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安全対策業務

医薬品・医療用具等安全性情報 No.199

目次

  1. 重要な副作用等に関する情報
    1. 塩酸ベラパミル(経口剤)
    2. ゾニサミド
    3. レフルノミド
  2. 使用上の注意の改訂について(その154)
    酒石酸ゾルピデム他(7件)

 

この医薬品・医療用具等安全性情報は, 厚生労働省において収集された副作用情報をもとに, 医薬品・医療用具等のより安全な使用に役立てていただくために, 医療関係者に対して情報提供されるものです。

平成16年(2004年)3月
厚生労働省医薬食品局

重要な副作用等に関する情報

前号(医薬品・医療用具等安全性情報 No.198)以降に改訂を指導した医薬品の使用上の注意のうち重要な副作用等について, 改訂内容, 参考文献等とともに改訂の根拠となった症例の概要に関する情報を紹介いたします。

【1】 塩酸ベラパミル(経口剤)

販売名(会社名) ホルミトール錠(寿製薬)
マゴチロン(鶴原製薬)
ロシトール錠(大洋薬品工業)
ワソラン錠(エーザイ)
薬効分類等 血管拡張剤
効能効果 狭心症, 心筋梗塞(急性期を除く), その他の虚血性心疾患

 

《使用上の注意(下線部追加改訂部分)》
[禁  忌]
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
[副作用
(重大な副作用)]
皮膚障害:皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群), 多形滲出性紅斑, 乾癬型皮疹等の重篤な皮膚障害があらわれることがあるので, 観察を十分に行い, 発熱, 紅斑, そう痒感, 眼充血, 口内炎等の症状があらわれた場合には投与を中止し, 適切な処置を行うこと。
〈参   考〉 企業報告

 

症例の概要

NO. 患者 1日投与量
投与期間
副作用 備考
性・
年齢
使用理由
(合併症)
経過及び処置
1
70代
発作性頻拍症
(高血圧)
120mg
15日間
スティーブンス・ジョンソン症候群
投与5年9ヵ月前 高血圧にて初診。ニルバジピン投与開始。
投与開始日 動悸を訴える。心電図にて発作性頻拍症と診断。本剤投与開始。
投与15日目
(投与中止日)
全身に発疹出現。軽度のそう痒を伴う。外来にてベタメタゾン・d-マレイン酸クロルフェニラミン配合剤1錠投与。また点滴200mL+コハク酸ヒドロコルチゾンナトリウム300mg施行。本剤中止。
中止2日後 外来にて点滴200mL+コハク酸ヒドロコルチゾンナトリウム300mg施行。
中止3日後 発疹軽快せず, 他院皮膚科紹介。
口腔内(舌)びらんあり。全身に滲出性紅斑が認められた(小さめのくるみ大くらい)。
スティーブンス・ジョンソン症候群と診断, プレドニゾロン30mg内服, ファモチジン20mgで治療開始した。
中止5日後 皮疹は著明改善(びらんも一時的に改善)したため, プレドニゾロン15mgに減量する。
中止9日後 プレドニゾロン15mg, さらに継続。
中止16日後 舌のびらんが残った(紅斑も再燃)ため, プレドニゾロン20mgに増量する。
中止20日後 いずれも軽快しているが, プレドニゾロン20mgは継続。ファモチジンも継続投与中。
中止27日後 びらん消褪したため, プレドニゾロン10mgに減量。
中止34日後 プレドニゾロン中止。その後, 再燃なし。
企業報告
併用薬:ニルバジピン
 

【2】 ゾニサミド

販売名(会社名) エクセグラン散, 同錠100mg(大日本製薬)
エクセミド散20%, 同錠100mg(共和薬品工業)
薬効分類等 抗てんかん剤
効能効果 部分てんかんおよび全般てんかんの下記発作型
○部分発作
 ・単純部分発作〔焦点発作(ジャクソン型を含む), 自律神経発作, 精神運動発作〕
 ・複雑部分発作〔精神運動発作, 焦点発作〕
 ・二次性全般化強直間代けいれん〔強直間代発作(大発作)〕
○全般発作
 ・強直間代発作〔強直間代発作(全般けいれん発作, 大発作)〕
 ・強直発作〔全般けいれん発作〕
 ・非定型欠神発作〔異型小発作〕
○混合発作〔混合発作〕

 

《使用上の注意(下線部追加改訂部分)》
[副作用
(重大な副作用)]
横紋筋融解症:横紋筋融解症があらわれることがあるので, 観察を十分に行い, 筋肉痛, 脱力感, CK(CPK)上昇, 血中及び尿中ミオグロビン上昇等があらわれた場合には, 投与を中止し, 適切な処置を行うこと。また, 横紋筋融解症による急性腎不全の発症に注意すること。
〈参   考〉 企業報告

 

症例の概要

NO. 患者 1日投与量
投与期間
副作用 備考
性・
年齢
使用理由
(合併症)
経過及び処置
1
30代
側頭葉てんかん
(なし)
200mg
15日間
横紋筋融解症
投与約3ヵ月半前 意識が遠のく気がし, 確かな記憶はないことから, 当院を受診した。カルバマゼピン300mgにて治療を開始したが, 意識消失発作及び両上肢を上下する動きが1分間程度続く症状が月に数回みられた。カルバマゼピンでは倦怠感が強く発現したため, バルプロ酸ナトリウムに処方を変更したが, 発作は消失しなかった。
精査加療のために入院し, 入院中は脳波と薬物の血中濃度をモニタリングしながら, 内服調整を行った。
投与16日前 クロナゼパム0.5mgを追加投与した。
投与7日前 カルバマゼピンを300mgに変更した。
投与開始日 上記処方にて症状の消失がみられないため, 本剤200mgを追加投与した。
投与5日目 脳波の改善がみられたため, 退院し, 以後は外来通院とした。退院日の血中濃度はゾニサミド7.2μg/mL, カルバマゼピン9.9μg/mLであった。
投与15日目
(投与中止日)
CK(CPK)6576 IU/Lと異常高値を認めたため, 横紋筋融解症を疑い, 加療のために緊急入院した。入院後, 原因薬剤と考えられた本剤を中止し, 乳酸リンゲル液の点滴によるハイドレーションを行った。
CK(CPK)は漸次改善し, 重篤な腎障害はみられなかった。
中止6日後 退院した。
企業報告
臨床検査値
   投与22日前 投与15日目
(投与中止日)
中止1日後 中止3日後 中止5日後
AST(GOT)(IU/L) 23 96
ALT(GPT)(IU/L) 39 94
LDH(IU/L) 131 250
BUN(mg/dL) 10 11 9 11 13
クレアチニン(mg/dL) 0.7 0.7 0.7 0.7 0.7
CK(CPK)(IU/L) 110 6576 3761 842 221
併用薬:カルバマゼピン, クロナゼパム

 

NO. 患者 1日投与量
投与期間
副作用 備考
性・
年齢
使用理由
(合併症)
経過及び処置
2
80代
症候性てんかん
(糖尿病, 老年期痴呆症, 前立腺癌, 肺癌, 転移性脳腫瘍)
200mg
6日間
横紋筋融解症
投与16日前 糖尿病, 前立腺癌, 肺癌にて入院した。頭部MRI所見より, 多発性転移性脳腫瘍を認めた。
投与開始日 けいれん等の神経症状を認めなかったが, 家族へ説明後, けいれん予防のため本剤200mgの投与を開始した。
投与5日目 昼間から徐々に発熱し, 両下肢筋痛及び筋力低下が出現した。
投与6日目
(投与中止日)
血液検査にて, CK(CPK)790IU/L, アルドラーゼ8.6IU/L, ミオグロビン286ng/mLと高値を示していたため, 横紋筋融解症と考えた。本剤の投与を中止し, 補液による利尿を開始した。
中止7日後 CK(CPK)は低下したが, 筋力低下は認められた。
中止10日後 CCK(CPK)56IU/Lと正常化し, 筋痛も改善した。
企業報告
臨床検査値
   投与16日前 投与5日目 投与6日目
(投与中止日)
中止3日後 中止7日後
体温(朝)(℃) 36.1 37.0 37.0 36.1
体温(昼)(℃) 36.0 37.6 37.0
体温(夜)(℃) 38.0 36.4 38.0
AST(GOT)(IU/L) 27 39 22 18
ALT(GPT)(IU/L) 29 27 19 19
LDH(IU/L) 393 533 403 387
BUN(mg/dL) 19.3 25.0 19.1 13.6
クレアチニン(mg/dL) 0.8 0.7 0.8 0.7
CK(CPK)(IU/L) 38 790 147 66
アルドラーゼ(IU/L) 8.6
血中ミオグロビン(ng/mL) 286
併用薬:ビカルタミド, ナフトピジル, グリベンクラミド, ボグリボース
 

【3】 レフルノミド

販売名(会社名) アラバ錠10mg, 同錠20mg, 同錠100mg(アベンティスファーマ)
薬効分類等 他に分類されない代謝性医薬品
効能効果 関節リウマチ

 

《使用上の注意(下線部追加改訂部分)》
[警  告]
警 告
本剤の投与において, 重篤な副作用(汎血球減少症, 肝不全, 急性肝壊死, 感染症, 間質性肺炎等)により, 致死的な経過をたどることがあるので, 緊急時に十分に措置できる医療施設及び本剤についての十分な知識とリウマチ治療の経験をもつ医師が使用すること。
間質性肺炎, 肺線維症等の肺障害, 日和見感染による肺炎の合併又は既往歴のある患者で間質性肺炎が急速に増悪して致死的な経過をたどる症例が報告されている。このため, 本剤による治療を開始するにあたり, 間質性肺炎, 肺線維症等の肺障害, 日和見感染による肺炎の合併又は既往の有無を胸部X線検査等で確認し, 投与の可否を慎重に判断すること。〔「慎重投与」の項参照〕
本剤の投与に際しては, 副作用の発現の可能性について患者に十分理解させ, 下記の症状が認められた場合には服用を中止するとともに直ちに医師に連絡し, 指示を仰ぐよう注意を与えること。
発熱, 発疹, 皮膚そう痒感, 口内炎, 倦怠感, 黄疸, 咳嗽, 呼吸困難
[慎重投与] 間質性肺炎, 肺線維症等の肺障害, 日和見感染による肺炎又はそれらの既往歴のある患者〔間質性肺炎が増悪し致死的な経過をたどる例が報告されている。〕
[重要な基本
的注意]
間質性肺炎の発症又は増悪が起こることがあり, 急速に発症, 悪化し, 致死的な経過をたどる例が報告されている。これらの症例の中には, 間質性肺炎, 肺線維症等の肺障害, 日和見感染による肺炎の合併又は既往歴のある患者, もしくはメトトレキサート, ブシラミンを含む他の抗リウマチ剤(DMARD)を最近まで投与されていたか又は投与中の患者が含まれていた。本剤の投与に際しては間質性肺炎, 肺線維症等の肺障害, 日和見感染による肺炎の合併又は既往の有無を確認した上で投与を開始すること。投与中は発熱, 咳嗽, 呼吸困難等の臨床症状やKL-6, CRP等の検査値に十分に注意し, 異常が認められた場合には, 速やかに胸部X線等の検査を実施し, 本剤の投与を中止するとともに副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。なお, 薬物除去法を実施することが望ましい。〔「副作用」, 「その他の注意」の項参照〕
[副作用
(重大な副作用)]
間質性肺炎:致死的な間質性肺炎が報告されているので, 発熱, 咳嗽, 呼吸困難等の臨床症状やKL-6, CRP等の検査値の異常が認められた場合には, 速やかに胸部X線等の検査を行い, 本剤の投与を中止するとともに副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
〈参   考〉 企業報告

 

症例の概要

NO. 患者 1日投与量
投与期間
副作用 備考
性・
年齢
使用理由
(合併症)
経過及び処置
1
60代
関節リウマチ
〔間質性肺炎(リウマチ性)〕
100mg
3日間
 ↓
10mg
64日間
間質性肺疾患, 肺炎
既往歴 肺炎(感染性)
関節リウマチ罹病期間7年7ヵ月, StageIII, ClassIII, リウマチに対する手術歴なし。
メトトレキサートにて比較的効果あり。
投与8ヵ月前 KL-6:1300U/mLとなりメトトレキサート中止。プレドニゾロン20mgでコントロール。
投与5ヵ月前 ミゾリビン開始するもリウマチコントロールは不良。
投与3ヵ月前 外果滑液包炎が自潰し閉鎖せず。セフジニル投与開始。
投与1ヵ月前 転倒。Th11, 12圧迫骨折。
投与13日前 整形外科入院。手術のリスクが高いため体幹ギプス施行。
投与開始日 ミゾリビン中止し, 本剤投与開始。
投与8日目 比較的効果あり。プレドニゾロン20mg→15mgに減量。KL-6:623U/mL。
投与66日目 この日より, 軽度呼吸不全。
投与67日目
(投与中止日)
呼吸不全悪化傾向。Xpで右肺野陰影あり。
SaO2 50~60%台。
硫酸セフピロム2g開始。ポリエチレングリコール処理人免疫グロブリン5g×3日間, 塩酸ミノサイクリン100mg投与。
中止1日後 気管内挿管。ステロイドパルス療法施行(コハク酸メチルプレドニゾロンナトリウム500mg×3日間)。
中止3日後 Xpでやや陰影軽快傾向になる。
中止4日後 両肺に陰影あり。プレドニゾロン100mg投与。その後症状軽快せず。
中止7日後 血液培養検査陰性。
中止10日後 死亡確認。
コレスチラミンによる薬物除去法:なし
企業報告
臨床検査値
   投与
12日前
投与
6日目
投与
14日目
投与
35日目
投与
48日目
投与
62日目
投与
66日目
中止
2日後
中止
8日後
白血球数(/mm3 10000 8600 9000 8800 6900 7100 6900 4000 8100
CRP(mg/dL) 1.12 0.56 1.29 0.38 0.53 3.02 11.75 25.39 19.98
併用薬:トリアゾラム, エチゾラム, オメプラゾール, センノシド, プレドニゾロン, エルカトニン, セフジニル, レボフロキサシン

 

NO. 患者 1日投与量
投与期間
副作用 備考
性・
年齢
使用理由
(合併症)
経過及び処置
2
60代
関節リウマチ
(胃潰瘍)
100mg
3日間
 ↓
10mg
4日間
間質性肺疾患
既往歴 間質性肺炎
関節リウマチ罹病期間4年, StageIV, ClassIII, リウマチに対する手術歴なし。
プレドニゾロン, サラゾスルファピリジンを併用。
投与開始日 本剤投与開始。
投与7日目
(投与中止日)
頻脈, 咳嗽あり。(間質性肺炎発現日, 本剤投与中止)プレドニゾロン以外の内服休薬。
中止1日後 イミペネム・シラスタチン配合剤1g(7日間), エリスロマイシン1000mg(3日間)投与。
中止3日後 ステロイドパルス療法施行(メチルプレドニゾロン1000mg×3日間)。
中止6日後 プレドニゾロン30mg, 臭化水素酸デキストロメトルファン45mg投与開始。胸部症状は軽度軽快。
中止8日後 間質性肺炎軽快。
コレスチラミンによる薬物除去:なし
企業報告
臨床検査値
   投与161日前 投与70日前 投与55日前 中止3日後 中止7日後
白血球数(/mm3 18300 13700 18700 17800 14500
CRP(mg/dL) 7.7 8.8 14.9 15.9
併用薬:エトドラク, ファモチジン, ミソプロストール, プレドニゾロン, ジクロフェナクナトリウム, サラゾスルファピリジン

 

NO. 患者 1日投与量
投与期間
副作用 備考
性・
年齢
使用理由
(合併症)
経過及び処置
3
70代
関節リウマチ
(なし)
100mg
3日間
 ↓
20mg
12日間
間質性肺疾患, サイトメガロウイルス性肺炎
既往歴 肺気腫
関節リウマチ罹病期間4年, StageII, ClassII, リウマチに対する手術歴なし。
シクロスポリン中止後本剤投与開始。ベタメタゾン併用。
投与3年7ヵ月前 メトトレキサート5mg/週投与開始(メチルプレドニゾロン2錠併用)。
投与3年6ヵ月前 KL-6上昇あり(1286U/mL)。メトトレキサート投与中止。
投与開始日 本剤100mg投与開始。
CRP2.63mg/dL。
投与4日目 維持量20mgに投与変更。
投与15日目
(投与中止日)
来院。数日前より発熱あり, CRP20.07mg/dL, 白血球数17500/mm3と増多を認め, 胸部X線で左上肺に有意な浸潤像の出現を認めた。
その場で本剤投与中止し, 緊急入院となった。
胸部X線, CT上肺胞性パターンであり, 細菌性肺炎を疑い, 抗菌剤の投与を開始した。
中止13日後 各種抗菌剤, 抗真菌剤に反応不良であり, 肺病変は増悪, CRP値も28.26mg/dLと上昇した。左上肺の他, 両側肺底部にも新たなスリガラス陰影が出現した。アレルギー反応(本剤)等の機序が考えられたため, ステロイドパルス療法を開始した。胸部X線, CT上徐々に改善した。
中止24日後 CRPは0.15mg/dLと正常化した。
その後, ステロイドを漸減していた。
中止32日後 白血球数, CRPの軽度上昇, 胸部X線上両肺野のスリガラス陰影増悪。
中止36日後 上気道感染発現。
中止38日後 喀痰PCRよりCMV(+)であり, 血清アンチゲネミアも陽性, サイトメガロウイルス肺炎と診断した。
中止40日後 低酸素増悪したため気管内挿管を行い, 人工呼吸管理とした。
中止42日後 胸部X線上増悪みられている。
中止45日後 患者死亡。
間質性肺炎:回復, サイトメガロウイルス肺炎:死亡
クエストランによる薬剤除去:あり
企業報告
臨床検査値
   投与
21日前
投与
開始日
投与15日目
(投与中止日)
中止
5日後
中止
7日後
中止
13日後
中止
19日後
中止
24日後
中止
28日後
中止
29日後
中止
32日後
白血球数
(/mm3
10600 12200 17500 14000 13300 16600 11700 18300 15300 16100 14300
CRP
(mg/dL)
2.63 2.63 20.07 13.21 16.98 28.26 0.57 0.15 0.59 2.16
併用薬:ニルバジピン, 硝酸イソソルビド, トロキシピド, 酸化マグネシウム, アルファカルシドール, パンテチン, アロプリノール, エチルコハク酸エリスロマイシン, ベタメタゾン

 

目次へ

使用上の注意の改訂について(その154)

 前号(医薬品・医療用具等安全性情報 No.198)以降に改訂を指導した医薬品の使用上の注意(本号の「1 重要な副作用等に関する情報」で紹介したものを除く。)について, 改訂内容, 主な該当販売名, 参考文献等をお知らせいたします。

 

1 〈催眠鎮静剤, 抗不安剤〉
酒石酸ゾルピデム
[販売名] マイスリー錠5mg, 同錠10mg(静岡フジサワ)
[副作用
(重大な副作用)]
精神症状, 意識障害:せん妄, 錯乱, 幻覚, 興奮, 脱抑制, 意識レベルの低下等の精神症状及び意識障害があらわれることがあるので, 患者の状態を十分観察し, 異常が認められた場合には投与を中止すること。
〈参   考〉 企業報告

 

2 〈精神神経用剤〉
塩酸ペロスピロン水和物
[販売名] ルーラン錠4, 同錠8(住友製薬)
[副作用
(重大な副作用)]
Syndrome malin(悪性症候群):無動緘黙, 強度の筋強剛, 嚥下困難, 頻脈, 血圧の変動, 発汗等が発現し, それに引き続き発熱がみられる場合は, 投与を中止し, 体冷却, 水分補給等の全身管理とともに適切な処置を行うこと。本症発症時には, 白血球の増加や血清CK(CPK)の上昇がみられることが多く, また, ミオグロビン尿を伴う腎機能の低下がみられることがある。なお, 高熱が持続し, 意識障害, 呼吸困難, 循環虚脱, 脱水症状, 急性腎不全へと移行し, 死亡することがある。
痙 攣:痙攣があらわれることがあるので, 異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
横紋筋融解症:横紋筋融解症があらわれることがあるので, 筋肉痛, 脱力感, CK(CPK)上昇, 血中及び尿中ミオグロビン上昇等が認められた場合には投与を中止し, 適切な処置を行うこと。また, 横紋筋融解症による急性腎不全の発症に注意すること。
〈参   考〉 企業報告

 

3 〈耳鼻科用剤, その他の呼吸器官用薬〉
プロピオン酸フルチカゾン
[販売名] フルタイド50エアー, 同100エアー, 同50ディスカス, 同100ディスカス, 同200ディスカス, 同50ロタディスク, 同100ロタディスク, 同200ロタディスク, フルナーゼ点鼻液, 小児用フルナーゼ点鼻液25(グラクソ・スミスクライン)
[重要な基本
的注意]
リトナビルとの併用により全身性のステロイド作用(クッシング症候群, 副腎皮質機能抑制等)が発現したとの報告があるので, 併用する場合には注意すること。
〈参   考〉 企業報告

 

4 〈刺激療法剤〉
金チオリンゴ酸ナトリウム
[販売名] シオゾール注10mg, 同注25mg(塩野義製薬)
[副作用
(重大な副作用)]
ショック, アナフィラキシー様症状:ショック, アナフィラキシー様症状(そう痒, 発汗, 血管浮腫, 呼吸困難等)があらわれることがある。
再生不良性貧血, 血小板減少, 白血球減少, 無顆粒球症, 赤芽球癆:再生不良性貧血, 血小板減少, 白血球減少, 無顆粒球症, 赤芽球癆があらわれることがある。
間質性肺炎, 肺線維症, 好酸球性肺炎:間質性肺炎, 肺線維症, 好酸球性肺炎があらわれることがあるので, このような症状があらわれた場合には, 副腎皮質ホルモンの投与など適切な処置を行うこと。
脳症, 末梢性神経障害, ミオキミア:脳症(錯乱, 傾眠, 痙攣等), 末梢性神経障害(多発性神経炎), ミオキミアがあらわれることがある。
〈参   考〉 Voorneveld, C. R., et al.:J. Rheumatol., 19:1650(1992)
Karrar, A. A., et al.:J. Rheumatol., 23:200(1996)
Hansen, R. M., et al.:J. Rheumatol., 18:1251(1991)
Reid, G., et al.:Br. Med. J., 2:1457(1977)
McAuley, D. L., et al.:J. Neurol. Neurosurg. Psychiatry, 40:1021(1977)
Perry, R. P., et al.:J. Rheumatol., 11:233(1984)
Gulliford, M. C., et al.:Br. Med. J., 290:1744(1985)

 

5 〈漢方製剤〉
茵ちん蒿湯
[販売名] カネボウ茵ちん蒿湯エキス細粒(カネボウ), オースギ茵ちん蒿湯エキスG(高砂薬業), コタロー茵ちん蒿湯エキスカプセル(小太郎漢方製薬)他
[副作用
(重大な副作用)]
肝機能障害, 黄疸:AST(GOT), ALT(GPT), Al-P, γ-GTPの上昇等を伴う肝機能障害, 黄疸があらわれることがあるので, 観察を十分に行い, 異常が認められた場合には投与を中止し, 適切な処置を行うこと。
〈参   考〉 企業報告

 

6 〈主としてカビに作用するもの〉
ミカファンギンナトリウム
[販売名] ファンガード点滴用50mg, 同点滴用75mg(富山フジサワ)
[副作用
(重大な副作用)]
急性腎不全:急性腎不全等の重篤な腎障害があらわれることがあるので, 定期的に検査を行うなど観察を十分に行い, 異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
〈参   考〉 企業報告

 

7 〈その他の生物学的製剤〉
インターフェロンアルファコン-1(遺伝子組換え)
[販売名] アドバフェロン注射液1200, 同注射液1800(山之内製薬)
[副作用
(重大な副作用)]
敗血症:易感染性となり, 敗血症があらわれることがあるので, 患者の全身状態を十分に観察し, 異常が認められた場合には投与を中止し, 適切な処置を行うこと。
意識障害(失神, 意識喪失), せん妄(幻覚・妄想, 興奮), 錯乱, 見当識障害, 痙攣, 振戦, 難聴, 末梢神経障害, 顔面神経麻痺:観察を十分に行い, 異常があらわれた場合には投与継続の可否について検討すること。症状の激しい場合及び減量しても消失しない場合には投与を中止し, 適切な処置を行うこと。
〈参   考〉 企業報告

 

8 一般用医薬品
茵ちん蒿湯
[販売名] JPS茵ちん蒿湯エキス錠N(ジェーピーエス製薬)他
[相談すること] 次の場合は, 直ちに服用を中止し, この文書を持って医師又は薬剤師に相談すること
 服用後, 次の症状があらわれた場合
  まれに下記の重篤な症状が起こることがあります。その場合は直ちに医師の診療を受けること。
   肝機能障害:全身のだるさ, 黄疸(皮ふや白目が黄色くなる)等があらわれる。
〈参   考〉 企業報告

 

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お知らせ

NTTのファクシミリ通信網サービス「Fネット」を通じ, 最近1年間の「医薬品・医療用具等安全性情報」がお手元のファクシミリから随時入手できます(利用者負担)。

「Fネット」への加入等についての問い合わせ先:0120-161-011

なお, 医薬品情報提供ホームページ(http://www.pharmasys.gr.jp/)又は厚生労働省ホームページ(http://www.mhlw.go.jp/)からも入手可能です。