独立行政法人 医薬品医療機器総合機構
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安全対策業務

平成22年度 第2回医薬品・医療機器安全使用対策検討結果報告(医薬品関連事例) 別添2

本文別添1|別添2|別添3別添4

製造販売業者等により既に対策がとられているもの、もしくは対策を既に検討中の事例(事故事例「薬剤」)

No. 報告回 事故の
程度
段階 事例の内容 背景・要因 改善策 調査結果
【方法間違い】
1 第19回 障害
の可能性(高い)
実施段階 朝の検査データで血清カリウム2.5の為主治医よりアスパラK 2A(20mEq)メインIVH内混入の指示と注射箋をリーダー看護師Aが受け、看護師Bに薬剤受領とその日の担当の看護師Cに伝えることを依頼した。10分後、看護師Bは薬剤を受領し、トレイに薬剤・注射器・注射針・酒精綿・注射指示箋を準備し、担当C看護師に説明して渡した。その後、担当C看護師は注射を準備して側管よりワンショットで注入した。 朝の検査データで血清カリウム2.5の為主治医よりアスパラK2A(20mEq)メインIVH内混入の指示と注射箋をリーダー看護師Aが受け、看護師Bに薬剤受領と看護師Cに伝えることを依頼した。10分後、看護師Bは薬剤を受領し、トレイに薬剤・注射器・注射針・酒精綿・注射指示箋を準備し、看護師Cに説明して渡した。その後、看護師Cは注射を準備して側管より注入した。
  • 看護師間の伝達・指示を正確に行う。
  • 特に、経験が浅い看護師に指示するときは相手が間違えないようにわかりやすく伝え、相手の理解度を必ず確認し、実施状況まで確認する。
  • 注射実施は注射伝票で5Rの声だし・指差し確認の徹底。
  • カリウム製剤を静注不可能なシリンジに変更。
  • 他の静注用薬剤の見直し。
カリウム製剤については、平成19年3月30日付医政総発第0330001号・医薬総発第0330001号連名通知「医薬品の安全使用のための業務手順書マニュアルについて」及び平成20年12月4日付医政発第1204001号・薬食安発第1204001号連名通知「医薬品の販売名の類似性による医療事故防止対策の強化・徹底について(注意喚起)」の巻末資料により、特に安全管理が必要な医薬品(心停止等に注意が必要な医薬品)として医療機関に注意喚起しているところであり、製造販売業者においても誤使用防止のため情報提供を実施しているところ。 また、医薬品・医療用具等安全性情報No.202においてもカリウム製剤は、新規配属者を含め関係者への注意喚起の徹底が必要な医薬品として紹介されているところ。
【対象者間違い】
2 第19回 障害なし 実施段階 看護師は、18時に患者Aが眠前に内服するサレドのカプセルシートを準備した。20時半に看護師は患者Bに患者Aの内服薬のサレド1カプセルを取り出し、患者Bに見せ「寝る前の薬です」と説明した。患者Bは「赤いのだね」と言い、口をあけたため、看護師はサレド100mg 1カプセルを患者Bの口の中に入れた。30分後、患者Aより、「寝る前の薬を下さい」と言われ、誤りに気付いた。 投薬時カプセルシートの名前と患者氏名の確認をマニュアル通りしなかった。投薬時、患者Bに氏名を名乗ってもらわなかった。サレドが毒薬で重要な薬だという認識がなかったが特殊な薬だという思いはあった。与薬時、ナースコールが鳴り業務が中断した。患者Aと患者Bが年齢、格好がよく似ていた。患者Bが疾患から特殊な薬を内服する人だと思い込んだ。サレドは今年の4月から当院で使用が開始されたが、情報提供されず管理の厳重な薬だということが周知されていなかった。
  • 全職員を対象にサレドの研修会を実施する。
  • マニュアルに従って投薬時に患者確認を徹底する。
  • オーダリングシステムの患者情報画面にサレド服薬中の有無の情報を明示する。
当該事例を踏まえ、サリドマイド製剤の入院時持参薬の取扱いについては、平成21年9月3日付医政総発0903第2号・薬食安発0903第1号連名通知「サリドマイド製剤の入院時持参薬の取り扱いについて(医療機関への注意喚起及び周知徹底依頼)」により、全国の医療機関に再度の周知徹底の依頼を行ったところ。
また、当該事例を踏まえ、平成22年3月29日付薬食審査発0329第1号・薬食安発0329第1号連名通知「サリドマイド製剤の使用に当たっての安全管理手順の改訂について(医療機関への注意喚起及び周知徹底依頼)」により、「サリドマイド製剤安全管理手順」に薬剤の数量管理の規定を追加する等の通知を発出したところ。
 
【その他】
3 第19回 障害
の可能性(高い)
実施段階 患者の右前腕よりパナベート2000mg+生食500mL(0.4%)を5日間投与した。投与の最終日に輸液が血管外漏出した。その翌日、主治医の指示によりアズノール軟膏を塗布した。7日後、潰瘍が形成し、血管外漏出から2ヵ月後、右前腕部2か所皮膚の壊死(0.8×0.8、0.3×0.3大)が認められ、形成外科を受診し、壊死部デブリードマンを施行した。 パナベートを基準を超えた高濃度で末梢静脈注射した。医師も看護師もパナベートに対する薬品の知識がなかった。血管外漏出時の対応が遅れた。婦人科疾患悪化の対応に追われた。患者特性から絆創膏に対するこだわりがあり、対応していたが、チーム全体で静脈炎を併発している状態に関心が注げず、適切な対応がされていなかった。スタッフ間で看護計画の修正や共有がされていなかった。
  • パナベート薬品の使用上の注意点、知識を得る。
  • 末梢血管から投与する場合、パナベート100mg/50mL(0.2%以下)で点滴静注することを徹底する。
  • 刺入部の観察を行い、記録に残し異常があれば皮膚科医師の診察をうける
  • チームで看護計画の修正、共有を図り継続して実施していく。
  • 医師間との連携を図る。
  • スタッフのリスク感性を磨く。
ガベキサートメシル酸塩製剤の製造販売業者は、高濃度での投与により注射部位等に静脈炎や硬結、潰瘍・壊死を起こすことがあるため、濃度を0.2%以下とすることについての注意喚起が実施されているところ。
 
 
 

製造販売業者等により既に対策がとられているもの、もしくは対策を既に検討中の事例(事故事例「その他の薬剤」)

No. 報告回 事故の
程度
段階 事例の内容 背景・要因 改善策 調査結果
【薬剤量間違い】
4 第20回 障害
の可能性
なし
指示段階 DIC・ショックの治療のため「レミナロン1000mg+5%G500mL」を20mL/hで末梢(左手)より3日間投与した。3日後、血小板が1.9万となりDICの治療強化のため「レミナロン1600mg+5%G500mL(0.32%)」を20mL/hで末梢より投与した。その翌日、左手刺入部位の皮膚壊死となり、左足に刺しかえた。4日後、左足刺入部の皮膚壊死あり、レミナロンによる静脈炎、皮膚壊死と判断し中止した。 レミナロン注意文書の見落とし。知識不足。
  • ダブルルーメンCVルートを購入する。
  • 薬剤の危険性に関して再度周知徹底する。
ガベキサートメシル酸塩製剤の製造販売業者は、高濃度での投与により注射部位等に静脈炎や硬結、潰瘍・壊死を起こすことがあるため、濃度を0.2%以下とすることについての注意喚起が実施されているところ。
 
 
 

製造販売業者により既に対策がとられているもの、もしくは対策を既に検討中の事例(ヒヤリ・ハット事例「薬剤」)

No. 報告回 事例の内容 背景・要因 改善策 調査結果
【速度間違い】
5 第19回 腎移植後のため免疫抑制剤(ネオーラル)を服用中の患者が、整形外科で手術となり、手術のため絶食期間中は点滴でサンディミュン注を投与することとなった。5%糖液250mL+サンディミュン注0.2管の点滴を滴下制御型輸液ポンプを使用し、速度10mL/hで投与行ったところ、予定より大幅に遅れたため、シリンジポンプに変更した。 非水性薬剤を投与する際、滴下量が減少するが、サンディミュンがそれにあたり速度調整を行う必要がある薬剤であることを看護師が知らなかった。整形外科病棟であったため、普段使用しない薬剤であった。血液内科病棟では滴下速度が変化する免疫抑制剤や抗がん剤を使用する頻度が高いため流量制御型輸液ポンプを配置し、速度変化が生じないように対応していたが、整形外科病棟では、そのようなリスクの高い薬剤をほとんど使用しないため、流量制御型輸液ポンプを配置していなかった。
  • 滴下量に変化を起こしやすい薬剤一覧を作成し、周知する。
  • 当院採用薬品で滴下速度変化を起こしやすい免疫抑制剤、抗がん剤使用時は、流量制御型輸液ポンプの使用を推奨する。
  • 自然落下・滴下制御型輸液ポンプを使用する際は、定期的な残量確認をし、速度調整を行う。
  • 滴下制御型輸液ポンプから流量制御型輸液ポンプへと機種統一を図る。
サンディミュン注射液は、添加剤として含まれる界面活性剤により粘性が低下するため滴下制御方式の輸液ポンプでは、一滴の大きさが小さくなることから実際の液量が少なくなることが確認されている。そのため正確な投与を行うには、適切な流量に補正する必要があることが、既に添付文書に記載しており、注意喚起が実施されているところ。