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安全対策業務

医薬品・医療用具等安全性情報 No.158

目次

  1. 小柴胡湯と間質性肺炎について
  2. ベシル酸アムロジピンと肝機能障害について
  3. インフルエンザの臨床経過中に発症した脳炎・脳症の重症化と解熱剤の使用について
  4. 使用上の注意の改訂について(その117)

 この医薬品・医療用具等安全性情報は、厚生省において収集された副作用情報をもとに、医薬品・医療用具等のより安全な使用に役立てていただくために、医療関係者に対して情報提供されるものです。

平成12年(2000年)1月
厚生省医薬安全局

情報の概要

No. 医薬品名 対策 情報の概要
1 小柴胡湯 使 症 小柴胡湯の間質性肺炎については、これまで数度にわたり継続的に注意喚起を行ってきたがその後平成10年以降も本剤と関連性が否定できない間質性肺炎が50例(うち死亡例8例)報告されている。肝硬変又は肝癌のある患者に使用されて重篤な転帰をたどる例が多いことから、これらの患者への使用を禁忌とするなど、注意を喚起することとした。
2 ベシル酸アムロジピン 使 症 ベシル酸アムロジピンは開発時の臨床試験において、肝機能検査値の異常が認められており、「使用上の注意」に記載し、注意を喚起してきたが、国内外からの報告症例に基づいて平成10年2月に「黄疸」を、平成11年2月に「肝機能障害、γ-GTPの上昇」を「使用上の注意」に追記している。その後、自他覚症状の乏しい重篤な肝機能障害、黄疸の国内報告が6例報告されていることから、今回、「使用上の注意」の改訂を行い、医療関係者への一層の注意喚起を行うこととした。
3 解熱剤   平成11年度厚生科学研究「インフルエンザ脳炎・脳症の臨床疫学的研究班」(班長:森島恒雄名古屋大学医学部教授)より、平成11年1月から3月までにインフルエンザの臨床経過中に脳炎・脳症を発症した事例に対してアンケート調査を実施し、解析が行えた181例(うち15歳以下の小児170例)について解熱剤の使用の関連性について検討を行ったとの報告があったが、ジクロフェナクナトリウム又はメフェナム酸とインフルエンザ脳炎・脳症による死亡との関連については、結論的なことはいえない状況にあると考える。
4 小柴胡湯他(32件)   使用上の注意の改訂について(その117)
 

緊:緊急安全性情報の配布 使:使用上の注意の改訂 症:症例の紹介

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小柴胡湯と間質性肺炎について

成分名
該当販売名
成分名 該当販売名
小柴胡湯 ジュンコウ小柴胡湯FCエキス錠・細粒医療用(アサヒビール薬品)
カネボウ小柴胡湯エキス錠(大峰堂薬品工業)
カネボウ小柴胡湯エキス細粒(鐘紡)
コタロー小柴胡湯エキス細粒(小太郎漢方製薬)
ホノミ小柴胡湯Nエキス錠・顆粒(剤盛堂薬品)
サカモト小柴胡湯エキス顆粒(阪本漢方製薬)
小柴胡湯エキス顆粒・サトウ(佐藤製薬)
三和小柴胡湯エキス細粒(三和生薬)
JPS小柴胡湯エキス顆粒「調剤用」(ジェーピーエス製薬)
仁丹ドルフ小柴胡湯エキス顆粒(仁丹ドルフ)
KTS小柴胡湯エキス散(伸和製薬)
太虎堂の小柴胡湯エキス顆粒(太虎精堂製薬)
オースギ小柴胡湯エキスG(高砂薬業)
KTS小柴胡湯エキス顆粒(建林松鶴堂)
ツムラ小柴胡湯エキス顆粒(医療用)(ツムラ)
テイコク小柴胡湯エキス顆粒(帝國漢方製薬)
小柴胡湯エキス顆粒T(東亜薬品)
[東洋]小柴胡湯エキス細粒(東洋薬行)
オースギ小柴胡湯エキスT錠(常盤薬品工業)
小柴胡湯エキス顆粒「フジモト」(藤本製薬)
本草小柴胡湯エキス顆粒-M(本草製薬)
マツウラ小柴胡湯エキス顆粒(松浦薬業)
薬効分類等 漢方製剤
効能効果

I. 体力中等度で上腹部がはって苦しく、舌苔を生じ、口中不快、食欲不振、時により微熱、悪心などのあるものの次の諸症:諸種の急性熱性病、肺炎、気管支炎、感冒、胸膜炎・肺結核などの結核性諸疾患の補助療法、リンパ腺炎、慢性胃腸障害、産後回復不全

II. 慢性肝炎における肝機能障害の改善

 

(1)経緯

 小柴胡湯による間質性肺炎の副作用については、平成3年4月に使用上の注意の「副作用」の項に記載し、平成4年12月には更に「一般的注意」に記載した。また、インターフェロンと小柴胡湯の併用例でも間質性肺炎が報告されたことから、平成6年1月にはインターフェロンとの併用が禁忌とされた。しかし、平成6年1月の使用上の注意の改訂以降も、平成8年3月に「慢性肝炎における肝機能障害の改善の目的で投与された患者で間質性肺炎が起こり、重篤な転帰に至ることがある。」旨の記載の「警告」を新設し1)、「緊急安全性情報」の発出を指示し、更に平成9年12月には発熱、咳嗽、呼吸困難、肺音の異常(捻髪音)、胸部X線の異常等があらわれた場合には、直ちに投与を中止すること、及び患者への注意を徹底することを「警告」2)に記載し継続的に注意喚起を行ってきた。しかしながら、平成9年12月の「警告」の改訂以降も本剤の投与との関連性が否定できない間質性肺炎が50例(うち死亡例が8例)報告され、肝硬変又は肝癌のある患者に使用されて重篤な転帰をとる例が多いことから、これらの患者及び肝硬変が疑われる「血小板数10万/mm3以下の患者」を禁忌とするなどの「使用上の注意」の改訂を行った。
 

(2)症例の紹介

 平成9年12月「警告」の改訂以降報告された50例については、男性34例、女性16例、年齢は40歳代から80歳代(平均66.5歳)、投与期間は8日から202日(平均50日)で、発症から中止までの期間は平均3日以内であった。転帰については改善が42例、死亡が8例であった。報告例について、患者の疾患名と報告例数を表1に示す。死亡の転帰をとった例は肝癌のある患者では4例中3例、肝硬変では7例中2例、慢性肝炎では24例中2例(C型1例、不明1例)、肝機能障害では7例中1例であった。また、肝硬変の患者で重篤化した症例は、発症前の血小板数が10万/mm3以下であった。以下に、2症例を紹介する(表2)。
 

(3)安全対策

1)肝硬変又は肝癌の患者に使用して発現した間質性肺炎が重篤化した症例が多いことから、これらの患者には投与しないこととし、また、肝硬変の患者で重篤化した症例では血小板数が10万/mm3以下であったことから、血小板数が10万/mm3以下の患者には投与しないこととする。更に、肝硬変に移行している可能性のある血小板数15万/mm3以下の患者を慎重投与とし、小柴胡湯を投与中は、定期的に血液検査を行い血小板数の変化に注意し、血小板数の減少が認められた場合には、投与を中止することとする。
 

2)投与中は、発熱、乾性咳嗽、呼吸困難等感冒様症状に十分に注意し、患者にも感冒等と自己判断して放置することなく、直ちに受診するよう注意を徹底すること。また、このような症状があらわれた場合は直ちに服用を中止し、間質性肺炎を疑い胸部X線により間質性陰影(スリガラス・粒状・網状陰影)の有無を確認するとともに、胸部CT、動脈血液ガス分析を実施する。副腎皮質ホルモン剤の投与、重篤な症例ではステロイドパルス療法を行い、重度の呼吸困難を認めた場合には直ちに気道を確保し、酸素吸入を行う等の適切な処置を行うこと。
 

《使用上の注意(下線部追加改訂部分)》

〈小柴胡湯〉

警告

1.本剤の投与により、間質性肺炎が起こり、早期に適切な処置を行わない場合、死亡等の重篤な転帰に至ることがあるので、患者の状態を十分観察し、発熱、咳嗽、呼吸困難、肺音の異常(捻髪音)、胸部X線異常等があらわれた場合には、ただちに本剤の投与を中止すること。

2.発熱、咳嗽、呼吸困難等があらわれた場合には、本剤の服用を中止し、ただちに連絡するよう患者に対し注意を行うこと。(「重大な副作用」の項参照)

 
禁忌

1.インターフェロン製剤を投与中の患者
  (「相互作用」の項参照)
2.肝硬変、肝癌の患者
  [間質性肺炎が起こり、死亡等の重篤な転帰に至ることがある。]
3.慢性肝炎における肝機能障害で血小板数が10万/mm3以下の患者
  [肝硬変が疑われる。]
 

慎重投与

(1)著しく体力の衰えている患者[副作用があらわれやすくなり、その症状が増強されるおそれがある。]
 

(2)慢性肝炎における肝機能障害で血小板数が15万/mm3以下の患者[肝硬変に移行している可能性がある。]
 

重要な基本的注意

(1)慢性肝炎における肝機能障害で小柴胡湯を投与中は、血小板数の変化に注意し、血小板数の減少が認められた場合には、投与を中止すること。
 

(2)本剤の使用にあたっては、患者の証(体質・症状)を考慮して投与すること。なお、経過を十分に観察し、症状・所見の改善が認められない場合には、継続投与を避けること。
 

(3)本剤にはカンゾウが含まれているので、血清カリウム値や血圧値等に十分留意し、異常が認められた場合には投与を中止すること。
 

(4)他の漢方製剤等を併用する場合は、含有生薬の重複に注意すること。
 

副作用

重大な副作用

(1)間質性肺炎(0.1%未満):発熱、咳嗽、呼吸困難、肺音の異常(捻髪音)等があらわれた場合には、本剤の投与を中止し、速やかに胸部X線等の検査を実施するとともに副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。また、発熱、咳嗽、呼吸困難等があらわれた場合には、本剤の服用を中止し、ただちに連絡するよう患者に対し注意を行うこと。
 

(2)偽アルドステロン症(0.1%未満):低カリウム血症、血圧上昇、ナトリウム・体液の貯留、浮腫、体重増加等の偽アルドステロン症があらわれることがあるので、観察(血清カリウム値の測定など)を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、カリウム剤の投与等の適切な処置を行うこと。
 

(3)ミオパシー(頻度不明):低カリウム血症の結果としてミオパシーがあらわれることがある。
また、脱力感、筋力低下、筋肉痛、四肢痙攣・麻痺等の横紋筋融解症の症状があらわれることがあるので、CPK上昇、血中及び尿中のミオグロビン上昇が認められた場合には投与を中止し、カリウム剤の投与等の適切な処置を行うこと。
 

〈参考文献〉

1)厚生省薬務局:小柴胡湯の投与による重篤な副作用「間質性肺炎」について、医薬品副作用情報No.137、p8(1996)

2)厚生省医薬安全局:漢方製剤の間質性肺炎について、医薬品等安全性情報No.146、p2(1998)


表1 間質性肺炎発症例の疾患名と報告例数

疾患名 報告例数 死亡例数
肝癌 4 3
肝硬変 7 2
慢性肝炎 24 2
内訳
C型 15 1
B型 1 0
  不明 8 1
肝機能障害 7 1
アルコール性肝炎 4 0
その他 4 0
50 8
 

(死亡例数は、報告例数の内数)


表2 症例の概要

No. 患者 1日投与量
投与期間
副作用 備考
性、
年齢
使用理由〔合併症〕 経過及び処置
1
80代
肝硬変
〔食道静脈瘤、外傷性脳出血〕
7.5g
約1ヵ月間
肝硬変(食道静脈瘤を合併)と診断され、通院加療中であった。2年前に約1ヵ月、肝機能上昇に小柴胡湯を投与。本年2月より肝機能異常に再度小柴胡湯の投与を始め、投与26日目より咳、白色痰、全身倦怠感等を自覚し、2日後に来院。肺にラ音を聴取し、胸部X線で間質性肺炎像を認めたため、投与29日目に小柴胡湯を中止。ステロイドパルス療法を施行し、入院となる。
翌日、胸部X線はやや改善傾向を認めるも、体動時呼吸困難強く、酸素療法を開始。投与中止3日後、プレドニゾロンの経口投与に変更し、感染症の併発を疑い抗生剤を変更。投与中止4日後呼吸困難が増強したため挿管、人工呼吸管理とする。血液ガスは一時改善するも、間質性陰影とともに増悪。投与中止7日後、再度のステロイドパルス療法と抗生剤を変更し、酵素阻害剤も投与。投与中止11日後、尿量及び血圧低下、血清カリウム値の上昇(4.7mEq/L)、酸素分圧の低下を認め、その後意識レベルが低下、死亡に至る。
企業報告
臨床検査値
 
  投与
1.5ヵ月前
投与26日目
(発症時)
投与中止
7日目
投与中止
12日目
投与中止
16日目
RBC(×104/mm3 382 408 412 430 441
Hb(g/dL) 12.6 13.5 14.2 14.7 14.8
Ht(%) 36 38.7 39.6 41.3 43.3
PLT(×104/mm3 9.5 9.0 10.1 10.7 16.8
WBC(/mm3 3500 7700 14800 31000 31600
TP(g/dL) 7.2 5.5
Alb(g/dL) 4.61 2.83
T-Bil(mg/dL) 0.49 1.03 1.09 1.52 1.56
GOT(U/L) 78 79 52 56 50
GPT(U/L) 66 53 38 36 23
LDH(U/L) 496 435 451
γ-GTP(U/L) 46 38 32 82 59

併用薬:酒石酸イフェンプロジル、テプレノン、タンニン酸ジフェンヒドラミン、臭化水素酸デキストロメトルファン、メキタジン、グリチルリチン・アミノ酢酸・L-システイン配合剤
2
80代
肝硬変 7.5g
約2ヵ月間
肝硬変に小柴胡湯を投与し、約2ヵ月後に発熱(38℃台)と頭痛を認め、小柴胡湯を中止。投与中止4日後に息切れと動悸を認めたため、抗生剤、NSAIDs等を処方。投与中止5日後には解熱傾向を認めるも、呼吸困難と動悸を認めるため再受診。胸部X線にて右中下肺野に間質性陰影を認め、間質性肺炎の診断にて入院。酸素及びステロイド剤投与等にて治療開始。入院翌日(投与中止6日後)、呼吸困難は増強し、入院2日後にも胸部X線の陰影も右全肺野から左下肺野へ伸展。夕方には泡末状血痰も認めたことから、肺水腫の合併も考え利尿剤を併用。入院3日後間質性肺炎による急性呼吸不全として転院。転院時、胸部X線、CTより急性間質性肺炎と診断し、ステロイドパルス療法を開始。転院翌日(投与中止9日後)呼吸状態が悪化したため、非侵襲的人工換気を開始するも、胸部X線の明らかな改善は認めず。入院5日後、ステロイドパルス療法を終了するも、明らかな改善傾向はなし。入院10日後、感染症としてカリニ肺炎も否定できないことから、ST合剤を投与。入院11日後、午前中より無尿となり、薬剤による急性腎不全が疑われたためST合剤を中止。入院12日後、無尿が続き血清カリウム値が上昇(K=6.0mEq/L)、入院13日後には急性腎不全による高カリウム血症(K=7.6mEq/L)にて心停止となる。 企業報告
臨床検査値
 
  投与7日前 投与中止
4日目
投与中止
7日目
投与中止
10日目
投与中止
15日目
RBC(×104/mm3 389 396 380 384 440
Hb(g/dL) 13.0 13.3 13.0 13.2 15
Ht(%) 38.9 40.2 39.0 39.8 47.1
PLT(×104/mm3 9.6 14.5 10.2 4.0 4.1
WBC(/mm3/ 4100 14400 12400 17000 29000
GOT(U/L) 83 55 50 47 39
GPT(U/L) 82 50 39 32 52
LDH(U/L) 345 867 905 1804 1371
Ch-E(U/L) 2094 1305
γ-GTP(U/L) 29 26 39 34

併用薬:ウルソデスオキシコール酸、グリチルリチン・アミノ酢酸・L-システイン配合剤
 

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ベシル酸アムロジピンと肝機能障害について

成分名
該当販売名
成分名 該当販売名
ベシル酸アムロジピン アムロジン錠2.5、5(住友製薬)
ノルバスク錠2.5mg、5mg(ファイザー製薬)
薬効分類等 高血圧症・狭心症治療薬/持続性カルシウム拮抗剤
効能効果 高血圧症、狭心症
 


(1)経緯

 ベシル酸アムロジピンは、持続性のカルシウム拮抗剤であり、平成5年10月に「高血圧症」及び「狭心症」の効能効果で承認された。
 本剤の開発時の臨床試験において、肝機能検査値の異常が認められており、発売当初より「GOT、GPT、Al-P、LDH等の上昇」を「使用上の注意」に記載し、注意を喚起してきた。その後、国内外からの報告症例に基づいて、平成10年2月に「黄疸」を、また平成11年2月に「肝機能障害、γ-GTPの上昇」を「使用上の注意」に追加記載した。
 平成11年2月の添付文書改訂以後、自他覚症状の乏しい重篤な肝機能障害、黄疸の国内症例が6例報告されていることから、今回、「使用上の注意」の改訂を行い、医療関係者への一層の注意喚起を行うこととした。
 

(2)症例の紹介

 平成11年2月以後に報告された6例の年齢は57~81歳、投与期間9~230日であった。そのうちの3症例を表1に紹介する。
 

(3)安全対策

 平成11年2月の添付文書改訂後、自他覚症状の乏しい重篤な肝機能障害の国内症例が報告されていることから、「使用上の注意」に「重大な副作用」として肝機能障害に関する項を新設し、一層の注意喚起を行うこととした。
 

《使用上の注意(下線部追加改訂部分)》

〈ベシル酸アムロジピン〉

副作用

重大な副作用

肝機能障害、黄疸:GOT、GPT、γ-GTPの上昇等を伴う肝機能障害や黄疸があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
 

表1 症例の概要

No. 患者 1日投与量
投与期間
副作用 備考
性、
年齢
使用理由〔合併症〕 経過及び処置
1
60代
高血圧症
〔高脂血症〕
5mg
1.5ヵ月間
本剤とプラバスタチンナトリウムの投与を開始。
約1ヵ月後、検査にて肝機能障害を認めた。特に自覚症状はなかった。
その7日後に両薬剤の投与を中止。
その後肝機能障害に対する薬物治療を開始。
投与中止54日後に肝生検、ERCP施行。肝炎様所見を認めた。
投与中止68日後、肝機能は正常化。
企業報告
臨床検査値
 
  投与
3週間前
投与
約1ヵ月目
投与中止日 治療開始日 投与中止
54日目
投与中止
68日目
GOT(U/L) 25 884 448 329 32 31
GPT(U/L) 20 1327 846 533 39 26
LDH(U/L) 503 1093 788 616 473

併用薬:プラバスタチンナトリウム
2
50代
高血圧症
〔副甲状腺機能低下症、高脂血症、胃炎〕
5mg
26日間
本剤投与開始3週頃より全身倦怠感、食欲不振を発現。
投与開始26日後、近医での血液検査にて肝機能障害と診断され、本剤及びテプレノンの投与を中止。
翌日入院。
投与中止9日後、黄疸を発現。
中止15日後、改善を認めず、総合病院へ転院。
中止18日後、黄疸増悪。
中止50日後、肝機能検査値の改善。
企業報告
臨床検査値
 
  投与前 投与
26日目
投与中止
22日目
投与中止
50日目
GOT(U/L) 29 385 252 36
GPT(U/L) 20 702 138 21
γ-GTP(U/L) 425 129 58
Al-P(U/L) 507 173 97
LDH(U/L) 367 548 430 307
T-Bil(mg/dL) 1.1 21.0 2.2

併用薬:テプレノン、プラバスタチンナトリウム、アルファカルシドール、乳酸カルシウム、レボチロキシンナトリウム、ファモチジン
3
80代
高血圧症
〔不安神経症、不眠症、便秘症〕
2.5mg
9日間
投与開始9日後、検査にて肝機能障害を認めた。腹部症状なく、倦怠感のみを訴えた。画像検査では異常なし。
翌日、本剤のみ投与中止。
投与中止3日後、改善傾向となった。
中止13日後、更に改善。一般状態には著変を認めず。
企業報告
臨床検査値
 
  投与9日目 投与10日目
(中止1日目)
投与中止
13日目
GOT(U/L) 625 523 114
GPT(U/L) 1267 1360 220
LDH(U/L) 545 585 298

併用薬:アルプラゾラム、スルピリド、塩酸リルマザホン、酸化マグネシウム
 

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インフルエンザの臨床経過中に発症した脳炎・脳症の重症化と解熱剤の使用について

(1)はじめに

 平成11年度厚生科学研究「インフルエンザ脳炎・脳症の臨床疫学的研究班」(班長:森島恒雄名古屋大学医学部教授)より、平成11年1月から3月までにインフルエンザの臨床経過中に脳炎・脳症を発症した事例に対してアンケート調査を実施し、解析が行えた181例(うち15歳以下の小児170例)について解熱剤の使用の関連性について検討を行ったとして、別添のとおり報告された。
 

(2)調査結果について

 解熱剤の投与の有無と死亡について解析を行ったところ、ジクロフェナクナトリウム又はメフェナム酸が使用された症例では使用していない症例に比較して死亡率が高かった。これに対し、インフルエンザ脳炎・脳症においては発熱が高くなるほど死亡率が高くなること、ジクロフェナクナトリウム又はメフェナム酸はこうした重症例の解熱に使用される傾向のあることを考慮し、最高体温等を調整した多変量解析を行ったところ、その有意差はわずかであった。
 本研究は、もともと、インフルエンザ脳炎・脳症と薬剤の使用との関係を調査することを目的としたものではなかったため、個々の症例について、薬剤の投与時期、発熱の推移、症状経過等の情報は得られておらず、インフルエンザ脳炎・脳症と薬剤との因果関係を統計的手法以外で詳細に分析することはできなかった。また、症例数が統計的な解析には満足すべき数に達していない薬剤があることや、解熱剤を使用していない症例でも25.4%が死亡していること等を考慮すれば、本研究からこれらの薬剤とインフルエンザ脳炎・脳症による死亡との関連については、結論的なことはいえない状況にあると考える。
 研究報告でも言及されているとおり、本研究は、今後更なる研究が必要であり、平成12年度もインフルエンザ臨床経過中に発症した脳炎・脳症についての調査が行われる予定である。
 

別添

厚生省医薬安全局安全対策課御中

平成11年12月15日
 

 私共は、平成11年度厚生科学研究(新興・再興感染症研究事業)「インフルエンザ脳炎・脳症の臨床疫学的研究班」として、近年多発が報告されている小児を中心としたインフルエンザに関連した脳炎・脳症の第二次全国調査を行いました。現在、今年1月から3月までに発症し、二次アンケート(7-9月に実施)の回答を得た202例(その中の190例が15歳以下の小児)の解析を進めております。本症は致命率(死亡率)が約30%に及ぶなど、その臨床的重要性が明らかになりつつあります。今回、アンケート調査結果(主治医に詳しく記入していただく形式)の検討を行う中から、以下の結果を得たので報告させていただきます。
 

1.インフルエンザ脳炎・脳症202例中、以下の項目(性別、年齢、インフルエンザ、発症から脳障害発症までの期間、最高体温、予後、解熱剤の使用の有無とその種類)の記載があった181例(その中の170例が15歳以下の小児)で解熱剤と予後について検討したところ、解熱剤を使用しなかった63例中死亡16例(25.4%)、アセトアミノフェン使用例78例中死亡23例(29.5%)、ジクロフェナクナトリウム使用例25例中死亡13例(52.0%)、メフェナム酸使用例9例中6例(66.7%)、その他の解熱剤使用例22例中死亡5例(22.7%)でした。解熱剤単剤のみ使用された症例の死亡率は、アセトアミノフェン25.0%、ジクロフェナクナトリウム40%、メフェナム酸40%でした。表1にその結果を示します。以上のごとく、インフルエンザ脳炎・脳症で一部の解熱剤を使用された症例で、死亡率の上昇がみられました。
 

2.この結果には、多くの因子が関与することが予測されたため、性別、年齢、インフルエンザ発症から脳障害発生までの期間、最高体温、複数の解熱剤の影響などを含めたLog-istic Modelによる多変量解析を行い、解熱剤とインフルエンザ脳炎・脳症の死亡について、わずかではありますが、有意な結果(ジクロフェナクナトリウムOdds Ratio:3.05、95%CI:1.01-9.21, P=0.048、メフェナム酸Odds Ratio:4.6、95%CI:1.03-20.49、 P=0.045)を得ました(表2)。
 

 以上の結果から、解熱剤の一部について、インフルエンザ脳炎・脳症の重症化に何らかの関連がある可能性が示唆されました。ただし、症例数が少なく、多変量解析における有意差もわずかであることから、今後さらなる調査が必要と思われます。以上、ご報告させていただきます。
 

インフルエンザ脳炎・脳症の臨床疫学的研究班
森島恒雄 (班長、名古屋大学医学部保健学科)
富樫武弘 (市立札幌病院小児科)
横田俊平 (横浜市立大学小児科)
奥野良信 (大阪府立公衆衛生研究所)
宮崎千明 (福岡市立心身障害者福祉センター)
田代眞人 (国立感染研 ウイルス製剤部)
岡部信彦 (国立感染研 感染症情報センター)

表1

解熱剤 生存n=129 死亡n=52
解熱剤の使用なし 47
( 74.6%)
16
( 25.4%)
アセトアミノフェン(単剤)
+α
51( 75.0%)
4( 40.0%)*)
計55( 70.5%)
17( 25.0%)
6( 60.0%)**)
計23( 29.5%)
ジクロフェナクナトリウム(単剤)
+α
9( 60.0%)
3( 30.0%)a)
計12( 48.0%)
6( 40.0%)
7( 70.0%)aa)
計13( 52.0%)
メフェナム酸(単剤)
+α
3( 60.0%)
0( 0%)
計3( 33.3%)
2( 40.0%)
4(100.0%)#)
計6( 66.7%)
その他の解熱剤(単剤)
+α
13( 86.7%)
4( 57.1%)b)
計17( 77.3%)
2( 13.3%)
3( 42.9%)bb)
計5( 22.7%)
 

*)ジクロフェナクナトリウム2
  解熱剤その他2
a)アセトアミノフェン2
  解熱剤その他1
b)アセトアミノフェン2
  ジクロフェナクナトリウム1
  解熱剤その他1

**)ジクロフェナクナトリウム2
  メフェナム酸2
  ジクロフェナクナトリウム+メフェナム酸2
aa)アセトアミノフェン2
  アセトアミノフェン+メフェナム酸2
  解熱剤その他3
#)アセトアミノフェン2
  ジクロフェナクナトリウム+アセトアミノフェン2
bb)ジクロフェナクナトリウム3
 

表2 Logistic Modelによる多変量解析

  Odds Ratio 95%CI
アセトアミノフェン 1.03 0.48-2.24
ジクロフェナクナトリウム 3.05 1.01-9.21(P=0.048)
メフェナム酸 4.6 1.03-20.49(P=0.045)
その他の解熱剤 0.71 0.21-2.48
 

(性別,年齢,最高体温,神経障害発症までの日数を調整)
 

 

目次へ

使用上の注意の改訂について(その117)

 医薬品等安全性情報No.157掲載分以降に改訂を指導した使用上の注意について、改訂内容、 主な該当販売名、参考文献等をお知らせいたします。

1 〈漢方製剤〉
小柴胡湯
[販 売 名] ツムラ小柴胡湯エキス顆粒(ツムラ)他
[禁  忌]
1.インターフェロン製剤を投与中の患者
  (「相互作用」の項参照)
2.肝硬変、肝癌の患者
  [間質性肺炎が起こり、死亡等の重篤な転帰に至ることがある。]
3.慢性肝炎における肝機能障害で血小板数が10万/mm3以下の患者
  [肝硬変が疑われる。]
[慎重投与] 著しく体力の衰えている患者[副作用があらわれやすくなり、その症状が増強されるおそれがある。]慢性肝炎における肝機能障害で血小板数が15万/mm3以下の患者[肝硬変に移行している可能性がある。]
[重要な基本的注意] 慢性肝炎における肝機能障害で小柴胡湯を投与中は、血小板数の変化に注意し、血小板数の減少が認められた場合には、投与を中止すること。
本剤の使用にあたっては、患者の証(体質・症状)を考慮して投与すること。なお、経過を十分に観察し、症状・所見の改善が認められない場合には、継続投与を避けること。
本剤にはカンゾウが含まれているので、血清カリウム値や血圧値等に十分留意し、異常が認められた場合には投与を中止すること。
他の漢方製剤等を併用する場合は、含有生薬の重複に注意すること。
 
2 〈Ca拮抗剤〉
ベシル酸アムロジピン
[販 売 名] アムロジン錠5(住友製薬)、ノルバスク錠5mg(ファイザー)
[副作用
(重大な副作用)]
肝機能障害、黄疸:GOT、GPT、γ-GTPの上昇等を伴う肝機能障害や黄疸があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
〈参 考〉 企業報告
 
3 〈非ステロイド性消炎鎮痛剤〉
ジクロフェナクナトリウム(経口剤、坐剤)
[販 売 名] ボルタレン錠、ボルタレンサポ50mg(チバガイギー)他
[禁  忌]
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人(「妊婦、
産婦、授乳婦等への投与」の項参照)
[重要な基本的注意] 重篤な肝障害があらわれることがあるので、患者の状態を十分に観察すること。特に連用する場合は定期的に肝機能検査を行うことが望ましい。また、肝障害に先行して、あるいは同時に急激な意識障害があらわれることがある。
[副作用
(重大な副作用)]
ショック(胸内苦悶、冷汗、呼吸困難、四肢冷却、血圧低下、意識障害等)、アナフィラキシー様症状(蕁麻疹、血管浮腫、呼吸困難等)
急性脳症(痙攣、意識障害等)
[妊婦、産婦、
授乳婦等への投与]
(妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。]
妊娠末期のラットに投与した実験で、胎児の動脈管収縮が報告されている。を削除)
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しないこと。[妊娠中の投与で、胎児に動脈管収縮・閉鎖、徐脈、羊水過少が起きたとの報告があり、胎児の死亡例も報告されている。また、分娩に近い時期での投与で、胎児循環持続症(PFC)、動脈管開存、新生児肺高血圧、乏尿が起きたとの報告があり、新生児の死亡例も報告されている。
〈参 考〉 企業報告
 
4 〈非ステロイド性消炎鎮痛剤〉
スルピリン、スルピリン・アミノプロピオン・テオクル酸ジフェニルピラリン、スルピリン・アロバルビタール・塩酸プロカイン・サリチル酸ナトリウム・カフェイン
[販 売 名] メチロン注10%(第一製薬)他
オベロン注射液(1cc)(日本新薬)
ザルソカイン(宇治)
[副作用
(重大な副作用)]
急性腎不全:急性間質性腎炎等により急性腎不全があらわれることがあるので、乏尿、血尿等の症状及び蛋白尿、BUN・血中クレアチニン上昇、高カリウム血症等の検査所見が認められた場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。
〈参 考〉 Kitazawa, et al:Clinical Nephrology, 51(4):255(1999)
北沢孝三他:診断と治療、84(Suppl):49(1996)
 
5 〈不整脈用剤、血圧降下剤〉
塩酸カルテオロール(普通錠、大人用細粒剤、徐放剤)
[販 売 名] ミケラン錠5mg(大塚)他、ミケラン細粒(大塚)、ミケランLA(大塚)
[禁  忌]
高度の徐脈(著しい洞性徐脈)、房室ブロック(II、III度)、洞不全症候群、洞房ブロックのある患者[刺激伝導系に対し抑制的に作用し、症状を悪化させるおそれがある。]
[慎重投与] 異型狭心症の患者[類薬で症状を悪化させたとの報告がある。]
[副作用
(重大な副作用)]
循環器:房室ブロック、洞不全症候群、洞房ブロック、洞停止高度の徐脈性不整脈、うっ血性心不全(又はその悪化)、冠攣縮性狭心症等があらわれることがあるので、定期的に心機能検査を行い、必要に応じ、減量又は中止するなど適切な処置を行うこと。
失神:高度な徐脈に伴う失神があらわれることがあるので、このような場合には 投与を中止し、適切な処置を行うこと。
〈参 考〉 企業報告
 
6 〈不整脈用剤〉
塩酸カルテオロール(小児用細粒剤)
[販 売 名] 小児用ミケラン500倍細粒(大塚)
[禁  忌]
高度の徐脈(著しい洞性徐脈)、房室ブロック(II、III度)、洞不全症候群、洞房ブロックのある患者[刺激伝導系に対し抑制的に作用し、症状を悪化させるおそれがある。]
[慎重投与] 異型狭心症の患者[類薬で症状を悪化させたとの報告がある。]
[副作用
(重大な副作用)]
低血糖:小児で意識障害、痙攣があらわれることがあるので、観察を十分に行い、このような場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと(低血糖症状があらわれた場合には、経口摂取可能な状態では角砂糖、あめ等の糖分の摂取、意識障害、痙攣を伴う場合にはブドウ糖の静注等を行い、十分に経過観察すること)。また、保護者に対し患児の状態(悪寒、顔面蒼白、多量の発汗、不機嫌、意識もうろう状態等の低血糖に伴う症状)を十分観察するよう注意を与えること。
循環器:房室ブロック、洞不全症候群、洞房ブロック、洞停止高度の徐脈性不整脈、うっ血性心不全(又はその悪化)、冠攣縮性狭心症等があらわれることがあるので、定期的に心機能検査を行い、必要に応じ、減量又は中止するなど適切な処置を行うこと。
失神:高度な徐脈に伴う失神があらわれることがあるので、このような場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
〈参 考〉 企業報告
 
7 〈不整脈用剤〉
塩酸メキシレチン(経口剤)
[販 売 名] メキシチールカプセル100mg(日本ベーリンガー)他
[禁  忌]
本剤に対し過敏症の既往歴のある患者
 
8 〈アンジオテンシン変換酵素阻害剤〉
塩酸イミダプリル
[販 売 名] タナトリル錠5(田辺)、ノバロック錠5(日本シエーリング)他
[禁忌] (他のアンジオテンシン変換酵素阻害剤による血管浮腫の既往歴のある患者を削除)
血管浮腫の既往歴のある患者(アンジオテンシン変換酵素阻
害剤等の薬剤による血管浮腫、遺伝性血管浮腫、後天性血管
浮腫、特発性血管浮腫等)
 
[相互作用
(併用注意)]
カリジノゲナーゼ製剤[本剤との併用により過度の血圧低下が引き起こされる可能性がある。]
[副作用
(重大な副作用)]
紅皮症(剥脱性皮膚炎)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、天疱瘡様症状があらわれることがあるので、紅斑、水疱、そう痒、発熱、粘膜疹等があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
〈参考〉 文献報告
企業報告
 
9 〈アンジオテンシン変換酵素阻害剤〉
塩酸テモカプリル
[販 売 名] エースコール錠2mg(三共)他
[禁  忌] (他のアンジオテンシン変換酵素阻害剤による血管浮腫の既往歴のある患者を削除)
血管浮腫の既往歴のある患者(アンジオテンシン変換酵素阻
害剤等の薬剤による血管浮腫、遺伝性血管浮腫、後天性血管
浮腫、特発性血管浮腫等)
[相互作用
(併用注意)]
カリジノゲナーゼ製剤[本剤との併用により過度の血圧低下が引き起こされる可能性がある。]
[副作用
(重大な副作用)]
天疱瘡様症状:天疱瘡様症状があらわれることがあるので、紅斑、水疱、そう痒、発熱、粘膜疹等があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
〈参 考〉 企業報告
大西育子他:日本皮膚科学会雑誌、107(7):885(1997)
 
10 〈アンジオテンシン変換酵素阻害剤〉
アラセプリル、マレイン酸エナラプリル、カプトプリル、塩酸キナプリル、シラザプリル、塩酸デラプリル、トランドラプリル、塩酸ベナゼプリル、ペリンドプリルエルブミン、リシノプリル
[販 売 名] セタプリル錠25mg(大日本)他
レニベース錠5(萬有)他
カプトリル錠25mg(三共)他
コナン錠5mg(吉富)他
インヒベース錠0.25(ロシュ)他
アデカット15mg錠(武田)他
オドリック錠1mg(HMR)、プレラン1mg錠(中外)他
チバセン錠5mg(チバガイギー)他
コバシル錠2mg(第一製薬)他
ロンゲス錠5mg(塩野義)、ゼストリル錠5(ゼネカ)他
[禁  忌] (他のアンジオテンシン変換酵素阻害剤による血管浮腫の既往歴のある患者を削除)
血管浮腫の既往歴のある患者(アンジオテンシン変換酵素阻
害剤等の薬剤による血管浮腫、遺伝性血管浮腫、後天性血管
浮腫、特発性血管浮腫等)
[相互作用
(併用注意)]
カリジノゲナーゼ製剤[本剤との併用により過度の血圧低下が引き起こされる可能性がある。]
〈参 考〉 文献報告
 
11 〈プロスタグランジンE1製剤〉
アルプロスタジル
[販 売 名] パルクス注(大正製薬)、リプル(吉富)
[副作用
(重大な副作用)]
ショック、アナフィラキシー様症状:ショック、アナフィラキシー様症状(呼吸困難、蕁麻疹、喉頭浮腫等)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合は投与を中止し、適切な処置を行うこと。
〈参 考〉 企業報告
 
12 〈気管支拡張剤〉
臭化水素酸フェノテロール(エロゾル剤)
[販 売 名] ベロテックエロゾル(日本ベーリンガー)他
[警   告] (本剤の使用は、患者又は保護者が適正な使用方法について十分に理解しており、過量投与になるおそれのないことが確認されている場合に限ること。
本剤の小児への投与は、他のβ2刺激薬吸入剤が無効な場合に限ること。(本剤は1回噴霧中に臭化水素酸フェノテロール0.1mgを含有しており、小児への安全性が確立していないので、投与しないことが望ましい。「小児への投与」の項参照)を削除)
警告
本剤の使用は、患者が適正な使用方法について十分に理解しており、過量投与になるおそれのないことが確認されている場合に限ること。(「重要な基本的注意」の項参照)
本剤の投与は、他のβ2刺激薬吸入剤が無効な場合に限ること。
小児に対しては、他のβ2刺激薬吸入剤が無効な場合で、入院中など、医師の厳重な管理・監督下で本剤を投与する場合を除き、投与しないこと。
[用法・用量に関連する
使用上の注意]
(患者又は保護者に対し、本剤の過度の使用により、不整脈、心停止等の重篤な副作用が発現する危険性があることを理解させ、次の事項及びその他必要と考えられる注意を与えること。
1)成人の場合、1回2吸入の用法用量を守ること。なお、吸入後2~5分を待っても十分な効果がみられない場合には、2吸入を限度として追加吸入できるが、それ以上の追加吸入を行うときは、少なくとも6時間の間隔をおき、1日4回までとすること。
2)小児の場合、投与しないことが望ましいが、やむを得ず使用する場合には、1回2吸入を限度とし、次の発作に使用する場合、少なくとも6時間の間隔をおき、1日4回までとすること。
を削除)
患者に対し、本剤の過度の使用により、不整脈、心停止等の重篤な副作用が発現する危険性があることを理解させ、次の事項及びその他必要と考えられる注意を与えること。
1回2吸入を原則とするが、1回1吸入からはじめ、効果を確認しながら使用すること。
なお、吸入後2~5分を待っても十分な効果がみられない場合には、2吸入を限度として追加吸入できるが、それ以上の追加吸入を行うときは、少なくとも6時間の間隔をおき、1日4回までとすること。
[重要な基本的注意] 本剤の投与は、他のβ2刺激薬吸入剤が無効の場合に限ること。
[小児等への投与] 小児に対する安全性は確立していないので、他のβ2刺激薬吸入剤が無効な場合で、入院中など、医師の厳重な管理・監督下で本剤を投与する場合を除き、投与しないこと。
 
13 〈健胃消化剤〉
センブリ・炭酸水素ナトリウム
[販 売 名] センブリ・重曹散(丸石)他
[慎重投与] 重篤な消化管潰瘍のある患者[炭酸水素ナトリウムを配合しているため、症状が悪化するおそれがある。]
腎障害のある患者[ナトリウム貯留による浮腫があらわれるおそれがある。]
肺機能障害のある患者[呼吸性アルカローシスになるおそれがある。]
低クロル性アルカローシス等の電解質失調の患者[症状が悪化するおそれがある。]
 
14 〈利胆剤〉
デヒドロコール酸
[販 売 名] 10%デヒドロコール酸注(日新:山形)
[禁   忌] (12歳以下の小児(安全性が確立していない)を削除)
[慎重投与] 高齢者(「高齢者への投与」の項参照)12歳以下の小児(「小児等への投与」の項参照)
 
15 〈抗甲状腺剤〉
チアマゾール
[販 売 名] メルカゾール錠(HMR)他
[副作用
(重大な副作用)]
肝機能障害、黄疸:肝機能障害、黄疸があらわれることがあるので、肝機能検査値に注意するなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
〈参 考〉 企業報告
 
16 〈副腎皮質ホルモン剤〉
プレドニゾロン(経口剤)
[販 売 名] プレドニン錠5mg(塩野義)他
[副作用
(重大な副作用)]
硬膜外脂肪腫:硬膜外脂肪腫があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には減量するなど、適切な処置を行うこと。
〈参 考〉 企業報告
 
17 〈循環系作用酵素〉
カリジノゲナーゼ
[販 売 名] カルナクリン錠25(三和化学)他
[相互作用
(併用注意)]
アンジオテンシン変換酵素阻害剤[本剤との併用により過度の血圧低下が引き起こされる可能性がある。]
 
18 〈切迫流・早産治療β2-刺激剤〉
塩酸リトドリン(注射剤)
[販 売 名] ウテメリン注(キッセイ)他
[重要な基本的注意] 胎児に頻脈、不整脈が起こることがある。また、新生児に可逆的な心室中隔壁の肥大、腸閉塞、頻脈、低血糖症、腎機能障害があらわれることがある。
[副作用
(その他の副作用)]
胎児・新生児:胎児不整脈、胎児頻脈、新生児頻脈、新生児低血糖症、新生児腎機能障害
〈参 考〉 企業報告
 
19 〈代謝性剤〉
アデノシン三リン酸二ナトリウム(注射剤)
[販 売 名] アデホス-Lコーワ注2号(興和)他
[その他の注意] 本剤を急速静注した場合に気管支痙攣を誘発したとの報告がある。
〈参 考〉 企業報告
玉木利和他:アレルギーの臨床、15(4):272(1995)
 
20 〈免疫抑制剤〉
塩酸グスペリムス
[販 売 名] スパニジン注(日本化薬)
[副作用
(重大な副作用)]
血液障害汎血球減少、白血球減少、血小板減少、赤血球減少、ヘモグロビン減少、ヘマトクリット減少があらわれることがあるので、頻回に血液検査を行い、必要に応じて輸血等の適切な処置を行うこと。
〈参 考〉 企業報告
 
21 〈抗悪性腫瘍代謝拮抗剤〉
エノシタビン
[販 売 名] 注射用サンラビン(旭化成)
[副作用
(重大な副作用)]
血液障害:汎血球減少、白血球減少、血小板減少、貧血、また、骨髄に巨赤芽球様細胞を認めることがあるので、定期的に血液検査を行うなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には減量、休薬等の適切な処置を行うこと。
〈参 考〉 企業報告
 
22 〈代謝拮抗剤〉
テガフール・ギメスタット・オタスタットカリウム
[販 売 名] ティーエスワンカプセル25(大鵬)他
[警   告]
警告
重篤な肝障害があらわれることがあり、また、テガフールで劇症肝炎が報告されているので、定期的に肝機能検査を行うなど観察を十分に行い、肝障害の早期発見に努めること。肝障害の前兆又は自覚症状と考えられる食欲不振を伴う倦怠感等の発現に十分に注意し、黄疸(眼球黄染)があらわれた場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。
[副作用
(重大な副作用)]
重篤な肝障害:重篤な肝障害があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
〈参 考〉 企業報告
 
23 〈フルオロウラシル系製剤、活性型葉酸製剤〉
カルモフール、テガフール、テガフール・ウラシル、ドキシフルリジン、フルオロウラシル(外皮用を除く)、テガフール・ギメスタット・オタスタットカリウム、レボホリナートカルシウム
[販 売 名] ミフロール錠(三井)、ヤマフール錠(山之内)他
フトラフール注(大鵬)他
ユーエフティ(大鵬)他
フルツロンカプセル100(ロシュ)他
5-FU錠50(協和醗酵)他
ティーエスワンカプセル25(大鵬)他
アイソボリン注25mg(ワイスレダリー)
[警   告] (抗ウイルス剤ソリブジンとフルオロウラシル系薬剤との併用により、重篤な血液障害が発現し、死亡に至った例も報告されているので、(本療法と)併用を行わないこと。(「相互作用」の項参照)を削除)
[禁   忌] (ソリブジンを投与中の患者(「相互作用」の項参照)を削除)
[相互作用
(併用禁忌)]
(ソリブジン(ユースビル)を削除)
 
24 〈タキソイド系抗悪性腫瘍剤〉
ドセタキセル水和物
[販 売 名] タキソテール注(RPR)
[副作用
(重大な副作用)]
黄疸、肝不全等の重篤な肝障害があらわれることがあるので、肝機能検査の値に注意して観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
急性腎不全等の重篤な腎障害があらわれることがあるので、腎機能検査の値に注意して観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
急性呼吸窮迫症候群があらわれることがある(外国症例)ので、呼吸障害などがみられた場合には観察を十分に行い、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

(肝臓:外国において肝機能異常患者へ投与した場合に、重篤な副作用や副作用の増強・増悪が報告されている。(「その他の注意」の項参照)を削除)
〈参 考〉 企業報告
 
25 〈抗エストロゲン剤〉
クエン酸タモキシフェン
[販 売 名] ノルバデックス(ゼネカ)他
[その他の注意] 海外の臨床試験で、本剤の投与により対側乳癌以外の二次発癌がみられたとの報告があるが、本剤との関連性は十分明らかにされておらず、評価も確立されていない(子宮体癌については「重要な基本的注意」の項参照)。
 
26 〈セフェム系抗生物質〉
セフジトレン ピボキシル
[販 売 名] メイアクト錠100(明治製菓)他
[禁  忌]
牛乳に対しアレルギーのある患者[本剤は、添加物として
カゼインナトリウムを含有する。]
[副作用
(重大な副作用)]
ショック、アナフィラキシー様症状を起こすことがあるので、観察を十分に行い、不快感、口内異常感、喘鳴、眩暈、便意、耳鳴、発汗等の異常が認められた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。
〈参 考〉 企業報告
 
27 〈血漿分画製剤〉
乾燥イオン交換樹脂処理人免疫グロブリン
[販 売 名] ガンマガード(バクスター)
[副作用
(重大な副作用)]
血小板減少:血小板減少を起こすことがあるので、観察を十分に行い、このような場合には、適切な処置を行うこと。
急性腎不全:急性腎不全があらわれることがあるので、投与に先立って患者が脱水状態にないことを確認するとともに、観察を十分に行い、腎機能検査値(BUN、血清クレアチニン等)の悪化、尿量減少が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。なお、急性腎不全の危険性の高い患者においては、投与量及び投与速度をできるだけ低くすることが望ましい。
[副作用
(その他の副作用)]
(血液:血小板減少を削除)
〈参 考〉 企業報告
 
28 〈血漿分画製剤〉
乾燥スルホ化人免疫グロブリン、乾燥pH4処理人免疫グロブリン、pH4処理酸性人免疫グロブリン、ポリエチレングリコール処理人免疫グロブリン、乾燥ポリエチレングリコール処理人免疫グロブリン
[販 売 名] 献血ベニロン-I(化血研)他
サングロポール(富士レビオ)ポリグロビンN(バイエル)
献血ヴェノグロブリン-IH(吉富)他
献血グロベニン-I(日本製薬)他
[副作用
(重大な副作用)]
血小板減少:血小板減少を起こすことがあるので、観察を十分に行い、このような場合には、適切な処置を行うこと。
急性腎不全:急性腎不全があらわれることがあるので、投与に先立って患者が脱水状態にないことを確認するとともに、観察を十分に行い、腎機能検査値(BUN、血清クレアチニン等)の悪化、尿量減少が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。なお、急性腎不全の危険性の高い患者においては、投与量及び投与速度をできるだけ低くすることが望ましい。
〈参 考〉 企業報告
 
29 〈急性拒絶反応治療剤〉
ムロモナブ-CD3
[販 売 名] オクソクローンOKT3注(ヤンセン協和)
[禁   忌] (本剤又はマウス由来製品に対しアナフィラキシー反応を示した患者妊婦又は授乳婦を削除)
本剤又はマウス由来製品に対して過敏症の既往歴のある患者
妊婦、妊娠している可能性のある婦人又は授乳婦
[副作用
(重大な副作用)]
アナフィラキシー反応:アナフィラキシー反応を起こすことがあるので、観察を十分に行い、チアノーゼ、冷汗、血圧低下、呼吸困難、胸内苦悶等があらわれた場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。
脳浮腫:脳浮腫(脳ヘルニアを伴った症例も報告されている)があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
感染症:細菌、真菌、ウイルス、原虫による重篤な感染症(肺炎、敗血症、髄膜炎、帯状疱疹等)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、このような症状があらわれた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
〈参 考〉企業報告
 
30 〈抗原虫剤〉
イセチオン酸ペンタミジン
[販 売 名] ベナンバックス300(RPR)
[重要な基本的注意] ショック・アナフィラキシー様症状:ショック・アナフィラキシー様症状があらわれることがあるので、観察を十分に行い、関連する徴候が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
膵炎:膵炎があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
[副作用
(重大な副作用)]
(消化器:膵炎を削除)
〈参 考〉 企業報告
 
31 〈駆虫剤〉
メベンダゾール
[販 売 名] メベンダゾール錠100(ヤンセン協和)
[原則禁忌]
本剤の成分に対して過敏症の既往歴のある患者
〈参 考〉 企業報告
 
32 〈あへんアルカロイド系麻薬〉
硫酸モルヒネ
[販 売 名] MSコンチン錠10mg(塩野義)他
[副作用
(重大な副作用)]
ショック:ショックを起こすことがあるので、観察を十分に行い、症状があらわれた場合には適切な処置を行うこと。
肝機能障害:GOT上昇、GPT上昇、Al-P上昇等があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。
〈参 考〉 企業報告
 
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