ワーキンググループとは
ワーキンググループ(WG)は、運営委員会(SC)とHBDの構成組織から推薦された専門家をメンバーとした具体的な分野毎の4つの作業グループで構成されています。現在はSCとSub WGに主軸を置いて活動しています。
SC(旧WG1): | 医療機器の国際共同臨床試験 |
Sub WG: | HBD for Children |
WG2: | 市販後レジストリ |
WG3: | 臨床試験のインフラストラクチャー |
WG4: | 規制整合化とコミュニケーション |
SC(旧WG1)
概要
WG1の目的は、厚生労働省、PMDA、FDA、学会及び産業界のコミュニケーションの向上とともに、日米の臨床試験の単一プロトコルの障壁に対する解決策を特定、検討、発展させ、新しい医療機器技術の効率的な世界への導入を促進する議論の場を提供することです。具体的には、日米単一プロトコルによる前向き臨床試験計画のデザインへの整合化を奨励し、その過程で実行すべき概念実証プログラムを特定しています。これらのプログラムでは、現在の厚生労働省、PMDAとFDAの規制を廃止することなく、両国の医療機器承認の効率を向上させることを目指します。
進行中のPOC
- アテローム性動脈硬化病変切除機器
- CD34抗体塗布型冠動脈ステント
- 経カテーテル的動静脈(透析用)シャント形成機器
- 経カテーテル的僧帽弁置換術用機器
- 経皮的動静脈吻合術用機器(重症下肢虚血患者が対象)
過去の資料
WG1の活動計画
HBD for Children(WG1 Sub Working Group)
概要
これまでのHBD活動では、米国と日本の医療機器規制には類似性があり、国際共同治験の実施により、承認取得に必要とされる有益な臨床データを迅速に取得可能であることが示されてきました。その一方で、小児領域における医療機器開発は日米ともに遅滞するケースが多く、FDAは2014年に2点、2018年に1点のガイダンスを発出しました。日本においても、PMDAが主催する科学委員会にて小児医療機器について議論が行われ、とりまとめが発出されています。
とりまとめでは、小児医療機器の開発が進まない理由として以下の理由が挙げられました。
- 小児疾患の症例数が少なく市場が小さい
- 成人用よりも多品種少量生産を余儀なくされる
- 臨床試験を行うための集患が難しい
- 承認取得等のための労力・コストがかかるという先入観がある
安全かつ有効な革新的治療法をより迅速に小児患者へ提供することは、世界的にも重要な課題であり、医療機器開発において世界をリードすべき日米両国の産官学が共同して取り組むべき課題です。
これまでHBD活動において培ってきた、学術集会における問題点の洗い出しと解決の方向性についての議論、利用できるスキームの抽出と実践の経験を小児領域にも生かすことで、小児領域における開発のハードルを下げ、またさらなる問題点を洗い出すことで、小児用医療機器の開発促進を目指しています。
進行中のPOC
小児用医療機器初の日米国際共同治験
HarmonyTM TPV system(経カテーテル的肺動脈弁置換術用機器)
WG2
概要
WG2の目的は、日米の多施設の患者データを使用して同時開発する際の日米の方針について、様々なレベルの討議及び協力を促進することです。
厚生労働省、PMDA及びFDAがHBDにおける協力の成果を統合することで、市販前の評価において世界的に活用可能な有効性安全性データの生成を促進し、また、適切な患者集団への安全な使用を保証する最善の医療を特定することを目指します。
これまでの成果
J-MACS(日本の補助人工心臓市販後レジストリ)
- Japanese registry for Mechanically Assisted Circulatory Support: First report. Nakatani T, Sase K, Oshiyama H, et al. The Journal of Heart and Lung Transplantation. Volume 36, Issue 10, October 2017, Pages 1087-1096
- US-Japan Harmonization by Data (HBD): Initial Experience with a Post-Marketing follow-up Study of Mechanical Circulatory Assist Devices (J-MACS), and Ongoing Collaborations with Academic Research Consortiums. Sase K. Pharmaceutical and Medical Device Regulatory Science, 43(4), 339-346 (2012) (in Japanese)
WG3
概要
WG3の目的は、日米において、医療機器製造業者、CRO、SMO、ARO、臨床試験実施施設、政府規制当局、そして一般国民を含めた臨床試験のインフラ整備を促進し、日米に安全で有効な新医療機器を遅滞なく導入することができるような、堅牢で効率的な国際治験の実施を支援することです。具体的には、概念実証プロジェクトを通じて、臨床試験実施において改善すべきポイントを特定します。
これまでの成果
治験コスト比較
- The First-ever Report on Multi-Company Survey of the Cost of Medical Device Clinical Trials in Japan : Results of a Collaborative Study. Kouzaki Y, Fukuzawa I, Akabori M, et al. Pharmaceutical and Medical Device Regulatory Science, 43(5), 452-463 (2012) (in Japanese)
WG4
概要
WG4の目的は、概念実証プロジェクト(POC)を通じて個別の規制障壁を特定し取り扱うことにより、新医療技術を遅滞なく世界的に導入を促進することです。具体的には、既存の規制を日米の運用面から整合化し、関係者のコミュニケーションを促進するよう管理手続きの運用を改善することを目指します。
これまでの成果
GCP比較研究
- Comparing GCP Requirements for Medical Device Clinical Trials in the US and Japan. Harmonization-by-Doing Working Group 4. RAPS Journal April 2010[497KB]
- GCP Convergence Improves Transportability of Medical Device Clinical Data. Neal E. Fearnot, PhD, is vice president, Cook Group Incorporated, and represents the members of Working Group 4 of the Harmonization-by-Doing program.[1.07MB]
STED比較研究