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安全対策業務

医薬品・医療用具等安全性情報 No.196

目次

  1. ポリカーボネート製などの医療用具の破損(クラック)について
  2. 重要な副作用等に関する情報
    1. 塩酸エタンブトール
    2. 塩酸チクロピジン
    3. 塩酸ミルナシプラン
    4. シスプラチン
  3. 使用上の注意の改訂について(その151)
    イブプロフェン他(8件)

 

この医薬品・医療用具等安全性情報は,厚生労働省において収集された副作用情報をもとに,医薬品・医療用具等のより安全な使用に役立てていただくために,医療関係者に対して情報提供されるものです。

平成15年(2003年)12月
厚生労働省医薬食品局

【情報の概要】

No. 医薬品等 対策 情報の概要
1 ポリカーボネート製などの医療用具の破損(クラック)について     ポリカーボネート樹脂は,その特徴として,耐衝撃性,耐熱性,透明性などが挙げられ,また精密な成形が可能であることから医療用具の分野で広く使用されている。一方,その欠点として耐薬品性及び伸展強度の弱さが挙げられており,全身麻酔剤プロポフォールや免疫抑制剤シクロスポリンにより,当該樹脂製の三方活栓に破損(クラック)が生じたとの報告がされているところである。
 このことから,脂肪乳剤(又は脂肪乳剤を含有する製剤),油性成分,界面活性剤及びエタノール等の溶解補助剤を含む注射剤によるポリカーボネート製医療用具の破損発生リスクについて,日本医療器材工業会を中心に検討した結果が取りまとめられたので紹介する。
2 塩酸エタンブトール他(3件) 使
 前号(医薬品・医療用具等安全性情報No.195)以降に改訂を指導した医薬品の使用上の注意のうち重要な副作用等について,改訂内容,参考文献等とともに改訂の根拠となった症例の概要に関する情報を紹介する。
3 イブプロフェン他(8件)    使用上の注意の改訂について(その151)

緊:緊急安全性情報の配布 使:使用上の注意の改訂 症:症例の紹介

目次へ

ポリカーボネート製などの医療用具の破損(クラック)について

(1)経緯

これまでに,全身麻酔剤プロポフォールを持続注入中に,輸液ラインで使用していたポリカーボネート製三方活栓のメスコネクター部分に破損(クラック)が生じ,液漏れ及び逆血が起こり,患者に対しても体内注入量の不足による不穏症状が惹起されたという事象が報告されている。また,同様の破損事例が免疫抑制剤シクロスポリンにおいても発生している。このことから平成14年11月及び平成15年5月の二度にわたり,脂肪乳剤(又は脂肪乳剤を含有する製剤),油性成分,界面活性剤及びアルコール等の溶解補助剤を含み,かつ投与が持続的に行われる可能性のある注射剤がポリカーボネート製の医療用具を破損するおそれがないかについて,自主点検を行うよう指示してきたところである。
 これらの指示を受けて,ポリカーボネート製製品の破損の発生リスクについて日本医療器材工業会を中心に検討してきた結果が取りまとめられたので紹介する。

(2)試験方法

ポリカーボネート製品として,使用頻度の高い三方活栓を用い破損の有無を調査した。具体的な試験方法等は以下の通り。
1)三方活栓の接合方法
 オスコネクターはロック構造のものを使用し,接合の際は三方活栓のメスコネクター部分に薬剤を数滴溜めた状態でロックを締め付け,締め付け強度はトルクゲージにて測定した。
2)締め付け強度
 一般的な締め付け強度と想定される15cN・m及び男性の医療従事者が強く締めた時の強度と推定される40cN・mの2種類を設定した。
3)締め付け回数
 以下の2種類の方法を設定した。
(1)第1法:初回接合後,繰り返しのロック締め付けを行わない方法。
(2)第2法注):初回接合後,1時間目に破損状況を確認後,三方活栓とオスコネクターの接続を一旦はずし,再度薬剤を数滴溜めて所定の強度で締め付けを行う。その後,観察時間毎に同様の着脱操作を繰り返す方法。

注) 第2法は,実際の臨床現場において,点滴薬剤を交換等する際,事故防止の観点から三方活栓などのコネクター部分を頻回に締め直す操作が行われていることに鑑み,三方活栓のメスコネクター部分に製剤を数滴溜めた状態(常に一定濃度の薬剤がポリカーボネートに接触した状態)で繰り返し締め付けを行う方法。

4)観察時間
 破損の確認は,締め付け1時間後,1日後,2日後,3日後,4日後及び7日後に行った。
5)破損の判別法
 目視により三方活栓のメスコネクター部にひび割れが明らかに確認され,圧力20kPaのエアーによる水没試験の結果,エアーリークが観測されたものを破損とした。
6)試験薬剤
 (1)脂肪乳剤及び脂肪乳剤含有製剤,(2)油性成分(ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油)含有製剤,(3)界面活性剤(ポリソルベート,プロピレングリコール及びエチレンジアミン)含有製剤,(4)アルコール成分(ベンジルアルコール)を含む製剤のうち,各成分の添加濃度が高い製剤を選択した。

(3)試験結果

1)脂肪乳剤及び脂肪乳剤含有製剤

(脂肪乳剤の濃度(%)) 第1法 第2法
観察時間 15cN・m 40cN・m 観察時間 15cN・m 40cN・m
生理食塩液
(0%)
1時間 0% 0% 1時間 0% 0%
1日 0% 0% 1日 0% 0%
2日 0% 0% 2日 0% 0%
3日 0% 0% 3日 0% 0%
4日 0% 0% 4日 0% 0%
7日 0% 0% 7日 0% 0%
薬剤A
(10%)
1時間 0% 0% 1時間 0% 0%
1日 0% 0% 1日 0% 0%
2日 0% 0% 2日 0% 5.0%
3日 0% 0% 3日 7.5% 5.0%
4日 0% 0% 4日 10.0% 15.0%
7日 0% 0% 7日 17.5% 47.5%
薬剤B
(10%)
1時間 0% 0% 1時間 0% 0%
1日 0% 0% 1日 0% 0%
2日 0% 0% 2日 0% 0%
3日 0% 0% 3日 0% 13.3%
4日 0% 0% 4日 10.0% 23.3%
7日 0% 0% 7日 20.0% 40.0%
薬剤C
(10%)
1時間 0% 0% 1時間 0% 0%
1日 0% 0% 1日 0% 10.0%
2日 0% 0% 2日 5.0% 20.0%
3日 0% 0% 3日 5.0% 40.0%
4日 0% 0% 4日 10.0% 50.0%
7日 0% 0% 7日 15.0% 50.0%
薬剤D
(20%)
1時間 0% 0% 1時間 0% 0%
1日 0% 0% 1日 0% 0%
2日 0% 0% 2日 0% 17.1%
3日 0% 0% 3日 2.9% 32.9%
4日 0% 0% 4日 7.1% 41.4%
7日 0% 0% 7日 17.1% 60.0%

注)試験検体数は,各薬剤の試験方法毎に10~70個使用

2)油性成分,界面活性剤及び溶解補助剤を含む製剤

(含有成分) 第1法 第2法
観察時間 15cN・m 40cN・m 観察時間 15cN・m 40cN・m
薬剤E
(ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油)
(希釈なし)
1時間 0% 0% 1時間 0% 0%
1日 0% 0% 1日 0% 0%
2日 0% 0% 2日 0% 1.4%
3日 0% 0% 3日 1.4% 2.9%
4日 0% 0% 4日 1.4% 2.9%
7日 0% 0% 7日 1.4% 7.1%
薬剤F
(ポリソルベート)
(希釈なし)
1時間 0% 0% 1時間 0% 0%
1日 0% 0% 1日 0% 16.7%
2日 0% 0% 2日 0% 30.0%
3日 0% 0% 3日 0% 46.7%
4日 0% 0% 4日 0% 46.7%
7日 0% 0% 7日 3.3% 46.7%
薬剤F
(ポリソルベート)
(50倍希釈)
1時間 0% 0% 1時間 0% 0%
1日 0% 0% 1日 0% 0%
2日 0% 0% 2日 0% 0%
3日 0% 0% 3日 0% 0%
4日 0% 0% 4日 0% 0%
7日 0% 0% 7日 0% 0%
薬剤G
(プロピレングリコール,エチレンジアミン)
(希釈なし)
1時間 0% 0% 1時間 0% 0%
1日 0% 8.6% 1日 1.4% 25.7%
2日 0% 22.9% 2日 1.4% 48.6%
3日 0% 37.1% 3日 5.7% 70.0%
4日 0% 44.3% 4日 8.6% 77.1%
7日 4.3% 55.8% 7日 12.9% 81.4%
薬剤H
(ベンジルアルコール)
(希釈なし)
1時間 0% 0% 1時間 0% 0%
1日 0% 0% 1日 0% 0%
2日 0% 0% 2日 0% 0%
3日 0% 0% 3日 0% 2.9%
4日 0% 0% 4日 0% 2.9%
7日 0% 0% 7日 0% 5.7%

注)試験検体数は,各薬剤の試験方法毎に30~70個使用

(4)考察

ポリカーボネート樹脂は,その特徴として,耐衝撃性,耐熱性,透明性などが挙げられ,また精密な成形が可能であることから医療用具の分野で汎用されているが,その欠点として耐薬品性,伸展強度の弱さが挙げられている。
 上記の試験結果から,繰り返し締め付けを行わない場合は一部の成分を除き,三方活栓が破損することはなく,また,締め付け圧が通常程度であればいずれの薬剤に対しても数日間の使用に耐えうることが確認された。
 一方,繰り返し締め付けを行うと,ほとんどの薬剤で2~3日以上の使用で三方活栓の破損が観察されはじめ,締め付け圧が強いほど破損率が高くなることが示唆された。
 脂肪乳剤については,破損が含有濃度にかかわらず,繰り返し締め付け及びその締め付け強度に依存していた。
 一方,油性成分,界面活性剤及び溶解補助剤を含む製剤については,脂肪乳剤とほぼ同様の結果であったが,希釈によって三方活栓の破損がなくなるケースも確認され,用法・用量の範囲内において希釈して使用する薬剤については,可能な限り希釈して使用することにより三方活栓の破損率が著しく軽減できることが期待された。
 今回の試験結果から,破損は繰り返し締め付けを行うという物理的条件と薬剤の接触時間との相乗作用によるものと推察される。
 なお,ポリカーボネート樹脂以外に他のプラスチック製品として,ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体)樹脂やPMMA(ポリメチルメタクリレート)樹脂を含む医療用具についても同様の破損が考えられることから,注意が必要であると考えられる。

(5)医療機関への注意事項

各薬剤に含有される脂肪乳剤,界面活性剤,安定化剤などの成分のポリカーボネート樹脂等の医療用具への影響については,現在各製薬企業において試験を実施中であるが,試験の結果,臨床使用上想定される濃度で当該医療用具が破損する可能性が明らかになった薬剤については,既に添付文書において注意喚起済みである。また今回の試験結果から,当該成分を含有する薬剤と接触する可能性のあるポリカーボネート樹脂等の医療用具においても,破損の可能性を回避できるものについては,既に当該医療用具の添付文書において破損のリスクについて注意喚起済みである。また,内部構造にポリカーボネート樹脂が使用され,直接に当該成分を含有する薬剤と接触する可能性がある薬液微量連続注入ポンプ等において,操作上,破損のリスクを回避できない場合には,当該成分を含有する薬剤の使用を禁忌・禁止とするなどの措置を講じているところであるが,医療機関においても以下の点に注意してポリカーボネート樹脂等の医療用具を使用するよう周知をお願いしたい。

1) 上記成分を含む薬剤の長時間の点滴において,当該成分が接触する三方活栓をはじめとする接続チューブコネクター部分を繰り返し締め付けることは,極力避けること。
2) 上記成分を含む注射剤を交換する際,できるだけコネクター部分を含むルートを同時に交換することが望ましいが,やむを得ず2~3日以上連続で使用する場合には,頻回に注意して観察すること。さらにコネクター部分などが破損することがあることを念頭において,当該製品の破損による失血,空気混入等の事態に対応できるように準備を怠らないこと。
3) がん化学療法時などにおいて,水分調整のため,希釈せずに高濃度のまま投与が行われる場合があるが,破損の可能性を考慮して,臨床上支障のない範囲で希釈して使用することが望ましい。
4) ABS樹脂やPMMA樹脂なども上記成分を含む薬剤の点滴時の繰り返しの締め付けに対しては,ポリカーボネート樹脂と同様に脆弱であることから,これらの製品を含む医療用具を使用する場合にも注意すること。

 

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重要な副作用等に関する情報

 前号(医薬品・医療用具等安全性情報 No.195)以降に改訂を指導した医薬品の使用上の注意のうち重要な副作用等について,改訂内容,参考文献等とともに改訂の根拠となった症例の概要に関する情報を紹介いたします。

【1】 塩酸エタンブトール

販売名(会社名) エサンブトール錠125mg,同錠250mg(日本ワイスレダリー)
エブトール125mg錠,同250mg錠(科研製薬)
薬効分類等 抗結核剤
効能効果 肺結核,その他の結核症

 

《使用上の注意(下線部追加改訂部分)》
[禁  忌]
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
[副作用(重大な副作用)] ショック,アナフィラキシー様症状:ショック,アナフィラキシー様症状があらわれることがあるので,観察を十分に行い,呼吸困難,全身潮紅,血管浮腫(顔面浮腫,喉頭浮腫等),蕁麻疹等の異常が認められた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと。
間質性肺炎,好酸球性肺炎:間質性肺炎,好酸球性肺炎があらわれることがあるので,観察を十分に行い,発熱,咳嗽,呼吸困難,胸部X線異常等が認められた場合には投与を中止し,副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
〈参   考〉 企業報告

 

症例の概要

NO. 患者 1日投与量
投与期間
副作用 備考
性・
年齢
使用理由
(合併症)
経過及び処置
1
70代
肺結核
(不安症,不眠症)
500mg
78日間

(3ヵ月間休薬)

500mg
34日間
間質性肺炎
肺結核のため本剤,リファンピシン,イソニアジドの投与を開始。(カルボシステイン,塩酸アンブロキソールは,本剤開始5日前より投与開始。)
投与69日目 発熱出現。
投与78日目
(投与中止日)
呼吸困難あり。血液ガス検査にて,PaO2:49.7Torr,PaCO2:33.9Torrと低酸素血症を認めた。胸部X線写真で間質性の陰影(すりガラス状)を認め,O22.0L/分の投与開始。間質性肺炎と診断した。本剤,リファンピシン,イソニアジド,カルボシステイン,塩酸アンブロキソールの投与を中止し,コハク酸メチルプレドニゾロンナトリウム1000mgを3日間投与した。その後,プレドニゾロン40mgを投与し,徐々に減量した。O2は13日間投与した。
中止2日後 呼吸困難改善。
中止3ヵ月後
(再投与開始日)
本剤の再投与を開始したが,再発なし。本剤の再投与開始から5日後にリファンピシンの再投与を開始したが,再発なし。
本剤のDLSTは陰性であった。
企業報告
併用薬:リファンピシン,イソニアジド,カルボシステイン,塩酸アンブロキソール,塩酸リルマザホン,クロチアゼパム

 

NO. 患者 1日投与量
投与期間
副作用 備考
性・
年齢
使用理由
(合併症)
経過及び処置
2
80代
肺結核
(なし)
500mg
79日間

(8日間休薬)

500mg
5日間
間質性肺炎
肺結核のため,本剤,イソニアジド,リファンピシン,ピラジナミドの投与を開始した。
投与62日目 ピラジナミドの投与を中止。
投与72日目 発熱(37℃)のため,塩酸セフォチアムを投与。
投与79日目 発熱(38℃)のため,塩酸セフォゾプランを投与。
投与80日目
(投与中止日)
発熱(39℃),SaO2低下,呼吸困難出現。胸部X線写真,CTより間質性肺炎と診断。本剤,イソニアジド,リファンピシンの投与を中止し,メチルプレドニゾロンを投与したところ,解熱,呼吸困難改善。
中止9日後
(再投与開始日)
本剤,リファンピシンの投与を再開したところ,発熱(38℃)がみられた。
再投与5日目
(投与中止日)
本剤の投与を中止。プレドニゾロン20mgより投与開始。
中止2日後 DLSTの結果,本剤は陽性と判明。プレドニゾロンを減量すると呼吸困難が出現。
中止177日後 胸部CTで,両下肺野の間質性肺炎を確認。
中止207日後 歩行時呼吸困難がみられるため,転院を予定。(その後の経過は不明)
肺生検未実施。
企業報告
併用薬:イソニアジド,リファンピシン,ピラジナミド,テプレノン,フロセミド,パンテチン,アロプリノール
 

【2】 塩酸チクロピジン

販売名(会社名) イパラジン錠(マルコ製薬)
ジルペンダー錠(日新製薬)
ソーパー100mg錠(日本薬品工業)
ソロゾリン錠(小林化工)
チクピロン細粒,同錠(メディサ新薬)
ニチステート細粒10%,同錠(日本医薬品工業)
ネオピジン錠(オリエンタル薬品工業)
パチュナ錠(東和薬品)
パナピジン錠(日本ヘキサル)
パナルジン細粒10%,同錠(第一製薬)
パラクロジン錠(三和化学研究所)
ピエテネール錠(陽進堂)
ピクロジン錠(太田製薬)
ピクロナジン錠(大洋薬品工業)
ヒシミドン錠(ニプロファーマ)
ビーチロン錠(辰巳化学)
ファルロジン錠(東洋ファルマー)
プロパコール錠(日清キョーリン製薬)
マイトジン錠(鶴原製薬)
薬効分類等 その他の血液・体液用薬
効能効果 ○血管手術および血液体外循環に伴う血栓・塞栓の治療ならびに血流障害の改善
○慢性動脈閉塞症に伴う潰瘍,疼痛および冷感などの阻血性諸症状の改善
○虚血性脳血管障害(一過性脳虚血発作(TIA),脳梗塞)に伴う血栓・塞栓の治療
○クモ膜下出血術後の脳血管攣縮に伴う血流障害の改善

 

《使用上の注意(下線部追加改訂部分)》
[副作用(重大な副作用)] 重篤な肝障害(劇症肝炎,胆汁うっ滞型肝障害があらわれることがある)
(初期症状:悪心・嘔吐,食欲不振,倦怠感,そう痒感,眼球黄染,皮膚の黄染,褐色尿等)
著しいAST(GOT),ALT(GPT),ビリルビン,総コレステロールの上昇を伴う機能障害があらわれることがある(特に投与開始後2か月以内)ので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止し,肝機能検査を実施し,必要に応じ適切な処置を行うこと。
下記の重大な副作用があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと。
中毒性表皮壊死症(Lyell症候群),皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群),紅皮症,多形滲出性紅斑
SLE様症状(発熱,関節痛,胸部痛,胸水貯留,抗核抗体陽性等)
〈参   考〉 企業報告

 

症例の概要

NO. 患者 1日投与量
投与期間
副作用 備考
性・
年齢
使用理由
(合併症)
経過及び処置
1
60代
脳梗塞
(高血圧症)
200mg
649日間
SLE様症状
投与14日前 右不全片麻痺が発現し,入院の上,急性期治療を開始。頭部MRIにて右内包の脳梗塞が確認された。
投与開始日 脳梗塞の再発予防目的に本剤投与開始。
投与9ヵ月後 両膝関節痛が出現。
投与11ヵ月後 両手関節,両手中手骨関節,近位指節間関節に痛みと腫脹が出現。
投与1年3ヵ月後 左眼痛と充血が出現。
投与449日目 眼科にて虹彩炎と診断され,治療を受けた。
投与452日目 左胸部痛,咳嗽が出現。
投与453日目 外来受診し,胸部X線で胸水貯留を認めたことから胸膜炎と診断され入院。胸水の性状は滲出性,培養と細胞診はいずれも陰性。血液検査ではCRP上昇,抗核抗体40倍であった。抗生物質(塩酸セフォチアム,セフタジジム,リン酸クリンダマイシン)の投与にて胸膜炎は軽快し,36日後に退院。
投与529日目 右胸部痛が出現し,右胸水の増悪とCRP上昇を認めたため再入院。特に治療せず軽快し,20日後に退院。
投与635日目 高血圧の増悪と両手関節痛(軽度の圧痛)が出現し入院。炎症反応(赤沈亢進,CRP上昇)を認め,免疫学的検査では,抗核抗体1280倍以上,抗DNA抗体63IU/mL,免疫複合体(Clq法)6.7μg/mLと上昇していた。補体は正常で,抗dsDNA抗体,抗RNP抗体,抗Sm抗体,RF,RAHA,c-ANCA,p-ANCAはいずれも陰性。胸部X線では胸水の増悪はみられなかった。
安静のみで血圧低下,内服治療にて症状は軽快し,6日後に退院。
投与649日目
(投与中止日)
本剤投与中止。高血圧は塩酸ニカルジピン投与にて良好なコントロールが得られ,関節痛は本剤投与中止後から徐々に軽快。退院後は胸膜炎と関節炎の再燃はなく,血液検査で抗核抗体と抗DNA抗体の低下を認めた。
投与中止4ヵ月後 CRPが陰性化。
企業報告
臨床検査値
   投与14日前 投与453日目 投与529日目 投与649日目
(中止日)
中止3ヵ月後 中止4ヵ月後
白血球数(/mm3 5900 9800
血小板数(×104/mm3 18.8 24.7
赤沈値(mm/hr) 75
CRP(mg/dL) <0.30 27.5 12.2 2.4 2.2 <0.30
抗核抗体 40倍 80倍 ≧1280倍 640倍 640倍
抗DNA抗体(IU/mL) (-) 79 63 (-)
血清補体価(U/mL) 38.9 35.9 36.9 31.6
併用薬:エチゾラム,塩酸ニカルジピン,フロセミド
 

【3】 塩酸ミルナシプラン

販売名(会社名) トレドミン錠15,同錠25(旭化成ファーマ)
薬効分類等 精神神経用剤
効能効果 うつ病・うつ状態

 

《使用上の注意(下線部追加改訂部分)》
[重要な基本的注意]
 
うつ症状を呈する患者は自殺企図のおそれがあるので,このような患者には,注意深く観察しながら投与すること。
 
[副作用(重大な副作用)]
 
重篤な皮膚障害:皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)等の重篤な皮膚障害があらわれることがあるので,観察を十分に行い,発熱,紅斑,そう痒感,眼充血,口内炎等があらわれた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと。
抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH):低ナトリウム血症,低浸透圧血症,尿中ナトリウム増加,高張尿,意識障害等を伴う抗利尿ホルモン不適合分泌症候群があらわれることがあるので,食欲不振,頭痛,嘔気,嘔吐,全身倦怠感等があらわれた場合には電解質の測定を行い,異常が認められた場合には投与を中止し,水分摂取制限等の適切な処置を行うこと。

 
[高齢者への投与] 高齢者での体内薬物動態試験で,血中濃度が上昇し,薬物の消失が遅延する傾向が認められているので,少量(1日30mg)から投与を開始するとともに患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。また,低ナトリウム血症,抗利尿ホルモン不適合分泌症候群は主に高齢者において報告されているので,注意すること。
〈参   考〉 企業報告

 

症例の概要

NO. 患者 1日投与量
投与期間
副作用 備考
性・
年齢
使用理由
(合併症)
経過及び処置
1
80代
うつ状態
(パーキンソン病,神経因性膀胱)
30mg
11日間
薬疹(Stevens-Johnson症候群)
投与開始日 本剤30mgの投与開始。
投与9日目 体幹,四肢に発赤疹,眼球,眼瞼結膜の充血。口内も疼痛あり,食事不能となる。口腔内は明らかな粘膜疹は認めなかったが,水分,食物がしみるとの訴えあり。
投与11日目
(投与中止日)
家族より電話連絡あり。本剤中止の指示。
中止1日後 当科外来受診し,入院。塩酸トリヘキシフェニジル,カルバゾクロムスルホン酸ナトリウム,カリジノゲナーゼ,塩酸プロピベリン,カンデサルタンシレキセチルの投与中止。
皮膚科へコンサルトし,同日よりプレドニゾロン60mg,セフォペラゾンナトリウム・スルバクタムナトリウム配合剤を開始。
中止17日後 プレドニゾロンを20mgまで減量。
皮疹は入院時より悪化はなく,改善しつつある。
中止32日後 回復。
パッチテスト:本剤(+)。併用薬は未実施。
企業報告
併用薬:塩酸トリヘキシフェニジル,レボドパ・カルビドパ配合剤,カルバゾクロムスルホン酸ナトリウム,カリジノゲナーゼ,塩酸プロピベリン,カンデサルタンシレキセチル

 

NO. 患者 1日投与量
投与期間
副作用 備考
性・
年齢
使用理由
(合併症)
経過及び処置
2
90代
活気低下
(脳梗塞,細菌感染症)
50mg
20日間

25mg
6日間
低ナトリウム血症
投与7日前 右下半身の痺れを発症し,脳梗塞疑いにて入院。入院時より活気低下,著明な食欲低下のため,1000~1900mLの輸液を行っていた。
投与開始日 本剤50mgを投与開始。
投与10日目 同日より低ナトリウム血症出現。その後,徐々に増悪。
投与11日目 尿路感染症にてスルバクタムナトリウム・アンピシリンナトリウム配合剤投与(投与18日目まで)。
投与18日目 CRP陰性化し,尿路感染症改善。
投与21日目 本剤25mgに減量。
投与24日目 血清ナトリウム118mEq/Lと著明低下した。
投与25日目 再度尿路感染症発症。スルバクタムナトリウム・セフォペラゾンナトリウム配合剤投与(中止5日後まで)するも増悪。禁食。
投与26日目
(投与中止日)
本剤の投与中止。同日よりTotalナトリウム155mEq/日の輸液を行った。
中止2日後 尿中ナトリウムを測定したところ,正常範囲。
中止3日後 血清ナトリウム112mEq/L。
中止5日後 うっ血を考慮し,ナトリウム71mEq/日の輸液とした。
中止6日後 血清ナトリウム117mEq/Lと依然低値で,ADH高値。多臓器不全,DIC疑いにて死亡。死亡時は著明な代謝性アシドーシスを呈していた。
死因:全体的な全身状態低下,尿路感染症,多臓器不全,DIC,低ナトリウム血症
剖検:なし
企業報告
臨床検査値
   投与
7日前
投与
10日目
投与
14日目
投与
18日目
投与
24日目
中止
2日後
中止
3日後
中止
4日後
中止
6日後
Na(mEq/L) 141 133 130 128 118 112 117
総蛋白(g/dL) 7.7 7.2 5.8 6.3 6.2 5.7 4.8
BUN(mg/dL) 20 15 21 13 20 14 53
血清クレアチニン(mg/dL) 0.8 0.8 0.6 0.7 0.5 0.3 1.2
白血球数(/mm3 6900 7300 11700 9400 5300 7300 5700
CRP(mg/dL) 0.2 1.57 6.4 0.7 3.14 3.3 16.1
AST(GOT)(IU/L) 19 36 32 60 17 17 143
ALT(GPT)(IU/L) 5 53 27 65 18 15 112
アミラーゼ(IU/L) 45 54 46 82 90 125 455
K(mEq/L) 4.1 4.0 3.9 3.8 3.7 3.8 5.7
尿中Na(蓄尿)(g/日) 3.8
尿中K(蓄尿)(g/日) 5.8
尿中Cl(蓄尿)(g/日) 1.4
尿中Na(mEq/L) 25
尿中K(mEq/L) 34
尿中Cl(mEq/L) 59.9
AVP(ADH)(pg/mL) 36.9
併用薬:塩酸ラニチジン,アスピリン,水酸化アルミニウムゲル・水酸化マグネシウム配合剤,スルピリド,スルバクタムナトリウム・アンピシリンナトリウム配合剤,アシクロビル,メトクロプラミド,ドンペリドン,スルバクタムナトリウム・セフォペラゾンナトリウム配合剤,オメプラゾールナトリウム
 

【4】 シスプラチン

販売名(会社名) シスプラチン注「マルコ」10mg,同注25mg,同注50mg(マルコ製薬)
シスプラメルク注射液0.05%(10mg),同注(50mg)(メルク・ホエイ)
ブリプラチン注10mg,同注25mg,同注50mg(ブリストル製薬)
プラトシン注10,同注25,同注50(ファイザー)
ランダ注10mg,同注25mg,同注50mg(日本化薬)
薬効分類等 その他の腫瘍用薬
効能効果 睾丸腫瘍,膀胱癌,腎盂,尿管腫瘍,前立腺癌,卵巣癌,頭頸部癌,非小細胞肺癌,食道癌,子宮頸癌,神経芽細胞腫,胃癌,小細胞肺癌,骨肉腫

 

《使用上の注意(下線部追加改訂部分)》
[副作用(重大な副作用)] 心筋梗塞,狭心症,うっ血性心不全,不整脈:心筋梗塞,狭心症(異型狭心症を含む),うっ血性心不全,不整脈(心室細動,心停止,心房細動,徐脈等)があらわれることがあるので,観察を十分に行い,胸痛,失神,息切れ,動悸,心電図異常等が認められた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと。
抗利尿ホルモン不適合分泌症候群:低ナトリウム血症,低浸透圧血症,尿中ナトリウム排泄量の増加,高張尿,痙攣,意識障害等を伴う抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)があらわれることがあるので,このような症状があらわれた場合には投与を中止し,水分摂取の制限等の適切な処置を行うこと。
劇症肝炎,肝機能障害,黄疸:劇症肝炎,肝機能障害,黄疸があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には減量,休薬,中止等の適切な処置を行うこと。
消化管出血,消化性潰瘍,消化管穿孔:消化管出血,消化性潰瘍,消化管穿孔があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には減量,休薬,中止等の適切な処置を行うこと。
急性膵炎:急性膵炎があらわれることがあるので,観察を十分に行い,血清アミラーゼ値,血清リパーゼ値等に異常が認められた場合には投与を中止すること。
高血糖,糖尿病の悪化:高血糖,糖尿病の悪化があらわれることがあり,昏睡,ケトアシドーシスを伴う重篤な症例も報告されているので,血糖値や尿糖に注意するなど観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
横紋筋融解症:横紋筋融解症があらわれることがあるので,CK(CPK)上昇,血中及び尿中ミオグロビン上昇等が認められた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと。
〈参   考〉 企業報告

 

症例の概要

NO. 患者 1日投与量
投与期間
副作用 備考
性・
年齢
使用理由
(合併症)
経過及び処置
1
60代
食道癌再発
(なし)
10mg
9日間
(4回)

65mg
22日間
(2回)
横紋筋融解症
中止4日後 昼過ぎより発熱を伴い,下痢頻回となる。感染性腸炎と診断し,整腸剤投与,抗生剤点滴,輸液投与を行う。
中止5日後 昼前,血圧の低下,収縮期血圧60mmHg台となる。塩酸ドパミン,塩酸ドブタミンの点滴を始める。夜に尿量低下,輸液+利尿剤投与するも反応せず。また,呼吸状態悪く挿管。血液検査上CK15705IU/L,翌日には51280IU/Lまで上昇。
中止6日後 午前9時高カリウム血症によると思われる心室性頻拍発症。ECG上フラットに,CPR(心肺蘇生法)施行するも反応せず。
午前9時55分死亡。
考えられる死亡原因:横紋筋融解症に伴う急性腎不全
企業報告
臨床検査値
   投与
6日前
投与
3日目
投与
21日目
投与
25日目
投与46日目
(中止日)
中止
4日後
中止
5日後
中止
6日後
赤血球数(×104/mm3 306 341 298 308 307 289 293 317
ヘモグロビン量(g/dL) 9.0 9.7 9.3 9.6 9.8 9.2 9.5 10.4
ヘマトクリット値(%) 27.1 30.1 27.1 28.5 29.0 27.4 28.0 30.5
白血球数(/mm3 6100 5700 3100 2900 4300 2400 7000 14300
血小板数(×104/mm3 25.5 26.1 21.6 26.8 23.0 22.5 20.1 6.7
BUN(mg/dL) 21 9 11 12 12 17 37 47
血清クレアチニン(mg/dL) 1.0 0.9 0.7 0.9 0.8 0.9 2.7 3.7
血清Na(mEq/L) 140 137 137 138 136 135 132 139
血清K(mEq/L) 4.3 4.9 4.5 4.5 4.7 4.7 4.3 4.7
総蛋白(g/dL) 6.3 6.2 5.8 6.2 6.1 5.8 4.2 3.6
総ビリルビン(mg/dL) 0.18 0.31 0.17 0.37 0.43 0.31 0.26 0.98
GOT(IU/L) 27 25 25 23 18 16 105 1719
GPT(IU/L) 22 19 18 15 19 12 28 647
A1-P(IU/L) 332 313 282 264 293 274 178 143
γ-GTP(IU/L) 65 67 71 69 80 75 72 63
LDH(IU/L) 254 291 145 185 204 188 247 3132
CRP(mg/dL) 0.3 0.9 9.2 15.8
CK(IU/L) 15705 51280
クレアチニン・クリアランス(mL/分) 63.2 40 55 54
尿蛋白 (-) (-) (±) (-) (-) (-) (-) (+)
尿潜血 (-) (-) (-) (-) (-) (-) (-) (+)
尿量(mL/日) 2500 1600 1150 1000 1015
併用薬:フルオロウラシル,ホリナートカルシウム,セフタジジム,ファモチジン,塩酸ブロムヘキシン

 

NO. 患者 1日投与量
投与期間
副作用 備考
性・
年齢
使用理由
(合併症)
経過及び処置
2
50代
直腸癌(再発)IV期
(なし)
10mg
3日間

5mg
4日間

3mg
18日間

2mg
25日間
耐糖能異常
投与21日前 著明な食欲不振,全身倦怠感のため当科入院。精査の結果,直腸癌局所再発と診断。
投与開始日 症状が安定したため,本剤10mg,フルオロウラシル250mgを開始。
投与2日目 全身倦怠感増悪。
投与4日目 本剤5mgに減量,フルオロウラシルを1000mgに増量。
酢酸プレドニゾロン20mg,塩酸モルヒネ100mgを投与。
投与7日目
(投与中止日)
嘔気が強く投与中止。
中止8日後
(再投与開始日)
本剤3mg,フルオロウラシルを500mgで投与再開。
再投与18日目 耐糖能異常発現。
再投与20日目
(投与中止日)
血糖値が640mg/dLと急上昇。電解質異常,尿量増加,脱水,全身倦怠感の増悪を認める。本剤,フルオロウラシル,酢酸プレドニゾロン,高カロリー輸液の投与を中止し,電解質補正により改善した。
企業報告
臨床検査値
   投与16日前 投与4日目 再投与14日目 中止2日後 中止29日後 中止65日後
赤血球数(×104/mm3 359 318 422 382 277 348
ヘモグロビン量(g/dL) 10.0 8.4 11.8 10.7 8.6 11.0
白血球数(/mm3 6800 6510 4390 3390 3080 4930
血小板数(×104/mm3 53.3 46.9 17.5 22.4 31.4 17.7
BUN(mg/dL) 15.8 18.1 21.1 9.2 3.2 11.6
血清クレアチニン(mg/dL) 0.68 0.97 0.44 0.43 0.41 0.53
血糖 640 190 128
尿糖 3+ 1+
併用薬:フルオロウラシル,酢酸プレドニゾロン,高カロリー輸液

 

NO. 患者 1日投与量
投与期間
副作用 備考
性・
年齢
使用理由
(合併症)
経過及び処置
3
70代
食道癌
〔肝機能障害(原因不明)〕
17mg
5日間
劇症肝炎
投与24日前 入院時GOT53IU/L,GPT61IU/Lと軽度の肝機能障害を認めた。
投与3日前 肋骨痛に対してロキソプロフェンナトリウム180mg×15日間連続投与。
投与開始日 放射線化学療法開始直前のデータでは,GOT182IU/L,GPT187IU/Lと肝障害を認めた。
食道癌(T3N1M0,StageIII)に対して本剤17mg×5日間連続及びフルオロウラシル1125mg×5日間連続並びに放射線照射(部位:頸部,胸部,腹部;総線量:21Gy)11日間連続治療開始。
終了3日後 GOT1720IU/L,GPT1540IU/Lと肝機能障害の増悪を認めた。
終了7日後 肝性脳症(II度)が出現,プロトロンビン時間18%と低下し劇症肝炎と診断。血漿交換を施行(6日間連日)。
終了12日後 永眠。
企業報告
臨床検査値
   投与24日前 投与8日目 投与12日目 投与16日目
白血球数(/mm3 9500 7100 6900 5000
プロトロンビン時間(%) 76 18 26
GOT(IU/L) 53 1720 984 42
GPT(IU/L) 61 1540 1149 59
LDH(IU/L) 371 1241 1085 450
総ビリルビン(mg/dL) 0.6 3.9 11.6 8.5
BUN(mg/dL) 15 34 30 26
CRP(mg/dL) 3.8 6.9 3.8
併用薬:フルオロウラシル,ロキソプロフェンナトリウム,ニフェジピン,塩酸アモスラロール

 

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使用上の注意の改訂について(その151)

 前号(医薬品・医療用具等安全性情報 No.195)以降に改訂を指導した医薬品の使用上の注意(本号の「2 重要な副作用等に関する情報」で紹介したものを除く。)について,改訂内容,主な該当販売名,参考文献等をお知らせいたします。

 

1 〈解熱鎮痛消炎剤〉
イブプロフェン
[販売名] ブルフェン顆粒,同錠,同錠200(科研製薬)他
[副作用(重大な副作用)] 再生不良性貧血,溶血性貧血,無顆粒球症,血小板減少:再生不良性貧血,溶血性貧血,無顆粒球症,血小板減少があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと。
〈参   考〉 企業報告

 

2 〈解熱鎮痛消炎剤〉
エトドラク
[販売名] オステラック錠100,同錠200(日本ワイスレダリー),ハイペン錠100mg,同錠200mg(日本新薬)他
[副作用(重大な副作用)] 汎血球減少,溶血性貧血,無顆粒球症,血小板減少:汎血球減少,溶血性貧血,無顆粒球症,血小板減少があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には本剤の投与を中止するなど,適切な処置を行うこと。
好酸球性肺炎,間質性肺炎:好酸球性肺炎,間質性肺炎があらわれることがあるので,観察を十分に行い,発熱,咳嗽,呼吸困難,胸部X線上の異常陰影等の異常が認められた場合には本剤の投与を中止し,副腎皮質ホルモン剤投与等の適切な処置を行うこと。
〈参   考〉 企業報告

 

3 〈血圧降下剤〉
メチクラン
[販売名] アレステン錠(日本新薬)他
[副作用(重大な副作用)] 血小板減少:血小板減少があらわれることがあるので,血液検査を行うなど観察を十分に行い,異常が認められた場合には直ちに投与を中止すること。
〈参   考〉 企業報告

 

4 〈消化性潰瘍用剤〉
オメプラゾール
オメプラゾールナトリウム
[販売名] オメプラゾン錠10mg,同錠20mg(三菱ウェルファーマ),オメプラール錠10,同錠20(アストラゼネカ)
オメプラール注用20(アストラゼネカ)
[副作用(重大な副作用)] 錯乱状態:せん妄,異常行動,失見当識,幻覚,不安,焦燥,攻撃性等があらわれることがあるので,異常が認められた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと。
〈参   考〉 企業報告

 

5 〈他に分類されない代謝性医薬品〉
アレンドロン酸ナトリウム水和物(経口剤)
[販売名] フォサマック錠5(萬有製薬),ボナロン錠5mg(帝人)
[副作用(重大な副作用)] 低カルシウム血症:痙攣,テタニー,しびれ,失見当識,QT延長等を伴う低カルシウム血症があらわれることがあるので,異常が認められた場合にはカルシウム剤の点滴投与等を考慮すること。
皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群),中毒性表皮壊死症(Lyell症候群):皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群),中毒性表皮壊死症(Lyell症候群)等の重篤な皮膚症状があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には直ちに適切な処置を行うこと。
〈参   考〉 企業報告

 

6 〈他に分類されない代謝性医薬品〉
アレンドロン酸ナトリウム水和物(注射剤)
[販売名] オンクラスト注射液5mg,同注射液10mg(萬有製薬),テイロック注5mg,同注10mg(帝人)
[副作用(重大な副作用)] 低カルシウム血症:痙攣,テタニー,しびれ,失見当識,QT延長等を伴う低カルシウム血症があらわれることがあるので,異常が認められた場合にはカルシウム剤の点滴投与等を考慮すること。
皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群),中毒性表皮壊死症(Lyell症候群):皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群),中毒性表皮壊死症(Lyell症候群)等の重篤な皮膚症状があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には直ちに適切な処置を行うこと。
〈参   考〉 企業報告

 

7 〈他に分類されない代謝性医薬品〉
タクロリムス水和物(経口剤,注射剤)
[販売名] プログラフ顆粒0.2mg,同顆粒1mg,同カプセル0.5mg,同カプセル1mg,同カプセル5mg,同注射液5mg(富山フジサワ)
[重要な基本的注意] 過度の免疫抑制により感染に対する感受性の上昇,リンパ腫等の悪性腫瘍発生の可能性があるので,十分注意すること。
[副作用(重大な副作用)] リンパ腫等の悪性腫瘍:Epstein-Barrウイルスに関連したリンパ増殖性疾患あるいはリンパ腫(初期症状:発熱,リンパ節腫大等)があらわれることがあるので,このような症状があらわれた場合には,減量・休薬等の適切な処置を行うこと。特に2歳未満の乳幼児例又は抗リンパ球抗体の併用例において,発現の可能性が高い。また,過度の免疫抑制により,悪性腫瘍発現の可能性が高まることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には,減量・休薬等の適切な処置を行うこと。
〈参   考〉 企業報告

 

8 〈抗腫瘍性抗生物質製剤〉
塩酸アムルビシン
[販売名] カルセド注射用20mg,同注射用50mg(住友製薬)
[警告]
本剤の使用にあたっては,患者又はその家族に有効性及び危険性を十分説明し,同意を得てから投与を開始すること。
本剤との因果関係が否定できない間質性肺炎の増悪あるいは重篤な骨髄機能抑制に起因する重篤な感染症(敗血症,肺炎等)の発現による死亡例が報告されているので,投与中に感染徴候に十分留意し,異常が認められた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと。
本剤は,緊急時に十分に措置できる医療施設及び癌化学療法に十分な経験を持つ医師のもとで,本剤が適切と判断される患者にのみ投与すること。    
[副作用(重大な副作用)] 骨髄機能抑制:汎血球減少,白血球減少,好中球減少,貧血,血小板減少等があらわれることがあるので,末梢血液の観察を十分に行い,異常が認められた場合には,減量,休薬等適切な処置を行うこと。また,高度な骨髄機能抑制に起因する重篤な感染症(肺血症,肺炎等)の発現による死亡例が報告されているので,投与中に感染徴候に十分留意し,異常が認められた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと。
胃・十二指腸潰瘍:吐血,下血,穿孔を伴う胃・十二指腸潰瘍があらわれることがあるので,患者の状態を十分に観察すること。異常が認められた場合には,投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
〈参   考〉 企業報告

 

9 〈その他のアレルギー用薬〉
モンテルカストナトリウム
[販売名] キプレス錠10,同チュアブル錠5(杏林製薬),シングレア錠10,同チュアブル錠5(萬有製薬)
[副作用(重大な副作用)] 肝機能障害,黄疸:胆汁うっ滞性肝炎を含む肝機能障害があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止し適切な処置を行うこと。
〈参   考〉 企業報告

 

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お知らせ

NTTのファクシミリ通信網サービス「Fネット」を通じ,最近1年間の「医薬品・医療用具等安全性情報」がお手元のファクシミリから随時入手できます(利用者負担)。

「Fネット」への加入等についての問い合わせ先:0120-161-011

なお,医薬品情報提供ホームページ(http://www.pharmasys.gr.jp/)又は厚生労働省ホームページ(http://www.mhlw.go.jp/)からも入手可能です。