独立行政法人 医薬品医療機器総合機構
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安全対策業務

超音波白内障手術装置に関する自主点検について

医薬安発0812004号
平成14年8月12日

各都道府県衛生主管部(局)長 殿

厚生労働省医薬局安全対策課長

超音波白内障手術装置に関する自主点検について

 日本アルコン株式会社(以下、「日本ア社」という)が輸入する超音波白内障手術装置(販売名:20000レガシー、(以下、「当該医療用具」という)) と眼科手術補助剤である粘弾性物質(販売名:ビスコート)を併用して超音波水晶体乳化吸引術を行い、角膜熱傷を生じた事例が報告された。
 本事例は、角膜内皮の保護を目的として前眼房に注入されたビスコートが超音波チップ側面の灌流液出口を閉塞した結果、灌流液による超音波チップの冷却が不十分となり、超音波チップに接する角膜に熱傷を生じたとの報告が日本ア社よりされている。
 一方、当該医療用具の添付文書には、眼科手術補助剤である粘弾性物質が灌流液の流れを阻害するおそれがあることは明示されていなかったことから、日本ア社に対して別添のとおり自主点検を指示したところである。
 超音波チップによる熱傷の発生に関与する医療用具の要因として、使用される超音波の出力・周波数、超音波チップの材質・形状等、様々な要因が考えられるものの、当該医療用具以外の超音波白内障手術装置においても、同様の事例が発生する可能性が否定できないことから、同様の事例の発生することのないよう、貴管下の製造業者、輸入販売業者及び国内管理人に対し、下記のとおり自主点検を行い、必要な対策を講じるよう御指導方お願いする。
 また、同様の指示を日本医療機器関係団体協議会会長、在日米国商工会議所医療機器小委員会委員長及び欧州ビジネス協議会医療機器委員会委員長あて発出したことを申し添える。

 自社が製造、輸入、又は承認を有する超音波白内障手術装置について、眼科手術補助剤である粘弾性物質が灌流液の流れを阻害することにより、超音波チップの冷却が不十分となって熱傷を起こす可能性について確認し、その可能性がある場合には、添付文書を以下のように改訂すること。

  • 1)粘弾性物質が灌流液の流れを阻害することにより、超音波チップの冷却が不十分となって熱傷を引き起こす可能性がある旨を警告の項に記載すること。
  • 2)粘弾性物質が灌流液の流れを阻害する危険性をより顕在化させる使用条件(超音波白内障手術装置の設定、超音波チップの選択等)のうち、患者の安全を確保することが困難と考えられるものについては、その使用条件を禁忌・禁止の項に記載すること。
  • 3)粘弾性物質が灌流液の流れを阻害することにより、超音波チップの冷却が不十分となって熱傷を起こすことのないよう、必要な注意事項があれば重要な基本的注意に記載すること。また、医療用具の特性を考慮の上、該当する場合には以下の記述の記載を検討すること。
    • 超音波乳化吸引術を行う前に吸引灌流を行い、水晶体と粘弾性物質との間に灌流液で満たした空間を作ること(灌流不全となり、超音波チップによる熱傷を起こすことがある。)

以上

 

別添

医薬安発第0812003号
平成14年8月12日

日本アルコン株式会社

代表取締役  児玉 研一 殿

厚生労働省医薬局安全対策課長

超音波白内障手術装置に関する自主点検について

 先般、貴社が輸入する超音波白内障手術装置(販売名:20000レガシー、(以下、「当該医療用具」という)) と眼科手術補助剤である粘弾性物質(販売名:ビスコート)を併用して超音波水晶体乳化吸引術を行い、角膜熱傷を生じた事例が発生した。
本事例は、角膜内皮の保護を目的として前眼房に注入された粘弾性物質であるビスコートが超音波チップ側面の灌流液出口を閉塞した結果、灌流液による超音波チップの冷却が不十分となり、超音波チップに接する角膜に熱傷を生じたとの報告を受けたところである。
 当該医療用具の添付文書には、眼科手術補助剤である粘弾性物質が灌流液の流れを阻害するおそれがあることは明示されていなかったことから、今後同様の事例が発生することのないよう、貴社が輸入する超音波白内障手術装置について下記のとおり自主点検を行うことを指示する。

 眼科手術補助剤である粘弾性物質が灌流液の流れを阻害することにより、超音波チップの冷却が不十分となって熱傷を起こす可能性について確認し、その可能性がある場合には、添付文書を以下のように改訂すること。

  • 1)粘弾性物質が灌流液の流れを阻害することにより、超音波チップの冷却が不十分となって熱傷を引き起こす可能性がある旨を警告の項に記載すること。 
  • 2)粘弾性物質が灌流液の流れを阻害する危険性をより顕在化させる使用条件(超音波白内障手術装置の設定、超音波チップの選択等)のうち、患者の安全を確保することが困難と考えられるものについては、その使用条件を禁忌・禁止の項に記載すること。  
  • 3)粘弾性物質が灌流液の流れを阻害することにより、超音波チップの冷却が不十分となって熱傷を起こすことのないよう、必要な注意事項があれば重要な基本的注意に記載すること。また、医療用具の特性を考慮の上、該当する場合には以下の記述の記載を検討すること。
    • 超音波乳化吸引術を行う前に吸引灌流を行い、水晶体と粘弾性物質との間に灌流液で満たした空間を作ること(灌流不全となり、超音波チップによる熱傷を起こすことがある。)

以上