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独立行政法人 医薬品医療機器総合機構
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安全対策業務

取り違えることによるリスクの高い医薬品に関する安全対策について

はじめに

 2003年11月27日付厚生労働省医政局長、医薬食品局長連名通知「医療機関における医療事故防止対策の強化について」の別添「処方点検や調剤時、病棟への供給時に注意を要する医薬品について[10.75KB]」(日本病院薬剤師会)にも示されているとおり、取り違えにより重大な事故につながるおそれのある医薬品はある程度絞られている。これら注意を要する医薬品については、採用状況の確認、間違え防止策の確認をお願いしてきたが、今般、以下の組み合わせについて、医療安全対策検討会議医薬品医療用具等対策部会の「医薬品類似性検討ワーキンググループ」での議論も踏まえ、事故防止の観点から表示の改善が図られたので紹介するとともに、医療機関における安全対策の徹底について重ねてお願いする。

1)タキソール - タキソテール
2)アマリール - アルマール
3)ウテメリン - メテナリン
4)キシロカイン10%製剤 - キシロカイン2%製剤
5)カリウム製剤

注意を要する医薬品の組み合わせと安全対策

1)タキソールとタキソテールについて

 タキソールとタキソテールは、薬剤名が類似していることからこれまでも処方間違え等による事故が報告されており、死亡に至った事例もある。いずれも乳癌等に適応を持つ抗腫瘍性植物成分製剤であるが、1回の用量が約3倍違うことからタキソールを投与するべきところをタキソテールに取り違えた場合、致命的な結果を招くおそれがある。今般、関係企業2社においてタキソール、タキソテールともに、一般名をより強調して表示することで取り違えの防止を促す表示の改善が図られた(図1、図2参照)。
 抗がん剤の場合、誤使用による健康被害が重大であり、徹底した事故防止対策を講じる必要があることから、医療機関において両剤を採用している場合には、レジメンによる計画的な処方を実施したり、処方に一般名を併記するなど処方に当たっての条件を明確にするとともに薬歴管理の徹底、調剤・投薬時のダブルチェックなど二重、三重の対策を徹底されたい。

図1 タキソール注

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図2 タキソテール注

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2)アマリールとアルマールについて

 アマリール(糖尿病用剤)とアルマール(不整脈用剤)は、薬剤名が類似しており、取り違えにより、糖尿病でない患者にアマリールが投与された場合、致命的な結果となるおそれがある。これまでに数件の取り違え事故が報告されており、死亡に至った事例もある。今般、関係企業は、アマリールのPTP包装に「糖尿病用薬」という薬効をより明確に表示することとし、取り違え防止を図るとともに患者にも自分に交付された医薬品がどのような薬なのかを認識できるようにして、患者自身が間違った医薬品を服用しないようにする表示の改善が図られた。
  医療機関においては、名称の類似性による取り違えをしないために、調剤棚等に注意喚起シールを貼付するなどの工夫を行うことも有用であるが、糖尿病用薬が間違って糖尿病でない患者に投薬されることのないシステムを整備することが基本であり、糖尿病用薬の調剤に当たっては必ず薬歴を確認する体制を整えるとともに、患者への交付時には糖尿病の患者である旨を必ず確認するなど、関係者への安全確認の徹底をされたい。

3)ウテメリンとメテナリンについて

 ウテメリン(切迫流・早産治療β2-刺激剤)とメテナリン(子宮収縮刺激剤)は、薬剤名が類似しており、これまでにも数件の取り違え事故が報告されている。両剤は逆の薬理作用を有することから、ウテメリンを投与すべき切迫流早産患者に、誤って子宮収縮作用のあるメテナリンを投与した場合には流早産を引き起こすおそれがある。今般、関係企業2社により、これまで以上に薬効及び薬剤名を大きく表示することで、注意を促す表示の改善が図られた(図3、図4参照)。
 両剤の取り違えは、単に名称が類似しているためだけでなく、妊婦が時間の経過によって産婦になるなど、妊婦と産婦が複雑に混在する医療現場において、両剤の効果が逆であるもののいずれも子宮の収縮に関連する作用を有するものであることから、混乱を招きやすいことも指摘されている。医療機関においては、両剤を病棟で管理する場合にあっても近接して置かないなど、取り違えを起こしにくい環境を整えるとともに、関係者に薬効表示の確認を徹底されたい。

図3 ウテメリン

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図4 ウテメリン注

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4)キシロカイン10%製剤と2%製剤について

 点滴用キシロカイン10%製剤と静注用キシロカイン2%製剤の取り違え事故は、これまでにも報告されており、死亡に至った事例もある。今般、関係企業により、10%製剤に対し、本剤は使用前に希釈して使用する製剤であること及び静注製剤ではないことを明示する表示の改善が図られた(図5参照)。
 点滴用キシロカイン10%製剤については、日本病院薬剤師会、及び日本医療機能評価機構から病棟での在庫をしないようにとの警告も出されているが、その後も取り違え事例が報告されている。今般、心臓血管外科専門医認定機構より、本製剤について救急カートを含め、救急部を含む全外来、病棟から撤廃することなどその取扱いについて警告されていることも踏まえ、未だに病棟や救急カート等に配置している医療機関においては、再度、その管理について検討をしていただきたい。また、新規配属者を含め関係者に対し、両剤の取り違えのないよう、注意喚起を徹底されたい。

図5 点滴用キシロカイン10%

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5)カリウム製剤

 注射用のカリウム製剤は基本的に希釈して投与する製剤であるが、医療現場において原液のまま投与されることによる事故事例が報告されている。今般、日本医療機能評価機構及び心臓血管外科専門医認定機構より、本製剤について救急カートを含め、救急部を含む全外来、病棟から撤廃することなどその取扱いについて警告されていることも踏まえ、未だに病棟や救急カート等に配置している医療機関においては、より安全な製剤の採用等を含めた検討をするとともに、本剤の取扱いについては、新規配属者を含め関係者への注意喚起を徹底されたい。

まとめ

 以上のとおり、これらリスクの高い個別の組み合わせについて、当面の表示の改善が実施されるが、その効果について実際の使用現場の意見も聞き、今後一層の改善を検討していく必要がある。また、表示等の改善のみで誤使用を防ぐことはできないので、処方時の注意、調剤時の注意、投薬時の注意など、事故を防ぐために医療機関においても事故防止のための体制を整えていくことが重要である。特に最近の事例では、医療機関内において、必要な情報が関係者すべてに十分伝わっていないことも懸念される。これら重要な安全対策に関する情報については、薬剤部が中心となり、医療安全管理室等の協力を得て、医療機関のすべての関係者に対して広く情報が徹底されるようお願いいたしたい。

参考