目次
この医薬品・医療用具等安全性情報は, 厚生労働省において収集された副作用情報をもとに, 医薬品・医療用具等のより安全な使用に役立てていただくために, 医療関係者に対して情報提供されるものです。
平成16年(2004年)3月
厚生労働省医薬食品局
重要な副作用等に関する情報
前号(医薬品・医療用具等安全性情報 No.198)以降に改訂を指導した医薬品の使用上の注意のうち重要な副作用等について, 改訂内容, 参考文献等とともに改訂の根拠となった症例の概要に関する情報を紹介いたします。
【1】 塩酸ベラパミル(経口剤)
販売名(会社名) | ホルミトール錠(寿製薬) マゴチロン(鶴原製薬) ロシトール錠(大洋薬品工業) ワソラン錠(エーザイ) |
薬効分類等 | 血管拡張剤 |
効能効果 | 狭心症, 心筋梗塞(急性期を除く), その他の虚血性心疾患 |
《使用上の注意(下線部追加改訂部分)》 | ||
[禁 忌] |
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[副作用 (重大な副作用)] |
皮膚障害:皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群), 多形滲出性紅斑, 乾癬型皮疹等の重篤な皮膚障害があらわれることがあるので, 観察を十分に行い, 発熱, 紅斑, そう痒感, 眼充血, 口内炎等の症状があらわれた場合には投与を中止し, 適切な処置を行うこと。 | |
〈参 考〉 | 企業報告 |
症例の概要
NO. | 患者 | 1日投与量 投与期間 |
副作用 | 備考 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||
性・ 年齢 |
使用理由 (合併症) |
経過及び処置 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
1 | 女 70代 |
発作性頻拍症 (高血圧) |
120mg 15日間 |
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企業報告 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
併用薬:ニルバジピン |
【2】 ゾニサミド
販売名(会社名) | エクセグラン散, 同錠100mg(大日本製薬) エクセミド散20%, 同錠100mg(共和薬品工業) |
薬効分類等 | 抗てんかん剤 |
効能効果 | 部分てんかんおよび全般てんかんの下記発作型 ○部分発作 ・単純部分発作〔焦点発作(ジャクソン型を含む), 自律神経発作, 精神運動発作〕 ・複雑部分発作〔精神運動発作, 焦点発作〕 ・二次性全般化強直間代けいれん〔強直間代発作(大発作)〕 ○全般発作 ・強直間代発作〔強直間代発作(全般けいれん発作, 大発作)〕 ・強直発作〔全般けいれん発作〕 ・非定型欠神発作〔異型小発作〕 ○混合発作〔混合発作〕 |
《使用上の注意(下線部追加改訂部分)》 | |
[副作用 (重大な副作用)] |
横紋筋融解症:横紋筋融解症があらわれることがあるので, 観察を十分に行い, 筋肉痛, 脱力感, CK(CPK)上昇, 血中及び尿中ミオグロビン上昇等があらわれた場合には, 投与を中止し, 適切な処置を行うこと。また, 横紋筋融解症による急性腎不全の発症に注意すること。 |
〈参 考〉 | 企業報告 |
症例の概要
NO. | 患者 | 1日投与量 投与期間 |
副作用 | 備考 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
性・ 年齢 |
使用理由 (合併症) |
経過及び処置 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
1 | 男 30代 |
側頭葉てんかん (なし) |
200mg 15日間 |
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企業報告 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
臨床検査値
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併用薬:カルバマゼピン, クロナゼパム |
NO. | 患者 | 1日投与量 投与期間 |
副作用 | 備考 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
性・ 年齢 |
使用理由 (合併症) |
経過及び処置 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
2 | 男 80代 |
症候性てんかん (糖尿病, 老年期痴呆症, 前立腺癌, 肺癌, 転移性脳腫瘍) |
200mg 6日間 |
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企業報告 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
臨床検査値
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併用薬:ビカルタミド, ナフトピジル, グリベンクラミド, ボグリボース |
【3】 レフルノミド
販売名(会社名) | アラバ錠10mg, 同錠20mg, 同錠100mg(アベンティスファーマ) |
薬効分類等 | 他に分類されない代謝性医薬品 |
効能効果 | 関節リウマチ |
《使用上の注意(下線部追加改訂部分)》 | ||
[警 告] |
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[慎重投与] | 間質性肺炎, 肺線維症等の肺障害, 日和見感染による肺炎又はそれらの既往歴のある患者〔間質性肺炎が増悪し致死的な経過をたどる例が報告されている。〕 | |
[重要な基本 的注意] |
間質性肺炎の発症又は増悪が起こることがあり, 急速に発症, 悪化し, 致死的な経過をたどる例が報告されている。これらの症例の中には, 間質性肺炎, 肺線維症等の肺障害, 日和見感染による肺炎の合併又は既往歴のある患者, もしくはメトトレキサート, ブシラミンを含む他の抗リウマチ剤(DMARD)を最近まで投与されていたか又は投与中の患者が含まれていた。本剤の投与に際しては間質性肺炎, 肺線維症等の肺障害, 日和見感染による肺炎の合併又は既往の有無を確認した上で投与を開始すること。投与中は発熱, 咳嗽, 呼吸困難等の臨床症状やKL-6, CRP等の検査値に十分に注意し, 異常が認められた場合には, 速やかに胸部X線等の検査を実施し, 本剤の投与を中止するとともに副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。なお, 薬物除去法を実施することが望ましい。〔「副作用」, 「その他の注意」の項参照〕 | |
[副作用 (重大な副作用)] |
間質性肺炎:致死的な間質性肺炎が報告されているので, 発熱, 咳嗽, 呼吸困難等の臨床症状やKL-6, CRP等の検査値の異常が認められた場合には, 速やかに胸部X線等の検査を行い, 本剤の投与を中止するとともに副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。 | |
〈参 考〉 | 企業報告 |
症例の概要
NO. | 患者 | 1日投与量 投与期間 |
副作用 | 備考 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
性・ 年齢 |
使用理由 (合併症) |
経過及び処置 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
1 | 女 60代 |
関節リウマチ 〔間質性肺炎(リウマチ性)〕 |
100mg 3日間 ↓ 10mg 64日間 |
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企業報告 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
臨床検査値
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併用薬:トリアゾラム, エチゾラム, オメプラゾール, センノシド, プレドニゾロン, エルカトニン, セフジニル, レボフロキサシン |
NO. | 患者 | 1日投与量 投与期間 |
副作用 | 備考 | ||||||||||||||||||||||||||||
性・ 年齢 |
使用理由 (合併症) |
経過及び処置 | ||||||||||||||||||||||||||||||
2 | 男 60代 |
関節リウマチ (胃潰瘍) |
100mg 3日間 ↓ 10mg 4日間 |
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企業報告 | |||||||||||||||||||||||||||
臨床検査値
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併用薬:エトドラク, ファモチジン, ミソプロストール, プレドニゾロン, ジクロフェナクナトリウム, サラゾスルファピリジン |
NO. | 患者 | 1日投与量 投与期間 |
副作用 | 備考 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
性・ 年齢 |
使用理由 (合併症) |
経過及び処置 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
3 | 男 70代 |
関節リウマチ (なし) |
100mg 3日間 ↓ 20mg 12日間 |
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企業報告 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
臨床検査値
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併用薬:ニルバジピン, 硝酸イソソルビド, トロキシピド, 酸化マグネシウム, アルファカルシドール, パンテチン, アロプリノール, エチルコハク酸エリスロマイシン, ベタメタゾン |
使用上の注意の改訂について(その154)
前号(医薬品・医療用具等安全性情報 No.198)以降に改訂を指導した医薬品の使用上の注意(本号の「1 重要な副作用等に関する情報」で紹介したものを除く。)について, 改訂内容, 主な該当販売名, 参考文献等をお知らせいたします。
1 | 〈催眠鎮静剤, 抗不安剤〉 酒石酸ゾルピデム |
[販売名] | マイスリー錠5mg, 同錠10mg(静岡フジサワ) |
[副作用 (重大な副作用)] |
精神症状, 意識障害:せん妄, 錯乱, 幻覚, 興奮, 脱抑制, 意識レベルの低下等の精神症状及び意識障害があらわれることがあるので, 患者の状態を十分観察し, 異常が認められた場合には投与を中止すること。 |
〈参 考〉 | 企業報告 |
2 | 〈精神神経用剤〉 塩酸ペロスピロン水和物 |
[販売名] | ルーラン錠4, 同錠8(住友製薬) |
[副作用 (重大な副作用)] |
Syndrome malin(悪性症候群):無動緘黙, 強度の筋強剛, 嚥下困難, 頻脈, 血圧の変動, 発汗等が発現し, それに引き続き発熱がみられる場合は, 投与を中止し, 体冷却, 水分補給等の全身管理とともに適切な処置を行うこと。本症発症時には, 白血球の増加や血清CK(CPK)の上昇がみられることが多く, また, ミオグロビン尿を伴う腎機能の低下がみられることがある。なお, 高熱が持続し, 意識障害, 呼吸困難, 循環虚脱, 脱水症状, 急性腎不全へと移行し, 死亡することがある。 痙 攣:痙攣があらわれることがあるので, 異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。 横紋筋融解症:横紋筋融解症があらわれることがあるので, 筋肉痛, 脱力感, CK(CPK)上昇, 血中及び尿中ミオグロビン上昇等が認められた場合には投与を中止し, 適切な処置を行うこと。また, 横紋筋融解症による急性腎不全の発症に注意すること。 |
〈参 考〉 | 企業報告 |
3 | 〈耳鼻科用剤, その他の呼吸器官用薬〉 プロピオン酸フルチカゾン |
[販売名] | フルタイド50エアー, 同100エアー, 同50ディスカス, 同100ディスカス, 同200ディスカス, 同50ロタディスク, 同100ロタディスク, 同200ロタディスク, フルナーゼ点鼻液, 小児用フルナーゼ点鼻液25(グラクソ・スミスクライン) |
[重要な基本 的注意] |
リトナビルとの併用により全身性のステロイド作用(クッシング症候群, 副腎皮質機能抑制等)が発現したとの報告があるので, 併用する場合には注意すること。 |
〈参 考〉 | 企業報告 |
4 | 〈刺激療法剤〉 金チオリンゴ酸ナトリウム |
[販売名] | シオゾール注10mg, 同注25mg(塩野義製薬) |
[副作用 (重大な副作用)] |
ショック, アナフィラキシー様症状:ショック, アナフィラキシー様症状(そう痒, 発汗, 血管浮腫, 呼吸困難等)があらわれることがある。 再生不良性貧血, 血小板減少, 白血球減少, 無顆粒球症, 赤芽球癆:再生不良性貧血, 血小板減少, 白血球減少, 無顆粒球症, 赤芽球癆があらわれることがある。 間質性肺炎, 肺線維症, 好酸球性肺炎:間質性肺炎, 肺線維症, 好酸球性肺炎があらわれることがあるので, このような症状があらわれた場合には, 副腎皮質ホルモンの投与など適切な処置を行うこと。 脳症, 末梢性神経障害, ミオキミア:脳症(錯乱, 傾眠, 痙攣等), 末梢性神経障害(多発性神経炎), ミオキミアがあらわれることがある。 |
〈参 考〉 | Voorneveld, C. R., et al.:J. Rheumatol., 19:1650(1992) Karrar, A. A., et al.:J. Rheumatol., 23:200(1996) Hansen, R. M., et al.:J. Rheumatol., 18:1251(1991) Reid, G., et al.:Br. Med. J., 2:1457(1977) McAuley, D. L., et al.:J. Neurol. Neurosurg. Psychiatry, 40:1021(1977) Perry, R. P., et al.:J. Rheumatol., 11:233(1984) Gulliford, M. C., et al.:Br. Med. J., 290:1744(1985) |
5 | 〈漢方製剤〉 茵ちん蒿湯 |
[販売名] | カネボウ茵ちん蒿湯エキス細粒(カネボウ), オースギ茵ちん蒿湯エキスG(高砂薬業), コタロー茵ちん蒿湯エキスカプセル(小太郎漢方製薬)他 |
[副作用 (重大な副作用)] |
肝機能障害, 黄疸:AST(GOT), ALT(GPT), Al-P, γ-GTPの上昇等を伴う肝機能障害, 黄疸があらわれることがあるので, 観察を十分に行い, 異常が認められた場合には投与を中止し, 適切な処置を行うこと。 |
〈参 考〉 | 企業報告 |
6 | 〈主としてカビに作用するもの〉 ミカファンギンナトリウム |
[販売名] | ファンガード点滴用50mg, 同点滴用75mg(富山フジサワ) |
[副作用 (重大な副作用)] |
急性腎不全:急性腎不全等の重篤な腎障害があらわれることがあるので, 定期的に検査を行うなど観察を十分に行い, 異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。 |
〈参 考〉 | 企業報告 |
7 | 〈その他の生物学的製剤〉 インターフェロンアルファコン-1(遺伝子組換え) |
[販売名] | アドバフェロン注射液1200, 同注射液1800(山之内製薬) |
[副作用 (重大な副作用)] |
敗血症:易感染性となり, 敗血症があらわれることがあるので, 患者の全身状態を十分に観察し, 異常が認められた場合には投与を中止し, 適切な処置を行うこと。 意識障害(失神, 意識喪失), せん妄(幻覚・妄想, 興奮), 錯乱, 見当識障害, 痙攣, 振戦, 難聴, 末梢神経障害, 顔面神経麻痺:観察を十分に行い, 異常があらわれた場合には投与継続の可否について検討すること。症状の激しい場合及び減量しても消失しない場合には投与を中止し, 適切な処置を行うこと。 |
〈参 考〉 | 企業報告 |
8 | 一般用医薬品 茵ちん蒿湯 |
[販売名] | JPS茵ちん蒿湯エキス錠N(ジェーピーエス製薬)他 |
[相談すること] | 次の場合は, 直ちに服用を中止し, この文書を持って医師又は薬剤師に相談すること 服用後, 次の症状があらわれた場合 まれに下記の重篤な症状が起こることがあります。その場合は直ちに医師の診療を受けること。 肝機能障害:全身のだるさ, 黄疸(皮ふや白目が黄色くなる)等があらわれる。 |
〈参 考〉 | 企業報告 |
お知らせ NTTのファクシミリ通信網サービス「Fネット」を通じ, 最近1年間の「医薬品・医療用具等安全性情報」がお手元のファクシミリから随時入手できます(利用者負担)。 「Fネット」への加入等についての問い合わせ先:0120-161-011 なお, 医薬品情報提供ホームページ(http://www.pharmasys.gr.jp/)又は厚生労働省ホームページ(http://www.mhlw.go.jp/)からも入手可能です。 |