目次
この医薬品・医療用具等安全性情報は, 厚生労働省において収集された副作用情報をもとに, 医薬品・医療用具等のより安全な使用に役立てていただくために, 医療関係者に対して情報提供されるものです。
平成16年(2004年)8月
厚生労働省医薬食品局
重要な副作用等に関する情報
前号(医薬品・医療用具等安全性情報 No.203)以降に改訂を指導した医薬品の使用上の注意のうち重要な副作用等について, 改訂内容, 参考文献等とともに改訂の根拠となった症例の概要に関する情報を紹介いたします。
【1】 アルガトロバン
販売名(会社名) | アルガロン注(日本医薬品工業) スロバスタン注10mg(沢井製薬) スロンノン注(第一製薬) ノバスタン注(三菱ウェルファーマ) |
薬効分類等 | その他の循環器官用薬 |
効能効果 | 下(1)下記疾患に伴う神経症候(運動麻痺), 日常生活動作(歩行, 起立, 坐位保持, 食事)の改善 ・発症後48時間以内の脳血栓症急性期(ラクネを除く) (2)慢性動脈閉塞症(バージャー病・閉塞性動脈硬化症)における四肢潰瘍, 安静時疼痛ならびに冷感の改善 (3)下記患者における血液体外循環時の灌流血液の凝固防止(血液透析) ・先天性アンチトロンビンIII欠乏患者 ・アンチトロンビンIII低下を伴う患者 〔アンチトロンビンIIIが正常の70%以下に低下し, かつ, ヘパリンナトリウム, ヘパリンカルシウムの使用では体外循環路内の凝血(残血)が改善しないと判断されたもの〕 (アルガロン注, スロバスタン注10mgは(2)のみ) |
《使用上の注意(下線部追加改訂部分)》 | |
[副作用 (重大な副作用)] |
劇症肝炎, 肝機能障害, 黄疸:劇症肝炎等の重篤な肝機能障害, 黄疸があらわれることがあるので, 観察を十分に行い, 異常が認められた場合には, 直ちに投与を中止し, 適切な処置を行うこと。 |
〈参 考〉 | 企業報告 |
症例の概要
NO. | 患者 | 1日投与量 投与期間 |
副作用 | 備考 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
性・ 年齢 |
使用理由 (合併症) |
経過及び処置 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
1 | 男 80代 |
脳塞栓症 (高血圧, 慢性心不全) |
60mg 2日間 ↓ 20mg 4日間 |
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企業報告 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
臨床検査値
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併用薬:塩酸ジルチアゼム, チアミンモノホスフェイトジスルフィド・B6・B12配合剤, アスコルビン酸, 塩酸ドパミン |
NO. | 患者 | 1日投与量 投与期間 |
副作用 | 備考 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
性・ 年齢 |
使用理由 (合併症) |
経過及び処置 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
2 | 男 60代 |
閉塞性動脈硬化症 (脳梗塞, 不整脈) |
20mg 10日間 |
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企業報告 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
臨床検査値
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併用薬:硝酸イソソルビド, 塩酸ベラパミル, 塩酸ビフェメラン, メシル酸ジヒドロエルゴトキシン, 塩酸チザニジン, 塩酸マプロチリン, イオベルソール |
【2】 クエン酸モサプリド
販売名(会社名) | ガスモチン散, 同錠2.5mg, 同錠5mg(大日本製薬) |
薬効分類等 | その他の消化器官用薬 |
効能効果 | 慢性胃炎に伴う消化器症状(胸やけ, 悪心・嘔吐) |
《使用上の注意(下線部追加改訂部分)》 | |
[副作用 (重大な副作用)] |
劇症肝炎, 肝機能障害, 黄疸:劇症肝炎, 著しいAST(GOT), ALT(GPT), γ-GTPの上昇等を伴う重篤な肝機能障害, 黄疸があらわれることがあり, 死亡に至った例もあるので, 観察を十分に行い, 異常が認められた場合には, 直ちに投与を中止し, 適切な処置を行うこと。 |
〈参 考〉 | 企業報告 |
症例の概要
NO. | 患者 | 1日投与量 投与期間 |
副作用 | 備考 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
性・ 年齢 |
使用理由 (合併症) |
経過及び処置 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
1 | 女 20代 |
うつ病 (高血圧症) |
15mg 217日 |
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企業報告 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
臨床検査値
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併用薬:塩酸パロキセチン水和物, フルジアゼパム, 塩酸ミルナシプラン, 塩酸トラゾドン, 塩酸リルマザホン, オキサゾラム, 塩酸ミアンセリン |
【3】 サリチルアミド・アセトアミノフェン・無水カフェイン・メチレンジサリチル酸プロメタジン
販売名(会社名) |
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薬効分類等 | 総合感冒剤 | ||
効能効果 | 感冒若しくは上気道炎に伴う下記症状の改善及び緩和 鼻汁, 鼻閉, 咽・喉頭痛, 頭痛, 関節痛, 筋肉痛, 発熱 |
《使用上の注意(下線部追加改訂部分)》 | |
[副作用 (重大な副作用) |
緑内障:緑内障発作があらわれることがあるので, 視力低下, 眼痛等があらわれた場合には投与を中止し, 適切な処置を行うこと。 |
〈参 考〉 | 企業報告 |
症例の概要
NO. | 患者 | 1日投与量 投与期間 |
副作用 | 備考 | |||||||||||||||||||||||||
性・ 年齢 |
使用理由 (合併症) |
経過及び処置 | |||||||||||||||||||||||||||
1 | 女 60代 |
感冒 (なし) |
3g 2日間 |
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企業報告 | ||||||||||||||||||||||||
併用薬:塩酸ミノサイクリン, ジクロフェナクナトリウム, リン酸ベンプロペリン |
【4】 濃グリセリン・果糖
販売名(会社名) |
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薬効分類等 | その他の循環器官用薬 | ||
効能効果 | ○頭蓋内圧亢進, 頭蓋内浮腫の治療 ○頭蓋内圧亢進, 頭蓋内浮腫の改善による下記疾患に伴う意識障害, 神経障害, 自覚症状の改善 脳梗塞(脳血栓, 脳塞栓), 脳内出血, くも膜下出血, 頭部外傷, 脳腫瘍, 脳髄膜炎 ○脳外科手術後の後療法 ○脳外科手術時の脳容積縮小 ○眼内圧下降を必要とする場合 ○眼科手術時の眼容積縮小 |
《使用上の注意(下線部追加改訂部分)》 | |||||||||||
[禁 忌] |
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[重要な基本 的注意] |
成人発症II型シトルリン血症の患者に対して, 脳浮腫治療のために本剤を投与して病態が悪化し, 死亡したとの報告がある。成人発症II型シトルリン血症(血中シトルリンが増加する疾病で, 繰り返す高アンモニア血症による異常行動, 意識障害等を特徴とする)が疑われた場合には, 本剤を投与しないこと。 | ||||||||||
〈参 考〉 | 矢崎正英, 他:第45回日本神経学会総会 プログラム・抄録集:229(2004) | ||||||||||
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使用上の注意の改訂について(その158)
前号(医薬品・医療用具等安全性情報 No.203)以降に改訂を指導した医薬品の使用上の注意(本号の「1 重要な副作用等に関する情報」で紹介したものを除く。)について, 改訂内容, 主な該当販売名, 参考文献等をお知らせいたします。
1 | 〈抗パーキンソン剤〉 カベルゴリン |
[販売名] | カバサール錠0.25mg, 同錠1.0mg(ファイザー) |
[副作用 (重大な副作用)] |
悪性症候群(Syndrome malin):パーキンソン病治療において, 本剤の急激な減量又は中止により, 高熱, 意識障害, 高度の筋硬直, 不随意運動, 血清CK(CPK)上昇等があらわれることがある。このような場合には, 再投与後, 漸減し, 体冷却, 水分補給等の適切な処置を行うこと。なお, 投与継続中に同様の症状があらわれることがある。 |
〈参 考〉 | 企業報告 |
2 | 〈精神神経用剤〉 マレイン酸フルボキサミン |
[販売名] | デプロメール錠25, 同錠50(明治製菓), ルボックス錠25, 同錠50(ソルベイ製薬) | |
[禁忌] |
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[相互作用 (併用禁忌)] |
塩酸チザニジン | |
〈参 考〉 | 企業報告 |
3 | 〈その他の中枢神経系用薬〉 エダラボン |
[販売名] | ラジカット注30mg(三菱ウェルファーマ) |
[副作用 (重大な副作用)] |
ショック, アナフィラキシー様症状:ショック, アナフィラキシー様症状(蕁麻疹, 血圧低下, 呼吸困難等)があらわれることがあるので, 観察を十分に行い, 異常が認められた場合には, 投与を中止し, 適切な処置を行うこと。 |
〈参 考〉 | 企業報告 |
4 | 〈鎮けい剤〉 塩酸チザニジン |
[販売名] | テルネリン顆粒0.2%, 同錠1mg(日本チバガイギー)他 | |
[禁忌] |
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[相互作用 (併用禁忌)] |
マレイン酸フルボキサミン | |
〈参 考〉 | 企業報告 |
5 | 〈高脂血症用剤〉 ピタバスタチンカルシウム |
[販売名] | リバロ錠1mg, 同錠2mg(興和) |
[副作用 (重大な副作用)] |
肝機能障害, 黄疸:AST(GOT), ALT(GPT)の著しい上昇等を伴う肝機能障害, 黄疸があらわれることがあるので, 定期的に肝機能検査等の観察を十分に行い, 異常が認められた場合には投与を中止し, 適切な処置を行うこと。 |
〈参 考〉 | 企業報告 |
6 | 〈その他の泌尿生殖器官及び肛門用薬〉 塩酸フラボキサート |
[販売名] | ブラダロン顆粒, 同錠(日本新薬)他 |
[副作用 (重大な副作用)] |
ショック, アナフィラキシー様症状:ショック, アナフィラキシー様症状があらわれることがあるので, 観察を十分に行い, 蕁麻疹, 冷汗, 呼吸困難, 喉頭浮腫, 血圧低下等の異常が認められた場合には直ちに投与を中止し, 適切な処置を行うこと。 |
〈参 考〉 | 企業報告 |
7 | 〈その他の外皮用薬, 抗ハンセン病剤〉 ジアフェニルスルホン |
[販売名] | 25mgプロトゲン錠, レクチゾール錠25mg(三菱ウェルファーマ) |
[副作用 (重大な副作用)] |
好酸球性肺炎:好酸球性肺炎があらわれることがあるので, 発熱, 咳嗽, 呼吸困難等の呼吸器症状があらわれた場合には投与を中止し, 速やかに胸部X線検査, 血液検査等を実施し, 適切な処置を行うこと。 |
〈参 考〉 | 企業報告 |
8 | 〈その他の外皮用薬〉 マキサカルシトール(外用剤) |
[販売名] | オキサロール軟膏(中外製薬) |
[慎重投与] | 腎機能が低下している患者 |
[重要な基本 的注意] |
本剤は活性型ビタミンD3誘導体製剤であり, 血清カルシウム値が上昇する可能性がある。また, 高カルシウム血症に伴い, 急性腎不全の報告があるため, 本剤の使用に際しては, 血清カルシウム値及び腎機能(血清クレアチニン, BUN等)の検査を定期的(開始2~4週後に1回, その後は適宜)に行うこと。なお, 正常域を超えた場合には減量又は使用を中止すること。 皮疹が広範囲にある場合や, 皮疹重症度が高く, 皮膚のバリア機能が低下して本剤の経皮吸収が増加する可能性のある患者では, 高カルシウム血症が発現しやすく, 急性腎不全に至る可能性もあるため, 本剤を少量から使用開始し, 観察を十分に行い, 血清カルシウム値及び腎機能の検査を定期的に行うこと。 |
〈参 考〉 | 企業報告 岩田洋平, 他:日皮会誌, 113(3):271-279(2003) |
9 | 〈他に分類されない代謝性医薬品〉 エパルレスタット |
[販売名] | キネダック錠(小野薬品工業) |
[副作用 (重大な副作用)] |
劇症肝炎, 肝機能障害, 黄疸, 肝不全:劇症肝炎, 著しいAST(GOT)・ALT(GPT)の上昇等を伴う肝機能障害, 黄疸, 肝不全があらわれることがあるので, 観察を十分に行い, このような場合には投与を中止し適切な処置を行うこと。 |
〈参 考〉 | 企業報告 |
10 | 〈他に分類されない代謝性医薬品〉 ヒアルロン酸ナトリウム(注射剤) (慢性関節リウマチにおける膝関節痛の効能を有する製剤) |
[販売名] | スベニールディスポ, 同バイアル(中外製薬) |
[副作用 (重大な副作用)] |
ショック:ショック症状があらわれることがあるので, 観察を十分に行い, 異常が認められた場合には投与を中止し, 適切な処置を行うこと。 |
〈参 考〉 | 企業報告 |
11 | 〈主としてカビに作用するもの〉 ミカファンギンナトリウム |
[販売名] | ファンガード点滴用50mg, 同点滴用75mg(富山フジサワ) |
[副作用 (重大な副作用)] |
血液障害:好中球減少, 血小板減少, 溶血性貧血があらわれることがあるので, 定期的に検査を行うなど観察を十分に行い, 異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。 ショック, アナフィラキシー様症状:ショック, アナフィラキシー様症状があらわれることがあるので, 観察を十分に行い, 血圧低下, 口内異常感, 呼吸困難, 全身潮紅, 血管浮腫, 蕁麻疹等の異常がみられた場合には投与を中止し, 必要に応じて気道の確保, アドレナリン, ステロイド, 抗ヒスタミン剤の投与等の適切な処置を行うこと。 |
〈参 考〉 | 企業報告 |
12 | 〈抗ウイルス剤〉 硫酸アバカビル |
[販売名] | ザイアジェン錠(グラクソ・スミスクライン) |
[副作用 (重大な副作用)] |
乳酸アシドーシス及び脂肪沈着による重度の肝腫大(脂肪肝) |
〈参 考〉 | 企業報告 |
13 | 〈合成麻薬〉 クエン酸フェンタニル |
[販売名] | フェンタネスト(三共) |
[用法及び用量に 関連する使用上 の注意] |
患者の状態(呼吸抑制等)を観察しながら慎重に投与すること。特に追加投与及び他のオピオイド製剤から本剤へ変更する場合には, 前投与薬剤の投与量及び鎮痛効果の持続時間を考慮して, 副作用の発現に注意しながら, 適宜用量調節を行うこと(ガイドライン参照)。 癌性疼痛に対して初めてオピオイド製剤として本剤を静注する場合には, 個人差も踏まえ, 通常よりも低用量(ガイドライン参照)から開始することを考慮し, 鎮痛効果及び副作用の発現状況を観察しながら用量調節を行うこと。 |
〈参 考〉 | 企業報告 日本麻酔科学会-麻酔薬および麻酔関連薬使用ガイドライン改訂第2版:14(2004) |
お知らせ この医薬品・医療用具等安全性情報は, 厚生労働省において収集された副作用情報をもとに, 医薬品・医療用具等のより安全な使用に役立てていただくために, 医療関係者に対して情報提供されるものです。 医薬品・医療用具等安全性情報は, 医薬品医療機器情報提供ホームページ(https://www.pmda.go.jp/)又は厚生労働省ホームページ(http://www.mhlw.go.jp/)からも入手可能です。 また, NTTのファクシミリ通信網サービス「Fネット」を通じ, 最近1年間の「医薬品・医療用具等安全性情報」がお手元のファクシミリから随時入手できます(利用者負担)。 「Fネット」への加入等についての問い合わせ先:0120-161-011 |