医薬品安全使用に関して製造販売業者等による対策が必要又は可能と考えられた事例(医療事故)
No | 事故の程度 | 販売名等 | 製造販売業者 | 事故の内容 | 事故の背景要因の概要 | 改善策 | 調査結果 |
1 | 障害残存の可能性なし | ノルバデックス | アストラゼネカ | 他院にて関節リウマチ、高血圧の加療をされていた。高血圧に対して降圧剤であるノルバスクを内服されていた。入院時に当院で処方する際に、本来ならノルバスクが処方されなければならないところをノルバデックスと間違えてオーダーしてしまった。当院で初回に間違って処方された後も、継続して入院中も誤って処方した。転院の際に紹介状にそのまま誤って記載されたため、転院先でも誤ってノルバデックスが内服された。2回目の転院先の施設で病名と内服薬が合わない事に先方で気付き、家族より「母は乳がんなのか施設の医師から聞かれた」と当該医療機関に問い合わせがあり、間違いが分かった。 | 降圧剤のアムロジンとノルバスクの採用を検討した当時は、ノルバスクとノルバデックスが似ている薬剤名という認識はなく、院内処方はアムロジンを採用することに決まった。その後、ノルバスクとノルバデックスの取り違いについて当該医療機関は認識していたが、ノルバスクを院内処方に採用していないため薬剤マスターの見直し等は行わなかった。よって、当院でコンピューターでのオーダーの際に「ノルバ」の3文字で検索するとノルバデックスのみが検索される。 初回入力した医師は、ノルバスクは高血圧の薬だと認識していたが、ノルバデックスについての知識はなかった。 三文字入力して画面に現れたノルバデックスをノルバスクと勘違いしてそのまま処方してしまった。医師は、表示された「ノルバデックス」文字が青色になっていたが、システム上、青色が「抗がん剤」を示していることを知らなかった。また、医師は入院時に家族のメモをもとに処方の指示を出したが(医師の記憶が曖昧)、初期の処方入力と照らし合わせるためのメモなどは残していなかった。 夜間の緊急入院であったため、薬剤師による持参薬の鑑別等の介入はしていなかった。 その後、病名と薬剤が合わない事に気付きかけた看護師はいた。しかし、『今日の治療薬2010』でノルバデックスを検索したところ「抗悪性腫瘍薬、免疫抑制薬」のページに載っており、ノルバデックスは「ホルモン(抗エストロゲン薬)」に分類されていたため、患者の既往にあるリウマチに対し「免疫抑制剤」「ホルモン剤」としてノルバデックスが処方されていると判断し、周りに特に相談せずそのまま配薬してしまった。 多くの医師、看護師は最後まで誤っている事に気付かず最終的には2度目の転院先の医師より、疑問を呈示され始めて誤って処方してしまったことが分かった。 |
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ノルバスクとノルバデックスの名称類似性については、平成15年11月27日付医政発第1127004号・薬食発第1127001号連名通知「医療機関における医療事故防止対策の強化について」及び平成20年12月4日付医政発第1204001号・薬食発第1204001号連名通知「医薬品の販売名の類似性等による医療事故防止対策の強化・徹底について(注意喚起)」により、医療機関に注意喚起しているところであり、製造販売業者においても誤用防止のために製品に関する情報提供及び表示の変更等を実施しているところである。 しかしながら、繰り返し同様事例が報告されていること。また、平成14年8月29日付医薬発第0829006号「医療安全推進総合対策への取り組みの推進について」において、企業は患者の安全を最優先に考えた医療安全を確保するための積極的な取り組みが求められており、今般、再発防止の観点から名称の変更が必要であると考える。 |