目次
この医薬品・医療用具等安全性情報は, 厚生労働省において収集された副作用情報をもとに, 医薬品・医療用具等のより安全な使用に役立てていただくために, 医療関係者に対して情報提供されるものです。
平成15年(2003年)12月
厚生労働省医薬食品局
No. | 医薬品等 | 対策 | 情報の概要 |
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1 | ポリカーボネート製などの医療用具の破損(クラック)について | ポリカーボネート樹脂は, その特徴として, 耐衝撃性, 耐熱性, 透明性などが挙げられ, また精密な成形が可能であることから医療用具の分野で広く使用されている。一方, その欠点として耐薬品性及び伸展強度の弱さが挙げられており, 全身麻酔剤プロポフォールや免疫抑制剤シクロスポリンにより, 当該樹脂製の三方活栓に破損(クラック)が生じたとの報告がされているところである。 このことから, 脂肪乳剤(又は脂肪乳剤を含有する製剤), 油性成分, 界面活性剤及びエタノール等の溶解補助剤を含む注射剤によるポリカーボネート製医療用具の破損発生リスクについて, 日本医療器材工業会を中心に検討した結果が取りまとめられたので紹介する。 |
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2 | 塩酸エタンブトール他(3件) | 使 症 |
前号(医薬品・医療用具等安全性情報No.195)以降に改訂を指導した医薬品の使用上の注意のうち重要な副作用等について, 改訂内容, 参考文献等とともに改訂の根拠となった症例の概要に関する情報を紹介する。 |
3 | イブプロフェン他(8件) | 使用上の注意の改訂について(その151) |
緊:緊急安全性情報の配布 使:使用上の注意の改訂 症:症例の紹介
ポリカーボネート製などの医療用具の破損(クラック)について
(1)経緯
これまでに, 全身麻酔剤プロポフォールを持続注入中に, 輸液ラインで使用していたポリカーボネート製三方活栓のメスコネクター部分に破損(クラック)が生じ, 液漏れ及び逆血が起こり, 患者に対しても体内注入量の不足による不穏症状が惹起されたという事象が報告されている。また, 同様の破損事例が免疫抑制剤シクロスポリンにおいても発生している。このことから平成14年11月及び平成15年5月の二度にわたり, 脂肪乳剤(又は脂肪乳剤を含有する製剤), 油性成分, 界面活性剤及びアルコール等の溶解補助剤を含み, かつ投与が持続的に行われる可能性のある注射剤がポリカーボネート製の医療用具を破損するおそれがないかについて, 自主点検を行うよう指示してきたところである。
これらの指示を受けて, ポリカーボネート製製品の破損の発生リスクについて日本医療器材工業会を中心に検討してきた結果が取りまとめられたので紹介する。
(2)試験方法
ポリカーボネート製品として, 使用頻度の高い三方活栓を用い破損の有無を調査した。具体的な試験方法等は以下の通り。
1)三方活栓の接合方法
オスコネクターはロック構造のものを使用し, 接合の際は三方活栓のメスコネクター部分に薬剤を数滴溜めた状態でロックを締め付け, 締め付け強度はトルクゲージにて測定した。
2)締め付け強度
一般的な締め付け強度と想定される15cN・m及び男性の医療従事者が強く締めた時の強度と推定される40cN・mの2種類を設定した。
3)締め付け回数
以下の2種類の方法を設定した。
(1)第1法:初回接合後, 繰り返しのロック締め付けを行わない方法。
(2)第2法注):初回接合後, 1時間目に破損状況を確認後, 三方活栓とオスコネクターの接続を一旦はずし, 再度薬剤を数滴溜めて所定の強度で締め付けを行う。その後, 観察時間毎に同様の着脱操作を繰り返す方法。
注) | 第2法は, 実際の臨床現場において, 点滴薬剤を交換等する際, 事故防止の観点から三方活栓などのコネクター部分を頻回に締め直す操作が行われていることに鑑み, 三方活栓のメスコネクター部分に製剤を数滴溜めた状態(常に一定濃度の薬剤がポリカーボネートに接触した状態)で繰り返し締め付けを行う方法。 |
4)観察時間
破損の確認は, 締め付け1時間後, 1日後, 2日後, 3日後, 4日後及び7日後に行った。
5)破損の判別法
目視により三方活栓のメスコネクター部にひび割れが明らかに確認され, 圧力20kPaのエアーによる水没試験の結果, エアーリークが観測されたものを破損とした。
6)試験薬剤
(1)脂肪乳剤及び脂肪乳剤含有製剤, (2)油性成分(ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油)含有製剤, (3)界面活性剤(ポリソルベート, プロピレングリコール及びエチレンジアミン)含有製剤, (4)アルコール成分(ベンジルアルコール)を含む製剤のうち, 各成分の添加濃度が高い製剤を選択した。
(3)試験結果
1)脂肪乳剤及び脂肪乳剤含有製剤
(脂肪乳剤の濃度(%)) | 第1法 | 第2法 | ||||
観察時間 | 15cN・m | 40cN・m | 観察時間 | 15cN・m | 40cN・m | |
生理食塩液 (0%) |
1時間 | 0% | 0% | 1時間 | 0% | 0% |
1日 | 0% | 0% | 1日 | 0% | 0% | |
2日 | 0% | 0% | 2日 | 0% | 0% | |
3日 | 0% | 0% | 3日 | 0% | 0% | |
4日 | 0% | 0% | 4日 | 0% | 0% | |
7日 | 0% | 0% | 7日 | 0% | 0% | |
薬剤A (10%) |
1時間 | 0% | 0% | 1時間 | 0% | 0% |
1日 | 0% | 0% | 1日 | 0% | 0% | |
2日 | 0% | 0% | 2日 | 0% | 5.0% | |
3日 | 0% | 0% | 3日 | 7.5% | 5.0% | |
4日 | 0% | 0% | 4日 | 10.0% | 15.0% | |
7日 | 0% | 0% | 7日 | 17.5% | 47.5% | |
薬剤B (10%) |
1時間 | 0% | 0% | 1時間 | 0% | 0% |
1日 | 0% | 0% | 1日 | 0% | 0% | |
2日 | 0% | 0% | 2日 | 0% | 0% | |
3日 | 0% | 0% | 3日 | 0% | 13.3% | |
4日 | 0% | 0% | 4日 | 10.0% | 23.3% | |
7日 | 0% | 0% | 7日 | 20.0% | 40.0% | |
薬剤C (10%) |
1時間 | 0% | 0% | 1時間 | 0% | 0% |
1日 | 0% | 0% | 1日 | 0% | 10.0% | |
2日 | 0% | 0% | 2日 | 5.0% | 20.0% | |
3日 | 0% | 0% | 3日 | 5.0% | 40.0% | |
4日 | 0% | 0% | 4日 | 10.0% | 50.0% | |
7日 | 0% | 0% | 7日 | 15.0% | 50.0% | |
薬剤D (20%) |
1時間 | 0% | 0% | 1時間 | 0% | 0% |
1日 | 0% | 0% | 1日 | 0% | 0% | |
2日 | 0% | 0% | 2日 | 0% | 17.1% | |
3日 | 0% | 0% | 3日 | 2.9% | 32.9% | |
4日 | 0% | 0% | 4日 | 7.1% | 41.4% | |
7日 | 0% | 0% | 7日 | 17.1% | 60.0% |
注)試験検体数は, 各薬剤の試験方法毎に10~70個使用 |
2)油性成分, 界面活性剤及び溶解補助剤を含む製剤
(含有成分) | 第1法 | 第2法 | ||||
観察時間 | 15cN・m | 40cN・m | 観察時間 | 15cN・m | 40cN・m | |
薬剤E (ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油) (希釈なし) |
1時間 | 0% | 0% | 1時間 | 0% | 0% |
1日 | 0% | 0% | 1日 | 0% | 0% | |
2日 | 0% | 0% | 2日 | 0% | 1.4% | |
3日 | 0% | 0% | 3日 | 1.4% | 2.9% | |
4日 | 0% | 0% | 4日 | 1.4% | 2.9% | |
7日 | 0% | 0% | 7日 | 1.4% | 7.1% | |
薬剤F (ポリソルベート) (希釈なし) |
1時間 | 0% | 0% | 1時間 | 0% | 0% |
1日 | 0% | 0% | 1日 | 0% | 16.7% | |
2日 | 0% | 0% | 2日 | 0% | 30.0% | |
3日 | 0% | 0% | 3日 | 0% | 46.7% | |
4日 | 0% | 0% | 4日 | 0% | 46.7% | |
7日 | 0% | 0% | 7日 | 3.3% | 46.7% | |
薬剤F (ポリソルベート) (50倍希釈) |
1時間 | 0% | 0% | 1時間 | 0% | 0% |
1日 | 0% | 0% | 1日 | 0% | 0% | |
2日 | 0% | 0% | 2日 | 0% | 0% | |
3日 | 0% | 0% | 3日 | 0% | 0% | |
4日 | 0% | 0% | 4日 | 0% | 0% | |
7日 | 0% | 0% | 7日 | 0% | 0% | |
薬剤G (プロピレングリコール, エチレンジアミン) (希釈なし) |
1時間 | 0% | 0% | 1時間 | 0% | 0% |
1日 | 0% | 8.6% | 1日 | 1.4% | 25.7% | |
2日 | 0% | 22.9% | 2日 | 1.4% | 48.6% | |
3日 | 0% | 37.1% | 3日 | 5.7% | 70.0% | |
4日 | 0% | 44.3% | 4日 | 8.6% | 77.1% | |
7日 | 4.3% | 55.8% | 7日 | 12.9% | 81.4% | |
薬剤H (ベンジルアルコール) (希釈なし) |
1時間 | 0% | 0% | 1時間 | 0% | 0% |
1日 | 0% | 0% | 1日 | 0% | 0% | |
2日 | 0% | 0% | 2日 | 0% | 0% | |
3日 | 0% | 0% | 3日 | 0% | 2.9% | |
4日 | 0% | 0% | 4日 | 0% | 2.9% | |
7日 | 0% | 0% | 7日 | 0% | 5.7% |
注)試験検体数は, 各薬剤の試験方法毎に30~70個使用 |
(4)考察
ポリカーボネート樹脂は, その特徴として, 耐衝撃性, 耐熱性, 透明性などが挙げられ, また精密な成形が可能であることから医療用具の分野で汎用されているが, その欠点として耐薬品性, 伸展強度の弱さが挙げられている。
上記の試験結果から, 繰り返し締め付けを行わない場合は一部の成分を除き, 三方活栓が破損することはなく, また, 締め付け圧が通常程度であればいずれの薬剤に対しても数日間の使用に耐えうることが確認された。
一方, 繰り返し締め付けを行うと, ほとんどの薬剤で2~3日以上の使用で三方活栓の破損が観察されはじめ, 締め付け圧が強いほど破損率が高くなることが示唆された。
脂肪乳剤については, 破損が含有濃度にかかわらず, 繰り返し締め付け及びその締め付け強度に依存していた。
一方, 油性成分, 界面活性剤及び溶解補助剤を含む製剤については, 脂肪乳剤とほぼ同様の結果であったが, 希釈によって三方活栓の破損がなくなるケースも確認され, 用法・用量の範囲内において希釈して使用する薬剤については, 可能な限り希釈して使用することにより三方活栓の破損率が著しく軽減できることが期待された。
今回の試験結果から, 破損は繰り返し締め付けを行うという物理的条件と薬剤の接触時間との相乗作用によるものと推察される。
なお, ポリカーボネート樹脂以外に他のプラスチック製品として, ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体)樹脂やPMMA(ポリメチルメタクリレート)樹脂を含む医療用具についても同様の破損が考えられることから, 注意が必要であると考えられる。
(5)医療機関への注意事項
各薬剤に含有される脂肪乳剤, 界面活性剤, 安定化剤などの成分のポリカーボネート樹脂等の医療用具への影響については, 現在各製薬企業において試験を実施中であるが, 試験の結果, 臨床使用上想定される濃度で当該医療用具が破損する可能性が明らかになった薬剤については, 既に添付文書において注意喚起済みである。また今回の試験結果から, 当該成分を含有する薬剤と接触する可能性のあるポリカーボネート樹脂等の医療用具においても, 破損の可能性を回避できるものについては, 既に当該医療用具の添付文書において破損のリスクについて注意喚起済みである。また, 内部構造にポリカーボネート樹脂が使用され, 直接に当該成分を含有する薬剤と接触する可能性がある薬液微量連続注入ポンプ等において, 操作上, 破損のリスクを回避できない場合には, 当該成分を含有する薬剤の使用を禁忌・禁止とするなどの措置を講じているところであるが, 医療機関においても以下の点に注意してポリカーボネート樹脂等の医療用具を使用するよう周知をお願いしたい。
1) | 上記成分を含む薬剤の長時間の点滴において, 当該成分が接触する三方活栓をはじめとする接続チューブコネクター部分を繰り返し締め付けることは, 極力避けること。 |
2) | 上記成分を含む注射剤を交換する際, できるだけコネクター部分を含むルートを同時に交換することが望ましいが, やむを得ず2~3日以上連続で使用する場合には, 頻回に注意して観察すること。さらにコネクター部分などが破損することがあることを念頭において, 当該製品の破損による失血, 空気混入等の事態に対応できるように準備を怠らないこと。 |
3) | がん化学療法時などにおいて, 水分調整のため, 希釈せずに高濃度のまま投与が行われる場合があるが, 破損の可能性を考慮して, 臨床上支障のない範囲で希釈して使用することが望ましい。 |
4) | ABS樹脂やPMMA樹脂なども上記成分を含む薬剤の点滴時の繰り返しの締め付けに対しては, ポリカーボネート樹脂と同様に脆弱であることから, これらの製品を含む医療用具を使用する場合にも注意すること。 |
重要な副作用等に関する情報
前号(医薬品・医療用具等安全性情報 No.195)以降に改訂を指導した医薬品の使用上の注意のうち重要な副作用等について, 改訂内容, 参考文献等とともに改訂の根拠となった症例の概要に関する情報を紹介いたします。
【1】 塩酸エタンブトール
販売名(会社名) | エサンブトール錠125mg, 同錠250mg(日本ワイスレダリー) エブトール125mg錠, 同250mg錠(科研製薬) |
薬効分類等 | 抗結核剤 |
効能効果 | 肺結核, その他の結核症 |
《使用上の注意(下線部追加改訂部分)》 | ||
[禁 忌] |
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[副作用(重大な副作用)] | ショック, アナフィラキシー様症状:ショック, アナフィラキシー様症状があらわれることがあるので, 観察を十分に行い, 呼吸困難, 全身潮紅, 血管浮腫(顔面浮腫, 喉頭浮腫等), 蕁麻疹等の異常が認められた場合には投与を中止し, 適切な処置を行うこと。 間質性肺炎, 好酸球性肺炎:間質性肺炎, 好酸球性肺炎があらわれることがあるので, 観察を十分に行い, 発熱, 咳嗽, 呼吸困難, 胸部X線異常等が認められた場合には投与を中止し, 副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。 |
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〈参 考〉 | 企業報告 |
症例の概要
NO. | 患者 | 1日投与量 投与期間 |
副作用 | 備考 | ||||||||||||||||||||||
性・ 年齢 |
使用理由 (合併症) |
経過及び処置 | ||||||||||||||||||||||||
1 | 男 70代 |
肺結核 (不安症, 不眠症) |
500mg 78日間 ↓ (3ヵ月間休薬) ↓ 500mg 34日間 |
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企業報告 | |||||||||||||||||||||
併用薬:リファンピシン, イソニアジド, カルボシステイン, 塩酸アンブロキソール, 塩酸リルマザホン, クロチアゼパム |
NO. | 患者 | 1日投与量 投与期間 |
副作用 | 備考 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||
性・ 年齢 |
使用理由 (合併症) |
経過及び処置 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
2 | 女 80代 |
肺結核 (なし) |
500mg 79日間 ↓ (8日間休薬) ↓ 500mg 5日間 |
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企業報告 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
併用薬:イソニアジド, リファンピシン, ピラジナミド, テプレノン, フロセミド, パンテチン, アロプリノール |
【2】 塩酸チクロピジン
販売名(会社名) | イパラジン錠(マルコ製薬) ジルペンダー錠(日新製薬) ソーパー100mg錠(日本薬品工業) ソロゾリン錠(小林化工) チクピロン細粒, 同錠(メディサ新薬) ニチステート細粒10%, 同錠(日本医薬品工業) ネオピジン錠(オリエンタル薬品工業) パチュナ錠(東和薬品) パナピジン錠(日本ヘキサル) パナルジン細粒10%, 同錠(第一製薬) パラクロジン錠(三和化学研究所) ピエテネール錠(陽進堂) ピクロジン錠(太田製薬) ピクロナジン錠(大洋薬品工業) ヒシミドン錠(ニプロファーマ) ビーチロン錠(辰巳化学) ファルロジン錠(東洋ファルマー) プロパコール錠(日清キョーリン製薬) マイトジン錠(鶴原製薬) |
薬効分類等 | その他の血液・体液用薬 |
効能効果 | ○血管手術および血液体外循環に伴う血栓・塞栓の治療ならびに血流障害の改善 ○慢性動脈閉塞症に伴う潰瘍, 疼痛および冷感などの阻血性諸症状の改善 ○虚血性脳血管障害(一過性脳虚血発作(TIA), 脳梗塞)に伴う血栓・塞栓の治療 ○クモ膜下出血術後の脳血管攣縮に伴う血流障害の改善 |
《使用上の注意(下線部追加改訂部分)》 | |
[副作用(重大な副作用)] | 重篤な肝障害(劇症肝炎, 胆汁うっ滞型肝障害があらわれることがある) (初期症状:悪心・嘔吐, 食欲不振, 倦怠感, そう痒感, 眼球黄染, 皮膚の黄染, 褐色尿等) 著しいAST(GOT), ALT(GPT), ビリルビン, 総コレステロールの上昇を伴う肝機能障害があらわれることがある(特に投与開始後2か月以内)ので, 観察を十分に行い, 異常が認められた場合には投与を中止し, 肝機能検査を実施し, 必要に応じ適切な処置を行うこと。 下記の重大な副作用があらわれることがあるので, 観察を十分に行い, 異常が認められた場合には投与を中止し, 適切な処置を行うこと。 中毒性表皮壊死症(Lyell症候群), 皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群), 紅皮症, 多形滲出性紅斑 SLE様症状(発熱, 関節痛, 胸部痛, 胸水貯留, 抗核抗体陽性等) |
〈参 考〉 | 企業報告 |
症例の概要
NO. | 患者 | 1日投与量 投与期間 |
副作用 | 備考 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
性・ 年齢 |
使用理由 (合併症) |
経過及び処置 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
1 | 男 60代 |
脳梗塞 (高血圧症) |
200mg 649日間 |
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企業報告 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
臨床検査値
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併用薬:エチゾラム, 塩酸ニカルジピン, フロセミド |
【3】 塩酸ミルナシプラン
販売名(会社名) | トレドミン錠15, 同錠25(旭化成ファーマ) |
薬効分類等 | 精神神経用剤 |
効能効果 | うつ病・うつ状態 |
《使用上の注意(下線部追加改訂部分)》 | |
[重要な基本的注意] |
うつ症状を呈する患者は自殺企図のおそれがあるので, このような患者には, 注意深く観察しながら投与すること。 |
[副作用(重大な副作用)] |
重篤な皮膚障害:皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)等の重篤な皮膚障害があらわれることがあるので, 観察を十分に行い, 発熱, 紅斑, そう痒感, 眼充血, 口内炎等があらわれた場合には投与を中止し, 適切な処置を行うこと。 抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH):低ナトリウム血症, 低浸透圧血症, 尿中ナトリウム増加, 高張尿, 意識障害等を伴う抗利尿ホルモン不適合分泌症候群があらわれることがあるので, 食欲不振, 頭痛, 嘔気, 嘔吐, 全身倦怠感等があらわれた場合には電解質の測定を行い, 異常が認められた場合には投与を中止し, 水分摂取制限等の適切な処置を行うこと。 |
[高齢者への投与] | 高齢者での体内薬物動態試験で, 血中濃度が上昇し, 薬物の消失が遅延する傾向が認められているので, 少量(1日30mg)から投与を開始するとともに患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。また, 低ナトリウム血症, 抗利尿ホルモン不適合分泌症候群は主に高齢者において報告されているので, 注意すること。 |
〈参 考〉 | 企業報告 |
症例の概要
NO. | 患者 | 1日投与量 投与期間 |
副作用 | 備考 | ||||||||||||||||||||||
性・ 年齢 |
使用理由 (合併症) |
経過及び処置 | ||||||||||||||||||||||||
1 | 女 80代 |
うつ状態 (パーキンソン病, 神経因性膀胱) |
30mg 11日間 |
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企業報告 | |||||||||||||||||||||
併用薬:塩酸トリヘキシフェニジル, レボドパ・カルビドパ配合剤, カルバゾクロムスルホン酸ナトリウム, カリジノゲナーゼ, 塩酸プロピベリン, カンデサルタンシレキセチル |
NO. | 患者 | 1日投与量 投与期間 |
副作用 | 備考 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
性・ 年齢 |
使用理由 (合併症) |
経過及び処置 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
2 | 女 90代 |
活気低下 (脳梗塞, 細菌感染症) |
50mg 20日間 ↓ 25mg 6日間 |
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企業報告 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
臨床検査値
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併用薬:塩酸ラニチジン, アスピリン, 水酸化アルミニウムゲル・水酸化マグネシウム配合剤, スルピリド, スルバクタムナトリウム・アンピシリンナトリウム配合剤, アシクロビル, メトクロプラミド, ドンペリドン, スルバクタムナトリウム・セフォペラゾンナトリウム配合剤, オメプラゾールナトリウム |
【4】 シスプラチン
販売名(会社名) | シスプラチン注「マルコ」10mg, 同注25mg, 同注50mg(マルコ製薬) シスプラメルク注射液0.05%(10mg), 同注(50mg)(メルク・ホエイ) ブリプラチン注10mg, 同注25mg, 同注50mg(ブリストル製薬) プラトシン注10, 同注25, 同注50(ファイザー) ランダ注10mg, 同注25mg, 同注50mg(日本化薬) |
薬効分類等 | その他の腫瘍用薬 |
効能効果 | 睾丸腫瘍, 膀胱癌, 腎盂, 尿管腫瘍, 前立腺癌, 卵巣癌, 頭頸部癌, 非小細胞肺癌, 食道癌, 子宮頸癌, 神経芽細胞腫, 胃癌, 小細胞肺癌, 骨肉腫 |
《使用上の注意(下線部追加改訂部分)》 | |
[副作用(重大な副作用)] | 心筋梗塞, 狭心症, うっ血性心不全, 不整脈:心筋梗塞, 狭心症(異型狭心症を含む), うっ血性心不全, 不整脈(心室細動, 心停止, 心房細動, 徐脈等)があらわれることがあるので, 観察を十分に行い, 胸痛, 失神, 息切れ, 動悸, 心電図異常等が認められた場合には投与を中止し, 適切な処置を行うこと。 抗利尿ホルモン不適合分泌症候群:低ナトリウム血症, 低浸透圧血症, 尿中ナトリウム排泄量の増加, 高張尿, 痙攣, 意識障害等を伴う抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)があらわれることがあるので, このような症状があらわれた場合には投与を中止し, 水分摂取の制限等の適切な処置を行うこと。 劇症肝炎, 肝機能障害, 黄疸:劇症肝炎, 肝機能障害, 黄疸があらわれることがあるので, 観察を十分に行い, 異常が認められた場合には減量, 休薬, 中止等の適切な処置を行うこと。 消化管出血, 消化性潰瘍, 消化管穿孔:消化管出血, 消化性潰瘍, 消化管穿孔があらわれることがあるので, 観察を十分に行い, 異常が認められた場合には減量, 休薬, 中止等の適切な処置を行うこと。 急性膵炎:急性膵炎があらわれることがあるので, 観察を十分に行い, 血清アミラーゼ値, 血清リパーゼ値等に異常が認められた場合には投与を中止すること。 高血糖, 糖尿病の悪化:高血糖, 糖尿病の悪化があらわれることがあり, 昏睡, ケトアシドーシスを伴う重篤な症例も報告されているので, 血糖値や尿糖に注意するなど観察を十分に行い, 異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。 横紋筋融解症:横紋筋融解症があらわれることがあるので, CK(CPK)上昇, 血中及び尿中ミオグロビン上昇等が認められた場合には投与を中止し, 適切な処置を行うこと。 |
〈参 考〉 | 企業報告 |
症例の概要
NO. | 患者 | 1日投与量 投与期間 |
副作用 | 備考 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
性・ 年齢 |
使用理由 (合併症) |
経過及び処置 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
1 | 男 60代 |
食道癌再発 (なし) |
10mg 9日間 (4回) 65mg 22日間 (2回) |
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企業報告 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
臨床検査値
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併用薬:フルオロウラシル, ホリナートカルシウム, セフタジジム, ファモチジン, 塩酸ブロムヘキシン |
NO. | 患者 | 1日投与量 投与期間 |
副作用 | 備考 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
性・ 年齢 |
使用理由 (合併症) |
経過及び処置 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
2 | 女 50代 |
直腸癌(再発)IV期 (なし) |
10mg 3日間 5mg 4日間 3mg 18日間 2mg 25日間 |
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企業報告 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
臨床検査値
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併用薬:フルオロウラシル, 酢酸プレドニゾロン, 高カロリー輸液 |
NO. | 患者 | 1日投与量 投与期間 |
副作用 | 備考 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
性・ 年齢 |
使用理由 (合併症) |
経過及び処置 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
3 | 男 70代 |
食道癌 〔肝機能障害(原因不明)〕 |
17mg 5日間 |
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企業報告 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
臨床検査値
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併用薬:フルオロウラシル, ロキソプロフェンナトリウム, ニフェジピン, 塩酸アモスラロール |
使用上の注意の改訂について(その151)
前号(医薬品・医療用具等安全性情報 No.195)以降に改訂を指導した医薬品の使用上の注意(本号の「2 重要な副作用等に関する情報」で紹介したものを除く。)について, 改訂内容, 主な該当販売名, 参考文献等をお知らせいたします。
1 | 〈解熱鎮痛消炎剤〉 イブプロフェン |
[販売名] | ブルフェン顆粒, 同錠, 同錠200(科研製薬)他 |
[副作用(重大な副作用)] | 再生不良性貧血, 溶血性貧血, 無顆粒球症, 血小板減少:再生不良性貧血, 溶血性貧血, 無顆粒球症, 血小板減少があらわれることがあるので, 観察を十分に行い, 異常が認められた場合には投与を中止し, 適切な処置を行うこと。 |
〈参 考〉 | 企業報告 |
2 | 〈解熱鎮痛消炎剤〉 エトドラク |
[販売名] | オステラック錠100, 同錠200(日本ワイスレダリー), ハイペン錠100mg, 同錠200mg(日本新薬)他 |
[副作用(重大な副作用)] | 汎血球減少, 溶血性貧血, 無顆粒球症, 血小板減少:汎血球減少, 溶血性貧血, 無顆粒球症, 血小板減少があらわれることがあるので, 観察を十分に行い, 異常が認められた場合には本剤の投与を中止するなど, 適切な処置を行うこと。 好酸球性肺炎, 間質性肺炎:好酸球性肺炎, 間質性肺炎があらわれることがあるので, 観察を十分に行い, 発熱, 咳嗽, 呼吸困難, 胸部X線上の異常陰影等の異常が認められた場合には本剤の投与を中止し, 副腎皮質ホルモン剤投与等の適切な処置を行うこと。 |
〈参 考〉 | 企業報告 |
3 | 〈血圧降下剤〉 メチクラン |
[販売名] | アレステン錠(日本新薬)他 |
[副作用(重大な副作用)] | 血小板減少:血小板減少があらわれることがあるので, 血液検査を行うなど観察を十分に行い, 異常が認められた場合には直ちに投与を中止すること。 |
〈参 考〉 | 企業報告 |
4 | 〈消化性潰瘍用剤〉 オメプラゾール オメプラゾールナトリウム |
[販売名] | オメプラゾン錠10mg, 同錠20mg(三菱ウェルファーマ), オメプラール錠10, 同錠20(アストラゼネカ) オメプラール注用20(アストラゼネカ) |
[副作用(重大な副作用)] | 錯乱状態:せん妄, 異常行動, 失見当識, 幻覚, 不安, 焦燥, 攻撃性等があらわれることがあるので, 異常が認められた場合には投与を中止し, 適切な処置を行うこと。 |
〈参 考〉 | 企業報告 |
5 | 〈他に分類されない代謝性医薬品〉 アレンドロン酸ナトリウム水和物(経口剤) |
[販売名] | フォサマック錠5(萬有製薬), ボナロン錠5mg(帝人) |
[副作用(重大な副作用)] | 低カルシウム血症:痙攣, テタニー, しびれ, 失見当識, QT延長等を伴う低カルシウム血症があらわれることがあるので, 異常が認められた場合にはカルシウム剤の点滴投与等を考慮すること。 皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群), 中毒性表皮壊死症(Lyell症候群):皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群), 中毒性表皮壊死症(Lyell症候群)等の重篤な皮膚症状があらわれることがあるので, 観察を十分に行い, 異常が認められた場合には直ちに適切な処置を行うこと。 |
〈参 考〉 | 企業報告 |
6 | 〈他に分類されない代謝性医薬品〉 アレンドロン酸ナトリウム水和物(注射剤) |
[販売名] | オンクラスト注射液5mg, 同注射液10mg(萬有製薬), テイロック注5mg, 同注10mg(帝人) |
[副作用(重大な副作用)] | 低カルシウム血症:痙攣, テタニー, しびれ, 失見当識, QT延長等を伴う低カルシウム血症があらわれることがあるので, 異常が認められた場合にはカルシウム剤の点滴投与等を考慮すること。 皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群), 中毒性表皮壊死症(Lyell症候群):皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群), 中毒性表皮壊死症(Lyell症候群)等の重篤な皮膚症状があらわれることがあるので, 観察を十分に行い, 異常が認められた場合には直ちに適切な処置を行うこと。 |
〈参 考〉 | 企業報告 |
7 | 〈他に分類されない代謝性医薬品〉 タクロリムス水和物(経口剤, 注射剤) |
[販売名] | プログラフ顆粒0.2mg, 同顆粒1mg, 同カプセル0.5mg, 同カプセル1mg, 同カプセル5mg, 同注射液5mg(富山フジサワ) |
[重要な基本的注意] | 過度の免疫抑制により感染に対する感受性の上昇, リンパ腫等の悪性腫瘍発生の可能性があるので, 十分注意すること。 |
[副作用(重大な副作用)] | リンパ腫等の悪性腫瘍:Epstein-Barrウイルスに関連したリンパ増殖性疾患あるいはリンパ腫(初期症状:発熱, リンパ節腫大等)があらわれることがあるので, このような症状があらわれた場合には, 減量・休薬等の適切な処置を行うこと。特に2歳未満の乳幼児例又は抗リンパ球抗体の併用例において, 発現の可能性が高い。また, 過度の免疫抑制により, 悪性腫瘍発現の可能性が高まることがあるので, 観察を十分に行い, 異常が認められた場合には, 減量・休薬等の適切な処置を行うこと。 |
〈参 考〉 | 企業報告 |
8 | 〈抗腫瘍性抗生物質製剤〉 塩酸アムルビシン |
[販売名] | カルセド注射用20mg, 同注射用50mg(住友製薬) | |
[警告] |
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[副作用(重大な副作用)] | 骨髄機能抑制:汎血球減少, 白血球減少, 好中球減少, 貧血, 血小板減少等があらわれることがあるので, 末梢血液の観察を十分に行い, 異常が認められた場合には, 減量, 休薬等適切な処置を行うこと。また, 高度な骨髄機能抑制に起因する重篤な感染症(肺血症, 肺炎等)の発現による死亡例が報告されているので, 投与中に感染徴候に十分留意し, 異常が認められた場合には投与を中止し, 適切な処置を行うこと。 胃・十二指腸潰瘍:吐血, 下血, 穿孔を伴う胃・十二指腸潰瘍があらわれることがあるので, 患者の状態を十分に観察すること。異常が認められた場合には, 投与を中止するなど適切な処置を行うこと。 |
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〈参 考〉 | 企業報告 |
9 | 〈その他のアレルギー用薬〉 モンテルカストナトリウム |
[販売名] | キプレス錠10, 同チュアブル錠5(杏林製薬), シングレア錠10, 同チュアブル錠5(萬有製薬) |
[副作用(重大な副作用)] | 肝機能障害, 黄疸:胆汁うっ滞性肝炎を含む肝機能障害があらわれることがあるので, 観察を十分に行い, 異常が認められた場合には投与を中止し適切な処置を行うこと。 |
〈参 考〉 | 企業報告 |
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