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安全対策業務

医薬品・医療用具等安全性情報 No.207

目次

  1. 重要な副作用等に関する情報
    1. パクリタキセル
    2. ラベプラゾールナトリウム
  2. 使用上の注意の改訂について(その160)
    フルルビプロフェン(経口剤)他(13件)

 

この医薬品・医療用具等安全性情報は、厚生労働省において収集された副作用情報をもとに、医薬品・医療用具等のより安全な使用に役立てていただくために、医療関係者に対して情報提供されるものです。

平成16年(2004年)11月
厚生労働省医薬食品局

 

重要な副作用等に関する情報

 前々号(医薬品・医療用具等安全性情報 No.205)以降に改訂を指導した医薬品の使用上の注意のうち重要な副作用等について、改訂内容、参考文献等とともに改訂の根拠となった症例の概要に関する情報を紹介いたします。

 

【1】 パクリタキセル

販売名(会社名) タキソール注(ブリストル製薬)
薬効分類等 抗腫瘍性植物成分製剤
効能効果 卵巣癌、非小細胞肺癌、乳癌、胃癌

 

《使用上の注意(下線部追加改訂部分)》
[重要な基本
的注意]
本剤は無水エタノールを含有するため、前投薬で投与される塩酸ジフェンヒドラミン錠とアルコールの相互作用による中枢神経抑制作用の増強の可能性があるので、本剤投与後の患者の経過を観察し、アルコール等の影響が疑われる場合には、自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意すること。
[副作用
(重大な副作用)]
心筋梗塞、うっ血性心不全、心伝導障害、肺塞栓、血栓性静脈炎、脳卒中、肺水腫:心筋梗塞、うっ血性心不全、心伝導障害、肺塞栓、血栓性静脈炎、脳卒中、肺水腫があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止すること。
消化管壊死、腸管穿孔、消化管出血、消化管潰瘍:消化管壊死、腸管穿孔、消化管出血、消化管潰瘍があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
重篤な腸炎:出血性大腸炎、偽膜性大腸炎、虚血性大腸炎等があらわれることがあるので、観察を十分に行い、激しい腹痛・下痢等があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
腸管閉塞、腸管麻痺:腸管閉塞、腸管麻痺(食欲不振、悪心・嘔吐、著しい便秘、腹痛、腹部膨満あるいは腹部弛緩及び腸内容物のうっ滞等)を来し、麻痺性イレウスに移行することがあるので、腸管閉塞、腸管麻痺があらわれた場合には投与を中止し、腸管減圧法等の適切な処置を行うこと。
〈参   考〉 企業報告

 

症例の概要

NO. 患者 1日投与量
投与期間
副作用 備考
性・
年齢
使用理由
(合併症)
経過及び処置
1
50代
卵巣癌
(高血圧症、糖尿病、甲状腺機能低下症)
232mg
1日間
消化管壊死
投与138日前 他院で腫瘍縮小手術。
投与111日前 1コース目化学療法(本剤240mg+カルボプラチン910mg)実施。
投与90日前 2コース目化学療法(本剤240mg+カルボプラチン900mg)実施。
投与73日前 血小板数2×104/mm3まで低下。
投与62日前 3コース目化学療法(本剤240mg+カルボプラチン900mg)実施。
主な副作用:しびれ、筋肉痛、白血球低下(投与18日後に1400/mm3
投与28日前 Interval cytoreductive surgery施行。術後経過良好。
確定診断:残存腫瘍なし、リンパ節転移なし;進行期Ic(b)
投 与 日 4コース目化学療法(本剤232mg+カルボプラチン600mg)実施。
投与5日後 投与後十分量の排便なく、緩下剤や浣腸にも反応せず。
昼ごろ下腹部痛が出現し徐々に増強したが、腹部に異常所見は認めず。
投与6日後 夜間に嘔吐2回あり。痛みはペンタゾシンにて鎮痛した。
X線では横行結腸にガス充満するもニボー像はなく、CTでも同様の所見を得た。しかし、腹痛は上腹部にも及び、圧痛は上腹部に強く認められ、鎮痛剤でも抑制不可に増強。また血圧低下(50~80/32~45mmHgまで)を認めたためDOA投与開始。採血では、昼:白血球数4500/mm3、血小板数14×104/mm3→夜:白血球数2300/mm3、血小板数5.6×104/mm3→その1時間後:白血球数1100/mm3とDICの進行と考えられる状況となり、更に1時間後過ぎから緊急手術を施行(大腸亜全摘術、ストマ造設術、癒着剥離術:出血量5480mL)。
投与7日後 術直後白血球数300/mm3、血小板数0.3×104/mm3。輸血続行するもドレーンより血性排液持続。
投与8日後 DICから離脱できず出血傾向(白血球数500/mm3、血小板数0.1×104/mm3)。胸水貯留。
投与9日後 心房細動出現し、除細動実施するも心停止に至る。蘇生にて心拍再開。胸水増量あり、両側胸腔ドレナージを行い、血性胸水を吸引。うっ血性肝障害によると考えられる肝酵素の上昇あり。
投与10日後 全身に点状出血と浮腫が出現。尿量確保できず、アシドーシス進行。
投与11日後 死亡(直接死因は、大腸壊死に起因するDICによる多臓器不全)。
企業報告
臨床検査値
   投与前 投与
5日後
投与6日後 投与
7日後
投与
8日後
投与
9日後
赤血球数(×104/mm3 317 214 402 254 345
ヘモグロビン(g/dL) 9.9 9.8 12.7 10.2 12.5 8.0 10.7
白血球数(/mm3 4200 3400 4500 2300 300 500 300
好中球(%) 85.8 74.7 38.0 20.0 21.0
血小板数(×104/mm3 32.2 22.6 14.0 5.6 0.3 0.1 0.5
プロトロンビン時間(秒) 18.9 15.8 12.7
FDP(μg/mL) 10.8 8.5 11.5
フィブリノゲン濃度(mg/dL) 101 221 263
AST(GOT)(IU/L) 10 11 93 107 112 175 839
ALT(GPT)(IU/L) 9 9 79 87 37 107 412
Al-P(IU/L) 191 168 122 88 137
LDH(IU/L) 143 160 279 249 224 397 1218
総ビリルビン(mg/dL) 0.40 0.78 0.43 0.28 3.07 2.54 4.08
CRP(mg/dL) 0.42 0.24 8.47 11.88 7.14 14.98 18.66
併用薬:カルボプラチン、オメプラゾール、クエン酸モサプリド、スクラルファート、チアマゾール、ベシル酸アムロジピン、ボグリボース、メコバラミン、酸化マグネシウム、エチゾラム

 

NO. 患者 1日投与量
投与期間
副作用 備考
性・
年齢
使用理由
(合併症)
経過及び処置
2
30代
卵巣癌再発
(なし)
180mg
1日間
腸管閉塞
投与53日前 手術(単純子宮全摘術、付属器摘出術、骨盤内リンパ節郭清)施行。
投与48日前 術後の腸閉塞軽度出現。2日後には軽快。(絶食のみ)
投 与 日 化学療法2クール目施行(本剤180mg、カルボプラチン450mg)。
投与3日後 再度腸閉塞症状(軽度)出現。保存治療で軽快せず。
投与11日後 白血球減少発現。レノグラスチム(SC100μg3日間)投与にて無症状のまま回復。
投与15日後 白血球減少回復。
投与17日後 入院。症状悪化。
投与22日後 イレウス解除術(外科)施行。(小腸、大腸合併切除には至らず)
投与50日後 退院。通院加療中。イレウスは現在解除されている。
企業報告
臨床検査値
   投与4日前 投与7日後 投与11日後 投与13日後 投与15日後 投与17日後
赤血球数(×104/mm3 387 387 340 365 358 371
ヘモグロビン(g/dL) 11.9 11.7 10.3 11.4 11.3 11.4
白血球数(/mm3 3600 2200 1100 1700 6700 4900
血小板数(×104/mm3 17.0 18.0 17.9 17.4 17.1 14.6
AST(GOT)(IU/L) 29 39 49 56
ALT(GPT)(IU/L) 40 70 56 84
Al-P(IU/L) 158 147 178 192
LDH(IU/L) 471 469 575 613
γ-GTP(IU/L) 137 130 110 127
総ビリルビン(mg/dL) 0.7 1.0 0.3
血清Na(mEq/L) 144 141 145 145
血清K(mEq/L) 4.1 4.2 3.9 3.6
血清Cl(mEq/L) 106 105 107 105
BUN(mg/dL) 13 12 8 10
血清クレアチニン(mg/dL) 0.63 0.62 0.69 0.57
CRP(mg/dL) 0.16 0.16
併用薬:カルボプラチン、リン酸デキサメタゾンナトリウム、塩酸ラニチジン、塩酸トロピセトロン、塩酸ジフェンヒドラミン

 

NO. 患者 1日投与量
投与期間
副作用 備考
性・
年齢
使用理由
(合併症)
経過及び処置
3
60代
非小細胞肺癌
(高脂血症、便秘)
326mg
1日間
麻痺性イレウス
投 与 日 化学療法(本剤326mg、カルボプラチン594mg)開始。
投与5日後 午前中まで特記すべき症状なし。
夕より嘔気発現。ドンペリドン坐薬60mg投与。麻痺性イレウス、急性腎不全発現。
投与6日後 未明より、夜より尿意あるも排尿得ず、頻回の嘔吐及び腹痛出現。一方、排便・排ガスを認めなくなった。主治医診察にて腹部は触診上、圧痛著明であり、腸雑音を聴取しないため、麻痺性イレウスが疑われた。
収縮期血圧:70~100mmHg推移、血液検査:高度の脱水、血液ガス:代謝性アシドーシス、胸部X線:変化認めず、腹部X線:中毒様巨大結腸の疑い
尿道カテーテル挿入しても排尿認めず、麻痺した腸管内への水分貯留により、血管内脱水を来したものと考えられた。
脱水補正のため、生理食塩液、5%ブドウ糖液で補液施行。
代謝性アシドーシスに対して、炭酸水素ナトリウム点滴で補正を試みた。しかし、排尿得られず、フロセミド静脈投与施行。
腎血流改善目的で塩酸ドパミン3μgより投与開始。
麻痺性イレウスに対しては、消化器科により透視下にイレウス管挿入し、減圧を試みた。中心静脈カテーテル補液継続したが、排尿は得られなかった。
夜間頃より、腹痛著明に増悪。血圧100/60mmHg確認。
ペンタゾシン7.5mg筋注投与したが、腹痛更に悪化。
意識レベル低下、呼吸減弱、ショック症状認めた。
当直医と連携して、気管内挿管、人工呼吸開始、塩酸エチレフリン投与、塩酸ドパミン増量、塩酸ドブタミン併用。
心拍数低下認め、エピネフリン静脈注射施行。この後、心拍数低下→エピネフリン静脈注射繰り返した。有効な心拍出量が確保されていないと判断し、心マッサージも併用したが、次第に反応が低下していった。
投与7日後 死亡三徴確認。
(死因:急性腎不全、剖検:なし)
企業報告
臨床検査値
   投与15日前 投与1日前 投与4日後 投与6日後
赤血球数(×104/mm3 390 407 382 478
ヘモグロビン(g/dL) 11.6 12.0 11.4 14.4
ヘマトクリット(%) 34.6 36.6 34.4 43.0
白血球数(/mm3 9110 9150 8090 9400
白血球百分率 好酸球(%) 7.1 9.0 0.5 1.3
好中球(%) 60.9 57.0 73.1 83.0
好塩基球(%) 1.2 1.1 0.5 1.0
リンパ球(%) 22.5 24.5 22.0 13.1
単球(%) 6.8 7.0 3.2 1.3
血小板数(×104/mm3 43.1 42.6 40.5 41.5
MCV(FL) 88.8 89.8 90.1 90.0
MCH(pg) 29.6 29.5 29.8 30.2
MCHC(g/dL) 33.4 32.9 33.0 33.6
Luc(%) 1.5 1.3 0.8 0.3
AST(GOT)(IU/L) 16 15 18 54
ALT(GPT)(IU/L) 11 10 12 42
Al-P(IU/L) 247 261
LDH(IU/L) 175 184 294
総ビリルビン(mg/dL) 0.3 0.3 0.5 1.0
血清Na(mEq/L) 141 139 136 133
血清K(mEq/L) 4.2 4.4 4.9 5.3
血清Ca(mg/dL) 10.7 10.9 11.5
血清クレアチニン(mg/dL) 0.8 1.0 0.9 1.3
総蛋白(g/dL) 9.1 9.2
アルブミン(g/dL) 3.6 3.8 4.0
グルコース(mg/dL) 90 189
A/G 0.71 0.76
UA(mg/dL) 8.6
CRP(mg/dL) 5.4 5.9 2.8 4.3
併用薬:カルボプラチン、ロキソプロフェンナトリウム、スピロノラクトン、フロセミド、塩酸ラニチジン、レバミピド、センノシド、塩酸ラモセトロン、リン酸デキサメタゾンナトリウム、塩酸ジフェンヒドラミン

 

【2】 ラベプラゾールナトリウム

販売名(会社名) パリエット錠10mg、同錠20mg(エーザイ)
薬効分類等 消化性潰瘍用剤
効能効果 胃潰瘍、十二指腸潰瘍、吻合部潰瘍、逆流性食道炎、Zollinger‐Ellison症候群

 

《使用上の注意(下線部追加改訂部分)》
[副作用
(重大な副作用)]
汎血球減少、無顆粒球症、血小板減少、溶血性貧血:汎血球減少、無顆粒球症、血小板減少、溶血性貧血があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し適切な処置を行うこと。
劇症肝炎、肝機能障害、黄疸劇症肝炎、肝機能障害、黄疸があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し適切な処置を行うこと。
中毒性表皮壊死症(Lyell症候群)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、多形紅斑:中毒性表皮壊死症(Lyell症候群)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、多形紅斑等の皮膚障害があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し適切な処置を行うこと。
間質性腎炎:間質性腎炎があらわれることがあるので、腎機能検査(BUN、クレアチニン等)に注意し、異常が認められた場合には投与を中止し適切な処置を行うこと。
〈参   考〉 企業報告

 

症例の概要

NO. 患者 1日投与量
投与期間
副作用 備考
性・
年齢
使用理由
(合併症)
経過及び処置
1
70代
出血性胃潰瘍
(C型肝炎、狭心症)
20mg
5日間
溶血性貧血
投与6日前 タール便あり、少量の吐血も生じたため、近医を受診。採血でヘモグロビン6.7g/dLと著明な貧血を認めたため、救急車で当院搬送、入院となった。
緊急内視鏡検査を施行したところ、胃体上部から中部後壁に胃潰瘍あり。胃内に凝血塊あるものの、活動性のある出血は認めなかったため、処置は施行しなかった。人赤血球濃厚液6単位の輸血を行った。
投与3日前 再検目的の上部消化管内視鏡検査を施行したところ、潰瘍部位より噴出性の出血を認め、高張ナトリウム・エピネフリン溶液局注と、クリッピングにより止血処置を施行した。
投与2日前 止血確認目的で再度内視鏡検査を施行したところ、止血を確認できた。その時点で出血なく、ヘモグロビン10.0g/dLであった。
投与開始日 流動食を開始するとともに、経口薬として本剤を内服開始した。
投与5日目
(投与中止日)
急に褐色尿を来した。本剤投与中止。
胃潰瘍はH1 stageと改善し、以後経過良好であった。
中止1日後 赤血球数287×104/mm3、ヘモグロビン8.7g/dL、LDH2988IU/L(LDHI型34%、LDHII型36%とLDHI、IIのみ上昇)、総ビリルビン1.8mg/dL、直接ビリルビン0.4mg/dLと上昇し、本剤による溶血性貧血と診断した。塩酸ラニチジン150mg投与開始。
中止2日後 赤血球数261×104/mm,3、ヘモグロビン7.9g/dL、LDH2471IU/L(LDHI型33%、LDHII型37%)、網状赤血球39.1‰、ハプトグロビン10mg/dL以下。
クームス試験 直接(-)、間接(4+)。
中止3日後 赤血球数240×104/mm3、ヘモグロビン7.1g/dL、LDH1746IU/L、総ビリルビン0.4mg/dL。
中止14日後 注腸X線検査を施行したが、異常所見は認めなかった。赤血球数426×104/mm3、ヘモグロビン13.0g/dL、LDH687IU/L、総ビリルビン0.6mg/dL。
中止16日後 溶血性貧血は軽快、退院とした。
中止29日後 赤血球数402×104/mm3、ヘモグロビン12.2g/dL、LDH460IU/L、網状赤血球9.7‰。
本剤投与中止後、褐色尿は消失し、貧血の進行もなくなった。以後、内服薬は塩酸ラニチジン150mgに変更し経過観察したが、褐色尿なく、貧血の進行もなかった。
企業報告
臨床検査値
   投与
6日前
投与
3日前
投与
4日目
中止
1日後
中止
3日後
中止
6日後
中止
14日後
中止
29日後
白血球数(/mm3 12000 5300 7400 5500 5400 3800 5700 6400
赤血球数(×104/mm3 222 331 321 287 240 390 426 402
ヘモグロビン(g/dL) 6.7 9.8 9.6 8.7 7.1 11.6 13.0 12.2
ヘマトクリット(%) 19.6 29.7 29.3 25.8 21.9 35.4 39.4 36.5
MCV(FL) 89.7 91.3 89.9 91.3 90.8 92.5
血小板数(×104/mm3 18.6 23.0 26.8 13.5 13.0 19.2 24.8 20.6
AST(GOT)(IU/L) 20 24 27 53 27 22 25
ALT(GPT)(IU/L) 16 21 21 18 20 22 31
Al-P(IU/L) 165 173 238 193 188 202 257
LDH(IU/L) 343 399 930 2988 1746 1167 687 460
γ-GTP(IU/L) 18 23 24 19 20 22 25
総ビリルビン(mg/dL) 0.3 0.5 1.3 1.8 0.4 0.6 0.6
CRP(mg/dL) 3.4 0.8 0.7 9.0 3.1 1.8 0.4
併用薬:テプレノン、ベシル酸アムロジピン、一硝酸イソソルビド、スルピリド、トリアゾラム

 

NO. 患者 1日投与量
投与期間
副作用 備考
性・
年齢
使用理由
(合併症)
経過及び処置
2
70代
上腹部痛
(糖尿病,高脂血症)
不明
5日間
劇症肝炎
投与約2週前 この頃から具合が悪くなった。以前から糖尿病、高脂血症の治療で近医に通院していた。
投与2日前 健康診断を受ける。AST(GOT)、ALT(GPT)共に13IU/Lであった。
投与開始日 それまで処方されていたH2ブロッカーから本剤に処方変更した。
投与5日目
(投与中止日)
当院を受診。息苦しさ、無尿を訴えていた。
AST(GOT)8253IU/L、ALT(GPT)4395IU/L、総ビリルビン3.58mg/dL、LDH 7425IU/L、アンモニア197μg/dL、白血球数20800/mm3、傾眠傾向、眼球結膜の黄染、軽度黄疸があった。CT、エコーでは肝萎縮は認められず。ウイルス検査はHCV、HBs抗原共に陰性。
中止1日後 肝性脳症の所見あり、昼頃は昏睡度分類I度からII度、夜III度へ移行。プロトロンビン時間16%。
AST(GOT)5376IU/L、ALT(GPT)4008IU/Lと前日の値から低下していた。
中止2日後 心タンポナーデで死亡した。
剖検結果:うっ血肝所見があり、うっ血性心不全が死因である可能性も否定できない。
企業報告
臨床検査値
   投与5日目(投与中止日) 中止1日後
プロトロンビン時間(秒) 32.1
プロトロンビン時間(%) 16
PT-INR 4.59
APTT(秒) 40.6
AST(GOT)(IU/L) 8253 5376
ALT(GPT)(IU/L) 4395 4008
Al-P(IU/L) 274 298
LDH(IU/L) 7425 4379
γ-GTP(IU/L) 166 160
LAP(U/L) 114 105
総ビリルビン(mg/dL) 3.58 3.78
総蛋白(g/dL) 7.4 6.9
アルブミン(g/dL) 4.1 3.8
CPK(IU/L) 830 1115
CK-MB(IU/L) 25
BUN(mg/dL) 66.7 88.3
血清クレアチニン(mg/dL) 1.6 2.5
尿酸(mg/dL) 17.0 15.6
Na(mEq/L) 130 129
K(mEq/L) 5.5 5.7
Cl(mEq/L) 93 90
併用薬:グリメピリド、高脂血症用剤

 

NO. 患者 1日投与量
投与期間
副作用 備考
性・
年齢
使用理由
(合併症)
経過及び処置
3
50代
出血性胃潰瘍
(慢性腎不全、糖尿病、第二度房室ブロック)
10mg
7日間
劇症肝炎
投与1日前 ヘマトクリット値低下のため入院し、内視鏡でA2 stageの胃潰瘍を診断。輸血実施、アルギン酸ナトリウム、トロンビン投与開始。
投与5日目 人赤血球濃厚液6単位を輸血し、貧血は改善傾向であったが、肝機能障害が出現し始める。AST(GOT)62IU/L、ALT(GPT)52IU/L。グリチルリチン製剤投与開始。
投与7日目
(投与中止日)
著明な肝機能障害出現。AST(GOT)1253IU/L、ALT(GPT)655IU/L、LDH 3954IU/L、総ビリルビン 1.66mg/dL。本剤投与中止。
中止2日後 肝機能増悪。アルギン酸ナトリウム以外の併用薬を中止。凝固能の悪化、血小板数の低下を認め劇症肝炎に至る。血漿交換施行。
中止3日後 血小板輸血10単位(中止5、7~11日後も同様)、血漿交換施行(中止5、7、9日後も同様)。
中止43日後 肝機能障害は徐々に回復し、退院。
企業報告
臨床検査値
   投与1日前 投与5日目 投与7日目(投与中止日) 中止2日後 中止3日後 中止7日後 中止35日後
プロトロンビン時間(%) 34 50 67
ヘパプラスチンテスト(%) 28 41 59
AST(GOT)(IU/L) 10 62 1253 2708 1051 313 14
ALT(GPT)(IU/L) 12 52 655 1809 804 264 8
Al-P(IU/L) 256 253 293 203 227 319
LDH(IU/L) 345 630 3954 4448 1276 673 382
γ-GTP(IU/L) 129 20 30
総ビリルビン(mg/dL) 0.23 0.56 1.66 3.46 2.52 2.17 0.92
直接ビリルビン(mg/dL) 0.09 2.16 1.52 1.19 0.61
総蛋白(g/dL) 5.3 5.8 5.9 6.2 5.1 5.8 6.6
HBs抗原 (-) (-)
HBs抗体(PHA法) (-)
HBc抗体(EIA法) 9
IgM-HBc 0.1
HCV抗体(3rd) (-)
DNAポリメラーゼ 3
CMV CF 16
CMV IgG 78.3(+)
CMV IgM 0.22(-)
EBV VCA IgG 160
EBV VCA IgM 10未満
EBV VCA IgA 10
EBV EA-DR IgG 10未満
EBV EA-DR IgA 10未満
EBV EBNA 10
併用薬:塩酸ベラパミル、アルギン酸ナトリウム、トロンビン、ジゴキシン、沈降炭酸カルシウム、メチル硫酸アメジニウム、カルシトリオール、ニセリトロール、塩酸アプリンジン

 

NO. 患者 1日投与量
投与期間
副作用 備考
性・
年齢
使用理由
(合併症)
経過及び処置
4
70代
胃潰瘍
(不安神経症、感冒、洞機能不全症候群)
20mg
22日間
 ↓
(20日間投与なし)
 ↓
20mg
6日間
多形紅斑
投与開始日 胃潰瘍再発に対し本剤投与開始。
投与12日目 下肢に多形紅斑出現。患者の話から酢酸パラメタゾン1mgを服用すると出現傾向とのことで、同日夕刻より同剤中止し、代わりにプレドニゾロン15mgを開始した。
投与17日目 上肢にも皮疹が出現。
投与22日目
(投与中止日)
四肢の皮疹がさらに増悪。一部水疱形成。
本剤、レボドパ、ジクロフェナクナトリウム、塩酸ベラパミル及び塩酸チクロピジンの投与を中止。
中止2日後 症状の進展なくなり落ち着く。
中止21日後
(再投与開始日)
内視鏡にて胃潰瘍再発を確認したため、本剤再開。
再投与6日目
(投与中止日)
下肢に再び上記皮疹出現。本剤中止。
中止6日後 皮疹消失。
企業報告
併用薬:塩酸ベラパミル、塩酸アミトリプチリン、塩酸チクロピジン、ジクロフェナクナトリウム、ビンポセチン、酢酸パラメタゾン、複合ビタミンB剤、メキタジン、レボドパ

 

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使用上の注意の改訂について(その160)

 前々号(医薬品・医療用具等安全性情報 No.205)以降に改訂を指導した医薬品の使用上の注意(本号の「1 重要な副作用等に関する情報」で紹介したものを除く。)について、改訂内容、主な該当販売名、参考文献等をお知らせいたします。

 

1 〈解熱鎮痛消炎剤〉
フルルビプロフェン(経口剤)
[販 売 名] フロベン、同顆粒(科研製薬)他
[副作用
(重大な副作用)]
喘息発作:喘息発作を誘発することがあるので、喘鳴、呼吸困難感等の初期症状が発現した場合は投与を中止すること。
〈参   考〉 企業報告

 

2 〈解熱鎮痛消炎剤〉
フルルビプロフェンアキセチル
[販 売 名] ロピオン注(科研製薬)
[副作用
(重大な副作用)]
喘息発作:喘息発作を誘発することがあるので、喘鳴、呼吸困難感等の初期症状が発現した場合は投与を中止すること。
〈参   考〉 企業報告

 

3 〈抗パーキンソン剤〉
メシル酸ペルゴリド
[販 売 名] ペルマックス錠50μg、同錠250μg(日本イーライリリー)
[慎重投与] レイノー病の患者
[重要な基本
的注意]
「本剤による線維症(肺・後腹膜等)があらわれることがあるため、慎重に投与すること。」を削除
非麦角製剤と比較して、本剤を含む麦角製剤投与中の心臓弁膜症、線維症の報告が多いので、本剤の投与開始時には本剤のリスクとベネフィットを考慮すること。
本剤投与開始に際しては、聴診等の身体所見の観察、心エコー検査等により潜在する心臓弁膜症の有無を確認することが望ましい。
心臓弁膜症、線維症があらわれることがあるので、本剤投与中は十分な観察(身体所見、X線、心エコー、CT等)を適宜行うことが望ましい。
〈参   考〉 企業報告

 

4 〈高脂血症用剤〉
ベザフィブラート
[販 売 名] ベザトールSR錠100mg、同錠200mg(キッセイ薬品工業)他
[慎重投与] スルホニル尿素系血糖降下薬(グリベンクラミド、グリクラジド、グリメピリド等)、ナテグリニド及びインスリンを投与中の患者
[副作用
(重大な副作用)]
皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、多形紅斑:皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、多形紅斑があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
〈参   考〉 企業報告

 

5 〈その他の泌尿生殖器官及び肛門用薬〉
塩酸バルデナフィル水和物
[販 売 名] レビトラ錠5mg、同錠10mg(バイエル薬品)
[禁忌]
リトナビル、インジナビル、アタザナビル、ケトコナゾール、イトラコナゾール(チトクロームP450 3A4を強く阻害する薬剤)を投与中の患者
[相互作用
(併用禁忌)]
アタザナビル
〈参   考〉 企業報告

 

6 〈他に分類されない代謝性医薬品〉
パミドロン酸二ナトリウム
[販 売 名] アレディア注15mg、同注30mg(日本チバガイギー)
[重要な基本
的注意]
甲状腺手術を受けた患者では、副甲状腺機能低下症による低カルシウム血症があらわれる場合があるので、血清カルシウムについては特に注意すること。
眠気、めまい、注意力の低下等があらわれることがあるので、自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないように注意すること。
[副作用
(重大な副作用)]
ショック、アナフィラキシー様症状(気管支痙攣、呼吸困難、喘鳴等) 急性腎不全、ネフローゼ症候群(巣状分節性糸球体硬化症等による)
〈参   考〉 企業報告

 

7 〈その他の腫瘍用薬〉
ゲフィチニブ
[販 売 名] イレッサ錠250(アストラゼネカ)
[警告]
警 告
急性肺障害、間質性肺炎による致死的な転帰をたどる例は全身状態の良悪にかかわらず報告されているが、特に全身状態の悪い患者ほど、その発現率及び死亡率が上昇する傾向がある。本剤の投与に際しては患者の状態を慎重に観察するなど、十分に注意すること。
[慎重投与] 全身状態の悪い患者
〈参   考〉 企業報告

 

8 〈主としてグラム陽性・陰性菌に作用するもの〉
メロペネム三水和物
[販 売 名] メロペン点滴用0.25g、同点滴用0.5g(住友製薬)
[副作用
(重大な副作用)]
汎血球減少、無顆粒球症、溶血性貧血、白血球減少、血小板減少:定期的に血液検査を行うなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
〈参   考〉 企業報告

 

9 〈主としてグラム陽性菌、マイコプラズマに作用するもの〉
アジスロマイシン水和物
[販 売 名] ジスロマック細粒小児用、同カプセル小児用100mg、同錠250mg、同錠600mg(ファイザー)
[副作用
(重大な副作用)]
急性腎不全:急性腎不全があらわれることがあるので、観察を十分に行い、乏尿等の症状や血中クレアチニン値上昇等の腎機能低下所見が認められた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。
〈参   考〉 企業報告

 

10 〈主としてグラム陽性菌に作用するもの、主としてグラム陰性菌に作用するもの、主としてグラム陽性・ 陰性菌に作用するもの、主としてグラム陽性菌、マイコプラズマに作用するもの、主としてグラム陽性・陰性菌、リケッチア、クラミジアに作用するもの、主として抗酸菌に作用するもの、その他の抗生物質製剤(複合抗生物質製剤を含む。)、サルファ剤、合成抗菌剤〉
注射用の抗生物質製剤、サルファ剤及び合成抗菌剤
[重要な基本
的注意]
(ショックに関する記載を削除)
本剤によるショック、アナフィラキシー様症状の発生を確実に予知できる方法がないので、次の措置をとること。
 (1)事前に既往歴等について十分な問診を行うこと。なお、抗生物質等によるアレルギー歴は必ず確認すること。
 (2)投与に際しては、必ずショック等に対する救急処置のとれる準備をしておくこと。
 (3)投与開始から投与終了後まで、患者を安静の状態に保たせ、十分な観察を行うこと。特に、投与開始直後は注意深く観察すること。

 

11 〈主としてグラム陽性・陰性菌に作用するもの、サルファ剤〉
坐薬用の抗生物質製剤及びサルファ剤
[重要な基本
的注意]
(ショックに関する記載を削除)
本剤によるショック、アナフィラキシー様症状の発生を確実に予知できる方法がないので、事前に既往歴等について十分な問診を行うこと。なお、抗生物質等によるアレルギー歴は必ず確認すること。

 

12 〈抗ウイルス剤〉
硫酸アタザナビル
[販売名] レイアタッツカプセル150mg、同カプセル200mg(ブリストル製薬)
[禁忌]
次の薬剤を投与中の患者:リファンピシン、塩酸イリノテカン、ミダゾラム、トリアゾラム、塩酸ベプリジル、酒石酸エルゴタミン、メシル酸ジヒドロエルゴタミン、マレイン酸エルゴメトリン、マレイン酸メチルエルゴメトリン、シサプリド、ピモジド、シンバスタチン、インジナビル、プロトンポンプ阻害剤、塩酸バルデナフィル水和物
[相互作用
(併用禁忌)]
塩酸バルデナフィル水和物
〈参   考〉 企業報告

 

13 〈体外診断用医薬品〉
血糖検査用グルコースキット
 (補酵素にNAD(P)を使用するものを除くグルコース脱水素酵素法を測定原理とするもの)
[販売名] フリースタイルキッセイセンサー、ニプロフリースタイルセンサー(ニプロ)、アキュチェックコンパクトドラムII、アキュチェックアクティブスティック、アドバンテージテストストリップS(ロシュ・ダイアグノスティックス)、グルテストNeoセンサー、Gセンサー(松下寿電子工業)、GASTAT-miniセンサーカードグルコース測定用(テクノメディカ)他
[警告] 実際の血糖値より高い値を示すため、以下の患者には使用しないでください。
 マルトースを含む輸液等を投与中の患者
 イコデキストリンを含む透析液を投与中の患者
 ガラクトース負荷試験を実施中の患者
 キシロース吸収試験を実施中の患者
をゴシック体を用いるなど他の項目に比較して見易くするよう工夫して記載する。
〈参   考〉 企業報告

 

14 〈他に分類されない治療を主目的としない医薬品〉
酸素、液体酸素
[販売名] 酸素、液体酸素他
[小児等への投与] 超低出生体重児において、酸素の投与期間が長いほど肝芽腫発生率が高くなるとの疫学的調査報告がある。
〈参   考〉 企業報告
Maruyama, K., et al. : Pediatrics International, 41 : 82-89(1999)
Maruyama, K., et al. : Pediatrics International, 42 : 492-498(2000)
長屋健、他:日本新生児学会雑誌, 38(2): 446(2002)
宮脇正和、他:日本未熟児新生児学会雑誌, 14(2): 201-204(2002)

 

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お知らせ

医薬品・医療用具等安全性情報は、医薬品医療機器情報提供ホームページ(https://www.pmda.go.jp/)又は厚生労働省ホームページ(http://www.mhlw.go.jp/)からも入手可能です。

また、NTTのファクシミリ通信網サービス「Fネット」を通じ、最近1年間の「医薬品・医療用具等安全性情報」がお手元のファクシミリから随時入手できます(利用者負担)。

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