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安全対策業務

医薬品・医療用具等安全性情報 No.202

目次

  1. 取り違えることによるリスクの高い医薬品に関する安全対策について
  2. 重要な副作用等に関する情報
    1. インフリキシマブ(遺伝子組換え)
    2. メシル酸イマチニブ
    3. リン酸オセルタミビル
  3. 使用上の注意の改訂について(その156)
    クエン酸タンドスピロン他(5件)

 

この医薬品・医療用具等安全性情報は、厚生労働省において収集された副作用情報をもとに、医薬品・医療用具等のより安全な使用に役立てていただくために、医療関係者に対して情報提供されるものです。

平成16年(2004年)6月
厚生労働省医薬食品局

【情報の概要】
No. 医薬品等 対策 情報の概要
1 取り違えることによるリスクの高い医薬品に関する安全対策について     「処方点検や調剤時、病棟への供給時に注意を要する医薬品」(日本病院薬剤師会)にも示されているとおり、取り違えにより重大な事故につながるおそれのある医薬品はある程度絞られており、これら注意を要する医薬品については、採用状況の確認、間違え防止策の確認を今までもお願いしてきたところである。
 今般、医療安全対策検討会議医薬品医療用具等対策部会の「医薬品類似性検討ワーキンググループ」での議論も踏まえ、事故防止の観点から表示の改善が図られたので紹介するとともに、医療機関における安全対策の徹底について重ねてお願いする。
2 インフリキシマブ(遺伝子組換え)他(2件) 使
 前号(医薬品・医療用具等安全性情報No.201)以降に改訂を指導した医薬品の使用上の注意のうち重要な副作用等について、改訂内容、参考文献等とともに改訂の根拠となった症例の概要に関する情報を紹介する。
3 クエン酸タンドスピロン他(5件)    使用上の注意の改訂について(その156)

緊:緊急安全性情報の配布 使:使用上の注意の改訂 症:症例の紹介

目次へ

取り違えることによるリスクの高い医薬品に関する安全対策について

(1)はじめに

 平成15年11月27日付厚生労働省医政局長、医薬食品局長連名通知「医療機関における医療事故防止対策の強化について」の別添「処方点検や調剤時、病棟への供給時に注意を要する医薬品」(日本病院薬剤師会)(http://www.jshp.or.jp/031112.pdf)にも示されているとおり、取り違えにより重大な事故につながるおそれのある医薬品はある程度絞られている。これら注意を要する医薬品については、採用状況の確認、間違え防止策の確認をお願いしてきたが、今般、以下の組み合わせについて、医療安全対策検討会議医薬品医療用具等対策部会の「医薬品類似性検討ワーキンググループ」での議論も踏まえ、事故防止の観点から表示の改善が図られたので紹介するとともに、医療機関における安全対策の徹底について重ねてお願いする。

1) タキソール タキソテール
2) アマリール アルマール
3) ウテメリン メテナリン
4) キシロカイン10%製剤 キシロカイン2%製剤
5) カリウム製剤

(2)注意を要する医薬品の組み合わせと安全対策

1)タキソールとタキソテールについて

タキソールとタキソテールは、薬剤名が類似していることからこれまでも処方間違え等による事故が報告されており、死亡に至った事例もある。いずれも乳癌等に適応を持つ抗腫瘍性植物成分製剤であるが、1回の用量が約3倍違うことからタキソールを投与するべきところをタキソテールに取り違えた場合、致命的な結果を招くおそれがある。今般、関係企業2社においてタキソール、タキソテールともに、一般名をより強調して表示することで取り違えの防止を促す表示の改善が図られた(図1、図2参照)。
 抗がん剤の場合、誤使用による健康被害が重大であり、徹底した事故防止対策を講じる必要があることから、医療機関において両剤を採用している場合には、レジメンによる計画的な処方を実施したり、処方に一般名を併記するなど処方に当たっての条件を明確にするとともに薬歴管理の徹底、調剤・投薬時のダブルチェックなど二重、三重の対策を徹底されたい。

図1 タキソール注

図2 タキソテール注

2)アマリールとアルマールについて

アマリール(糖尿病用剤)とアルマール(不整脈用剤)は、薬剤名が類似しており、取り違えにより、糖尿病でない患者にアマリールが投与された場合、致命的な結果となるおそれがある。これまでに数件の取り違え事故が報告されており、死亡に至った事例もある。今般、関係企業は、アマリールのPTP包装に「糖尿病用薬」という薬効をより明確に表示することとし、取り違え防止を図るとともに患者にも自分に交付された医薬品がどのような薬なのかを認識できるようにして、患者自身が間違った医薬品を服用しないようにする表示の改善が図られた。
 医療機関においては、名称の類似性による取り違えをしないために、調剤棚等に注意喚起シールを貼付するなどの工夫を行うことも有用であるが、糖尿病用薬が間違って糖尿病でない患者に投薬されることのないシステムを整備することが基本であり、糖尿病用薬の調剤に当たっては必ず薬歴を確認する体制を整えるとともに、患者への交付時には糖尿病の患者である旨を必ず確認するなど、関係者への安全確認の徹底をされたい。

3)ウテメリンとメテナリンについて

ウテメリン(切迫流・早産治療β2-刺激剤)とメテナリン(子宮収縮刺激剤)は、薬剤名が類似しており、これまでにも数件の取り違え事故が報告されている。両剤は逆の薬理作用を有することから、ウテメリンを投与すべき切迫流早産患者に、誤って子宮収縮作用のあるメテナリンを投与した場合には流早産を引き起こすおそれがある。今般、関係企業2社により、これまで以上に薬効及び薬剤名を大きく表示することで、注意を促す表示の改善が図られた(図3、図4参照)。
 両剤の取り違えは、単に名称が類似しているためだけでなく、妊婦が時間の経過によって産婦になるなど、妊婦と産婦が複雑に混在する医療現場において、両剤の効果が逆であるもののいずれも子宮の収縮に関連する作用を有するものであることから、混乱を招きやすいことも指摘されている。医療機関においては、両剤を病棟で管理する場合にあっても近接して置かないなど、取り違えを起こしにくい環境を整えるとともに、関係者に薬効表示の確認を徹底されたい。

図3 ウテメリン

図4 ウテメリン注

4)キシロカイン10%製剤と2%製剤について

点滴用キシロカイン10%製剤と静注用キシロカイン2%製剤の取り違え事故は、これまでにも報告されており、死亡に至った事例もある。今般、関係企業により、10%製剤に対し、本剤は使用前に希釈して使用する製剤であること及び静注製剤ではないことを明示する表示の改善が図られた(図5参照)。
 点滴用キシロカイン10%製剤については、日本病院薬剤師会、及び日本医療機能評価機構から病棟での在庫をしないようにとの警告も出されているが、その後も取り違え事例が報告されている。今般、心臓血管外科専門医認定機構より、本製剤について救急カートを含め、救急部を含む全外来、病棟から撤廃することなどその取扱いについて警告されていることも踏まえ、未だに病棟や救急カート等に配置している医療機関においては、再度、その管理について検討をしていただきたい。また、新規配属者を含め関係者に対し、両剤の取り違えのないよう、注意喚起を徹底されたい。

図5 点滴用キシロカイン10%

5)カリウム製剤

注射用のカリウム製剤は基本的に希釈して投与する製剤であるが、医療現場において原液のまま投与されることによる事故事例が報告されている。今般、日本医療機能評価機構及び心臓血管外科専門医認定機構より、本製剤について救急カートを含め、救急部を含む全外来、病棟から撤廃することなどその取扱いについて警告されていることも踏まえ、未だに病棟や救急カート等に配置している医療機関においては、より安全な製剤の採用等を含めた検討をするとともに、本剤の取扱いについては、新規配属者を含め関係者への注意喚起を徹底されたい。

(3)まとめ

以上のとおり、これらリスクの高い個別の組み合わせについて、当面の表示の改善が実施されるが、その効果について実際の使用現場の意見も聞き、今後一層の改善を検討していく必要がある。また、表示等の改善のみで誤使用を防ぐことはできないので、処方時の注意、調剤時の注意、投薬時の注意など、事故を防ぐために医療機関においても事故防止のための体制を整えていくことが重要である。特に最近の事例では、医療機関内において、必要な情報が関係者すべてに十分伝わっていないことも懸念される。これら重要な安全対策に関する情報については、薬剤部が中心となり、医療安全管理室等の協力を得て、医療機関のすべての関係者に対して広く情報が徹底されるようお願いいたしたい。

(参考)
日本病院薬剤師会「医薬品管理と患者安全に資する調剤方法の更なる徹底について」
  http://www.jshp.or.jp/040511.pdf
日本医療機能評価機構「緊急提言」
  http://jcqhc.or.jp/html/psp/teigenn.html
心臓血管外科専門医認定機構「緊急通告」
  http://cvs.umin.jp/topic/040602.html

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重要な副作用等に関する情報

前号(医薬品・医療用具等安全性情報 No.201)以降に改訂を指導した医薬品の使用上の注意のうち重要な副作用等について、改訂内容、参考文献等とともに改訂の根拠となった症例の概要に関する情報を紹介いたします。

【1】 インフリキシマブ(遺伝子組換え)

販売名(会社名) レミケード点滴静注用100(田辺製薬)
薬効分類等 その他の消化器官用薬
効能効果 関節リウマチ(既存治療で効果不十分な場合に限る)
次のいずれかの状態を示すクローン病の治療(既存治療で効果不十分な場合に限る)
 中等度から重度の活動期にある患者
 外瘻を有する患者

 

《使用上の注意(下線部追加改訂部分)》
[重要な基本
的注意]
メトトレキサート製剤による治療に併用して用いる場合、間質性肺炎があらわれることがあるので、本剤を投与した後、発熱、咳嗽、呼吸困難等の症状があらわれた場合には速やかに主治医に連絡するよう患者に説明するとともに、このような症状があらわれた場合には胸部レントゲン検査及び胸部CT検査等を行い、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
[副作用
(重大な副作用)]
敗血症、肺炎(ニューモシスティス・カリニ肺炎を含む)、真菌感染症等の日和見感染症:このような症状があらわれることがあるので患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には、投与中止等の適切な処置を行うこと。なお、死亡に至った症例の多くは、感染症によるものであった。
間質性肺炎:メトトレキサート製剤による治療に併用して用いる場合、間質性肺炎があらわれることがあるので、発熱、咳嗽、呼吸困難等の呼吸器症状に十分に注意し、異常が認められた場合には、速やかに胸部レントゲン検査、胸部CT検査及び血液ガス検査等を実施し、本剤及びメトトレキサート製剤の投与を中止するとともにニューモシスティス・カリニ肺炎との鑑別診断(β-Dグルカンの測定等)を考慮に入れ適切な処置を行うこと。
〈参   考〉 企業報告

 

症例の概要

NO. 患者 1日投与量
投与期間
副作用 備考
性・
年齢
使用理由
(合併症)
経過及び処置
1
60代
関節リウマチ
(高血圧、鉄欠乏性貧血、うつ病、不安神経症、虚弱体質、便秘症)
132mg
(3mg/kg)
3回
間質性肺炎
既往歴 陳旧性結核
関節リウマチ罹病期間 3年3ヵ月
投与約1年前 メトトレキサート(4mg/週)投与開始。以降、2ヵ月半の期間メトトレキサートを4~8mg/週にて維持。その後、約8ヵ月間休薬。
投与43日前 メトトレキサート(6mg/週)再開。
投与開始日 本剤1回目投与。
投与14日目 本剤2回目投与。
投与42日目 本剤3回目投与。
3回目投与26日後 リウマチによる痛みなく経過良好。
3回目投与約40日後 全身倦怠感、呼吸困難、微熱あり。
3回目投与45日後 メトトレキサート(6mg/週)中止。
3回目投与46日後 来院。胸部X線で、右下肺野透過性低下、胸部CTで全肺野の広範囲の淡いスリガラス様陰影を認め、間質性肺炎と診断し、入院。
コハク酸メチルプレドニゾロンナトリウム500mgを静脈投与開始。
塩酸ミノサイクリン200mg経口投与開始。
3回目投与48日後 サイトメガロウイルスIgM抗体価2.17(陽性)。
3回目投与49日後 コハク酸メチルプレドニゾロンナトリウム500mgを中止。胸部CTで淡いスリガラス様陰影は軽減。
3回目投与54日後 コハク酸メチルプレドニゾロンナトリウム500mgを再開。
3回目投与55日後 チオプロニン300mg投与開始。
3回目投与57日後 コハク酸メチルプレドニゾロンナトリウム500mg中止。
3回目投与58日後 呼吸困難や微熱は軽快しているが、リウマチによると思われる全身倦怠感や関節痛が出現。
3回目投与59日後 胸部CTにて間質性肺炎陰影がほぼ消失。呼吸困難、微熱の症状なし。
3回目投与60日後 サイトメガロウイルスIgM抗体価1.77(陽性)。サイトメガロウイルスによる間質性肺炎も考えられ、ガンシクロビル400mgを3日間点滴投与。
3回目投与64日後 アクタリット300mgにて関節リウマチの治療開始。
3回目投与73日後 胸部CTにて間質性肺炎陰影が消失。全身倦怠感、関節痛も消失。
3回目投与75日後 間質性肺炎の軽快を確認。
3回目投与76日後 サイトメガロウイルスIgM抗体価0.7(陰性)。
企業報告
臨床検査値
   1回目投与
15日前
2回目投与
27日後
3回目投与
26日後
3回目投与
46日後
3回目投与
53日後
赤血球数(×104/mm3 396 408 408 362 415
ヘモグロビン(g/dL) 11.5 12.3 12.5 11.4 13.5
ヘマトクリット(%) 34.3 35.6 37.6 33.2 38.5
白血球数(/mm3 6000 11800 8800 9700 7800
好中球(%) 81 83 77
好酸球(%) 2 1 1
好塩基球(%) 1 1 0
リンパ球(%) 13 10 14
単球(%) 3 5 8
血小板数(×104/mm3 25.0 24.6 25.7 24.7 24.1
総蛋白(g/dL) 5.9 6.7 7.2 6.6 6.7
A/G比 1.68 1.92 1.74 1.46 1.30
AST(GOT)(IU/L) 15 14 21 39 38
ALT(GPT)(IU/L) 19 16 42 41 55
Al-P(IU/L) 327 484
LDH(IU/L) 271 470 317
コリンエステラ―ゼ(IU/L) 5968 6308 5922
γ-GTP(IU/L) 30 46 43 45
CK(CPK)(IU/L) 19
尿酸(mg/dL) 3.3 3.8 5.0 4.2
BUN(mg/dL) 25.6 19.9 17.4 15.8
血清クレアチニン(mg/dL) 0.61 0.60 0.64 0.75 0.60
総ビリルビン(mg/dL) 0.3
総コレステロ―ル(mg/dL) 284 281 276 289
中性脂肪(mg/dL) 148 212 234 243
HDLコレステロ―ル(mg/dL) 74 80 55
血清鉄(μg/dL) 89 46 48 56
血糖(mg/dL) 107 120 106
RAテスト(定性) 38(1+) 48(1+) 113(2+) 282(2+) 272(2+)
CRP(mg/dL) 2.1(1+) 2.5(2+) 4.8(3+) 8.7(6+) 8.3(5+)
赤血球沈降速度(mm/h) 30 27 32 60 56
HCV抗体3
TSH(μU/mL) 6.43
KL-6(mg/dL) 1140
併用薬:メトトレキサート、イソニアジド、酸化マグネシウム、ロキソプロフェンナトリウム、葉酸、加味逍遙散エキス、プレドニゾロン、ベシル酸アムロジピン、クエン酸第一鉄ナトリウム、クエン酸タンドスピロン、塩酸ミルナシプラン、ポラプレジンク、フルジアゼパム、カンデサルタンシレキセチル

 

NO. 患者 1日投与量
投与期間
副作用 備考
性・
年齢
使用理由
(合併症)
経過及び処置
2
70代
関節リウマチ
(なし)
132mg
(3mg/kg)
4回
間質性肺炎
投与約3年半前 メトトレキサート(6.25mg/週)の投与開始。以降は、5~8.75mg/週で維持。
投与14日前 メトトレキサート8.75mg/週から6mg/週に変更。
投与開始日 本剤1回目投与。
投与14日目 本剤2回目投与。
投与44日目 本剤3回目投与。
投与98日目 本剤4回目投与。
4回目投与5日後 咳発現。
4回目投与6日後 レントゲンで肺炎の疑いあり。
4回目投与8日後 発熱。
4回目投与11日後 近医受診。肺炎像認める。メトトレキサート中止。
4回目投与12日後 当院外来受診、入院。
肺炎合併と診断し、メロペネム三水和物1g、クラリスロマイシン0.4g投与開始。
4回目投与15日後 メロペネム三水和物、クラリスロマイシンの効果得られず。
X線上、間質影像増強で間質性肺炎と診断し、コハク酸メチルプレドニゾロンナトリウム0.5gのステロイドパルス療法開始(3日間)。
4回目投与18日後 プレドニゾロン30mg投与。
4回目投与19日後 酸素飽和度が低下〔SaO284%(酸素3L/分 マスク)〕。CT画像上は間質性肺炎が悪化。コハク酸メチルプレドニゾロンナトリウム1gに増量(3日間)。
4回目投与22日後 プレドニゾロン30mg投与。
4回目投与23日後 プレドニゾロン40mg投与(3日間)。
4回目投与25日後 コハク酸メチルプレドニゾロンナトリウム1gのステロイドパルス療法を再開(3日間)。
シクロホスファミド500mg投与。
4回目投与28日後 プレドニゾロン60mg投与開始。
4回目投与30日後 気管内挿管。呼吸器管理。
プレドニゾロン、抗生剤等で加療するも徐々に呼吸状態悪化。
4回目投与44日後 呼吸不全にて死亡。
死亡後肺針生検施行し、病理検査実施。
病理報告:UIP(通常の間質性肺炎)よりDAD(びまん性肺胞傷害)であるとの所見。
企業報告
臨床検査値
   1回目
投与
37日前
2回目
投与
27日後
3回目
投与
53日後
4回目
投与
12日後
4回目
投与
15日後
4回目
投与
19日後
4回目
投与
26日後
4回目
投与
32日後
4回目
投与
33日後
4回目
投与
40日後
赤血球数(×104/mm3 363 383 396 381 385 366 425 350 380 379
ヘモグロビン(g/dL) 12.5 12.9 13.5 12.9 12.9 12.2 14.8 12.5 13.3 13.4
ヘマトクリット(%) 38.3 36.3 38.3 36.6 37.3 35.5 41.0 34.8 37.6 37.2
赤芽球(%) 0 0
白血球数(/mm3 8800 6700 6400 7400 7900 12800 17000 19400 18900 14900
好中球(%) 73 70 82 93 89 87
桿状核球(%) 3 4 7 5
分葉核球(%) 79 89 82 82
好酸球(%) 4 1 0 1 0 0
好塩基球(%) 0 1 0 0 0 0
リンパ球(%) 16 18 11 4 5 8
単球(%) 7 10 7 2 6 5
異形リンパ球(%) 0 0 0 0 0 0
血小板数(×104/mm3 21.0 21.0 17.4 14.8 16.6 18.6 22.4 23.7 23.6 28.9
総蛋白(g/dL) 7.0 7.3 7.5 6.7 5.5 6.4 5.2 5.7 5.5
アルブミン(g/dL) 54.6 62.3 62.2 59.1 56.5 47.1 48.2 47.0 45.5
A/G比 1.20 1.66 1.65 1.44 1.30 0.89 0.93 0.89 0.83
AST(GOT)(IU/L) 16 19 22 24 24 37 31 26 31 28
ALT(GPT)(IU/L) 7 9 13 12 10 20 24 35 37 27
Al-P(IU/L) 257 264 201
LDH(IU/L) 224 445 397 628 559 554
γ-GTP(IU/L) 17 20 17
尿酸(mg/dL) 4.0 4.5 4.9 4.7 3.6 1.7 3.4 1.0
BUN(mg/dL) 17.6 15.0 20.2 20.8 21.9 22.9 14.5 18.8 18.9
血清クレアチニン(mg/dL) 0.52 0.65 0.58 0.51 0.53 0.52 0.58 0.42 0.37 0.28
総ビリルビン(mg/dL) 0.7
直接ビリルビン(mg/dL) 0.2
総コレステロール(mg/dL) 199 230 238 205 184 205 158 198
中性脂肪(mg/dL) 87 134 392 126 134 186 225 335
血清鉄(μg/dL) 50 54 69 53 63 55 80
血糖(mg/dL) 99 144
RAテスト(定性) 78 71 81 91 (-) 96 164 198 226 168
CRP(mg/dL) 9.8 0.8 0.3 5.1 5.4 1.2 7.9 9.2 5.7 1.1
KL-6(mg/dL) 556
赤血球沈降速度(mm/h) 64 10 6 26 17 15 42 62 53 30
Na(mEq/L) 145 142 139 136 142 127 139 134
K(mEq/L) 5.0 5.3 5.0 4.1 3.9 5.7 5.4 5.9
Cl(mEq/L) 106 104 105 99 104 90 99 96
Ca(mg/dL) 9.2
P(mg/dL) 3.6
併用薬:メトトレキサート、インドメタシン、プレドニゾロン、ランソプラゾール、葉酸

  

【2】 メシル酸イマチニブ

販売名(会社名)
グリベックカプセル100mg(日本チバガイギー)
薬効分類等 その他の腫瘍用薬
効能効果
  1. 慢性骨髄性白血病
  2. KIT(CD117)陽性消化管間質腫瘍

 

《使用上の注意(下線部追加改訂部分)》
[重要な基本
的注意]
消化管間質腫瘍の患者では、本剤投与によって、腫瘍の急激な壊死・縮小を来し腫瘍出血、消化管穿孔等があらわれることがあるので、定期的に血液検査等を実施し、初期症状としての下血、吐血、貧血、腹痛、腹部膨満感等の観察を十分に行うこと。異常が認められた場合には、直ちに腹部CT検査等を実施して出血部位、穿孔所見の有無の確認を行い、必要に応じて投与を中止し、適切な処置を行うこと。
[副作用
(重大な副作用)]
腫瘍出血、消化管穿孔:消化管間質腫瘍の患者では、腫瘍の急激な壊死・縮小を来し腫瘍出血、消化管穿孔、腹膜炎等があらわれることがあるので、定期的に血液検査等を実施し、下血、吐血、貧血、腹痛、腹部膨満感、嘔気、嘔吐等の初期症状に注意するなど観察を十分に行うこと。異常が認められた場合は、直ちに腹部CT検査等を実施して出血部位、穿孔所見の有無の確認を行い、必要に応じて投与を中止し、適切な処置を行うこと。
間質性肺炎、肺線維症:間質性肺炎、肺線維症があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
心膜炎:心膜炎があらわれることがあるので、観察を十分に行い、胸痛等が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
脳浮腫、頭蓋内圧上昇:脳浮腫、頭蓋内圧上昇があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
麻痺性イレウス:麻痺性イレウスがあらわれることがあるので、観察を十分に行い、嘔気、嘔吐、腹痛、便秘等が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
血栓症、塞栓症:深部静脈血栓症、肺塞栓症等があらわれることがあるので、観察を十分に行い、息切れ、胸痛、四肢の疼痛、浮腫等が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
〈参   考〉 企業報告

 

症例の概要

NO. 患者 1日投与量
投与期間
副作用 備考
性・
年齢
使用理由
(合併症)
経過及び処置
1
60代
胃原発消化管間質腫瘍術後腹腔内再発
(なし)
400mg
22日間
腫瘍壊死、腹膜炎、血小板減少
投与107日前 胃原発GISTに対して胃全摘施行。
投与79日前 その後、follow中にCT上腹腔内再発を認めた。入院加療を拒否したため、外来で塩酸ドキソルビシン20mg(2週毎、計13回)投与。しかし、その後腫瘍サイズ増大、肝転移も出現したため、ドセタキセル水和物20mg(2週毎、計3回)投与。
その後、入院を了解したためCYVADIC療法(硫酸ビンクリスチン1.5mg/m2、塩酸ピラルビシン50mg/m2、ダカルバジン250mg/m2、シクロホスファミド500mg/m2)を施行。
投与36日前 CYVADIC療法2クール目施行。
投与開始日 KIT(+)であり、本人、家族の承諾を得て、本剤400mg投与開始した。
投与22日目
(投与中止日)
腹痛あり、本剤投与中止。(CT施行→本剤投与8日前のCTと比較し、投与14日目のCTでは腫瘍サイズ縮小していたが、22日目CTではさらに縮小。)
中止2日後 血圧60mmHg台とショック状態となり、昇圧剤(塩酸ドパミン)使用。CT、上腹部腹水あり。腹水穿刺したが、漿液性で培養も陰性。
中止5日後 血小板数1.8×104/mm3と低下。血小板輸血20E×2。血液内科受診。骨髄穿刺→巨核球系の著明な低形成。
中止12日後 その後、血小板数は正常値にまで回復。
中止22日後 CT上腹腔内に貯留物あり。ドレナージ施行。
中止122日後 死亡。(死因:胃原発GIST再発)
腹水所見:がん細胞、細菌ともに陰性。ショック状態に陥った理由:腫瘍の破裂によると考えられる。腹膜炎に対する治療:ドレナージ、塩酸セフォゾプラン
企業報告
併用薬:ダカルバジン、硫酸ビンクリスチン、塩酸ピラルビシン、シクロホスファミド、マレイン酸エナラプリル、塩酸ベニジピン、メシル酸カモスタット、クエン酸モサプリド、塩化ベタネコール、塩化マグネシウム、十全大補湯、プレドニゾロン、塩酸モルヒネ

 

NO. 患者 1日投与量
投与期間
副作用 備考
性・
年齢
使用理由
(合併症)
経過及び処置
2
50代
直腸間質性腫瘍
(なし)
400mg
125日間
 ↓
(57日間休薬)
 ↓
400mg
継続
腸管穿孔、壊死性筋膜炎
投与26日前 肛門、臀部の疼痛と発熱を発現し、A医院受診。直腸診にて腫瘤を触知した。
投与15日前 B医院を紹介、入院。
投与開始日 本剤400mg投与開始。
投与125日目
(投与中止日)
臀部に疼痛出現。本剤投与中止。
中止1日後 臀部に疼痛、発赤を認め、陰嚢の腫大あり、38℃以上の発熱。CTにて、直腸間質腫瘍穿孔、フルニエー壊疽と診断。仙骨麻酔下に臀部切開排膿ドレナージを施行。
中止2日後 ドレーンより悪臭を伴う膿汁排出あり、洗浄ドレナージ継続。38℃以上の発熱あり、敗血症、重症感染症と判断。
中止3日後 血圧低下、意識障害出現し、敗血症性ショックと診断。
中止6日後 陰嚢のデブリートメント追加、IVH挿入。
中止7日後 下腹部腹壁に感染が波及し、切開排膿ドレナージ施行。
中止8日後 CTにて、全身の膿瘍(ガス壊疽)の範囲を確認。
中止10日後 臀部~陰嚢のデブリートメント追加。
中止11日後 右そけい部切開排膿。
中止15日後 意識清明(鎮痛剤等を中止)。
中止23日後 発熱は36~37℃となった。
穿孔部の造影にて直腸との交通がないことを確認し、食事開始。
中止35日後 大腸内視鏡検査、注腸にて直腸間質腫瘍穿孔部が閉鎖していることを確認。
中止36日後 臀部ドレーン抜去。
中止49日後 腹壁、陰嚢のドレーンはすべて抜去。
中止51日後 CTにて膿瘍がないこと、直腸間質腫瘍を確認。
中止57日後
(再投与開始日)
本剤400mgの再投与開始。
再投与3日目 陰部に創処置が外来で可能な状態となったため、退院。
企業報告
併用薬:ジクロフェナクナトリウム、ファモチジン、メトクロプラミド、フロセミド

 

NO. 患者 1日投与量
投与期間
副作用 備考
性・
年齢
使用理由
(合併症)
経過及び処置
3
40代
慢性骨髄性白血病/慢性期
(なし)
400mg
302日間
肺線維症
投与43日前 慢性骨髄性白血病と診断。
投与開始日 本剤400mg投与開始。
投与81日目 皮疹(軽微)が発現。
投与262日目 この頃より、咳が発現。
投与274日目 外来受診。胸部XP上異常は認められなかった。
投与302日目
(投与中止日)
外来受診。労作時息切れあり。SpO295%、%VC70.9%、FEV1.0%45.0%と低下。胸部CT上右肺尖部の胸膜肥厚認めるも、他に大きな異常は認められなかった。本剤投与中止。臭化水素酸デキストロメトルファン45mgを処方。
中止7日後 外来受診。SpO294~96%と改善を認めなかった。
中止9日後 入院。気管支拡張剤、ステロイド吸入を開始。
中止13日後 呼吸機能検査を行うも改善認めず、気管支拡張剤は無効と考えた。
中止22日後 胸腔鏡下、肺生検を施行。胸膜直下の線維化を認めた。ステロイド内服(プレドニゾロン60mg)開始。
中止37日後 症状は軽快。
中止121日後 自覚症状は改善しているが、SpO295%前後の状態である。プレドニゾロン15mgに減量。
企業報告
臨床検査値
   投与15日目 投与246日目 投与中止日 中止7日後 中止13日後 中止43日後
赤血球数(×104/mm3 393 394 414
ヘモグロビン(g/dL) 10.4 10.7 11.2
ヘマトクリット(%) 32.5 33.1 34.5
白血球数(/mm3 7080 2950 3070
好中球(%) 77.9 53.9 47.4
リンパ球(%) 11.6 32.7 35.6
血小板数(×104/mm3 20.3 18.9 20.5
動脈血O2分圧(Torr) 66.6 68.2 76.2
動脈血CO2分圧(Torr) 46.8 46.2 46.7
SpO2(%) 97 95 94 95.5
%VC(%) 70.9 65.3
FEV1.0%(%) 45.08 42.07
併用薬:レバミピド

 

NO. 患者 1日投与量
投与期間
副作用 備考
性・
年齢
使用理由
(合併症)
経過及び処置
4
60代
慢性骨髄性白血病/慢性期
(糖尿病)
400mg
19日間
 ↓
300mg
7日間
麻痺性イレウス、血小板減少、白血球減少
投与約4.5年前 慢性骨髄性白血病(慢性期)と診断。塩酸ダウノルビシン、ヒドロキシカルバミド、インターフェロンアルファ-2b(遺伝子組換え)で約1年治療。
投与開始日 本剤400mg投与開始。
投与20日目 血小板減少、白血球減少が発現し、本剤を300mgに減量。
投与26日目
(投与中止日)
本剤投与中止。
中止5日後 嘔気、嘔吐、腹痛出現し、イレウスと診断。
中止6日後 絶食、補液管理をした。入院時、腸蠕動音は低下していた。レントゲン上ニボーを認め、腸管も小腸、大腸ともに拡張しており、CTで明らかな閉塞部位は認められず、麻痺性イレウスと考えた。胃管を挿入した。入院時血小板数2.4×104/mm3
中止7日後 嘔気、腹痛軽快傾向にあった。血小板数1.4×104/mm3まで減少。血小板輸血開始(計13回、130単位 血小板輸血施行)。
中止9日後 胃管抜去。排ガスあり。
中止10日後 食事(全粥)を開始。特に症状変化なし。
中止18日後 イレウスは改善。血小板数2.7×104/mm3
企業報告
臨床検査値
   投与
20日目
中止
6日後
中止
7日後
中止
9日後
中止
11日後
中止
14日後
中止
16日後
赤血球数(×104/mm3 307 299 341 317 340
ヘモグロビン(g/dL) 11.3 12.9 9.9 9.7 10.9 10.1 10.8
白血球数(/mm3 3300 10800 5000 3300 3400 3600 4300
血小板数(×104/mm3 8.1 2.4 1.4 2.4 1.7 2.0 1.1
LDH(IU/L) 649 241 226 300
血糖値(mg/dL) 268 214 222
併用薬:シメチジン、テプレノン、ヒトインスリン(遺伝子組換え)、酸化マグネシウム、フロセミド、塩酸ラニチジン

  

【3】 リン酸オセルタミビル

販売名(会社名) タミフルカプセル75、同ドライシロップ3%(中外製薬)
薬効分類等 抗ウイルス剤
効能効果 A型又はB型インフルエンザウイルス感染症

 

《使用上の注意(下線部追加改訂部分)》
[副作用
(重大な副作用)]
肺炎:肺炎の発症が報告されているので、異常が認められた場合にはX線等の検査により原因(薬剤性、感染性等)を鑑別し、適切な処置を行うこと。
精神・神経症状:精神・神経症状(意識障害、異常行動、せん妄、幻覚、妄想、痙攣等)があらわれることがあるので、異常が認められた場合には投与を中止し、観察を十分に行い、症状に応じて適切な処置を行うこと。
〈参   考〉 企業報告

 

症例の概要

NO. 患者 1日投与量
投与期間
副作用 備考
性・
年齢
使用理由
(合併症)
経過及び処置
1
10代
インフルエンザウイルス感染症の疑い
(なし)
150mg
3日間
急性好酸球性肺炎
投与1日前 発熱。市販のかぜ薬を服薬。
投与開始日 38℃の発熱。救急外来受診。本剤及びロキソプロフェンナトリウムを処方。
投与3日目
(投与中止日)
呼吸器内科受診。肺炎、呼吸不全のため入院。
インフルエンザ確定検査実施、結果陰性。
夜間、発熱(39℃)。ジクロフェナクナトリウム25mg挿肛。
中止2日後 胸部CT上、両肺野にスリガラス陰影あり。気管支肺胞洗浄、経気管支肺生検施行。
気管支肺胞洗浄液:白血球数2230/mm3、好酸球75%。
経気管支肺生検:終末細気管支~肺胞道にリンパ球・マクロファージ・好酸球の浸潤あり。
検査所見より、急性好酸球性肺炎と診断。
DLST:本剤、ロキソプロフェンナトリウムとも陰性。
夜、コハク酸メチルプレドニゾロンナトリウム125mg点滴にて治療。
中止3日後 朝、コハク酸メチルプレドニゾロンナトリウム125mg点滴にて治療。
中止4日後 朝、コハク酸メチルプレドニゾロンナトリウム125mg点滴にて治療。
中止7日後 血液検査所見、胸部X線所見より肺炎の改善を認めて退院。
企業報告
臨床検査値
   投与3日目 中止2日後 中止7日後
体温(℃) 39.0 37.9
白血球数(/mm3 12000 10400 7500
リンパ球(%) 5.3 14.1 30.2
単球(%) 6.1 10.9 6.8
好中球(%) 84.7 71.7 62.1
好酸球(%) 3.8 3.0 0.1
好塩基球(%) 0.1 0.3 0.8
CRP(mg/dL) 3.38 1.97 <0.20
併用薬:ロキソプロフェンナトリウム、ジクロフェナクナトリウム

 

NO. 患者 1日投与量
投与期間
副作用 備考
性・
年齢
使用理由
(合併症)
経過及び処置
2
70代
インフルエンザウイルス感染症の疑い
(椎間板ヘルニア)
150mg
4日間
間質性肺炎
既往歴 肺炎(投与141日前から投与100日前まで治療)
投与開始日 突然、発熱・悪寒・関節痛発現。インフルエンザウイルス感染症と診断(確定診断なし)。本剤150mg(分2)、セラペプターゼ15mg(分3)、クラリスロマイシン、アズレンスルホン酸ナトリウム・L-グルタミン処方。当院受診後、院内にて本剤のみ内服。
本剤服用2時間経過後より40℃の発熱発現(他の薬剤服用前)。
以後、本剤を服用すると2時間後には約40℃の発熱発現。いずれもジクロフェナクナトリウム坐剤25mg挿入にて解熱。
投与4日目
(投与中止日)
発熱とともに咳、痰発現。呼吸苦も発現。本剤、セラペプターゼ投与中止。クラリスロマイシン、ジクロフェナクナトリウム坐剤投与中止。
中止1日後 【胸部X線検査】全肺野びまん性に透過性低下、粒状~顆粒状陰影、両側胸水など間質性陰影を確認。SpO283%、血液ガスpH7.466、PaCO231.5mmHg、PaO247.3mmHgと著明な低酸素血症を認め入院。入院後、薬剤性肺炎と診断。塩酸ミノマイシンの投与開始。ステロイド(コハク酸ヒドロコルチゾンナトリウム200mg5日間)の点滴を開始したところ速やかに解熱。徐々にSpO2も回復。
DLST:本剤陰性。
発熱軽快。
中止3日後 発熱回復。インフルエンザ様症状も回復。
中止5日後 コハク酸ヒドロコルチゾンナトリウム、塩酸ミノマイシン投与終了。
中止6日後 プレドニゾロン20mg経口投与開始。
中止9日後 【胸部X線検査】胸水はほぼ消失、陰影も軽快。プレドニゾロン15mgに減量。room airにてSpO296%と呼吸不全も改善。間質性肺炎軽快。
中止10日後 退院。
中止11日後 プレドニゾロン10mgに減量。
中止15日後 【胸部X線検査】胸水消失。間質性陰影もほぼ回復。
中止16日後 プレドニゾロン5mgに減量。
中止22日後 プレドニゾロン投与終了。
中止23日後 【胸部X線検査】間質性陰影は消失。回復。
企業報告
臨床検査値
   投与開始日 中止1日後 中止5日後 中止9日後
体温(℃) 37.8 37.1 36.7 38.6
白血球数(/mm3 13700 6700 7000 6600
CRP(mg/dL) 22.98 23.48 2.63 0.76
SpO2(%)
[測定条件]
83
[room air]
93
[O2 2Liter/nasal]
96
[room air]
併用薬:セラペプターゼ、クラリスロマイシン、アズレンスルホン酸ナトリウム・L-グルタミン

 

NO. 患者 1日投与量
投与期間
副作用 備考
性・
年齢
使用理由
(合併症)
経過及び処置
3
10代
インフルエンザウイルス感染症
(なし)
37.5mg
1日間
 ↓
75mg
1日間
意識レベルの低下
投与開始日 午後より発熱39℃、咳なし、鼻水少し。インフルエンザウイルス感染症に対し本剤75mg(分2)投与処方。夕方本剤服用。
投与2日目
(投与中止日)
朝夕本剤服用。
解熱していたが、しんどくて横になっていた。
気持ち悪くなり起きて洗面器で嘔吐し、そのまま意識状態が悪化。呼びかけに対して反応悪く、意識低下は3分くらい継続。後で本人に確認したところ、呼びかけは聞こえていたとのことであった。
ふと意識が戻りトイレに行ったときには便失禁があった。その後は徐々に回復。
来院時には顔色不良だが意識は清明。神経学的な異常なし。念のため経過観察入院。血液検査、生化学検査実施、異常なし。
中止1日後 点滴にて解熱傾向。その後嘔吐なく、退院。
中止2日後 症状回復。
企業報告
併用薬:アセトアミノフェン、フマル酸クレマスチン、塩酸ツロブテロール、カルボシステイン

 

NO. 患者 1日投与量
投与期間
副作用 備考
性・
年齢
使用理由
(合併症)
経過及び処置
4
10代
A型インフルエンザウイルス感染症
(なし)
150mg
5日間
幻覚NOS
投与開始日 朝咳あり。
来院。体温39℃。鼻腔サンプルよりA型インフルエンザウイルス感染症と診断。本剤カプセル150mgの投与を夕方より開始。
投与2日目 体温(39℃)の低下とともに同時に走り始め、窓から飛び降りようとした。母親が気付き抱き留めた。
その後も同様の状態の時、奇声を発した。
投与3日目 前日と同様の状態で奇声を発していた。母親は熱にうなされたと理解していた。
投与4日目 朝より解熱(37℃)となり前日のようなことはなかった。
投与5日目
(投与中止日)
来院時問題なし。朝の服用にて本剤服用中止。
中止29日後 他の疾患にて再来院。この時も全く問題なし。
企業報告
併用薬:塩酸チアラミド、リン酸ジヒドロコデイン、dl-塩酸メチルエフェドリン、マレイン酸クロルフェニラミン

 

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使用上の注意の改訂について(その156)

 前号(医薬品・医療用具等安全性情報 No.201)以降に改訂を指導した医薬品の使用上の注意(本号の「1 重要な副作用等に関する情報」で紹介したものを除く。)について、改訂内容、主な該当販売名、参考文献等をお知らせいたします。

1 〈催眠鎮静剤、抗不安剤〉
クエン酸タンドスピロン
[販売名] セディール錠5、同錠10(住友製薬)
[副作用
(重大な副作用)]
セロトニン症候群:興奮、ミオクロヌス、発汗、振戦、発熱等を主症状とするセロトニン症候群があらわれることがあるので、これらの症状が出現した場合には、投与を中止し、水分補給等の全身管理とともに適切な処置を行うこと。
〈参   考〉 企業報告

 

2 〈精神神経用剤〉
塩酸クロミプラミン(経口剤)
塩酸イミプラミン
[販売名] アナフラニール錠10mg、同錠25mg(日本チバガイギー)
トフラニール錠10mg、同錠25mg(日本チバガイギー)他
[禁忌]
QT延長症候群のある患者
[重要な基本
的注意]
うつ病の患者では、自殺企図の危険が伴うため、注意すること。また、自殺目的での過量服用を防ぐため、自殺傾向が認められる患者に処方する場合には、1回分の処方日数を最小限にとどめることが望ましい。
[副作用
(重大な副作用)]
セロトニン症候群:不安、焦燥、せん妄、興奮、発熱、発汗、頻脈、振戦、ミオクロヌス、反射亢進、下痢等を主症状とするセロトニン症候群があらわれることがあるので、これらの症状が出現した場合には投与を中止し、水分補給等の全身管理とともに適切な処置を行うこと。
〈参   考〉 企業報告

 

3 〈精神神経用剤〉
塩酸クロミプラミン(注射剤)
[販売名] アナフラニール注射液(日本チバガイギー)
[禁忌]
QT延長症候群のある患者
[副作用
(重大な副作用)]
セロトニン症候群:不安、焦燥、せん妄、興奮、発熱、発汗、頻脈、振戦、ミオクロヌス、反射亢進、下痢等を主症状とするセロトニン症候群があらわれることがあるので、これらの症状が出現した場合には投与を中止し、水分補給等の全身管理とともに適切な処置を行うこと。
〈参   考〉 企業報告

 

4 〈精神神経用剤〉
塩酸ミルナシプラン
[販売名] トレドミン錠15、同錠25(旭化成ファーマ)
[効能・効果に関連
する使用上の注意]
18歳未満の患者に投与する際は、リスクとベネフィットを考慮すること。(「小児等への投与」の項参照)
[小児等への投与]
本剤の小児に対する有効性及び安全性を検証するための試験は行われていない。塩酸パロキセチンにおいて海外で実施された7~18歳における大うつ病性障害(DSM-IVにおける分類)患者を対象としたプラセボ対照の臨床試験において有効性が確認できず、また、自殺念慮、自殺企図等の発現頻度がプラセボ群に比較して高かったとの報告がある。
また、18歳未満の大うつ病性障害患者に投与する場合は、投与開始早期から注意深く患者を観察し、新たな自傷、気分変動等の情動不安定の発現もしくは、これらの症状の増悪が観察された場合には徐々に減量するなど慎重に投与を中止すること。
〈参   考〉 企業報告

 

5 〈精神神経用剤〉
マレイン酸フルボキサミン
[販売名] デプロメール錠25、同錠50(明治製菓)
ルボックス錠25、同錠50(ソルベイ製薬)
[効能・効果に関連
する使用上の注意]
18歳未満の患者に投与する際は、リスクとベネフィットを考慮すること。(「小児等への投与」の項参照)
[小児等への投与] 低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児に対する安全性は確立していない。(低出生体重児、新生児、乳児、幼児については使用経験がなく、小児については使用経験が少ない。)
本剤の小児に対する有効性及び安全性を検証するための試験は行われていない。類薬(塩酸パロキセチン)において海外で実施された7~18歳における大うつ病性障害(DSM-IVにおける分類)患者を対象としたプラセボ対照の臨床試験において有効性が確認できず、また、自殺念慮、自殺企図等の発現頻度がプラセボ群に比較して高かったとの報告がある。
また、18歳未満の大うつ病性障害患者に投与する場合は、投与開始早期から注意深く患者を観察し、新たな自傷、気分変動等の情動不安定の発現もしくは、これらの症状の増悪が観察された場合には、徐々に減量するなど慎重に投与を中止すること。(「重要な基本的注意」の項参照)
海外では強迫性障害の小児にSSRIを投与し、食欲低下と体重減少・増加が発現したとの報告があるので、小児に長期間本剤を服用させる場合には、身長、体重の観察を行うこと。
〈参   考〉 企業報告

 

6 〈その他の中枢神経系用薬〉
塩酸ドネペジル
[販売名] アリセプト錠3mg、同錠5mg、同細粒0.5%(エーザイ)
[副作用
(重大な副作用)]
失神、徐脈、心ブロック、心筋梗塞、心不全:失神、徐脈、心ブロック(房室ブロック、洞房ブロック)、心筋梗塞、心不全があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
急性腎不全:急性腎不全があらわれることがあるので、異常が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
〈参   考〉 企業報告

 

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お知らせ

この医薬品・医療用具等安全性情報は、厚生労働省において収集された副作用情報をもとに、医薬品・医療用具等のより安全な使用に役立てていただくために、医療関係者に対して情報提供されるものです。

医薬品・医療用具等安全性情報は、医薬品医療機器情報提供ホームページ(https://www.pmda.go.jp/)又は厚生労働省ホームページ(http://www.mhlw.go.jp/)からも入手可能です。

また、NTTのファクシミリ通信網サービス「Fネット」を通じ、最近1年間の「医薬品・医療用具等安全性情報」がお手元のファクシミリから随時入手できます(利用者負担)。

「Fネット」への加入等についての問い合わせ先:0120-161-011