわれることがあるので観察を十分に行い、頻尿、排尿痛、血尿、残尿感等の膀胱炎症状があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
溶血性貧血、無顆粒球症(頻度不明)があらわれることがあるので、定期的に検査を実施するなど観察を十分に行い、症状があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
(Stevens‐Johnson症候群(皮膚粘膜眼症候群)、Lyell症候群(中毒性表皮壊死症):他のペニシリン系抗生物質で、まれにStevens‐Johnson症候群(皮膚粘膜眼症候群)、Lyell症候群(中毒性表皮壊死症)があらわれることが報告されているので、このような症状があらわれた場合は投与を中止し、適切な処置を行うこと。
無顆粒球症:他のペニシリン系抗生物質で、まれに無顆粒球症があらわれることが報告されているので、定期的に検査を行うなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。を削除)
〈参考〉 企業報告
 
34 〈セフェム系抗生物質〉
セフポドキシム プロキセチル
[販売名] バナン(三共)
[副作用
(重大な副作用)]
急性腎不全:急性腎不全等の重篤な腎障害があらわれることがあるので、定期的に検査を行うなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。
間質性肺炎、PIE症候群:発熱、咳嗽、呼吸困難、胸部X線異常、好酸球増多等を伴う間質性肺炎、PIE症候群があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合には直ちに投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
〈参考〉 企業報告
 
35 〈抗ウイルス剤〉
ガンシクロビル(注射剤)
[販売名] 点滴静注用デノシン(田辺)
[警告]
警  告

 本剤の投与により汎血球減少、顆粒球減少、貧血、血小板減少等の骨髄抑制があらわれるので、頻回に血液学的検査を行うなど、患者の状態を十分に観察し、慎重に投与すること。
動物実験の結果から、通常用量で不可逆的な精子形成機能障害を起こすことが、また、婦人の妊孕性低下が示唆されている。
本剤は動物実験で、催奇形性、変異原性並びに発癌性のあることが報告されている。
[禁忌] 好中球数500/mm3未満又は血小板数25,000/mm3未満の患者[本剤の投与により重篤な好中球減少及び血小板減少が認められている。]
[慎重投与] ジダノシン投与中の患者[ジダノシンのAUCが上昇し、膵炎を起こすことがあるので、ジダノシンとの併用に際しては定期的に血清アミラーゼ、血清リパーゼ、トリグリセライド等の生化学的検査を行うなど患者の状態を十分に観察し、慎重に投与すること。(「相互作用」の項参照」]
小児等[「小児等への投与」の項参照]
[重要な基本的注意] 本剤の投与による重篤な副作用が報告されていること及び本剤がサイトメガロウイルス感染症を完治させる薬剤でないことを念頭におき、重大な副作用が発現するおそれのあること並びにその内容を患者によく説明し同意を得た後、投与すること。
本剤の投与により腎不全を起こすことが報告されているので、血清クレアチニン若しくはクレアチニン・クリアランスを慎重に観察すること。
[相互作用
(併用注意)]
ジダノシン[ジダノシンの副作用を増強するおそれがある。定期的に血清アミラーゼ、血清リパーゼ、トリグリセライド等の生化学的検査を行い、これらの検査値の上昇が認められた場合には、ジダノシンの減量若しくは投与を中止するなど適切な処置を行う。]
シクロスポリン[血清中クレアチニン濃度が上昇することがある。異常が認められた場合には、本剤あるいはシクロスポリンの減量若しくは投与を中止するなど適切な処置を行う。]
[副作用
(重大な副作用)]
消化管出血
[副作用
(その他の副作用)]
血液:貧血、低色素性貧血、脾腫、好酸球増多
全身症状:無力症、浮腫、疼痛、倦怠感、悪寒、胸痛、胸部腫脹、発熱
循環器:不整脈、高血圧、低血圧、血管拡張
呼吸器系:呼吸困難、咳の増加
消化器:下痢、悪心、嘔吐、腹痛、食欲不振、鼓腸放屁、消化不良、口渇、おくび、便秘、アフタ性口内炎、胃腸障害、便失禁、食道炎、胃炎、潰瘍性口内炎、嚥下障害
精神神経系:頭痛、不眠症、眩暈、神経障害、異夢、傾眠、思考異常、健忘症、緊張亢進、歩行異常、異常感覚、不安、多幸症、偏頭痛、情緒不安、運動過多、振戦、激越、性欲減退、ミオクロヌス、運動失調、躁病反応、神経質、精神病
皮膚:脱毛、皮膚乾燥、斑状丘疹、・瘡、発汗
腎臓:クレアチニン・クリアランス低下、クレアチニン上昇、BUN上昇、腎機能異常、頻尿、尿路感染、血尿
肝臓:黄疸、肝炎、Al‐P上昇、GPT上昇、LDH上昇、肝機能検査値異常
感覚器:味覚倒錯、視覚障害、硝子体混濁、眼痛、耳痛、耳鳴、失明、結膜炎、難聴、網膜剥離、網膜炎、霧視
その他:体重減少、感染、インポテンス、高血糖、低血糖、乳房痛、低カリウム血症、蜂巣炎
筋・骨格系:関節痛、両下肢痙直、筋肉痛、筋無力症、背痛、骨痛、CPK上昇
[高齢者への投与] 高齢者に対する安全性は確立していない。本剤は、主として腎臓から排泄されるが、高齢者では腎機能が低下していることが多いため、高い血中濃度が持続するおそれがあるので、腎機能障害例への投与(「用法・用量に関連する使用上の注意」の項参照)などを参考にし用量を調節するなど、慎重に投与すること。
[小児等への投与] 小児等に対する安全性は確立していない(使用経験が少ない)。
小児等に投与する必要がある場合には、長期投与による発癌性及び生殖毒性の可能性があることを慎重に考慮し、治療上の有益性が危険性を上まわると判断された場合にのみ投与すること。
[その他の注意] ヒト骨髄細胞の増殖に対する作用:ヒト骨髄細胞の増殖に対するガンシクロビルの作用をin vitroで検討した結果、ガンシクロビルの骨髄への毒性は10μmol/L以上であらわれており、アシクロビル(ID50≧100μmol/L)より強く、ビダラビン、トリフロロチミジン(ID50=1~10μmol/L)より弱かった。
(基礎試験(動物:ラット使用)の結果から、本剤の投与により炎症性疾患等に基づく傷害部位が悪化する可能性がある。を削除)
〈参考〉 企業報告
 
36 〈抗ウイルス剤〉
ガンシクロビル(経口剤)
[販売名] デノシンカプセル(田辺)
[重要な基本的注意] 本剤の投与による重篤な副作用が報告されていること及び本剤がサイトメガロウイルス網膜炎を完治させる薬剤でないことを念頭におき、本剤の使用にあたっては患者の精神面も含めて治療の存否を慎重に考えること。また、重大な副作用が発現するおそれのあること並びにその内容を患者によく説明し同意を得た後、投与すること。
[副作用
(その他の副作用)]
血液:貧血、低色素性貧血、脾腫、好酸球増多
全身症状:無力症、浮腫、疼痛、倦怠感、悪寒、胸痛、腹部腫脹、発熱
循環器:不整脈、高血圧、低血圧、血管腫脹
精神神経系:頭痛、不眠症、眩暈、神経障害、異夢、傾眠、思考異常、健忘症、緊張亢進、歩行異常、異常感覚、不安、多幸症、偏頭痛、情緒不安、運動過多、振戦、激越、性欲減退、ミオクロヌス、運動失調、躁病反応、神経質、精神病
腎臓:クレアチニン・クリアランス低下、クレアチニン上昇、BUN上昇、腎機能障害、頻尿、尿路感染、血尿
その他:体重減少、感染、インポテンス、高血糖、低血糖、乳房痛、低カリウム血症、蜂巣炎
[小児等への投与] 小児等に対する安全性は確立されていない(使用経験が少ない)
小児等に投与する必要がある場合には、長期投与による発癌性及び生殖毒性の可能性があることを慎重に考慮し、治療上の有益性が危険性を上まわると判断された場合にのみ投与すること
〈参考〉 企業報告
 
37 〈抗ウイルス剤〉
ホスカルネットナトリウム水和物
[販売名] 点滴静注用ホスカビル(アストラ)
[重要な基本的注意] 本剤の使用に際しては、患者又はそれに代わる適切な者に、次の事項についてよく説明し同意を得た後、使用すること。
1)本剤は現在国内における臨床試験が行われており、薬剤に関する科学的なデータを収集中であること。
2)本剤は後天性免疫不全症候群(エイズ)患者におけるサイトメガロウイルス網膜炎の根治療法薬ではないことから、症状が進行・再発する可能性があるので、定期的に眼科的検査を受ける必要があること。
3)腎障害、電解質異常に伴う発作があらわれ重篤な転帰をとることがあるので、口周囲のヒリヒリ感、四肢のしびれ、知覚異常等の症状があらわれた場合には、直ちに担当医に報告すること。
[副作用
(重大な副作用)]
心不全(1%未満)、心停止(1%未満)、血栓性静脈炎(1~10%)
痙攣発作(1~10%)(「警告」の項参照)、テタニー(1%未満)
呼吸抑制(1%未満)
麻痺性イレウス(1%未満)
失語症(1%未満)、痴呆(1%未満)
横紋筋融解症(頻度不明)
敗血症(1~10%)
〈参考〉 企業報告
 
38 〈抗ウイルス剤〉
リトナビル
[販売名] ノービア(ダイナボット)
[禁忌]
次の薬剤を併用中の患者
硫酸キニジン、塩酸ベプリジル、酢酸フレカイニド、塩酸プロパフェノン、塩酸アミオダロン、ピモジド、ピロキシカム、アンピロキシカム、酒石酸エルゴタミン、メシル酸ジヒドロエルゴタミン、シサプリド、テルフェナジン、アステミゾール、リファブチン
[相互作用
(併用禁忌)]
硫酸キニジン、塩酸ベプリジル、酢酸フレカイニド、塩酸プロパフェノン、塩酸アミオダロン、ピモジド、ピロキシカム、アンピロキシカム、酒石酸エルゴタミン、メシル酸ジヒドロエルゴタミン、シサプリド、テルフェナジン、アステミゾール、リファブチン、ジアゼパム、クロラゼプ酸二カリウム、アルプラゾラム、エスタゾラム、フルラゼパム、塩酸フルラゼパム、トリアゾラム、ミダゾラム
 
39 〈抗ウイルス剤〉
硫酸インジナビル
[販売名] クリキシバン(萬有)
[副作用
(重大な副作用)]
アナフィキラシー様反応(頻度不明)
皮膚粘膜眼症候群(Stevens‐Johnson症候群)(頻度不明)
〈参考〉 企業報告
 
40 〈抗ウイルス剤〉
ジダノシン、ジドブジン
[販売名] ヴァイデックス(ブリストル・マイヤーズ スクイブ)、レトロビル(ウエルカム)
[重要な基本的注意] 本剤の使用に際しては、患者又はそれに代わる適切な者に、次の事項についてよく説明し同意を得た後、使用すること。
本剤はHIV感染症の根治療法薬ではないことから、日和見感染症を含むHIV感染症の進展に伴う疾病を発症し続ける可能性があるので、本剤投与開始後の身体状況の変化については、すべて担当医に報告すること。
 
41 〈抗ウイルス剤〉
硫酸インジナビル、メシル酸サキナビル、ザルシタビン、ラミブジン、リトナビル
[販売名] クリキシバン(萬有)、インビラーゼ(ロシュ)、ハイビッド(ロシュ)、エピビル(ウエルカム)、ノービア(ダイナボット)
[重要な基本的注意] 本剤の使用に際しては、患者又はそれに代わる適切な者に、次の事項についてよく説明し同意を得た後、使用すること。
 
42 〈抗真菌剤〉
フルコナゾール
[販売名] ジフルカン(ファイザー)
[副作用
(重大な副作用)]
急性腎不全:重篤な基礎疾患のある患者において、急性腎不全等の重篤な腎障害が報告されているので、定期的に検査を行うなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
〈参考〉 企業報告
 
43 〈LH分泌ホルモン剤〉
酢酸ゴナドレリン(機能検査用)
[販売名] LH‐RH(田辺)他
[副作用
(重大な副作用)]
ショックを起こすことがあるので、観察を十分に行い必要に応じ適切な処置を行うこと。
〈参考〉 企業報告
 
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