PMDAでは、第一期中期計画に定める「トラッキング医療機器について、医療機器の稼働状況に係るデータを収集、評価するシステムを整備する」ため、平成19年度に「トラッキング医療機器のデータ収集評価システム構築に関する検討会」を設置しました。本検討会により、対象品目として植込型補助人工心臓が選定されました。第二期以降の中期計画においても、引き続き、補助人工心臓に関するデータ収集評価システムの構築及び運用について検討を進めてまいりました。
第三期中期計画に基づく検討の中で、関連学会・研究会や関連企業と協議を進めた結果、平成29年度から、「日本における補助人工心臓に関連した市販後のデータ収集(J-MACS:Japanese registry for Mechanically Assisted Circulatory Support)」の運用は、特定非営利活動法人 日本胸部外科学会が行うこととなりました。
このページには、平成28年度までの検討に関する事項を掲載しています。
日本における補助人工心臓に関連した市販後のデータ収集(J-MACS)事業について
PMDAでは関連学会・研究会(7団体)※1、業界団体※2、関連企業の関係者と共同で、全国の植込み実施施設の参加による多施設共同研究として調査研究「日本における補助人工心臓に関連した市販後のデータ収集(J-MACS:Japanese registry for Mechanically Assisted Circulatory Support)」の実施計画を策定しました。
また、新たに承認された植込型補助人工心臓の製造販売業者では、薬事法により義務づけられる製造販売後調査を本実施計画書に基づき行うこととしています。
実施計画の検討にあたっては、長期使用型の補助人工心臓の同様のレジストリ(患者登録)である米国のINTERMACS®(Interagency Registry for Mechanically Assisted Circulatory Support)を参考としています。
※1 日本臨床補助人工心臓研究会、日本人工臓器学会、日本胸部外科学会、日本心臓血管外科学会、日本循環器学会、日本心不全学会、日本心臓病学会 (順不同)
※2 日本医療機器テクノロジー協会、日本医療機器産業連合会

目的
日本における長期使用型の補助人工心臓の装着患者のレジストリを構築し、得られた情報を解析することにより、補助人工心臓の性能等を把握・理解し、また患者の生存期間やQOL等に影響を与える因子の探索を行い、今後の重症心不全患者の臨床評価や臨床管理などに役立てます。また、補助人工心臓のベネフィットとリスクを明らかにし、適切な安全対策実施を推進するとともに、次世代の補助人工心臓開発に役立てます。
調査方法
各施設の責任医師・担当医師、あるいはその監督下に研究協力者が、カルテおよび各種原資料に基づき調査・登録を行い、植込み前、植込み時、植込み後の定期調査、イベント発生時に登録患者のデータを収集し、オンライン入力システムを用いて入力します。生活の質(Quality of life:QOL)のデータはEuroQoL(EQ-5DTM)により、神経認知機能のデータはTrail Making Test TM(TMT)により収集します。

調査デザイン
多施設共同の前向き観察研究のレジストリであり、観察・検査は日常診療の範囲内で行います。
登録対象者
以下の全ての基準を満たす患者を登録します。年齢等による除外はありません。
- 厚生労働大臣が承認した植込型補助人工心臓の装着患者およびそれに準じた適応の体外設置型補助人工心臓の装着患者
- 参加施設において、調査開始日(原則として、施設の倫理審査委員会等の承認を得た開始日)以降に対象機器を装着した患者
- 患者本人または代諾者からレジストリ参加に対して、文書により同意が得られた患者
組織概要
J-MACSの組織は、関連学会・研究会や業界団体から推薦を受けた有識者等からなる運営委員会、主任・副主任研究者、医療機関の有識者、 関連企業の担当者等からなる業務委員会、データセンター、運営事務局から構成されています。
また、INTERMACS®を参考に、レジストリ全体の監視機構として観察研究モニタリング委員会(OSMB)を設置しています。 OSMBの委員は、レジストリと独立性及び中立性を有する、心不全・心臓手術、植込型医療機器、生物統計学、臨床試験、 医療倫理等の専門知識を有する者および非専門の有識者等で構成されています。
参加施設
「植込型補助人工心臓に関する実施基準」を満たす施設(「植込型補助人工心臓実施基準管理委員会」による認定施設※3)で、J-MACSについて倫理審査委員会等の承認を得た施設です。認定施設は、J-MACSに参加することとなっています。
※3 詳細は、日本臨床補助人工心臓研究会(JACVAS)ホームページをご参照ください。
登録患者数の推移
平成22年(2010年)6月に患者登録を開始しました。平成29年(2017年)3月までの登録患者数の推移は次のとおりです。
(画像をクリックすると拡大します。)
(注)公表データは平成29年3月31日における簡易集計結果(暫定値)であり、今後修正される可能性があります。
J-MACSに関するデータ・資料等
※引用等される際には、出典の記載をお願いいたします。
J-MACS Statistical Report
患者背景(性別・年齢区分等)、患者プロファイル、生存率、有害事象発生率等に関する集計・解析結果です。
J-MACS Progress Report
参加施設、植込み月別の登録数と累積数、患者背景(性別・年齢区分)、患者プロファイル等に関する集計結果です。
J-MACS Progress Report (2012年版) | :2013年3月8日現在 | |
J-MACS Progress Report (2010年6月- 2012年11月) | :2013年1月24日現在 | |
J-MACS Progress Report (2010年6月- 2012年5月) | :2012年8月15日現在 | |
J-MACS Progress Report (2010年6月- 2011年12月) | :2012年2月1日現在 |
学会等での報告
Initial Report of J-MACS:主任研究者によるポスター発表(英語版のみ) :第32回国際心肺移植学会(ISHLT 2012) |
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J-MACS:J-MACS紹介リーフレット(英語版のみ) :第51回日本人工臓器学会大会(JSAO 2013)&第5回国際人工臓器学術大会(IFAO 2013) |
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J-MACS Registry Update:主任研究者による発表(英語版のみ) :IMACS Registry Meeting at the 35th ISHLT Annual Meeting and Scientific Sessions |
J-MACSに関する事業報告
平成28年度までのPMDAにおけるJ-MACSに関する検討について纏めた報告書です。
日本における補助人工心臓に関連した市販後のデータ収集事業(Japanese registry for Mechanically Assisted Circulatory Support)事業報告書(平成29年9月)
(参考)中期計画 抜粋
第一期(平成16~20年度)
ペースメーカーなどの埋め込み型のリスクの高いトラッキング医療機器について、中期目標期間終了時までに経時的な不具合発生率など医療機器の稼働状況に係るデータを収集、評価するシステムを整備する。
第二期(平成21~25年度)
埋め込み型のリスクの高いトラッキング医療機器(埋め込み型補助人工心臓)について、経時的な不具合発生率など医療機器の稼働状況に係るデータを収集、評価するシステムを構築し、安全対策等に活用すべく適切な運用を図る。
第三期(平成26~30年度)
有用な医療機器・再生医療等製品を迅速かつ安全に国民に提供するため、前中期計画期間までの検討を踏まえ、関係学会、関係企業等との連携により、長期に安全性を確認する患者登録システム(レジストリ)の構築等の市販後情報収集体制の強化を図る。
連絡先
平成28年度までの内容に関しては以下にお願いいたします。
独立行政法人医薬品医療機器総合機構 医療機器品質管理・安全対策部 医療機器安全課
TEL: 03-3506-9030
FAX: 03-3506-9514
平成29年度以降のJ-MACSに関する連絡先は以下のとおりです。
特定非営利活動法人 日本胸部外科学会 J-MACS委員会
TEL: 03-3812-4253
FAX: 03-3816-4560
E-mail: jmacs-adm@umin.ac.jp