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医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令

厚生省令第二十八号

 薬事法(昭和三十五年法律第百四十五号)第十四条第三項(同条第六項,同法第十九条の二第四項及び第二十三条において準用する場合を含む。),第十四条の四第四項並びに第十四条の五第四項(これらの規定を同法第十九条の四及び第二十三条において準用する場合を含む。),第八十条の二第一項,第四項及び第五項並びに第八十二条の規定に基づき,医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令を次のように定める。
平成九年三月二十七日
厚生大臣 小泉純一郎

医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令

目 次

  第一章 総則(第一条―第三条)
  第二章 治験の依頼に関する基準(第四条―第十五条)
  第三章 治験の管理に関する基準(第十六条―第二十六条)
  第四章 治験を行う基準(第二十七条―第五十五条)
   第一節 治験審査委員会(第二十七条―第三十四条)
   第二節 実施医療機関(第三十五条―第四十一条)
   第三節 治験責任医師(第四十二条―第四十九条)
   第四節 被験者の同意(第五十条―第五十五条)
  第五章 再審査等の資料の基準(第五十六条)
  第六章 治験の依頼等の基準(第五十七条―第五十九条)
  附則

 

   
第一章 総則
  (趣旨)
  第一条 この省令は,薬事法(昭和三十五年法律第百四十五号。以下「法」という。)第十四条第三項(同条第六項,法第十九条の二第四項及び第二十三条において準用する場合を含む。以下同じ。)並びに法第十四条の四第四項及び第十四条の五第四項(これらの規定を法第十九条の四及び第二十三条において準用する場合を含む。以下同じ。)に規定する厚生大臣の定める基準のうち医281薬品の臨床試験の実施に係るもの並びに第八十条の二第一項,第四項及び第五項に規定する厚生省令で定める基準を定めるものとする。
  (定義)
  第二条 この省令において「市販後臨床試験」とは,医薬品の市販後調査の基準に関する省令(平成九年厚生省令第十号)第二条第四項に規定する市販後臨床試験をいう。
  この省令において「実施医療機関」とは,治験又は市販後臨床試験を行う医療機関をいう。
  この省令において「治験責任医師」とは,実施医療機関において治験に係る業務を統括する医師又は歯科医師をいう。
  この省令において「市販後臨床試験責任医師」とは,実施医療機関において市販後臨床試験に係る業務を統括する医師又は歯科医師をいう。
  この省令において「被験薬」とは,治験の対象とされる薬物又は市販後臨床試験の対象とされる医薬品をいう。
  この省令において「対照薬」とは,治験又は市販後臨床試験において被験薬と比較する目的で用いられる医薬品又は薬物その他の物質をいう。
  この省令において「治験薬」とは,被験薬及び対照薬(治験に係るものに限る。)をいう。
  この省令において「市販後臨床試験薬」とは,被験薬及び対照薬(市販後臨床試験に係るものに限る。)をいう。
  この省令において「被験者」とは,治験薬若しくは市販後臨床試験薬を投与される者又は当該者の対照とされる者をいう。
10   この省令において「原資料」とは,被験者に対する治験薬又は市販後臨床試験薬の投与及び診療により得られたデータその他の記録をいう。
11   この省令において「治験分担医師」とは,実施医療機関において,治験責任医師の指導の下に治験に係る業務を分担する医師又は歯科医師をいう。
12   この省令において「市販後臨床試験分担医師」とは,実施医療機関において,市販後臨床試験責任医師の指導の下に市販後臨床試験に係る業務を分担する医師又は歯科医師をいう。
13   この省令において「症例報告書」とは,原資料のデータ及びそれに対する治験責任医師若しくは治験分担医師又は市販後臨床試験責任医師若しくは市販後臨床試験分担医師の評価を被験者ごとに記載した文書をいう。
14   この省令において「治験協力者」とは,実施医療機関において,治験責任医師又は治験分担医師の指導の下にこれらの者の治験に係る業務に協力する薬剤師,看護婦その他の医療関係者をいう。
15   この省令において「市販後臨床試験協力者」とは,実施医療機関において,市販後臨床試験責任医師又は市販後臨床試験分担医師の指導の下にこれらの者の市販後臨床試験に係る業務に協力する薬剤師,看護婦その他の医療関係者をいう。
16   この省令において「モニタリング」とは,治験又は市販後臨床試験が適正に行われることを確保するため,治験又は市販後臨床試験の進捗状況並びに治験又は市販後臨床試験がこの省令及び治験の計画書(以下「治験実施計画書」という。)又は市販後臨床試験の計画書(以下「市販後臨床試験実施計画書」という。)に従って行われているかどうかについて治験の依頼をした者(以下「治験依頼者」という。)又は市販後臨床試験の依頼をした者(以下「市販後臨床試験依頼者」という。)が実施医療機関に対して行う調査をいう。
17   この省令において「監査」とは,治験又は市販後臨床試験により収集された資料の信頼性を確保するため,治験又は市販後臨床試験がこの省令及び治験実施計画書又は市販後臨床試験実施計画書に従って行われたかどうかについて治験依頼者又は市販後臨床試験依頼者が行う調査をいう。
18   この省令において「有害事象」とは,治験薬又は市販後臨床試験薬を投与された被験者に生じたすべての疾病又はその徴候をいう。
19   この省令において「代諾者」とは,被験者の親権を行う者,配偶者,後見人その他これに準じる者をいう。
  (承認審査資料の基準)
  第三条 法第十四条(法第二十三条において準用する場合を含む。)又は第十九条の二の承認を受けようとする者が行う医薬品の臨床試験の実施に係る法第十四条第三項に規定する資料の収集及び作成については,次条から第五十五条までの規定の定めるところによる。
 
第二章 治験の依頼に関する基準
  (業務手順書等)
  第四条 治験の依頼をしようとする者は,治験実施計画書の作成,実施医療機関及び治験責任医師の選定,治験薬の管理,副作用情報等の収集,記録の保存その他の治験の依頼及び管理に係る業務に関する手順書を作成しなければならない。
  治験の依頼をしようとする者は,医師,薬剤師その他の治験の依頼及び管理に係る業務を行うことにつき必要な専門的知識を有する者を確保しなければならない。
  (毒性試験等の実施)
  第五条 治験の依頼をしようとする者は,被験薬の品質,毒性,薬理作用に関する試験その他治験の依頼をするために必要な試験を終了していなければならない。
  (医療機関等の選定)
  第六条 治験の依頼をしようとする者は,第三十五条に掲げる要件を満たしている実施医療機関及び第四十二条に掲げる要件を満たしている治験責任医師を選定しなければならない。
  (治験実施計画書)
  第七条 治験の依頼をしようとする者は,次に掲げる事項を記載した治験実施計画書を作成しなければならない。
  治験の依頼をしようとする者の氏名(法人にあっては,その名称。以下この号及び次号,第十三条第二号及び第三号並びに第十六条第一項第二号において同じ。)及び住所(法人にあっては,その主たる事務所の所在地。以下この号及び次号,第十三条第二号及び第三号並びに第十六条第一項第二号において同じ。)(当該者が本邦内に住所を有しない場合にあっては,その氏名及び住所地の国名並びに第十五条に規定する治験国内管理人の氏名及び住所。第十三条第二号において同じ。)
  治験に係る業務の一部を委託する場合にあっては,当該業務を受託した者(以下「受託者」という。)の氏名,住所及び当該委託した業務の範囲
  実施医療機関の名称及び所在地
  治験責任医師となるべき者の氏名及び職名
  治験の目的
  被験薬の概要
  治験の方法
  被験者の選定に関する事項
  原資料の閲覧に関する事項
  記録(データを含む。)の保存に関する事項
十一   第十八条の規定により治験調整医師に委嘱した場合にあっては,その氏名及び職名
十二   第十八条の規定により治験調整委員会に委嘱した場合にあっては,これを構成する医師又は歯科医師の氏名及び職名
十三   第十九条に規定する効果安全性評価委員会を設置したときは,その旨
   
  治験の依頼をしようとする者は,当該治験が被験者に対して治験薬の効果を有しないこと,及び第五十条第一項の同意を得ることが困難な者を対象にすることが予測される場合には,その旨及び次に掲げる事項を治験実施計画書に記載しなければならない。
  当該治験が第五十条第一項の同意を得ることが困難と予測される者を対象にしなければならないことの説明
  当該治験が予測される被験者に対する不利益が必要な最小限度のものであることの説明
   
  治験の依頼をしようとする者は,当該治験が第五十条第一項及び第二項の同意を得ることが困難と予測される者を対象にしている場合には,その旨及び次に掲げる事項を治験実施計画書に記載しなければならない。
  当該被験薬が,生命が危険な状態にある傷病者に対して,その生命の危険を回避するため緊急に使用される医薬品として,製造又は輸入の承認を申請することを予定しているものであることの説明
  現在における治療方法では被験者となるべき者に対して十分な効果が期待できないことの説明
  被験薬の使用により被験者となるべき者の生命の危険が回避できる可能性が十分にあることの説明
  第十九条に規定する効果安全性評価委員会が設置されている旨
   
  第一項の規定により治験実施計画書を作成するときは,当該治験実施計画書の内容及びこれに従って治験を行うことについて,治験責任医師となるべき者の同意を得なければならない。
  治験の依頼をしようとする者は,被験薬の品質,有効性及び安全性に関する事項その他の治験を適正に行うために重要な情報を知ったときは,必要に応じ,当該治験実施計画書を改訂しなければならない。この場合においては,前項の規定を準用する。
  (治験薬概要書)
  第八条 治験の依頼をしようとする者は,第五条に規定する試験により得られた資料及び被験薬の品質,有効性及び安全性に関する情報に基づいて,次に掲げる事項を記載した治験薬概要書を作成しなければならない。
  被験薬の化学名又は識別記号
  品質,毒性,薬理作用その他の被験薬に関する事項
  臨床試験が実施されている場合にあっては,その試験成績に関する事項
   
  治験の依頼をしようとする者は,被験薬の品質,有効性及び安全性に関する事項その他の治験を適正に行うために重要な情報を知ったときは,必要に応じ,当該治験薬概要書を改訂しなければならない。
  (説明文書の作成の依頼)
  第九条 治験の依頼をしようとする者は,治験責任医師となるべき者に対して,第五十条第一項の規定により説明を行うために用いられる文書(以下「説明文書」という。)の作成を依頼しなければならない。
  (実施医療機関の長への文書の事前提出)
  第十条 治験の依頼をしようとする者は,あらかじめ,次に掲げる文書を実施医療機関の長に提出しなければならない。
  治験実施計画書(第七条第五項の規定により改訂されたものを含む。)
  治験薬概要書(第八条第二項の規定により改訂されたものを含む。)
  症例報告書の見本
  説明文書
  治験責任医師及び治験分担医師(以下「治験責任医師等」という。)となるべき者の氏名を記載した文書
  治験の費用の負担について説明した文書
  被験者の健康被害の補償について説明した文書
   
  (治験薬の事前交付の禁止)
  第十一条 治験の依頼をしようとする者は,治験の契約が締結される前に,実施医療機関に対して治験薬を交付してはならない。
  (業務の委託)
  第十二条 治験の依頼をしようとする者は,治験の依頼及び管理に係る業務の一部を委託する場合には,次に掲げる事項を記載した文書により当該受託者との契約を締結しなければならない。
  当該委託した業務の範囲
  当該委託に係る業務の手順に関する事項
  前号の手順に基づき当該委託に係る業務が適正かつ円滑に行われているかどうかを治験の依頼をしようとする者が確認することができる旨
  当該受託者に対する指示に関する事項
  前号の指示を行った場合において当該措置が講じられたかどうかを治験の依頼をしようとする者が確認することができる旨
  当該受託者が治験の依頼をしようとする者に対して行う報告に関する事項
  当該委託した業務に係る第十四条に規定する措置に関する事項
  その他当該委託に係る業務について必要な事項
   
  (治験の契約)
  第十三条 治験の依頼をしようとする者及び実施医療機関(前条の規定により業務の一部を委託する場合にあっては,治験の依頼をしようとする者,受託者及び実施医療機関)は,次に掲げる事項について記載した文書により治験の契約を締結しなければならない。
  契約を締結した年月日
  治験の依頼をしようとする者の氏名及び住所
  前条の規定により業務の一部を委託する場合にあっては,受託者の氏名,住所及び当該委託した業務の範囲
  実施医療機関の名称及び所在地
  契約担当者の氏名及び職名
  治験責任医師等の氏名及び職名
  治験の期間
  目標とする被験者数
  治験薬の管理に関する事項
  記録(データを含む。)の保存に関する事項
十一   この省令の規定により治験依頼者及び実施医療機関に従事する者が行う通知に関する事項
十二   被験者の秘密の保全に関する事項
十三   治験の費用に関する事項
十四   実施医療機関が治験実施計画書を遵守して治験を行う旨
十五   実施医療機関が治験依頼者の求めに応じて第四十一条第二項各号に掲げる記録(文書を含む。)を閲覧に供する旨
十六   実施医療機関がこの省令,治験実施計画書又は当該契約に違反することにより適正な治験に支障を及ぼしたと認める場合(第四十六条に規定する場合を除く。)には,治験依頼者が治験の契約を解除できる旨
十七   被験者の健康被害の補償に関する事項
十八   その他治験が適正かつ円滑に行われることを確保するために必要な事項
   
  (被験者に対する補償措置)
  第十四条 治験の依頼をしようとする者は,あらかじめ,治験に係る被験者に生じた健康被害(受託者の業務により生じたものを含む。)の補償のために,保険その他の必要な措置を講じておかなければならない。
  (治験国内管理人)
  第十五条 本邦内に住所(法人にあっては,その主たる事務所の所在地。以下この条において同じ。)を有しない治験の依頼をしようとする者は,治験薬による保健衛生上の危害の発生又は拡大の防止に必要な措置を採らせるため,治験の依頼をしようとする者に代わって治験の依頼を行うことができる者を,本邦内に住所を有する者(外国法人で本邦内に事務所を有するものの当該事務所の代表者を含む。)のうちから選任し,この者(以下「治験国内管理人」という。)に治験の依頼に係る手続を行わせなければならない。
 
第三章 治験の管理に関する基準
  (治験薬の管理)
  第十六条 治験依頼者は,治験薬の容器又は被包に次に掲げる事項を邦文で記載しなければならない。
  治験用である旨
  治験依頼者の氏名及び住所(当該者が本邦内に住所を有しない場合にあっては,その氏名及び住所地の国名並びに治験国内管理人の氏名及び住所)
  化学名又は識別記号
  製造番号又は製造記号
  貯蔵方法,有効期間等を定める必要があるものについては,その内容
   
  治験依頼者は,治験薬に添付する文書,その治験薬又はその容器若しくは被包(内袋を含む。)には,次に掲げる事項を記載してはならない。
  予定される販売名
  予定される効能又は効果
  予定される用法又は用量
   
  治験依頼者は,被験者,治験責任医師等及び治験協力者が被験薬及び対照薬の識別をできない状態で実施医療機関に交付した治験薬について,緊急時に,治験責任医師等が被験薬及び対照薬の識別を直ちにできるよう必要な措置を講じておかなければならない。
  治験依頼者は,輸送及び保存中の汚染や劣化を防止するため治験薬を包装して実施医療機関に交付しなければならない。
  治験依頼者は,治験薬に関する次に掲げる記録を作成しなければならない。
  治験薬の製造年月日,製造方法,製造数量等の製造に関する記録及び治験薬の安定性等の品質に関する試験の記録
  実施医療機関ごとの治験薬の交付又は回収の数量及び年月日の記録
  治験薬の処分の記録
   
  治験依頼者は,治験の契約の締結後遅滞なく,実施医療機関における治験薬の管理に関する手順書を作成し,これを実施医療機関の長に交付しなければならない。
  治験依頼者は,必要に応じ,治験薬の溶解方法その他の取扱方法を説明した文書を作成し,これを治験責任医師等,治験協力者及び第三十九条第一項に規定する治験薬管理者に交付しなければならない。
  (治験薬の交付)
  第十七条 治験依頼者は,治験薬の品質の確保のために必要な構造設備を備え,かつ,適切な製造管理及び品質管理の方法が採られている製造所において製造された治験薬を実施医療機関に交付しなければならない。
  治験依頼者は,治験薬を医薬品の販売業者その他の第三者を介在させることなく,直接実施医療機関に交付しなければならない。ただし,やむを得ない事由があるときは,この限りではない。
  (多施設共同治験)
  第十八条 治験依頼者は,一の治験実施計画書に基づき複数の実施医療機関に対して治験の依頼をした場合には,当該実施医療機関における当該治験実施計画書の解釈その他の治験の細目について調整する業務を医師若しくは歯科医師(以下「治験調整医師」という。)又は複数の医師若しくは歯科医師で構成される委員会(以下「治験調整委員会」という。)に委嘱することができる。
  前項の規定により治験調整医師又は治験調整委員会に委嘱する場合には,その業務の範囲,手順その他必要な事項を記載した文書を作成しなければならない。
  (効果安全性評価委員会の設置)
  第十九条 治験依頼者は,治験の継続の適否又は治験実施計画書の変更について審議させるために効果安全性評価委員会を設置することができる。
  治験依頼者は,前項の効果安全性評価委員会の審議に関する手順書を作成し,これに従って審議を行わせなければならない。
  治験依頼者は,前項の審議を行ったときは,その審議の記録を作成し,これを保存しなければならない。
  (副作用情報等)
  第二十条 治験依頼者は,被験薬の品質,有効性及び安全性に関する事項その他の治験を適正に行うために必要な情報を収集し,及び検討するとともに,実施医療機関の長に対し,これを提供しなければならない。
  治験依頼者は,被験薬について法第八十条の二第六項に規定する事項を知ったときは,直ちにその旨を治験責任医師及び実施医療機関の長に通知しなければならない。
  治験依頼者は,被験薬の品質,有効性及び安全性に関する事項その他の治験を適正に行うために重要な情報を知ったときは,必要に応じ,治験実施計画書及び治験薬概要書を改訂しなければならない。この場合において,治験実施計画書の改訂について治験責任医師の同意を得なければならない。
  (モニタリングの実施)
  第二十一条 治験依頼者は,モニタリングに関する手順書を作成し,当該手順書に従ってモニタリングを実施しなければならない。
  前項の規定によりモニタリングを実施する場合には,実施医療機関を訪問して行わなければならない。ただし,他の方法により十分にモニタリングを実施することができる場合には,この限りではない。
  (モニターの責務)
  第二十二条 モニタリングに従事する者(以下「モニター」という。)は,モニタリングの結果,実施医療機関における治験がこの省令又は治験実施計画書に従って行われていないことを確認した場合には,その旨を直ちに当該実施医療機関の治験責任医師に告げなければならない。
  モニターは,モニタリングの実施の際,実施医療機関を訪問し,又はこれと連絡を取ったときは,そのつど次に掲げる事項を記載したモニタリング報告書を治験依頼者に提出しなければならない。
  モニタリングを行った日時
  モニタリングの対象となった実施医療機関
  モニターの氏名
  モニタリングの際に説明等を聴取した治験責任医師等の氏名
  モニタリングの結果の概要
  前項の規定により治験責任医師に告げた事項
  前号に規定する事項について講じられるべき措置及び当該措置に関するモニターの所見
   
  (監査)
  第二十三条 治験依頼者は,監査に関する計画書及び業務に関する手順書を作成し,当該計画書及び手順書に従って監査を実施しなければならない。
  監査に従事する者(以下「監査担当者」という。)は,医薬品の開発に係る部門及びモニタリングを担当する部門に属してはならない。
  監査担当者は,監査を実施した場合には,監査で確認した事項を記録した監査報告書及び監査が実施されたことを証明する監査証明書を作成し,これを治験依頼者に提出しなければならない。
  (治験の中止等)
  第二十四条 治験依頼者は,実施医療機関がこの省令,治験実施計画書又は治験の契約に違反することにより適正な治験に支障を及ぼしたと認める場合(第四十六条に規定する場合を除く。)には,当該実施医療機関との治験の契約を解除し,当該実施医療機関における治験を中止しなければならない。
  治験依頼者は,治験を中断し,又は中止する場合には,速やかにその旨及びその理由を実施医療機関の長に文書により通知しなければならない。
  治験依頼者は,当該治験により収集された臨床試験の試験成績に関する資料を法第十四条第三項に規定する申請書に添付しないことを決定した場合には,その旨及びその理由を実施医療機関の長に文書により通知しなければならない。
  (総括報告書)
  第二十五条 治験依頼者は,治験を終了し,又は中止したときは,その結果等を取りまとめた文書(以下「総括報告書」という。)を作成しなければならない。
  (記録の保存等)
  第二十六条 治験依頼者は,次に掲げる治験に関する記録(文書及びデータを含む。)を被験薬に係る医薬品についての製造若しくは輸入の承認を受ける日(第二十四条第三項の規定により通知したときは,通知した日後三年を経過した日)又は治験の中止若しくは終了の後三年を経過した日のうちいずれか遅い日までの期間適切に保存しなければならない。
  治験実施計画書,契約書,総括報告書その他この省令の規定により治験依頼者が作成した文書又はその写し
  症例報告書,第三十二条第三項の規定により通知された文書その他この省令の規定により実施医療機関の長又は治験責任医師等から入手した記録
  モニタリング,監査その他の治験の依頼及び管理に係る業務の記録(前二号及び第五号に掲げるものを除く。)
  治験を行うことにより得られたデータ
  第十六条第五項に規定する記録
   
  本邦内に住所を有しない治験依頼者は,治験国内管理人に第十六条第五項に規定する記録を前項に定める期間保存させなければならない。
 
第四章 治験を行う基準
  第一節 治験審査委員会
(治験審査委員会の設置)
  第二十七条 実施医療機関の長は,治験を行うことの適否その他の治験に関する調査審議を行わせるため,実施医療機関ごとに一の治験審査委員会を設置しなければならない。ただし,当該実施医療機関が小規模であることその他の事由により当該実施医療機関に治験審査委員会を設置することができないときは,当該治験審査委員会を次に掲げる治験審査委員会に代えることができる。
  当該実施医療機関の長が他の医療機関の長と共同で設置した治験審査委員会
  民法(明治二十九年法律第八十九号)第三十四条の規定により設立された法人が設置した治験審査委員会
  医療関係者により構成された学術団体が設置した治験審査委員会
  他の医療機関の長が設置した治験審査委員会(第一号に掲げるものを除く。)
   
  (治験審査委員会の構成等)
  第二十八条 前条に規定する治験審査委員会は,次に掲げる要件を満たしていなければならない。
  治験について倫理的及び科学的観点から十分に審議を行うことができること。
  五名以上の委員からなること。
  委員のうち,医学,歯学,薬学その他の医療又は臨床試験に関する専門的知識を有する者以外の者(次号の規定により委員に加えられている者を除く。)が加えられていること。
  委員のうち,実施医療機関と利害関係を有しない者が加えられていること。
   
  治験審査委員会の設置者は,次に掲げる事項について記載した手順書及び委員名簿を作成し,当該手順書に従って業務を行わせなければならない。
  委員長の選任方法
  会議の成立要件
  会議の運営に関する事項
  第三十一条第一項の適否の審査の実施時期に関する事項
  会議の記録に関する事項
  記録の保存に関する事項
  その他必要な事項
   
  治験審査委員会の設置者は,治験審査委員会の事務を行う者を選任しなければならない。
  (治験審査委員会の会議)
  第二十九条 次に掲げる委員は,審査の対象となる治験に係る審議及び採決に参加することができない。
  治験依頼者の役員又は職員その他の治験依頼者と密接な関係を有する者
  実施医療機関の長,治験責任医師等又は治験協力者
   
  審議に参加していない委員は,採決に参加することができない。
  (治験審査委員会の審査)
  第三十条 実施医療機関の長は,当該実施医療機関において治験を行うことの適否について,あらかじめ,第二十七条の治験審査委員会の意見を聴かなければならない。
  実施医療機関の長は,当該実施医療機関において治験を行うことの適否について,前項の規定により意見を聴く治験審査委員会以外の治験審査委員会の意見を聴くことができる。
  実施医療機関の長は,第二十七条第二号から第四号までに掲げる治験審査委員会に意見を聴くときは,第二十八条第二項に規定する当該治験審査委員会の手順書及び委員名簿を入手しなければならない。
  (継続審査等)
  第三十一条 実施医療機関の長は,治験の期間が一年を越える場合には,一年に一回以上,当該実施医療機関において治験を継続して行うことの適否について,前条第一項の規定により意見を聴いた治験審査委員会の意見を聴かなければならない。
  実施医療機関の長は,第二十条第二項及び第四十八条第二項の規定により通知を受けたとき,第五十四条第三項の規定により報告を受けたときその他実施医療機関の長が必要があると認めたときは,当該実施 医療機関において治験を継続して行うことの適否について,前条第一項の規定により意見を聴いた治験審査委員会の意見を聴かなければならない。
  (治験審査委員会の責務)
  第三十二条 治験審査委員会は,第三十条第一項又は第二項の規定により実施医療機関の長から意見を聴かれたときは,審査の対象とされる治験が倫理的及び科学的に妥当であるかどうかその他当該治験が当該実施医療機関において行うのに適当であるかどうかを,次に掲げる資料に基づき審査し,文書により意見を述べなければならない。
  第十条各号に掲げる文書
  被験者の募集の手順に関する資料
  第七条第五項に規定する情報その他治験を適正に行うために重要な情報を記載した文書
  治験責任医師等となるべき者の履歴書
  その他治験審査委員会が必要と認める資料
   
  治験審査委員会は,前条第一項又は第二項の規定により実施医療機関の長から意見を聴かれたときは,当該実施医療機関において当該治験が適切に行われているかどうかを調査した上,当該実施医療機関において治験を継続して行うことの適否を審査し,文書により意見を述べなければならない。
  実施医療機関の長は,前二項に規定する治験審査委員会の意見を治験の依頼をしようとする者又は治験依頼者及び治験責任医師となるべき者又は治験責任医師に文書により通知しなければならない。
  (治験審査委員会の意見)
  第三十三条 実施医療機関は,第三十条第一項又は第二項の規定により意見を聴いたいずれかの治験審査委員会が,治験を行うことが適当でない旨の意見を述べたときは,治験の依頼を受けてはならない。
  実施医療機関は,第三十一条第一項又は第二項の規定により意見を聴いた治験審査委員会が,治験を継続して行うことが適当でない旨の意見を述べたときは,治験の契約を解除しなければならない。
  (記録の保存)
  第三十四条 治験審査委員会を設置した者は,第二十八条第二項に規定する手順書及び委員名簿,第三十二条第一項各号に掲げる資料,第四十条第一項から第四項までの規定による治験審査委員会に対する通知及び治験審査委員会の会議の記録を被験薬に係る医薬品についての製造若しくは輸入の承認を受ける日(第二十四条第三項に規定する通知を受けたときは,通知を受けた日)又は治験の中止若しくは終了の後三年を経過した日のうちいずれか遅い日までの期間保存しなければならない。
  第二節 実施医療機関
(実施医療機関の要件)
  第三十五条 実施医療機関は,次に掲げる要件を満たしていなければならない。
  十分な臨床観察及び試験検査を行う設備及び人員を有していること。
  緊急時に被験者に対して必要な措置を講ずることができること。
  治験審査委員会が設置されていること(第二十七条ただし書の場合を除く。)。
  治験責任医師等,薬剤師,看護婦その他治験を適正かつ円滑に行うために必要な職員が十分に確保されていること。
   
  (実施医療機関の長)
  第三十六条 実施医療機関の長は,治験に係る業務に関する手順書を作成しなければならない。
  実施医療機関の長は,当該実施医療機関における治験がこの省令,治験実施計画書,治験の契約書及び前項の手順書に従って適正かつ円滑に行われるよう必要な措置を講じなければならない。
  (モニタリング等への協力)
  第三十七条 実施医療機関の長は,治験依頼者によるモニタリング及び監査並びに治験審査委員会による調査に協力しなければならない。
  実施医療機関の長は,前項のモニタリング,監査又は調査が実施される際には,モニター,監査担当者又は治験審査委員会の求めに応じ,第四十一条第二項各号に掲げる治験に関する記録を閲覧に供しなければならない。
  (治験事務局)
  第三十八条 実施医療機関の長は,治験に係る業務に関する事務を行う者を選任しなければならない。
  (治験薬の管理)
  第三十九条 実施医療機関の長は,第十六条第六項の手順書を治験薬管理者に交付しなければならない。
  前項の治験薬管理者は,第十六条第六項の手順書に従って治験薬を適切に管理しなければならない。
  (治験の中止等)
  第四十条 実施医療機関の長は,第二十条第二項の規定により治験依頼者から通知を受けたときは,直ちにその旨を治験審査委員会に文書により通知しなければならない。
  実施医療機関の長は,第二十四条第二項の規定により治験依頼者から治験を中断し,若しくは中止する旨の通知,又は同条第三項の規定により治験依頼者から申請書に添付しないことを決定した旨の通知を受けたときは,速やかにその旨及びその理由を治験責任医師及び治験審査委員会に文書により通知しなければならない。
  実施医療機関の長は,第四十九条第二項の規定により治験責任医師から治験を中断し,又は中止する旨の報告を受けた場合は,速やかにその旨及びその理由を治験審査委員会及び治験依頼者に文書により通知しなければならない。
  実施医療機関の長は,第四十九条第三項の規定により治験責任医師から治験を終了する旨の報告を受けたときは,その旨及びその結果の概要を治験審査委員会及び治験依頼者に通知しなければならない。
  (記録の保存)
  第四十一条 実施医療機関の長は,記録保存責任者を置かなければならない。
  前項の記録保存責任者は,次に掲げる治験に関する記録(文書を含む。)を被験薬に係る医薬品についての製造若しくは輸入の承認を受ける日(第二十四条第三項の規定により通知を受けたときは,通知を受けた日後三年を経過した日)又は治験の中止若しくは終了の後三年を経過した日のうちいずれか遅い日までの期間保存しなければならない。
  原資料
  契約書,同意文書及び説明文書その他この省令の規定により実施医療機関に従事する者が作成した文書又はその写し
  治験実施計画書,第三十二条第一項及び第二項の規定により治験審査委員会から入手した文書その他この省令の規定により入手した文書
  治験薬の管理その他の治験に係る業務の記録
   
  第三節 治験責任医師
(治験責任医師の要件)
  第四十二条 治験責任医師は,次に掲げる要件を満たしていなければならない。
  治験を適正に行うことができる十分な教育及び訓練を受け,かつ,十分な臨床経験を有すること。
  治験実施計画書,治験薬概要書及び第十六条第七項に規定する文書に記載されている治験薬の適切な使用方法に精通していること。
  治験を行うのに必要な時間的余裕を有すること。
   
  (治験分担医師等)
  第四十三条 治験責任医師は,当該治験に係る治験分担医師又は治験協力者が存する場合には,分担する業務の一覧表を作成しなければならない。
  治験責任医師は,治験分担医師及び治験協力者に治験の内容について十分に説明するとともに,第二十条第一項の規定により提供された情報,同条第二項の規定により通知された事項その他分担させる業務を適正かつ円滑に行うために必要な情報を提供しなければならない。
  (被験者となるべき者の選定)
  第四十四条 治験責任医師等は,次に掲げるところにより,被験者となるべき者を選定しなければならない。
  倫理的及び科学的観点から,治験の目的に応じ,健康状態,症状,年齢,同意の能力等を十分に考慮すること。
  同意の能力を欠く者にあっては,被験者とすることがやむを得ない場合を除き,選定しないこと。
  治験に参加しないことにより不当な不利益を受けるおそれがある者を選定する場合にあっては,当該者の同意が自発的に行われるよう十分な配慮を行うこと。
   
  (被験者に対する責務)
  第四十五条 治験責任医師等は,治験薬の適正な使用方法を被験者に説明し,かつ,必要に応じ,被験者が治験薬を適正に使用しているかどうかを確認しなければならない。
  治験責任医師等は,被験者が他の医師により治療を受けている場合には,被験者の同意の下に,被験者が治験に参加する旨を当該他の医師に通知しなければならない。
  実施医療機関の長及び治験責任医師等は,被験者に生じた有害事象に対して適切な医療が提供されるよう,事前に,必要な措置を講じておかなければならない。
  治験責任医師等は,被験者に有害事象が生じ,治療が必要であると認めるときは,その旨を被験者に通知しなければならない。
  (治験実施計画書からの逸脱)
  第四十六条 治験責任医師は,被験者の緊急の危険を回避するためその他医療上やむを得ない理由により治験実施計画書に従わなかった場合には,すべてこれを記録し,その旨及びその理由を記載した文書を直ちに治験依頼者及び実施医療機関の長に提出しなければならない。
  (症例報告書等)
  第四十七条 治験責任医師等は,治験実施計画書に従って正確に症例報告書を作成し,これに記名なつ印し,又は署名しなければならない。
  治験責任医師等は,症例報告書の記載を変更し,又は修正するときは,その日付を記載して,これになつ印し,又は署名しなければならない。
  治験責任医師は,治験分担医師が作成した症例報告書を点検し,内容を確認した上で,これに記名なつ印し,又は署名しなければならない。
  (治験中の副作用等報告)
  第四十八条 治験責任医師は,治験の実施状況の概要を適宜実施医療機関の長に文書により報告しなければならない。
  治験責任医師は,治験薬の副作用によると疑われる死亡その他の重篤な有害事象の発生を認めたときは,直ちに実施医療機関の長に報告するとともに,治験依頼者に通知しなければならない。この場合において,治験依頼者,実施医療機関の長又は治験審査委員会から更に必要な情報の提供を求められたときは,当該治験責任医師はこれに応じなければならない。
  (治験の中止等)
  第四十九条 治験責任医師は,第四十条第二項の通知により治験が中断され,又は中止されたときは,被験者に速やかにその旨を通知するとともに,適切な医療の提供その他必要な措置を講じなければならない。
  治験責任医師は,自ら治験を中断し,又は中止したときは,実施医療機関の長に速やかにその旨及びその理由を文書により報告しなければならない。
  治験責任医師は,治験を終了したときは,実施医療機関の長にその旨及びその結果の概要を文書により報告しなければならない。
  第四節 被験者の同意
(文書による説明と同意の取得)
  第五十条 治験責任医師等は,被験者となるべき者を治験に参加させるときは,あらかじめ治験の内容その他の治験に関する事項について当該者の理解を得るよう,文書により適切な説明を行い,文書により同意を得なければならない。
  被験者となるべき者が同意の能力を欠くこと等により同意を得ることが困難であるときは,前項の規定にかかわらず,代諾者となるべき者の同意を得ることにより,当該被験者となるべき者を治験に参加させることができる。
  治験責任医師等は,前項の規定により代諾者となるべき者の同意を得た場合には,代諾者の同意に関する記録及び代諾者と被験者との関係についての記録を作成しなければならない。
  治験責任医師等は,当該被験者に対して治験薬の効果を有しないと予測される治験においては,第二項の規定にかかわらず,同意を得ることが困難な被験者となるべき者を治験に参加させてはならない。ただし,第七条第二項に規定する場合は,この限りではない。
  治験責任医師等は,説明文書の内容その他治験に関する事項について,被験者となるべき者(代諾者となるべき者の同意を得る場合にあっては,当該者。次条から第五十三条までにおいて同じ。)に質問をする機会を与え,かつ,当該質問に十分に答えなければならない。
  (説明文書)
  第五十一条 治験責任医師等は,前条第一項の説明を行うときは,次に掲げる事項を記載した説明文書を交付しなければならない。
  当該治験が試験を目的とするものである旨
  治験の目的
  治験責任医師の氏名,職名及び連絡先
  治験の方法
  予測される治験薬の効果及び予測される被験者に対する不利益
  他の治療方法に関する事項
  治験に参加する期間
  治験の参加を何時でも取りやめることができる旨
  治験に参加しないこと,又は参加を取りやめることにより被験者が不利益な取扱いを受けない旨
  被験者の秘密が保全されることを条件に,モニター,監査担当者及び治験審査委員会が原資料を閲覧できる旨
十一   被験者に係る秘密が保全される旨
十二   健康被害が発生した場合における実施医療機関の連絡先
十三   健康被害が発生した場合に必要な治療が行われる旨
十四   健康被害の補償に関する事項
十五   当該治験に係る必要な事項
   
  説明文書には,被験者となるべき者に権利を放棄させる旨又はそれを疑わせる記載並びに治験依頼者,実施医療機関,治験責任医師等の責任を免除し若しくは軽減させる旨又はそれを疑わせる記載をしてはならない。
  説明文書には,できる限り平易な表現を用いなければならない。
  (同意文書等への署名等)
  第五十二条 第五十条第一項又は第二項に規定する同意は,被験者となるべき者が説明文書の内容を十分に理解した上で,当該内容の治験に参加することに同意する旨を記載した文書(以下「同意文書」という。)に,説明を行った治験責任医師等及び被験者となるべき者(第三項に規定する立会人が立ち会う場合にあっては,被験者となるべき者及び立会人。次条において同じ。)が日付を記載して,これに記名なつ印し,又は署名しなければ,効力を生じない。
  第五十条第一項又は第二項に規定する同意は,治験責任医師等に強制され,又はその判断に不当な影響を及ぼされたものであってはならない。
  説明文書を読むことができない被験者となるべき者(第五十条第二項に規定する被験者となるべき者を除く。)に対する同条第一項に規定する説明及び同意は,立会人を立ち会わせた上で,しなければならない。
  前項の立会人は,治験責任医師等及び治験協力者であってはならない。
  (同意文書の交付)
  第五十三条 治験責任医師等は,治験責任医師等及び被験者となるべき者が記名なつ印し,又は署名した同意文書の写しを被験者(代諾者の同意を得た場合にあっては,当該者。次条において同じ。)に交付しなければならない。
  (被験者の意思に影響を与える情報が得られた場合)
  第五十四条 治験責任医師等は,治験に継続して参加するかどうかについて被験者の意思に影響を与えるものと認める情報を入手した場合には,直ちに当該情報を被験者に提供し,これを文書により記録するとともに,被験者が治験に継続して参加するかどうかを確認しなければならない。この場合においては,第五十条第五項及び第五十二条第二項の規定を準用する。
  治験責任医師は,前項の場合において,説明文書を改訂する必要があると認めたときは,速やかに説明文書を改訂しなければならない。
  治験責任医師は,前項の規定により説明文書を改訂したときは,その旨を実施医療機関の長に報告するとともに,治験の参加の継続について改めて被験者の同意を得なければならない。この場合においては,第五十一条から前条までの規定を準用する。
  (緊急状況下における救命的治験)
  第五十五条 治験責任医師等は,第七条第三項に規定する治験においては,次の各号のすべてに該当する場合に限り,被験者となるべき者及び代諾者となるべき者の同意を得ずに当該被験者となるべき者を治験に参加させることができる。
  被験者となるべき者に緊急かつ明白な生命の危険が生じていること。
  現在における治療方法では十分な効果が期待できないこと。
  被験薬の使用により被験者となるべき者の生命の危険が回避できる可能性が十分にあると認められること。
  予測される被験者に対する不利益が必要な最小限度のものであること。
  代諾者となるべき者と直ちに連絡を取ることができないこと。
  治験責任医師等は,前項に規定する場合には,速やかに被験者又は代諾者となるべき者に対して当該治験に関する事項について適切な説明を行い,当該治験への参加について文書により同意を得なければならない。
 
第五章 再審査等の資料の基準
  (再審査等の資料の基準)
  第五十六条 法第十四条(法第二十三条において準用する場合を含む。)又は第十九条の二の承認を受けた者が行う医薬品の臨床試験の実施に係る法第十四条の四第四項及び第十四条の五第四項に規定する資料の収集及び作成については,第四条から第六条まで,第七条(第三項第一号を除く。),第九条,第十条(第二号を除く。),第十一条から第十六条まで,第十七条第一項,第十八条から第二十三条まで,第二十四条第一項及び第二項並びに第二十五条から第五十五条までの規定を準用する。この場合において,これらの規定(見出しを含む。)中「治験」とあるのは「市販後臨床試験」と,「治験実施計画書」とあるのは「市販後臨床試験実施計画書」と,「治験責任医師」とあるのは「市販後臨床試験責任医師」と,「治験国内管理人」とあるのは「市販後臨床試験国内管理人」と,「治験調整医師」とあるのは「市販後臨床試験調整医師」と,「治験調整委員会」とあるのは「市販後臨床試験調整委員会」と,「治験分担医師」とあるのは「市販後臨床試験分担医師」と,「治験責任医師等」とあるのは「市販後臨床試験責任医師等」と,「治験依頼者」とあるのは「市販後臨床試験依頼者」と,「治験薬管理者」とあるのは「市販後臨床試験薬管理者」と,「治験協力者」とあるのは「市販後臨床試験協力者」と,「治験審査委員会」とあるのは「市販後臨床試験審査委員会」と,これらの規定(見出しを含み,第十一条,第十六条第一項,第二項及び第五項から第七項まで,第十七条第一項並びに第三十九条を除く。)中「治験薬」とあるのは「市販後臨床試験薬」と,第十一条中「治験薬」とあるのは,「被験者,市販後臨床試験責任医師等又は市販後臨床試験協力者が被験薬及び対照薬の識別をできない状態(以下「盲検状態」という。)にした市販後臨床試験薬」と,第十六条第一項第一号中「治験用」とあるのは「市販後臨床試験用」と,同条第一項,第二項及び第五項から第七項まで,第十七条第一項並びに第三十九条中「治験薬」とあるのは「盲検状態にした市販後臨床試験薬」と,第十八条見出し中「多施設共同治験」とあるのは「多施設共同市販後臨床試験」と,第二十条第二項中「法第八十条の二第六項」とあるのは「法第七十七条の四の二」と,同条第三項中「治験実施計画書及び治験薬概要書」とあるのは「治験実施計画書」と,第二十六条第一項中「に係る医薬品についての製造若しくは輸入の承認を受ける日(第二十四条第三項の規定により通知したときは,通知した日後三年を経過した日)又は治験の中止若しくは終了の後三年を経過した日のうちいずれか遅い日までの期間」とあるのは「の再審査又は再評価が終了した日後五年間」と,第三十四条中「に係る医薬品についての製造若しくは輸入の承認を受ける日(第二十四条第三項に規定する通知を受けたときは,通知を受けた日)又は治験の中止若しくは終了の後三年を経過した日のうちいずれか遅い日までの期間」とあるのは「の再審査又は再評価が終了した日後五年間」と,第三十八条見出し中「治験事務局」とあるのは「市販後臨床試験事務局」と,第四十条第二項中「通知,又は同条第三項の規定により治験依頼者から申請書に添付しないことを決定した旨の通知」とあるのは「通知」と,第四十一条第二項中「に係る医薬品についての製造若しくは輸入の承認を受ける日(第二十四条第三項の規定により通知を受けたときは,通知を受けた日後三年を経過した日)又は治験の中止若しくは終了の後三年を経過した日のうちいずれか遅い日までの期間」とあるのは「の再審査又は再評価が終了した日後五年間」と,第四十二条第二号中「治験実施計画書,治験薬概要書」とあるのは「治験実施計画書」と読み替えるものとする。
 
第六章 治験の依頼等の基準
  (法第八十条の二第一項の厚生省令で定める基準)
  第五十七条 法第八十条の二第一項に規定する治験の依頼については,第四条第一項,第五条,第七条第一項(第九号及び第十一号から第十三号までを除く。),第八条第一項,第十一条,第十三条(第十一号,第十三号から第十六号まで及び第十八号を除く。),第十四条及び第十五条の規定を準用する。この場合において,第四条第一項中「実施医療機関及び治験責任医師の選定,治験薬の管理,副作用情報等の収集,記録の保存その他の治験の依頼及び管理に係る」とあるのは「治験薬の管理及び記録の保存の」と,第五条中「試験その他治験の依頼をするために必要な試験」とあるのは「試験」と,第十三条中「前条の規定により」とあるのは「治験の依頼及び管理に係る」と読み替えるものとする。
  (法第八十条の二第四項の厚生省令で定める基準)
  第五十八条 法第八十条の二第四項に規定する治験をすることについては,第二十七条から第五十五条までの規定を準用する。
  (法第八十条の二第五項の厚生省令で定める基準)
  第五十九条 法第八十条の二第五項に規定する治験の管理については,第十六条(第一項第五号及び第七項を除く。),第二十一条第一項並びに第二十六条第一項(第一号から第四号までを除く。)及び第二項の規定を準用する。この場合において,第十六条第五項中「製造数量等の製造に関する」とあるのは「製造数量の」と,「安定性等の品質」とあるのは「品質」と,第二十六条第一項中「適切に保存」とあるのは「保存」と読み替えるものとする。
 
附 則
  (施行期日)
  第一条 この省令は,平成九年四月一日から施行する。
  (承認審査資料の基準に関する経過措置)
  第二条 法第十四条第三項に規定する資料のうち,この省令の施行前に収集され,又は作成されたもの及びこの省令の施行の際現に収集され,又は作成されているものについては,第三条中「次条から第五十五条までの規定の定めるところ」とあるのは「第三十条第一項,第三十五条,第四十四条,第四十七条第一項,第五十条第一項及び第二項の規定の定めるところ並びに薬事法施行規則等の一部を改正する省令(平成九年厚生省令第二十九号)第一条の規定による改正前の薬事法施行規則(昭和三十六年厚生省令第一号)第六十七条各号の規定の例」と,第五十条第一項中「文書により適切な説明を行い,文書により同意」とあるのは「適切な説明を行い,同意」とする。
  法第十四条第三項に規定する資料のうち,平成九年六月三十日までに法第八十条の二第一項の治験の依頼が行われた治験又は同日までに同条第二項の規定により届け出られた計画に係る治験により収集され,又は作成されたもの(前項に規定するものを除く。)については,第三条中「次条」とあるのは「次条から第六条まで,第七条(第一項第九号を除く。),第八条から第十二条まで,第十三条(第九号から第十三号まで及び第十五号を除く。),第十四条,第十五条,第十六条(第六項を除く。),第十七条から第二十条まで,第二十四条から第二十七条まで,第二十八条第二項及び第三項,第二十九条から第三十五条まで,第三十八条,第四十条から第五十条まで,第五十一条(第一項第十号を除く。)並びに第五十二条」とする。
  法第十四条第三項に規定する資料のうち,平成十年三月三十一日までに法第八十条の二第一項の治験の依頼が行われた治験又は同日までに同条第二項の規定により届け出られた計画に係る治験により収集され,又は作成されたもの(第一項及び前項に規定するものを除く。)については,第三条中「次条」とあるのは「次条から第六条まで,第七条(第一項第九号を除く。),第八条から第十二条まで,第十三条(第十二号及び第十五号を除く。),第十四条から第二十条まで,第二十四条から第二十七条まで,第二十八条第二項及び第三項,第二十九条から第三十五条まで,第三十八条から第五十条まで,第五十一条(第一項第十号を除く。)並びに第五十二条」とする。
  (再審査等の資料の基準に関する経過措置)
  第三条 法第十四条の四第四項及び第十四条の五第四項に規定する資料のうち,平成九年六月三十日までに依頼が行われた市販後臨床試験により収集され,又は作成されたものについては,第五十六条中「第三項第一号」とあるのは「第一項第九号及び第三項第一号」と,「から第十六条まで」とあるのは「,第十二条,第十三条(第九号から第十三号まで及び第十五号を除く。),第十四条,第十五条,第十六条(第六項を除く。)」と,「第二十三条」とあるのは「第二十条」と,「第二十五条」とあるのは「第二十五条から第二十七条まで,第二十八条第二項及び第三項,第二十九条から第三十五条まで,第三十八条,第四十条から第五十条まで,第五十一条(第一項第十号を除く。)並びに第五十二条」とする。
  法第十四条の四第四項及び第十四条の五第四項に規定する資料のうち,平成十年三月三十一日までに依頼がなされた市販後臨床試験(前項に規定する市販後臨床試験を除く。)により収集され,又は作成されたものについては,第五十六条中「第三項第一号」とあるのは「第一項第九号及び第三項第一号」と,「第十一条」とあるのは「第十一条,第十二条,第十三条(第十二号及び第十五号を除く。),第十四条」と,「第二十三条」とあるのは「第二十条」と,「第二十五条」とあるのは「第二十五条から第二十七条まで,第二十八条第二項及び第三項,第二十九条から第三十五条まで,第三十八条から第五十条まで,第五十一条(第一項第十号を除く。)並びに第五十二条」とする。
  (法第八十条の二第一項の厚生省令で定める基準に関する経過措置)
  第四条 この省令の施行前に治験の計画書であって第七条第一項(第二号から第四号まで及び第九号から第十三号までを除く。)の規定に適合するものが作成されていた場合における当該治験に係る法第八十条の二第一項に規定する治験の依頼については,第五十七条の規定にかかわらず,薬事法施行規則等の一部を改正する省令(平成九年厚生省令第二十九号)第一条の規定による改正前の薬事法施行規則(昭和三十六年厚生省令第一号。附則第六条において「旧施行規則」という。)第六十七条(第七号から第十一号までを除く。)の規定の例による。
  平成九年四月一日から六月三十日までの間に法第八十条の二第二項の規定により届け出られた計画に係る治験(前項の場合における当該治験を除く。)に対する第五十七条の規定の適用については,第五十七条中「第十一号,第十三号」とあるのは,「第九号」とする。
  平成九年七月一日から平成十年三月三十一日までの間に法第八十条の二第二項の規定により届け出られた計画に係る治験(第一項の場合における当該治験を除く。)に対する第五十七条の適用については,第五十七条中「第十一号,第十三号」とあるのは「第十一号」とする。
  (法第八十条の二第四項の厚生省令で定める基準に関する経過措置)
  第五条 この省令の施行前に治験の計画書であって第七条第一項(第二号から第四号まで及び第九号から第十三号までを除く。)の規定に適合するものが作成されていた場合における当該治験の依頼を受けた者に係る法第八十条の二第四項の治験をすることについては,第五十八条の規定にかかわらず,第三十条第一項,第三十五条,第四十四条,第四十七条第一項並びに第五十条第一項及び第二項の規定の例による。この場合において,第五十条第一項中「文書により適切な」とあるのは「適切な」とする。
  平成九年四月一日から六月三十日までの間に法第八十条の二第一項の治験の依頼を受けた者又は同日までに同条第二項の規定により届け出られた計画に係る治験の依頼を受けた者(前項に規定する者を除く。)に対する第五十八条の適用については,第五十八条中「第二十七条」とあるのは「第二十七条,第二十八条第二項及び第三項,第二十九条から第三十五条まで,第三十八条,第四十条から第五十条まで,第五十一条(第一項第十号を除く。)並びに第五十二条」とする。
  平成九年七月一日から平成十年三月三十一日までの間に法第八十条の二第一項の治験の依頼を受けた者(第一項及び前項に規定する治験の依頼を受けた者を除く。)に対する第五十八条の適用については,第五十八条中「第二十七条」とあるのは「第二十七条,第二十八条第二項及び第三項,第二十九条から第三十五条まで,第三十八条から第五十条まで,第五十一条(第一項第十号を除く。)並びに第五十二条」とする。
  (法第八十条の二第五項の厚生省令で定める基準に関する経過措置)
  第六条 この省令の施行前に治験の計画書であって第七条第一項(第二号から第四号まで及び第九号から第十三号までを除く。)の規定に適合するものが作成されていた場合における当該治験の依頼をした者に係る法第八十条の二第五項に規定する治験の管理については,第五十九条の規定にかかわらず,旧施行規則第六十七条第七号,第八号及び第十号の規定の例による。
  平成九年四月一日から六月三十日までの間に法第八十条の二第一項の治験の依頼をした者又は同日までに同条第二項の規定により届け出られた計画に係る治験の依頼をした者(前項に規定する者を除く。)に対する
第五十九条の適用については,第五十九条中「第七項」とあるのは「第六項及び第七項」と,「,第二十一条第一項並びに」とあるのは「並びに」とする。
  平成九年七月一日から平成十年三月三十一日までの間に法第八十条の二第一項の治験の依頼をした者(第一項及び前項に規定する者を除く。)については,「,第二十一条第一項並びに」とあるのは「並びに」とする。
  (医薬品の市販後調査の基準に関する省令の一部改正)
  第七条 医薬品の市販後調査の基準に関する省令(平成九年厚生省令第十号)の一部を次のように改正する。
  第一条中「係るもの」の下に「(医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令(平成九年厚生省令第二十八号)に定めるものを除く。)」を加える。
第十六条中「ついては,」の下に「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令に定めるもののほか,」を加える。

 

薬発第430号
平成9年3月27日

各都道府県知事 殿

厚生省薬務局長

医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令の施行について(通知)

 医薬品の製造(輸入)承認申請の際に提出すべき資料の収集のために行われる臨床試験(治験)については,従来より,治験を依頼しようとする者が依頼に際し遵守しなければならない基準(旧規則第67条)及び平成元年10月2日薬発第874号薬務局長通知「医薬品の臨床試験の実施に関する基準について」により臨床試験が倫理的な配慮のもとに科学的に適正に実施されるための基準(以下「旧GCP」という。)を示してきたところである。また,平成5年6月28日薬発第572号薬務局長通知「医薬品の市販後調査の実施に関する基準について」により,市販後に行われる臨床試験についても,「医薬品の臨床試験の実施に関する基準」に準じて実施することを指導しているところである。今般,中央薬事審議会答申(平成9年3月13日中薬審第40号)の内容を踏まえた医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令(平成9年厚生省令第28号)が平成9年4月1日から施行され,今後は治験及び市販後臨床試験について同省令の基準(以下「新GCP」という。)が適用されることとなったので,下記の事項に御留意の上,貴管下関係者に対し,指導方御配慮煩わしたい。
 なお,この通知において,「薬事法等の一部を改正する法律」(平成8年法律第104号)による改正後の薬事法(昭和35年法律第135号)を「法」と略称する。

Ⅰ.新GCPの適用対象及び適用時期について
・新GCPの適用対象について
  (1) 承認審査資料の基準(第3条)
   第3条に定められた規定は,法第14条第3項後段に規定する「厚生大臣の定める基準」として,法第14条(第23条において準用する場合を含む。)又は第19条の2の規定により医薬品の製造(輸入)承認の申請を行う者が法第柱取るため30514条第3項の規定により添付する臨床試験の試験成績に関する資料について適用されること。
 この基準が適用される資料は,平成9年3月27日厚生省令第29号により改正された後の薬事法施行規則(以下「規則」という。)第18条の4の2に定められた医薬品(いわゆる新有効成分含有医薬品,新投与経路医薬品及びその他の医療用医薬品)に係るものであること。
  (2) 再審査・再評価資料の基準(第56条)
   第56条に定められた規定は,法第14条の4第4項後段及び第14条の5第4項に規定する「厚生大臣の定める基準」として,法第14条の4の規定により再審査の申請を行う者が同条第4項の規定により添付する資料及び第14条の5の規定により再評価を受けるべき者が同条第3項の規定により提出すべき資料のうち市販後臨床試験に係るものについて適用されること。
 これらの基準が適用される資料は,規則第21条の3の2及び第21条の5に定められた医薬品に係るものであること。
 なお,医療用医薬品において,市販後臨床試験に関する再審査・再評価のための資料の基準として,本基準の規定によるほか,医薬品の市販後調査の基準に関する省令(平成9年厚生省令第10号)の基準が適用されることに留意すること。また,平成9年3月27日薬発第439号薬務局長通知「医療用医薬品の市販後調査の基準に関する省令の施行について」を参照すること。
  (3) 治験の依頼等の基準(第57条,第58条,第59条)
   第57条,第58条及び第59条に定められた規定は,それぞれ法第80条の2第1項,第4項及び第5項に規定する「厚生省令で定める基準」として,治験の依頼をしようとする者,治験の依頼を受けた者及び治験の依頼をした者にそれぞれ適用されること。
・新GCPの適用時期について
  (1) 承認審査資料の基準(第3条,附則第2条)
   本基準は平成9年4月1日以降に行われた申請に係る資料から適用すること。ただし,適用時期について次に掲げる経過措置を定めたこと。
 平成9年3月31日までに収集され,又は作成された資料及び平成9年4月1日に現に収集され,又は作成されている資料については,次のi)からvi)に掲げる規定及び旧規則第67条各号の規定を適用すること(附則第2条第1項)。この場合において,「現に収集され」ている資料とは,既に依頼(契約)が行われた治験及び依頼はされていないが既に第7条第1項(第2号から第4号まで及び第9号から第13号までを除く。)の規定に適合する治験実施計画書が作成されていた治験に係る資料を含むものであること。
i) 治験審査委員会の意見聴取に係る規定(第30条第1項)
ii) 実施医療機関の要件に係る規定(第35条)
iii) 被験者となるべき者の選定に係る規定(第44条)
iv) 症例報告書の作成に係る規定(第47条第1項)
v) 説明と同意に係る規定(適切な説明・同意)(第50条第1項の読み替え)
vi) 代諾者に係る規定(第50条第2項)
 平成9年6月30日までに依頼が行われた治験又は同日までに法第80条の2第2項の規定により計画が届け出られた治験に係る資料(アの資料を除く。)については,第4条から第55条までの規定のうち,次のi)からv)に掲げる規定は適用しないこと(附則第2条第2項)。
i) モニタリング,監査に係る規定(直接閲覧に係る規定を含む。)(第7条第1項第9号,第21条,第22条,第23条,第37条,第51条第1項第10号)
ii) 契約書に記載すべき事項に係る規定(第13条第9号から第13号まで及び第15号)
iii) 治験薬の管理のための手順書に係る規定(第16条第6項,第39条)
iv) 治験審査委員会に係る規定(第28条第1項)
v) 実施医療機関の治験の業務に関する手順書に係る規定(第36条)
 平成10年3月31日までに依頼が行われた治験又は同日までに法第80条の2第2項の規定により計画が届け出られた治験に係る資料(ア及びイの資料を除く。)については,第4条から第55条までの規定のうち,次のi)からiv)に掲げる規定は適用しないこと(附則第2条第3項)。
i) モニタリング,監査に係る規定(直接閲覧に係る規定を含む。)(第7条第1項第9号,第21条,第22条,第23条,第37条,第51条第1項第10号)
ii) 契約書に記載すべき事項に係る規定(第13条第12号及び第15号)
iii) 治験審査委員会に係る規定(第28条第1項)
iv) 実施医療機関の治験の業務に関する手順書に係る規定(第36条)
  (2) 再審査・再評価資料の基準(第56条,附則第3条)
   本基準は平成9年4月1日から適用すること。ただし,適用時期について次に掲げる経過措置を定めたこと。
 薬事法等の一部を改正する法律(平成8年法律第104号)の施行(平成9年4月1日)前に収集され,又は作成された資料及びこの省令の施行の際現に収集され,又は作成されている資料については,同法附則第3条第2項及び第3項に定めるところにより,この省令の基準は適用されないこと。なお,本基準の規定が適用されない資料についても次のi)からvi)に掲げる規定及び旧規則67条各号の規定については,これらの規定に準じて試験が実施されているかどうかについて,従前の例により調査,確認を行うこととすること。
i) 市販後臨床試験審査委員会の意見聴取に係る規定(第30条第1項)
ii) 実施医療機関の要件に係る規定(第35条)
iii) 被験者となるべき者の選定に係る規定(第44条)
iv) 症例報告書の作成に係る規定(第47条第1項)
v) 説明と同意に係る規定(適切な説明・同意)(第50条第1項の読み替え)
vi) 代諾者に係る規定(第50条第2項)
 平成9年6月30日までに依頼が行われた市販後臨床試験に係る資料(アの資料を除く。)については,第56条において準用する規定のうち,第7条第1項第9号,第13条第9号から第13号まで及び第15号,第16条第6項,第21条から第23条まで,第28条第1項,第36条,第37条,第39条並びに第51条第1項第10号の規定を適用しないこと。
 平成10年3月31日までに依頼が行われた市販後臨床試験に係る資料(ア及びイの資料を除く。)については第56条において準用する規定のうち,第7条第1項第9号,第13条第12号及び第15号,第21条から第23条まで,第28条第1項,第36条,第37条並びに第51条第1項第10号の規定を適用しないこと。
  (3) 治験の依頼の基準(第57条,附則第4条)
   平成9年3月31日までに第7条第1項(第2号から第4号まで及び第9号から第13号までを除く。)の規定に適合する治験実施計画書が作成されていた治験を依頼しようとする者については,旧規則第67条第1号から第6号までの規定を適用すること(附則第4条第1項)。
 平成9年4月1日から平成9年6月30日までの間に法第80条の2第2項の規定により計画が届け出られた治験(アの治験を除く。)を依頼しようとする者については,第57条において準用する規定のうち,第13条第9号,第10号及び第12号の規定を適用しないこと(附則第4条第2項)。
 平成9年7月1日から平成10年3月31日までの間に法第80条の2第2項の規定により計画が届け出られた治験(アの治験を除く。)を依頼しようとする者については,第57条において準用する規定のうち,第13条第12号の規定を適用しないこと(附則第4条第3項)。
  (4) 治験を行う基準(第58条,附則第5条)
   平成9年3月31日までに治験の依頼を受けた者については,この省令の基準は適用されないこと。(薬事法等の一部を改正する法律(平成8年法律第104号)附則第2条第5項)
 平成9年4月1日以降に依頼が行われた治験のうち,平成9年3月31日までに第7条第1項(第2号から第4号まで及び第9号から第13号までを除く。)の規定に適合する治験実施計画書が作成された治験の依頼を受けた者については,第58条において準用する第27条から第55条までの規定のうち,次のi)からvi)に掲げる規定を準用すること(附則第5条第1項)。
i) 治験審査委員会の意見聴取に係る規定(第30条第1項)
ii) 実施医療機関の要件に係る規定(第35条)
iii) 被験者となるべき者の選定に係る規定(第44条)
iv) 症例報告書の作成に係る規定(第47条第1項)
v) 説明と同意に係る規定(適切な説明・文書による同意)(第50条第1項の読み替え)
vi) 代諾者に係る規定(第50条第2項)
 平成9年4月1日から平成9年6月30日までに依頼が行われた治験又は法第80条の2第2項の規定により計画が届け出られた治験(イの治験を除く。)の依頼を受けた者については,第58条において準用する第27条から第55条までの規定のうち,次のi)からiv)に掲げる規定を適用しないこと(附則第5条第2項)。
i) モニタリング,監査に係る規定(直接閲覧に係る規定を含む)(第37条,第51条第1項第10号)
ii) 治験薬の管理のための手順書に係る規定(第39条)
iii) 治験審査委員会に係る規定(第28条第1項)
iv) 実施医療機関の治験の業務に関する手順書に係る規定(第36条)
 平成9年7月1日から平成10年3月31日までに依頼が行われた治験(イ及びウの治験を除く。)の依頼を受けた者については,第58条において準用する第27条から第55条までの規定のうち,次のi)からiii)に掲げる規定を適用しないこと(附則第5条第3項)。
i) モニタリング,監査に係る規定(直接閲覧に係る規定を含む)(第37条,第51条第1項第10号)
ii) 治験審査委員会に係る規定(第28条第1項)
iii) 実施医療機関の治験の業務に関する手順書に係る規定(第36条)
  (5) 治験の管理の基準(第59条,附則第6条)
   平成9年3月31日までに治験の依頼をした者については,この省令の基準は適用されないこと(薬事法等の一部を改正する法律(平成8年法律第104号)附則第2条第5項)。
 平成9年4月1日以降に依頼が行われた治験のうち,平成9年3月31日までに第7条第1項(第2号から第4号まで及び第9号から第13号までを除く。)の規定に適合する治験実施計画書が作成された治験の依頼をした者については,旧規則第67条第7号,第8号及び第10号の規定を適用すること(附則第6条第1項)。
 平成9年4月1日から平成9年6月30日までに依頼が行われた治験又は法第80条の2第2項の規定により計画が届け出られた治験(イの治験を除く。)の依頼をした者については,第59条において準用する規定のうち次のi)及びii)に掲げる規定を適用しないこと(附則第6条第2項)。
i) モニタリングに係る規定(第21条第1項)
ii) 治験薬の管理のための手順書に係る規定(第16条第6項)
 平成9年7月1日から平成10年3月31日までに依頼が行われた治験(イ及びウの治験を除く。)の依頼をした者については,第59条において準用する規定のうち,第21条第1項のモニタリングに係る規定を適用しないこと
(附則第6条第3項)。
  (6)
   (1)から(5)のとおり適用時期について経過措置を定めたところであるが,適用されない規定についても可能なものから順次取り入れ実施するよう努められたいこと。
 
Ⅱ.新GCPの内容について
1.総則(第1章)
  (1) 第1条関係
   新GCPは,次に掲げる基準を示したものであること。
1) 法に基づく医薬品の製造(輸入)承認を受けようとする者が承認申請書に添付する医薬品の臨床試験の成績に係る資料の収集及び作成の際に従うべき基準
2) 治験の依頼をしようとする者,治験の依頼を受けた者及び治験の依頼をした者が治験を倫理的及び科学的に適正に実施するために従うべき基準
3) 医薬品の製造(輸入)承認を受けた者が臨床試験に係る再審査及び再評価の資料の収集及び作成の際に従うべき基準
  (2) 第2条関係
   第3号の「治験責任医師」とは,実施医療機関において治験の実施に関して責任を有する医師又は歯科医師であること。実施医療機関において治験が複数の者からなるチームにより実施される場合には,当該チームを統括する医師又は歯科医師であること。
 第6号の「対照薬」とは,既承認有効成分若しくは未承認有効成分を含む製剤又はプラセボを意味すること。
 第10号の「原資料」とは,被験者に係る診療録,検査ノート,治験薬等の投与記録等の治験の事実経過の再現と評価に必要な記録を指すこと。
 第18号の「有害事象」とは,治験薬又は市販後臨床試験薬を投与された被験者に生じたすべての疾病又はその徴候(臨床検査値の異常を含む。)をいい,当該治験薬又は当該市販後臨床試験薬との因果関係の有無は問わないものであること。
 第19号の「代諾者」とは,治験への参加について,被験者に十分な同意の能力がない場合に,被験者とともに,又は被験者に代わって同意をすることが正当なものと認められる者であり,被験者の親権を行う者,配偶者,後見人その他これに準じる者で両者の生活の実質や精神的共同関係から見て,被験者の最善の利益を図りうる者を意味すること。
2.承認審査資料の基準(第2章から第4章まで)
第2章 治験の依頼に関する基準
  (3) 第4条関係
   第1項の「手順書」とは,治験に係る業務が恒常的に適正に実施されるよう標準的な手順を定めた文書であること。なお,第21条第1項,第23条第1項,第28条第2項,第36条第1項等における「手順書」も同じ意味であること。
 第2項の「治験の依頼及び管理に係る業務を行うことにつき必要な専門的知識を有する者」とは,治験に関する医学的な問題について適切な助言を行う医学の専門家,並びに治験実施計画書,治験薬概要書等の作成・改訂,データの取扱い,統計解析の実施,総括報告書の作成等,治験の全過程を通じて活用されるべき治験依頼者内部及び外部の専門家(例:生物統計学者,臨床薬理学者等)を含むものであること。
  (4) 第5条関係
   「被験薬の品質,毒性,薬理作用に関する試験その他治験の依頼をするために必要な試験」とは,当該被験薬の物理的,化学的性質,性状等に関する理化学試験等,毒性,薬理作用,吸収,排泄等に関する動物試験等のいわゆる非臨床試験や臨床試験を指しているが,当該試験の具体的な項目,内容等については,当該治験の内容(治験のフェーズ,治験薬の投与経路及び投与期間,被験者の選択基準等)等を考慮のうえ,治験の依頼時点における科学的水準に照らし適正なものであること。
  (5) 第7条関係
   旧GCPにおいて治験総括医師が作成するものとされていた治験実施計画書は,新GCPにおいては,治験の依頼をしようとする者が,第5条に掲げる必要な試験の結果等に基づき作成するが,この際,治験依頼者は,治験薬概要書等の治験実施計画書の内容を検討するために必要な資料を,あらかじめ治験責任医師となるべき者に提供しなければならないこと。治験実施計画書を作成するときは,治験の依頼をしようとする者は,第4項の規定に従って,治験実施計画書の内容及びこれに従って治験を行うことについて治験責任医師となるべき者の同意を得なければならないこと。また,同意を得たことを証するため,治験の依頼をしようとする者及び治験責任医師となるべき者は,治験実施計画書又はそれに代わる文書に記名なつ印し,又は署名すること。  第2項の「当該治験が被験者に対して治験薬の効果を有しないこと,及び第50条第1項の同意を得ることが困難な者を対象にすることが予測される場合」とは,例えば,同意の能力を欠く者(小児等)を対象にした医薬品に係る治験において,これらの者を被験者として薬物動態試験を行う必要がある場合が考えられること。
 同項第2号の「当該治験が予測される被験者に対する不利益が必要な最小限度のものであること」とは,被験者に対する予見しうる危険性が低いこと,被験者への肉体的又は精神的な悪影響が,それらを避けるための努力が行われた上で,十分に低いことをいうこと。
 第3項の「当該治験が第50条第1項及び第2項の同意を得ることが困難と予測される者を対象にしている場合」とは,次のi)からiii)に掲げる点から,被験者又はその代諾者となるべき者から事前に同意を得ることが困難である緊急状況下における救命的な治験(第55条参照)であること。
i) 被験者の状態から被験者の同意を得ることができないこと。
ii) 被験者の代諾者による同意が可能となる以前に,救急的に治験が開始される必要があること。
iii) 当該治験の被験者となりうる者をあらかじめ特定することが困難であること。
 また,この場合にあっても,治験責任医師等は速やかに被験者又は代諾者となるべき者に対して当該治験に関する説明を行い,当該治験への参加について同意を得ること(第55条第2項参照)及び被験者の身元が明らかでない者は治験の対象から除かれることについて,第7条第1項第7号の「治験の方法」及び第8号の「被験者の選定に関する事項」として治験実施計画書に記載すべきであること。なお,治験責任医師はこの経過と結果を治験審査委員会に報告することについても記載されていること。
 同項第4号の「効果安全性評価委員会」は,治験の進行等を適切な間隔で評価し,治験の継続の適否等について治験依頼者に提言するために設置されるものであり,独立データモニタリング委員会とも呼ばれること。
 なお,治験実施計画書には,作成及び改訂の日付を記載すること。
  (6) 第8条関係
   第1項第2号の「品質,毒性,薬理作用その他の被験薬に関する事項」とは,被験薬の物理的,化学的及び製剤学的性質,製剤組成,薬理,毒性,薬物動態,薬物代謝に関連する非臨床試験の成績を指すこと。
  (7) 第9条関係
   被験者の同意を得るに際しての説明文書は,治験の依頼をしようとする者の依頼を受け,その協力を得て,治験責任医師が作成すること。治験の依頼をしようとする者は,必要な資料,情報を提供すること。
  (8) 第12条関係
   受託者は,当該受託業務を本省令に従って行わなければならないこと。
  (9) 第13条関係
   受託者は,当該受託業務を本省令に従って行わなければならないこと。
   第9号の「治験薬の管理に関する事項」とは,実施医療機関の長の指名した治験薬管理者が,第16条第6項の規定により提供された手順書に従って治験薬を適切に管理する旨を含むものであること。
 第11号の趣旨は,本省令中に規定する第20条第2項,第24条第2項,第24条第3項,第32条第3項,第40条第3項,第40条第4項及び第48条第2項に規定する通知が,適切な時期に適切な方法で行われなければならない旨であること。
 第12号「被験者の秘密の保全に関する事項」とは,法第80条の2第10項の規定により,治験依頼者又はその役員若しくは職員が,モニタリング,監査の際に得た被験者の秘密を漏らしてはならない旨,及び,これらの地位にあった者についても同様である旨を含むものであること。
 第15号は,実施医療機関がモニター又は監査担当者に対して第41条第2項各号に掲げる記録を直接閲覧させる旨であること。
 本条の規定により契約を締結した受託者は,法第14条第4項後段及び法第80条の2第7項の規定によるGCP調査等の対象となること。
第3章 治験の管理に関する基準
  (10) 第16条関係
   第5項第1号の記録には,別途通知する治験薬の製造管理及び品質管理基準並びに治験薬の製造施設の構造設備基準(以下「治験薬GMP」という。)に定められた記録を含むこと。
 第6項の「治験薬の管理に関する手順書」には,治験薬の受領,取扱い,保管,処方,未使用治験薬の被験者からの返却,未使用被験薬の治験依頼者への返却及びその他の処分が適切で確実に行われるよう,治験薬の管理に関わる者が従うべき事項を規定しなければならないこと。
  (11) 第17条関係
   第1項の「治験薬の品質の確保のために必要な構造設備を備え,かつ,適切な製造管理及び品質管理の方法が採られている製造所」とは,治験薬GMPに定められた内容に適合するものであること。
 第2項の「やむを得ない事由」とは,例えば,当該治験の内容上,治験薬を実施医療機関に緊急に交付する必要があり,かつ,その手段として運送業者等の第三者を用いざるを得ないことが挙げられること。
  (12) 第18条関係
   第1項の治験調整医師に委嘱される業務は,例えば,治験実施計画書の内容の細目についての多施設間の調整や治験中に生じた治験実施計画書の解釈上の疑義の調整等,多施設共同治験における実施医療機関間の調整に係る業務であること。
 治験調整医師は,当該治験の分野において十分な経験を有し,多施設間の調整を適切に行いうる者であること。治験責任医師の中から選定されることが考えられるが,必ずしも治験責任医師に限らないこと。
  (13) 第19条関係
   効果安全性評価委員会は,治験の継続の適否又は治験実施計画書の変更について審議するための委員会であり,治験の進行,安全性データ及び重要な有効性エンドポイントを適切な間隔で評価するものであること。また,治験責任医師等及び治験調整医師は効果安全性評価委員会の委員になることはできないこと。
  (14) 第20条関係
   第2項の「法第80条の2第6項に規定する事項」とは,規則第66条の7に規定する事項であること。
 第3項の規定により治験実施計画書の改訂を行う場合には,Ⅱ.1.(5)アに定める手続きを準用すること。
  (15) 第21条関係
   モニターは,モニタリングの実施に必要な科学的及び臨床的知識を有する者であり,その要件は第1項の「モニタリングに関する手順書」に記載されていなければならないこと。
 モニターは,実施医療機関を訪問し,原資料を直接閲覧すること等により治験が適切に実施されていること及びデータの信頼性が十分に保たれていることを確認し,その都度モニタリング報告書を治験依頼者に提出することが求められること。
 第2項の「他の方法により十分にモニタリングを実施することができる場合」とは,例えば,治験の方法(評価項目等を含む)が簡単であるが,参加実施医療機関の数及び地域的分布が大規模であるような治験において,治験責任医師等又は治験協力者等の会合及びそれらの人々に対する訓練や詳細な手順書の提供,統計学的にコントロールされた方法でのデータの抽出と検証,治験責任医師等との電話,ファックス等による連絡等の手段を併用することにより,治験の実施状況を調査し把握することが可能かつ適当である例外的な場合であること。
  (16) 第23条関係
   監査担当者の要件は,第1項の「業務に関する手順書」中に記載されていなければならないこと。
 監査担当者も必要に応じて実施医療機関を訪問し,原資料を直接閲覧することにより治験が適切に実施されていること及びデータの信頼性が十分に保たれていることを確認することが求められること。
 監査の方法及び頻度は,治験の内容(治験のデザイン,実施期間等)を考慮して手順書中に適切に設定すること。
  (17) 第25条関係
   総括報告書は,「治験の総括報告書の構成と内容に関するガイドライン」(平成8年5月1日薬審第335号)に従って作成すること。
 総括報告書には,第23条第3項に規定する当該治験に係る監査証明書を添付して保存するものとすること。
  (18) 第26条関係
   治験依頼者は,本条の規定により第1項各号に掲げる治験に関する記録を保存するほか,被験薬に係る医薬品が承認を受けた場合には,当該記録を規則第26条の2の3の規定に従って保存しなければならないこと。
 本条の「記録」には,磁気媒体等に記録されたデータを含むこと。データを適切に保存するためには,セキュリティシステムの保持,データのバックアップの実施等が必要であること。
 治験依頼者は,実施医療機関及び当該治験に係る審査を行った治験審査委員会において保存すべき記録について,その保存の必要がなくなった場合には,その旨を実施医療機関の長及び治験審査委員会の設置者に通知しなければならないこと。
第4章 治験を行う基準
  (19) 第27条関係
   「実施医療機関ごとに一の治験審査委員会を設置しなければならない」とは,各実施医療機関において,治験の開始から終了に至るまで継続的に治験に関する調査審議を行う治験審査委員会を設置するという趣旨であること。
  (20) 第28条関係
   治験審査委員会の委員は,実施医療機関の長又は第27条第1号から第4号までの治験審査委員会の設置者が選任すること。
 実施医療機関の長は,自らが設置する治験審査委員会の委員にはなることができないこと。
 第1項第2号において,委員の数は,少なくとも5名と規定しているが,委員の数がこれよりも多い場合には,同項第3号又は第4号の委員の数を増やす等により,委員構成を適正な割合に保つことが必要であると考えられること。
 第1項第4号の「実施医療機関と利害関係を有しない者」とは,例えば,実施医療機関が大学の医学部の附属病院である場合には,他学部(法学部等)の教員はそれに該当すると考えられること。  第2項第2号の「会議の成立要件」には,第1項第3号及び第4号の委員の出席の扱いを明確にしておく必要があること。被験者の人権に係る事項を調査審議する治験審査委員会の責務に鑑み,これらの委員の出席は,原則として会議の成立に欠かせないものであること。
 第2項第3号の「会議の運営に関する事項」には,既に承認された進行中の治験に係る軽微な変更について迅速審査を行う場合の条件等の事項が含まれていること。
 第2項第5号の「会議の記録」では,審議の結果(承認,不承認等)だけでなく,審議及び採決に参加した委員名簿及び議事要旨が記載されていなければならないこと。
 第3項の「治験審査委員会の事務を行う者」は,第38条の「治験に係る業務に関する事務を行う者」が兼ねることができること。
  (21) 第29条関係
   第1項第1号の「その他の治験依頼者と密接な関係を有する者」とは,例えば,治験依頼者の親会社又は子会社の役員又は職員等がこれに該当すること。
  (22) 第30条関係
   実施医療機関の長は,治験を行うことの適否について治験審査委員会の意見を聴く際は,第32条各号に掲げられた文書を治験審査委員会に提出するものであること。
  (23) 第32条関係
   第1項第4号の「治験責任医師等となるべき者の履歴書」には,当該治験責任医師等の学歴とともに,治験総括医師,治験担当医師その他医学的な専門家として治験に参加した経歴等や学会の認定医等の情報も含んだものであることが望ましいこと。
 第1項の審査並びに第2項の調査及び審査の結果としての治験審査委員会の意見は,次のi)からiv)のいずれに該当するかを示すこと等によりその結論が明確にされていること。
i) 承認する
ii) 修正の上で承認する
iii) 却下する
iv) 既に承認した事項を取り消す(治験の中止又は中断を含む)
 第7条第2項に規定する治験を承認する場合には,治験審査委員会の意見を記した文書中に,同意を得ることが困難な者を治験の対象にすることを承認する旨が明記されていなければならないこと。
 第7条第3項に規定する治験を承認する場合には,治験審査委員会の意見を記した文書中に,被験者及び代諾者の同意なしに治験に加わった者の人権,安全及び福祉を保護する方法が明記されていなければならないこと。
  (24) 第35条関係
   第4号の「治験責任医師等,薬剤師,看護婦その他治験を適正かつ円滑に行うために必要な職員」とは,治験に直接関与する治験責任医師等及び治験協力者のみを限定的に指すのではないこと。必要な職員が十分に確保されているか否かは,実施医療機関全体として治験を適正かつ円滑に実施することができるかどうかを,治験の内容等に応じて判断すべきものであること。
  (25) 第36条関係
   第1項の「治験に係る業務の手順書」とは,実施医療機関ごとに定められるべきものであること。なお,この手順書は個々の治験ごとに作成する必要はなく,治験に係る業務が恒常的に適正に実施されるよう標準的な手順を定めたものであること。
 第2項の「必要な措置」には,実施医療機関において治験分担医師及び治験協力者を指名し,当該リストを治験責任医師及び治験依頼者に提出すること,実施医療機関において適切に情報伝達を行わせること等が挙げられること。
  (26) 第38条関係
   「治験に係る業務に関する事務」とは,治験審査委員会の委員の指名に関する業務,治験の契約の手続きに関する業務,治験に必要な手続きを作成すること等があること。
  (27) 第39条関係
   実施医療機関の長は,実施医療機関において治験薬を適正に管理させるために,治験薬管理者を選任しなければならないこと。治験薬管理者は,原則として薬剤師とすること。
  (28) 第41条関係
   第1項の「記録保存責任者」は,実施医療機関において保存すべき資料ごとに置く必要があること。
  (29) 第43条関係
   治験責任医師は,第1項の治験責任医師によって作成された「分担する業務の一覧表」を作成した場合には,実施医療機関の長へ当該一覧表を提出し,その内容について実施医療機関の長の了承を得なければならないこと。
  (30) 第44条関係
   第3項の「治験に参加しないことにより不当な不利益を受けるおそれがある者」とは,例えば医・歯学生,薬学生,看護学生,病院及び検査機関の職員,製薬企業従業員並びに被拘禁者等のように参加に伴う利益あるいは参加拒否による不利益を予想することにより,治験への自発的参加の意思が不当に影響を受ける可能性がある者をいうこと。
  (31) 第45条関係
   第2項の趣旨は,被験者が既に受けている治療において投与されている薬物等との相互作用等による被験者の健康被害を防ぐためのものであること。
  (32) 第47条関係
   治験責任医師は,本条の規定に従って作成された症例報告書(治験分担医師が作成したものを含む)を治験依頼者に提出すること。
  (33) 第48条関係
   第1項の「治験実施状況の概要」は,第31条に規定する治験を継続して行うことの適否の審査のために用いられる資料であること。
 第2項は,「その他の重篤な有害事象の発生を認めたとき」は,治験薬との因果関係の有無に関わらずすべての重篤な有害事象を実施医療機関の長に報告するという趣旨であること。この際,治験責任医師は,報告する重篤な有害事象における治験薬との因果関係を特定しなければならないこと。
  (34) 第50条関係
   第1項の「文書により適切な説明を行い」とは,第51条第1項各号に掲げる事項を記載した説明文書を用いて,被験者となるべき者(第2項に規定する場合は代諾者となるべき者)の理解を得るよう十分に説明を行うことであること。
 第2項の規定により代諾者となるべき者の同意を得ることにより被験者を治験に参加させる場合にあっても,被験者の理解力に応じて説明を行い,可能であれば被験者からも文書による同意を得ること。
 治験責任医師は,第4項の規定により同意を得ることが困難な者を被験者とする場合には,あらかじめ,第7条第2項の規定に従ってその旨が明記された治験実施計画書が審査された上で治験が承認され,当該承認文書上に同意を得ることが困難な者を被験者とすることを認める旨が記載されていることを確認しなければならないこと。
  (35) 第51条関係
   第1項第4号の「治験の方法」には,次の事項の説明が含まれていなければならないこと。
i) 治験の方法の試験的側面
ii) 被験者の選択基準
iii) 無作為割付が行われる場合には,被験者が各処置に割り付けられる確率
 第1項第5号の「予測される治験薬の効果及び予測される被験者に対する不利益」には,被験者にとって予期される利益がない場合にはその旨を記載しなければならないこと。
 第1項第6号の「他の治療方法に関する事項」とは,被験者が患者である場合に,当該患者に対する他の治療方法の有無及びその治療方法に関して予測される重要な利益及び危険性であること。
 被験者への説明文書には,第1項第10号の「モニター,監査担当者及び治験審査委員会」に加えて,規制当局が原資料を閲覧できる旨を記載すること。また,同意文書に被験者又はその代諾者が記名なつ印し,又は署名することにより閲覧を認めたことになる旨を記載すること。
 第1項第11号の「被験者に係る秘密が保全される旨」とは,治験の結果が公表される場合でも被験者の秘密が保全される旨であること。
 第1項第15号の「当該治験に係る必要な事項」とは,治験に参加する予定の被験者数,治験に継続して参加するかどうかについて被験者の意思に影響を与えるものと認める情報を入手した場合には直ちに被験者又は代諾者に当該情報が伝えられること,治験への参加を中止させる場合の条件又は理由,被験者が費用負担をする必要がある場合にはその内容,被験者に金銭等が支払われる場合にはその内容及び被験者が守るべき事項が挙げられること。
 説明文書と第52条の同意文書は,一体化した文書又は一式の文書とすることが望ましいこと。
  (36) 第52条関係
   治験協力者が補足的な説明を行った場合には,第1項の規定に加えて,当該治験協力者も日付を記載して,同意文書に記名なつ印し,又は署名すること。
 第3項の「説明文書を読むことができない」被験者とは,例えば,眼疾患を有することにより説明文書を読むことはできないが,口頭による説明等ではその内容を理解することができる被験者を指すこと。
  (37) 第55条関係
   治験責任医師等は,第7条第3項に規定する治験においては,あらかじめ,治験審査委員会の承認文書に被験者及び代諾者の同意なしに治験に加わった者の人権,安全及び福祉を保護する方法が明記されていることを確認しなければならないこと。
 第2項の趣旨から,被験者の身元が明らかでない者は治験の対象としてはならないこと。また,同項の規定により行った経過と結果について治験責任医師は治験審査委員会に報告すること。
3.再審査・再評価資料の基準(第5章)
   市販後臨床試験の特性にかんがみ,治験薬概要書の作成に関する規定,市販後臨床試験薬の取扱いに関する規定など一部の規定を準用せず,また,必要な読み替えを行ったものであること。なお,市販後臨床試験において市販薬を用いて良い場合は,試験の信頼性に影響を与えない場合に限ることとし,それ以外は盲検化した医薬品を用いること。
4.治験の依頼等の基準(第6章)
   治験の依頼等の基準は,治験の依頼をしようとする者,治験の依頼を受けた者及び治験の依頼をした者の行為の規範であり,承認審査資料等の基準とは適用すべき範囲が異なっていることから,必要な読み替えを行うものであること。また,治験の依頼をしようとする者及び治験の依頼をした者については罰則の適用があること。
5.その他
  (1)
   本省令の施行前に,医薬品の製造(輸入)承認申請がなされている場合にあっては,原則として,旧GCPに従って収集され,作成された資料を審査資料として受け入れるものであること。
  (2)
   製造業者等が適正使用情報を収集するため自主的に実施する市販後臨床試験にあっても,再審査・再評価資料の基準に従って実施することが望ましいこと。

 

参考

薬事法(昭和三十五年法律第百四十五号)

 (医薬品等の製造の承認) 第十四条 厚生大臣は,医薬品(厚生大臣が基準を定めて指定する医薬品を除く。)医薬部外品(厚生大臣が基準を定めて指定する医薬部外品を除く。),厚生大臣の指定する成分を含有する化粧品又は医療用具(厚生大臣の指定する医療用具を除く。)につき,これを製造しようとする者から申請があつたときは,品目ごとにその製造についての承認を与える。

  (略)
   第一項の承認を受けようとする者は,厚生省令で定めるところにより,申請書に臨床試験の試験成績に関する資料その他の資料を添付して申請しなければならない。この場合において,当該申請に係る医薬品が厚生省令で定める医薬品であるときは,当該資料は,厚生大臣の定める基準に従って収集され,かつ,作成されたものでなければならない。
4,5   (略)
   第一項の承認を受けた者は,当該品目について承認された事項の一部を変更しようとするときは,その変更についての承認を求めることができる。この場合においては,前二項から前項までの規定を準用する。
  (新医薬品,新医療用具等の再審査)
第十四条の四 次の各号に掲げる医薬品又は医療用具につき第十四条の規定による製造の承認を受けた者は,当該医薬品又は医療用具について,当該各号に定める期間内に申請して,厚生大臣の再審査を受けなければならない。
  一 既に製造又は輸入の承認を与えられている医薬品又は医療用具と,医薬品にあつては有効成分,分量,用法,用量,効能,効果等が,医療用具にあつては構造,使用方法,効能,効果,性能等が明らかに異なる医薬品又は医療用具として厚生大臣がその製造の承認の際指示したもの(以下医薬品にあつては「新医薬品」と,医療用具にあつては「新医療用具」という。)
 次に掲げる期間(以下この条において「調査期間」という。)を経過した日から起算して三月以内の期間(次号において「申請期間」という。)
 希少疾病用医薬品その他厚生省令で定める医薬品又は希少疾病用医療用柱取るため321具その他厚生省令で定める医療用具として厚生大臣が中央薬事審議会の意見を聴いて指定するものについては,その製造の承認のあつた日後六年を超え十年を超えない範囲内(希少疾病用医療用具その他厚生省令で定める医療用具にあつては,四年を超え七年を超えない範囲内)において厚生大臣の指定する期間
 既に製造又は輸入の承認を与えられている医薬品又は医療用具と効能又は効果のみが明らかに異なる医薬品又は医療用具(イに掲げる医薬品及び医療用具を除く。)その他厚生省令で定める医薬品又は医療用具として厚生大臣が中央薬事審議会の意見を聴いて指定するものについては,その製造の承認のあつた日後六年(医療用具にあつては,四年)に満たない範囲内において厚生大臣の指定する期間
 イ又はロに掲げる医薬品又は医療用具以外の医薬品又は医療用具については,その製造の承認のあつた日後六年(医療用具にあつては,四年)
 新医薬品又は新医療用具(その製造又は輸入の承認のあつた日後調査期間(次項の規定による延長が行われたときは,その延長後の期間)を経過しているものを除く。)と,医薬品にあつては有効成分,分量,用法,用量,効能,効果等が,医療用具にあつては構造,使用方法,効能,効果,性能等が,同一性を有すると認められる医薬品又は医療用具として厚生大臣がその製造の承認の際指示したもの。
 申請期間(次項の規定による調査期間の延長が行われたときは,その延長後の期間に基づいて定められる申請期間)に合致するように厚生大臣が指示する期間。
2,3   (略)
   第一項の申請は,申請書にその医薬品又は医療用具の使用成績に関する資料その他厚生省令で定める資料を添付してしなければならない。この場合において,当該申請に係る医薬品が厚生省令で定める医薬品であるときは,当該資料は,厚生大臣の定める基準に従つて収集され,かつ,作成されたものでなければならない。
  (医薬品及び医療用具の再評価)
第十四条の五 第十四条の規定による医薬品又は医療用具の製造の承認を受けている者は,厚生大臣が中央薬事審議会の意見を聴いて医薬品又は医療用具の範囲を指定して再評価を受けるべき旨を公示したときは,その指定に係る医薬品又は医療用具について,厚生大臣の再評価を受けなければならない。
2,3   (略)
  第一項の指定に係る医薬品が厚生省令で定める医薬品であるときは,再評価を受けるべき者が提出する資料は,厚生大臣の定める基準に従つて収集され,かつ,作成されたものでなければならない。
  (外国製造医薬品等の製造の承認)
第十九条の二 厚生大臣は,第十四条第一項に規定する医薬品,医薬部外品,化粧品又は医療用具であつて本邦に輸出されるものにつき,外国においてこれを製造する者から申請があつたときは,品目ごとにその製造についての承認を与えることができる。
2,3   (略)
  第一項の承認については,第十四条第二項から第六項まで,第十四条の二及び第十四条の三の規定を準用する。
  (準用)
第三十三条 医薬品,医薬部外品,化粧品又は医療用具の輸入販売業については,第十三条から第十九条まで,第二十条第一項及び第二項並びに第二十一条の規定を準用する。この場合において,第十三条第一項中「厚生大臣の承認を受けていないときは」とあるのは「厚生大臣の承認を受けていないとき(外国においてその物を製造する者がその物につき第十九条の二の規定による厚生大臣の承認を受けているときを除く。)は」と同条第二項中「与えないことができる」とあるのは「与えないことができる。当該輸入しようとする物を外国において製造する者(その者が法人であるときは,その業務を行う役員を含む。)が第十九条の二第二項の規定に該当する者であるときも,同様とする」と第十三条の二第一項本文中「その者がその物につき次条(第二十三条において準用する場合を含む。次項において同じ。)の規定による厚生大臣の承認を受けていないとき」とあるのは「その者及び外国においてその物を製造する者がその物につき次条(第二十三条において準用する場合を含む。)及び第十九条の二の規定による厚生大臣の承認を受けていないとき」と,同項ただし書中「その者が」とあるのは「その者又は外国においてその物を製造する者が」と,同条第二項中「次条」とあるのは「次条(第二十三条において準用する場合を含む。)又は第十九条の二」と読み替えるものとする。
  (治験の取扱い)
第八十条の二 治験(薬物を対象とするものに限る。以下この条において同じ。)の依頼をしようとする者は,治験を依頼するに当たつては,厚生省令で定める基準に従つてこれを行わなければならない。
2,3   (略)
  治験の依頼を受けた者は,厚生省令で定める基準に従つて,治験をしなければならない。
  治験の依頼をした者は,厚生省令で定める基準に従つて,治験を管理しなければならない。
  (参考)薬事法抜粋323 (経過措置)
第八十二条 この法律の規定に基づき政令又は厚生省令を制定し,又は改廃する場合においては,それぞれ,政令又は厚生省令で,その制定又は改廃に伴い合理的に必要と判断される範囲内において,所要の経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)を定めることができる。この法律の規定に基づき,厚生大臣が毒薬及び劇薬の範囲その他の事項を定め,又はこれを改廃する場合においても,同様とする。

 

参考

薬事法施行規則

  (薬物に係る治験の計画の届出)
第六十六条の三 治験(薬物を対象とするものに限る。以下この条から第六十六条の七までにおいて同じ。)の依頼をしようとする者は,あらかじめ,治験の計画に関し,次の事項を厚生大臣に届け出なければならない。
  治験の対象とされる薬物(以下「被験薬」という。)の成分及び分量
  被験薬の製造方法
  被験薬の予定される効能又は効果
  被験薬の予定される用法及び用量
  治験の目的,内容及び期間
  治験を行う医療機関の名称及び所在地
  治験を行う医療機関ごとの治験に係る業務を統括する医師又は歯科医師(以下この条において「治験責任医師」という。)の氏名及び職名
  治験責任医師の指導の下に治験に係る業務を分担する医師又は歯科医師がある場合にあつては,その氏名及び職名
  治験を行う医療機関ごとの予定している被験薬及び被験薬と比較する目的で用いられる医薬品又は薬物その他の物質の交付数量
  治験を行う医療機関ごとの予定している被験者数
十一   被験薬を有償で譲渡する場合はこの理由
十二   治験の依頼をしようとする者が本邦内に住所を有しない場合にあつては,被験薬による保健衛生上の危害の発生又は拡大の防止に必要な措置を採らせるため,治験の依頼をしようとする者に代わつて治験の依頼を行うことができる者であつて本邦内に住所を有する者(外国法人で本邦内に事務所を有するものの当該事務所の代表者を含む。)のうちから選任した者(以下この条から第六十六条の七までにおいて「治験国内管理人」という。)の氏名及び住所
十三   治験実施計画書の解釈その他の治験の細目について調整する業務を医師又は歯科医師に委嘱する場合にあつては,その氏名及び職名
十四   治験実施計画書の解釈その他の治験の細目について調整する業務を複数の医師又は歯科医師で構成される委員会に委嘱する場合にあつては,これを柱取るため325構成する医師又は歯科医師の氏名および職名
十五   治験の依頼をしようとする者が治験の依頼及び管理に係る業務の一部を委託する場合にあつては,当該業務を受託する者の氏名,住所及び当該委託する業務の範囲
  前項の届出には,被験薬の毒性,薬理作用等に関する試験成績の概要その他必要な資料を添付しなければならない。
  (薬物に係る治験の計画の変更等の届出)
第六十六条の四 前条の届出をした者は,当該届出に係る事項若しくは治験国内管理人を変更したとき又は当該届出に係る治験を中止し,若しくは終了したときは,その内容及び理由等を厚生大臣に届け出なければならない。
  (薬物に係る治験の計画の届出等の手続)
第六十六条の五 治験の依頼をしようとする者又は治験の依頼をした者が本邦内に住所を有しない場合にあつては,前二条の届出に係る手続きは,治験国内管理人が行うものとする。
  (薬物に係る治験の届出を要しない場合)
第六十六条の六 法第八十条の二第二項ただし書に規定する場合は,次の各号に掲げる被験薬に係る治験以外の場合(第二号から第六号までに掲げる被験薬にあつては,生物学的同等性試験を行う場合を除く。)とする。
  日本薬局方に収められている医薬品及び既に製造又は輸入の承認を与えられている医薬品と有効成分が異なる薬物
  日本薬局方に収められている医薬品及び既に製造又は輸入の承認を与えられている医薬品と有効成分が同一の薬物であつて投与経路が異なるもの
  日本薬局方に収められている医薬品及び既に製造又は輸入の承認を与えられている医薬品と有効成分の配合割合,効能,効果,用法又は用量が異なる薬物(前二号に掲げるもの及び医師若しくは歯科医師によつて使用され又はこれらの者の処方せん若しくは指示によつて使用されることを目的としないものを除く。)
  日本薬局方に収められている医薬品及び既に製造又は輸入の承認を与えられている医薬品と有効成分が異なる医薬品として製造又は輸入の承認を与えられた医薬品であつてその製造又は輸入の承認のあつた日後法第十四条の四第一項第一号に規定する調査期間(同条第二項の規定による延長が行われたときは,その延長後の期間)を経過していないものと有効成分が同一の薬物
  生物学的製剤である薬物(前四号に掲げるものを除く。)
  遺伝子組換え技術を応用して製造される薬物(前五号に掲げるものを除く。)
  (薬物に係る治験に関する副作用等の報告)
第六十六条の七 治験の依頼をした者は,被験薬について次の各号に掲げる事項を知つたときは,それぞれ当該各号に定める期間内にその旨を厚生大臣に報告しなければならない。
  次に掲げる症例等の発生のうち,当該被験薬又は外国で使用されている物であつて当該被験薬と成分が同一性を有すると認められるもの(以下この条において「当該被験薬等」という。)の副作用によるものと疑われるもの又はそれらの使用によるものと疑われる感染症によるものであり,かつ,そのような症例等の発生又は発生数,発生頻度,発生条件等の発生傾向が当該被験薬の治験薬概要書(当該被験薬の品質,有効性及び安全性に関する情報等を記載した文書をいう。以下この条において同じ。)から予測できないもの七日
死亡
死亡につながるおそれのある症例
  次に掲げる事項(前号に掲げるものを除く。)十五日
次に掲げる症例等の発生のうち,当該被験薬等の副作用によるものと疑われるものであり,かつ,そのような症例等の発生又は発生数,発生頻度,発生条件等の発生傾向が当該被験薬の治験薬概要書から予測できないもの
(1) 治療のために病院又は診療所への入院又は入院期間の延長が必要とされる症例
(2) 障害
(3) 障害につながるおそれのある症例
(4) (1)から(3)まで並びに前号イ(1)及び(2)に掲げる症例に準じて重篤である症例
(5) 後生代における先天性の疾病又は異常
前号イ又はロに掲げる症例等の発生のうち,当該被験薬等の副作用によるものと疑われるもの又はそれらの使用によるものと疑われる感染症によるもの
外国で使用されている物であつて被験薬と成分が同一性を有すると認められるものに係る製造,輸入又は販売の中止,回収,廃棄その他保健衛生上の危害の発生又は拡大を防止するための措置の実施
ニ 当該被験薬等の副作用若しくはそれらの使用による感染症によりがんその他の重要な疾病,障害若しくは死亡が発生するおそれがあること,当該被験薬等の副作用によるものと疑われる疾病等若しくはそれらの使用によるものと疑われる感染症の発生数,発生頻度,発生条件等の発生傾向が著しく変化したこと又は当該被験薬等が治験の対象となる疾患に対して効(参考)薬事法施行規則327能若しくは効果を有しないことを示す研究報告
  (器具器械に係る治験の依頼の基準)
第六十七条 法第八十条の三第一項の規定により,治験(器具器械を対象とするものに限る。以下この条から第七十条までにおいて同じ。)の依頼をしようとする者が従わなければならない基準は,次のとおりとする。
  治験を依頼するのに必要な安全性,性能等に関する試験を終了していること。
一の二 治験の依頼をしようとする者が本邦内に住所を有しない場合にあつては,治験の対象となる器具器械(以下この条から第七十条までにおいて「被験用具」という。)による保健衛生上の危害の発生又は拡大の防止に必要な措置を採らせるため,治験の依頼をしようとする者に代わつて治験の依頼を行うことができる者を,本邦内に住所を有する者(外国法人で本邦内に事務所を有するものの当該事務所の代表者を含む。)のうちから選任し,この者(以下この条から第七十条までにおいて「治験国内管理人」という。)によつて依頼に係る手続を行うこと。
  依頼は文書により行うこと。
  第一号に定める試験の結果その他治験に必要な情報を提供すること。
  十分な臨床観察及び試験検査を行うことができ,かつ,緊急時に必要な措置を採ることができるなど当該治験を適切に実施しうる医療機関又は研究機関(以下「医療機関等」という。)に対して依頼すること。
  治験の依頼先(依頼の相手としての医療機関等をいう。以下同じ。)に対し,治験の内容等を説明することが医療上好ましくないと担当医師が判断する場合等を除き,治験の内容等を被験者(被験者が同意の能力を欠く場合にはこれに代わつて同意をなし得る者)に説明し,その同意を得るよう要請すること。
  被験用具により健康被害が発生した場合の補償のために,あらかじめ,必要な方策を講じておくこと。
  被験用具又はその容器若しくは被包に,次に掲げる事項を邦文で記載すること。
治験用である旨
治験依頼をした者の氏名及び住所(依頼者が本邦内に住所を有しない場合にあつては,依頼者の氏名及びその住所の国名並びに治験国内管理人の氏名及び住所)
化学名又は識別記号
製造番号又は製造記号
貯蔵方法,有効期間等を定める必要のあるものについては,その内容
  被験用具に添付する文書,その治験薬等又はその容器若しくは被包(内袋を含む。)に,次に掲げる事項を記載しないこと。
予定される販売名
予定される効能,効果又は性能
予定される使用方法
  被験用具は,医療用具の販売業者等の第三者を介在させることなく直接依頼先に交付すること。
  被験用具に関して次の事項を記録して保存すること。
 ただし,治験の依頼をした者が本邦内に住所を有しない場合にあつては,治験国内管理人にも保存させること。
製造及び試験に関する事項
依頼先別の交付数量及び交付日月日
十一   治験の依頼をした者が本邦内に住所を有しない場合であつて,厚生大臣が被験用具の使用による保健衛生上の危害の発生又は拡大を防止するために必要があると認めて,治験国内管理人に対し,治験の依頼の取消し又はその変更その他必要な指示を行つたときは,治験国内管理人を当該指示に従わせること。
  (器具器械に係る治験の計画の届出)
第六十八条 治験の依頼をしようとする者は,あらかじめ,治験の計画に関し,次の事項を厚生大臣に届け出なければならない。
  被験用具の形状,構造,寸法,原材料,成分及び分量
  被験用具の製造方法
  被験用具の予定される性能,使用方法,効能又は効果
  被験用具の予定される操作方法又は使用方法
  治験の目的,内容及び実施期間
  治験の実施期間ごとの名称,所在地,治験の実施責任医師の氏名及び被験用具の予定交付数量
  被験用具を有償で譲渡する場合は,その理由
  治験の依頼をした者が本邦内に住所を有しない場合にあつては,治験国内管理人の氏名及び住所
  前項の届出には,被験用具の安全性,性能等に関する試験成績の概要その他必要な資料を添付しなければならない。
  (変更等の届出)
第六十九条 前条の届出をした者は,当該届出に係る事項若しくは治験国内管理人を変更したとき又は当該届出に係る治験を中止し,若しくは終了したときは,その内容及び理由等を厚生大臣に届け出なければならない。
  (治験の計画の届出等の手続)
第六十九条の二 治験の依頼をしようとする者又は治験の依頼をした者が本邦(参考)薬事法施行規則329内に住所を有しない場合にあつては,前二条の届出に係る手続きは,治験国内管理人が行うものとする。
  (器具器械に係る治験の届出を要しない場合)
第七十条 法第八十条の三第二項ただし書に規定する場合は,既に製造又は輸入の承認を与えられている医療用具及び第十四条第一項に規定する厚生大臣の指定する医療用具と構造,性能等が明らかに異なる器具器械(人体の構造又は機能に影響を及ぼさないものを除く。)に係る治験以外の場合とする。
  (医薬品副作用被害救済・研究振興調査機構による治験の計画に係る調査の結果の通知)
第七十条の二 法第八十条の四第三項の規定により厚生大臣に対して行う調査の結果の通知は,様式第三十三による通知書によつて行うものとする。