平成16年10月28日
1.注射用抗生物質製剤等によるショック等に対する安全対策について
(社)日本化学療法学会及び(財)日本抗生物質学術協議会から皮内反応試験の廃止を求める要望書が提出されたことから、薬事・食品衛生審議会の専門委員による検討を行ったところ、従来の皮膚反応の実施を中止し、ショック等に対する対応の徹底がより重要とする結論となったので、お知らせするとともに、注射用抗生物質製剤等の投与時の安全対策の徹底をお願いする。
(1)添付文書における「使用上の注意」の「重要な基本的注意」の項の改訂
本剤によるショック、アナフィラキシー様症状の発生を確実に予知できる方法がないので、次の措置をとること。
- 事前に既往歴等について十分な問診を行うこと。なお、抗生物質等によるアレルギー歴は必ず確認すること。
- 投与に際しては、必ずショック等に対する救急処置のとれる準備をしておくこと。
- 投与開始から投与終了後まで、患者を安静の状態に保たせ、十分な観察を行うこと。特に、投与開始直後は注意深く観察すること。
(2)適正使用情報の提供
- 医薬品・医療用具等安全性情報への掲載
- 抗菌薬投与に関連するアナフィラキシー対策のガイドラインの作成
- 抗菌薬投与に関連するアナフィラキシー対策のリーフレットの配布等
(3)ショック・アナフィラキシー様症状の発生件数等の報告
ショック・アナフィラキシー様症状の発生状況の推移を確認するため、当面3年間は製剤ごとの当該副作用の発生件数等について各企業から報告を求める。
2.イレッサ錠250プロスペクティブ調査(特別調査)調査報告書について
「ゲフィチニブ安全性問題検討会」からの指示に基づくプロスペクティブ調査の結果がまとまり報告された。
(1)イレッサ錠250プロスペクティブ調査の結果
- 安全性評価対象症例3,322例のうち、主な副作用は、発疹568件(17.1%)、肝機能異常369件(11.1%)、下痢367件(11.1%)であった。
- 主な重篤な有害事象は、間質性肺疾患149件(4.5%)、肺炎55件(1.7%)、肺障害37件(1.1%)、肝機能異常34件(1.0%)、下痢13件(0.4%)、腎機能障害11件(0.3%)、肝障害10件(0.3%)であった。
- 判定委員会による評価した結果に基づく急性肺障害・間質性肺炎の発現率は、5.8%(193例/3,322例)で、死亡率は2.3%(75例/3,322例)であった。
(2)プロスペクティブ調査結果に基づく安全対策
- [警告]の項に、「急性肺障害、間質性肺炎による致死的な転帰をたどる例は全身状態の良悪にかかわらず報告されているが、特に全身状態の悪い患者ほど、その発現率及び死亡率が上昇する傾向がある。本剤の投与に際しては患者の状態を慎重に観察するなど、十分に注意すること。」を追記した。
- [慎重投与]の項に「全身状態の悪い患者」を追記した。