独立行政法人 医薬品医療機器総合機構
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安全対策業務

医薬品・医療用具等安全性情報 No.205

目次

  1. 平成15年度インフルエンザワクチンの副反応の報告等について
  2. 塩酸チクロピジン製剤とCypherステントの市販後安全対策について
  3. 重要な副作用等に関する情報
    1. タクロリムス水和物(経口剤, 注射剤)
  4. 使用上の注意の改訂について(その159)
    セボフルラン他(14件)

 

この医薬品・医療用具等安全性情報は, 厚生労働省において収集された副作用情報をもとに, 医薬品・医療用具等のより安全な使用に役立てていただくために, 医療関係者に対して情報提供されるものです。

平成16年(2004年)9月
厚生労働省医薬食品局

 
【情報の概要】
No. 医薬品等 対策 情報の概要
1 平成15年度インフルエンザワクチンの副反応の報告等について     平成15年度におけるインフルエンザワクチンの副反応の報告状況及び安全対策をまとめたので紹介する。
 平成15年度のインフルエンザワクチンの推定出荷本数は, 約1,463万本であり, 薬事法に基づく副作用等報告による副反応は, 162症例, 259件(注射部位の発赤・腫脹等26件, 発熱18件, ショック・アナフィラキシー様症状14件, 肝機能障害12件, 発疹等12件, 意識消失等9件, 関節痛7件, 筋痛7件, ギラン・バレー症候群7件, 痙攣7件, 喘息6件, 下痢5件, 他)であった。
2 塩酸チクロピジン製剤とCypherステントの市販後安全対策について     塩酸チクロピジンの安全対策については, 医薬品等安全性情報No.156(平成11年8月号)及び緊急安全性情報(平成11年6月30日, 平成14年7月23日)において適正使用をお願いしてきたところであるが, 今般, Cypherステントの承認に伴い, 当該ステントを用いた冠動脈ステント治療の安全対策のため, 関係企業に対して, 適正使用の徹底を通知するとともに, 都道府県, 関係学会及び関係団体に対して協力依頼・周知をお願いしたので, 当該通知の内容を紹介し, 改めて医療関係者に注意喚起することとした。
3 タクロリムス水和物(経口剤, 注射剤) 使
 前号(医薬品・医療用具等安全性情報No.204)以降に改訂を指導した医薬品の使用上の注意のうち重要な副作用等について, 改訂内容, 参考文献等とともに改訂の根拠となった症例の概要に関する情報を紹介する。
4 セボフルラン他(14件)    使用上の注意の改訂について(その159)

緊:緊急安全性情報の配布 使:使用上の注意の改訂 症:症例の紹介

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平成15年度インフルエンザワクチンの副反応の報告等について

(1)はじめに

 インフルエンザは, 平成13年の予防接種法改正により二類疾病に分類されている。
 二類疾病とは個人予防目的に比重を置いた疾病であり, 主に個人予防目的のために行う予防接種であることから, 予防接種を受けるように努める義務は課されておらず, 対象者が接種を希望する場合にのみ接種を行うものである。
 予防接種法によるインフルエンザの定期予防接種の対象者は, 65歳以上の者及び60歳以上65歳未満の者であって, 心臓, 腎臓若しくは呼吸器の機能又はヒト免疫不全ウイルスによる免疫の機能に障害を有するものとされている。
 現在のインフルエンザHAワクチンの有用性は世界的にも認められている。我が国においても高齢者の発病防止や特に重症化防止に有効であることが確認されている。
 インフルエンザ予防接種の副反応としては, 予防接種部位の発赤, 腫脹及び疼痛, 全身症状としての発熱, 寒気, 頭痛, 全身倦怠感及び嘔吐などが知られているが, 通常, 接種後, 2~3日中に消失する。また, 接種直後から数日中にあらわれる発疹, 蕁麻疹, 紅斑及びそう痒も知られている。重大な副反応としては, ショック, 急性散在性脳脊髄炎(ADEM), ギラン・バレー症候群, 痙攣, 肝機能障害・黄疸, 喘息発作が報告されている。
 今般, 平成15年度におけるインフルエンザワクチンの副反応の報告状況及び安全対策をまとめたので, 紹介する。

(2)平成15年度のインフルエンザワクチンに関する副反応の報告

 平成15年度のインフルエンザワクチンの推定出荷本数は, 約1,463万本であった。また, 医薬品との因果関係が不明なものを含め製造業者等又は医療関係者から報告された薬事法第77条の4の2に基づく副作用等報告による副反応は, 162症例, 259件であった。
 副作用等報告として数多く報告された副反応は, 注射部位の発赤・腫脹等26件, 発熱18件, ショック・アナフィラキシー様症状14件, 肝機能障害12件, 発疹等12件, 意識消失等9件, 関節痛7件, 筋痛7件, ギラン・バレー症候群7件, 痙攣7件, 喘息6件, 下痢5件, ADEM4件, 血小板減少3件, 急性腎不全・ネフローゼ2件であった。
 インフルエンザ予防接種による副反応における転帰毎の年齢別報告件数を表1に示す。なお, 死亡の症例及び後遺症の症例については, 感染症, ウイルスの専門家からなるインフルエンザワクチンについて評価する検討会(以下, 「インフルエンザワクチン副反応検討会」)において検討した結果, インフルエンザワクチンの影響が強く疑われる症例はなかった。検討結果について, 死亡の症例においては表2に, 後遺症の症例においては表3に示す。
 また, 薬事法に基づく副作用等報告とは別に, 平成6年の予防接種法の改定に伴い実施されている予防接種後副反応報告制度があり, 当該制度による平成15年度のインフルエンザワクチンによる副反応報告件数(因果関係の不確かな報告を含む)についても, 参考として表4に示す。予防接種後副反応報告制度は, 予防接種実施要領(平成13年11月7日付健発第1058号厚生労働省健康局長通知)に基づき予防接種法による定期接種として予防接種した被接種者の健康状況の変化について情報を収集し広く国民に提供すること等を目的としたものである。当該制度によるインフルエンザワクチンの副反応の報告対象は, 定期接種対象者であり, 副作用等報告制度の報告対象者とは異なる。

表1 薬事法に基づく平成15年度インフルエンザワクチンにおける副作用等報告

   回復・軽快 未回復 不明 後遺症 死亡
報告症例数 162 119 20 11 5 7
74 88 50 69 10 10 6 5 2 3 6 1
10歳未満 35 27 6 2      
24 11 19 8 3 3 2 0            
10歳代 24 20 2 2      
10 14 7 13 2 0 1 1            
20歳代 5 4 1         
1 4 1 3 0 1                  
30歳代 12 8 1 2 1   
4 8 3 5 0 1 1 1 0 1      
40歳代 15 12 1 2      
7 8 5 7 0 1 2 0            
50歳代 10 7 1 1    1
4 6 2 5 1 0 0 1       1 0
60歳代 21 14 1 2 2 2
8 13 4 10 1 0 0 2 1 1 2 0
70歳代 19 16 1    1 1
7 12 5 11 0 1       1 0 1 0
80歳代 17 9 5    1 2
7 10 4 5 2 3       0 1 1 1
90歳代 3 2          1
1 2 0 2                   1 0
不明 1    1         
1 0       1 0                  

表2 平成15年度インフルエンザワクチン予防接種における死亡の症例

No. 副作用等報告の概要 専門委員による評価
1 60代男性
副作用名:気管支肺炎, 肝機能異常
間質性肺疾患, 脊髄小脳障害の既往歴あり。また, 過去にインフルエンザ感染により呼吸機能が悪化した既往歴あり。インフルエンザワクチン接種6日後に心肺停止状態で救急搬送され死亡。
過去にインフルエンザ感染で呼吸機能が悪化した既往があるが, 以前にインフルエンザ感染で肺炎を起こした人であっても, ワクチンがアレルゲンとして働く可能性はほとんどない。CRPが高値となっているので何らかの感染も関与していると考えられる。肺炎による死亡と考えられるが, 得られたデータからインフルエンザワクチンとの因果関係を積極的に肯定できる所見はない。
2 60代男性
副作用名:発熱, 急性心不全
慢性腎不全により血液透析を行っている。ワクチン接種4日後に発熱, 白血球数は低下。その翌日に呼吸停止, 心停止し死亡。
ワクチン接種による発熱は通常1~2日目に生じる。ワクチン接種4日後の発熱はCRPの値を考えると他の要因と思われる。インフルエンザワクチンは不活化ワクチンであるので, ワクチンによる感染の可能性は考えられない。透析をしているため免疫機能が低下しているところに, 何らかの原因で感染を合併したとも考えられる。死因は原病の悪化あるいはワクチンとは関係のない感染による多臓器不全と考えるのが妥当で, インフルエンザワクチンとの因果関係は少ないと思われる。
3 80代女性
副作用名:呼吸困難
基礎疾患に糖尿病, 高血圧あり。ワクチン接種3日後, 就寝中に呼吸困難, 救急搬送され気管内挿管するも心停止し死亡。
ワクチン接種後3日後に呼吸困難, 心停止。ワクチンが原因とすれば通常は接種日又は24時間以内に症状が出現することから, ワクチン接種によるショックやアレルギー反応は考え難い。また, ワクチン接種当日に血清クレアチニンが高値であり, 何らかの原因により腎不全状態であったと考えられ, それが心停止につながったと考えられる。インフルエンザワクチンとの因果関係は少ないものと考える。
4 70代男性
副作用名:死亡
ワクチン接種13時間後に入浴中に溺水。救急搬送されるも死亡。ワクチン接種から溺水までの経過は不明。
ワクチンによるショックや痙攣であれば接種後の時間が経過しすぎている。インフルエンザワクチンとの因果関係はないと考えられるが情報が乏しく十分な評価はできない。
5 80代男性
副作用名:死亡
基礎疾患に脳血管障害あり。ワクチン接種2時間後に家人が起こしに行ったところ反応なし。緊急往診で心マッサージするも死亡。
時間的経過からワクチン接種との因果関係は否定できない。また基礎疾患である脳血管障害の再発も考えられる。いずれにせよ, 解剖を行っていないので死因を特定するのは困難である。
6 90代男性
副作用名:急性心筋梗塞
基礎疾患に大腸癌, 貧血, 心障害あり。ワクチン接種9時間後興奮状態になり座位, 立位が取れなくなり救急搬送。急性心筋梗塞と診断され漸次状態悪化。接種から15時間後に死亡。
ワクチン接種と死亡との因果関係は時間的経過からは否定できないものの, 高齢者でかつ種々の重篤な基礎疾患を持っており, 副反応の証拠は見出せない。したがって因果関係を特定するのは困難である。
7 50代男性
副作用名:発熱
ワクチン接種2日後に発熱。接種23日後に肺炎, 多臓器不全で死亡。
情報が極めて少なく根拠に欠ける。因果関係を評価することはできない。

表3 平成15年度インフルエンザワクチン予防接種における後遺症の症例

No. 副作用等報告の概要 専門委員による評価
1 70代男性
副作用名:片麻痺, 構音障害, 痙攣, 意識レベルの低下
ワクチン接種16日後に左半身麻痺, 構音障害, 痙攣出現。翌日意識障害が進行。MRIによりウイルス性脳炎と診断。
MRIで右側頭葉に病変があり, ウイルス性脳炎と診断されているが, インフルエンザ不活化ワクチンでウイルス性脳炎を起こすとは考えられない。情報が不足しており判断できない。
2 30代女性
副作用名:横断性脊髄炎
鼻咽頭炎, 喘息の既往あり。ワクチン接種前に咳, 発熱あり。ワクチン接種時, アモキシシリン, カルボシステイン, d-マレイン酸クロルフェニラミン, アセトアミノフェンを服用中であり, ワクチン接種4日後尿閉。翌日, 尿閉は改善せず感覚障害出現。髄液検査及びMRIで急性散在性脳脊髄炎と診断。
感冒症状があり状態の悪い時にワクチンを接種しているので, 基礎にあったウイルス感染症が原因で症状が発現したと思われる。しかしADEMはインフルエンザワクチンの副反応として知られており否定はできない。
3 80代女性
副作用名:注射部位疼痛
基礎疾患に高血圧, 鉄欠乏性貧血あり。ワクチン接種2日後に, 注射部位の腕の運動時に痛みが激しく, 腕が上げられない状態となる。湿布等により軽減するも5ヵ月後も疼痛あり。
注射部位の疼痛であるのでワクチン接種との因果関係を否定できないが, 客観的データもなく情報が不足しているので因果関係を評価するのは困難である。
4 60代男性
副作用名:洞不全症候群
ワクチン接種翌日より倦怠感あり。接種4日後胸部不快感, 痛み, 意識消失, 呼吸停止, 心停止あり。洞不全症候群と診断。
ワクチン接種後の倦怠感は良く見られる副反応である。心筋炎の正確な診断を下すには心電図が必要である。本例では虚血性の心筋障害, それによる洞不全症候群を呈したと思われるが, ワクチンとの関連性は完全には否定できない。
5 60代女性
副作用名:白質脳脊髄炎, 意識レベルの低下
基礎疾患に脳障害, シェーングレン症候群, 本態性高血圧, 不整脈あり。ワクチン接種16日後に頭痛, 動作緩慢, 食欲低下。発熱, 嘔吐, 傾眠状態で救急搬送。意識障害が数日続いた後徐々に回復。MRIではADEMの所見なし。
ADEMのMRI所見が接種医と診察医により異なっているが, ADEMと確認できればインフルエンザワクチンの副反応である可能性は否定できない。現時点では情報が不足しているため因果関係は不明である。

(3)インフルエンザワクチンの安全対策

未知の副反応として報告された血小板減少, 急性腎不全・ネフローゼ, 意識障害, 下痢, 関節痛, 筋痛等について, インフルエンザワクチン副反応検討会を開催し, 添付文書の改訂等の必要性について検討を行った。
 平成14年度以前に集積された症例も含めて個々の症例を評価した結果, 全ての副反応においてインフルエンザワクチンとの因果関係は否定できないものの, 重大な副作用の項等に副反応として記載する根拠とするには不十分であり, 今回は添付文書の改訂等は必要ないものの, 今後とも情報収集に努めることとされた。

表4 予防接種実施要領に基づく平成15年度インフルエンザワクチンにおける副反応報告

   総数 治癒 死亡 重篤 入院 後遺症 その他 記入無
34 1 1    8 1 17 6
1 即時性全身反応 5          1    4   
 1A アナフィラキシー 3          1    2   
 1B 全身蕁麻疹 2                2   
2 脳炎, 脳症 1    1               
3 けいれん                        
4 運動障害                        
5 その他の神経障害 6          4    2   
6 局所の異常腫脹(肘を越える)                        
7 全身の発疹 5                3 2
8 39°以上の発熱 1                1   
9 その他の異常反応 4 1       1    1 1
10 基準外報告 12          2 1 6 3
 10A 局所反応(発赤腫脹等) 7          1 1 3 2
 10B 全身反応(発熱等) 2          1    1   
 10C その他 3                2 1

 

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塩酸チクロピジン製剤とCypherステントの市販後安全対策について

 塩酸チクロピジンの安全対策については, 医薬品等安全性情報No.156(平成11年8月号)及び緊急安全性情報(平成11年6月30日, 平成14年7月23日)において適正使用をお願いしてきたところであるが, 今般, Cypherステントの承認に伴い改めて注意喚起することとした。
 塩酸チクロピジン製剤とCypherステントの適正使用については, 平成16年7月30日付薬食審査発第0730001~5号, 薬食安発第0730001~5号及び薬食総発第0730001号において, 当該ステントを用いた冠動脈ステント治療の安全対策のため, 関係企業に対して, 適正使用の徹底を通知するとともに, 都道府県, 関係学会及び関係団体に対して協力依頼・周知をお願いしたので, 当該通知の内容を紹介し, 改めて医療関係者に注意喚起することとした。

(1)概要

 2004年3月に薬剤溶出型冠動脈ステント「Cypherステント」(承認番号21600BZY00136)が承認された。当該ステントは, 国内初の薬剤溶出型冠動脈ステントであり, 従来型冠動脈ステントと比較すると次のような特徴がある。
(1)冠動脈ステント表面にコーティングされた薬剤の薬理作用により, 冠動脈の内膜の再狭窄を低減。
(2)細い血管(2.5mmクラス)にまでステント治療が可能。
 ステント治療には抗血小板療法を行うことが必須で, 当該ステントに係る標準的な抗血小板療法の期間は, 承認申請された試験データをもとに, 従来型の冠動脈ステント治療における標準的な抗血小板療法期間(1ヶ月程度)より長い3ヶ月と設定され, 当該療法に際しては, 塩酸チクロピジン製剤の使用が推奨された。
 従来から, 医療関係者等に対しては塩酸チクロピジン製剤による血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)や無顆粒球症等の重篤な副作用の発現防止のための適正使用の徹底をお願いしてきたが, 当該ステントの販売開始に当たって, 関係企業に対して, 適正使用の徹底について通知するとともに, 都道府県, 関係学会及び関係団体に対して適正使用の推進に係る協力依頼及び周知をお願いしている。

(2)塩酸チクロピジン製剤及びCypherステントの適正使用のお願い

塩酸チクロピジン製剤に係る血栓性血小板減少性紫斑病(TTP), 無顆粒球症, 重篤な肝障害等の重大な副作用を防止するため, 当該ステントの添付文書に次の警告を記載している。この点に御留意いただき, 塩酸チクロピジン製剤及び当該ステントの適正使用をお願いする。

<警告>

(1) 冠動脈造影法, PTCA, 冠動脈用ステント留置術, 抗血小板療法に十分な経験を持ち, 本品に関する所要の講習を受けた医師が使用すること。
(2) 留置から1年を超える長期予後は現在のところ十分な確認はされていないこと, 留置後の抗血小板療法である塩酸チクロピジン製剤の投与が, 薬剤塗布のないベアメタルステントに比べて長期にわたって必要であり, 塩酸チクロピジン製剤による出血及び重篤な副作用の発現のリスクが高まること等を踏まえ, 本品の使用に当たっては, 各患者における利点とリスクを考慮し, 使用患者を慎重に選定すること。患者の選定に当たっては, 病変部(血管)の位置, 対照血管径, 病変長とその特徴, 急性又は亜急性血栓症により危険にさらされる心筋領域の大きさを考慮すること。
(3) 使用前に, 本品の特性(利点とリスク)とともに, 留置後の抗血小板療法に伴うリスク等について患者に十分に説明し, 理解したことを確認した上で使用すること。留置後, 胸痛等の虚血症状が見られる場合は, 医師に連絡するよう十分指導するとともに, 特に塩酸チクロピジン製剤の投与については, 生命に関わる重篤な副作用が発生する場合があることを説明し, 以下について患者を指導すること。
ア) 投与開始後2ヶ月間は定期的に血液検査を行う必要があるので, 原則として2週間に1回, 来院すること。
イ) 副作用を示唆する症状が現れた場合にはただちに医師等に連絡すること。
(4) 留置後は定期的なフォローアップを行うとともに, 使用に当たっては, 適切な抗血小板療法, 抗凝固療法を行うこと。特に抗血小板療法については, 留置時に十分に効果が期待できる状態になるよう, 十分な前投与を行うこと。なお, 塩酸チクロピジン製剤の投与においては, 血栓性血小板減少性紫斑病(TTP), 無顆粒球症, 重篤な肝障害等の重大な副作用が, 主に投与開始後2ヶ月以内に発現し, 死亡に至る例も報告されているので, 以下の点に十分留意すること。
ア) 投与開始後2ヶ月間は, 特に上記の副作用の初期症状の発現に十分留意し, 原則として2週間に1回, 血球算定(白血球分画を含む), 肝機能検査を行い, 上記副作用の発現が認められた場合には, 投与を中止し, 適切な処置を行うこと。本剤投与期間中は, 定期的に血液検査を行い, 上記副作用の発現に注意すること。
イ) 本剤投与中, 患者の状態から血栓性血小板減少性紫斑病, 顆粒球減少, 肝障害の発現等が疑われた場合には, 必要に応じて血液像もしくは肝機能検査を実施し, 適切な処置を行うこと。
ウ) 投与開始後2ヶ月間は, 原則として1回2週間分を処方すること。
(5) 患者の生命に関わる合併症が発生した場合のため, 冠動脈ステント留置術は, 緊急冠動脈バイパス手術が迅速に行える施設のみで行うこと。

(3)塩酸チクロピジン製剤の服薬指導時のお願い

服薬指導時に次の点に御留意いただくようお願いする。

(1) 塩酸チクロピジン製剤を処方された患者の薬剤服用歴の確認, 以下のような自覚症状を認めた際の主治医への迅速な受診の勧奨等適切な服薬指導等を実施すること。
 a)発熱
 b)のどの痛み
 c)鼻や歯ぐきからの出血
 d)血尿又は尿の着色(茶色)
 e)あざができる(紫色, 赤色)
 f)皮膚や目が黄色くなる
 g)湿疹
 h)食欲不振
 i)意識低下
 j)重篤な疲労感
(2) 塩酸チクロピジン製剤が新規に投与される患者の場合, 必要に応じて, 投与開始後2ヶ月間は, 原則として2週間に1回受診し, 血液検査を受けているかについて, 患者への確認, 疑義照会等を行うこと。

(4)企業に対する指導の概要

当該ステントを用いた冠動脈ステント治療の安全対策のため, 関係企業に対して, 適正使用の徹底を通知している。

(1) Cypherステントの適正使用について
ア) (2)の<警告>を添付文書に記載すること。
イ) 患者手帳及び説明同意文書を整備し, これらを用いて患者へのインフォームドコンセントが適切に行われるよう医療機関への情報提供を徹底すること。
ウ) 当該ステント治療中に患者が転院する場合に, 転院先の主治医に対して, 当該患者が当該ステントを用いた治療中であること等の情報を的確に伝達することができるよう適正な情報提供文書等を作成し, 当該ステントを販売する全ての医療機関に配布すること。
エ) 当該ステントの適正使用のための講習会や医局説明会等を実施し, 終了した医療機関のみに販売を限定すること。
オ) 定期的に訪問し, 患者手帳等が適切に管理されているか確認等すること。
(2) 塩酸チクロピジン製剤の適正使用について
 塩酸チクロピジン製剤を使用, 処方する全ての医療機関及び調剤薬局に対して, 当該製剤の警告内容等について, 周知徹底すること。

(5)最後に

Cypherステント留置患者においては, 従来型の冠動脈ステント留置患者より, 塩酸チクロピジン製剤を長期間服用することが推奨されていることから, 塩酸チクロピジン製剤の副作用発生リスクが増加する恐れがある。医療関係者においては, より一層の適正使用に努めていただくとともに, 塩酸チクロピジン製剤の副作用又はCypherステントの不具合を入手した際には, 薬事法77条の4の2第2項の規定に基づき, 厚生労働省医薬食品局安全対策課に報告をお願いする。

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重要な副作用等に関する情報

 前号(医薬品・医療用具等安全性情報 No.204)以降に改訂を指導した医薬品の使用上の注意のうち重要な副作用等について, 改訂内容, 参考文献等とともに改訂の根拠となった症例の概要に関する情報を紹介いたします。

【1】 タクロリムス水和物(経口剤, 注射剤)

販売名(会社名) プログラフ顆粒0.2mg, 同顆粒1mg, 同カプセル0.5mg, 同カプセル1mg, 同カプセル5mg, 同注射液5mg(富山フジサワ)
薬効分類等 他に分類されない代謝性医薬品
効能効果 (1)下記の臓器移植における拒絶反応の抑制
 腎移植, 肝移植, 心移植, 肺移植
(2)骨髄移植における拒絶反応及び移植片対宿主病の抑制
(3)全身型重症筋無力症(胸腺摘出後の治療において, ステロイド剤の投与が効果不十分, 又は副作用により困難な場合)(プログラフカプセル5mg, 同注射液5mg除く)

 

《使用上の注意(下線部追加改訂部分)》
[副作用
(重大な副作用)]
膵炎:膵炎があらわれることがあるので, 定期的に検査を行うなど観察を十分に行い, 異常が認められた場合には, 減量・休薬等の適切な処置を行うこと。
〈参   考〉 企業報告

 

NO. 患者 1日投与量
投与期間
副作用 備考
性・
年齢
使用理由
(合併症)
経過及び処置
1
50代
腎移植における拒絶反応の抑制
(悪性腎硬化症, 腎性貧血, 高血圧症)
12mg
(経口)
2日間
 ↓
2.4mg
(点滴)
2日間
 ↓
4-12mg
(経口)
不明(3ヵ月
以上継続)
膵炎
投与3日目 悪性腎硬化症のため生体腎移植施行。
投与14日目 HUSが発現。白血球数12300/mm3, ヘマトクリット32.1%, プロトロンビン時間9.8秒, LDH2133IU/L。新鮮凍結血漿にて加療。
投与24日目 膵炎が発現。アミラーゼ1072IU/L, リパーゼ214IU/L。ウリナスタチン及びメシル酸ガベキサートにて加療。本剤血中濃度16ng/mL。
投与90日目 HUSは軽快。膵炎は回復。白血球数5510/mm3, ヘマトクリット29.2%, プロトロンビン時間19.4秒, LDH654IU/L。
投与104日目 アミラーゼ341IU/L, リパーゼ38IU/L。
企業報告
臨床検査値
   投与1日前 投与31日目 投与97日目
赤血球数(×104/mm3 316 215 291
ヘモグロビン(g/dL) 9.2 6.5 9.2
ヘマトクリット(%) 29.3 20.9 28.8
白血球数(/mm3 4700 7720 7400
血小板数(×104/mm3 18.7 12.4 33.1
BUN(mg/dL) 78.7 37.2 17.4
血清尿酸(mg/dL) 7.4 7.1
アミラーゼ(IU/L) 222 291 268
空腹時血糖(mg/dL) 91
AST(GOT)(IU/L) 15 13 18
ALT(GPT)(IU/L) 8 15 7
Al-P(IU/L) 98 190
LDH(IU/L) 284 500 595
γ-GTP(IU/L) 9 16
総ビリルビン(mg/dL) 0.2 0.2
直接ビリルビン(mg/dL) 0.1 0.0
総蛋白(g/dL) 6.3 6.7
総コレステロール(mg/dL) 232 361
中性脂肪(mg/dL) 123 196
Na(mEq/L) 136 136 133
K(mEq/L) 4.3 4.0 4.2
Cl(mEq/L) 106 105
Ca(mg/dL) 9.1 10.0
尿検査 (-)
蛋白 (3+) (3+)
沈渣 赤血球 1-2/1 1/3-4
白血球 2-3/1 2/1
上皮細胞 腎上皮 1/6 腎上皮 1-2/1
円柱 硝子 1-2/1 顆粒 1/20 硝子 1/1-2
併用薬:メチルプレドニゾロン, ミコフェノール酸モフェチル, 塩酸グスペリムス, アルギン酸ナトリウム, ミコナゾール, ニフェジピン, 塩酸チクロピジン, スルファメトキサゾール・トリメトプリム配合剤, メシル酸ドキサゾシン, アシクロビル

 

NO. 患者 1日投与量
投与期間
副作用 備考
性・
年齢
使用理由
(合併症)
経過及び処置
2
40代
骨髄移植における拒絶反応及び移植片対宿主病の抑制
(慢性骨髄性白血病)
1-1.5mg
(点滴)
17日間
 ↓
4mg
(経口)
22日間
急性膵炎
投与10日前 ブスルファン, シクロホスファミド前処置下にて非血縁者より骨髄移植施行。GVHD予防のためシクロスポリン点滴開始し, メトトレキサート追加投与。
投与開始日 皮膚, 肝GVHDのためシクロスポリンから本剤持続点滴に変更。
投与4日目 メチルプレドニゾロン追加, GVHDは軽減傾向。
投与8日目 外陰部単純ヘルペス感染症を発症。アシクロビル内服。本剤血中濃度19.2ng/mL。
投与12日目 この頃からLDH徐々に上昇。
投与18日目 本剤点滴から内服に変更。
投与28日目 この頃から嘔気あり, 時に左季肋部痛あり。
投与29日目 LDH1585IU/Lに上昇。
投与31日目 Microangiopathyと診断(総ビリルビン3.5mg/dL, 直接ビリルビン2.3mg/dL, LDH1878IU/L, 末梢血赤血球破砕像あり)。新鮮凍結血漿投与開始。
投与36日目 総ビリルビン4.7mg/dL, 直接ビリルビン2.4mg/dL, AST(GOT)143IU/L, ALT(GPT)229IU/L, LDH1657IU/L, 出血性膀胱炎も出現。この頃外陰部単純ヘルペス感染症軽快。
投与39日目
(投与中止日)
腹満感を訴える。下痢は軽減。体重増加(前日より0.8kg増加), 腹水出現。夜間より翌朝にかけて精神不穏状態あり。
中止1日後 総ビリルビン, LDH, BUN, クレアチニン上昇。急激な腹部膨満の増強, その後高度の腹痛出現。血清アミラーゼ, 尿アミラーゼ高値。CTにて膵腫大もあり, 急性膵炎と診断。本剤血中濃度12.2ng/mL。本剤投与中止し, メシル酸ガベキサート2g投与開始, 血漿交換及び持続血液透析開始。
中止4日後 血圧低下のため血漿交換, 持続透析施行不能となる。その後は保存的治療しか施行できず。
中止7日後 死亡。
(死因:多臓器不全, 剖検所見:急性重症膵炎)
企業報告
臨床検査値
   投与開始日 投与8日目 中止1日後 中止4日後
赤血球数(×104/mm3 340 254 256 310
ヘモグロビン(g/dL) 10.8 8.1 8.0 9.7
ヘマトクリット(%) 30.4 22.3 21.8 28.2
白血球数(/mm3 100 600 6200 4900
血小板数(×104/mm3 1.8 0.3 2.9 0.5
プロトロンビン時間(%) 141.0 112.0 38.0 45.0
AST(GOT)(IU/L) 69 64 281 233
ALT(GPT)(IU/L) 90 204 441 281
Al-P(IU/L) 250 239 293 271
LDH(IU/L) 366 549 1675 1421
γ-GTP(IU/L) 99 64 27 21
総ビリルビン(mg/dL) 2.1 2.2 15.3 12.0
直接ビリルビン(mg/dL) 1.1 0.8 9.8 7.9
総蛋白(g/dL) 6.8 6.1 2.8 5.0
アルブミン(g/dL) 3.6 3.3 1.8 3.2
BUN(mg/dL) 40.4 52.9 107.4 43.6
血清クレアチニン(mg/dL) 2.01 1.91 3.43 1.96
Na(mEq/L) 132 133 133 137
K(mEq/L) 4.3 3.9 3.0 3.8
Ca(mEq/L) 4.3 3.8 4.6 2.6
P(mEq/L) 4.9 4.2 7.0 3.0
CRP(mg/dL) 1.48 1.28 3.82 8.0
血糖(mg/dL) 111 120 308 167
血清アミラーゼ(IU/L) 5984 500
尿アミラーゼ(IU/L) 1324
併用薬:メチルプレドニゾロン, レノグラスチム(遺伝子組換え), 塩酸セフォゾプラン, アシクロビル, ガンシクロビル

 

NO. 患者 1日投与量
投与期間
副作用 備考
性・
年齢
使用理由
(合併症)
経過及び処置
3
30代
腎移植における拒絶反応の抑制
(高血圧症, HCV陽性)
18mg
(経口)
2日間
 ↓
6mg
(点滴)
1日間
 ↓
18mg
(経口)
3日間
 ↓
1-17mg
(経口)
不明(3年
以上継続)
急性膵炎
投与3日目 腎移植施行。
投与909日目 臨床症状(腹部痛, 腹膜刺激症状)出現。血液検査にてアミラーゼ625IU/L。腹部CTにより急性膵炎と診断。 仮性膵嚢胞の形成も認める。
投与924日目 入院。メシル酸ナファモスタット, シチコリン, ウリナスタチン投与開始。嚢胞内膿瘍によると考えられる症状悪化のため, 膵嚢胞外瘻造設術及び腹腔内ドレナージ術を施行。本剤減量。
投与946日目 退院。
投与1119日目 軽快。アミラーゼ238IU/L。
企業報告
臨床検査値
   投与695日目 投与1119日目
赤血球数(×104/mm3 707 529
ヘモグロビン(g/dL) 18.8 14.0
ヘマトクリット(%) 56.2 43.4
白血球数(/mm3 7600 12700
血小板数(×104/mm3 15.6 14.7
血清クレアチニン(mg/dL) 3.19 4.36
BUN(mg/dL) 34.0 51.3
血清尿酸(mg/dL) 10.6 12.6
アミラーゼ(IU/L) 74 238
空腹時血糖(mg/dL) 89 92
AST(GOT)(IU/L) 75 19
ALT(GPT)(IU/L) 76 32
Al-P(IU/L) 556 359
LDH(IU/L) 201 170
γ-GTP(IU/L) 118 33
総ビリルビン(mg/dL) 0.55 0.34
総蛋白(g/dL) 6.4 6.2
総コレステロール(mg/dL) 197
中性脂肪(mg/dL) 107
Na(mEq/L) 139 147
K(mEq/L) 3.6 4.7
Cl(mEq/L) 103 114
Ca(mg/dL) 7.9 8.8
尿検査 (±) (-)
蛋白 (3+) (3+)
沈渣 赤血球 (+) (-)
白血球 (+) (-)
上皮細胞 (+) (-)
円柱 (±) (-)
併用薬:プレドニゾロン, ミゾリビン, 塩酸ジルチアゼム, 塩酸ニカルジピン, メシル酸ドキサゾシン

 

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使用上の注意の改訂について(その159)

 前号(医薬品・医療用具等安全性情報 No.204)以降に改訂を指導した医薬品の使用上の注意(本号の「3 重要な副作用等に関する情報」で紹介したものを除く。)について, 改訂内容, 主な該当販売名, 参考文献等をお知らせいたします。

 

1 〈全身麻酔剤〉
セボフルラン
[販売名] セボフレン(丸石製薬)
[慎重投与] てんかんの既往歴のある患者
[重要な基本
的注意]
本剤の高濃度導入時, 特に過換気状態において異常脳波や異常運動がみられたとの報告があるので, 患者の状態に注意して投与すること。
[副作用
(重大な副作用)]
痙攣, 不随意運動:周術期に痙攣, 不随意運動(主としてミオクロヌス様)があらわれることがあるので, 観察を十分に行い, 異常が認められた場合には本剤の減量又は中止, あるいは他剤を併用するなど適切な処置を行うこと。
〈参   考〉 企業報告

 

2 〈解熱鎮痛消炎剤〉
ロルノキシカム
[販売名] ロルカム錠2mg, 同錠4mg(大正製薬)
[副作用
(重大な副作用)]
血小板減少:血小板減少があらわれることがあるので, 血液検査を行うなど観察を十分に行い, 異常が認められた場合には, 投与を中止し, 適切な処置を行うこと。
〈参   考〉 企業報告

 

3 〈気管支拡張剤〉
プロピオン酸ベクロメタゾン(口腔用吸入剤)
[販売名] ベコタイド50インヘラー, 同100インヘラー(グラクソ・スミスクライン)他
[重要な基本
的注意]
全身性ステロイド剤と比較し可能性は低いが, 吸入ステロイド剤の投与により全身性の作用(クッシング症候群, クッシング様症状, 副腎皮質機能抑制, 小児の成長遅延, 骨密度の低下, 白内障, 緑内障を含む)が発現する可能性があるので, 吸入ステロイド剤の投与量は患者毎に喘息をコントロールできる最少用量に調節すること。特に長期間, 大量投与の場合には定期的に検査を行い, 全身性の作用が認められた場合には患者の喘息症状を観察しながら徐々に減量するなど適切な処置を行うこと。
〈参   考〉 企業報告

 

4 〈たん白アミノ酸製剤〉
エレンタールP
[販売名] エレンタールP(味の素ファルマ)
[重要な基本
的注意]
ビタミン, 電解質及び微量元素の不足を生じる可能性があるので, 必要に応じて補給すること。特に, 鉄欠乏性貧血が認められた場合には鉄剤の併用等の処置が有効なことがある。長期投与中に, セレン欠乏症(心機能の低下, 爪白色変化, 筋力低下等)があらわれることがあり, また, カルニチン欠乏があらわれたとの報告がある。
〈参   考〉 企業報告

 

5 〈その他の血液・体液用薬〉
アスピリン(腸溶錠)
[販売名] バイアスピリン錠100mg(バイエル薬品)他
[重要な基本
的注意]
脳梗塞患者への投与にあたっては, 他の血小板凝集を抑制する薬剤等との相互作用に注意するとともに, 高血圧が持続する患者への投与は慎重に行い, 投与中は十分な血圧のコントロールを行うこと。
[副作用
(重大な副作用)]
出血:
〈脳出血等の頭蓋内出血〉
脳出血等の頭蓋内出血(初期症状:頭痛, 悪心・嘔吐, 意識障害, 片麻痺等)があらわれることがあるので, 観察を十分に行い, このような症状があらわれた場合には投与を中止し, 適切な処置を行うこと。
〈肺出血, 消化管出血, 鼻出血, 眼底出血等〉
肺出血,
消化管出血, 鼻出血, 眼底出血等があらわれることがあるので, 観察を十分に行い, このような症状があらわれた場合には投与を中止し, 適切な処置を行うこと。
〈参   考〉 企業報告

 

6 〈その他の血液・体液用薬〉
アスピリン・ダイアルミネート(81mg錠)
[販売名] バファリン81mg錠(ライオン)他
[重要な基本
的注意]
脳梗塞患者への投与にあたっては, 他の血小板凝集を抑制する薬剤等との相互作用に注意するとともに, 高血圧が持続する患者への投与は慎重に行い, 投与中は十分な血圧のコントロールを行うこと。
[副作用
(重大な副作用)]
出血:
〈脳出血等の頭蓋内出血〉
脳出血等の頭蓋内出血(初期症状:頭痛, 悪心・嘔吐, 意識障害, 片麻痺等)があらわれることがあるので, 観察を十分に行い, 異常が認められた場合には投与を中止し適切な処置を行うこと。
〈消化管出血, 肺出血, 鼻出血等〉
消化管出血, 肺出血, 鼻出血等があらわれることがあるので, 観察を十分に行い, 異常が認められた場合には投与を中止し適切な処置を行うこと。
〈参   考〉 企業報告

 

7 〈その他の血液・体液用薬〉
塩酸チクロピジン
[販売名] パナルジン細粒10%, 同錠(第一製薬)他
[警告]
副作用を示唆する症状があらわれた場合には, ただちに医師等に連絡し, 指示に従うこと。
[重要な基本
的注意]
脳梗塞患者への投与にあたっては, 他の血小板凝集を抑制する薬剤等との相互作用に注意するとともに, 高血圧が持続する患者への投与は慎重に行い, 投与中は十分な血圧のコントロールを行うこと。(「慎重投与」の項及び「相互作用」の項参照)
[副作用
(重大な副作用)]
出血(脳出血等の頭蓋内出血(初期症状:頭痛, 意識障害, 片麻痺等), 消化管出血等の重篤な出血)
〈参   考〉 企業報告

 

8 〈酵素製剤〉
モンテプラーゼ(遺伝子組換え)
[販売名] クリアクター注40万, 同注80万, 同注160万(エーザイ)
[禁忌] 「プリックテスト陽性の患者」を削除
〈参   考〉 企業報告

 

9 〈その他の腫瘍用薬〉
クラドリビン
[販売名] ロイスタチン注8mg(ヤンセンファーマ)
[副作用
(重大な副作用)]
骨髄抑制:汎血球減少, 好中球減少, 白血球減少, 血小板減少, 貧血(赤血球減少, ヘモグロビン減少, ヘマトクリット値減少)が発現又は増悪し, 遷延性に推移することがある。本剤の骨髄抑制作用は投与開始後最初の1ヵ月間が最も顕著である。特に投与開始後8週間は週1回以上の頻度で血液検査を行うなど患者の状態を十分観察し, 異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。
〈参   考〉 企業報告

 

10 〈主としてグラム陽性・陰性菌に作用するもの〉
ホスホマイシンナトリウム(注射剤)
[販売名] 静注用ホスミシンS(明治製菓)他
[副作用
(重大な副作用)]
痙攣があらわれることがあるので, このような症状があらわれた場合には, 投与を中止し, 適切な処置を行うこと。
〈参   考〉 企業報告

 

11 〈抗ウイルス剤〉
硫酸アタザナビル
[販売名] レイアタッツカプセル150mg, 同カプセル200mg(ブリストル製薬)
[重要な基本
的注意]
本剤の投与による軽・中等度の発疹が報告されている。一般に投与開始3週間以内に斑状又は丘疹状の発疹が生じ, 通常は投与継続中に2週間以内で消失する。重度の発疹が発現したり, 持続する場合には本剤の投与を中止すること。
〈参   考〉 企業報告

 

12 〈駆虫剤〉
メベンダゾール
[販売名] メベンダゾール錠100(ヤンセンファーマ)
[副作用
(重大な副作用)]
ショック・アナフィラキシー様症状:ショック・アナフィラキシー様症状があらわれることがあるので, 観察を十分に行い, 異常が認められた場合には投与を中止するなど, 適切な処置を行うこと。
皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群), 中毒性表皮壊死症(Lyell症候群):皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群), 中毒性表皮壊死症(Lyell症候群)があらわれることがあるので, 観察を十分に行い, 異常が認められた場合には投与を中止するなど, 適切な処置を行うこと。
〈参   考〉 企業報告

 

13 〈X線造影剤〉
イオパミドール
[販売名] イオパミロン150, 同300, 同370, 同300シリンジ, 同370シリンジ(日本シエーリング)他
[副作用
(重大な副作用)]
意識障害, 失神:ショックを伴わない意識障害, 失神があらわれることがあるので, 検査終了後も意識レベル等の観察を十分に行い, 必要に応じ適切な処置を行うこと。
〈参   考〉 企業報告

 

14 〈X線造影剤〉
イオプロミド
[販売名] プロスコープ150, 同240, 同300, 同370, 同300シリンジ(田辺製薬)
[副作用
(重大な副作用)]
ショックを伴わない意識障害, 失神があらわれることがあるので, 検査終了後も意識レベル等の観察を十分に行い, 必要に応じ適切な処置を行うこと。
〈参   考〉 企業報告

 

15 〈X線造影剤〉
イオメプロール
[販売名] イオメロン300, 同350, 同400, 同300シリンジ, 同350シリンジ(ブラッコ・エーザイ)
[副作用
(重大な副作用)]
意識障害, 失神:ショックを伴わない意識障害, 失神があらわれることがあるので, 検査終了後も意識レベル等の観察を十分に行い, 異常が認められた場合には, 直ちに適切な処置を行うこと。
〈参   考〉 企業報告

 

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お知らせ

この医薬品・医療用具等安全性情報は, 厚生労働省において収集された副作用情報をもとに, 医薬品・医療用具等のより安全な使用に役立てていただくために, 医療関係者に対して情報提供されるものです。

医薬品・医療用具等安全性情報は, 医薬品医療機器情報提供ホームページ(https://www.pmda.go.jp/)又は厚生労働省ホームページ(http://www.mhlw.go.jp/)からも入手可能です。

また, NTTのファクシミリ通信網サービス「Fネット」を通じ, 最近1年間の「医薬品・医療用具等安全性情報」がお手元のファクシミリから随時入手できます(利用者負担)。

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