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安全対策業務

医薬品等安全性情報 No.144

目次

  1. 高カロリー輸液療法施行時の重篤なアシドーシス
  2. [解説]医薬品の適正使用のために
    塩酸イリノテカンの適正使用について
  3. 使用上の注意の改訂について(その104)

 

 この医薬品等安全性情報は、従来の副作用情報を改めたもので、厚生省において収集された副作用情報をもとに、医薬品等のより安全な使用に役立てていただくために、医療関係者に対して情報提供されるものです。

平成9年(1997年)9月
厚生省医薬安全局

情報の概要

No. 医薬品 対策 情報の概要
1 高カロリー輸液用基本液・アミノ酸液高カロリー輸液用基本液 緊使症 高カロリー輸液療法施行中の重篤なアシドーシスについては、従来より繰り返し注意喚起を行ってきた。平成7年4月に適正使用情報を配布した後も15例の報告がなされ、そのうち7例が死亡していることから、平成9年6月に再度緊急安全性情報を配布し、高カロリー輸液療法施行中の患者には必ずビタミンB1を投与するなど注意の徹底を図った。
2   緊使症 [解説]医薬品の適正使用のために
塩酸イリノテカンの適正使用について
3 高カロリー輸液用基本液・アミノ酸液、高カロリー輸液用基本液他(20件)   使用上の注意の改訂について(その104)

緊:緊急安全性情報の配布 使:使用上の注意の改訂 症:症例の紹介

目次へ

 

高カロリー輸液療法施行時の重篤なアシドーシス

情報の概要
成分名
該当商品名
成分名 該当商品名
高カロリー輸液用基本液・アミノ酸液 アミノトリパ1号、同2号(大塚製薬工場)
ピーエヌツイン1号、同2号、同3号(ルセル森下)
ユニカリックL、同N(テルモ)
高カロリー輸液用基本液 アリメール1号、同2号、同3号(ルセル森下)
エネベース(光製薬)
カロナリーL、同M、同H(扶桑薬品工業)
カロネットL、同H(日研化学)
グルコパレン1号、同2号、同3号(大塚製薬工場)
トリパレン1号、同2号(大塚製薬工場)
ハイカリック液‐1号、同2号、同3号(テルモ)
ハイカリックNC‐L、同N、同H(テルモ)
リハビックスK1号、同K2号、同K3号、同K4号(清水製薬)
ワスタN(日本製薬)
薬効分類等 滋養強壮薬
効能効果 (アミノトリパの場合)
経口・経腸管栄養補給が不能又は不十分で、経中心静脈栄養に頼らざるを得ない場合の水分、電解質、カロリー、アミノ酸補給
 

(1)発現の状況

 高カロリー輸液療法は生命維持に必要な成分を経中心静脈的に投与するもので、臨床的に経口摂取が不能又は不十分な場合に応用されている。投与される成分は水分、各種電解質、エネルギー源(糖質、脂質等)、蛋白質源(各種アミノ酸)、各種ビタミン、その他必須成分(必須脂肪酸源)、亜鉛をはじめとする微量元素類である。
 ビタミンは生体機能の維持にとって必須の成分であるが、その中でも特にビタミンB1はエネルギー産生に中心的な役割を果たしている。その欠乏による乳酸の蓄積から引き起こされる代謝性アシドーシスは炭酸水素ナトリウム注射液等のアルカリ化剤の投与では回復せず、ビタミンB1の急速静脈内投与による処置を行わなければ短期間で死に至ることがある。
 高カロリー輸液療法施行中に発現する重篤なアシドーシスについては、平成3年10月に緊急安全性情報、平成7年4月には適正使用情報を配布し高カロリー輸液療法時の適正な使用を促すとともに、医薬品副作用情報No.111(平成3年11月号)、No.123(平成5年11月号)、No.128(平成6年10月号)において症例の紹介あるいは解説を行い注意を喚起してきた。しかし、その後重篤なアシドーシスの発現について因果関係の不明な症例も含め15例(死亡7例)の報告が寄せられている。報告された症例について原疾患、合併症などをみてみると以下のとおりである。

  1. 原疾患・合併症

 高カロリー輸液療法の適応患者は経口、経腸管栄養補給が不能又は不十分で、経中心静脈栄養に頼らざるを得ない状態であり、全身状態は一般的に不良である場合が多い。報告された症例の原疾患を表1に示す。
 そのうち、ビタミンB1を投与していたにもかかわらず重篤なアシドーシスを発現した6例をみると、高齢者であったり、合併症として感染症、腎不全等の腎障害、重篤なアシドーシスを発現しやすい病態の患者である。

  1. 臨床症状

 アシドーシス発現時の臨床症状は、報告の15例中7例に大呼吸、努力性呼吸等の呼吸異常、7例に意識障害を認め、他に舌のもつれ、尿量低下等がみられている。

  1. 発現までの投与期間

 アシドーシス発現までの高カロリー輸液施行期間は、1日から74日にわたっており、15例中8例(53.3%)が3週間以内であった(表2)。

  1. その他

 報告された15例のうち、高カロリー輸液療法施行中にビタミンB1が未投与の症例は9例(60.0%)であり、そのうち5例(55.6%)では重篤なアシドーシス発現後高カロリー輸液の中断、ビタミンB1投与等の適切な処置を行い回復をみている。
 これらの症例の一部を紹介する(表3)。

(2)安全対策

1 高カロリー輸液療法施行中は必ずビタミンB1の投与をすること
 ビタミンB1を併用せずに高カロリー輸液療法を施行すると、ビタミンB1の欠乏による重篤なアシドーシスが発現することがある。したがって、高カロリー輸液療法施行中は必要量(1日3mg以上を目安)のビタミンB1を投与する必要がある。

2 重篤なアシドーシスが起こった場合には直ちにビタミンB1欠乏を考慮すること

 ビタミンB1欠乏によるアシドーシスはビタミンB1の大量投与以外の処置には反応しないため、ビタミンB1欠乏によると思われるアシドーシスが発現した場合には、直ちにビタミンB1を大量に急速静脈内投与(100~400mg)する必要がある。

3 基礎疾患、合併症などの病態の悪化による重篤なアシドーシス発現にも注意を

 ビタミンB1を投与していても基礎疾患、合併症などの病態の悪化により重篤なアシドーシスが発現することがある。基礎疾患、合併症によるアシドーシスが発現した場合は直ちに高カロリー輸液療法を中断し、通常のアシドーシスの処置(アルカリ化剤の投与等)を行う必要がある。(表3‐2症例3)

     《使用上の注意(下線部追加改訂部分)》

〈アミノトリパ、ピーエヌツイン、ユニカリック、アリメール、エネベース、カロナリー、カロネット、グルコパレン、トリパレン、ハイカリック液、ハイカリックNC、リハビックス、ワスタN〉

警 告

ビタミンB1を併用せずに高カロリー輸液療法を施行すると重篤なアシドーシスが発現することがあるので、必ずビタミンB1を併用すること。
ビタミンB1欠乏症と思われる重篤なアシドーシスが発現した場合には、直ちに100~400mgのビタミンB1製剤を急速静脈内投与すること。
また、高カロリー輸液療法を施行中の患者では、基礎疾患及び合併症に起因するアシドーシスが発現することがあるので、症状があらわれた場合には高カロリー輸液療法を中断し、アルカリ化剤の投与等の処置を行うこと。

 

一般的注意

(1)高カロリー輸液療法施行中にビタミンB1欠乏による重篤なアシドーシスが起こることがあるので、必要量(1日3mg以上を目安)のビタミンB1を投与すること。

表1 原疾患―覧
 
原 疾 患 症例数
悪性腫瘍〔胃癌(2)、卵巣癌再発、中部胆管癌、癌性腹膜炎〕 5
脳梗塞 5
神経性食思不振症 1
肝硬変 1
癒着性イレウス 1
くも膜下出血術後 1
精神分裂病 1


表2 アシドーシス発現までの高カロリー輸液療法 施行の期間
 
期 間 症例数
1~7日間 2
8~14日間 5
15~21日間 1
22~28日間 3
29日間以上 4


表3-1 症例の概要
 
No. 患者 投与期間 副作用 備考
性、
年齢
使用理由〔合併症〕 経過及び処置
1
24才
摂食不良による低栄養 10日間 摂食不良、自己誘発嘔吐、体重減少が改善しないため、入院当初より経中心静脈高カロリー輸液を開始。摂食は40%前後であったが、自己誘発嘔吐の可能性あり(嘔吐は自己否定)。その後摂食無くなり5~6回/日の嘔吐を自己申告。何らかの変化を生じたと考え、動脈血ガスを測定。pH:7.373、BE:‐3.3であり、このときは経過観察とした。その後症状増悪し、投与10日目、BP:60となったため再度動脈血ガスを測定。pH:7.033、Po2:19.1、BE:‐24.6と著明な代謝性アシドーシスを認めた。第一にチアミン欠乏による代謝性乳酸アシドーシスの可能性を考え、輪液を10%ブドウ糖液1500mL、10%Nacl液60mL、複合ビタミンB剤10mL(チアミン50mg含有)、7%炭酸水素ナトリウム液250mLを投与。5時間後改善し救命し得た。 企業報告
臨床検査値
  投与3日前 投与5日目 投与10日目 投与中止23日後
血圧    (mmHg) 90/50 90/60 60/36 100/75
白血球  (/mm3 4580 4870 12500 4700
総蛋白  (g/dL) 6.0 6.3 6.8 6.1
血糖   (mg/dL) 91 109 174 102
Na    (mEq/L) 137 136 116.8 138
K     (mEq/L) 3.4 4.0 4.89 4.2
Cl    (mEq/L) 96 97 104
GOT    (IU/L) 79 74 18 41
GPT    (IU/L) 105 111 46 67
BUN    (mg/dL) 13 13 33.2 10
Cr    (mg/dL) 0.3 0.4 1.4 0.4
尿量   (mL/日) 800 900 2900 1500
Pco2   (mmHg) 19.1
Po2    (mmHg) 110.7
pH 7.033
BE    (mEq/L) ‐24.6
乳酸   (mg/dL) 3.9
ピルビン酸(mg/dL) 0.8

併 用 薬:乳酸リンゲル液、維持液、スルピリド、オキサゾラム、ブロチゾラム
ビタミンB1の投与:なし
2
66才
栄養補給 74日間 癒着性イレウスのため食事は3分粥を半量摂取して、再発を繰り返していた。そのため高カロリー輪液のみ投与し、総合ビタミン剤を投与しなかった。投与73日目より舌のもつれ、意識混濁が出現して、74日目に呼吸困難、アシドーシスを認め、ICUへ転室。呼吸器管理、ビタミンB1を投与。
4日間、持続血液濾過透析、エンドトキシン吸着を施行、症状は軽快し、意識レベルも改善した。
企業報告
臨床検査値
  投与48日前 投与69日目 投与73日目 投与中止11日目
白血球  (/mm3 5000 3900 12000 3700
血糖 (mg/dL) 89 146 251
Na (mEq/L) 144.4 138.5 129.0 147.3
K (mEq/L) 4.2 4.5 6.2 3.9
Cl (mEq/L) 107.2 101.1 106.4 112.6
GOT (IU/L) 52 14 11 34
GPT (IU/L) 46 10 8 24
BUN (mg/dL) 19.6 17.1 52.2 37.9
Cr (mg/dL) 0.8 0.5 0.7 0.9
Pco2 (mmHg) 20.3
Po2 (mmHg) 122.7
pH 6.83
BE (mEq/L) 29.5

併用薬:なし
ビタミンB1の投与:なし
3
84才
栄養補給〔貧血〕 24日間 脳梗塞患者で、高カロリー輸液施行中褥瘡悪化し、蜂窩織炎に至る。血圧102/30とやや低下し、努力呼吸を認める。血液ガス分析にてpH:6.96、Pco2:13.3、Po2:144.7、BE:‐28.3と代謝性アシドーシス、低CO2血症を認める。高カロリー輸液療法を中止し、5%ブドウ糖液、コカルボキシラーゼ、ウリナスタチン、FAD、炭酸水素ナトリウムの輸液に切り替える。処置2日後pH:7.398、Pco2:27.8、Po2:82.4、BE:‐5.9となり、血圧も回復した。 企業報告
臨床検査値
  投与6日前 投与11日目 投与中止1日後 投与中止4日後
総蛋白 (g/dL) 7.1
白血球 (/mm3 9000 10700 23800 22500
血糖 (mg/dL) 290
Na (mEq/L) 136 136 120 131
K (mEq/L) 4.7 4.6 3.5 4.4
Cl (mEq/L) 105 113 102 98
GOT (IU/L) 15 16 23 44
GPT (IU/L) 18 14 29 16
BUN (mg/dL) 53 45 75 59
Cr (mg/dL) 1.4 1.7 1.8 2.0
尿量 (mL/日) 300
Pco2 (mmHg) 16.6 27.8
Po2 (mmHg) 130.2 87.3
pH 7.18 7.49
BE (mEq/L) ‐20.1 ‐0.5

併用薬:総合ビタミン剤、微量元素配合剤、塩酸セフォチアム、メロペネム三水和物
ビタミンB1の投与:あり
   

[解説]医薬品の適正使用のために塩酸イリノテカンの適正使用について

 塩酸イリノテカンはI型DNAトポイソメラーゼ阻害作用を有する新しいタイプの抗癌剤である。平成6年1月の承認から平成9年3月末までの約3年間で本剤の副作用との因果関係が否定できない死亡症例が42例報告されたことから、平成9年7月に緊急安全性情報が配布され、適正使用の推進が図られたところである。骨髄機能抑制の発現は症例によりその時期、程度は多様であり、必ずしも予知し得ない。本稿では、緊急安全性情報の詳細な解説を行うとともに症例を紹介する。

成分名
該当商品名
成分名 該当商品名
塩酸イリノテカン カンプト注(ヤクルト本社)
トポテシン注(第一製薬)
薬効分類等 I型DNAトポイソメラーゼ阻害型抗悪性腫瘍剤
効能効果 小細胞肺癌、非小細胞肺癌、子宮頚癌、卵巣癌、胃癌(手術不能又は再発)、結腸・直腸癌(手術不能又は再発)、乳癌(手術不能又は再発)、有棘細胞癌、悪性リンパ腫(非ホジキンリンパ腫)

 

 塩酸イリノテカンはI型DNAトポイソメラーゼ阻害作用を有する新しいタイプの抗癌剤であり、平成6年1月に小細胞肺癌、非小細胞肺癌、子宮頚癌、卵巣癌を適用として承認され、更に平成7年9月に胃癌(手術不能又は再発)、結腸・直腸癌(手術不能又は再発)、乳癌(手術不能又は再発)、有棘細胞癌、悪性リンパ腫(非ホジキンリンパ腫)の効能が追加された。本剤は治験時(効能追加時を含む)において1,245例に投与され因果関係が否定できない死亡症例が55例認められたことから、発売当初から使用上の注意に「警告」欄が設けられ、骨髄機能抑制のある患者、感染症を合併している患者、下痢(水様便)のある患者、腸管麻痺・腸閉塞のある患者、間質性肺炎又は肺線維症のある患者、多量の腹水・胸水のある患者、黄疸のある患者、本剤に対し過敏症の既往歴のある患者を禁忌にし、注意喚起を行ってきた。更に、平成7年9月の一部変更承認時には、再審査期間が終了するまでの間、本剤を投与された全症例を調査することが承認条件として付され、厳重な管理のもとで使用されていた。しかし、発売後も使用上の注意が守られなかったり、使用が不適切で重篤な骨髄機能抑制に起因する死亡症例の報告がみられている。本剤は発売以降平成9年3月末までに、5,445例に使用され、本剤による副作用との因果関係が否定できない死亡症例が42例報告されていることから、厚生省は平成9年7月に緊急安全性情報を配布するよう関係企業に指示し、医療機関に対し注意喚起を行ったところである。
 以下に緊急安全性情報の内容について詳細な解説を加える。
 

(1)症例の紹介

 今回新たに加えた注意喚起のうち、前治療により白血球又は血小板数が短期間に減少をした場合に投与し骨髄機能抑制が起こった事例について表1に紹介する。症例No.1は最初の投与日は白血球数が5100/mm3、2回目の投与日である8日目には白血球数が4000/mm3になり減少傾向を示している。2回目の投与を行った後、6日目に急激な骨髄機能抑制が起こり、白血球数が500/mm3まで減少し、最終的に死亡した症例である。
 症例No.2は白血球数に関しては、初回投与時と2回目投与時を比べると、2回目投与時の方が増えているものの、血小板数に着目すると25.6万/mm3から14.3万/mm3に約44%減少している。この場合も2回目の投与後に急激な骨髄機能抑制を起こしている。その他の例も、いずれも白血球数あるいは血小板数が過去1週間以内で30%以上減少している。このように、骨髄機能が低下している徴候があらわれた場合には特にその投与の有用性を慎重に考慮し、投与を中止するか、回復するまで延期することも十分に考えるべきである。また、従来の注意喚起では白血球数だけに着目していたが、血小板数も観察して、慎重に投与の適否を判断する必要がある。
 表2は、初回投与時には投与可能とされたが、2回目の投与時には禁忌に該当したにもかかわらず投与され、重篤な骨髄機能抑制が生じ、死亡した症例である。このように骨髄機能抑制の発現は症例によりその時期、程度は多様であり、必ずしも予期し得ないので十分な注意を要する。
 

(2)具体的注意点

  1. 使用に際して

 本剤は、投与後の骨髄機能抑制の発現が予知し難く、副作用が発現した場合に適切な処置を必要とすることから、必ず癌の化学療法に十分な経験を持つ医師のもとで使用しなければならない。また、投与前並びに投与後に頻回の血液検査等を行い、投与の適否の判断を慎重に行い、本剤の投与が適切と判断される症例についてのみ投与すること。
 

  1. インフォームドコンセント

 本剤は重篤な副作用が生じるおそれがあるので、使用にあたっては患者又はその家族に危険性について十分に説明を行い、本剤投与の治療上の有用性について同意を得てから投与を開始すること。
 

  1. 末梢血液検査の実施と確認

 本剤を投与する際には投与前24時間以内に、必ず末梢血液検査を実施し、骨髄機能を確認すること。また、検査結果を必ず確認してから投与の適否を判断すること。
 

  1. 骨髄機能抑制が疑われる場合の投与中止

 本剤は、骨髄機能抑制のある患者は従来より禁忌になっているが、これまでは白血球数が3000/mm3未満の場合のみの注意喚起であった。今回の死亡症例の分析により、新たに血小板数が10万/mm3未満の場合も使用禁忌とし、「警告」欄に追記した。
 また、2回目以降の投与時の白血球数が3000/mm3以上かつ血小板数が10万/mm3以上の場合であっても、白血球数や血小板数が急激な減少傾向にある患者は、既に骨髄機能抑制の兆候があらわれていると考えられる。このような場合に本剤を投与すると急激に骨髄機能抑制を生じることがあるので、今回新たに、白血球数又は血小板数が急激な減少傾向にある患者は投与を中止又は延期するよう「警告」欄に追記した。減少傾向の目安としては、これまでの症例を分析した結果、白血球数又は血小板数が2回目投与前1週間の最高値に比べ30%以上減少している場合に、投与後に重篤な骨髄機能抑制が起こっていることから30%位を目安に患者の状態を慎重に観察し投与の適否を判断する必要がある。
 

  1. 投与後も引き続き末梢血所見を観察すること

 一般的に薬剤による骨髄機能抑制は投与後10日前後で生じるとされている。本剤投与後は必ず頻回に末梢血所見を観察するべきであり、1週間毎の投与を行う場合は特に注意深く観察を行う必要がある。また、骨髄機能抑制の傾向が認められた場合は、その程度に応じて本剤の投与の中止に加え、次のような対策を講じる必要がある。
 

  1. 骨髄機能抑制が起こったときの処置

 白血球減少:好中球数が1000/mm3以下になったときは易感染性となり、感染予防対策を始める。更に500/mm3以下になったときはその危険が増大するためG‐CSFの投与も考慮する。(ただし、癌種によってはG‐CSFの投与は適応とされていないことをあらかじめ知っておき、適切に対処すべきである。)
 血小板減少:血小板数が2万/mm3以下になったときは致死的な出血の危険が大きく、血小板輸血を行い出血の予防に努める。
 貧血:貧血の進行は循環系を含む全身状態に大きな影響をもたらすために十分な診察を行い適切に対処する。
 

(3)今後の安全対策
 本剤は冒頭でも述べたとおり、発売時から使用上の注意に「警告」欄を設け、十分な注意喚起を行っていたが、今回、新たに白血球数、血小板数の急激な減少がある場合、投与を中止するなどの注意の徹底を図った。更に、厚生省は適正使用をより徹底するため、患者登録時に医師が企業に提出しているチェックリストを、今後、2回目の投与以降もチェックでき、投与の適否を判断するのに役立つような様式に改訂するとともに,チェックリストを活用していない医療機関には今後納入をしないなど関係企業を指導したので、使用上の注意を熟読の上、適正な使用を徹底されるようお願いする。また、骨髄機能抑制が起こった場合や、骨髄機能抑制の兆候があらわれた場合には、投与を中止して適切な処置を行うべきである。
 

《使用上の注意(下線部追加改訂部分)》
 

〈塩酸イリノテカン〉
警告

本剤の投与にあたっては、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分に説明し、同意を得てから、投与を開始すること。
骨髄機能抑制による致命的な副作用の発現を回避するために、特に以下の事項に十分注意すること。

1)投与予定日(24時間以内)に血液検査を必ず実施し、結果を確認してから、本剤投与の適否を慎重に判断すること。

2)投与予定日の白血球数が3000/mm3未満又は血小板数が10万/mm3未満の場合には、本剤の投与を中止又は延期すること。

3)投与予定日の白血球数が3000/mm3以上かつ血小板数が10万/mm3以上であっても、白血球数又は血小板数が急激な減少傾向にあるなど、骨髄機能抑制が疑われる場合には、本剤の投与を中止又は延期すること。

 

一般的注意

4)骨髄機能抑制、高度な下痢等の重篤な副作用が起こることがあり、ときに致命的な経過をたどることがあるので、頻回に臨床検査(血液検査、肝機能検査、腎機能検査等)を行うなど、患者の状態を十分に観察すること。異常が認められた場合には減量、休薬等の適切な処置を行うこと。投与後2週間は特に頻回に末梢血液検査を実施するなど、極めて注意深く観察すること。また、使用が長期にわたると副作用が強くあらわれ、遷延性に推移することがあるので投与は慎重に行うこと。

 

 (1)骨髄機能抑制

 本剤の投与にあたっては、白血球の変動に十分留意し、投与予定日の白血球数が3000/mm3未満又は血小板数が10万/mm3未満の場合には、本剤の投与を中止又は延期すること。投与予定日の白血球数が3000/mm3以上かつ血小板数が10万/mm3以上であっても、白血球数又は血小板数が急激な減少傾向にあるなど、骨髄機能抑制が疑われる場合には、投与を中止又は延期すること。また、白血球数が異常な高値を示す患者及びCRPが異常値を示すなど感染症が疑われる患者では、投与後に白血球の急激な減少が起こることがある。このような場合には、投与予定日の白血球数が3000/mm3以上かつ血小板数が10万/mm3以上であっても、骨髄機能の回復を十分に確認してから投与を行うこと。

                        (慶応大学医学部教授 池田康夫)

 

表1 症例〔本剤の1週間間隔での投与において、各クール2回目投与時に骨髄機能抑制が疑われる場合での本剤投与と白血球減少、血小板減少の出現(死亡例)〕

症例No. 白血球・血小板数(/mm3)の推移1) 2回目(d8)投与日での減少率2)
(▼は30%以上減少)
副作用出現時期3)
白血球減少(1000/mm3未満) 血小板減少(3万/mm3未満)
1 (1クール目) d1 d2 d8 d14 d16
白血球(/mm3)  5100 6900 4000 500 400
血小板(万/mm3) 20.9 22.6 16.5 5.0 2.4
42% ▼
27%
6日 8日
2 (1クール目)  d1 d8 d12 d14
白血球(/mm3) 7200 8500 400 200
血小板(万/mm3)25.6 14.3 7.6 1.9
(増加)
44% ▼
4日 6日
3 (1クール目) d1 d5   d8  d14
白血球(/mm3) 8350 10500 3610 560
血小板(万/mm3) 23.0 16.0 11.0 5.4
66% ▼
52% ▼
6日
4 (1クール目) d1 d2 d8 d13 d16 d18
白血球(/mm3) 6690 8760 4060 500 200 430
血小板(万/mm3) 33.2 36.7 25.5 16.8 0.8 0.5
54% ▼
31% ▼
5日 8日
5 (2クール目) d1 d8 d13
白血球(/mm3) 5570 3510 320
血小板(万/mm3) 29.4 24.1 9.4
37% ▼
18%
5日
6 (2クール目) d1 d8 d10
白血球(/mm3) 7400 5400 200
血小板(万/mm3) 26.0 13.0 2.6
27%
50% ▼
2日 2日
7 (6クール目) d1 d8 d13 d14
白血球(/mm3) 7600 4300 400 800
血小板(万/mm3) 40.1 19.7 10.4 2.7
43% ▼
51% ▼
5日 6日

(1)各クールでの本剤1回目投与日をd1として表記(下線は投与日)

[d1:本剤1回目投与日、d2:投与後2日目、d8:投与後8日目(2回目投与日)、等]

 

(2)2回目投与前1週間以内の最高値と比較した2回目投与日(d8)での減少率

 

       (2回目投与前1週間以内の最高値)-(2回目投与日の検査値) 
減少率= ────────────────────────────────────── ×100(%)
              (2回目投与前1週間以内の最高値)

 

(3)2回目投与日(d8)から白血球減少(1000/mm3未満)、血小板減少(3万/mm3未満) 出現までの日数

(4)症例No.1、3は単剤使用例、その他は他剤併用例
 

表2 症例の概要
 
No. 患者 投与期間 副作用 備考
性、
年齢
使用理由〔合併症〕 経過及び処置
1
70才代
肺癌
〔C型慢性肝炎〕
塩酸イリノテカン 70mg/m2/週2回
シスプラチン 60mg/m2/週2回
初発の肺癌に対し、塩酸イリノテカン70mg/m2とシスプラチン60mg/m2の投与を行った(白血球4100)。その7日後に同様に塩酸イリノテカンとシスプラチンの2回目の投与を行った(白血球2800)。2回目投与の当日から下痢がみられ、その後grade4と悪化した。2回目投与の5日後には白血球500、血小板3.2万と急激に減少し、発熱も認めたため、G‐CSF、抗生物質の投与を開始した。6日後には血小板1.3万となり出血傾向を認めたため血小板輸血を開始した。11日後からはイレウスとなり、12日後には肺炎による呼吸困難が出現し人工呼吸器管理となった。14日後には消化管出血によるショックを来し、同時に肺炎悪化により、呼吸不全、循環不全となり死亡した。 企業報告
臨床検査値
  投与
開始日
2回目
投与日
2回目投与後
2日後 5日後 6日後 7日後 9日後 11日後 12日後 13日後 14日後
下痢 (grade*) 0 0 2 4 4 4 3 2 2 2
腸管麻痺(grade*) 0 0 0 0 0 0 3 4 4 4
ヘモグロビン(g/dL) 12.8 12.7 11.5 10.1 10.5 10.9 9.6 7.6 6.5 5.5
白血球(/mm3 4100 2800 2700 500 300 200 200 300 1200 3200
血小板(×104/mm3) 17.5 11.1 6.9 3.2 1.3 1.3 0.7 0.3 0.2 0.1 0.1
*:日本癌治療学会の「副作用の記載様式」による

併 用 薬:塩酸ロペラミド、フィルグラスチム、抗生物質、人免疫グロブリン、ファモチジン
2
60才代
卵巣癌
〔乳癌(手術後再発無し)、慢性膵炎〕
塩酸イリノテカン 80mg/週2回
シスプラチン 80mg/週1回
卵巣癌に対し、塩酸イリノテカン80mgとシスプラチン80mgの投与を行った〔白血球3900(4日前)〕。6日後に白血球減少、好中球減少、血小板減少が発現したが、7日後に2回目の塩酸イリノテカン80mgの投与を行った〔白血球2900(前日)〕。2回目投与翌日に下痢が発現した。3日後に白血球700となり、G‐CSFと抗生物質の投与を開始した。また全く摂食できなくなり、IVH管理となった。4日後に発熱、CRP高値が認められ、白血球減少による重症感染症と判断され、抗生物質の投与を開始した。5日後に血小板が1.6万に低下し、血小板輸血を開始した。6日後に水様便あるも、同時にイレウス様症状があったため、止痢剤投与せず。同日夜~翌朝に水様便が続いた。7日後に白血球100に低下した。下痢が更に悪化したため、モルヒネと止痢剤を投与。消化器症状は軽減されたが、8日後に突然心停止となり、蘇生術行うも、循環不全により死亡した。 企業報告
臨床検査値
  投与前 2回目
投与前日
2回目投与後
1日後 2日後 3日後 4日後 5日後 6日後 7日後
Performance status(PS) 1 3 4 4 4 4 4 4 4
下痢(grade*) 0 0 3 0 2 1 2 4 4
感染症(grade*) 0 0 0 0 0 3 4 4 4
ヘモグロビン(g/dL) 10.5 10.9 11.6 10.3 9.0 7.7 8.6 7.8
白血球(/mm3 3900 2900 2000 700 500 400 300 100
血小板(×104/mm3 16.4 12.0 7.5 4.6 2.7 1.6 4.2 2.5
*:日本癌治療学会の「副作用の記載様式」による

併 用 薬:塩酸ロペラミド、フィルグラスチム、抗生物質、塩酸モルヒネ、塩酸グラニセトロン
   

使用上の注意の改訂について(その104)

医薬品副作用情報No.143掲載分以降に改訂を指導した使用上の注意について、改訂内
容、主な該当商品名、参考文献等をお知らせいたします。

 
1 〈電解質・糖質輸液、中心静脈用輸液〉
高カロリー輸液用基本液・アミノ酸液、高カロリー輸液用基本液
[販売名] アミノトリパ(大塚製薬工場)、ピーエヌツイン(ルセル森下)、ユニカリック(テルモ)、アリメール(ルセル森下)、エネベース(光)、カロナリー(扶桑)、カロネット(日研)、グルコパレン(大塚製薬工場)、トリパレン(大塚製薬工場)、ハイカリック液(テルモ)、ハイカリックNC(テルモ)、リハビックス(清水)、ワスタN(日本製薬)
[警 告]
警告

ビタミンB1を併用せずに高カロリー輸液を施行すると重篤なアシドーシスが発現することがあるので、必ずビタミンB1を併用すること。
ビタミンB1欠乏症と思われる重篤なアシドーシスが発現した場合には、直ちに100~400mgのビタミンB1製剤を急速静脈内投与すること。
また、高カロリー輸液療法を施行中の患者では、基礎疾患及び合併症に起因するアシドーシスが発現することがあるので、症状があらわれた場合には高カロリー輸液療法を中断し、アルカリ化剤の投与等の処置を行うこと。
[一般的注意] 高カロリー輸液療法施行中にビタミンB1欠乏による重篤なアシドーシスが起こることがあるので、必要量(1日3mg以上を目安)のビタミンB1を投与すること。
〈参 考〉 企業報告

 

2 〈抗腫瘍性植物成分製剤〉
塩酸イリノテカン
[販売名] カンプト注(ヤクルト)、トポテシン注(第一)
[警 告]
警告

本剤の投与にあたっては、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分に説明し、同意を得てから、投与を開始すること。
骨髄機能抑制による致命的な副作用の発現を回避するために、特に以下の事項に十分注意すること。

 

1)投与予定日(24時間以内)に血液検査を必ず実施し、結果を確認してから、本剤投与の適否を慎重に判断すること。
 

2)投与予定日の白血球数が3000/mm3未満又は血小板数が10万/mm3未満の場合には、本剤の投与を中止又は延期すること。
 

3)投与予定日の白血球数が3000/mm3以上かつ血小板数が10万/mm3以上であっても、白血球数又は血小板数が急激な減少傾向にあるなど、骨髄機能抑制が疑われる場合には、本剤の投与を中止又は延期すること。

[一般的注意] 4)骨髄機能抑制、高度な下痢等の重篤な副作用が起こることがあり、ときに致命的な経過をたどることがあるので、頻回に臨床検査(血液検査、肝機能検査、腎機能検査等)を行うなど、患者の状態を十分に観察すること。異常が認められた場合には減量、休薬等の適切な処置を行うこと。投与後2週間は特に頻回に末梢血液検査を実施するなど、極めて注意深く観察すること。また、使用が長期にわたると副作用が強くあらわれ、遷延性に推移することがあるので投与は慎重に行うこと。

(1)骨髄機能抑制

本剤の投与にあたっては、白血球の変動に十分留意し、投与予定日の白血球数が3000/mm3未満又は血小板数が10万/mm3未満の場合には、本剤の投与を中止又は延期すること。投与予定日の白血球数が3000/mm3以上かつ血小板数が10万/mm3以上であっても、白血球数又は血小板数が急激な減少傾向にあるなど、骨髄機能抑制が疑われる場合には、投与を中止又は延期すること。また、白血球数が異常な高値を示す患者及びCRPが異常値を示すなど感染症が疑われる患者では、投与後に白血球の急激な減少が起こることがある。このような場合には、投与予定日の白血球数が3000/mm3以上かつ血小板数が10万/mm3以上であっても、骨髄機能の回復を十分に確認してから投与を行うこと。
〈参 考〉企業報告

 

3 〈抗てんかん剤〉
ゾニサミド
[販売名] エクセグラン(大日本)
[妊婦・授乳婦への投与] 妊娠中に他の抗てんかん剤と併用して投与された患者が奇形児を出産したとの報告があり、また、動物実験で流産、催奇形作用が報告されているので、妊婦または妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
〈参 考〉 企業報告

 

4 〈非ステロイド性消炎鎮痛剤〉
ケトプロフェン(経口剤、注射剤、坐剤)
[販売名] メナミン(中外)他
[禁 忌]
妊娠後期の婦人(「妊婦・授乳婦への投与」の項参照)
[妊婦・授乳婦への投与] 外国で妊娠後期に投与したところ、胎児循環持続症(PFC)、胎児腎不全が起きたとの報告があるので、妊娠後期には投与しないこと。
〈参 考〉 Llanas, B., et al.:Arch. Pediatr., 3:248(1996)
Gouyon, J.B., et al.:Arch. Fr. Pediatr., 48:347(1991)

 

5 〈精神神経用剤〉
塩酸アミトリプチリン、アモキサピン、塩酸イミプラミン、塩酸クロミプラミン、塩酸クロルプロマジン(配合剤を含む)、タンニン酸クロルプロマジン、ヒベンズ酸クロルプロマジン、フェノールフタレイン酸クロルプロマジン、マレイン酸セチプチリン、塩酸チオリダジン、塩酸デシプラミン、塩酸ドスレピン、マレイン酸トリフロペラジン、マレイン酸トリミプラミン、塩酸ノルトリプチリン、ハロペリドール、デカン酸ハロペリドール、ブロムペリドール、チミペロン、スピペロン、塩酸ピパンペロン、塩酸モペロン、エナント酸フルフェナジン、デカン酸フルフェナジン、マレイン酸フルフェナジン、マレイン酸プロクロルペラジン、メシル酸プロクロルペラジン、プロペリシアジン、フェンジゾ酸ペラジン、マレイン酸ペラジン、ペルフェナジン、塩酸ペルフェナジン、フェンジゾ酸ペルフェナジン、マレイン酸ペルフェナジン、塩酸マプロチリン、塩酸ミアンセリン、塩酸レボメプロマジン、マレイン酸レボメプロマジン、塩酸ロフェプラミン、塩酸カルピプラミン、マレイン酸カルピプラミン、塩酸モサプラミン、塩酸クロカプラミン、ピモジド、ゾテピン
[販売名] トリプタノール(萬有)他、アモキサン(日本レダリー)、トフラニール(日本チバガイギー)他、アナフラニール(日本チバガイギー)、コントミン(吉富)他、コントミン(吉富)、コントミン(吉富)、ウインタミン(塩野義)、テシプール(持田)、メレリル(ノバルティス)、パートフラン(日本チバガイギー)、プロチアデン(科研)、トリフロペラジン(吉富)、スルモンチール(塩野義)、ノリトレン(大日本)、セレネース(大日本)他、ハロマンス(大日本)他、インプロメン(吉富)他、トロペロン(第一)、スピロピタン(三生)、プロピタン(エーザイ)、ルバトレン(山之内)、アナテンゾール(ブリストル・マイヤーズスクイブ)、フルデカシン(吉富)、フルメジン(吉富)、ノバミン(塩野義)他、ノバミン(塩野義)、ニューレプチル(塩野義)他、プシトミン(吉富)、プシトミン(吉富)、トリオミン(山之内)他、ピーゼットシー(吉富)、ピーゼットシー(吉富)、ピーゼットシー(吉富)、ルジオミール(日本チバガイギー)他、テトラミド(三共)、レボトミン(吉富)他、レボトミン(吉富)他、アンプリット(第一)、デフェクトン(吉富)、デフェクトン(吉富)、クレミン(吉富)、クロフェクトン(吉富)他、オーラップ(藤沢)、ロドピン(藤沢)他
[一般的注意] 本剤とテルフェナジン又はアステミゾールを併用すると、QT延長、心室性不整脈を起こすおそれがあるので本剤投与中はテルフェナジン及びアステミゾールを併用しないこと。
〈参 考〉 企業報告

 

6 〈精神神経用剤〉
塩酸トラゾドン
[販売名] デジレル(ファルマシア・アップジョン)他
[副作用
(重大な副作用)]
麻痺性イレウス:まれに腸管麻痺(食欲不振、悪心・嘔吐、著しい便秘、腹部の膨満あるいは弛緩及び腸内容物のうっ滞等の症状)を来し、麻痺性イレウスに移行することがあるので、腸管麻痺があらわれた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。
〈参 考〉 企業報告

 

7 〈精神神経用剤〉
リスペリドン
[販売名] リスパダール(ヤンセン協和)
[副作用
(その他の副作用)]
循環器:高血圧が、ときに末梢循環不全、頻脈、血圧低下、動悸、不整脈があらわれることがあるので、観察を十分に行い、増量は徐々に行うなど慎重に投与すること。また、ときに心電図変化があらわれることがあるので、観察を十分に行い、心電図に異常があらわれた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
〈参 考〉 企業報告

 

8 〈総合感冒剤〉
サリチルアミド・アセトアミノフェン・無水カフェイン・マレイン酸クロルフェニラミン
[販売名] ペレックス(大鵬)他
[副作用
(重大な副作用)]
薬剤性間質性肺炎:まれに発熱、咳嗽、呼吸困難、胸部X線異常、好酸球増多を伴う薬剤性間質性肺炎があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合には投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
〈参 考〉 企業報告

 

9 〈抗不整脈薬〉
ジソピラミド、リン酸ジソピラミド
[販売名] リスモダン(ルセル森下)他
[一般的注意] 本剤とテルフェナジンとの併用によりQT延長、心室性不整脈を起こしたとの報告があるので本剤投与中はテルフェナジンを併用しないこと。また、本剤とアステミゾールを併用するとQT延長、心室性不整脈を起こすおそれがあるので本剤投与中はアステミゾールを併用しないこと。
[禁忌]
テルフェナジン又はアステミゾール投与中の患者[QT延長、心室性不整脈を起こすことがある。]
〈参 考〉 企業報告

 

10 〈抗不整脈薬〉
アジマリン(配合剤を含む)、塩酸アプリンジン、塩酸アミオダロン、硫酸キニジン、コハク酸シベンゾリン、塩酸ピルジカイニド、塩酸ピルメノール、酢酸フレカイニド、塩酸プロカインアミド、塩酸プロパフェノン、塩酸ベプリジル、塩酸ベラパミル、塩酸メキシレチン、リドカイン(抗不整脈用)
[販売名] リトモス(旭化成)他、アスペノン(三井)、アンカロン(大正)、硫酸キニジン(日研)他、シベノール(藤沢)、サンリズム(サントリー)、ピメノール(ワーナー・ランバート)、タンボコール(エーザイ)、アミサリン(第一)他、プロノン(山之内)、ベプリコール(日本オルガノン)、ワソラン(エーザイ)他、メキシチール(日本ベーリンガーインゲルハイム)、キシロカイン(藤沢)他
[一般的注意] 他の抗不整脈薬(リン酸ジソピラミド)でテルフェナジンとの併用により、QT延長、心室性不整脈を起こしたとの報告がある。
〈参 考〉 企業報告

 

11 〈利尿薬〉
フロセミド、フロセミド・レセルピン
[販売名] ラシックス(ヘキスト)他、ラシックス(ヘキスト)
[一般的注意] 本剤とテルフェナジンとの併用によりQT延長、心室性不整脈を起こしたとの報告があるので本剤投与中はテルフェナジンを併用しないこと。また、本剤とアステミゾールを併用すると、QT延長、心室性不整脈を起こすおそれがあるので本剤投与中はアステミゾールを併用しないこと。
[禁忌]
テルフェナジン又はアステミゾール投与中の患者[QT延長、心室性不整脈を起こすことがある。]
〈参考〉 企業報告

 

12 〈利尿薬〉
アゾセミド、エタクリン酸、ピレタニド、ブメタニド
[販売名] ダイアート(三和化学)、エデクリル(萬有)、アレリックス(ヘキスト)、ルネトロン(三共)
[一般的注意] 類薬でテルフェナジンとの併用によりQT延長、心室性不整脈を起こしたとの報告があるので本剤投与中はテルフェナジンを併用しないこと。また、本剤とアステミゾールを併用すると、QT延長、心室性不整脈を起こすおそれがあるので本剤投与中はアステミゾールを併用しないこと。
〈参考〉 企業報告

 

13 〈利尿薬〉
アセタゾラミド、アセタゾラミドナトリウム、イソソルビド、エチアジド、カンレノ酸カリウム、クロフェナミド、クロルタリドン、シクロペンチアジド、スピロノラクトン、トリアムテレン、トリクロルメチアジド、ヒドロフルメチアジド、ヒドロクロロチアジド(配合剤を含む)、ベンチルヒドロクロロチアジド(配合剤を含む)、ペンフルチジド、メチクロチアジド、メトラゾン、メフルシド
[販売名] ダイアモックス(日本レダリー)他、ダイアモックス(日本レダリー)、イソバイド(日研)、エチアザイド(東京田辺)、ソルダクトン(日本モンサント)、ヂウレーゼ(日医工)他、ハイグロトン(日本チバガイギー)、ナビドレックス(日本チバガイギー)、アルダクトンA(日本モンサント)他、トリテレン(京都)他、フルイトラン(塩野義)他、ロンチル(三共)、エシドレックス(日本チバガイギー)他、ベハイド(杏林)、ブリザイド(旭化成)他、エンデュロン(大日本)、ノルメラン(ノバルティス)、バイカロン(吉富)他
[一般的注意] 他の利尿薬(ループ利尿薬)でテルフェナジンとの併用によりQT延長、心室性不整脈を起こしたとの報告があるので本剤投与中はテルフェナジンを併用しないこと。また、本剤とアステミゾールを併用すると、QT延長、心室性不整脈を起こすおそれがあるので本剤投与中はアステミゾールを併用しないこと。
〈参 考〉 企業報告

 

14 〈冠血管拡張剤〉
塩酸ジルチアゼム(経口剤)
[販売名] ヘルベッサー(田辺)他
[一般的注意] 降圧作用に基づくめまい等があらわれることがあるので、高所作業、自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には注意させること。
他の抗不整脈薬(リン酸ジソピラミド)でテルフェナジンとの併用によりQT延長、心室性不整脈を起こしたとの報告がある。
[相互作用
(併用に注意すること)]
タクロリムス[タクロリムスの血中濃度を上昇させることがある。]
トリアゾラム[トリアゾラムの血中濃度を上昇させることがある。]
ジヒドロピリジン系Ca拮抗剤(
ニフェジピン等)これらの薬剤の血中濃度を上昇させることがある。]
麻酔剤[心刺激生成抑制作用、心伝導抑制作用が増強することがある。]
〈参 考〉 企業報告

 

15 〈冠血管拡張剤〉
塩酸ジルチアゼム(注射剤)
[販売名] ヘルベッサー(田辺)
[一般的注意] 他の抗不整脈薬(リン酸ジソピラミド)でテルフェナジンとの併用によりQT延長、心室性不整脈を起こしたとの報告がある。
[相互作用
(併用に注意すること)]
タクロリムス[タクロリムスの血中濃度を上昇させることがある。]
トリアゾラム[トリアゾラムの血中濃度を上昇させることがある。]
ジヒドロピリジン系Ca拮抗剤(
ニフェジピン等)これらの薬剤の血中濃度を上昇させることがある。]
麻酔剤[心刺激生成抑制作用、心伝導抑制作用が増強することがある。]
〈参 考〉 企業報告

 

16 〈高脂血症用剤〉
プロブコール
[販売名] シンレスタール(第一)他
[一般的注意] 本剤の投与により心電図上QT延長、心室性不整脈の報告があるので、本剤投与中は定期的に心電図を測定することが望ましい。また、本剤とテルフェナジン又はアステミゾールを併用するとQT延長、心室性不整脈を起こすおそれがあるので本剤投与中はテルフェナジンあるいはアステミゾールとの併用は行わないこと。
〈参 考〉 企業報告

 

17 〈代謝拮抗性抗悪性腫瘍剤〉
シタラビン
[販売名] キロサイド(日本新薬)他
[妊婦・授乳婦への投与] 妊婦
催奇形性を疑う症例報告があり、また、
動物実験(マウス、ラット)で催奇形作用が報告されているので、妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しないことが望ましい。
〈参 考〉 企業報告
Virginia, M.W., et al.:Lancet, 2:98(1980)
Andrew, I.S.:Arch. Intern. Med., 141:514(1981)

 

18 〈アレルギー性疾患治療剤〉
アステミゾール
[販売名] ヒスマナール(持田)
[警告]
警告

QT延長を起こしやすい患者(低カリウム血症、低マグネシウム血症、β遮断薬を除く抗不整脈薬、利尿薬、向精神薬(フェノチアジン系、三環系・四環系抗うつ薬)、プロブコールを投与中の患者)
[一般的注意] QT延長を起こしやすい患者(低カリウム血症、低マグネシウム血症、β遮断薬を除く抗不整脈薬、利尿薬、向精神薬(フェノチアジン系、三環系・四環系抗うつ薬)、プロブコールを投与中の患者)には投与しないこと。
[禁忌]
QT延長を起こしやすい患者(低カリウム血症、低マグネシウム血症、β遮断薬を除く抗不整脈薬、利尿薬、向精神薬(フェノチアジン系、三環系・四環系抗うつ薬)、プロブコールを投与中の患者)
〈参 考〉 企業報告

 

19 〈マクロライド系抗生物質〉
クラリスロマイシン
[販売名] クラリス(大正)他
[禁忌(次の患者には
投与しないこと)]
テルフェナジンを投与中の患者[「相互作用」の項参照]
[相互作用
(併用しないこと)]
テルフェナジン[本剤の併用により、テルフェナジンの代謝が阻害され血中濃度が上昇するとの報告がある。併用例で、テルフェナジンのQT延長及び心室性不整脈(torsades de pointesを含む)が発現したとの報告がある。]

 

20 〈X線造影剤〉
イオメプロール
[販売名] イオメロン(エーザイ)
[原則禁忌] 褐色細胞腫のある患者及びその疑いのある患者[血圧上昇、頻脈、不整脈等の発作が起こるおそれがあるので造影検査は避けること。やむを得ず検査を実施する場合には静脈確保の上、メシル酸フェントラミン等のα遮断薬及び塩酸プロプラノロール等のβ遮断薬の十分な量を用意するなど、これらの発作に対処できるよう十分な準備を行い、慎重に投与すること。]
[副作用
(重大な副作用)]
痙攣発作:まれに痙攣発作があらわれることがあるので、このような場合には必要に応じ適切な処置を行うこと。
心室細動:まれに心室細動があらわれることがあるので、このような場合には適切な処置を行うこと。
麻痺:脳血管撮影においてまれに麻痺が報告されているので、観察を十分に行い必要に応じ適切な処置を行うこと。
[副作用
(その他の副作用)]
精神神経系:ときに頭痛、ふらつき感、また、まれに羞明感、めまい感、一過性盲等の視力障害、振戦があらわれることがある。
循環器:ときに血圧低下、ST低下、また、まれに顔面蒼白、頻脈、徐脈、期外収縮、血圧上昇、動悸等があらわれることがある。
呼吸器:ときにくしゃみ、また、まれに喘鳴、鼻炎、呼吸困難、咳嗽、咽喉頭異常感等があらわれることがある。
その他:熱感、血管痛、味覚・嗅覚異常、また、ときに悪寒、発熱、胸痛、背部痛、また、まれに冷汗、倦怠感、しびれ、結膜炎、浮腫、顔面潮紅があらわれることがある。
〈参 考〉 企業報告
 
お知らせ
 NTTのファクシミリ通信網サービス「Fネット」を通じ、最近1年間の「医薬品副作用情報」「医薬品等安全性情報」がお手元のファクシミリから随時入手できます(利用者負担)。
 「Fネット」への加入等についての問い合わせ先:tel 03-3274-0161
 また、この情報はパソコン通信「MEDINET‐P」を通じ日本薬剤師会より提供されています。なお他の医療情報用パソコン通信でも入手可能です。
日本薬剤師会中央薬事情報センター:tel 03‐3406‐9140
 なお、厚生省ホームページ(http://www.mhw.go.jp)からも入手可能です。