ここから本文です。

臨床試験に関するICMRA共同声明

ICMRA

薬事規制当局国際連携組織 (International Coalition of Medicines Regulatory Authorities (ICMRA))1 は、世界的なCOVID-19パンデミックへの対応のサポートを表明

2020年6月24日

ICMRAメンバーは、COVID-19パンデミックとの闘いにおける世界的な取り組みをサポートする重要な役割を担っている。メンバーは、SARS-CoV2に対する、診断薬及びワクチンを含め治療薬の開発及び評価の迅速化を促すため、国際的な協力を一層進めている。本共同声明は、全てのステークホルダー、患者、臨床試験担当医師、研究者、アカデミア、規制当局、並びに製薬業界に向けたものである。
 

  • COVID-19パンデミックに対しては、堅牢なエビデンスに基づく品質・有効性・安全性有する治療方法が求められる。信頼できるエビデンスを取得できる主要な方法は、適切に設計されたランダム化比較試験である。観察研究及びリアルワールドエビデンスは、特にリポジショニングされた医薬品(repurposed medicines)の使用又は仮説を立てる支援に用いた場合、このエビデンスを補完できる可能性があり、重要な安全情報も提供できる。
     
  • 一部の国ではパンデミックの拡大が見られるが、他の国では感染、重症者および死亡の第一波が過ぎ、収束してきている。パンデミックの収束があるところでは、並行して、医療従事者及び医療制度への負荷が減少しつつある。いずれの場合においても、ウイルスは消滅しておらず、集団免疫も獲得されていない。安全で有用なワクチン及び治療薬の開発と広範なアクセスは、ウイルス及び感染の拡大を抑制するための我々の取り組みにさらなる貢献する。一方、有効かつ安全なワクチンが開発されたとしても、人口のうち予防できる人の割合、並びに予防効果の持続期間は不明である。
     
  • 今回、我々は、医薬品、生物製剤及びワクチンについて、必要性の高いいくつかの情報をもたらす実施中の最初の臨床試験の結果を入手し始めており、最初に抗ウイルス薬(レムデシビル)で、ある程度の有効性と許容できる水準の安全性について示された。デキサメタゾンでは、入院患者の生存率の改善が示された。一方、ヒドロキシクロロキンの入手可能な試験報告では、COVID-19の治療としての有効性がないことが示された。この疾病の病因についての新たな情報が、治療薬の潜在的な作用機序を明らかにする手助けになりつつある。ワクチンの臨床試験が開始されている。さらなる情報が得られにつれ、患者の早期モニタリング及び臨床医への情報提供が必要になる。
     
  • COVID-19感染症例数が減少している地域では、被験者の組み入れが減速のため、堅牢な結果を得るための試験の統計学的検出力が不足する可能性があり、進行中の臨床試験にリスクが生じている。また、このパンデミックでは、通院が、試験に関わっている被験者や医療従事者双方へのリスクを発生させることや、通院や移動の制限のため、臨床試験における被験者の組入れ、管理及び追跡が困難になっている。
     
  • 規制当局は可能な限りこれらの問題に事前に手を打つよう取り組んでおり、規制の機敏な対応を行ってきた。これにより、被験者の権利と安全を保護しつつ信頼できる結果を取得する道のりにおいて、医薬品及びワクチンの品質水準の高さの維持と、臨床試験がGCP(Good Clinical Practice)を遵守することを確実にしている。規制当局は、規制判断の裏付けに必要な堅牢で信頼できる結果を提供する臨床試験に優先的に被験者を組み込み続けられるよう、試験責任医師及び医療従事者へのサポートにコミットする。
     
  • 臨床試験の被験者は、他の方法では取得出来ないエビデンスを提供するため、自らの時間を提供しリスクを負っているため、被験者が取得に貢献した情報で被験者及びその他の者がベネフィットを得るためにも、ベネフィットがリスクを上回っている限りは試験を完遂させる倫理的義務がある。臨床試験成績は、査読のある学術雑誌へ掲載することにより国際的に公開し、一般に公表するだけでなく、被験者にも直接提供しなければならない。
     
  • 優先される臨床試験は、満たされていない医療ニーズに応える検証的試験であり、以下の特徴を持つとICMRAは考える:
    -  試験本質の特徴
    • 方法論上堅牢なデザイン及び堅牢なエンドポイントの使用(例えば、生存、侵襲的換気療法の必要性)並びに
    • 信頼できる結果にもとづいて結論を得るに十分な検出力

    -  試験本質以外の指標
    • 症例登録及び目標被験者数が現実的であること
    • 開発段階がより進んでいる治療薬の試験を先に行う:つまり、成功する可能性がより高く、成功した場合にその治療薬が患者により早く届くため、ヒトのデータが既にあるもの又は 第II相にあるものを先に行う;又は
    • 薬理学的データ及び安全性データの量が既にあることから、薬理学的に頑健な理論的根拠のあるリポジショニング薬(repurposed drugs)の試験を行う
     

    -  優先される臨床試験では、急性肺呼吸器障害、サイトカインストーム、小児多臓器炎症症候群、及び免疫調整薬や抗血栓療法による血栓性合併症など、COVID-19の最も重篤な合併症に取り組む

    -  優先される臨床試験は、特に医療制度があまり充実していない低所得国及び中所得国のニーズを考え、投与経路がより簡易であり且つ治療期間がより短期の治療薬を試験する
     

  • ICMRAメンバーは以下を推奨する:
    -  臨床試験担当医師及び医療従事者は、試験を完了・分析・報告するとともに、被験者たちが取得に協力した結果を被験者に確実に情報提供し続けること

    -  臨床試験担当医師は、結果が出た臨床試験と出なかったものの双方のデータへの完全なアクセスを提供すること

    -  臨床試験担当医師は、堅牢なデータが取得できるための十分な組み入れを確実にするため、進行中の国際的COVID-19臨床研究でバスケット試験、アンブレラ試験、プラットフォーム試験などの臨床試験マスタープロトコルの活用を検討すること

    -  臨床試験担当医師は、医学研究にこれまでにない時間を投資しており、必要性の高い協働の強化に取り組むことで、試験が目的を果たすことを確実にすること

    -  臨床試験担当医師は、募集対象の患者数が不十分で完遂が困難と予想される場合、新規治療法の試験を開始しないこと。その場合、既に開始されている試験の終了を優先すべきである。これは探索的試験には適用されない場合がある。
     
  • 規制当局者は、COVID-19に対する有効かつ安全な医薬品、生物製剤及びワクチンの承認の裏付けとなる明瞭かつ透明性のあるベネフィット-リスク分析を実施ため、国際的に協働して提出された臨床試験結果の評価の迅速化及び共有を行う。


ICMRA Statement
 


1 ICMRAは、世界各地域の主要な規制当局からなる長官レベルの国際会合。WHOをオブザーバーに据え、世界の29の国/地域の薬事規制当局のリーダーたちを集め、人の保健に必要な安全・有効・高品質な製品へのアクセスを促進している。また、医薬品規制当局に対して国際的な戦略的視点を提供し、共通の規制の問題・課題に対して戦略的リーダーシップを執っている。危機的状況などへの協働的対応などを優先事項としている。

法人番号 3010005007409

〒100-0013 東京都千代田区霞が関3-3-2 新霞が関ビル

  • 問い合わせ先
  • 地図・交通案内

Copyright © 独立行政法人医薬品医療機器総合機構 All Rights Reserved

000047633
0
臨床試験に関するICMRA共同声明
/int-activities/int-harmony/icmra/0013.html
jpn